(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係るスタートスイッチ装置は、車両の駆動装置の始動及び停止の指示を行うために操作されるスタートボタンと、スタートボタンに設けられ、スタートボタンの操作面を操作する操作者の生体情報を読み取る生体情報センサと、操作面に向かってスタートボタンの内部から照明光を出力する光源部と、操作面の生体情報センサの周囲に設けられ、照明光を透過させて操作面に意匠を形成する意匠部と、を備えて概略構成されている。
【0011】
このスタートスイッチ装置は、意匠が生体情報センサの周囲に配置され、照明光によって光るので、この構成を採用しない場合と比べて、夜間における生体情報センサの認知性を向上させることができる。
【0012】
[実施の形態]
(スタートスイッチ装置1の概要)
図1(a)は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の一例を示す概略図であり、
図1(b)は、スタートスイッチ装置のブロック図の一例である。
図2(a)は、実施の形態に係るスタートスイッチ装置の意匠部の配置領域の一例について説明するための概略図であり、
図2(b)は、変形例に係る意匠部の配置の一例を示す概略図である。なお、以下に記載する実施の形態に係る各図において、図形間の比率は、実際の比率とは異なる場合がある。また
図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0013】
スタートスイッチ装置1は、例えば、
図1(a)及び
図1(b)に示すように、車両の駆動装置の始動及び停止の指示を行うために操作されるスタートボタン14と、スタートボタン14に設けられ、スタートボタン14の操作面16を操作する操作者の生体情報を読み取る生体情報センサ2と、操作面16に向かってスタートボタン14の内部から照明光を出力する光源部4と、操作面16の生体情報センサ2の周囲に設けられ、照明光を透過させて操作面16に意匠を形成する意匠部5と、を備えて概略構成されている。
【0014】
このスタートスイッチ装置1は、一例として、電子キーなどによる無線通信に基づく認証によってドアが開錠された後、車両のバッテリーから駆動電圧が供給され、生体情報センサ2による生体情報の読み取りが行える状態となる。この際、光源部4による意匠部5の照明が行われる。
【0015】
そして車両は、操作によってスタートスイッチ装置1のスイッチ6がオン状態となると共に、生体情報の認証が成立した場合、駆動装置の始動を行う。
【0016】
この駆動装置とは、例えば、内燃機関やモータ、またこれらを組み合わせたものなどである。スタートスイッチ装置1は、この駆動装置の始動と停止を指示するように構成されている。
【0017】
本実施の形態の意匠は、例えば、
図1(a)に示すように、第1の意匠5a及び第2の意匠5bである。
【0018】
(スタートボタン14の構成)
スタートボタン14は、例えば、
図1(a)に示すように、本体10の開口100に配置されている。この本体10の上部には、ベゼル12が設けられている。そしてスタートボタン14の操作面16は、上面視では円形状を有し、側面視ではベゼル12から中央がすり鉢状に凹んだ曲面となっている。なおスタートスイッチ装置1は、例えば、円柱形状を有している。
【0019】
スタートボタン14は、プッシュ操作が可能となるように構成されている。そしてスタートスイッチ装置1は、スタートボタン14の操作面16と反対側の端部と対向するように、スイッチ6が設けられている。
【0020】
このスイッチ6は、スタートボタン14になされたプッシュ操作によってスタートボタン14と接触してオン状態となり、スタートボタン14が元の状態に戻ることで接触が解除されてオフ状態となるように構成されている。
【0021】
スイッチ6は、例えば、オン状態となると制御部8にスイッチ信号S
3を出力する。制御部8は、このスイッチ信号S
3の入力に基づいてスタートボタン14が操作されたと判定する。
【0022】
(生体情報センサ2の構成)
生体情報センサ2は、スタートボタン14の操作面16の中央に配置されている。そして生体情報センサ2は、生体情報を読み取る読取面20が円形状を有すると共に操作面16に露出している。この読取面20は、例えば、操作面16よりも低く位置している。言い換えるなら読取面20は、例えば、操作面16に形成された窪みの底面のような位置に露出している。
