【実施例】
【0058】
本明細書及び実施例において、以下の記号が使用される:
M モル質量、SI単位:g/mol
n 物質量、SI単位:mol
η 動粘度、SI単位:Pa・s、DIN EN ISO3219に従って、23℃及び100s
−1の剪断速度において判定(別途明記されていない場合)
w
B 混合物M中の物質Bの質量分率であり、この混合物は溶液であってもよく、SI単位:kg/kg、またはcg/g=10g/kg=g/(100g)=%等のその任意の倍数であり、
w
B=m
B/m
Mと定義され、式中、m
Bは物質Bの質量であり、m
Mは混合物または溶液の質量であり、水性希釈された酸または塩基に使用される場合、この量は「強度」とも呼ばれる
w
s 不揮発物の質量分率、DIN EN ISO3251に従って、105℃で1時間乾燥された1gの試料において判定
w
OH ヒドロキシル価(hydroxyl value)またはヒドロキシル価(hydroxyl number)、試料Bと同じ物質量のヒドロキシル基、−OHを有する質量m
KOHと、試料Bの質量m
Bとの比、DIN EN ISO4629に従って判定、通常の単位は「mg/g」である
w
H 酸価(acid value)または酸価(acid number)、酸性水素基Hを有する試料Bを中和するのに必要とされる質量m
KOHと、試料Bの質量m
Bとの比、DIN EN ISO2114に従って判定、通常の単位は「mg/g」である
w(H) ポリウレタン−ビニルポリマーハイブリッド樹脂中のモノマーH1及びH2に由来するポリマーの質量分率、w(H)=m(H)/[m(U)+m(H)]として計算され、式中、m(U)はポリウレタン部の質量である
pH 水素イオン、H
+のmol/L単位のモル濃度数値の、10を底とする対数の負の値であり、pH=−lg[c(H
+)/(mol・L
−1)]と定義され、DIN ISO976に従って、10%の固体の質量分率を有する水性希釈された試料において判定
T
g ガラス転移温度、10K/分の加熱率を用いて動的走査熱量計で測定(これらの実施例においては、実施例において使用された比のモノマーH1及びH2のポリマーにおいて測定、ポリマーは、T
gが重合度に最早依存しないように、十分に高い重合度を有する)
【0059】
ポリエステルA’の調製(比較例)
47gの1,6−ヘキサンジオール(M=118.18g/mol、n=0.398mol)、33.5gのアジピン酸(M=146.14g/mol、n=0.229mol)、及び22gのイソフタル酸(M=166.13g/mol、n=0.132mol)の混合物を装入し、220℃に加熱した。反応物質混合物中の官能基の物質量は、n(OH)=0.795mol、n(COOH)=0.458mol+0.265mol=0.723molであった。反応中に形成された水は、共沸点混合物生成剤として添加された8gのキシレンの補助により留去した。水の理論量(14g)及び試料において判定される酸価が3mg/g未満に到達した後、残存キシレンを留去し、ポリエステルを室温(23℃)に冷ました。
【0060】
ヒドロキシル価:45mg/g、酸価:2.8mg/g
【0061】
ポリエステルAの調製
89.4gのポリエステルA’を、1.4gのネオデカン酸のグリシジルエステル((登録商標)Cardura E 10P、Momentive Specialty Chemicals Inc.により販売)と、180℃〜200℃の温度で約1時間、試料において判定される酸価が0.1mg/g未満になるまで反応させた。
【0062】
ヒドロキシル価:45mg/g、酸価:0.08mg/g
【0063】
実施例1(比較例)
863gのポリエステルA’を、79gのジメチロールプロピオン酸(DMPA)と共に130℃まで加熱し、均質な溶液が形成されるまで混合物をこの温度に保持した。次いで、150gのテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)を30〜45分間の期間にわたって計量する一方で、遊離イソシアネート基が最早検出できなくなるまで、撹拌を130℃で継続した。
【0064】
