【文献】
Kazuo Takeuchi,Investigation of Engine Oil Effect on Abnormal Combustion in Turbocharged Direct Injection - Spark Ignition Engines,SAE International Journal of Fuels and Lubricants,2012年,Vol.5, No.3,pp.1017-1024
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
配合油を潤滑油として使用することによって、前記潤滑油で潤滑されたエンジンにおける低速プレイグニッションを防止または低減する方法であって、前記配合油が、主成分として潤滑油ベースストックと、副成分として884ppm以下の亜鉛を与える少なくとも1種の亜鉛含有化合物と、副成分として少なくとも1種のホウ素含有分散剤とを含む組成を有し、前記少なくとも1種のホウ素含有分散剤が、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含み、
前記少なくとも1種のホウ素含有分散剤について、ホウ素/窒素の比が、0.26以下であり、
前記エンジンが、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含まない潤滑油を使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較すると、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)について標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、50%よりも大きい低速プレイグニッションの低減を示し、
前記エンジンが、過給ガソリンエンジンであり、
前記潤滑油が、過給ガソリンエンジン用潤滑油であり、
副成分として、少なくとも1種の清浄剤をさらに含み、前記清浄剤が、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含み、前記少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩が、少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含む、
方法。
前記潤滑油ベースストックが、グループI、グループII、グループIII、グループIVまたはグループVのベース油を含み、前記グループVのベース油が、前記グループVのベース油の総重量に基づいて、2重量%〜20重量%の濃度でエステルベース油を含み、前記エステルベース油が、100℃で2cSt〜8cStの動粘度を有し、前記グループIIIのベース油がGTLベース油を含む、請求項1又は2に記載の方法。
前記ホウ素含有化合物またはホウ酸化分散剤が、ホウ酸化スクシンイミド、ホウ酸化コハク酸エステル、ホウ酸化コハク酸エステルアミド、ホウ酸化マンニッヒ塩基およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
ホウ素が、有機もしくは無機ホウ素含有化合物と、ホウ酸化スクシンイミド、ホウ酸化コハク酸エステル、ホウ酸化コハク酸エステルアミド、マンニッヒ塩基エステルまたはそれらの混合物との混合物によって前記潤滑油に提供され、前記ホウ酸化スクシンイミドが、モノスクシンイミド、ビス−スクシンイミドまたはそれらの混合物である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
前記潤滑油中の、前記亜鉛含有化合物からの全亜鉛と、前記清浄剤からの全アルカリ土類金属とを加算して、前記ホウ素含有化合物およびホウ酸化分散剤からの全ホウ素で割った比率が9.2〜45である、請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
前記有機酸のアルカリ土類金属塩が、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
前記亜鉛含有化合物が、ジンクカルボキシレート、ジンクスルホネート、ジンクアセテート、ジンクナフテネート、ジンクアルケニルスクシネート、ジンクアシッドホスフェートソルト、ジンクフェネートおよびジンクサリシレートからなる群から選択される、請求項2〜9のいずれか1項に記載の方法。
配合エンジン油を潤滑油として使用することによって、前記潤滑油で潤滑されたエンジンにおける低速プレイグニッションを防止または低減する方法であって、前記配合エンジン油が、70〜85重量%の少なくとも1種の潤滑油ベースストックと、副成分として884ppm以下の亜鉛を与える少なくとも1種の亜鉛含有化合物と、前記配合エンジン油に30〜1500ppmのホウ素を提供する量の少なくとも1種のホウ素含有分散剤とを含む組成を有し、前記少なくとも1種のホウ素含有分散剤が、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含み、
前記少なくとも1種のホウ素含有分散剤について、ホウ素/窒素の比が、0.26以下であり、
前記エンジンが、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含まない潤滑油を使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較すると、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)について標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、50%よりも大きい低速プレイグニッションの低減を示し、
前記エンジンが、過給ガソリンエンジンであり、
前記潤滑油が、過給ガソリンエンジン用潤滑油であり、
副成分として、少なくとも1種の清浄剤をさらに含み、前記清浄剤が、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含み、前記少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩が、少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含む、
方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
本明細書の詳細な説明および特許請求の範囲内の全ての数値は、示された値に「約」または「およそ」によって修飾され、および当業者によって予想されるであろう実験的誤差および変動が考慮される。
【0022】
今や、潤滑油中に、特定の量(例えば、潤滑油の全重量に基づき約0.1〜約20重量%)で存在する少なくとも1種のホウ素含有化合物(例えば、ホウ酸化スクシンイミド)、好ましくは、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含む配合油を潤滑油として使用することによって、潤滑油で潤滑されたエンジンにおいてLSPIの防止または低減を達成し得ることが見出された。加えて、特定のベースストックを有する配合油を潤滑油として使用することによって、潤滑油で潤滑されたエンジンにおいてLSPIの低減を達成し得ることが見出された。配合油は、主成分として潤滑油ベースストックと、副成分として少なくとも1種のホウ素含有化合物とを含んでなる組成を有する。少なくとも1種のホウ素含有化合物は、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含んでなる。本開示の潤滑油は、天然ガス、ガソリン、ディーゼル、バイオ燃料などを含む様々な燃料を使用する内部燃焼エンジンにおいて、ならびに乗用車用エンジン油および天然ガスエンジン油を含む様々な用途に関して特に都合がよい。
【0023】
本開示の潤滑油は、内部燃焼エンジンにおいて特に有用であり、かつ内部燃焼エンジンにおいて使用される時にプレイグニッションの問題を防止または最小化するであろう。本開示の潤滑油組成物は、潤滑油混合ガソリン燃料による火花点火エンジンにおいて有用である。
【0024】
本明細書に記載の通り、本開示の潤滑剤配合物の化学的性質は、すでに設計されたか、または市販されているエンジン、および将来的なエンジン技術においてLSPIの有害作用を防止または制御するために使用することができる。本開示の潤滑剤配合物の化学的性質は、OEM技術および効率改善に対する障壁を取り除き、および現在LSPIによって妨げられている低速化されたターボ過給ガソリンエンジンのさらなる開発を可能にする。LSPIを防止または低減するための本開示によって得られる潤滑剤配合物による解決策は、LSPIに関して、製品の差別化を可能にする。
【0025】
潤滑油ベースストック
広範囲の潤滑剤ベース油が当該技術分野において既知である。本開示において有用である潤滑剤ベース油は、天然油および合成油の両方であり、かつ非慣例的な油(またはその混合物)を未精製、精製または再精製の状態で使用することもできる(後者は再生利用または再処理油としても既知である)。未精製油は、天然または合成供給源から直接得られるものであり、かつ追加的な精製を行わずに使用される。これらには、乾留操作から直接得られる頁岩油、一次蒸留から直接得られる石油、およびエステル生成プロセスから直接得られるエステル油が含まれる。精製油は、少なくとも1つの潤滑油特性を改善するための1回以上の精製工程を受けることを除き、未精製油に関して議論された油に類似する。当業者は多くの精製プロセスに精通している。これらのプロセスには、溶媒抽出、二次蒸留、酸抽出、塩基抽出、ろ過およびパーコレーションが含まれる。再精製油は、精製油に類似であるが、以前に使用されたことのある油を供給ストックとして使用する。
【0026】
グループI、II、III、IVおよびVは、潤滑剤ベース油のガイドラインを作成するためにAmerican Petroleum Institute(API Publication 1509;www.API.org)によって開発および定義された広範囲のベース油ストックの分類である。グループIベースストックは、約80〜120の粘度指数を有し、約0.03%より多い硫黄および/または約90%未満の飽和を含有する。グループIIベースストックは、約80〜120の粘度指数を有し、約0.03%以下の硫黄および約90%以上の飽和を含有する。グループIIIストックは、約120より高い粘度指数を有し、約0.03%以下の硫黄および約90%より多い飽和を含有する。グループIVは、ポリアルファオレフィン(PAO)を含む。グループVベースストックは、グループI〜IVに含まれないベースストックを含む。以下の表に、これらの5つのグループのそれぞれの特性を要約する。
【0028】
天然油には、動物油、植物油(例えば、ヒマシ油およびラード油)、ならびに鉱油が含まれる。好ましい熱酸化安定性を有する動物および植物油を使用することができる。天然油の中で、鉱油が好ましい。鉱油は、それらの原油産地によって、例えば、それらがパラフィン系、ナフテン系または混合パラフィン−ナフテン系であるかどうかによって大きく異なる。石炭または頁岩から誘導される油も有用である。天然油は、それらの製造および精製のために使用される方法によって、例えば、それらの蒸留範囲によって、およびそれらが直留であるか、または分解されたか、水素化精製されたか、または溶媒抽出されたかどうかによっても異なる。
【0029】
ポリアルファオレフィン、アルキル芳香族および合成エステルなどの合成油を含むグループIIおよび/またはグループIII水素化処理または水素化分解ベースストックも周知のベースストック油である。
【0030】