【0023】
そして生体情報センサ2は、操作面16に接触する操作指の生体情報を読み取るように構成されている。この生体情報は、一例として、操作指の指紋パターン及び静脈パターンの少なくとも一方のパターンの情報を含んでいる。
【0024】
生体情報センサ2は、例えば、指紋パターンを読み取る場合、光学式、静電容量方式、電界強度測定方式、感圧式及び感熱式などのセンサによって概略構成される。
【0025】
また生体情報センサ2は、例えば、静脈パターンを読み取る場合、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈パターンを読み出すように概略構成される。
【0026】
本実施の形態の生体情報センサ2は、一例として、指紋パターンを読み取る静電容量方式のセンサであるものとする。
【0027】
生体情報センサ2は、読取面20を囲むベゼル21が配置されている。このベゼル21は、一例として、金属材料を用いてリング形状に形成され、操作面16と読取面20との境界を示している。
【0028】
(光源部4の構成)
光源部4は、例えば、発光素子(Light Emitting Diode:LED)を有して概略構成されている。発光素子は、例えば、生体情報センサ2の下方に配置されてライトガイドによって意匠部5に案内されても良いし、意匠部5の下方に配置されて直接、又はライトガイドを介して意匠部5を照明しても良い。
【0029】
光源部4は、例えば、
図1(b)に示すように、制御部8から出力された駆動信号S
2によって発光する。
【0030】
(意匠部5の構成)
意匠部5は、例えば、第1の意匠5aと、第2の意匠5bと、を備えて概略構成されている。この意匠部5は、例えば、ポリカーボネートなどの透明樹脂によってスタートボタン14が形成され、その操作面16に光を透過させない黒色の膜が形成される場合、レーザなどによって部分的に膜を除去することによって形成される。
【0031】
なお意匠部5は、例えば、スタートボタン14と意匠部5とが二色成形によって形成されても良いし、意匠部5の形状に貫通孔が操作面16に形成され、その貫通孔に透明樹脂が挿入されて形成されても良い。
【0032】
意匠部5の意匠は、例えば、
図1(a)に示すように、文字形状を有している。第1の意匠5aは、一例として、「START STOP」の文字が並んで形成されている。また第2の意匠5bは、一例として、「ENGINE」の文字が並んで形成されている。なお意匠部5は、文字列に限定されず、図形であったり、図形と文字であったりしても良い。
【0033】
この意匠部5の第1の意匠5a及び第2の意匠5bは、例えば、
図1(a)に示すように、生体情報センサ2を挟んで対向するように設けられている。例えば、
図2(a)に点線で示すように、操作面16は、生体情報センサ2を挟んで上配置領域161、下配置領域162、左配置領域163及び右配置領域164と分けることができる。なお
図2(a)に示す上配置領域161、下配置領域162、左配置領域163及び右配置領域164の形状は、均等に分けた一例であって文字の数、文字の種類、文字の大きさなどに基づいて変更される。
【0034】
意匠部5は、二段で意匠を形成する場合、生体情報センサ2と対向するように、上配置領域161と下配置領域162、又は左配置領域163と右配置領域164に配置される。
図1(a)のスタートスイッチ装置1は、第1の意匠5aが上配置領域161に配置され、第2の意匠5bが下配置領域162に配置されている。
【0035】
また意匠部5は、例えば、
図1(a)に示すように、読取面20の同心円9に沿って第1の意匠5a及び第2の意匠5bが配置されることが好ましい。同心円9に沿って配置されることにより、意匠部5が円を形成するように認知され、円の中央を操作すれば良いことが操作者に認知され易くなる。従って生体情報センサ2は、照明されなくても間接的に読取面20の位置が認知可能な状態となる。
【0036】
ここで変形例として、意匠部5は、例えば、
図2(b)に示すように、二列で形成されても良い。この変形例では、「START STOP」の文字列と、「ENGINE」の文字列と、が異なる同心円9a及び同心円9bに沿って上配置領域161に配置されている。なお意匠部5は、他の配置領域に配置されても良いし、同心円に沿って配置されなくても良い。
【0037】