70℃まで冷却した後、360gの2−エチルヘキシルアクリレート、36gのグリセロールモノメタクリレート、18gの1,4−ブチレングリコール、及び0.66gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)からなる溶液を迅速に添加し、混合物を均質化した。244gのTMXDIを15分間の期間にわたって添加し、現行の反応混合物中の遊離イソシアネート基の質量分率が1.2%になるまで、これらの成分を75℃で反応させた。遊離イソシアネート基のこの質量分率に到達した直後、49gのジエタノールアミンを添加し、結果として生じた温度に反応混合物を保持し、60分間撹拌した。38gのN,N−ジメチルエタノールアミンを添加した後、混合物を10分間均質化させた。次いで、激しく撹拌しながら、温度が75℃である3012gの水をこのプレポリマー溶液に添加した。混合物を75℃まで冷却した後、混合物を更に1時間撹拌した。溶質の質量分率が70%である、tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液2.4gを添加し、結果として得られた混合物を75℃で5分間均質化した。次いで、25gの水と3.5gのアスコルビン酸との混合物を、30〜45分間の期間にわたって添加した。その後、更に2時間、温度を75℃〜80℃に保持した。室温(23℃)まで冷ました後、結果として得られた分散液を、25μmの細孔径を有するフィルタを通して濾過した。このようにして得られた分散液は以下の特性データを有した。
w
s=36.4%、pH=7.9、η=69mPa・S、T
g=−56℃、w(H)=22%
【0065】
実施例2(比較例)
950gのポリエステルA’を、111gのジメチロールプロピオン酸(DMPA)と共に130℃まで加熱し、均質な溶液が得られるまで混合物を撹拌しながらこの温度に保持した。次いで、206gのテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)を30〜45分間の期間にわたって計量する一方で、遊離イソシアネート基が最早検出されなくなるまで、撹拌を130℃で継続した。70℃まで冷却した後、246gの2−エチルヘキシルアクリレート、610gのメチルメタクリレート、88gのグリセロールモノメタクリレート、2.47gの1,4−ブチレングリコール、及び2.3gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)からなる溶液を迅速に添加し、混合物を均質化した。次いで、301gのTMXDIを15分間の期間にわたって添加し、その後、現行の反応混合物中の遊離イソシアネート基の質量分率が0.98%になるまで、これらの成分を75℃で反応させた。遊離イソシアネート基のこの濃度に到達した直後、温度が70℃〜75℃である、25.8gの1,5−ジアミノ−2−メチルペンタン、56gのN,N−ジメチルエタノールアミン、及び4315gの水で構成される混合物を添加し、75℃で60分間激しく撹拌した。次いで、溶質の質量分率が70%である、tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液5.5gを添加し、結果として得られた混合物を70℃〜75℃で5分間均質化した。均質化の後、130gの水と7.6gのアスコルビン酸との混合物を、30〜45分間の期間にわたって添加した。その後、更に2時間、温度を75℃〜80℃に保持した。室温(23℃)まで冷ました後、分散液を、25μmの細孔径を有するフィルタを通して濾過した。このようにして得られた分散液は以下の特性を有する。
不揮発物の質量分率w
s=36.1%、pH=7.7、η=230mPa・S、T
g=42℃、w(H)=37%
【0066】
実施例3
950gのポリエステルAを、98gのジメチロールプロピオン酸(DMPA)と共に130℃まで加熱し、均質な溶液が得られるまで混合物をこの温度に保持した。次いで、190gのテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)を30〜45分間の期間にわたって計量する一方で、遊離イソシアネート基が全く検出できなくなるまで、撹拌を130℃で継続した。70℃まで冷却した後、625gの2−エチルヘキシルアクリレート、368.6gのメチルメタクリレート、88gのグリセロールモノメタクリレート、及び2.3gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)からなる溶液を迅速に添加し、結果として得られた混合物を均質化した。次いで、124gのTMXDIと143gの5−イソシアナト−1−(イソシアナトメチル)−1,3,3−トリメチル−シクロヘキサン(IPDI)との混合物を15分間の期間にわたって添加し、現行の反応混合物中の遊離イソシアネート基の質量分率が0.88%になるまで、この混合物を75℃での反応に供した。遊離イソシアネート基のこの濃度に到達した直後、温度が70℃〜75℃である、23.8gの2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、58.6gのN,N−ジメチルエタノールアミン、及び4335gの水で構成される混合物を添加し、75℃で60分間激しく撹拌した。その後、溶質の質量分率が70%である、tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液6.28gを添加し、結果として得られた混合物を70℃〜75℃で5分間均質化した。均質化の後、190gの水と8.7gのアスコルビン酸との混合物を、30〜45分間の期間にわたって添加した。その後、更に2時間、温度を75℃〜80℃に保持した。室温(23℃)まで冷ました後、分散液を、25μmの細孔径を有するフィルタを通して濾過した。このようにして得られた分散液は以下の特性を有する:w