合成油には、炭化水素油が含まれる。炭化水素油には、重合および共重合オレフィン(例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレンイソブチレンコポリマー、エチレン−オレフィンコポリマーおよびエチレン−アルファオレフィンコポリマー)などの油が含まれる。ポリアルファオレフィン(PAO)油ベースストックは、一般に使用される合成炭化水素油である。例として、C
6、C
8、C
10、C
12、C
14またはそれらの混合物から誘導されるPAOが利用されてもよい。例えば、米国特許第4,956,122号明細書、同第4,827,064号明細書および同第4,827,073号明細書を参照されたい。
【0031】
既知の材料であり、かつExxonMobil Chemical Company、Chevron Phillips Chemical Company、BPおよび他などの供給元から商業的規模で一般に入手可能であるPAOの数平均分子量は、典型的に250〜3,000の範囲であるが、PAOは約150cSt(100℃)までの粘度で製造されてもよい。PAOは、典型的に、アルファオレフィンの比較的低分子量の水素化ポリマーまたはオリゴマーから構成され、これらには、限定されないが、C
2〜約C
32アルファオレフィンが含まれ、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラドセンなどのC
6〜約C
16アルファオレフィンが好ましい。好ましいポリアルファオレフィンは、ポリ−1−ヘキセン、ポリ−1−オクテン、ポリ−1−デセンおよびポリ−1−ドデセンならびにそれらの混合物および混合オレフィン誘導ポリオレフィンである。しかしながら、C
14〜C
18の範囲のより高級なオレフィンの二量体が、十分低揮発性の低粘度ベースストックを供給するために使用されてもよい。粘度グレードおよび出発オリゴマー次第で、PAOは、主に、1.5〜12cStの粘度範囲を有する、わずかな量のより高級なオリゴマーによる出発オレフィンの三量体および四量体であってもよい。特定の用途のPAO流体は、3.0cSt、3.4cStおよび/または3.6cStならびにそれらの組み合わせを含んでもよい。必要に応じて、1.5〜150cStの粘度範囲を有するPAO流体の二峰性混合物が使用されてもよい。
【0032】
PAO流体は、例えば、三塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、または三フッ化ホウ素と水との錯体、エタノール、プロパノールまたはブタノールなどのアルコール、酢酸エステルまたはプロピオン酸エチルなどのカルボン酸またはエステルを含むフリーデル−クラフツ触媒などの重合触媒の存在下でのアルファオレフィンの重合によって都合よく製造されてもよい。例えば、米国特許第4,149,178号明細書または同第3,382,291号明細書によって開示された方法が本明細書において都合よく使用されてもよい。PAO合成についての他の説明は、米国特許第3,742,082号明細書、同第3,769,363号明細書、同第3,876,720号明細書、同第4,239,930号明細書、同第4,367,352号明細書、同第4,413,156号明細書、同第4,434,408号明細書、同第4,910,355号明細書、同第4,956,122号明細書および同第5,068,487号明細書に見られる。C
14〜C
18オレフィンの二量体は、米国特許第4,218,330号明細書に記載される。
【0033】
他の有用な潤滑性油ベースストックとしては、水素異性化ワックス状ストック(例えば、ガス油、スラックワックス、燃料水素化分解装置残留物などのワックス状ストック)、水素異性化フィッシャー−トロプシュワックス、気体−液体(GTL)ベースストックおよびベース油、およびほかの異性化ワックス水素異性化ベースストックおよびベース油、またはそれらの混合物を含んでなる異性化ワックスベースストックおよびベース油が含まれる。フィッシャー−トロプシュワックスは、フィッシャー−トロプシュ合成の高沸点残留物であり、非常に低い硫黄含有量を有する高パラフィン系炭化水素である。そのようなベースストックの製造のために使用される水素化処理では、特別な潤滑油水素化分解(LHDC)触媒の1種などの非晶質水素化分解/水素異性化触媒、または結晶質水素化分解/水素異性化触媒、好ましくは、ゼオライト系触媒が使用されてもよい。例えば、1つの有用な触媒は、その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,075,269号明細書に記載のされるZSM−48である。水素化分解/水素異性化蒸留物および水素化分解/水素異性化ワックスの製造方法は、例えば、米国特許第2,817,693号明細書、同第4,975,177号明細書、同第4,921,594号明細書および同第4,897,178号明細書、ならびに英国特許第1,429,494号明細書、同第1,350,257号明細書、同第1,440,230号明細書および同第1,390,359号明細書に記載される。上記特許はそれぞれ、全体として参照によって本明細書に組み込まれる。特に好ましい方法は、参照によって本明細書に組み込まれる欧州特許出願公開第464546号明細書および同第464547号明細書に記載される。フィッシャー−トロプシュワックス供給材料を使用する方法は、その開示が全体として参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,594,172号明細書および同第4,943,672号明細書に記載される。
【0034】
気体−液体(GTL)ベース油、フィッシャー−トロプシュワックス誘導ベース油、および他のワックス誘導水素異性化(異性化ワックス)ベース油は本開示において都合よく使用され得、かつ100℃において約3cSt〜約50cSt、好ましくは、約3cSt〜約30cSt、より好ましくは、約3.5cSt〜約25cStの有用な動粘度(kinematic viscosities)、例えば、GTL4の場合、100℃において約4.0cSTの動粘度および約141の粘度指数を有し得る。これらの気体−液体(GTL)ベース油、フィッシャー−トロプシュワックス誘導ベース油、および他のワックス誘導水素異性化ベース油は、約−20℃以下の有用な流動点を有し得、およびいくつかの条件下においては、約−25℃以下の都合のよい流動点を有し得るが、有用な流動点は約−30℃〜約−40℃以下である。気体−液体(GTL)ベース油、フィッシャー−トロプシュワックス誘導ベース油、およびワックス誘導水素異性化ベース油の有用な組成は、例えば、全体として参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,080,301号明細書、同第6,090,989号明細書および同第6,165,949号明細書に記載される。
【0035】
ヒドロカルビル芳香族は、ベース油またはベース油成分として使用され得、かつベンゼノイド部分またはナフテノイド部分またはそれらの誘導体などの芳香族部分から誘導されるその重量の少なくとも約5%を含有するいずれかのヒドロカルビル分子であることも可能である。これらのヒドロカルビル芳香族には、アルキルベンゼン、アルキルナフタリン、アルキルジフェニルオキシド、アルキルナフトール、アルキルジフェニルスルフィド、アルキル化ビスフェノールA、アルキル化チオジフェノールなどが含まれる。芳香族は、モノアルキル化、ジアルキル化、ポリアルキル化などされ得る。芳香族は、単官能化または多官能化され得る。ヒドロカルビル基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基および他の関連ヒドロカルビル基の混合物から構成されることも可能である。ヒドロカルビル基は、約C
6〜約C
60の範囲であり得るが、約C
8〜約C
20の範囲がしばしば好ましい。ヒドロカルビル基の混合物がしばしば好ましく、およびそのような置換基の3個までが存在してもよい。ヒドロカルビル基は、任意選択的に、硫黄、酸素および/または窒素含有置換基を含有し得る。芳香族基は、分子の少なくとも約5%が上記種類の芳香族部分から構成されることを条件として、天然(石油)供給源から誘導されることも可能である。ヒドロカルビル芳香族成分に関して、約3cSt〜約50cStの100℃における粘度が好ましく、約3.4cSt〜約20cStの粘度がより好ましい。一実施形態において、アルキル基が主に1−ヘキサデセンから構成されるアルキルナフタレンが使用される。芳香族の他のアルキレートが有利に使用されることも可能である。例えば、ナフタレンまたはメチルナフタレンは、オクテン、デセン、ドデセン、テトラデセンまたはより高級なオレフィンなどのオレフィン、同様のオレフィンの混合物などによってアルキル化し得る。潤滑油組成物中のヒドロカルビル芳香族の有用な濃度は、用途次第で、約2〜約25%、好ましくは約4%〜約20%、より好ましくは約4%〜約15%であり得る。
【0036】
本開示のヒドロカルビル芳香族などのアルキル化芳香族は、芳香族化合物の周知のフリーデル−クラフツアルキル化法によって製造されてもよい。Friedel−Crafts and Related Reactions,Olah,G.A.(ed.),Inter−science Publishers,New York,1963を参照されたい。例えば、ベンゼンまたはナフタレンなどの芳香族化合物は、フリーデル−クラフツ触媒の存在下で、オレフィン、ハロゲン化アルキルまたはアルコールによってアルキル化される。Friedel−Crafts and Related Reactions,Vol.2,part 1,chapters 14,17および18、Olah,G.A.(ed.),Inter−science Publishers,New York,1964を参照されたい。多くの均質または不均質固体触媒が当業者に知られている。触媒の選択は、出発材料の反応性および製品の要求品質次第である。例えば、AlCl
3、BF
3またはHFなどの強酸が使用されてもよい。いくつかの場合、FeCl
3またはSnCl
4などのより穏やかな触媒が好ましい。より新しいアルキル化技術では、ゼオライトまたは固体超酸が使用される。
【0037】
エステルは有用なベースストックを構成する。付加的な溶解作用およびシール適合性特徴は、モノアルカノールとの二塩基酸のエステルおよびモノカルボン酸のポリオールエステルなどのエステルの使用によって確保され得る。前者の種類のエステルには、例えば、フタル酸、コハク酸、アルキルコハク酸、アルケニルコハク酸、マレイン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、アジピン酸、リノール酸二量体、マロン酸、アルキルマロン酸、アルケニルマロン酸などのジカルボン酸と、ブチルアルコール、ヘキシルアルコール、ドデシルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどの様々なアルコールとのエステルが含まれる。これらの種類のエステルの具体的な例としては、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソオクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシル、セバシン酸ジエイコシルなどが含まれる。
【0038】
特に有用な合成エステルは、1種以上の多価アルコール、好ましくは、ヒンダードポリオール(ネオペンチルポリオール、例えば、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールおよびジペンタエリトリトールなど)を、少なくとも約4個の炭素原子を含有するアルカノン酸、好ましくは、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、エイコサン酸およびベヘン酸を含む飽和直鎖脂肪酸、もしくは相当する分枝鎖脂肪酸、もしくはオレイン酸などの不飽和脂肪酸、またはこれらの材料のいずれかの混合物などのC
5〜C
30酸と反応させることによって得られるものである。
【0039】
