【文献】
高遠哲也ら,高血圧、糖尿病、高脂血症で外来通院中に非動脈炎性前部虚血性視神経症を発症し内頸動脈高度狭窄の関与が考えられた1例,日老医誌,2008年,45巻,100−106頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0008】
眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある対象の治療に使用するための化合物および組成物、ならびにその対象を治療する方法が本明細書に提供される。治療は、カスパーゼ2(CASP2)発現を下方制御する治療的に有効な用量の二本鎖RNA化合物を、単回治療で、または1週間、2週間、1カ月、6週間、2カ月、およびそれ以上、もしくはそれらの組み合わせから選択される投薬間隔を有する治療レジメンに従って、対象の眼に投与することを含み、そのレジメンは、対象に対して所望の治療効果が得られるまで維持される。本明細書に提供される用量は、例えば、網膜神経節細胞(RGC)の死をもたらす、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)および緑内障等の他の視神経症に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある患者等の、眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害に冒されているか、もしくは発病する危険性がある、または視神経保護を必要とする患者に対して好ましい結果を呈する。本明細書に提供される治療レジメンは、NAIONおよび緑内障を含むが、これらに限定されない眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある患者に対して好ましい結果を呈する。
【0009】
本明細書に提供される種々の態様および実施形態は、対象の眼のCASP2の発現を下方制御する核酸分子またはその薬学的に許容される塩の使用を含み、それは、CASP2をコードするヌクレオチド配列(mRNA配列等)またはその部分、例えば、配列番号6〜8によって例示される1つ以上のタンパク質またはタンパク質サブユニットをコードするヒトCASP2に対するmRNAコード配列(配列番号3〜5)に結合する。いくつかの実施形態において、CASP2遺伝子の発現を下方制御するか、または標的化する核酸分子またはその薬学的に許容される塩は、片眼につき約0.2mg〜約6.0mg等の、片眼につき約0.05mg〜約10mgの用量で対象の眼に投与される。種々の実施形態において、核酸分子またはその薬学的に許容される塩は、硝子体内(IVT)注射として投与される。いくつかの実施形態において、核酸分子またはその薬学的に許容される塩は、片側性に投与される。いくつかの実施形態において、核酸分子またはその薬学的に許容される塩は、両側性に投与される。好ましい実施形態において、核酸分子は、アンチセンス鎖およびセンス鎖を含む二本鎖RNA(dsRNA)化合物である。種々の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、配列:5’ AGGAGUUCCACAUUCUGGC 3’(配列番号2)のアンチセンス鎖、および配列5’ GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(配列番号1)のセンス鎖を含む。
【0010】
好ましい実施形態において、二本鎖RNA化合物(本明細書において「QPI−1007」と称される)は、以下の構造:
5’ iB−GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(センス鎖、配列番号1)
3’ CGGUCUUACACCUUGAGGA 5’(アンチセンス鎖、配列番号2)
を有し、式中、各A、C、U、およびGは、ヌクレオチドであり、各連続したヌクレオチドは、次のヌクレオチドとホスホジエステル結合によって連結され、
各ヌクレオチドは、独立して、非修飾リボヌクレオチド、2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、またはL−DNAヌクレオチドであり、
該センス鎖は、5’終端から数えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、および19位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチド、18位にL−デオキシシチジン、ならびに5’終端に共有結合している逆位脱塩基デオキシリボースキャップ(iB)を含み、
該アンチセンス鎖は、5’終端から数えて、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位のそれぞれに2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、ならびに1、3、5、7、9、10、12、14、16、および18位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチドを含む。
【0011】
好ましい実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩が提供され、構造:
5’ iB−GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(センス鎖、配列番号1)
3’ CGGUCUUACACCUUGAGGA 5’(アンチセンス鎖、配列番号2)
を有し、式中、各A、C、U、およびGは、ヌクレオチドであり、各連続したヌクレオチドは、次のヌクレオチドとホスホジエステル結合によって連結され、
各ヌクレオチドは、独立して、非修飾リボヌクレオチド、2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、またはL−DNAヌクレオチドであり、
該センス鎖は、5’終端から数えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、および19位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチド、18位にL−デオキシシチジン、ならびに5’終端に共有結合している逆位脱塩基デオキシリボースキャップ(iB)を含み、
該アンチセンス鎖は、5’終端から数えて、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位のそれぞれに2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、ならびに1、3、5、7、9、10、12、14、16、および18位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチドを含む、
眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある患者の治療に使用するためのものであり、
化合物またはその塩は、片眼につき約0.05mg〜約10mgの用量で患者の眼に投与される。
【0012】
種々の実施形態において、QPI−1007は、片眼につき約0.05mg〜約10mgの用量で、片眼につき約0.2mg〜約6.0mgの用量で、または片眼につき約2.4mg〜約6.0mgの用量で、患者の眼に投与される。
【0013】
種々の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、約0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9.0mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、もしくは約10.0mgの用量で、または0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9.0mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、もしくは10.0mgの用量で患者の眼に投与される。
【0014】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき約0.2mgの用量で投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき0.2mgの用量で投与される。
【0015】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき約0.6mgの用量で投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき0.6mgの用量で投与される。
【0016】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき約1.2mgの用量で投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき1.2mgの用量で投与される。
【0017】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき約2.4mgの用量で投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき2.4mgの用量で投与される。
【0018】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき約4.8mgの用量で投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき4.8mgの用量で投与される。
【0019】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき約6.0mgの用量で投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物は、片眼につき6.0mgの用量で投与される。
【0020】
使用するための化合物または治療する方法の好ましい実施形態において、化合物またはその薬学的に許容される塩は、硝子体内(IVT)注射用に調製される。使用するための化合物または治療する方法の好ましい実施形態において、化合物またはその薬学的に許容される塩は、硝子体内(IVT)注射として投与される。いくつかの実施形態において、硝子体内(IVT)注射は、単回治療において投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、治療は、二本鎖RNA化合物の複数回(すなわち、2、3、4、5、6回以上)投与を含む。好ましい実施形態において、治療は、複数回用量レジメン、例えば、複数回(すなわち、2、3、4、5、6回以上)連続投与を含む。いくつかの実施形態において、複数回投与は、複数回硝子体内(IVT)注射を含む。本明細書に提供される使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、6回の連続硝子体内(IVT)注射として投与される。本明細書に提供されるように、複数回投与は、一定間隔で、または不規則な間隔で生じてもよい。好ましい実施形態において、複数回投与は、一定間隔で生じる。本明細書に提供されるように、一定間隔は、約1週間、2週間、1カ月、6週間、2カ月、および2カ月よりも長い期間からなる群から選択される。いくつかの実施形態において、一定間隔は、約1カ月のものである。使用するための化合物または治療する方法の好ましい実施形態において、二本鎖RNA化合物は、6カ月連続で1カ月の一定間隔で硝子体内(IVT)注射として投与される。
【0021】
使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、例えば、慢性眼疾患の治療において、二本鎖RNA化合物は、6カ月を超える、例えば、最大12カ月または24カ月以上にわたって1カ月または2カ月の一定間隔で硝子体内(IVT)注射として投与される。