s=35.8%、pH=8.4、η=310mPa・S、T
g=−10℃、w(H)=41%
【0067】
実施例4
950gのポリエステルAを、98gのジメチロールプロピオン酸(DMPA)と共に130℃まで加熱し、均質な溶液が得られるまで混合物をこの温度に保持した。次いで、190gのテトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)を30〜45分間の期間にわたって計量する一方で、遊離イソシアネート基が全く検出されなくなるまで、撹拌を130℃で継続した。
【0068】
70℃まで冷却した後、709gの2−エチルヘキシルアクリレート、419gのメチルメタクリレート、24.8gの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、88gのグリセロールモノメタクリレート、60gの1,4−ブタンジオール、及び2.3gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)からなる溶液を迅速に添加し、混合物を均質化した。469gのTMXDIを15分間の期間にわたって添加し、反応混合物中の遊離イソシアネート基の質量分率が1.04%になるまで、これらの成分を75℃で反応させた。遊離イソシアネート基のこの濃度に到達した直後、温度が70℃〜75℃である、16.4gの2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、29.3gのジエタノールアミン、58.5gのN,N−ジメチルエタノールアミン、及び5097gの水で構成される混合物を添加し、75℃で60分間激しく撹拌した。その後、溶質の質量分率が70%である、tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液7.21gを添加し、結果として得られた混合物を70℃〜75℃で5分間均質化した。均質化の後、230gの水と10gのアスコルビン酸との混合物を、30〜45分間の期間にわたって添加した。その後、更に2時間、温度を75℃〜80℃に保持した。室温(23℃)まで冷ました後、分散液を、25μmの細孔径を有するフィルタを通して濾過した。このようにして得られた分散液は以下の特性を有した:w
s=35.8%(1時間、125℃、1g)、pH=8.4、η=310mPa・S、T
g=−10℃、w(H)=40%
【0069】
実施例5
950gのポリエステルAを、98gのジメチロールプロピオン酸(DMPA)と共に130℃まで加熱し、均質な溶液が形成されるまで混合物をこの温度に保持した。次いで、190gのテトラメチルキシリレンジイソキシアネート(tetramethylxylylene diisoxyanate)(TMXDI)を30〜45分間の期間にわたって計量する一方で、遊離イソシアネート基が最早検出できなくなるまで、撹拌を130℃で継続した。
【0070】
70℃まで冷却した後、182gの2−エチルヘキシルアクリレート、757gのメチルメタクリレート、21gの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、88gのグリセロールモノメタクリレート、及び2.3gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)からなる溶液を迅速に添加し、混合物を均質化した。124gのTMXDIと143gのIPDIとの混合物を15分間の期間にわたって添加し、現行の反応混合物中の遊離イソシアネート基の質量分率が0.9%になるまで、これらの成分を75℃で反応させた。遊離イソシアネート基のこの質量分率に到達した直後、温度が70℃〜75℃である、12gの2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、20.9gのジエタノールアミン、58.5gのジメチルエタノールアミン、及び4320gの水で構成される混合物を添加し、75℃で1時間激しく撹拌した。その後、溶質の質量分率が70%である、tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液6.1gを添加し、70℃〜75℃で5分間均質化した。均質化の後、190gの水と8.4gのアスコルビン酸との混合物を、30〜45分間の期間にわたって添加した。その後、更に2時間、温度を75℃〜80℃に保持した。室温(23℃)まで冷ました後、分散液を、25μmの細孔径を有するフィルタを通して濾過した。このようにして得られた分散液は以下の基本的形態を有する:w
