(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
金属部材の表面にパルス発振のレーザー光を該金属部材の表面に沿う第1の方向に走査しながら照射することにより、上記金属部材の表面を上記第1の方向に交差する該金属部材の表面に沿う第2の方向に所定ピッチで1走査単位ずつ処理して、上記金属部材の表面に該金属部材からなる複数の粒状体の堆積構造を形成する堆積構造形成工程と、
上記堆積構造にエラストマー組成物を配置した後に、該エラストマー組成物を加熱及び加圧することにより、上記堆積構造に該エラストマー組成物を食い込ませると共に該エラストマー組成物を架橋して、上記堆積構造に接合されたエラストマー部材を形成する接合成形工程とを備えるエラストマー−金属複合体の製造方法であって、
上記堆積構造形成工程では、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであり、上記金属部材の表面に集光したスポット直径が30μm〜60μmであり、パルス間隔が上記スポット直径の0.1倍〜0.4倍であり、上記所定ピッチが上記スポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように、上記レーザー光を照射することにより、互いに直径の異なる上記複数の粒状体が不規則に積み重なった上記堆積構造を形成することを特徴とするエラストマー−金属複合体の製造方法。
金属部材の表面にパルス発振のレーザー光を該金属部材の表面に沿う第1の方向に走査しながら照射することにより、上記金属部材の表面を上記第1の方向に交差する該金属部材の表面に沿う第2の方向に所定ピッチで1走査単位ずつ処理して、上記金属部材の表面に該金属部材からなる複数の粒状体の堆積構造を形成する堆積構造形成工程と、
上記堆積構造に溶融したエラストマー組成物を圧入した後に、該エラストマー組成物を架橋することにより、上記堆積構造に接合されたエラストマー部材を形成する圧入架橋工程とを備えるエラストマー−金属複合体の製造方法であって、
上記堆積構造形成工程では、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであり、上記金属部材の表面に集光したスポット直径が30μm〜60μmであり、パルス間隔が上記スポット直径の0.1倍〜0.4倍であり、上記所定ピッチが上記スポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように、上記レーザー光を照射することにより、互いに直径の異なる上記複数の粒状体が不規則に積み重なった上記堆積構造を形成することを特徴とするエラストマー−金属複合体の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された金属表面のレーザー加工方法では、互いに異なる走査方向にレーザースキャニング加工を実施することになるので、レーザー加工により粗面化された金属表面に方向性が発現するおそれがある。そうなると、その金属表面に接合したエラストマー部材は、一方の走査方向に沿って相対的に高い接合強度を有すると共に、他方の走査方向に沿って相対的に低い接合強度を有することになり易いので、接合強度の面内異方性が顕著になってしまう。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、エラストマー−金属複合体において、エラストマー−金属の接合強度の面内異方性を抑制して、エラストマー−金属の接合強度を確保することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るエラストマー−金属複合体は、金属部材と、上記金属部材の表面に接合されたエラストマー部材とを備えたエラストマー−金属複合体であって、上記金属部材における上記エラストマー部材が接合された表面は、パルス発振のレーザー光が照射されて溶融した該金属部材の一部が飛散して凝固することにより形成された、直径が1μm以上100μm以下で且つ該直径が互いに異なる複数の粒状体が混在して積み重なった堆積構造を有し
、上記堆積構造は、平面視で互いに対向する一対の辺を有し、上記堆積構造の上記一対の辺の一方に沿う端部における上記複数の粒状体は、上記堆積構造の上記一対の辺の他方に沿う端部における上記複数の粒状体よりも多くなっていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係るエラストマー−金属複合体は、金属部材と、上記金属部材の表面に接合されたエラストマー部材とを備えたエラストマー−金属複合体であって、上記金属部材における上記エラストマー部材が接合された表面は、パルス発振のレーザー光が照射されて溶融した該金属部材の一部が飛散して凝固することにより形成された、直径が1μm以上100μm以下で且つ該直径が互いに異なる複数の粒状体が混在して積み重なった堆積構造を有し、上記堆積構造は、平面視で円形状に形成され、上記堆積構造の径方向の一方の端部における上記複数の粒状体は、上記堆積構造の径方向の他方の端部における上記複数の粒状体よりも多くなっていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、金属部材と、その金属部材の表面に接合されたエラストマー部材とを備えたエラストマー−金属複合体において、エラストマー部材が接合された金属部材の表面は、粒状体の堆積構造を有している。