【0022】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、単回の硝子体内(IVT)注射の量は、約1μl〜約200μlである(μlはマイクロリットルを指す)。いくつかの実施形態において、注入量は、約5μl〜約200μlである。いくつかの実施形態において、注入量は、約20μl〜約200μlである。いくつかの実施形態において、注入量は、約50μl〜約100μlの間である。いくつかの実施形態において、単回の硝子体内(IVT)注射の量は、50μlまたは100μlである。
【0023】
使用するための化合物または治療する方法の種々の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、例えば、視野喪失、視力喪失、神経変性、上昇した眼内圧、虚血性事象、網膜傷害、または視神経傷害を含む、眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある対象の治療において有用である。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、網膜傷害もしくは視神経傷害に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある対象の治療において有用である。本明細書に提供されるいくつかの実施形態において、網膜傷害または視神経傷害は、虚血性または低酸素傷害を含む。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、対象の眼の神経保護、例えば、RGCの神経保護および/または視神経の神経保護の達成に有用である。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、対象の眼の視野喪失の低減または防止に有用である。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、対象の眼の視力喪失の低減または防止に有用である。
【0024】
使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、対象の眼、特にNAIONまたは緑内障患者の眼における、視力の上昇または強化に有用である。
【0025】
使用するための化合物または治療する方法の種々の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、眼の神経障害、上昇した眼内圧(IOP)、緑内障、急性閉塞隅角症(AAC)、急性閉塞隅角緑内障(AACG)、原発閉塞隅角症(PACD)、原発閉塞隅角緑内障(PACG)、ドライアイ、シェーグレン症候群、糖尿病性網膜症(DR)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、加齢性黄斑変性症(AMD)、視神経炎、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症(brunch retinal vein occlusion)、虚血性視神経症、視神経萎縮、視神経傷害、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)、未熟児網膜症(ROP)、網膜色素変性症(RP)、網膜変性症、網膜神経節変性症、黄斑変性症、遺伝性視神経症、レーベル遺伝性視神経症、代謝性視神経症、毒剤による神経障害、すべての続発性緑内障、高眼圧症、正常眼圧緑内障、および薬物有害反応またはビタミン欠乏によって引き起こされる神経障害からなる群から選択される。
【0026】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、視神経萎縮である。いくつかの実施形態において、視神経萎縮は、慢性視神経萎縮である。
【0027】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、網膜変性症である。
【0028】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)である。いくつかの実施形態において、NAIONは、急性NAIONである。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、NAIONまたは急性NAIONであり、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、NAION症状の発症から14日以内に患者の眼に投与される。使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、NAIONまたは急性NAIONであり、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、NAION症状の発症から28日以内に患者の眼に投与される。使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、視神経炎である。
【0029】
使用するための化合物または治療する方法のいくつかの実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、緑内障、例えば、原発性緑内障または続発性緑内障である。いくつかの実施形態において、緑内障は、原発開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、原発閉塞隅角緑内障(PACG)、急性閉塞隅角緑内障(AACG)、および閉塞隅角緑内障からなる群から選択される、原発性緑内障である。使用するための化合物またはその方法のいくつかの実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、原発閉塞隅角症(PAC)または急性閉塞隅角症(AAC)である。いくつかの実施形態において、緑内障は、偽落屑緑内障、色素性緑内障、血管新生緑内障、ステロイド緑内障、および治療抵抗性緑内障からなる群から選択される、続発性緑内障である。
【0030】
使用するための化合物または治療する方法のある特定の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害は、レーベル遺伝性視神経症である。
【0031】
本明細書に提供される使用するための化合物または治療する方法の種々の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、薬学的に許容される塩の形態である。好ましい実施形態において、薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩である。化合物のナトリウム塩は、少なくとも1つのナトリウム原子を含有する任意の化合物を意味する。
【0032】
本明細書に提供される使用するための化合物または治療する方法の種々の実施形態において、二本鎖RNA化合物は、化合物および薬学的に許容される担体を含む組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体は、眼の中への注入に適した無菌生理食塩水である。ある特定の実施形態において、組成物は、防腐剤をさらに含む。種々の実施形態において、組成物は、クリーム、泡剤、ペースト剤、軟膏、乳濁液、溶液、点眼剤、ゲル、スプレー、懸濁液、微乳濁液、微粒子、マイクロカプセル、ナノ球体、ナノ粒子、脂質ベシクル、リポソーム、高分子ベシクル、パッチ、またはコンタクトレンズとして製剤化される。好ましい実施形態において、組成物は、溶液として製剤化される。いくつかの実施形態において、溶液は、単回用量硝子体内(IVT)注射用に調製され、単回用量IVT注射の量は、約20μl〜約200μl、好ましくは50μl〜約100μlの間である。いくつかの実施形態において、溶液は、単回用量硝子体内(IVT)注射用に調製され、単回用量IVT注射の量は、100μlである。いくつかの実施形態において、溶液は、単回用量硝子体内(IVT)注射用に調製され、単回用量IVT注射の量は、50μlである。
【0033】
別の態様において、薬理学的に許容される水溶性賦形剤および上記および以下に記載される二本鎖RNA化合物を含む、注射用組成物が本明細書に提供される。本明細書に提供される種々の実施形態において、注射用組成物は、眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害に冒されているか、またはそれらを発病する危険性がある患者の治療において使用するため、およびその患者の眼に投与するためのものである。
【0034】
別の態様において、構造:
5’ iB−GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(センス鎖、配列番号1)
3’ CGGUCUUACACCUUGAGGA 5’(アンチセンス鎖、配列番号2)
を有し、式中、各A、C、U、およびGは、ヌクレオチドであり、各連続したヌクレオチドは、次のヌクレオチドとホスホジエステル結合によって連結され、
式中、センス鎖は、5’終端から数えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、および19位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチド、18位にL−デオキシシチジン、ならびに逆位脱塩基デオキシリボース部分5’キャップを含み、
式中、アンチセンス鎖は、5’終端から数えて、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位に2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、ならびに1、3、5、7、9、10、12、14、16、および18位に非修飾リボヌクレオチドを含み、
式中、分子式が、C
375 H
439 N
143 Na
37 O
266 P
37であり、
式中、分子量が、13,202Daである、カスパーゼ2を標的化する二本鎖RNA化合物のナトリウム塩が、本明細書に提供される。
【0035】
別の態様において、構造:
5’ iB−GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(センス鎖、配列番号1)
3’ CGGUCUUACACCUUGAGGA 5’(アンチセンス鎖、配列番号2)
を有し、式中、各A、C、U、およびGは、ヌクレオチドであり、各連続したヌクレオチドは、次のヌクレオチドとホスホジエステル結合によって連結され、
式中、センス鎖は、5’終端から数えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、および19位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチド、18位にL−デオキシシチジン、ならびに逆位脱塩基デオキシリボース部分5’キャップを含み、
式中、アンチセンス鎖は、5’終端から数えて、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位に2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、ならびに1、3、5、7、9、10、12、14、16、および18位に非修飾リボヌクレオチドを含み、
式中、分子式が、C
375 H
439 N
143 Na
37 O
266 P
37であり、分子量が、13,202Daである、二本鎖RNA化合物のナトリウム塩
および薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、またはそれらの混合物を含む、薬学的組成物が本明細書に提供される。
【0036】
種々の実施形態において、本明細書に提供される二本鎖RNA化合物のナトリウム塩は、剤形あたり約0.05mg〜約10.0mgの含量で組成物中に存在する。いくつかの実施形態において、本明細書に提供される二本鎖RNA化合物のナトリウム塩は、投与単位あたり0.05mg〜約10.0mgの含量で組成物中に存在する。
【0037】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、剤形あたり約0.1mg〜約8.0mgの含量で、または0.1mg〜8.0mgの含量で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、剤形あたり約0.2mg〜約6.0mgの含量で、または0.2mg〜6.0mgの含量で組成物中に存在する。