s=35.6%、pH=7.9、η=120mPa・S、T
g=60℃、w(H)=40%
【0071】
実施例6
950gのポリエステルAを、98gのジメチロールプロピオン酸(DMPA)と共に130℃まで加熱し、均質な溶液が形成されるまで混合物をこの温度に保持した。次いで、190gのテトラメチルキシリレンジイソキシアネート(tetramethylxylylene diisoxyanate)(TMXDI)を30〜45分間の期間にわたって計量する一方で、遊離イソシアネート基が最早検出できなくなるまで、撹拌を130℃で継続した。
【0072】
70℃まで冷却した後、61.1gの2−エチルヘキシルアクリレート、254gのメチルメタクリレート、88gのグリセロールモノメタクリレート、及び2.3gの2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)からなる溶液を迅速に添加し、混合物を均質化した。280.5gのTMXDIを15分間の期間にわたって添加し、現行の反応混合物中の遊離イソシアネート基の質量分率が1.2%になるまで、これらの成分を75℃で反応させた。遊離イソシアネート基のこの質量分率に到達した直後、温度が70℃〜75℃である、23.5gの2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、58.5gのジメチルエタノールアミン、及び3288gの水で構成される混合物を添加し、75℃で1時間激しく撹拌した。その後、溶質の質量分率が70%である、tert−ブチルヒドロペルオキシドの水溶液2.34gを添加し、70℃〜75℃で5分間均質化した。均質化の後、100gの水と3.24gのアスコルビン酸との混合物を、30〜45分間の期間にわたって添加した。その後、更に2時間、温度を75℃〜80℃に保持した。室温(23℃)まで冷ました後、分散液を、25μmの細孔径を有するフィルタを通して濾過した。このようにして得られた分散液は以下の基本的形態を有する:w
s=35.2%、pH=8.1、η=230mPa・S、T
g=60℃、w(H)=20%
【0073】
自動車業界において車体に使用される、通常の多層コーティングでコーティングされた鋼板を用いて、適用試験を実行した。この試験のために、以下の塗料を調製した。
【0074】
実施例7 CED樹脂
数平均モル質量が380g/molである、ビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂2572g、数平均モル質量が550g/molである、ポリカプロラクトンジオール440g、661gのビスフェノールA、及び1734gのメトキシプロパノールをレジンケトルに順次入れ、撹拌しながら43℃まで加熱した。混合物を更に30分間撹拌し、その後41℃まで冷却した。この温度で、221gのジエタノールアミン、及び次いで194gのジメチルアミノプロピルアミンを添加すると、冷却を行いながらも、温度が最大125℃まで上昇した。125℃で撹拌しながら反応を更に2時間継続させた後、質量分率40%までメトキシプロパノールで引き伸ばし、希釈した試料の動粘度は、23℃及び25s
−1の剪断速度において測定したところ、765mPa・sであった。その後、反応マスを120℃に冷却した。
【0075】
実施例8 CED硬化剤
別個のステップにおいて、105gのジエタノールアミン及び102gの炭酸プロピレンを反応させて、120℃で3時間アダクトを形成した。
【0076】
687.5gのMDIを、水分を排除しながらレジンケトルに装入した。25℃で、445.5gのジエチレングリコールモノブチルエーテルを、穏やかに冷却しつつ、温度を最大40℃に保ちながらゆっくりと添加した。−N=C=O、モル質量42.02g/molとして計算したイソシアネート基の質量分率は9.9%であった。温度40℃で、第1のステップで作製したアダクト207gを、0.4gのジブチル錫ジラウレートと共に添加した。発熱反応に起因して、温度は80℃まで上昇し、冷却することでこの温度を上限として保持した。この温度において、撹拌しながら反応を3時間継続させた。次いで、5gのエタノール及び61.8gのメトキシプロパノールを80℃で添加し、更に1時間撹拌を継続した。その後、60gの水を添加し、温度を周囲温度(23℃)まで下げながら、混合物を均質化した。
【0077】
実施例9 CED樹脂乳濁液