ここで、堆積構造は、パルス発振のレーザー光が照射されて溶融した金属部材の一部が飛散して凝固することにより形成された、直径が1μm以上100μm以下で且つ直径が互いに異なる複数の粒状体が混在して積み重なって構成されているので、金属部材の表面に積み重なった複数の粒状体の一部の集合とエラストマー部材との局所的な接合が金属部材の接合表面全体に不規則(ランダム)に配置する。これにより、エラストマー−金属複合体において、金属部材とエラストマー部材との接合強度を金属部材の接合表面に沿う全方向で揃えることができるので、エラストマー−金属の接合強度の面内異方性を抑制して、エラストマー−金属の接合強度を確保することができる。
【0010】
また、上記の構成によれば、堆積構造が1μm以上100μm以下の直径を有する複数の粒状体を混在してなるので、金属部材とエラストマー部材とを確実に接合することができる。ここで、粒状体の直径が1μmよりも小さい場合には、堆積構造を構成する凹凸が小さくなるので、金属部材とエラストマー部材との接合強度が小さくなる傾向がある。また、粒状体の直径が100μmよりも大きい場合には、堆積構造を構成する凹凸の個数が少なくなるので、金属部材とエラストマー部材との接合強度が小さくなる傾向がある
。
【0011】
また、上記構成によれば、堆積構造を形成する領域(堆積構造形成領域)において、例えば、最初の走査ラインでは、金属部材の表面の金属がパルス発振のレーザー光の照射により溶融し、溶融した金属の一部が走査ライン周辺に飛散し、飛散した先で粒状体として堆積する。引き続き、次の走査ラインでパルス発振のレーザー光を照射する際に、その走査ライン上に粒状体が存在すると、金属部材の表面の金属及び/又は粒状体が溶融し、一部が飛散し、飛散した先で粒状体として堆積する。このようなパルス発振のレーザー光の照射が繰り返されることにより、堆積構造が形成される。そして、堆積構造形成領域において、最後の走査ラインでは、金属部材の表面の金属及び/または粒状体が溶融し、一部が飛散する状態となるので、他の走査ラインに比べて粒状体の堆積が少ない状態(粒状体の堆積構造が占める割合より、溶融凝固した構造が占める割合が大きい状態)となる。つまり、最後の走査ライン(最後のパルス発振のレーザー光の照射)以外では、堆積構造が十分に形成されているので、エラストマー部材と金属部材との接合が良好となる。ここで、本発明では、レーザー光の照射により形成される溝がエラストマー部材と金属部材との接合に寄与するものではなく、粒状体の堆積構造がエラストマー部材と金属部材との接合に寄与している、と推測する。
【0012】
上記金属部材は、アルミニウム合金又は鉄合金により構成され、上記エラストマー部材は、含フッ素エラストマー組成物により構成されていてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、金属部材がアルミニウム合金又は鉄合金により構成され、エラストマー部材が含フッ素エラストマー組成物により構成されているので、一般的に接着剤で接着し難い含フッ素エラストマー組成物からなるエラストマー部材であっても、アルミニウム合金又は鉄合金からなる金属部材に強固に接合することができる。
【0014】
また、本発明に係るエラストマー−金属複合体の製造方法は、金属部材の表面にパルス発振のレーザー光を該金属部材の表面に沿う第1の方向に走査しながら照射することにより、上記金属部材の表面を上記第1の方向に交差する該金属部材の表面に沿う第2の方向に所定ピッチで1走査単位ずつ処理して、上記金属部材の表面に該金属部材からなる複数の粒状体の堆積構造を形成する堆積構造形成工程と、上記堆積構造にエラストマー組成物を配置した後に、該エラストマー組成物を加熱及び加圧することにより、上記堆積構造に該エラストマー組成物を食い込ませると共に該エラストマー組成物を架橋して、上記堆積構造に接合されたエラストマー部材を形成する接合成形工程とを備えるエラストマー−金属複合体の製造方法であって、上記堆積構造形成工程では、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであり、上記金属部材の表面に集光したスポット直径が30μm〜60μmであり、パルス間隔が上記スポット直径の0.1倍〜0.4倍であり、上記所定ピッチが上記スポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように、上記レーザー光を照射することにより、互いに直径の異なる上記複数の粒状体が不規則に積み重なった上記堆積構造を形成することを特徴とする。
【0015】