【0038】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり約0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9.0mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、もしくは10.0mgの含量で、または1用量形態あたり0.05mg、0.06mg、0.07mg、0.08mg、0.09mg、0.1mg、0.2mg、0.3mg、0.4mg、0.5mg、0.6mg、0.7mg、0.8mg、0.9mg、1.0mg、1.1mg、1.2mg、1.3mg、1.4mg、1.5mg、1.6mg、1.7mg、1.8mg、1.9mg、2.0mg、2.1mg、2.2mg、2.3mg、2.4mg、2.5mg、2.6mg、2.7mg、2.8mg、2.9mg、3.0mg、3.1mg、3.2mg、3.3mg、3.4mg、3.5mg、3.6mg、3.7mg、3.8mg、3.9mg、4.0mg、4.1mg、4.2mg、4.3mg、4.4mg、4.5mg、4.6mg、4.7mg、4.8mg、4.9mg、5.0mg、5.1mg、5.2mg、5.3mg、5.4mg、5.5mg、5.6mg、5.7mg、5.8mg、5.9mg、6.0mg、6.1mg、6.2mg、6.3mg、6.4mg、6.5mg、6.6mg、6.7mg、6.8mg、6.9mg、7.0mg、7.1mg、7.2mg、7.3mg、7.4mg、7.5mg、7.6mg、7.7mg、7.8mg、7.9mg、8.0mg、8.1mg、8.2mg、8.3mg、8.4mg、8.5mg、8.6mg、8.7mg、8.8mg、8.9mg、9.0mg、9.1mg、9.2mg、9.3mg、9.4mg、9.5mg、9.6mg、9.7mg、9.8mg、9.9mg、もしくは10.0mgの含量で組成物中に存在する。
【0039】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり約0.2mgの含量で、または1用量形態あたり0.2mgの含量で組成物中に存在する。
【0040】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり、約0.6mgの含量で、または1用量形態あたり0.6mgの含量で組成物中に存在する。
【0041】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり約1.2mgの含量で、または1用量形態あたり1.2mgの含量で組成物中に存在する。
【0042】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり約2.4mgの含量で、または1用量形態あたり2.4mgの含量で組成物中に存在する。
【0043】
ある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり約4.8mgの含量で、または1用量形態あたり4.8mgの含量で組成物中に存在する。
【0044】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007のナトリウム塩は、1用量形態あたり約6.0mgの含量で、または1用量形態あたり6.0mgの含量で組成物中に存在する。
【0045】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約0.5mg/mL〜約100.0mg/mLの濃度で、または0.5mg/mL〜100.0mg/mLの濃度で、薬学的に許容される賦形剤または担体内で製剤化される。薬学的組成物のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約1.0mg/mL〜約80.0mg/mLの濃度で、または1.0mg/mL〜80.0mg/mLの濃度で、薬学的に許容される賦形剤または担体内で製剤化される。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約2.0mg/mL〜約60.0mg/mLの濃度で、または2.0mg/mL〜60.0mg/mLの濃度で、薬学的に許容される賦形剤または担体内で製剤化される。
【0046】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約2.0mg/mLの濃度で、または2.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約12.0mg/mLの濃度で、または12.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約24.0mg/mLの濃度で、または24.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約48.0mg/mLの濃度で、または48.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約60.0mg/mLの濃度で、または60.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約100.0mg/mLの濃度で、または100.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。ある特定の実施形態において、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩は、約120.0mg/mLの濃度で、または120.0mg/mLの濃度で組成物中に存在する。
【0047】
薬学的組成物のある特定の実施形態において、QPI−1007またはそのナトリウム塩は、薬学的に許容される賦形剤もしくは担体またはそれらの混合物中で、約60mg/mLの濃度で製剤化される。ある特定の実施形態において、QPI−1007またはその薬学的に許容される塩は、防腐剤無添加の無菌液中で、60mg/mLの濃度で製剤化される。ある特定の実施形態において、無菌液は、リン酸緩衝食塩水である。
【0048】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の使用するための化合物は、二本鎖RNA化合物またはその薬学的に許容される塩、または上記および以下に記載される組成物、ならびにそれらの使用説明書を含む、キット内に存在する。キットの種々の実施形態において、その使用は、例えば、眼の傷害が、虚血傷害、虚血再灌流傷害、機械的損傷、神経線維の傷害もしくは中断を含むかおよび/もしくは神経栄養因子の供給の欠如に関連している、または眼の疾患、眼の障害、もしくは眼の傷害が、網膜神経節細胞(RGC)の死に関連している、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害の治療のためである。キットの種々の実施形態において、疾患は、本明細書に記載の疾患および障害の群から選択される。キットの種々の実施形態において、キットは、二本鎖RNA化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または本明細書に記載の組成物の薬剤の投与単位を含む。
【0049】
種々の実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害の治療において使用するためのキットは、好適な密封容器内にパッケージ化された二本鎖RNA化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または上記および以下に記載される組成物、硝子体内注射に適した少なくとも1つの注射針、ならびに少なくとも1つの注射器を含む。キットのいくつかの実施形態において、注射器は、正確に較正された注射器である。キットのいくつかの実施形態において、針は、硝子体内注射に適した自己密封式の注射針である。キットのいくつかの実施形態において、眼の疾患、眼の障害、または眼の傷害の治療において使用するためのキットは、好適な密封容器内にパッケージ化された二本鎖RNA化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または上記および以下に記載される組成物、硝子体内注射に適した少なくとも1つの自己密封式の注射針、ならびに少なくとも1つの正確に較正された注射器を含む。キットの種々の実施形態において、針は、30ゲージ、31ゲージ、および32ゲージ針から選択される。種々の実施形態において、キットは、二本鎖RNA化合物もしくはその薬学的に許容される塩、または組成物、その投与方法、ならびに政府規制によって必要とされ得る任意の必要とされる安全性および有効性の情報を説明する印刷された情報資料をさらに含む。
【0050】
関連する態様において、患者による使用のためにパッケージ化された、QPI−1007化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、組成物またはキットが提供される。パッケージは、パッケージの内容物を示し、化合物が患者によってどのように使用されるべきか、または使用することができるかに関する、ある特定の情報を提供する、ラベルが付されるか、またはパッケージラベルもしくは挿入物を含んでもよく、例えば、ラベルは、投与情報および/または使用のための指示を含み得る。ある特定の実施形態において、ラベルの内容は、政府機関、例えば、米国食品医薬品局によって定められた形式の注意を有する。ある特定の実施形態において、ラベルは、化合物が、カスパーゼ2の上昇した発現および/もしくは網膜神経節細胞(RGC)のアポトーシスおよび/もしくは視神経傷害に関連している疾患に冒されている患者の治療における使用に適していることを示し得、例えば、ラベルは、化合物が、NAIONもしくは緑内障の治療における使用に適していることを示し得、または例えば、ラベルは、化合物もしくはその薬学的に許容される塩が、眼の神経障害、上昇した眼内圧(IOP)、緑内障、急性閉塞隅角症(AAC)、急性閉塞隅角緑内障(AACG)、原発閉塞隅角症(PAC)、原発閉塞隅角緑内障(PACG)、ドライアイ、シェーグレン症候群、糖尿病性網膜症(DR)、糖尿病黄斑浮腫(DME)、加齢性黄斑変性症(AMD)、視神経炎、網膜中心静脈閉塞症、網膜静脈分枝閉塞症(brunch retinal vein occlusion)、虚血性視神経症、視神経萎縮、視神経傷害、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)、未熟児網膜症(ROP)、網膜色素変性症(RP)、網膜変性症、網膜神経節変性症、黄斑変性症、遺伝性視神経症、レーベル遺伝性視神経症、代謝性視神経症、毒剤による神経障害、すべての続発性緑内障、高眼圧症、正常眼圧緑内障、および薬物有害反応またはビタミン欠乏によって引き起こされる神経障害からなる群から選択される、眼疾患の治療における使用に適していることを示し得る。
【発明を実施するための形態】
【0052】
定義
便宜上、本明細書、実施例、および特許請求の範囲で使用される、ある特定の用語についてここに記載する。
【0053】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明らかに記載しない限り、複数形を含むことに留意されたい。
【0054】
本明細書で使用される場合、数値に関する「約」という用語は、その数値±10%を指す。
【0055】
本明細書で使用される場合、遺伝子発現に関する「阻害する」、「下方制御する」、または「低減する」という用語は、1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニット(例えば、mRNA)をコード化する遺伝子の発現またはRNA分子もしくは等価のRNA分子のレベル、あるいは1つ以上のタンパク質もしくはタンパク質サブユニットの活性が、阻害因子(核酸分子等、例えば、本明細書に記載されるような構造的特徴を有する、例えば、siNA)の不在下で観察されるものよりも低減されることを意味し、例えば、発現は、阻害剤の不在下で観察されるものの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%以下に低減され得る。