実施例7の樹脂溶液5822gを反応容器に装入し、撹拌しながら120℃まで加熱した。この温度において、減圧下、1426gのメトキシプロパノールを留去した。次いで、残存する液体を95℃まで冷却し、107gの脱イオン水を添加して、それにより温度を80℃まで下げた。その後、実施例8の硬化剤2408gを添加し、混合物を80℃で1時間均質化した。
【0078】
別個のステップにおいて、溶質の質量分率が70%である298.3gのメタンスルホン酸水溶液に、107gの三酸化ビスマスを溶解させ、完全に溶解させた後に7913gの脱イオン水を添加することで希釈して、酸性触媒溶液を調製した。次いで、30分以内に、樹脂と硬化剤との均質化した混合物をこの触媒溶液に全体的に撹拌しながら添加し、それによって混合物は40℃の温度を呈した。この温度で混合物を更に2時間撹拌し、その後2058gの脱イオン水を添加することで、固体の質量分率が37%になるまで希釈した。
【0079】
実施例10 練肉樹脂
258gの2−エチルヘキシルアミンを、撹拌器、温度計、及び蒸留装置を備え付けられたレジンケトルに装入し、80℃まで加熱した。この温度において、5.26mol/kgというエポキシド基の特定の含有量を有する、ポリプロピレングリコール及びエピクロロヒドリンから作製したエポキシ樹脂380gを1時間かけて均等に添加したが、温度が120℃まで上昇した。120℃で、反応を更に1時間継続させた。次に、1175gの2−ブトキシエタノールを添加し、温度を70℃まで下げたところで、2.11mol/kgというエポキシド基の特定の含有量を有する、ビスフェノールA及びエピクロロヒドリンに基づくエポキシ樹脂1900gを添加した。混合物を120℃まで加熱し、90分間反応させた。このようにして得られた中間体は、ポリオキシアルキレン単位(−CH(CH
3)−CH
2−O−)の質量分率11%、及び4個以上の炭素原子を有するアルキル基の質量分率9%を有する。
【0080】
この中間体の温度を100℃にし、204gの3−(N,N−ジメチル)−アミノプロピルアミン−1を添加し、混合物を100℃で1時間反応させた。次いで、314gの2−ブトキシエタノールを、ホルムアルデヒドの質量分率が91%であるパラホルムアルデヒド66gと共に添加した。温度を140℃まで上昇させ、反応において形成された水36gを、メチルイソブチルケトンを担体として用いて共沸蒸留で留去した。水を分離したら、ケトンを減圧下における蒸留によって除去し、774gの2−ブトキシエタノールを添加することで、固体の質量分率が55%になるまで残余を希釈した。
【0081】
実施例11 顔料ペースト
以下の材料を示される順番で混合容器に添加した:207.9gの脱イオン水、16.9gの酢酸水溶液(100gの水性希釈溶液中30gの酢酸)、18.7gの2−ブトキシエタノール、268gの実施例10の練肉樹脂溶液、2−ブトキシエタノール中2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,6−ジオールの50%強度溶液10.2g((登録商標)Surfynol 104 BC、Air Products Nederland B.V.)、7.3gのカーボンブラック顔料((登録商標)Printex 201、Evonik Industries)、及び479.2gの二酸化チタン白色顔料((登録商標)Kronos RN 59、Kronos Titan GmbH)。混合物を溶解器内で15分間分散させ、その後ボールミル内で1時間練肉した
【0082】
実施例12 CEDコーティング組成物の調製
CEDコーティング組成物を、以下の製法に従って、実施例9の乳濁液、実施例11の顔料ペースト、及び水から調製した:
3392gのCED樹脂乳濁液(実施例9)
5982gの脱イオン水
626gの顔料ペースト(実施例11)
【0083】
これらの成分を、23℃で30分間、撹拌しながら、示される順番でブレンドし、均質化した。
【0084】
実施例13 プライマー/サーフェーサーコーティング組成物の調製
使用するプライマー−サーフェーサーコーティング組成物13bを、脱イオン水の添加によって固体の質量分率が42%に調整されている実施例13acの縮合物と、実施例13adの水性分散液と、高度にメトキシメチル化されたメラミン架橋剤とからなるブレンド13bbの添加によって仕上げられた灰色顔料ペースト13baから調製した。
【0085】
実施例13aa−酸官能性ポリウレタン