適切な合成エステル成分には、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、トリメチロールエタン、ペンタエリトリトールおよび/またはジペンタエリトリトールと、約5〜約10個以上の炭素原子を含有する1種以上のモノカルボン酸とのエステルが含まれる。これらのエステルは商業的に広く入手可能であり、例えば、ExxonMobil Chemical CompanyのMobil P−41およびP−51エステルである。
【0040】
本開示で有用な好ましい合成エステルは、約3cSt〜約50cSt、好ましくは約3cSt〜約30cSt、より好ましくは約3.5cSt〜約25cSt、さらにより好ましくは約2cSt〜約8cStの100℃における動粘度を有する。本開示において有用なグループVベース油は、好ましくは約2%〜約20%、好ましくは約5%〜約15%の濃度でエステルを構成する。
【0041】
ココナツ、ヤシ、ナタネ、ダイズ、ヒマワリなどの再生可能な材料から誘導されるエステルも有用である。これらのエステルは、モノエステル、ジエステル、ポリオールエステル、複合エステルまたはそれらの混合物であってもよい。これらのエステルは商業的に広く入手可能であり、例えば、ExxonMobil Chemical CompanyのMobil P−51エステルである。
【0042】
再生可能なエステルを含有するエンジン油配合物は本開示に含まれる。そのような配合物に関して、エステルの再生可能な含有量は、典型的に、約70重量パーセントより多く、好ましくは約80重量パーセントより多く、および最も好ましくは約90重量パーセントより多い。
【0043】
潤滑粘度の他の有用な流体としては、高性能の潤滑特性を提供するために、好ましくは触媒によって処理された、または合成された非従来型または非慣例型ベースストックが含まれる。
【0044】
非従来型または非慣例型ベースストック/ベース油としては、1種以上の気体−液体(GLT)材料から誘導されたベースストックの混合物、ならびに天然ワックスもしくはワックス状供給材料、鉱油および/または非鉱油ワックス状供給ストック、例えば、スラックワックス、天然ワックス、およびワックス状ストック、例えば、ガス油、ワックス状燃料水素化分解装置残留物、ワックス状ラフィネート、水素化分解生成物、熱分解生成物もしくは他の鉱物、鉱油、または非石油誘導ワックス状材料、例えば、石炭液化から受け取られたワックス状材料もしくは頁岩油から誘導された異性化/イソ脱ロウ化ベースストック、およびそのようなベースストックの混合物の1種以上が含まれる。
【0045】
GTL材料は、水素、二酸化炭素、一酸化炭素、水、メタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、プロピレン、プロピン、ブタン、ブチレンおよびブチンなどの供給ストックとしての気体状炭素含有化合物、水素含有化合物および/または要素からの1種以上の合成、組み合わせ、変換、転位、および/または分解/脱構築プロセスによって誘導される材料である。GTLベースストックおよび/またはベース油は、一般に、炭化水素、例えば、それら自体が供給ストックとしてより単純な気体状炭素含有化合物、水素含有化合物および/または他の要素から誘導されるワックス状合成炭化水素から誘導される潤滑粘度のGTL材料である。GTLベースストックおよび/またはベース油には、潤滑油沸騰範囲で沸騰する油であって、(1)合成されたGTL材料から、例えば、蒸留などによって分離/分留され、その後、流動点が減少した/低流動点の潤滑油を製造するために、触媒脱ロウプロセスまたは溶媒脱ロウプロセスの一方または両方を含む最終ワックス処理工程を受けるもの;(2)例えば、水素脱ロウまたは水素異性化された触媒および/または溶媒脱ロウされた合成ワックスまたはワックス状炭化水素を含んでなる合成異性化ワックス;(3)水素脱ロウまたは水素異性化された触媒および/または溶媒脱ロウされたフィッシャー−トロプシュ(F−T)材料(すなわち、炭化水素、ワックス状炭化水素、ワックスおよび可能な類似のオキシジェネート);好ましくは、水素脱ロウまたは水素異性化され/続いて、触媒および/または溶媒脱ロウされたF−Tワックス状炭化水素、あるいは水素脱ロウまたは水素異性化され/続いて、触媒(または溶媒)脱ロウされたF−Tワックス、またはそれらの混合物が含まれる。
【0046】
GTL材料から誘導されるGTLベースストックおよび/またはベース油、特に、水素脱ロウまたは水素異性化され/続いて、触媒および/または溶媒脱ロウされたワックスまたはワックス状供給材料、好ましくは、F−T材料誘導ベースストックおよび/またはベース油は、典型的に、約2mm
2/秒〜約50mm
2/秒の100℃における動粘度を有することを特徴とする(ASTM D445)。それらは、典型的に、約5℃〜約40℃以下の流動点を有することをさらに特徴とする(ASTM D97)。またそれらは、典型的に、約80〜約140以上の粘度指数を有することを特徴とする(ASTM D2270)。
【0047】
GLTベースストックおよび/またはベース油および/またはワックス異性体ベースストックおよび/またはベース油という用語は、製造プロセスで回収された広い粘度範囲のそのような材料の個々のフラクション、そのようなフラクションの2つ以上の混合物、ならびに標的の動粘度を示すブレンドを製造するための低粘度フラクションの1つまたは2つ以上と、高粘度フラクションの1つまたは2つ以上との混合物を包括するものとして理解される。
【0048】
GLTベースストックおよび/またはベース油が誘導されるGLT材料は、好ましくは、FT材料(すなわち、炭化水素、ワックス状炭化水素、ワックス)である。
【0049】
加えて、GTLベースストックおよび/またはベース油は、典型的に、高パラフィン(>90%飽和)であり、かつ非環式イソパラフィンと組み合わせて、単環式パラフィンおよび多環式パラフィンの混合物を含有していてもよい。そのような組み合わせにおけるナフテン系(すなわち、シクロパラフィン)含有量の比率は、使用される触媒および温度によって変動する。さらに、GTLベースストックおよび/またはベース油、ならびに水素脱ロウされたか、または水素異性化された/触媒(および/または溶媒)脱ロウされたベースストックおよび/またはベース油は、典型的に、非常に低い硫黄および窒素含有量を有し、一般に、これらの元素をそれぞれ、約10ppm未満、より典型的に約5ppm未満含有する。F−T材料、特にF−Tワックスから誘導されたGTLベースストックおよび/またはベース油の硫黄および窒素含有量は本質的にゼロである。加えて、リンおよび芳香族がないことによって、この材料は特に、低硫黄、硫酸灰分(sulfated ash)およびリン(低SAP)製品の配合に適切である。
【0050】
本開示において有用な配合された潤滑油で使用するためのベース油は、それらの優れた揮発性、安定性、粘性測定および清浄度特性のため、APIグループI、グループII、グループIII、グループIVおよびグループV油およびそれらの混合物、好ましくは、APIグループII、グループIII、グループIVおよびグループVの油およびそれらの混合物、より好ましくは、グループIII〜グループVベース油に相当する様々な油のいずれかである。上記ベースストックは、本開示に開示される添加剤成分と組み合わせて使用される場合、優れたLSPI性能を有するSAE 0W−8、SAE 0W−12、SAE 0W−16、SAE 0W−20、SAE 0W−30、SAE 0W−40、SAE 5W−12、SAE 5W−16、SAE 5W−20、SAE 5W−30およびSAE 10W−40製品を配合するために使用することができる。これらのベースストックは、本開示に開示される添加剤成分と組み合わせて使用される場合、優れたLSPI性能を有するSAE 0W−8、SAE 0W−12、SAE 0W−16、SAE 0W−20、SAE 0W−30、SAE 0W−40およびSAE 5W−30油を配合する際に特に有効である。
【0051】
ベース油は、本開示のエンジン油潤滑油組成物の主成分を構成し、および組成物の全重量に基づき、典型的に約50〜約99重量%、好ましくは約70〜約95重量%、より好ましくは約85〜約95重量%の範囲の量で存在する。ベース油は、火花点火および圧縮点火エンジンのためのクランク室潤滑油として典型的に使用される合成または天然油のいずれかからも選択されてよい。ベース油は、都合よく、ASTM規格に従って、100℃で約2.5cSt〜約12cSt(またはmm
2/秒)、好ましくは、100℃で約2.5cSt〜約9cSt(またはmm
2/秒)、より好ましくは、100℃で約3.5cSt〜約7cSt(またはmm
2/秒)、いくつかの用途において、さらにより好ましくは、100℃で約3.5cSt〜約5cSt(またはmm
2/秒)の動粘度を有する。必要に応じて、合成および天然ベース油の混合物が使用されてもよい。必要に応じて、グループIII、IVおよびVの混合物が好ましくは使用されてもよい。
【0052】
分散剤
エンジン運転の間、油不溶性の酸化副産物が生じる。分散剤は、これらの副産物を溶液中に保持することを促進し、したがって、金属表面上でのそれらの堆積が低減する。潤滑油の配合物中で使用される分散剤は、本質的に無灰型または灰分形成型であってよい。好ましくは、分散剤は無灰である。いわゆる無灰分散剤は、燃焼時に実質的に灰分を形成しないか、またはわずかに形成する有機材料である。例えば、非金属含有またはホウ酸化された金属を含まない分散剤が無灰であると思われる。対照的に、上記の金属含有清浄剤は燃焼時に灰分を形成する。
【0053】
本開示において、少なくとも1種のホウ素含有化合物が有用である。ホウ素含有化合物は、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤もしくはホウ酸化分散剤との混合物を含んでなる。ホウ酸化分散剤または他のホウ素含有添加剤からの配合物中のホウ素の有効な範囲は、30ppm〜1500ppm、または60ppm〜1000ppmのより好ましい範囲、または120ppm〜600ppmの最も好ましい範囲である。
【0054】
好ましくは、ホウ素含有化合物には、例えば、ホウ酸化スクシンイミド(borated succinimide)、ホウ酸化コハク酸エステル(borated succinate ester)、ホウ酸化コハク酸エステルアミド(borated succinate ester amide)、ホウ酸化マンニッヒ塩基(borated Mannich base)およびそれらの混合物が含まれる。
【0055】
非ホウ酸化分散剤としては、例えば、ホウ素含有化合物を含んでなるカップリング剤とのヒドロカルビル無水コハク酸誘導スクシンイミドまたはコハク酸エステルが含まれる。
【0056】
好ましくは、ホウ素は、有機もしくは無機ホウ素含有化合物およびホウ酸化スクシンイミド、および/またはホウ素含有化合物およびヒドロカルビルスクシンイミド、および/またはホウ酸化スクシンイミド、ホウ酸化コハク酸エステル、ホウ酸化コハク酸エステルアミド、マンニッヒ塩基エステル、またはそれらの混合物の混合物によって潤滑油に提供される。ホウ酸化スクシンイミドは、好ましくは、モノスクシンイミド、ビス−スクシンイミドまたはそれらの混合物である。有効なホウ素含有化合物としては、数平均分子量(Mn)が50〜5000ダルトンであるヒドロカルビル供給源に関して誘導されたものを含むホウ酸化ヒドロカルビルスクシンイミド、ホウ酸化ヒドロカルビルスクシネート、ホウ酸化ヒドロカルビル置換マンニッヒ塩基、ホウ酸化アルコール、ホウ酸化アルコキシル化アルコール、ホウ酸化ヒドロカルビルジオール、ホウ酸化ヒドロカルビルアミン、ホウ酸化ヒドロカルビルジアミン、ホウ酸化ヒドロカルビルトリアミン、ホウ酸化アルコキシル化ヒドロカルビルアミン、ホウ酸化アルコキシル化ヒドロカルビルアミド、ホウ酸化ヒドロカルビル含有ヒドロキシルエステル、ホウ酸化ヒドロカルビル置換オキサゾリン、ホウ酸化ヒドロカルビル置換イミダゾロンなど、および有機ボレートの混合物が含まれる。−N−Hおよび/または−OH誘導部分のボレートも使用することができる。これらのボレートは、無機または有機部分誘導ボレートであることが可能である。ボレートは、ホウ酸、ホウ酸化アルコールなどを使用して調製可能である。これらのボレートは、必要に応じて、LSPIの予測されない驚くべき改善をもたらすため、エンジン油配合物中で30〜1500ppmのホウ素、60〜1200ppmのホウ素、60〜240ppmのホウ素、240〜1200ppmのホウ素、240〜500ppmのホウ素、または60〜120ppmのホウ素を提供する濃度で使用することができる。