【0056】
「ヌクレオチド」は、天然または合成および修飾または非修飾であり得るデオキシリボヌクレオチドおよびリボヌクレオチドを包含することが意図される。ヌクレオチドは、合成である、自然発生である、および自然発生ではない既知のヌクレオチド類似体を含む。そのような類似体の例には、限定することなく、ホスホロチオエート、ホスホラミダイト、メチルホスホネート、キラル−メチルホスホネート、2’−O−メチルリボヌクレオチド、およびペプチド核酸(PNA)が挙げられる。修飾は、オリゴリボヌクレオチド中の糖部分、塩基部分、および、またはリボヌクレオチド間の結合の変化を含む。本明細書で使用される場合、「リボヌクレオチド」という用語は、天然および合成、非修飾および修飾リボヌクレオチドならびに合成である、自然発生である、および自然発生ではないリボヌクレオチド類似体を包含する。修飾は、オリゴヌクレオチ中の糖部分、塩基部分、および/またはリボヌクレオチド間の結合の変化を含む。
【0057】
「鏡像体ヌクレオチド」は、自然発生または一般に使用されるヌクレオチドと逆キラリティーを有するヌクレオチド、すなわち、鏡像体リボヌクレオチドを意味するL−RNAと称される自然発生D−ヌクレオチドの鏡像(L−ヌクレオチド)である。L−リボヌクレオチドまたはL−デオキシリボヌクレオチドは、少なくとも1つの糖、塩基、およびまたは骨格修飾を含み得る。米国特許第6,586,238号を参照されたい。米国特許第6,602,858号は、少なくとも1つのL−ヌクレオチド置換を含む核酸触媒を開示する。鏡像体ヌクレオチドには、例えば、L−DNA(L−デオキシリボアデノシン−3’−リン酸(鏡像体dA)、L−デオキシリボシチジン−3’−リン酸(鏡像体dC)、L−デオキシリボグアノシン−3’−リン酸(鏡像体dG)、L−デオキシリボチミジン−3’−リン酸(鏡像体dT)、およびL−RNA(L−リボアデノシン−3’−リン酸(鏡像体rA)、L−リボシチジン−3’−リン酸(鏡像体rC)、L−リボグアノシン−3’−リン酸(鏡像体rG)、L−リボウリジン−3’−リン酸(鏡像体dU)が挙げられる。
【0058】
眼の疾患
種々の実施形態において、本明細書に提供される二本鎖RNA化合物は、眼の疾患、障害、および傷害に冒されている患者の治療において有用であり、視神経の神経保護は、例えば、これらに限定されないが、NAIONを含むION、緑内障性視神経症を含む緑内障、レーベル遺伝性視神経症(LHON)、またはレーベル視神経萎縮症の治療において有効であり得る。
【0059】
「治療」という用語は、治療処置および予防的もしくは防止的措置の両方を指し、その目的は、上述された関連する眼の障害を防ぐ、遅延させる、または減弱させることである。治療を必要としているものには、既に疾患または状態を経験しているもの、疾患または状態を有する傾向があるもの、および疾患または状態が防がれるべきものが挙げられる。「防止する」、「防ぐこと」、および「予防」という用語は、対象における障害および/またはその付随する症状の発症を遅らせるか、もしくは防ぐ、あるいは対象の障害を得る危険性を低減することを指す。
【0060】
「対象」という用語は、動物、好ましくは、哺乳動物を指し、霊長類(例えば、ヒト、サル、チンパンジー、ゴリラ等)を含み、「対象」および「患者」という用語は、例えば、ヒト患者等の哺乳類対象に関して、本明細書において互換的に使用される。
【0061】
硝子体内注射が、好ましい投与方法であるが、局所的、結膜下、およびテノン嚢下投与を含む、他の様式の投与が企画される。
【0062】
視神経萎縮は、先天性または後天性であり得る。先天性の場合、それは通常、小児期または青年期における悪化の発生を伴う遺伝性である(例えば、レーベル遺伝性視神経症(LHON)またはレーベル視神経萎縮症、優性視神経萎縮症またはKjer型視神経症、および多数のあまり一般的ではない遺伝的関連症候群)。代替的に、先天性視神経萎縮症は、妊娠中、分娩、または出生直後における酸素の欠乏によって引き起こされ得る。妊娠中に服用されるいくつかの薬物もまた、視神経萎縮症に関連している。後天性視神経萎縮症は、眼または視神経への血液供給の減少(前部虚血性視神経症または後部虚血性視神経症)、視神経内の炎症または膨張(視神経炎)、ならびに視神経に対する圧力(腫瘍または緑内障によるもの等)等の複数の病因によって生じる。あまり一般的ではないが、それは、代謝性疾患(例えば、糖尿病)、外傷、または毒性(メタノール、タバコ、または他の毒物によって引き起こされる)にもまた関係し得る。それはまた、ビタミンB12欠乏および骨パジェット病においても見られる。
【0063】
最もよく見られる視神経症は、残存する神経網膜周縁部の著しい蒼白を伴わない視神経頭の特徴的および進行性の陥凹で区別される緑内障性視神経症(緑内障として知られる)である。緑内障性視神経症では、網膜神経節細胞(RGC)が死ぬ。
【0064】
RGC死のプロセスは、損傷開始の原因となる一次的傷害の後に、変性細胞周囲の有害環境に関連する緩徐な二次変性が続く二相性であると考えられる。例えば、上昇した眼内圧による網膜虚血は、最終的に細胞死をもたらす一連の変化を確立し得る。低酸素は、細胞内カルシウムの上昇を生じる興奮毒性レベルのグルタミン酸を引き起こし、それは、アポトーシスまたはネクローシスによる神経細胞死を引き起こす。(Kaushik et al.,Neuroprotection in glaucoma.J Postgrad Med.2003,49(1):90−5)
【0065】
上昇した眼内圧(IOP)(22mmHgまたは2.9kPaを超える)は、緑内障を発病する重要な危険因子である。しかしながら、上昇したIOPに対する視神経の感受性に関して有意な可変性が存在し、相対的に低圧力で神経損傷を発症する患者がいる一方で、他の患者は、何年も高圧力を有することがあっても、決して損傷を発症しない。さらに、IOPを低減することは、一部の危険な状態の個人(例えば、高眼圧症を有するもの)において、緑内障を防ぐことを補助し、また疾患が存在する一部の個人において、緑内障の進行を防ぐが、単純にIOPを低減することは、常に効果的であるとは限らない。その上、適切な降圧を達成することは、難しいか、または有害作用(AE)に関連し得る。一方では、神経保護は、初期の発作の間に残されたが、損傷に対してまだ脆弱である細胞を保つことを試みるプロセスである。未だ利用可能ではないが、神経保護薬はもしかすると、緑内障の進行の抑止において非常に役立ち得る。
【0066】
視神経の低酸素傷害は、緑内障に限定されない。虚血性視神経症(ION)は、視神経の虚血に関連している様々な障害を含む、視神経萎縮の別の重要なサブタイプである。後部虚血性視神経症(PION)は、視神経の眼球後部分への虚血性損傷によって特徴付けられる、稀な病状である。(Hayreh SS.Posterior ischaemic optic neuropathy:clinical features,pathogenesis,and management.Eye.2004,18(11):1188−206)。
【0067】
IONのより一般的な形態である、前部虚血性視神経症(AION)は、後部毛様体動脈を通る血流の妨害の結果であり、視神経頭における視神経軸索の虚血傷害およびその後の網膜神経節細胞の喪失を引き起こす。AIONが、素因になるような解剖所見および心血管系の危険因子を伴う患者において、自然におよび片側性に生じるという事実によって、AIONは、PIONと区別され得る。さらに定義により、IONは、乳頭浮腫が急性的に存在する場合、前部と名付けられる。(Biousse V,Newman NJ.Neuro−Ophthalmology Illustrated.New York,NY:Thieme Medical Publishers;2009)。
【0068】
緑内障に続いて、AIONは、成人での永久的な失明の2番目によく見られる視神経関連の原因である。臨床的に、AIONは、2つのタイプのものである:
【0069】
1.動脈炎性AION(A−AION):重度の視力の喪失を生じ、大および中動脈の肉芽腫(巨細胞)炎症によって特徴付けられ、主に高齢者に発症する全身性障害である、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎とも呼ばれる)を有する患者における視力喪失の主要な原因である。A−AIONは、AIONの全症例中6%未満である。(Miller et al.,Walsh and Hoyt’s Clinical Neuro−Ophthalmology:The Essentials.2ed.Philadelphia,PA:Lippincott Williams&Wilkins;2007)。
【0070】
2.非動脈炎性AION(NAION):「込み入った(crowded)」(すなわち、低い陥凹乳頭径比(cup−to−disc ratio)を有する)視神経乳頭を有する患者において、心血管系の危険因子と一致するAIONのすべての他の症例を含む。NAIONは、突発性の視神経関連の視力喪失の最もよく見られる原因であり、AIONの全症例中95%の原因である。
【0071】
機構的に、NAIONの症例は、大まかに2つの群に分類され得る:
【0072】
後部毛様体動脈またはその小部分の血栓症または塞栓症−これらは、NAIONにおける稀な事象である;
【0073】
視神経頭の血管での一過性の循環不良または循環の停止は、NAIONの最もよく見られる原因である(Hayreh SS.Ischemic optic neuropathy.Prog Retin Eye Res.2009,28(1):34−62)。視神経頭における一過性の循環不良または循環の喪失は、一過性の血圧の低下によって生じ得、それは、かかりやすい人にNAIONをもたらし得る。このAIONの病因において、後部毛様体動脈の実際の閉塞はない。視神経頭の毛細管における局所的な血圧の低下はまた、内頸動脈および/または眼動脈の閉塞もしくは重度の狭小化のいずれかによって、または眼内圧の上昇、あるいはこれらの要因のいくつかの組み合わせによって、引き起こされ得る。視神経頭に対する損傷の重症度は、結果として生じる虚血の範囲および持続期間に左右されるが、通常、血栓症または塞栓症によって引き起こされる損傷よりも大規模ではなく、重度でもない。
【0074】
NAIONは、数人の患者は多少の不快感を経験するが、典型的に、突然の、無痛性の単眼の視力喪失として存在する。失明は、軽度の視力の喪失から完全な盲目まで、広く異なる。視力の悪化は通常、朝起きる際に発見される。(Hayreh et al.,Nonarteritic anterior ischemic optic neuropathy:time of onset of visual loss.Am J Ophthalmol.1997,124(5):641−7)。
【0075】
NAIONにおける視野欠損は、典型的に鼻方向への視力喪失およびあまり見られないが高度喪失(altitudinal loss)の症状を訴える患者に特有である。その後、羞明が、特に、稀な両側性の症例において、多く見られる訴えである。視神経頭が、急性的に浮腫状に現れ、それはこの障害の前部性質を確信させる。乳頭上の出血が、一般的に存在する。
【0076】
50歳以上の個人におけるNAIONの推定平均年間発生率は、100,000人あたり2.30〜10.2人の範囲であり(Johnson LN,Arnold AC.Incidence of nonarteritic and arteritic anterior ischemic optic neuropathy.Population−based study in the state of Missouri and Los Angeles County,California.J Neuroophthalmol.1994,14(1):38−44)、多くの情報源は、NAIONの発生率が米国において約8,000件/年であると見積もっている(Hattenhauer et al.,Incidence of nonarteritic anterior ischemic optic neuropathy.Am J Ophthalmol.1997,123(1):103−7)。NAIONは、すべての年齢の個人に危険性があるが、主に中年および高年齢者の疾患である。これは男性に、および他の人種集団と比較して白人人口により蔓延している。現在、NAIONに対する認可された治療法はない。