第1の反応において、946gのジエチレングリコールジメチルエーテルと526gのメチルイソブチルケトンとの混合物中の810gのジメチロールプロピオン酸という混合物をレジンケトル内に装入し、完全に溶解するまでこの混合物を100℃に加熱することで、酸官能性ポリウレタン13aaを調製した。この温度において、870gのトルイレンジイソシアネート(「TDI」)と、528gの、1molのTDI及び1molのエチレングリコールモノエチルエーテルの反応生成物である、セミキャップされたTDIとの混合物を、温度を100℃で一定に保ちながら4時間かけて添加した。全てのイソシアネート基を完全に消費するために、反応混合物をこの温度で1時間撹拌した。固体の質量分率は60%であった。酸官能性ポリウレタン13aaは140mg/gの酸価を有し、20℃のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中の溶液について測定したシュタウディンガー指数(Staudinger−Index)は9.3cm
3/gであった。
【0086】
300gのエチレングリコールモノエチルエーテルを580gのTDIに、30℃で2時間以内に添加し、更に続けて2時間反応させることで、セミキャップされたTDIを別個に調製し、この時間の後、アダクト中のイソシアネート基の最終質量分率は16.5%であることが確認された。
【0087】
実施例13ab−ヒドロキシ官能性ポリエステル
別個のステップにおいて、190gのトリプロピレングリコール、625gのネオペンチルグリコール、140gの異性化リノール酸、415gのイソフタル酸、及び290gのトリメリト酸無水物をレジンケトル内で混合し、反応混合物の酸価が4mg/gに減少するまで230℃でエステル化することで、ヒドロキシ官能性ポリエステル13abを調製した。DIN53211に従って20℃で測定された、形成された樹脂の2−n−ブトキシエタノール中50%強度の溶液の流出時間は、165秒であった。ヒドロキシ官能性ポリエステル13abのシュタウディンガー指数の値は、20℃のN,N−ジメチルホルムアミド中で測定したところ、10.5cm
3/gであった。
【0088】
実施例13ac−実施例13aaの酸官能性ポリウレタンと実施例13abのヒドロキシ官能性ポリエステルとの縮合物13ac
実施例13aaの酸官能性ポリウレタン300gと、実施例13abのヒドロキシ官能性ポリエステル700gとを、撹拌器、温度計、窒素入口、及び蒸留装置を備え付けられた反応容器に装入し、撹拌しながら混合し、155℃まで加熱した。減圧下の蒸留により、窒素ブランケットの下で溶媒を除去して、凝縮器内において分離された溶媒の流れを一定に維持した。試料を取り出し、酸価及び粘度に関して分析することによって、反応の進捗を監視した。36mg/gの酸価及び16.2cm
3/gのシュタウンディンガー指数に到達したとき、反応を停止し、次いで縮合物を周囲温度(23℃)まで冷却し、排出した。13acと呼ばれるこの縮合物は、ジメチルエタノールアミンとの中和後、水中で完全に希釈可能であり、沈殿または相分離を全く伴わなかった。
【0089】
実施例13ad−修飾ポリエステル
撹拌器及び還流凝縮器を備え付けられたレジンケトルに、192gのトリプロピレングリコール及び104gのネオペンチルグリコールを装入し、この装入物を撹拌しながら110℃に加熱した。その後、192gのトリメリト酸無水物を添加し、2時間以内に混合物を170℃まで加熱した。酸価が87mg/gになるまで、反応混合物をこの温度に保持した。150℃に冷却した後、α−分岐デカン酸のグリシジルエステルの商業的混合物((登録商標)Cardura E 10、Momentive Specialty Chemicals,Inc.)40gと、亜麻仁油脂肪酸14gとを添加した。次いで、この混合物を1時間以内に180℃まで加熱し、酸価が55mg/gに到達するまでこの温度に保持した。その後、反応混合物を冷却し、固体の質量分率が70%になるまでメトキシプロパノールを添加することで希釈した。100gのこの溶液に、7gのジメチルエタノールアミンと68gの脱イオン水とを添加し、毎分600回転で15分間、機械的撹拌器を用いて均質化した。固体の質量分率が40%である水性分散液を得た。
【0090】
実施例13b−着色プライマー/サーフェーサーコーティング組成物の調製
着色プライマー−サーフェーサーコーティング組成物を、以下の製法に従って調製した:脱イオン水の添加によって固体の質量分率が42%に調整されている実施例13acの縮合物21.10gに、3.35gの脱イオン水、12.65gのルチル型二酸化チタン顔料(Al及びZr化合物で表面処理済、(登録商標)Kronos 2190、Kronos Titan GmbH)、12.65gの沈降硫酸バリウム顔料(Blanc fixe F、Sachtleben GmbH)、及び0.05gのカーボンブラック((登録商標)Printex U、Evonik Carbon Black GmbH)を明記される順序で入れ、その後、毎分1200回転で15分間、機械的撹拌器を用いて均質化した。予備ブレンドをビーズミルに移し、50℃を上回らない温度で練肉した。45分間の練り時間の後、必要とされる粒径10μmが達成され、練肉を停止し、このようにして形成された13baと呼ばれるペーストをビーズから分離した。