上記の方法によれば、堆積構造形成工程において、金属部材の表面に対し、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであるパルス発振のレーザー光を30μm〜60μmのスポット直径に集光し、パルス間隔がスポット直径の0.1倍〜0.4倍であるように第1の方向に走査し、第2の方向への所定ピッチ(走査間隔)がスポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように走査する。これにより、レーザー光の照射により溶融した金属部材の一部が周りにランダムに飛散して凝固することにより、複数の粒状体が不規則に積み重なった堆積構造を形成することができる。その後、接合成形工程において、堆積構造が形成された金属部材の表面にエラストマー組成物を未架橋状態又は半架橋状態で配置した後に、そのエラストマー組成物を加熱及び加圧することにより、堆積構造にエラストマー組成物を食い込ませると共にエラストマー組成物を架橋して、堆積構造に接合されたエラストマー部材を形成する。そのため、金属部材の表面に積み重なった複数の粒状体の一部の集合とエラストマー部材との局所的な接合が金属部材の接合表面全体に不規則(ランダム)に配置する。これにより、金属部材とエラストマー部材との接合強度を金属部材の接合表面に沿う全方向で揃えることができるので、エラストマー−金属複合体において、エラストマー−金属の接合強度の面内異方性を抑制して、エラストマー−金属の接合強度を確保することができる。
【0016】
また、本発明に係るエラストマー−金属複合体の製造方法は、金属部材の表面にパルス発振のレーザー光を該金属部材の表面に沿う第1の方向に走査しながら照射することにより、上記金属部材の表面を上記第1の方向に交差する該金属部材の表面に沿う第2の方向に所定ピッチで1走査単位ずつ処理して、上記金属部材の表面に該金属部材からなる複数の粒状体の堆積構造を形成する堆積構造形成工程と、上記堆積構造に溶融したエラストマー組成物を圧入した後に、該エラストマー組成物を架橋することにより、上記堆積構造に接合されたエラストマー部材を形成する圧入架橋工程とを備えるエラストマー−金属複合体の製造方法であって、上記堆積構造形成工程では、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであり、上記金属部材の表面に集光したスポット直径が30μm〜60μmであり、パルス間隔が上記スポット直径の0.1倍〜0.4倍であり、上記所定ピッチが上記スポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように、上記レーザー光を照射することにより、互いに直径の異なる上記複数の粒状体が不規則に積み重なった上記堆積構造を形成することを特徴とする。
【0017】
上記の方法によれば、堆積構造形成工程において、金属部材の表面に対し、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであるパルス発振のレーザー光を30μm〜60μmのスポット直径に集光し、パルス間隔がスポット直径の0.1倍〜0.4倍であるように第1の方向に走査し、第2の方向への所定ピッチ(走査間隔)がスポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように走査する。これにより、レーザー光の照射により溶融した金属部材の一部が周りにランダムに飛散して凝固することにより、複数の粒状体が不規則に積み重なった堆積構造を形成することができる。その後、圧入架橋工程において、堆積構造に溶融したエラストマー組成物を圧入した後に、そのエラストマー組成物を架橋することにより、堆積構造に接合されたエラストマー部材を形成する。そのため、金属部材の表面に積み重なった複数の粒状体の一部の集合とエラストマー部材との局所的な接合が金属部材の接合表面全体に不規則(ランダム)に配置する。これにより、金属部材とエラストマー部材との接合強度を金属部材の接合表面に沿う全方向で揃えることができるので、エラストマー−金属複合体において、エラストマー−金属の接合強度の面内異方性を抑制して、エラストマー−金属の接合強度を確保することができる。
【0018】
上記金属部材は、アルミニウム合金又は鉄合金により構成され、上記エラストマー組成物は、含フッ素エラストマー組成物であってもよい。
【0019】
上記の方法によれば、金属部材がアルミニウム合金又は鉄合金により構成され、エラストマー組成物が含フッ素エラストマー組成物であるので、一般的に接着剤で接着し難い含フッ素エラストマー組成物からなるエラストマー部材であっても、アルミニウム合金又は鉄合金からなる金属部材に接着剤を介さなくても強固に接合することができる。
【0020】
上記第1の方向は、上記金属部材の表面において、直線状に延びていてもよい。
【0021】
上記の方法によれば、第1の方向が金属部材の表面において直線状に延びているので、金属部材の表面に、例えば、平面視で矩形状の堆積構造を形成することができる。
【0022】
上記第1の方向は、上記金属部材の表面において、曲線状に延びていてもよい。
【0023】
上記の方法によれば、第1の方向が金属部材の表面において曲線状に延びているので、金属部材の表面に、例えば、平面視で円形状や楕円形状の堆積構造を形成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、金属部材におけるエラストマー部材が接合された表面には、金属部材からなる互いに直径の異なる複数の粒状体が不規則に積み重なった堆積構造が設けられているので、エラストマー−金属複合体において、エラストマー−金属の接合強度の面内異方性を抑制して、エラストマー−金属の接合強度を確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の各実施形態に限定されるものではない。