【0077】
神経細胞変性のプロセスは、3つのステップで説明され得る:一次の軸索損傷、同時に起きる逆行性の関連神経細胞体の死、およびその後の「二次変性」と呼ばれるプロセスにおける、隣接するニューロンの損傷/死。この二次変性は、最初は損傷されなかったが、一次の軸索の損傷を経験した隣接するニューロンの死の間に放出されるサイトカインに露出するニューロンにおいて生じる。軸索の損傷に続く一次の逆行性細胞死および二次変性の両方は、主にアポトーシス、またはプログラム細胞死によって媒介されると考えられる。したがって、アポトーシスを阻害する形態での治療介入は、一次の軸索の損傷後のニューロンおよび二次変性の結果として失われたそれらを保護するのに効果的であり得る。このストラテジーは、視神経萎縮の上昇を与える根底にある細胞機序(アポトーシス)を遮断することによって、神経細胞の損傷/死を制限するか、または防ぐことを目指すため、疾患の一次的原因が不明の場合であっても、有用であり得る。(Brao−Osuna et al.,New therapeutic systems of neuroprotectors agents in the treatment of glaucoma.Arch Soc Esp Oftalmol.2007,82(4):191−3)。
【0078】
例えば、網膜の中心動脈の閉塞の間に生じる神経節細胞体への直接損傷は、20分という速さで神経の急死をもたらし、それが、そのような難病である理由である。対照的に、NAIONのような軸索形成の疾患(axogenic diseases)における傷害の部位は、軸索であり、そこでは逆行性細胞死のプロセスがはるかに遅い。
【0079】
視神経萎縮は、視神経線維の喪失として定義され、網膜神経節細胞(RGC)の死によって生じる。それらは分裂することができないため、RGCの喪失は、不可逆的な視力の喪失をもたらす。したがって、視神経萎縮をもたらす疾患における神経保護薬を用いる治療介入は、RGCを保ち、それによって視力を保つことができる。
【0080】
緑内障の症例の大多数は、慢性開放隅角緑内障とも呼ばれる、原発開放隅角緑内障POAGとして知られる形態である。POAGは、眼内圧(IOP)をもたらす眼の前房内の水性体液の増大によって生じる。「眼圧測定」検査によって測定され得る上昇したIOPは、眼に進入する体液および眼から退出する不十分な体液によって生じる。通常、体液は、毛様体中の血管の染み出し(seeping out)により眼に進入する。この体液は、瞳孔(虹彩内の中心開口部)を通り、そこで虹彩および角膜が一緒になるように形成される解剖学的な角である虹彩角膜角内に入り、最終的に水晶体を通り抜ける。次いで、体液は、角内の線維柱帯網を通り過ぎ、シュレム管を介して眼から離れる。
【0081】
過剰な体液が眼に進入した場合、または十分な体液が眼から離れないように線維柱帯網の「排出」が詰まった場合(例えば、デブリまたは細胞によって)、「開放隅角緑内障」として知られる状態で、圧力が蓄まる。開放隅角緑内障はまた、虹彩の後方部分が水晶体の前部表面に付着して、「瞳孔ブロック」を作り、眼内の体液が瞳孔を通り過ぎて前房内に入ることを防ぐときにも引き起こされ得る。
【0082】
虹彩と角膜との間の角が狭すぎる、またはさらに閉鎖している場合、次いで、体液は逆流して、「閉塞角緑内障」として知られる状態で上昇した圧力を生じる。
【0083】
急性閉塞隅角緑内障(AACG)(狭隅角緑内障とも呼ばれる)は、緊急治療および確立された解剖病理学を必要とする、急性症状を伴う眼の緊急事態である。AACGは、以下の症状のうちの少なくとも2つとして定義される:眼の痛み、悪心/嘔吐、およびハローを伴う間欠性の視力のぼやけの病歴、ならびに以下の兆候のうちの少なくとも3つ:21mm Hgを超えるIOP、結膜充血、角膜上皮浮腫、中央の散大した非反応性瞳孔、および閉塞の存在下での浅房(shallower chamber)。
【0084】
原発閉塞隅角緑内障(PACG)は、閉塞性の排液角として定義され、緑内障性視神経症の存在によって、末梢性虹彩による線維柱帯の閉塞が生じたことを示すことを特徴とする。
【0085】
未治療の緑内障は、最終的に、視神経萎縮症および盲目を引き起こす。
【0086】
CASP2 二本鎖RNA(dsRNA)QPI−1007
CASP2 dsRNA QPI−1007またはそのナトリウム塩は、カスパーゼ2 mRNA、例えば、ヒトCASP2のmRNAコード配列(配列番号3−5)を標的化する二本鎖(19塩基対二重鎖)の化学修飾された合成RNAであり、以下の二本鎖構造:
5’ iB−GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(センス鎖、配列番号1)
3’ CGGUCUUACACCUUGAGGA 5’(アンチセンス鎖、配列番号2)
を有し、式中、各A、C、U、およびGは、ヌクレオチドであり、各連続したヌクレオチドは、次のヌクレオチドとホスホジエステル結合によって連結され、
該センス鎖は、5’終端から数えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、および19位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチド、18位にL−デオキシシチジン、ならびに逆位デオキシ脱塩基5’キャップ(iB)を含み、
該アンチセンス鎖は、5’終端から数えて、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位に2’−O−メチル糖修飾リボヌクレオチド、ならびに1、3、5、7、9、10、12、14、16、および18位に非修飾リボヌクレオチドを含む。
【0087】
QPI−1007のセンス鎖の5’末端は、ヌクレアーゼ分解に対する抵抗を与えることに加えて、リン酸化されるセンス鎖の5’末端の能力を遮断する、逆位脱塩基デオキシリボース糖を含む。理論に束縛されるものではないが、この修飾は、センス鎖のRNAi媒介活性を防ぐ。さらに、L−DNA部分は、アンチセンス鎖の負荷を支持するように、二重鎖の熱力学的不安定性をRISCへ導入するために、センス鎖の18位に組み込まれた。理論に束縛されるものではないが、QPI−1007のアンチセンス鎖のみが、RNAi活性を誘発することができる。QPI−1007のアンチセンス鎖は、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位に、ヌクレアーゼ耐性をアンチセンス鎖に与え、潜在的シード領域に媒介されるオフターゲットの活性を減弱させ、それにより、その意図される標的であるカスパーゼ2mRNAへのQPI−1007の特異性を向上する、複数の2’−Oメチル(2’−OMe)糖修飾ヌクレオシドを含む(Jackson et al.,Position specific chemical modification of siRNAs reduces"off−target"transcript silencing.RNA.2006,12(7):1197−205)。
【0088】
理論に束縛されるものではないが、これらの化学修飾は、ヌクレアーゼ耐性を与え、センス鎖またはアンチセンス鎖のシード領域のいずれかによって誘発される、望ましくないRNAi活性から生じ得る、潜在的なオフターゲットの活性を緩和する。
【0089】
カスパーゼ2の機能
カスパーゼは、アポトーシスまたはプログラム細胞死において主要な役割を果たすシステインプロテアーゼのファミリーである。12個のヒトカスパーゼが、同定されており、すべて最初は、プロカスパーゼと呼ばれる不活性(チモーゲン)状態で存在する(Logue and Martin,Caspase activation cascades in apoptosis.Biochem Soc Trans.2008,36(Pt 1):1−9)。外部のストレスもしくは死シグナル、または著しい細胞内損傷は、アポトーシスおよびその後のカスパーゼ経路の活性化を誘起し得る(Fan et al.,Caspase family proteases and apoptosis.Acta Biochim Biophys Sin(Shanghai).2005,37(11):719−27)。アポトーシスカスケード、イニシエータ/アクチベータ、およびエクセキューショナーにおいて、カスパーゼの2つの主要なクラスがある。イニシエータは、エクセキューショナーカスパーゼをその活性形態に分裂させるか、またはアポトーシスカスケード中の他のタンパク質を切断し、それはその後、エクセキューショナーカスパーゼ活性化をもたらす。活性化エクセキューショナーは、アポトーシスカスケードを継続させる(Logue and Martin,2008,op.cit;Kumar S.Caspase function in programmed cell death.Cell Death Differ.2007,14(1):32−43)。カスパーゼ2は、最初に同定されたカスパーゼのうちの1つであったが、アポトーシスカスケードにおけるその役割および位置は、未だ議論されている(Logue,2008,ibid.;Troy CM,Shelanski ML.Caspase−2 redux.Cell Death Differ.2003,10(1):101−7)。構造的に、カスパーゼ2は、ニューロンにおいてイニシエータおよびエクセキューショナー活性の両方を有することが示唆されているが、イニシエータとして分類され得る(Fan et al.,2005,ibid;Kumar S.Caspase function in programmed cell death.Cell Death Differ.2007,14(1):32−43;Troy and Shelanski,2003,ibid)。
【0090】
網膜神経節細胞におけるカスパーゼ2の活性化
NAIONにおいて、RGC損傷は、細胞体ではなく、軸索で始まり、(Levin,2007op..cit)、細胞死は、延長され得る(すなわち、数日間にわたって(Slater et al.,Rodent anterior ischemic optic neuropathy (rAION) induces regional retinal ganglion cell apoptosis with a unique temporal pattern.Invest Ophthalmol Vis Sci.2008,49(8):3671−6)。NAION等の虚血性事象におけるRGC死は、主にアポトーシスによる(Katai N,Yoshimura N.Apoptotic retinal neuronal death by ischemia−reperfusion is executed by two distinct caspase family proteases.Invest Ophthalmol Vis Sci.1999,40(11):2697−705;Lam et al.,Apoptosis and caspases after ischemia−reperfusion injury in rat retina.Invest Ophthalmol Vis Sci.1999,40(5):967−75;Singh et al.,Cell−specific caspase expression by different neuronal phenotypes in transient retinal ischemia.J Neurochem.2001,77(2):466−75)。カスパーゼは、アポトーシスにおいて主要な役割を果たし、カスパーゼ2は、網膜の虚血侵襲のラットモデルのRGCにおいて特異的に活性化されることが示された(Singh et al.,2001,ibid;Kurokawa et al.,BDNF diminishes caspase−2 but not c−Jun immunoreactivity of neurons in retinal ganglion cell layer after transient ischemia.Invest Ophthalmol Vis Sci.1999,40(12):3006−11)。一過性全網膜虚血のラットモデルにおいて、汎カスパーゼ阻害剤(Lam et al.,1999,ibid)またはカスパーゼ2特異的阻害剤(Singh et al.,2001,ibid)のIVT投与は、減弱された網膜の損傷をもたらした。