【0091】
脱イオン水の添加によって固体の質量分率が42%に調整されている実施例13acの縮合物9.00gを装入し、実施例13adの水性分散液27.20g、メトキシ基対メチレン基対メラミン由来部分のモル比が5.0mol:5.8mol:1molからである、高度にメトキシメチル化されたメラミン架橋剤(Cymel(登録商標)303、Allnex USA Inc.)1.75g、及び脱イオン水12gをこの順序で添加することによって、混合物13bbを調製した。
【0092】
この混合物13bbを周囲温度(23℃)でペースト13baに添加し、毎分1200回転で15分間、機械的撹拌器を用いて均質化して、着色プライマー−サーフェーサーコーティング組成物13bを得た。このコーティング組成物13bの動粘度は300mPa・sであり(25s
−1の剪断速度で測定)、そのpH値は8.0であった。
【0093】
実施例14 下地塗装コーティング組成物の調製
表1の以下の製法に従って、実施例1〜6のポリウレタン−ビニルポリマーハイブリッド分散液から、下地塗装コーティング組成物を調製した。
【0094】
下地塗装組成物(構成成分の質量はg単位)
【表1】
【0095】
下地塗装組成物を、以下の製法に従って調製した:ポリウレタン−ビニルポリマーハイブリッド分散液(実施例1〜実施例6)を装入し、明記された順序でメチル化高イミノメラミン架橋剤(Cymel(登録商標)327、Allnex USA Inc.)、ジメチルエタノールアミン(脱イオン水中の10%強度溶液)、及び脱イオン水(パートA)をこの装入物に添加し、その後毎分900回転の機械的撹拌器を用いて均質化した。15分間撹拌した後、脱イオン水中のアクリル系コポリマー増粘剤の10%強度溶液(Rheovis(登録商標)AS 1130、BASF SE)及び更なる脱イオン水(パートB)を添加し、毎分900回転で更に10分間均質化した。別個のステップにおいて、アルミニウムフレーク(シリカ内包アルミニウムフレーク、Hydrolan(登録商標)2154、Eckart GmbH)を装入し、アニオン性湿潤剤(Additol XL(登録商標)250、Allnex Austria GmbH)及びブチルグリコール(エチレングリコールモノブチルエーテル)を添加し、毎分600回転で30分間、機械的撹拌器を用いて均質化することで、アルミニウムフレークスラリー(パートC)を調製した。次いで、予備ブレンドされたパートA及びBに、均質化したパートCを毎分900回転で撹拌しながら添加し、更に20分間均質化した。最後のステップにおいて、イソブタノール(パートD)を添加し、毎分900回転で更に5分間、混合物を均質化した。
【0096】
記載されるように調製した下地塗装コーティング組成物を、周囲温度(23℃)で12時間静止した。この時間の後、脱イオン水中のジメチルエタノールアミンの10%強度溶液によって、pH値を8.3に調整し、脱イオン水を添加することで、塗料の粘度を300mPa・s(25s
−1の剪断速度で測定)に調整した。これらの組成については表2で詳述する。
【0097】
下地塗装塗料組成物(構成成分の質量はg単位)
【表2】
【0098】
実施例15 仕上塗装コーティング組成物の調製
実施例15a−ヒドロキシ官能性アクリル系ポリマー
アクリル系コポリマーを、以下の製法に従って作製した:
撹拌器、不活性ガス入口、加熱及び冷却システム、ならびに添加漏斗を備え付けられた反応器に、ネオデカン酸のグリシジルエステルを装入し、175℃に加熱した。6時間以内に、74.8gのアクリル酸、229.3gのヒドロキシエチルメタクリレート、178.3gのtert−ブチルメタクリレート、62.7gのメチルメタクリレート、及び222.4gのスチレンからなる、モノマーと開始剤との混合物を、19.8gのジ−tert−アミルペルオキシドと共に添加し、ポリマーを形成した。反応混合物を更に2時間撹拌したが、このときまでに95%超の変換が認められた。固体の質量分率が75%になるまで酢酸ブチルを添加することで、このコポリマーを希釈し、室温まで冷ました後、溶液を濾過して懸濁されていた固体を取り除き、その後更に酢酸ブチルを添加することで、固体の質量分率を70%に調整した。
【0099】
実施例15b−仕上塗装コーティング組成物の調製
2種類の予備混合物を、以下の製法に従って調製した:
パートA:
825gの、実施例15aのヒドロキシ官能性アクリル系ポリマー溶液
51gの酢酸ブチル
51gのキシレン
51gのメトキシプロピルアセテート