【0057】
潤滑油中の、亜鉛含有化合物および抗摩耗剤からの全亜鉛と、清浄剤からの全アルカリ土類金属とを加算して、ホウ素含有化合物およびホウ酸化分散剤からの全ホウ素によって割った比率は、約9.2〜45、好ましくは11〜15である。
【0058】
適切な分散剤は、典型的に、比較的高分子量の炭化水素鎖に結合した極性基を含有する。極性基は、典型的に、窒素、酸素またはリンの少なくとも1種の元素を含有する。典型的な炭化水素鎖は、50〜400個の炭素原子を含有する。いくつかの実施例において、炭化水素鎖は、6〜50個の炭素原子の範囲であることが可能である。
【0059】
化学的に、多くの分散剤は、フェネート、スルホネート、硫化フェネート、サリチレート、ナフテネート、ステアレート、カルバメート、チオカルバメート、リン誘導体として特徴づけられてもよい。分散剤の特に有用な種類は、典型的に長連ヒドロカルビル置換コハク酸化合物、通常、ヒドロカルビル置換無水コハク酸とポリヒドロキシまたはポリ網の化合物との反応によって製造されるアルキルコハク酸誘導体である。油中での溶解性を与える分子の親油性部分を構成する長鎖ヒドロカルビル基は、通常、ポリイソブチレン基である。この種類の分散剤の多くの例は、商業的におよび文献において周知である。そのような分散剤を記載する代表的な米国特許は、米国特許第3,172,892号明細書、同第3,2145,707号明細書、同第3,219,666号明細書、同第3,316,177号明細書、同第3,341,542号明細書、同第3,444,170号明細書、同第3,454,607号明細書、同第3,541,012号明細書、同第3,630,904号明細書、同第3,632,511号明細書、同第3,787,374号明細書および同第4,234,435号明細書である。他の種類の分散剤は、米国特許第3,036,003号明細書、同第3,200,107号明細書、同第3,254,025号明細書、同第3,275,554号明細書、同第3,438,757号明細書、同第3,454,555号明細書、同第3,565,804号明細書、同第3,413,347号明細書、同第3,697,574号明細書、同第3,725,277号明細書、同第3,725,480号明細書、同第3,726,882号明細書、同第4,454,059号明細書、同第3,329,658号明細書、同第3,449,250号明細書、同第3,519,565号明細書、同第3,666,730号明細書、同第3,687,849号明細書、同第3,702,300号明細書、同第4,100,082号明細書、同第5,705,458号明細書に記載される。分散剤のさらなる記載は、例えば、この目的のために参照される欧州特許出願公開第471 071号明細書に見出され得る。
【0060】
ヒドロカルビル置換コハク酸およびヒドロカルビル置換無水コハク酸誘導体は、有用な分散剤である。特に、炭化水素置換期中に好ましくは少なくとも50個の炭素原子を有する炭化水素置換コハク酸化合物と、少なくとも1当量のアルキレンアミンとの反応によって調製されたスクシンイミド、コハク酸エステルまたはコハク酸エステルアミドは特に有用であるが、場合によっては、20〜50個の炭素原子を有する炭化水素置換基を有することが有用であり得る。
【0061】
スクシンイミドは、ヒドロカルビル置換無水コハク酸とアミンとの縮合反応によって形成される。モル比は、ポリアミド次第で変動可能である。例えば、ヒドロカルビル置換無水コハク酸対エチレンアミン(例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ヘプタエチレンオクタアミンなど)のモル比である。テトラエチレンペンタアミン(TEPA)を含有するポリエチレンアミンがしばしば好ましい。ヘキサエチレンヘプタミンおよびヘプタエチレンオクタアミンを含んでなる高分子量ポリエチレンアミン残留物も使用することができる。ヒドロカルビル置換無水コハク酸体ポリエチレンアミンの比率は、約1:1〜約5:1で変動可能である。代表的な例は、米国特許第,087,936号明細書、同第3,172,892号明細書、同第3,219,666号明細書、同第3,272,746号明細書、同第3,322,670号明細書および同第3,652,616号明細書、同第3,948,800号明細書、ならびにカナダ国特許第1,094,044号明細書に示される。
【0062】
コハク酸エステルは、ヒドロカルビル置換無水コハク酸とアルコールまたはポリオールとの縮合反応によって形成される。モル比は、使用されるアルコールまたはポリオール次第で変動可能である。例えば、ヒドロカルビル置換無水コハク酸およびペンタエリスリトールの縮合物は有用な分散剤である。
【0063】
コハク酸エステルアミドは、ヒドロカルビル置換無水コハク酸とアルカノールアミンとの縮合反応によって形成される。例えば、適切なアルカノールアミンとしては、エトキシル化ポリアルキルポリアミン、プロポキシル化ポリアルキルポリアミンおよびポリエチレンポリアミンなどのポリアルケニルポリアミンが含まれる。一例は、プロポキシル化ヘキサメチレンジアミンである。代表例は、米国特許第4,426,305号明細書に示される。
【0064】
全段で使用されるヒドロカルビル置換無水コハク酸の分枝量は、典型的に800〜2,500ダルトン以上の範囲である。上記生成物は、硫黄、酸素、ホルムアルデヒド、オレイン酸などのカルボン酸などの種々の試薬とその後反応させることが可能である。上記生成物は、一般に分散剤反応生成物1モルあたり約0.1〜約5モルのホウ素を有するホウ酸化分散剤を形成するために、ホウ酸、ホウ酸エステルまたは高度にホウ酸化された分散剤などのホウ素化合物と、その後反応させることも可能である。
【0065】
マンニッヒ塩基分散剤は、アルキルフェノール、ホルムアルデヒドおよびアミンの反応から製造される。参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第4,767,551号明細書を参照されたい。オレイン酸およびスルホン酸などのプロセス助剤および触媒も反応混合物の一部であることが可能である。アルキルフェノールの分子量は、800〜2,500の範囲である。代表例は、米国特許第3,697,574号明細書、同第3,703,536号明細書、同第3,704,308号明細書、同第3,751,365号明細書、同第3,756,953号明細書、同第3,798,165号明細書および同第3,803,039号明細書に示される。
【0066】
本開示において有用な典型的な高分子量脂肪酸変性マンニッヒ縮合生成物は、高分子量アルキル置換ヒドロキシ芳香族またはHN(R)
2基含有反応物から調製することができる。
【0067】
ヒドロカルビル置換アミン無灰分散剤添加剤は当業者に周知であり、例えば、米国特許第3,275,554号明細書、同第3,438,757号明細書、同第3,565,804号明細書、同第3,755,433号明細書、同第3,822,209号明細書および同第5,084,197号明細書を参照されたい。
【0068】
好ましい分散剤としては、モノスクシンイミド、ビススクシンイミドおよび/またはモノおよびビススクシンイミドの混合物からのそれらの誘導体を含む、ホウ酸化スクシンイミドが含まれ、ヒドロカルビルスクシンイミドは、約500〜約5000ダルトン、または約1000〜約3000ダルトン、または約1000〜約2000ダルトンのMnを有するポリイソブチレンなどのヒドロカルビレン基、またはそのようなヒドロカルビレン基の混合物から誘導され、これはしばしば高末端ビニル基を有する。本開示において有用な好ましい分散体は、低分子量に関しては約800〜約1700ダルトンのMn、および高分子量に関しては約1700〜約5000ダルトン以上のMnを有することを特徴とする。他の好ましい分散剤としては、コハク酸エステルおよびアミド、アルキルフェノール−ポリアミン結合マンニッヒ付加物、それらのキャップ形成誘導体および他の関連化合物が含まれる。そのような添加剤は、約0.1〜20重量%、好ましくは約0.5〜8重量%、またはより好ましくは0.5〜4重量%の量で使用されてもよい。分散剤原子の炭化水素部分は、C
60〜C
400、またはC
70〜C
300、またはC70〜C
200の範囲であることができる。これらの分散剤は、中性、塩基性の窒素または両方の混合物を含有していてもよい。分散態中の塩基性窒素対非塩基性窒素の比率は、1:5〜5:1、またはより好ましくは1:2〜2:1の範囲であることが可能である。分散剤は、ボレートおよび/もしくは環式カーボネート、および/またはヒドロカルビルカルボン酸もしくはヒドロカルビルカルボン酸無水物などのいずれかのカルボン酸によってエンドキャップ形成されることが可能である。
【0069】
本開示によると、エンジンは、少なくとも1種のホウ素含有化合物以外の副成分を含有する潤滑油を、潤滑油中で少なくとも1種のホウ素含有化合物の量以外の量で使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較して、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)に対して標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、約50%より大きい、好ましくは約70%より大きい、より好ましくは約80%より大きい低速プレイグニッションの低減を示す。同様またはより大きい低速プレイグニッションの低減は、少なくとも1種のホウ素含有化合物と、本明細書に記載の少なくとも1種の清浄剤、好ましくは、マグネシウム含有清浄剤と、および/または少なくとも1種の亜鉛含有化合物、もしくは少なくとも1種の抗摩耗剤との混合物を使用して達成することができる。
【0070】
本明細書で使用される場合、清浄剤濃度は、「送達された時」を基準にして示される。典型的に、活性清浄剤はプロセス油とともに送達される。「送達された時」の清浄剤は、典型的に、約20重量%〜約80重量%、または約40重量%〜約60重量%の活性清浄剤を「送達された時」の清浄剤中に含む。
【0071】
清浄剤
本開示において有用な例示的な清浄剤としては、例えば、アルカリ土類金属清浄剤またはアルカリ土類金属清浄剤の混合物が含まれる。典型的なアルカリ土類金属清浄剤は、分子の長鎖疎水性部分と、分子のより小さいアニオン性または疎油性の親水性部分とを含むアニオン性材料である。清浄剤のアニオン性部分は、硫黄酸、有機酸、例えば、カルボン酸、亜リン酸、フェノールまたはそれらの混合物から誘導される。対イオンはアルカリ土類金属である。好ましくは、清浄剤は、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含んでなり、および少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩は少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含んでなる。
【0072】
本開示の潤滑油において有用な好ましい清浄剤は、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート(例えば、サリチレート)、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物、ならびに潤滑油中のアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物の量は、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物以外の清浄剤を、潤滑油中でアルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物の量以外の量で含有する潤滑油を使用するエンジンにおいて達成される低速プレイグニッション性能と比較して、エンジンが低速プレイグニッションの低減を示すのに十分である。