【0091】
RNA干渉経路 RNAiは、植物および動物中に存在する広範な経路であり、ウイルス感染に対する防御として進化してきたと考えられる。しばしば、ウイルスは、複製中に長い二本鎖RNAを生成する。長い二本鎖RNAは、真核細胞の天然成分ではない。「DICER」と呼ばれるリボエンドヌクレアーゼは、長い二本鎖RNAを認識し、小干渉RNA(siRNA)と呼ばれる別々の19〜21塩基対二本鎖RNA産物に切断する。RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる酵素複合体は、DICERによって生成された断片をガイド配列として利用して、負荷されたsiRNAに一致するRNAを探し出して、切断し、それにより、外因的なウイルス性RNAを自己RNAと区別する。
【0092】
合成siRNA
内在性遺伝子の発現を阻害するためのRNAi経路の操作は、FireおよびMelloによって、内在性遺伝子に一致する長い二本鎖RNAトリガーを使用して線虫において示された(Fire et al.,Potent and specific genetic interference by double−stranded RNA in Caenorhabditis elegans.Nature.1998,391(6669):806−11)。そのような長い二本鎖RNAは、DICERによって、これらの形態でsiRNAに処理され、標的遺伝子のサイレンシングをもたらした。しかしながら、哺乳動物におけるこの強力な技術の使用は、長い二本鎖RNAが、インターフェロン経路の誘発をもたらす強力な自然免疫応答を誘発するため、妨害された(Robbins et al.,siRNA and innate immunity.Oligonucl.2009,19(2):89−102)。
【0093】
Elbashirら(RNA interference is mediated by 21−and 22−nucleotide RNAs.Genes Dev.2001,15(2):188−200)は、内在性哺乳類遺伝子に一致する21ヌクレオチド合成siRNA二重鎖を生成し、そのような合成siRNAが、RISCに効率的に負荷し(それにより、DICERプロセスを回避する)、ヒト細胞におけるRNAi媒介遺伝子サイレンシングをもたらしたこと、ならびにこれらの小さい合成オリゴヌクレオチドが、以前に長い二本鎖RNAに見られたような強いインターフェロン応答を開始しなかったことを示した。しかしながら、より最近の研究が、いくつかの合成siRNAが、自然免疫系の成分、特にToll様受容体3を活性化できることを示した(Kleinman,et al.,Sequence−and target−independent angiogenesis suppression by siRNA via TLR3.Nature.2008,452(7187):591−7)。RNA鎖の片方または両方の化学修飾は、免疫系活性化を減弱させる、またはさらに抑止することができる。
【0094】
QPI−1007の薬理学
QPI−1007に対する薬理学プログラムは、カスパーゼ2mRNAのRNAi媒介性減少、カスパーゼ2mRNaの切断(RACEによって示される)、およびオフターゲットの活性の低減された潜在力を示す体外研究、ならびに、i)硝子体内(IVT)投与に続く、RGCにおける蛍光標識siRNAの取り込み、ii)IVT投与後に収集された眼の組織におけるQPI−1007の作用のRNAi媒介機序、iii)3つの動物モデル(緑内障のラット高眼圧症モデル、ならびにNAION、視神経軸索切断、および視神経挫傷モデルにおけるRGC死の特徴である逆行性RGC細胞死の2つのモデル)におけるQPI−1007の有効性を示す動物研究を含んだ。
【0095】
種々の濃度でのヒト(HeLa)およびラット(PC12)細胞内へのQPI−1007siRNAの遺伝子導入に続いて、QPI−1007のRNAi活性を体外で評価した。カスパーゼ2mRNAレベルの用量依存性の減少が、両方の細胞型において観察された。細胞培養系において、意図されない標的を阻害するQPI−1007の潜在力を評価した。データは、実質的なオフターゲット効果を誘発するQPI−1007の潜在力が低いことを示す。
【0096】
逆行性RGC細胞死のラット軸索切断および視神経挫傷(ONC)モデルにおいて、siRNAのIVT投与は、RGCの有意な保護をもたらした。ラット軸索切断モデルにおいて、CASP2 siRNAの2回の10μg/片眼(10マイクログラム/片眼)のIVT投与は、軸索切断2週間後のRGC生存率を2倍以上にした。ラットONCモデルにおけるQPI−1007のIVT投与は、20および35μg/片眼の用量で傷害7日後のRGCの完全な保存となる、用量依存性のRGCの保護をもたらした。緑内障のラット高眼内圧モデルにおいて、上昇した眼内圧の誘発に続く2週間のQPI−1007の単回の20μg/片眼のIVT投与により、RGCの著しい保護が得られた。
【0097】
総じて、非臨床薬理学研究は、様々な体外および体内系におけるQPI−1007の薬理学的活性の証明を提供する。総合すると、これらのデータは、非動脈炎性前部虚血性視神経症および網膜神経節細胞の死を引き起こす他の視神経症等の眼の疾患、障害、および傷害の治療のための神経保護薬としてのQPI−1007の臨床開発を支持する。
【0098】
薬学的組成物、キット、および容器
組成物、キット、容器、および患者に、好ましくは患者の眼に投与するための本明細書に提供される二本鎖RNA化合物を含む製剤が、本明細書に提供される。
【0099】
ある特定の実施形態において、組成物は、麻酔剤と併用して投与される。いくつかの実施形態において、麻酔剤は、ヒトの眼への投与に適した局所麻酔剤である。
【0100】
ある特定の実施形態において、組成物は、広域殺微生物剤と併用して投与される。いくつかの実施形態において、広域殺微生物剤は、広域性の局所殺微生物剤である。種々の実施形態において、広域性の局所殺微生物剤。
【0101】
ある特定の実施形態において、局所麻酔剤および広域性の局所殺微生物剤は、組成物の投与の前に、眼に適用される。
【0102】
ある特定の実施形態において、組成物は、抗菌剤と併用して投与される。種々の実施形態において、抗菌剤は、眼への投与に適した抗菌剤である。種々の実施形態において、抗菌剤は、点眼剤として製剤化される。ある特定の実施形態において、抗菌剤は、組成物の投与に続いて患者に投与される。
【0103】
ある特定の実施形態において、組成物は、広域殺微生物剤、抗菌剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む。
【0104】
本明細書に提供されるように、キットは、少なくとも1つの容器および少なくとも1つのラベルを含んでもよい。好適な容器には、例えば、ボトル、バイアル、注射器、および試験管が挙げられる。容器は、ガラス、金属、またはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、化合物を保持することができる。容器は、代替的に、化合物を含む組成物を保持することができる。
【0105】
キットは、リン酸緩衝食塩水、リンゲル液、および/またはブドウ糖液等の薬学的に許容される緩衝剤を含む第2の容器をさらに含んでもよい。他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、撹拌機、針、注射器、および/または指示および/または使用説明を有するパッケージ挿入物を含む、商業的およびユーザの観点から望ましい他の物質をさらに含んでもよい。
【0106】
中で化合物が使用前にパッケージ化される単位投与量アンプルまたは多用量(multidose)容器は、それらの薬学的に有効な用量または複数の有効な用量に好適な一定量の化合物を封入する密閉容器を含んでもよい。化合物は無菌製剤としてパッケージ化され、密閉容器は、使用するまで製剤の無菌性を保存するように設計される。
【0107】
化合物を含む容器は、ラベルが付されたパッケージをさらに含んでもよく、ラベルは、政府機関、例えば米国食品医薬品局によって指示された形態による通知を有してもよく、通知はヒト投与のためのその中の化合物の製造、使用、および販売の連邦法下での認可を反映する。
【0108】
連邦法は、ヒトの治療における薬学的組成物の使用が、連邦政府の機関によって認可されることを義務付けている。米国において、施行は、21 U.S.C.§301〜392に詳細に記載される、そのような認可を保証するための適切な規則を発布する米国食品医薬品局の責任である。同様の認可が、大部分の諸外国で義務付けられている。規則は国によって異なるが、個々の手段は当業者によく知られており、本明細書に提供される組成物および方法は、好ましくはそれに従う。
実施例
【0109】
さらなる詳細を伴わずに、当業者は上記の説明を用いて本発明を最大限に利用できると考えられる。したがって、以下の好ましい具体的な実施形態は、単に例証的に解釈されるべきであり、いかなる意味でも特許請求される本発明を限定するものではない。
【実施例1】
【0110】
試験化合物
【0111】
試験化合物QPI−1007は、構造:
5’ iB−GCCAGAAUGUGGAACUCCU 3’(センス鎖、配列番号1)
3’ CGGUCUUACACCUUGAGGA 5’(アンチセンス鎖、配列番号2)
を有し、式中、各A、C、U、およびGは、ヌクレオチドであり、各連続したヌクレオチドは、次のヌクレオチドとホスホジエステル結合によって連結され、
該センス鎖は、5’終端から数えて、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、および19位のそれぞれに非修飾リボヌクレオチド、18位にL−デオキシシチジン、ならびに逆位デオキシ脱塩基5’キャップを含み、
該アンチセンス鎖は、5’終端から数えて、2、4、6、8、11、13、15、17、および19位に2’−O−Me(2’−O−メチル、2’メトキシ)糖修飾リボヌクレオチド、ならびに1、3、5、7、9、10、12、14、16、および18位に非修飾リボヌクレオチドを含む、二本鎖RNA化合物のナトリウム塩である。
【0112】
QPI−1007ナトリウム塩の分子式は、C(375) H(439) N(143) Na(37) O(266) P(37)である。
【0113】
QPI−1007ナトリウム塩の分子量は、13,202Daである。
【実施例2】
【0114】
NAION患者におけるQPI−1007のオープンラベルのファースト・イン・ヒューマン第I相臨床試験
【0115】
本研究は、以下に説明される2つの別の層に、最大66人の患者を登録するように設計された。
【0116】
片眼に0.2mgの最初の用量レベルで、層Iの第1のコホートの投与が開始され、その後の層Iコホートは、QPI−1007の漸増用量を受けるように順次補充された(
図1)。この層において、わずか1人の患者が、24時間いつでもQPI−1007を受けた。
【0117】
層Iの1コホートにおける最後の患者へのQPI−1007の投与後に、次のコホートの最初の患者がQPI−1007を受ける前に、7日間の経過観察期間および利用可能な安全データの再調査が必要である。
【0118】
図2は、用量漸増プログラムの概要を説明するフローチャートを提供する。
【0119】
組み入れ基準:患者は、以下の組み入れ基準に適う:
【0120】
層I
【0121】
1.20/200未満もしくはそれと同等の視力、または20度未満に制限された視野の米国の定義を用いて、本研究用の眼(study eye)において「法律上盲目」であること。このレベルの視覚機能は、スクリーニングから最低6カ月前までに安定していなければならない。安定しているとは、同じ視力検査(ETDRSまたはスネレン)を使用する、スクリーニングにおける、および事前に最低6カ月間における、同じ視力スコアとして定義される。
【0122】