5gの束縛アミン光安定剤(ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートと、1−(メチル)−8−(1,2,2,6,6,ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケートとの混合物、BASF SEによりTinuvin(登録商標)292として販売)
15gのベンゾトリアゾール系光安定剤(β−[3−(2−H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチルフェニル]−プロピオン酸ポリ[エチレングリコール]300−エステルと、ビス{β−[3−(2−H−ベンゾ−トリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−5−tert.ブチルフェニル]−プロピオン酸}−ポリ(エチレングリコール)300−エステルとの混合物、Tinuvin(登録商標)1130として販売、BASF SE)
2gの、修飾シリコーンに基づく均染剤(Additol(登録商標)VXL 4930、Allnex Austria GmbH)
パートB:
322gの、酢酸ブチル中に溶解させたHDIトリマー、溶質の質量分率90%(Desmodur(登録商標)N3390BA、イソシアヌレート系、CAS Nr.:28182−81−2、Bayer Material Science AGにより販売)
97gの酢酸ブチル
40gのキシレン
24gのソルベントナフサ150/180(150℃〜180℃の沸点範囲をもつ芳香族炭化水素のブレンド)
【0100】
パートAの成分を言及した順番で装入し、毎分900回転で15分間、23℃で機械的攪拌器を用いて均質化した。
【0101】
別個のステップにおいて、トリマー性HDIの溶液及び溶媒をブレンドし、毎分900回転で撹拌しながら予備ブレンドしたパートAに添加した。10分間均質化した後、酢酸ブチルとソルベントナフサ150/180との質量比が60/40の混合物を添加することで、仕上塗装の粘度を130mPa・s(25s
−1の剪断速度で測定)に調整した。この使用準備済仕上塗装コーティング組成物は、90分以内に適用されねばならない。
【0102】
実施例16 多層コーティングの調製
多層コーティングを、以下の手順に従って、実施例12のCEDコーティング組成物、実施例13bのプライマー−サーフェーサーコーティング組成物、実施例14の下地塗装組成物(塗料L1〜L6)、及び実施例15の仕上塗装コーティング組成物から調製した:
【0103】
試験パネルの調製:
12枚のリン酸亜鉛化鋼鉄パネル(Chemetallからの(登録商標)Gardobond 26S 6800 OC)を、以下の条件の下、実施例12によるCED塗料でコーティングした:
CED浴温度:30℃
堆積時間:2分間
電圧:300V
【0104】
コーティングしたパネル全てを、周囲温度で30分間フラッシュオフさせ、その後180℃で20分間焼付けた。全てのパネルに関して、CED層の乾燥膜厚は22μmであった。次のステップにおいて、実施例13bのプライマーサーフェーサーコーティング組成物を12枚のパネル全てに適用し(乾燥膜厚30μm)、フラッシュオフステップ(23℃で10分間)の後、165℃で20分間焼付けた。第3のステップにおいて、12枚のパネルを、実施例14の下地塗装組成物でオーバーコーティングした(塗料L1〜L6、塗料L1〜L6全てについて各2枚のパネル)。下地塗装層(乾燥膜厚10μm)を23℃で10分間フラッシュオフさせ、その後80℃で10分間焼付けた。最後に、全てのパネルを、実施例15の仕上塗装組成物でオーバーコーティングし(乾燥膜厚50μm)、140℃で20分間焼付けた。
【0105】
パネル調製の詳細な概要
【表3】
【0106】
パネル1〜6(P1、P2、…P6)は、DIN EN ISO20567−1に従うストーンチップ試験(2×500gのチップ、0.2MPa=2バールの空気圧で輸送)に供し、パネル1a〜6a(P1a、P2a、…P6a)は、DIN EN ISO6270−2に従う耐湿性試験(一定の湿度の凝縮環境、試験期間は240時間)を実行するのに使用した。試験時間後、これらのパネルは、23℃及び65%の相対湿度において1時間再生処理させ、その後DIN EN ISO4628−2(瑕疵の量及びサイズ、ならびに見かけ上の一様の変化の強度の指定−第2部:膨れ度合いの評価)に従ってこれらのパネルを評価した。
得られた結果を表4に示す。
【0107】
試験結果
【表4】
【0108】
この比較から、下地塗装層の調製において使用されたポリウレタン−ビニルポリマーハイブリッド分散液について、主成分として疎水性修飾ポリエステルを使用することで、ストーンチップ試験(層間の接着力を示す)及び耐湿性の両方が顕著に改善されることが示される。これは当業者も予期できなかったことであろう。