【0073】
本開示において有用なアルカリ土類金属清浄剤は、当該技術分野において既知の方法によって調製することができる。
【0074】
好ましい種類の清浄剤は、アルカリ土類金属スルホネートである。アルカリ土類金属スルホネートを調製するために有用である硫黄酸としては、スルホン酸、チオスルホン酸、スルフィン酸、スルフェン酸、部分エステル硫酸、亜硫酸およびチオ硫酸が含まれる。スルホン酸が好ましい。
【0075】
スルホン酸は、一般に、石油スルホン酸または合成によって調製されたアルカリールスルホン酸である。石油スルホン酸の中で、最も有用な生成物は、適切な石油留分のスルホン化、その後の酸スラッジの除去および精製によって調製されるものである。合成によって調製されたアルカリールスルホン酸は、通常、ベンゼンおよびテトラプロピレンなどのポリマーのフリーデル−クラフツ反応生成物などのアルキル化ベンゼンから調製される。以下は、本開示において有用なアルカリ土類金属スルホネート清浄剤を調製するために有用なスルホン酸の具体例である。そのような例が、そのようなスルホン酸のアルカリ土類金属塩を説明するのにも有用であることは理解される。換言すれば、列挙された全てのスルホン酸に関して、それらの相当する基本的なアルカリ土類金属塩も説明されることが理解されることが意図される。
【0076】
そのようなスルホン酸には、マホガニースルホン酸、ブライトストックスルホン酸、ペトロラタムスルホン酸、モノおよびポリワックス置換ナフタレンスルホン酸、セチルクロロベンゼンスルホン酸、セチルフェノールスルホン酸、セチルフェノールジスルフィドスルホン酸、セトキシカプリルベンゼンスルホン酸、ジセチルチアントレンスルホン酸、ジラウリルベータ−ナフトールスルホン酸、ジカプリルニトロナフタレンスルホン酸、飽和パラフィンワックススルホン酸、不飽和パラフィンワックススルホン酸、ヒドロキシ置換パラフィンワックススルホン酸、テトラ−イソブチレンスルホン酸、テトラ−アミレンスルホン酸、クロロ置換パラフィンワックススルホン酸、ニトロソ置換パラフィンワックススルホン酸、石油ナフテンスルホン酸、セチルシクロペンチルスルホン酸、ラウリルシクロヘキシルスルホン酸、モノおよびポリワックス置換シクロヘキシルスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、「ダイマーアルキレート」スルホン酸などが含まれる。
【0077】
アルキル基が少なくとも8個の炭素原子を含有するアルキル置換ベンゼンスルホン酸は、ドデシルベンゼン「残留物」スルホン酸を含めて、本開示において有用である。後者は、ベンゼン環上に1、2、3つ以上の分枝鎖C
12置換基を導入するためにプロピレンターポリマーまたはイソブテントリマーによってアルキル化されたベンゼンから誘導される酸である。ドデシルベンゼン残留物、主にモノおよびジドデシルベンゼンの混合物は、副産物として家庭用洗剤の製造業者から入手可能である。
【0078】
好ましいアルカリ土類金属スルホネートとしては、スルホン酸マグネシウム、スルホン酸カルシウムおよびそれらの混合物が含まれる。
【0079】
有用な種類の清浄剤は、アルカリ土類フェネートである。これらの清浄剤は、アルカリ土類金属水酸化物または酸化物(例えば、CaO、Ca(OH)
2、BaO、Ba(OH)
2、MgO、Mg(OH)
2)をアルキルフェノールまたは硫化アルキルフェノールと反応させることによって製造可能である。有用なアルキル基としては、直鎖または分枝鎖C
1〜C
30アルキル基、好ましくは、C
4〜C
20またはそれらの混合物が含まれる。適切なフェノールの例としては、イソブチルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなどが含まれる。なお、出発アルキルフェノールが、それぞれ独立して直鎖または分岐鎖である2個以上のアルキル置換基を含有してもよく、かつこれを0.5〜6重量%使用し得ることに留意するべきである。非硫化アルキルフェノールが使用される場合、硫化生成物は、当該技術分野において周知の方法によって得られてもよい。これらの方法には、アルキルフェノールおよび硫化剤(硫黄元素、二塩化硫黄などのハロゲン化硫黄などを含む)の混合物を加熱し、次いで、硫化フェノールをアルカリ土類金属塩基と反応させることが含まれる。
【0080】
好ましいフェネート化合物としては、例えば、マグネシウムフェネート、カルシウムフェネート、過塩基性フェネート化合物、硫化/炭酸化カルシウムフェネート化合物およびそれらの混合物が含まれる。
【0081】
カルボン酸のアルカリ土類金属塩も清浄剤として有用である。これらのカルボン酸清浄剤は、塩基性アルカリ土類金属化合物と少なくとも1種のカルボン酸を反応させ、および反応生成物から水分を除去することによって調製され得る。これらの化合物は、望ましいTBNレベルを生じるように過塩基性であってもよい。
【0082】
サリチル酸から製造された清浄剤は、カルボン酸から誘導される清浄剤の好ましい1種である。有用なサリチレートとしては、長鎖アルキルサリチレートが含まれる。組成物の有用な系統群の1種は、式:
【化1】
[式中、Rは、1〜約30個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜4の整数であり、かつMはアルカリ土類金属である]
である。好ましいR基は、少なくともC
11、好ましくはC
13以上のアルキル鎖である。Rは、清浄剤の機能を妨害しない置換基によって任意選択的に置換されていてもよい。Mは、好ましくは、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムである。より好ましくは、Mはカルシウムまたはマグネシウムである。
【0083】
ヒドロカルビル置換サリチル酸は、コルベ反応によってフェノールから調製され得る(米国特許第3,595,791号明細書を参照されたい)。ヒドロカルビル置換サリチル酸のアルカリ土類金属塩は、水またはアルコールなどの極性溶媒中でのアルカリ土類金属塩の複分解によって調製され得る。
【0084】
好ましいカルボキシレート化合物は、非炭酸化サリチル酸マグネシウム(カルボキシレート)、炭酸化サリチル酸マグネシウム(カルボキシレート)、非炭酸化サリチル酸カルシウム(カルボキシレート)、炭酸化サリチル酸カルシウム(カルボキシレート)およびそれらの混合物を含んでなる。
【0085】
実質的に化学量論的量のアルカリ土類金属を含有する塩は中性塩として記載され、および0〜100の全アルカリ価(total base number:TBN、ASTM D2896によって測定される)を有する。多くの組成物は過塩基性であり、過剰量のアルカリ土類金属化合物と(二酸化炭素などの)酸性気体とを反応させることによって達成される金属塩基を大量に含有する。有用な清浄剤は、中性であるか、わずかに過塩基性であるか、または高度に過塩基性であり得る。これらの清浄剤は、中性、過塩基性、高度に過塩基性のマグネシウムサリチレート、スルホネート、フェネートおよび/またはカルシウムサリチレート、スルホネートおよびフェネートの混合物において使用可能である。TBNの範囲は、約0〜100の低TBN、約100〜200の中程度TBNおよび約200〜600の高TBNで変動し得る。スルホネート、フェネート、サリチレートおよびカルボキシレートを含むカルシウムおよびマグネシウム金属ベース清浄剤と一緒に、低、中程度、高TBNの混合物を使用することができる。混合TBN清浄剤のさらなる例は、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第7,704,930号明細書に記載される通りに見出すことができる。金属比1の清浄剤混合物を、金属比2の清浄剤および金属比5または10または15の清浄剤との組み合わせで使用することができる。ホウ酸化清浄剤も使用することができる。
【0086】
アルカリ土類金属ホスフェートも清浄剤として使用されてもよく、これは当該技術分野において既知である。
【0087】
清浄剤は、単一清浄剤、またはハイブリッドもしくは複合清浄剤として既知であるものであってよい。後者の清浄剤は、別々の材料をブレンドすることを必要とせずに、2種の清浄剤の特性を提供することができる。米国特許第6,034,039号明細書を参照されたい。
【0088】
適切な清浄剤としては、マグネシウムスルホネート(又はスルホン酸マグネシウム)、カルシウムスルホネート(又はスルホン酸カルシウム)、カルシウムフェネート、マグネシウムフェネート、カルシウムサリシレート(又はサリチル酸カルシウム)、マグネシウムサリシレート(又はサリチル酸マグネシウム)および他の関連成分(ホウ酸化清浄剤を含む)ならびにそれらの混合物が含まれる。好ましい清浄剤としては、マグネシウムスルホネート(又はスルホン酸マグネシウム)、カルシウムスルホネート(又はスルホン酸カルシウム)、マグネシウムフェネート、カルシウムフェネート、マグネシウムサリシレート(又はサリチル酸マグネシウム)、カルシウムサリシレート(又はサリチル酸カルシウム)およびそれらの混合物が含まれる。
【0089】
アルカリ土類金属清浄剤と一緒に使用され得る他の例示的な清浄剤としては、例えば、アルカリ金属清浄剤またはアルカリ金属清浄剤の混合物が含まれる。
【0090】
有機酸のマグネシウム塩と有機酸のカルシウム塩との混合物を含んでなる清浄剤において、マグネシウム金属対カルシウム金属の清浄剤比は、約1:0〜1:10、好ましくは約1:0〜約1:4の範囲である。
【0091】
清浄剤によって提供されるマグネシウムおよびアルカリ土類金属は、約500ppm〜約5000ppm、好ましくは約1000ppm〜約2500ppmの量で潤滑油に存在する。清浄剤によって提供されるマグネシウムは、約100ppm〜約3000ppm、好ましくは約300ppm〜約2500ppm、より好ましくは約750ppm〜約2000ppmの量で潤滑油に存在する。
【0092】
ASTM D2896によって測定される、清浄剤によって提供される全アルカリ化(TBN)は、約2mg KOH/g〜約17mg KOH/g、好ましくは約4mg KOH/g〜約14mg KOH/gの範囲である。マグネシウム清浄剤によって提供されるTBNは、約2mg KOH/g〜約17mg KOH/g、好ましくは約3mg KOH/g〜約14mg KOH/g、より好ましくは約5mg KOH/g〜約10mg KOH/gの範囲である。
【0093】
清浄剤によって提供される硫酸灰分は、約0.4〜約1.7重量%、好ましくは約0.5〜約1.6重量%、より好ましくは約0.6〜約1.0重量%の範囲である。マグネシウム清浄剤によって提供される硫酸灰分は、約0.3〜約1.8重量%、好ましくは約0.4〜約1.6重量%、より好ましくは約0.6〜約1.0重量%の範囲である。本開示の潤滑エンジン油は、好ましくは、約1.6重量%未満の硫酸灰分を含有し、および/またはより好ましくは約4000ppm未満のマグネシウムを含有する。(マグネシウム清浄剤の使用による)1.2%以上の灰分のより高いエンジン油硫酸灰分において、LSPI数の95%より大きい低減が達成される。マグネシウム清浄剤の使用による硫酸灰分レベル<1.2%において、LSPIは完全に排除されることができる。
【0094】