2.盲目は、研究用の眼の後区に影響する不可逆的な状態の結果である。これらの状態には、網膜変性症、視神経炎末期緑内障、任意の病因による視神経萎縮、レーベル遺伝性視神経症が挙げられるが、これらに限定されず、スクリーニングの少なくとも2年前に発症する。
【0123】
3.良い眼底検査を可能にするため、中間透光体をクリアにし、適切な瞳孔散大を起こすことが可能である。
【0124】
4.非研究用の眼における視力および視野の両方は、スクリーニングにおける研究用の眼よりも良いかまたは同等である。
【0125】
層II
【0126】
1.QPI−1007の計画された投与の前14日間以内に開始する症状を有するNAIONの陽性診断。
【0127】
NAION診断は、以下のすべてを必要とした:乳頭浮腫、視神経症および−3.0dBよりも劣っているHumphrey SITAスタンダード24−2上の平均偏差と一致する研究用の眼における視野欠損、相対的求心性瞳孔欠損(研究用の眼が、冒された最初の眼である場合)。
【0128】
2.研究用の眼における最良矯正視力スコアは、20/64よりも劣っているかまたは同等であり、光覚弁よりも良いかまたは同等である。
【0129】
3.最良矯正視力および視野は、非研究用の眼は、スクリーニングにおける研究用の眼よりも良いかまたは同等である。
【0130】
試験生成物、用量、および投与方法:
試験生成物:QPI−1007の医薬品有効成分は、カスパーゼ2mRNAを標的化する二本鎖(19−塩基対)の化学修飾された合成siRNAのナトリウム塩である。QPI−1007は、医薬品適正製造基準(Good Manufacturing Practices)(GMP)に従って製造された。
【0131】
薬物製品である、「QPI−1007注射」は、リン酸緩衝食塩水中で60mg/mLで製剤化される防腐剤無添加の無菌液である。QPI−1007は、アルミニウムのフリップオフオーバーシール付きのテフロン加工されたブチルゴム栓で密封された2mLのI型ガラスバイアルのIVT注射に無菌液として供給された。各バイアルは、単回使用を目的とし、手順書によって定義される濃度を投与するのに十分な量を含有する。適正な量の希釈剤を用いて、QPI−1007を標的濃度に希釈した。目的とする用量レベルによって、調製される最終濃度を決定した。
【0132】
QPI−1007注射を2〜8℃で冷蔵保管し、光から保護した。使用前に溶液を室温に温めた。
【0133】
投与方法
本研究において、QPI−1007は、硝子体内(IVT)注射を介して投与された。IVT注射によって送達される補正濃度を達成するために、眼内への注射に適した無菌生理食塩水でQPI−1007を希釈した。
【0134】
無菌技術を使用して、投与のための準備を完了した。無菌手袋、無菌ドレープ、および無菌開瞼器(または同等物)の使用が含まれる、制御された無菌状態下でIVT注射手順を実施した。注射の前に、適切な局所麻酔剤および広域性の局所殺微生物剤を投与した。
【0135】
IVT注射後、眼内圧の上昇、減少された視神経頭潅流、および可能性のある注射合併症(硝子体出血、網膜裂孔)に関して患者を監視した。加えて、患者は、眼の痛み、膨張、発赤、濁り、直後の視力の漸進的な喪失等の眼内炎を示唆する任意の症状を報告しなければならなかった。
【0136】
患者は、QPI−1007の投与後、抗菌剤の点眼剤を処方された。
【0137】
IVT注射手順の詳細なガイドラインは、当技術分野で知られている(Aiello,et al.,Evolving guidelines for intravitreous injections.Retina.2004,24(5 Suppl):S3−19;Brucker(Brucker AJ.Maximizing the Safety of Intravitreal Injections.Medscape Ophthalmology[Internet].2006 7(2))。
【0138】
投与
【0139】
層I:表1の以下のスケジュールに従って、各コホートの患者に単回IVT注射としてQPI−1007を投与した。
【0140】
【表1】
層II:表2の以下のスケジュールに従って、各コホートの患者に単回IVT注射としてQPI−1007を投与した。
【表2】
治療および経過観察の持続期間:
【0141】
層I
【0142】
層Iにおいて、すべてのスクリーニング手順を、QPI−1007のIVT注射前28日以内に実施した(研究0日目に)。
【0143】
スクリーニングにおいて、患者は、最良矯正視力(BCVA)評価、視野評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査、眼底撮影(FP)、ならびに斑の、および乳頭周囲の網膜神経線維層の光干渉断層撮影(OCT)を含む、眼部評価(両眼)を受けた。
【0144】
研究0日目のQPI−1007のIVT注射の前に、患者は、両眼のBCVA評価および眼圧測定を受けた。IVT注射後30分間、眼内圧を判定するための眼圧測定によって、ならびに視神経潅流の状態を判定し、任意の網膜出血または裂傷を調べるための細隙/検眼鏡によって、患者の研究用の眼を検査した。イベントのスケジュール通りに、診療所にて注射後4時間患者を監視した。患者は、BCVA評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査、および後区の細隙灯/検眼鏡検査を含む両眼の安全評価のために、IVT注射の翌日(研究1日目)に、診療所に戻った。
【0145】
QPI−1007のIVT注射後、研究7日目、14日目、および28日目、ならびに研究8週目および12週目に、患者は、BCVA評価、眼圧測定、ならびに前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査を含む眼部評価(両眼)を受けた。さらに、患者は、研究12週目のみ、視野評価、斑のおよび乳頭周囲の網膜神経線維層の、FPおよびOCTを受けた。
【0146】
QPI−1007のIVT注射後、研究6カ月目および12カ月目に、経過観察の通院が生じる。患者は、BCVA評価、眼圧測定、ならびに前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査を含む、眼部評価(両眼)を受けた。
【0147】
バイタルサインの評価、臨床検査、身体検査、有害事象(AE)の収集、および併用薬物の再調査による研究の間、患者の安全性を監視した。
【0148】
層II
【0149】
層IIにおいて、すべてのスクリーニング手順を、QPI−1007のIVT注射前48時間以内に実施し(研究0日目に)、IVT注射と同じ日に行った。患者は、NAION症状の発症からわずか14日間にQPI−1007注射を受けた。
【0150】
スクリーニングにおいて、患者は、BCVA評価、視野評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査、斑の、および乳頭周囲の網膜神経線維層のFPおよびOCTを含む、眼部評価(両眼)を受けた。
【0151】
研究0日目のQPI−1007のIVT注射の前に、患者は、眼圧測定(両眼)を受けた。IVT注射後30分間、眼内圧を判定するための眼圧測定によって、ならびに視神経潅流の状態を判定し、任意の網膜出血または裂傷を調べるための細隙/検眼鏡によって、患者の研究用の眼を検査した。イベントのスケジュール通りに、診療所にてIVT注射後4時間患者を監視した。患者は、BCVA評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査、および後区の細隙灯/検眼鏡検査を含む両眼の安全評価のために、IVT注射の翌日(研究1日目)に、診療所に戻った。
【0152】
QPI−1007のIVT注射後、研究7日目、14日目、および28日目、ならびに研究8週目および12週目に、患者は、BCVA評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査、斑のおよび乳頭周囲の網膜神経線維層の、FPおよびOCTを含む眼部評価(両眼)を受けた。さらに、研究7日目および28日目、ならびに研究12週目に、患者は、視野評価を受けた。
【0153】
QPI−1007のIVT注射後、研究6カ月目および12カ月目に、経過観察の通院が生じる。患者は、BCVA評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査、斑のおよび乳頭周囲の網膜神経線維層の、FPおよびOCTを含む、眼部評価(両眼)を受けた。さらに、研究6カ月目のみ、患者は、視野評価を受けた。
【0154】
バイタルサインの評価、臨床検査、身体検査、AEの収集、および併用薬物の再調査を含む研究評価が挙げられるが、これらに限定されない研究の間、継続的に、患者の安全性を監視した。
【0155】
眼部評価
層Iに登録された患者の両眼に対して、以下の眼部評価を実施した:
【0156】
スクリーニングにおいて、ならびに研究0日目(事前注射、スクリーニング評価が48時間よりも前に行われた場合)、1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、4メートルの位置で開始されるETDRSチャートを使用して、最良矯正視力(BCVA)を評価した。
【0157】
スクリーニングにおいて、および研究12週目/終了時点に、SITA標準アルゴリズムを使用して視野を評価した。
【0158】
可能なときに、瞳孔散大を伴わずに眼の前区の細隙灯検査を実施した。スクリーニングにおいて、ならびに研究1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、前房、眼瞼、結膜、虹彩、水晶体、および角膜の任意の異常性を記録した。任意の前房炎症、有水晶体状態、および水晶体後嚢状態が指摘された。
【0159】
ゴールドマン圧平眼圧測定を使用して、スクリーニングにおいて、ならびに研究0日目(事前注射)、1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、眼内圧(IOP)を測定した。可能なときに、瞳孔散大の前に眼圧測定を実施した。
【0160】
スクリーニングにおいて、ならびに研究1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、瞳孔散大後、眼の後区の細隙灯/検眼鏡検査を実施し、硝子体、視神経頭、斑状および周辺の網膜、ならびに眼底を検査した。任意の硝子体の炎症が指摘された。
【0161】
スクリーニングおよび研究12週目/終了時点のみにおいて、眼底写真を得た。
【0162】
スクリーニングおよび研究12週目/終了時点のみにおいて、斑のおよび乳頭周囲の網膜神経線維層の光干渉断層撮影を得た。
【0163】
さらに、層Iに登録された患者に対して、研究0日目の注射後30分のみ、研究用の眼において以下の眼部評価を実施した:前区の細隙灯検査、後区の細隙灯/検眼鏡検査、ゴールドマン圧平眼圧測定によって測定されるIOP。
【0164】
層IIに登録された患者の両眼に対して、以下の眼部評価を実施した:
【0165】
スクリーニングにおいて、ならびに研究1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、4メートルの位置で開始されるETDRSチャートを使用して、最良矯正視力(BCVA)を評価した。
【0166】
スクリーニング、研究7日目および28日目、研究12週目/終了時点、ならびに研究6か月目において、視野を評価した。
【0167】
可能なときに、瞳孔散大を伴わずに眼の前区の細隙灯検査を実施した。スクリーニングにおいて、ならびに研究1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、前房、眼瞼、結膜、虹彩、水晶体、および角膜の任意の異常性を記録した。任意の前房炎症、有水晶体状態、および水晶体後嚢状態が指摘された。
【0168】
ゴールドマン圧平眼圧測定を使用して、スクリーニングにおいて、ならびに研究0日目(事前注射)、1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、眼内圧(IOP)を測定した。可能なときに、瞳孔散大の前に眼圧測定を実施した。
【0169】