【0027】
《第1の実施形態》
図1〜
図12は、本発明に係るエラストマー−金属複合体及びその製造方法の第1の実施形態を示している。ここで、
図1は、本実施形態のエラストマー−金属複合体30を示す断面図である。
【0028】
エラストマー−金属複合体30は、
図1に示すように、例えば、板状の金属部材10と、金属部材10上に設けられ、金属部材10の表面に接合されたエラストマー部材20とを備えている。
【0029】
金属部材10は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、ステンレスのような鉄合金等の金属材料により構成されている。また、金属部材10におけるエラストマー部材20が接合された表面は、金属部材10を構成する金属材料からなる互いに直径の異なる複数の粒状体G(後述する
図6及び
図11参照)が不規則に積み重なって形成された堆積構造Cを有している。ここで、堆積構造Cの表面形状には、例えば、後述する
図6及び
図11のSEM写真に示すように、方向性がない。
【0030】
粒状体Gの直径は、例えば、1μm〜100μm程度である。ここで、粒状体Gの直径が1μmよりも小さい場合には、堆積構造Cを構成する凹凸が小さくなるので、金属部材10とエラストマー部材20との接合強度が小さくなる傾向がある。また、粒状体Gの直径が100μmよりも大きい場合には、堆積構造Cを構成する凹凸の個数が少なくなるので、金属部材10とエラストマー部材20との接合強度が小さくなる傾向がある。さらに、粒状体Gの直径は、250倍で撮影したSEM写真において、任意の10個の粒状体を選択し、選択された各粒状体Gの最大長さ(A)を測定すると共に、その最大長さ(A)が測定された方向に直交する方向における最大長さ(B)を測定し、最大長さ(A)と最大長さ(B)との相加平均((A+B)/2)により算出することができる。なお、上記SEM写真において、写った全ての粒状体Gの直径が1μm〜100μmの範囲内に入る必要はなく、1μm〜100μmの直径の粒状体Gが混在していればよい。
【0031】
エラストマー部材20は、例えば、ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド−テトラフルオロエチレン共重合体、ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルエーテル共重合体等を主成分とする含フッ素エラストマー組成物を架橋したフッ素ゴムにより構成されている。
【0032】
なお、金属部材10としては、上述したアルミニウム、アルミニウム合金、鉄、鉄合金に限定されるものではなく、例えば、銅、銅合金、チタン(チタニウム)、チタン合金、ニッケル、ニッケル合金等を適用することができる。
【0033】
上記構成のエラストマー−金属複合体30は、例えば、半導体製造装置用のゲートシール構造体等に用いることができる。
【0034】
次に、エラストマー−金属複合体30の製造方法について説明する。ここで、
図2は、エラストマー−金属複合体30の製造方法における堆積構造形成工程を示す平面図である。また、
図3は、エラストマー−金属複合体30の製造方法における堆積構造形成工程の変形例を示す平面図である。また、
図4は、エラストマー−金属複合体30の製造方法における接合成形工程を示す断面図である。なお、本実施形態のエラストマー−金属複合体30の製造方法は、堆積構造形成工程及び接合成形工程を備える。
【0035】
<堆積構造形成工程>
図2に示すように、加工ステージ(不図示)上に載置された金属部材10の表面の照射領域Rに、パルス発振のレーザー光LをX方向に走査しながら照射することにより、金属部材10の照射領域RをY方向に所定ピッチPで1走査単位ずつ処理して、金属部材10の照射領域Rの全域に堆積構造Cを形成する。ここで、
図2に示すように、X方向は、金属材料10の表面に沿う第1の方向であり、Y方向は、金属材料10の表面に沿う第2の方向であり、X方向及びY方向は、互いに直交する。また、照射領域Rは、
図2に示すように、平面視で互いに対向する一対の辺Ea及びEbを有し、金属部材10の表面に矩形状に規定されている。なお、本実施形態では、X方向とY方向とが直交する方法を例示したが、X方向及びY方向は、90°以外の角度で交差してもよい。また、本実施形態では、矩形状の照射領域Rを平行直線状に繰り返し走査する製造方法を例示したが、例えば、
図3に示すように、円形状の照射領域Rを同心円状に繰り返し走査する製造方法であってもよい。さらには、照射領域Rの平面形状に合わせて、直線状(
図2参照)及び曲線状(