本開示による少なくとも1種のホウ素含有化合物および少なくとも1種の清浄剤を含有する潤滑油配合物に関して、エンジンは、少なくとも1種のホウ素含有化合物および少なくとも1種の清浄剤以外の副成分を含有する潤滑油を、潤滑油中で少なくとも1種のホウ素含有化合物および少なくとも1種の清浄剤の量以外の量で使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較して、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)に対して標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、約50%より大きい、好ましくは約75%より大きい、より好ましくは約95%より大きい低速プレイグニッションの低減を示す。
【0095】
本開示の潤滑油中の清浄剤の濃度は、潤滑油の全重量に基づき、約1.0〜約6.0重量%、好ましくは約2.0〜約5.0重量%、より好ましくは約2.0〜約4.0重量%の範囲であり得る。本開示の潤滑油において、アルカリ土類金属スルホネートの量は、好ましくは、潤滑油の全重量に基づき、約0.5〜約2.5重量%、好ましくは約0.5〜約2.0重量%、より好ましくは約0.5〜約1.5重量%の範囲であり得る。本開示の潤滑油において、アルカリ土類金属フェネートの量は、好ましくは、潤滑油の全重量に基づき、約0.5〜約2.5重量%、好ましくは約0.5〜約2.0重量%、より好ましくは約0.5〜約1.5重量%の範囲であり得る。本開示の潤滑油において、アルカリ土類金属カルボキシレートの量は、潤滑油の全重量に基づき、約1.0〜約4.0重量%、好ましくは約1.0〜約3.0重量%、より好ましくは約1.5〜約2.5重量%の範囲であり得る。本開示の潤滑油において、アルカリ土類金属ホスフェートの量は、潤滑油の全重量に基づき、約1.0〜約4.0重量%、好ましくは約1.0〜約3.0重量%、より好ましくは約1.5〜約2.5重量%の範囲であり得る。
【0096】
本明細書で使用される場合、清浄剤濃度は、「送達された時」を基準にして示される。典型的に、活性清浄剤はプロセス油とともに送達される。「送達された時」の清浄剤は、典型的に、約20重量%〜約80重量%、または約40重量%〜約60重量%の活性清浄剤を「送達された時」の清浄剤中に含む。
【0097】
抗摩耗剤
メタルアルキルチオフォスフェート(又はアルキルチオリン酸金属)、特に金属成分が亜鉛であるメタルジアルキルジチオフォスフェート(又はジアルキルジチオリン酸金属)、またはジンクジアルキルジチオフォスフェート(又はジアルキルジチオリン酸亜鉛)(zinc dialkyl dithio phosphate:ZDDP)が、本開示の潤滑油の有用な成分である。ZDDPは、第一級アルコール、第二級アルコール、またはそれらの混合物から誘導することができる。好ましいZDDP化合物は、一般に、式:
Zn[SP(S)(OR
1)(OR
2)]
2
[式中、R
1およびR
2は、独立して、第一級または第二級C
1〜C
8アルキル基である]
によって表される。第一級アルコール(1°)誘導ZDDPおよび第二級アルコール(2°)誘導ZDDPの混合物を使用することができる。R
1およびR
2置換基は、独立して、C
1〜C
18アルキル基、好ましくはC
2〜C
12アルキル基であり得る。好ましくは、R
1およびR
2は、独立して、第一級または第二級C
1〜C
8アルキル基である(ただし、R
1およびR
2の少なくとも一方が第二級C
1〜C
8アルキル基である)。R
1およびR
2がC
1〜C
8アルキル基である第一級アルコール誘導ZDDPおよび第二級アルコール誘導ZDDPの混合物を使用することができる。これらのアルキル基は、直鎖であっても、または分岐鎖であってもよい。アルキルアリール基が使用されてもよい。
【0098】
商業的に入手可能な好ましいジンクジチオフォスフェート(又はジチオリン酸亜鉛)には、例えば、The Lubrizol Corporationから商標名「LZ 677A」、「LZ 1095」、「LZ 1389」および「LZ 1371」、例えば、Chevron Oroniteから商標名「OLOA 262」、例えば、Afton Chemicalから商標名「HITEC 7169」、ならびに例えば、Infineumから商標名Infineum C9417およびInfineum C9414で入手可能なものなどの第二級ジチオリン酸亜鉛が含まれる。
【0099】
好ましくは、ジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物の第一級または第二級C
1〜C
8アルキル基は、一部、2−プロパノール(C3)、1−ブタノール(n−C4)、1−イソブタノール(1−i−C4)、2−ブタノール(2−C4)、1−ペンタノール(第一級C−5)、3−メチル−1−ブタノール(第一級C−5)、2−ペンタノール(i−C5)、3−ペンタノール(C5)、3−メチル−2−ブタノール(C5)、1−ヘキサノール(第一級C6)、4−メチル−1−ペンタノール(第一級C6)、4−メチル−2−ペンタノール(i−C6)および2−エチル−1−ヘキサノール(第一級C8)ならびにそれらの混合物からなる群から選択されるアルコールから誘導される。いくつかの場合、5以下の平均炭素数を有するアルコールから誘導されるZDDPが望ましい。いくつかの場合、5より大きい平均炭素数を有するアルコールから誘導されるZDDPが望ましい。表1は、本発明で都合よく使用することができるZDDPを製造するために使用されるアルコール混合物を示す。
【0101】
ジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物のR
1およびR
2第一級または第二級アルキル基、ならびに潤滑油中のR
1およびR
2第一級または第二級アルキル基を有するジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物の量は、特定のジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物以外の副成分を、潤滑油中で特定のジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物の量以外の量で含有する潤滑油を使用するエンジンにおいて達成される低速プレイグニッション性能と比較して、エンジンが低速プレイグニッションの低減を示すのに十分である。
【0102】
一般に、ZDDPは、潤滑油の全重量に基づき、約0.4重量%〜約1.2重量%、好ましくは、約0.5重量%〜約1.0重量%、より好ましくは、約0.6重量%〜約0.8重量%の量で使用することができるが、それより多く、またはそれより少ない量をしばしば有利に使用することができる。好ましくは、ZDDPは第一級アルコール誘導ZDDPおよび第二級アルコール誘導ZDDPの混合物であるか、または第一級アルコールおよび第二級アルコールから誘導されたZDDPであり、および潤滑油の全重量の約0.6〜1.0重量パーセントの量で存在する。
【0103】
好ましくは、R
1およびR
2第一級または第二級アルキル基が、2−エチル−1−ヘキサノール(第一級C8)から誘導される、R
1およびR
2第一級または第二級アルキル基を有するジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物は、潤滑油の全重量に基づき、約0.1重量%〜約5.0重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約1.2重量%、より好ましくは、約0.2重量%〜約0.8重量%の量で存在する。
【0104】
好ましくは、R
1およびR
2第一級または第二級アルキル基が、4−メチル−2−ペンタノール(C6)から誘導される、R
1およびR
2第一級または第二級アルキル基を有するジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物は、潤滑油の全重量に基づき、約0.1重量%〜約5.0重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約1.2重量%、より好ましくは、約0.2重量%〜約0.8重量%の量で存在する。
【0105】
好ましくは、ジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物は、C
3〜C
8第二級アルコールまたはそれらの混合物から誘導される。同様に、好ましくは、ジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物は、C
1〜C
8第一級アルコールおよびC
1〜C
8第二級アルコールの混合物から誘導される。
【0106】
潤滑油中の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤によって提供される亜鉛含有量は、約500ppm〜約2000ppm、好ましくは、約600ppm〜約900ppmの範囲である。
【0107】
潤滑油中の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤によって提供されるリン含有量は、約400ppm〜約2000ppm、好ましくは、約500ppm〜約900ppmの範囲である。第二級ZDDPから誘導されるリンは、好ましくは0〜900ppm、より好ましくは400〜900ppmである。
【0108】
潤滑油中の亜鉛対リン比は、約1.0〜約2.0、好ましくは約1.05〜約1.9の範囲である。
【0109】
清浄剤によって提供される全金属対亜鉛含有化合物および抗摩耗剤によって提供される全金属の比率は、約0.8〜4.8、好ましくは約1.4〜4.0、より好ましくは約1.5〜3.7である。
【0110】
本開示において有用な例示的な亜鉛含有化合物としては、例えば、ジンクスルホネート(zinc sulfonates)(又はスルホン酸亜鉛)、ジンクカルボキシレート(zinc carboxylates)(又はカルボン酸亜鉛)、ジンクアセテート(zinc acetates)(又は酢酸亜鉛)、ジンクナフテネート(zinc napthenates)(又はナフテン酸亜鉛)、ジンクアルケニルスクシネート(zinc alkenyl succinates)(又はアルケニルコハク酸亜鉛)、ジンクアシッドホスフェートソルト(zinc acid phosphate salts)(又は亜鉛酸リン酸塩)、ジンクフェネート(zinc phenates)(又は亜鉛フェネート)、ジンクサリシレート(zinc salicylates)(又はサリチル酸亜鉛)などが含まれる。
【0111】
本開示による少なくとも1種のホウ素含有化合物および少なくとも1種の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤を含有する潤滑油配合物に関して、エンジンは、少なくとも1種のホウ素含有化合物および少なくとも1種の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤以外の副成分を含有する潤滑油を、潤滑油中で少なくとも1種のホウ素含有化合物および少なくとも1種の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤の量以外の量で使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較して、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)に対して標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、約20%より大きい、好ましくは約25%より大きい、より好ましくは約30%より大きい低速プレイグニッションの低減を示す。
【0112】