スクリーニングにおいて、ならびに研究1日目、7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、瞳孔散大後、眼の後区の細隙灯/検眼鏡検査を実施し、硝子体、視神経頭、斑状および周辺の網膜、ならびに眼底を検査した。任意の硝子体の炎症が指摘された。
【0170】
スクリーニングにおいて、ならびに研究7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、眼底写真を得た。
【0171】
スクリーニングにおいて、ならびに研究7日目、14日目、および28日目、研究8週目および12週目/終了時点、ならびに研究6カ月目および12カ月目に、斑のおよび乳頭周囲の網膜神経線維層の光干渉断層撮影を得た。
【0172】
さらに、層IIに登録された患者に対して、研究0日目の注射後30分のみ、研究用の眼において以下の眼部評価を実施した:前区の細隙灯検査、後区の細隙灯/検眼鏡検査、ゴールドマン圧平眼圧測定を使用して測定されるIOP。
【表3】
1 事前注射のみ−スクリーニングをQPI−1007注射の48時間以内に行った場合、繰り返さない
2 事前注射、注射後30分および4時間
3 注射後30分(研究用の眼のみ)
4 事前注射(両眼)、および注射後30分(研究用の眼のみ)
5 事前注射、注射後1および4時間
6 注射後24時間
7 各コホートの最初の3人の患者に対してのみ
【表4】
1 スクリーニングおよび研究0日目が同じ日であり得る
2 事前注射、注射後30分および4時間
3 注射後30分(研究用の眼のみ)
4 事前注射(両眼)、および注射後30分(研究用の眼のみ)
5 事前注射、注射後1および4時間
6 注射後24時間
7 各コホートの最初の3人の患者に対してのみ
【0173】
結果:
1年間、2層の、第I相多施設オープンラベルの用量漸増研究において、網膜のまたは視神経の病態による長期にわたる視力低下を有する対象および急性NAIONを有する対象を研究し、カスパーゼ2の発現を阻害する合成化学修飾siRNAである、QPI−1007の単回IVT注射後の安全性、認容性、および構造的および機能的変化を判定した。
【0174】
20/200以下の視力(VA)を有する低視力対象(層I)ならびに20/40以下、および治験薬注射の前28日以内に発症した症状を有するNAION対象(層II−S2)を、それぞれ6コホート(0.2〜6mg)ならびに3コホート(1.2、2.4、および6mg)に登録した。単回IVT注射を受けた後、1、7、14、28日目、および2、3、6、12カ月目に、VA、視野(VF)、および網膜の神経線維層(RNFL)厚に関して、対象を評価した。
【0175】
48人の対象(18人の低視力、30人のNAION)を登録した。最後に登録されたコホート(S2、6mg)の最終経過観察通院(12カ月目)を除いて、すべての対象の予定された通院が完了している。3カ月目(n=48)、6カ月目(n=48)、および12カ月目(n=38)までに、両方の層から利用可能なデータを分析した。273件の有害事象(AE)のうち261件は、軽度から中等度の重症度のものであった。重篤AEはなかった。最もよく見られたAEは、結膜出血(n=29)、結膜浮腫(n=11)、および眼痛(n=11)であった。カルテ上の(on−chart)VAを有するS2の28人のNAION対象の間で、最大VA増加は、2カ月目であった(平均±SD:16.4±10.4文字)。3カ月目および6カ月目に3ライン以上改善するS2の対象の割合(
図1)は、Ischemic Optic Neuropathy Decompression Trial IONDT)歴史的対照(それぞれ、p=0.2および0.5;フィッシャーの正確確率検定)の39.7%(n=48)および42.6%(n=52)と比較して、53.6%(n=15)および50.0%(n=14)であった[Ischemic Optic Neuropathy Decompression Trial,Arch Ophthalmol.2000;118(6):793−797]。IONDT歴史的対照における、それぞれ3カ月目、6カ月目、および12カ月目の9.1%(n=11)、14.8%(n=18)、および15.8%(n=18)と比較して、利用可能な経過観察データを有するすべてのS2対象の、どの対象もVAの3ライン以上を失わなかった。VF平均欠損は、ベースラインに匹敵した。RNFL厚の減少は、歴史的対照と類似していた[Contreras et al.,2007]。
【0176】
結論
QPI−1007の単回IVT注射は、長期にわたる視力低下または急性NAIONを有する対象において良い耐容性を示した。同様の初期疾患重症度を有する未治療のNAION患者について公開された歴史的データと比較して、QPI−1007の単回IVT注射によって治療された患者はさらなる視力の喪失から保護された。
【実施例3】
【0177】
硝子体内注射によって急性非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)を有する患者に送達されるQPI 1007の第II相中心的無作為化二重盲検シャム対照試験
【0178】
研究設計:
これは、二重盲検の無作為化されたシャム対照の有効性および安全性研究である。本研究は、最大240人の急性NAIONを有する患者を登録する。患者は、1:1:1の比率で、3つの群のうちの1つに無作為化される。2つの群は、QPI−1007を用いた治療を受け、第3の群は、シャム注射を受ける。
【0179】
治療群のうちの1つに無作為化された患者は、無作為化の日、ならびに研究1カ月目、2カ月目、3カ月目、4カ月目、および5カ月目に、研究用の眼にQPI−1007の2.4mgまたは6.0mgのいずれかの毎月の硝子体内注射を受ける。対象は、ベースライン(0日目)BCVAスコア(20/64超および20/64以下)によって、および領域によって、層別化される。シャム対照群に無作為化された患者は、無作為化の日、ならびに研究1カ月目、2カ月目、3カ月目、4カ月目、および5カ月目に、研究用の眼にシャム注射を受ける。治療群に対して患者、技師、および研究者を遮蔽する。注射医師のみが遮蔽されないが、注射直後の患者評価以外の患者評価には関与しない。
【0180】
12カ月目の最終経過観察の通院を含む6か月間、患者を毎月経過観察する。研究手順は、以下のイベントのスケジュール表に記載される。
【0181】
組み入れ基準:
患者は、以下の組み入れ基準に適わなければならない:
【0182】
1.QPI−1007の計画された投与の前28日以内に開始する症状を有する非動脈炎性AION(NAION)の陽性診断。NAION診断は、以下のすべてを必要とした:乳頭浮腫、視神経症および−3.0dBよりも劣っているHumphrey SITAスタンダード24−2上の平均偏差と一致する研究用の眼における視野欠損、ならびに相対的求心性瞳孔欠損(研究用の眼が、冒された最初の眼である場合)。
【0183】
2.研究用の眼における最良矯正視力スコアは、ETDRSチャート上で測定される、20/20よりも劣っているかまたは同等および20/400よりも良いかまたは同等のスネレン等価視力である。
【0184】
3.スクリーニングにおいて50歳またはそれ以上である。
【0185】
4.良い眼底検査を可能にするため、中間透光体をクリアにし、適切な瞳孔散大を起こすことが可能である。
【0186】
5.インフォームドコンセントの記入が可能である。
【0187】
6.研究手順および経過観察の通院を含む通院スケジュールに自発的に従うことが可能である。
【0188】
7.女性患者は、(1)閉経期後である、(2)外科的に不妊である、または(3)QPI−1007の投与の前48時間以内に陰性妊娠反応を有し、研究6カ月目の通院まで続けられる効果的な避妊法を使用していなければならない。出産の可能性がある女性のパートナーがいる男性患者は、研究6カ月目の通院まで続けられる効果的な避妊法の使用に同意しなければならない。注記:本研究の目的に対し、閉経期後とは、少なくとも1年間月経がなく、20IU/L以上の血清FSHレベルとして定義される。研究者は、閉経期後の状態を証明するために血清FSHレベルが必要とされるかどうか、判定することができる。ある女性は、QPI−1007の投与の少なくとも6か月前に両側の卵管結紮、両側の卵巣摘出、または完全子宮摘出を行っていた場合、外科的に不妊化されると考えられる。避妊の効果的方法には、以下のうちの1つの使用が挙げられる:QPI−1007の投与前少なくとも3カ月間に安定した用量でのホルモン避妊薬(経口、植込錠、経皮吸収パッチ、または注射)、バリア(殺精子薬を伴うコンドーム、殺精子薬を伴うダイアフラム)、IUD、またはQPI−1007の投与前少なくとも6カ月間に精管切除された男性患者/パートナー。
試験生成物、用量、および投与方法
QPI−1007は、カスパーゼ2mRNAを標的化する二本鎖(19−塩基対)の化学修飾された合成siRNAであり、カスパーゼ2の発現を一時的に阻害するように設計される。QPI−1007は、2mLのI型ガラスバイアルのIVT注射に無菌液として供給される。適正な量の希釈剤を用いて、薬物製品を標的濃度に希釈する。QPI−1007は、IVT注射として投与される。すべてのIVT注射は、同じ量の注射(100μl)である。本研究において、行われる基準治療はない。
【0189】
治療および経過観察の持続期間
患者は、NAION症状の発症からわずか28日間に最初のQPI−1007注射を受けなければならない。両眼がNAIONを有しており、研究登録に適格である場合、より悪いVAを有する眼が、研究用の眼として選択される。両眼が同じVAを有する場合、患者によって選択され、研究者によって同意された眼が、研究用の眼として指定される。
【0190】
スクリーニングにおいて、患者は、BCVA評価、視野評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査、斑の、および乳頭周囲の網膜神経線維層の眼底写真(FP)およびSD−OCTを含む、眼部評価(両眼)を受ける。
【0191】
以下のイベント表に記載されるように、QPI−1007のIVT注射前に、患者は、BCVA評価および眼圧測定(両眼)、ならびに包括的な前部および後区の眼検査を受ける。IVT注射の直後、患者の注射された眼は、視神経頭潅流に関して検査される。IVT注射後30分以内に、眼内圧を判定するための眼圧測定によって、ならびに視神経潅流の状態を判定し任意の網膜出血または裂傷を調べるための細隙/検眼鏡によって、患者の研究用の眼を検査する。イベントのスケジュール通りに、診療所にてIVT注射後最大4時間患者を監視する。
【0192】
研究7日目、ならびに研究1、2、3、4、6、および12カ月目に、患者は、BCVA評価、眼圧測定、前区の細隙灯検査および後区の細隙灯/検眼鏡検査を含む眼部評価(両眼)を受ける。さらに、研究0日目、ならびに研究3、6、および12カ月目に、患者は、FP、色覚検査、コントラスト感度検査、ならびに斑の、および乳頭周囲の網膜神経線維層のSD−OCTを受ける。研究0日目、ならびに研究6および12カ月目に、患者は、視野評価を受ける。
【0193】
評価のため、SD−OCTおよび視野評価を中央読み取りセンターに送る。
【0194】
バイタルサインの評価、臨床検査、身体検査、および報告されるAEの収集、および併用薬物の再調査を含む研究評価が挙げられるが、これらに限定されない研究の間、継続的に、患者の安全性を監視する。
【表5】
【0195】
結果:本研究において得られる結果に従って、QPI−1007の毎月の複数回IVT注射が、急性NAIONを有する対象において、耐容性がよい。同様の初期疾患重症度を有する未治療のNAION患者について公開された歴史的データと比較して、QPI−1007の毎月の複数回IVT注射によって治療される患者はさらなる視力の喪失から保護される。
【0196】
上述の実施例は、本発明の実施形態を実施する特定の方法を例示説明したが、実際には、当業者は、本明細書に明示的に示されない、本発明の実施形態を実施する代替の方法を理解されよう。本開示は、本発明の原理の例証として見なされ、本発明を例示説明される実施形態に限定するとは意図されないことを理解されたい。
【0197】
当業者は、通例の実験法を使用して、本明細書に記載される本発明の特定の実施形態の同等形態を理解するであろう、または確認することが可能であろう。そのような同等形態は、以下の特許請求の範囲によって包含されると意図される。