図3参照)を組み合わせてレーザー光Lを走査してもよい。また、レーザー光Lは、例えば、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecである。そして、レーザー光Lの照射(走査)条件としては、金属部材10の表面において、例えば、30μm〜60μmのスポット直径にレーザーLを集光し、パルス間隔を、例えば、スポット直径の0.1倍〜0.4倍とするようにX方向に走査し、Y方向への所定ピッチP(走査(ライン)間隔)を、例えば、スポット直径の0.1倍〜1.5倍とするように走査する。
【0036】
<接合成形工程>
上記堆積構造形成工程で堆積構造Cが形成された金属部材10の表面に、
図4に示すように、エラストマー組成物20eを配置した後に、下側金型Ma及び上側金型Mbを介してエラストマー組成物20eを加熱及び加圧することにより、堆積構造Cにエラストマー組成物20eを食い込ませると共に、エラストマー組成物20eを架橋(硬化)して、金属部材10の表面に接合されたエラストマー部材20を形成する(コンプレッション成形)。ここで、エラストマー組成物20eには、架橋剤(硬化剤)、架橋助剤、充填剤及びその他の添加剤等が含まれている。
【0037】
なお、本実施形態では、上記のような接合成形工程を備える製造方法を例示したが、接合成形工程の代わりに、堆積構造Cに溶融したエラストマー組成物を圧入した後に、そのエラストマー組成物を架橋することにより、堆積構造Cに接合されたエラストマー部材20を形成する圧入架橋工程を備えてもよい(インジェクション成形)。
【0038】
以上のようにして、本実施形態のエラストマー−金属複合体30を製造することができる。
【0039】
次に、具体的に行った実験について説明する。最初に、スポット直径を36μmとし、ライン間隔を18μmとして、走査速度(及びそれに連動するパルス間隔)を増減させた実験例1〜5について説明する。ここで、
図5は、エラストマー−金属複合体30の実験例1〜5の内容を示す表である。また、
図6は、エラストマー−金属複合体30の実験例2の条件で処理された金属部材の表面のSEM写真である。
【0040】
まず、厚さ2mm×幅25mm×長さ60mmのアルミニウム板(A6061−T6)の一方の表面に対して、
図5の表に示す条件(平均出力、パルス幅、パルス周波数、スポット直径、走査速度、パルス間隔、ライン間隔)でパルス発振のレーザー光を照射することにより、アルミニウム板の表面を処理した。なお、
図5、並びに後述する
図7、
図9及び
図10における表中のライン間隔は、上述した走査間隔(
図2中のピッチP)である。ここで、レーザー装置としては、IPG製のパルス発振−ファイバーレーザ(YLP−1/100/20)を用いた。
【0041】
続いて、アルミニウム板の処理した表面に、JIS K6256−2に基づいて、厚さ6mm×幅25mm×長さ120mmのヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド−テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする含フッ素エラストマー組成物シートを165℃で10分間加圧プレスして架橋することにより、アルミニウム板の処理した表面に含フッ素エラストマー部材が接着された試験片を作製した。なお、試験片において、架橋後の含フッ素エラストマー部材の硬度は、タイプAデュロメータで70程度である。
【0042】
その後、作製した試験片に対して、JIS K6256−2に基づいて、剥離強さを測定して、90°剥離試験を行った。
【0043】
実験結果としては、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例1、2及び3では、
図5の表に示すように、130N/25mm以上の高水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離でなく、含フッ素エラストマー部材自体の破壊(ゴム破断)が確認された。また、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例4及び5では、
図5の表に示すように、100N/25mm以下の低水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離が確認された。さらに、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例1及び2では、
図6のSEM写真に示すように、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cが確認された。また、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例4及び5では、堆積構造Cが確認されなかった。
【0044】
次に、スポット直径を55μmとし、ライン間隔を27μmとして、走査速度(及びそれに連動するパルス間隔)を増減させた実験例6〜10について説明する。ここで、
図7は、エラストマー−金属複合体30の実験例6〜10の内容を示す表である。また、
図8は、エラストマー−金属複合体30の実験例7の条件で処理された金属部材の表面のSEM写真である。
【0045】
まず、厚さ2mm×幅25mm×長さ60mmのアルミニウム板(A6061−T6)の一方の表面に対して、