また、本開示による少なくとも1種のホウ素含有化合物、少なくとも1種の清浄剤および少なくとも1種の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤を含有する潤滑油配合物に関して、エンジンは、少なくとも1種のホウ素含有化合物、少なくとも1種の清浄剤および少なくとも1種の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤以外の副成分を含有する潤滑油を、潤滑油中で少なくとも1種のホウ素含有化合物、少なくとも1種の清浄剤および少なくとも1種の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤の量以外の量で使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較して、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)に対して標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、約50%より大きい、好ましくは約75%より大きい、より好ましくは約95%より大きい低速プレイグニッションの低減を示す。
【0113】
好ましくは、R
1およびR
2第一級または第二級アルキル基が、2−プロパノール(C3)、2−ブタノール(2−C4)、1−イソブタノール(1−i−C4)またはn−ペンタノール(n−C5)から誘導される、R
1およびR
2第一級または第二級アルキル基を有するジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物は、潤滑油の全重量に基づき、約0.1重量%〜約5.0重量%、好ましくは、約0.1重量%〜約1.2重量%、より好ましくは、約0.2重量%〜約0.8重量%の量で存在する。
【0114】
本開示の潤滑油中の亜鉛含有化合物または抗摩耗剤の濃度は、潤滑油の全重量に基づき、約0.1重量%〜約5.0重量%、好ましくは、約0.2重量%〜約2.0重量%、より好ましくは、約0.2重量%〜約1.0重量%の範囲であり得る。マグネシウム清浄剤およびホウ素含有添加剤の存在下、非常に低いLSPI数をもたらすために少量のみのZDDPが必要とされる。そのようなマグネシウムおよびホウ素含有化合物の存在下、0.1%〜1.0%程度の低ZDDP(配合エンジン油中のリンは100ppm〜1000ppm)によって、LSPI性能の予想外の改善がもたらされるであろう。より高い灰分濃度およびより高いTBN濃度において、1.1〜4.0%のZDDP濃度によって、LSPI性能の予想外の改善をもたらすことができる。SAE xW−40およびxW−50油(x=0、5、10、15)に関して、1.1〜4.0%のZDDP濃度は、LSPI性能の予想外の改善をもたらすために特に有用である。
【0115】
他の添加剤
本開示において有用な配合潤滑油は、限定されないが、他の抗摩耗剤、他の分散剤、他の清浄剤、腐食抑制剤、さび抑制剤、金属不活性化剤、極圧添加剤、抗焼付剤、ワックス変性剤、粘度指数向上剤、粘度変性剤、脱水添加剤、シール適合性剤、摩擦変性剤、潤滑剤、抗汚染剤、発色剤、消泡剤、解乳化剤、乳化剤、高密度化剤、湿潤剤、ゲル化剤、粘着剤、着色剤および他を含む、1種以上の他の一般に使用される潤滑油性能添加剤を追加的に含有していてもよい。多くの一般に使用される添加剤に関しては、KlamannのLubricants and Related Products,Verlag Chemie,Deerfield Beach,FL;ISBN 0 89573 177 0を参照されたい。Noyes Data Corporation of Parkridge,NJ(1973)によって出版されたM.W.Ranney著「Lubricant Additives」も参照され、また全体として本明細書に組み込まれる米国特許第7,704,930号明細書も参照されたい。これらの添加剤は、5重量%〜50重量%の範囲であってよい様々な量の希釈剤油とともに一般に送達される。
【0116】
潤滑剤組成物中で本開示と組み合わせて使用される性能添加剤の種類および量は、例として本明細書に示される実施形態によって限定されない。
【0117】
粘度指数向上剤
本開示の潤滑剤組成物は、粘度指数向上剤(VI向上剤、粘度変性剤および粘度向上剤としても知られている)を含み得る。
【0118】
粘度指数向上剤は、高温および低温運転性能を潤滑剤に提供する。これら添加剤は、高温における剪断安定性および低温における容認できる粘度を与える。
【0119】
適切な粘度指数向上剤としては、高分子量炭化水素、ポリエステル、ならびに粘度指数向上剤および分散剤の両方として機能する粘度指数向上剤分散剤が含まれる。これらのポリマーの典型的な分子量は、約10,000〜1,500,000、より典型的に20,000〜1,200,000、さらにより典型的に50,000〜1,000,000である。
【0120】
適切な粘度指数向上剤の例は、メタクリレート、ブタジエン、オレフィンまたはアルキル化スチレンの直鎖または星型ポリマーおよびコポリマーである。ポリイソブチレンは一般に使用される粘度指数向上剤である。別の適切な粘度指数向上剤は、ポリメタクリレート(例えば、種々の鎖長のアルキルメタクリレートのコポリマー)であり、それらの配合物のいくつかは流動点降下剤としても機能する。他の適切な粘度指数向上剤としては、エチレンおよびプロピレンのコポリマー、スチレンおよびイソプレンの水素化ブロックコポリマー、ならびにポリアクリレート(例えば、種々の鎖長のアクリレートのコポリマー)が含まれる。具体例としては、50,000〜200,000の分子量のスチレン−イソプレンまたはスチレン−ブタジエンベースのポリマーが含まれる。
【0121】
オレフィンコポリマーは、Chevron Oronite Company LLCから商標名「PARATONE(登録商標)」(例えば、「PARATONE(登録商標)8921」および「PARATONE(登録商標)8941」)、Afton Chemical Corporationから商標名「HiTEC(登録商標)」(例えば、「HiTEC(登録商標)5850B」)、The Lubrizol Corporationから商標名「Lubrizol(登録商標)7067C」で商業的に入手可能である。ポリイソプレンポリマーは、Infineum International Limitedから、例えば、商標名「SV200」で商業的に入手可能であり、ジエン−スチレンコポリマーは、Infineum International Limitedから、例えば、商標名「SV 260」で商業的に入手可能である。
【0122】
本開示の一実施形態において、粘度指数向上剤は、配合油または潤滑エンジン油の全重量に基づき、約2.0重量%未満、好ましくは約1.0重量%未満、より好ましくは約0.5重量%未満の量で使用されてよい。粘度向上剤は、典型的に、大量の希釈剤油中で濃縮液として添加される。
【0123】
本開示の別の実施形態において、粘度指数向上剤は、配合油または潤滑エンジン油の全重量に基づき、0.25〜約2.0重量%、好ましくは0.15〜約1.0重量%、より好ましくは0.05〜約0.5重量%の量で使用されてよい。
【0124】
酸化防止剤
酸化防止剤は、使用間のベース油の酸化分解を阻害する。そのような分解は、金属表面上の堆積、スラッジの存在、または潤滑剤の粘度上昇をもたらし得る。当業者は、潤滑油組成物において有用な多種多様な酸化抑制剤を知っている。例えば、上記KlamannのLubricants and Related Products、ならびに米国特許第4,798,684号明細書および同第5,084,197号明細書を参照されたい。
【0125】
有用な酸化防止剤としては、ヒンダードフェノールが含まれる。これらのフェノール系酸化防止剤は、無灰(金属を含まない)フェノール系化合物、またはある種のフェノール系化合物の中性または塩基性金属塩であってよい。典型的なフェノール系酸化防止剤化合物は、立体障害型ヒドロキシル基を含有するフェノールであるヒンダードフェノールであり、これらには、ヒドロキシル基が互いに対してオルト位またはパラ位にあるジヒドロキシルアリール化合物の誘導体が含まれる。典型的なフェノール系酸化防止剤としては、C6以上のアルキル基によって置換されたヒンダードフェノール、およびこれらのヒンダードフェノールのアルキレン結合誘導体が含まれる。この種類のフェノール系材料の例は、2−t−ブチル−4−ヘプチルフェノール;2−t−ブチル−4−オクチルフェノール;2−t−ブチル−4−ドデシルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−ヘプチルフェノール;2,6−ジ−t−ブチル−4−ドデシルフェノール;2−メチル−6−t−ブチル−4−ヘプチルフェノール;および2−メチル−6−t−ブチル−4−ドデシルフェノールである。他の有用なヒンダードモノフェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−アルキル−フェノールプロピオン酸エステル誘導体が含まれてよい。ビス−フェノール酸化防止剤も、本開示と組み合わせて有利に使用され得る。オルト結合フェノールの例としては、2,2’−ビス(4−ヘプチル−6−t−ブチル−フェノール);2,2’−ビス(4−オクチル−6−t−ブチル−フェノール);および2,2’−ビス(4−ドデシル−6−t−ブチル−フェノール)が含まれる。パラ結合ビスフェノールとしては、例えば、4,4’−ビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)および4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)が含まれる。
【0126】
有効量の1種以上の触媒酸化防止剤も使用されてよい。触媒酸化防止剤は、有効量のa)1種以上の油溶性ポリメタル有機化合物;ならびに有効量のb)1種以上の置換N,N’−ジアリール−o−フェニレンジアミン化合物もしくはc)1種以上のヒンダードフェノール化合物;またはb)およびc)の両方の組み合わせを含んでなる。触媒酸化抑制剤に関しては、参照によって全体として本明細書に組み込まれる米国特許第8,048,833号明細書により完全に記載されている。
【0127】
使用されてよい非フェノール系酸化防止剤としては芳香族アミン酸化防止剤が含まれ、これらは、そのまま、またはフェノールと組み合わせて使用されてよい。非フェノール系酸化防止剤の典型的な例としては、式R
8R
9R
10N(式中、R
8は脂肪族、芳香族または置換芳香族基であり、R
9は芳香族または置換芳香族基であり、かつR
10は、H、アルキル、アリールまたはR
11S(O)XR
12であり、R
11は、アルキレン、アルケに連またはあるアルキレン基であり、R
12は、高級アルキル基、またはアルケニル、アリールもしくはアルカリール基であり、かつxは0、1または2である)の芳香族モノアミンなどのアルキル化または非アルキル化芳香族アミンが含まれる。脂肪族基R
8は、1〜20個の炭素原子を含有してもよく、好ましくは6〜12個の炭素原子を含有する。脂肪族基は、飽和脂肪族基である。好ましくは、R
8およびR
9は両方とも芳香族または芳香族基であり、かつ芳香族基は、ナフチルなどの縮合環芳香族基であってもよい。芳香族基R
8およびR
9は、Sなどの他の基と一緒に結合していてもよい。
【0128】
典型的な芳香族アミン酸化防止剤は、炭素原子数が少なくとも6個のアルキル置換基を有する。脂肪族基の例には、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルおよびデシルが含まれる。一般に、脂肪族基は、14個以上の炭素原子を含まないであろう。本組成物において有用なアミン酸化防止剤の一般的な種類には、ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、フェノチアジン、イミドジベンジルおよびビフェニルフェニレンジアミンが含まれる。2種以上の芳香族アミンの混合物も有用である。ポリマーアミン酸化防止剤を使用することもできる。本開示において有用な芳香族アミン酸化防止剤の特定の例としては、p,p’−ジオクチルジフェニルアミン;t−オクチルフェニル−アルファ−ナフチルアミン;フェニル−アルファナフチルアミン;およびp−オクチルフェニル−アルファ−ナフチルアミンが含まれる。