この意匠部5は、二列でありながらも同心円9a及び同心円9bに沿って配置されることにより、その中央に生体情報センサ2の読取面20が位置することが操作者にとって認知され易い。
【0038】
また他の変形例として、意匠部5は、例えば、「START STOP ENGINE」の文字列が1つの同心円に沿って生体情報センサ2を囲むように、つまり繋がるように並んで配置されても良い。
【0039】
(制御部8の構成)
制御部8は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部8が動作するためのプログラムと、識別しきい値80と、登録生体情報81と、が格納されている。RAMは、例えば、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。
【0040】
制御部8は、一例として、生体情報センサ2から取得した生体情報S
1に基づく操作者の指紋パターンの特徴点と、登録生体情報81に登録された登録者の指紋パターンの特徴点と、の類似度が識別しきい値80より大きい場合、操作者が登録者であると判定する。
【0041】
制御部8は、スタートボタン14に対してなされたプッシュ操作に基づいてスイッチ6から出力されたスイッチ信号S
3、及び生体情報センサ2から出力された生体情報S
1を取得する。続いて制御部8は、スイッチ6がオン状態で、かつ生体情報S
1に基づいて操作者が登録者であると判定した場合、駆動装置の始動を指示する指示信号S
4を生成して出力する。
【0042】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係るスタートスイッチ装置1は、夜間における生体情報センサ2の認知性を向上させることができる。具体的には、スタートスイッチ装置1は、生体情報センサ2の周囲に照明される意匠部5が設けられているので、意匠部が照明されない場合と比べて、夜間であっても意匠部5が目安となって生体情報センサ2の読取面20の位置が操作者に認知され易い。従ってスタートスイッチ装置1は、夜間における生体情報センサ2の認知性を向上させることができる。
【0043】
スタートスイッチ装置1は、意匠部5が生体情報センサ2の読取面20の中心を同一とする同心円9に沿って配置されるので、この構成を採用しない場合と比べて、文字列自体が円の外形のように操作者に認知され、操作者が夜間であっても中心に位置する生体情報センサ2を認知し易くなる。
【0044】
スタートスイッチ装置1は、意匠部5の第1の意匠5aと第2の意匠5bとが生体情報センサ2を挟んで対向して配置されているので、この構成を採用しない場合と比べて、夜間であっても、照明されている第1の意匠5aと第2の意匠5bの間として生体情報センサ2の位置が認知され易い。
【0045】
スタートスイッチ装置1は、意匠部5になされた照明によって生体情報センサ2の認知性を向上させることができるので、生体情報センサを照明する発光素子を備える場合と比べて、生体情報センサ2用に発光素子などを用意する必要がないので、体格を抑制することができる。またスタートスイッチ装置1は、生体情報センサ2を照明する発光素子などが必要がないので、部品点数が少なくなり、製造コストが抑制される。
【0046】
スタートスイッチ装置1は、生体情報センサ2の読取面20と操作面16との隙間から照明光を出力させることで生体情報センサ2を照明する場合、内部に対する液体などの侵入を抑制するため、シールしなければならない。スタートスイッチ装置1は、シールする場合、生体情報センサ2用の発光素子やライトガイドの配置スペースが小さいことから装置の体格が大きくなったり、製造コストが増加したりする。しかし本実施のスタートスイッチ装置1は、照明される意匠部5の配置によって生体情報センサ2の読取面20を認知させることができるので、小型化が容易であり、また製造コストが抑制される。
【0047】
以上、本発明のいくつかの実施の形態及び変形例を説明したが、これらの実施の形態及び変形例は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態及び変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態及び変形例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態及び変形例は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。