図7の表に示す条件(平均出力、パルス幅、パルス周波数、スポット直径、走査速度、パルス間隔、ライン間隔)でパルス発振のレーザー光を照射することにより、アルミニウム板の表面を処理した。ここで、レーザー装置としては、IPG製のパルス発振−ファイバーレーザ(YLP−1/100/20)を用いた。
【0046】
続いて、アルミニウム板の処理した表面に、JIS K6256−2に基づいて、厚さ6mm×幅25mm×長さ120mmのヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド−テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする含フッ素エラストマー組成物シートを165℃で10分間加圧プレスして架橋することにより、アルミニウム板の処理した表面に含フッ素エラストマー部材が接着された試験片を作製した。なお、試験片において、架橋後の含フッ素エラストマー部材の硬度は、タイプAデュロメータで70程度である。
【0047】
その後、作製した試験片に対して、JIS K6256−2に基づいて、剥離強さを測定して、90°剥離試験を行った。
【0048】
実験結果としては、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例6及び7では、
図7の表に示すように、120N/25mm以上の高水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離でなく、含フッ素エラストマー部材自体の破壊(ゴム破断)が確認された。また、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例8、9及び10では、
図7の表に示すように、70N/25mm以下の低水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離が確認された。さらに、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例6及び7では、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cが確認された。なお、実験例7を示す
図8のSEM写真では、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cが撮像領域の一部に確認された。また、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例9及び10では、堆積構造Cが確認されなかった。
【0049】
次に、スポット直径を36μmとし、ライン間隔を36μmとして、走査速度(及びそれに連動するパルス間隔)を増減させた実験例11〜15について説明する。ここで、
図9は、エラストマー−金属複合体30の実験例11〜15の内容を示す表である。
【0050】
まず、厚さ2mm×幅25mm×長さ60mmのアルミニウム板(A6061−T6)の一方の表面に対して、
図9の表に示す条件(平均出力、パルス幅、パルス周波数、スポット直径、走査速度、パルス間隔、ライン間隔)でパルス発振のレーザー光を照射することにより、アルミニウム板の表面を処理した。ここで、レーザー装置としては、IPG製のパルス発振−ファイバーレーザ(YLP−1/100/20)を用いた。
【0051】
続いて、アルミニウム板の処理した表面に、JIS K6256−2に基づいて、厚さ6mm×幅25mm×長さ120mmのヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド−テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする含フッ素エラストマー組成物シートを165℃で10分間加圧プレスして架橋することにより、アルミニウム板の処理した表面に含フッ素エラストマー部材が接着された試験片を作製した。なお、試験片において、架橋後の含フッ素エラストマー部材の硬度は、タイプAデュロメータで70程度である。
【0052】
その後、作製した試験片に対して、JIS K6256−2に基づいて、剥離強さを測定して、90°剥離試験を行った。
【0053】
実験結果としては、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例11及び12では、
図9の表に示すように、140N/25mm以上の高水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離でなく、含フッ素エラストマー部材自体の破壊(ゴム破断)が確認された。また、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例13、14及び15では、
図9の表に示すように、90N/25mm以下の低水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離が確認された。さらに、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例11及び12では、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cが確認された。また、パルス間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例14及び15では、堆積構造Cが確認されなかった。
【0054】
次に、スポット直径を36μmとし、走査速度を200mm/secとして、ライン間隔を増減させた実験例16〜19について説明する。ここで、
図10は、エラストマー−金属複合体30の実験例16〜19の内容を示す表である。また、
図11は、エラストマー−金属複合体30の実験例16の条件で処理された金属部材の表面の45°の斜め方向から撮影したSEM写真である。
【0055】
まず、厚さ2mm×幅25mm×長さ60mmのステンレス板(SUS316L)の一方の表面に対して、
図10の表に示す条件(平均出力、パルス幅、パルス周波数、スポット直径、走査速度、パルス間隔、ライン間隔)でパルス発振のレーザー光を照射することにより、ステンレス板の表面を処理した。ここで、レーザー装置としては、IPG製のパルス発振−ファイバーレーザ(YLP−1/100/20)を用いた。
【0056】
続いて、ステンレス板の処理した表面に、JIS K6256−2に基づいて、厚さ6mm×幅25mm×長さ120mmのヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオリド−テトラフルオロエチレン共重合体を主成分とする含フッ素エラストマー組成物シートを165℃で10分間加圧プレスして架橋することにより、ステンレス板の処理した表面に含フッ素エラストマー部材が接着された試験片を作製した。なお、試験片において、架橋後の含フッ素エラストマー部材の硬度は、タイプAデュロメータで70程度である。
【0057】
その後、作製した試験片に対して、JIS K6256−2に基づいて、剥離強さを測定して、90°剥離試験を行った。
【0058】
実験結果としては、ライン間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例16、17及び18では、
図10の表に示すように、160N/25mm以上の高水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離でなく、含フッ素エラストマー部材自体の破壊(ゴム破断)が確認された。また、ライン間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例19では、
図10の表に示すように、100N/25mm程度の低水準の剥離強さが得られ、金属表面と含フッ素エラストマー部材との間の界面隔離が確認された。さらに、ライン間隔/スポット直径の比が相対的に低い実験例16、17及び18では、
図11のSEM写真に示すように、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cが確認された。また、ライン間隔/スポット直径の比が相対的に高い実験例19では、堆積構造Cが確認されず、表面形状に走査方向に沿う方向性が確認された。
【0059】
以上の実験結果から、パルス間隔/スポット直径の比が0.1倍〜0.4倍(好ましくは0.1倍〜0.3倍)であり、ライン間隔/スポット直径の比が0.1倍〜1.5倍(好ましくは0.3倍〜1.0倍)であれば、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cが形成され易くなると共に、剥離試験の破断タイプがゴム破断になり易くなる、と言える。なお、レーザー光を照射する金属部材については、その材質(アルミニウム板、ステンレス板)が異なっていても、パルス間隔/スポット直径の比、及びライン間隔/スポット直径の比について同様な数値範囲が成立すると考えられる。
【0060】
次に、実験例20について、説明する。ここで、
図12は、エラストマー−金属複合体30の実験例20の条件で処理された金属部材の表面のSEM写真である。具体的に実験例20では、厚さ2mm×幅25mm×長さ60mmのステンレス板(SUS316L)の表面に対して、平均出力50W、パルス幅140μ、パルス周波数50kHz、スポット直径36μm、走査速度200mm/sec、ライン間隔36μmでパルス発振のレーザー光を照射しながら4ライン分(
図12中の(a)、(b)、(c)及び(d)参照)走査することにより、ステンレス板の表面を処理した。そして、処理したステンレス板の表面の形状をSEM写真により観察した。ここで、レーザー装置としては、IPG製のパルス発振−ファイバーレーザ(YLP−1/100/20)を用いた。
【0061】
実験結果としては、
図12のSEM写真に示すように、1及び2番目に走査したライン(a)及び(b)では、複数の粒状体Gが積み重なった堆積構造Cが確認され、3及び4番目に走査したライン(c)及び(d)では、走査により形成された溝による凹凸形状が確認された。これにより、本実施形態の製造方法によれば、最初の走査によって、その走査ライン上の金属材料の表面が溶融して、溶融した金属材料を周囲に飛散させることにより、その走査ライン上に溝が形成され、その溝上には、それ以降の走査によって、溶融した金属材料が飛来して凝固することにより粒状体Gが形成されて、堆積構造Cが形成される、と考えられる。また、最初の走査によって、飛散して付着した粒状体の中には、それ以降の走査ライン上に飛散することもあるので、金属材料の表面の金属以外に、粒状体の溶融、飛散と堆積が繰り返され、最終的に粒状体の堆積構造が所望の範囲で形成される。
図12のSEM写真では、(a)及び(b)が堆積構造となり、(c)及び(d)が溝による凹凸形状となっているが、これは、(d)が、最終走査ラインであるからであり、(d)以降も走査(パルス発振のレーザー光の照射)を継続すると、(c)及び(d)も(a)及び(b)のように堆積構造となる、と考えされる。したがって、本実施形態の堆積構造Cにおいては、最初に走査した辺Ea(
図2参照)に沿う端部における複数の粒状体Gは、最後に走査した辺Eb(
図2参照)に沿う端部における複数の粒状体Gよりも多くなる。なお、本実施形態の製造方法では、最初の走査ラインに沿ったパルス発振のレーザー光の照射により、金属表面に溝(
図2では直線状、
図3では円周状)が主に形成され、それ以降の走査ラインに沿ったパルス発振のレーザー光の照射により、粒状体Gの堆積構造Cが主に形成される、と考えられる。また、本実施形態の製造方法では、パルス発振のレーザー光の照射による溶融した金属材料の粒状体Gの飛散距離がその照射条件により決まるので、その照射条件が一定であれば、粒状体Gの飛散距離がある程度一定になる、と考えられる。そのため、粒状体Gは、金属部材10の表面において、一定の飛散距離の範囲で堆積し、その飛散範囲を超えると堆積しないので、粒状体Gの堆積構造Cの高さは、一定になる、と考えられる。そうなると、金属部材10の表面において、エラストマー部材20に対して、安定した接合表面が形成されるので、金属部材10とエラストマー部材20との間に安定した接合強度を得ることができる。また、本実施形態の製造方法で形成される粒状体Gは、パルス発振のレーザー光の照射による溶融、飛散、付着、凝固してなる粒状体Gだけでなく、隣り合う粒状体Gがパルス発振のレーザー光の照射により溶融して合体したものも含むので、堆積構造Cでは、粒状体Gの平均直径でなく、1μm以上100μm以下の範囲の直径の異なる粒状体Gが混在する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態のエラストマー−金属複合体30及びその製造方法によれば、堆積構造形成工程において、金属部材10の表面に対し、平均出力が20W〜100Wであり、パルス幅が80nsec〜150nsecであるパルス発振のレーザー光を30μm〜60μmのスポット直径に集光し、パルス間隔がスポット直径の0.1倍〜0.4倍であるようにX方向に走査し、Y方向への所定ピッチ(走査間隔)がスポット直径の0.1倍〜1.5倍であるように走査する。これにより、レーザー光Lの照射により溶融した金属部材10の一部が周りにランダムに飛散して凝固することにより、複数の粒状体Gが不規則に積み重なった堆積構造Cを形成することができる。その後、接合成形工程において、堆積構造Cが形成された金属部材10の表面にエラストマー組成物20eを配置した後に、エラストマー組成物20eを加熱及び加圧することにより、堆積構造Cにエラストマー組成物20eを食い込ませると共にエラストマー組成物20eを架橋して、堆積構造Cに接合されたエラストマー部材20を形成する。そのため、金属部材10の表面に積み重なった複数の粒状体Gの一部の集合とエラストマー部材20との局所的な接合が金属部材10の接合表面全体に不規則(ランダム)に配置する。これにより、金属部材10とエラストマー部材20との接合強度を金属部材10の接合表面に沿う全方向で揃えることができるので、エラストマー−金属複合体30において、エラストマー−金属の接合強度の面内異方性を抑制して、エラストマー−金属の接合強度を確保することができる。
【0063】
また、本実施形態のエラストマー−金属複合体30及びその製造方法によれば、金属部材10がアルミニウム合金又は鉄合金により構成され、エラストマー組成物20eが含フッ素エラストマー組成物であるので、一般的に接着剤で接着し難い含フッ素エラストマー組成物からなるエラストマー部材20であっても、アルミニウム合金又は鉄合金からなる金属部材10に接着剤を介さなくても強固に接合することができる。
【0064】
また、本実施形態のエラストマー−金属複合体30及びその製造方法によれば、パルス発振のレーザー光Lを用い、連続発振のレーザー光を用いないので、金属部材10の熱変形を抑制することができ、また、シングルモードのレーザー光を用いないので、製造設備に要するコストを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態のエラストマー−金属複合体30及びその製造方法によれば、金属部材10の照射領域Rに照射するレーザー光Lの1走査ライン当たりの走査回数が1回で済むので、レーザー光Lの照射時間を短くすることができる。
【0066】
《その他の実施形態》
上記実施形態では、含フッ素エラストマー組成物を備えたエラストマー−金属複合体を例示したが、本発明は、これに限定されるものでなく、エラストマー部材は、例えば、シリコーンゴム組成物、ニトリルゴム組成物、エチレン−プロピレンゴム組成物等を架橋(加硫)したものでもよい。