【0129】
硫化アルキルフェノールおよびそれらのアルカリまたはアルカリ土類金属塩も有用な酸化防止剤である。
【0130】
好ましい酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール、アリールアミンが含まれる。これらの酸化防止剤は、種類別に個々に、または互いに組み合わせて使用されてよい。そのような添加剤は、0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜2重量%、より好ましくは0〜1.5重量%、より好ましくは0〜1重量%未満の量で使用されてよい。
【0131】
流動点降下剤(PPD)
必要に応じて、従来の流動点降下剤(潤滑油流動性向上剤としても知られている)を本開示の組成物に添加してもよい。これらの流動点降下剤は、流体が流動し得るか、または流れ出ることが可能であろう最低温度を低下させるために、本開示の潤滑組成物に添加されてよい。適切な流動点降下剤の例としては、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリアリールアミド、ハロパラフィンワックスおよび芳香族化合物の縮合生成物、ビニルカルボキシレートポリマー、ならびにジアルキルフマレート、脂肪酸のビニルエステルおよびアリルビニルエーテルのターポリマーが含まれる。米国特許第1,815,022号明細書、同第2,015,748号明細書、同第2,191,498号明細書、同第2,387,501号明細書、同第2,655,479号明細書、同第2,666,746号明細書、同第2,721,877号明細書、同第2,721,878号明細書および同第3,250,715号明細書には、有用な流動点降下剤および/またはそれらの調製が記載されている。そのような添加剤は、約0.01〜5重量%、好ましくは約0.01〜1.5重量%の量で使用されてよい。
【0132】
シール適合性剤
シール適合性剤は、流体中で化学反応を、またはエラストマー中で物理変化をもたらすことによって、エラストマー性シールを膨張させることを促進する。潤滑油に適切なシール適合性剤には、有機ホスフェート、アルコキシスルホラン、芳香族エステル、芳香族炭化水素、エステル(例えば、ブチルベンジルフタレート)およびポリブテニル無水コハク酸が含まれる。そのような添加剤は、約0.01〜3重量%、好ましくは約0.01〜2重量%の量で使用されてよい。
【0133】
消泡剤
消泡剤は有利に潤滑剤組成物に添加されてよい。これらの薬剤は安定した気泡の形成を阻害する。シリコーンおよび有機ポリマーは、典型的な消泡剤である。例えば、シリコン油またはポリジメチルシロキサンなどのポリシロキサンが消泡剤特性をもたらす。消泡剤は商業的に入手可能であり、および解乳化剤などの他の添加剤と一緒に従来通り少量で使用されてもよく、通常、これらの組み合わされた添加剤の量は1重量%未満であり、しばしば0.1重量%未満である。
【0134】
抑制剤および抗さび添加剤
抗さび添加剤(または腐食抑制剤)は、水または他の汚染物質による化学的攻撃に対して、潤滑された金属表面を保護する添加剤である。多種多様なこれらは商業的に入手可能である。
【0135】
抗さび添加剤の1種は、金属表面を優先的に湿潤市、油の膜によってそれを保護する極性化合物である。別の種類の抗さび添加剤は、油のみが金属表面に接触するように、油中水エマルジョンにそれを組み込むことによって、水を吸収する。さらに別の種類の抗さび添加剤は、非反応性表面を生じるように化学的に結合する。適切な添加剤の例には、ジチオリン酸亜鉛、金属フェノレート、塩基性金属スルホネート、脂肪酸およびアミンが含まれる。そのような添加剤は、約0.01〜5重量%、好ましくは約0.01〜1.5重量%の量で使用されてよい。
【0136】
摩擦変性剤
摩擦変性剤は、そのような材料を含有するいずれかの潤滑剤または流体によって潤滑された表面の摩擦係数を変更することができる、いずれかの材料である。摩擦減少剤、または潤滑剤もしくは油性剤、および潤滑された表面の摩擦係数を変性するためにベース油、配合潤滑剤組成物または機能的な流体の能力を変更する他のそのような薬剤としても知られている摩擦変性剤は、必要に応じて、本開示のベース油または潤滑剤組成物と一緒に効果的に使用されてもよい。摩擦係数を低下する摩擦変性剤は、本開示のベース油および潤滑油組成物と組み合わせて特に都合がよい。
【0137】
例示的な摩擦変性剤としては、例えば、有機金属化合物もしくは材料、またはそれらの混合物が含まれてよい。本開示の潤滑エンジン油配合物において有用である例示的な有機金属摩擦変性剤としては、例えば、モリブデンアミン、モリブデンジアミン、モリブデンアミン、モリブデンジアミン、有機タングステネート、モリブデンジチオカルバメート、ジチオリン酸モリブデン、モリブデンアミン錯体、モリブデンカルボキシレートなど、およびそれらの混合が含まれる。同様のタングステンをベースとする化合物が好ましくなり得る。
【0138】
本開示の潤滑エンジン油配合物において有用な他の例示的な摩擦変性剤としては、例えば、アルキル化脂肪酸エステル、アルカノールアミド、ポリオール脂肪酸エステル、ホウ酸化グリセロール脂肪酸エステル、脂肪アルコールエーテルおよびそれらの混合物が含まれる。
【0139】
例示的なアルキル化脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、脂肪酸ポリグリコールエステルなどが含まれる。これらは、ポリオキシプロピレンステアレート、ポリオキシブチレンステアレート、ポリオキシエチレンイソステアレート、ポリオキシプロピレンイソステアレート、ポリオキシエチレンパルミテートなどを含むことができる。
【0140】
例示的なアルカノールアミドには、例えば、ラウリン酸ジエチルアルカノールアミド、パルミチン酸ジエチルアルカノールアミドなどが含まれる。これらは、オレイン酸ジエチルアルカノールアミド、ステアリン酸ジエチルアルカノールアミド、オレイン酸ジエチルアルカノールアミド、ポリエトキシル化ヒドロカルビルアミド、ポリプロポキシル化ヒドロカルビルアミドなどを含むことができる。
【0141】
例示的なポリオール脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセロールモノオレエート、飽和モノ−、ジ−およびトリグリセリドエステル、グリセロールモノステアレートなどが含まれる。これらは、ポリオールエステル、ヒドロキシル含有ポリオールエステルなどを含むことができる。
【0142】
例示的なホウ酸化グリセロール脂肪酸エステルには、例えば、ホウ酸化グリセロールモノオレエート、ホウ酸化飽和モノ−、ジ−およびトリグリセリドエステル、ホウ酸化グリセロールモノステアレートなどが含まれる。グリセロールポリオールに加えて、これらは、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビタンなどを含むことができる。これらのエステルは、ポリオールモノカルボキシレートエステル、ポリオールジカルボン酸エステル、場合によって、ポリオールトリカルボキシレートエステルであることができる。好ましくは、グリセロールモノオレエート、グリセロールジオレエート、グリセロールトリオレエート、グリセロールモノステアレート、グリセロールジステアレート、ならびにグリセロールトリステアレートおよび相当するグリセロールモノパルミテート、グリセロールジパルミテートおよびグリセロールトリパルミテートおよびそれぞれのイソステアラート、リノーレエートであり得る。場合により、グリセロールエステル、ならびにこれらのいずれかを含有する混合物が好ましくなる可能性がある。根本ポリオールとしてグリセロールを特に使用して、ポリオールのエトキシル化、プロポキシル化、ブトキシル化脂肪酸エステルが好ましくなる可能性がある。
【0143】
例示的な脂肪アルコールエーテルとしては、例えば、ステアリルエーテル、ミリスチルエーテルなどが含まれる。C
3〜C
50の炭素数を有するものを含むアルコールは、エトキシル化、プロポキシル化またはブトキシル化して、相当する脂肪酸アルキルエーテルを形成することができる。基本的なアルコール部分は、好ましくは、ステアリル、ミリスチル、C
11〜C
13炭化水素、オレイル、イソステアリルなどであることができる。
【0144】
摩擦変性剤の有用な濃度は、0.01重量%〜5重量%、または約0.1重量%〜約2.5重量%、または約0.1重量%〜約1.5重量%、または約0.1重量%〜約1重量%の範囲であってよい。モリブデン含有材料の濃度は、しばしば、Mo金属濃度に関して記載される。Moの都合のよい濃度は25ppm〜700ppm以上の範囲であってよく、しばしば好ましい範囲は50〜200ppmである。全ての種類の摩擦変性剤は、単独で、または本開示のとの混合物で使用されてよい。しばしば、2種以上の摩擦変性剤の混合物、または別の表面活性化材料との摩擦変性剤の混合物も望ましい。
【0145】
潤滑油組成物が上記添加剤の1種以上を含有する場合、添加剤は、それがその意図された機能を実行するために十分な量で組成物中にブレンドされる。本開示において有用なそのような添加剤の典型的な量を以下の表1に示す。
【0146】
多くの添加剤は、特定の量のベース油希釈剤と一緒に、1種以上の添加剤を一緒に含有する濃縮物として、添加剤製造業者から出荷されることは留意される。したがって、以下の表中の重量、ならびに本明細書に記載された他の量は、(成分の非希釈剤部分である)有効成分の量に関する。以下に示される重量%(wt%)は、潤滑油組成物の全重量に基づくものである。
【0148】
上記添加剤は、全て商業的に入手可能な材料である。これらの添加剤は、独立して添加されてよいが、通常、潤滑油添加剤の供給元から入手可能であるパッケージ中で事前に組み合わせられている。様々な成分、特性および特徴を有する添加剤パッケージが入手可能であり、かつ適切なパッケージの選択は、根本的な組成物の必要な用途を考慮に入れるであろう。
【0149】
本開示の配合エンジン油は、LSPIの実質的な排除を示す。LSPIの実質的な排除とは、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(rpm)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)に対して標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、約95%より大きい、または約97%より大きい、または約99%より大きい低速プレイグニッションの低減を意味する。
【0150】
1.2〜1.6%以上のより高い灰分濃度を有する配合エンジン油は、本開示に開示される他の成分と組み合わせて、LSPI現象数を96%以上まで有意に減少させることができる。0.2〜1.2%のより低い灰分濃度を有する配合エンジン油は、本開示に開示される他の成分と組み合わせて、LSPI現象数を完全に減少させることができる。
【0151】
低速プレイグニッション(LSPI)に非常に影響を受けやすいエンジンは、高い正味平均有効圧(BMEP)および低いエンジン速度(RPM)で運転するエンジンである。これには、天然ガス、ガソリン、ディーゼル、バイオ燃料などを含む様々な燃料を使用する内部燃焼エンジン(又は内燃機関)が含まれる。サイズが縮小され、低速化された過給(例えば、ターボ過給)エンジンは、これらのエンジン条件下での運転に最も影響を受けやすく、したがって、LSPIにより影響を受けやすい。これらの特徴を有するエンジンの非限定的な例には、GM Ecotec、Ford EcoBoost系統群のエンジン、ならびに約1L〜約6Lの範囲の排気量を有する他の高BMEP(>10バールが可能)エンジン、ならびに直列、水平対向(又はボクサー(Boxer))および「V」(例えば、「V8」、「直3」、「直4」、「フラット4」など)を含む幾何学的配置で2〜10個の燃焼気筒を有するエンジンが含まれる。さらにエンジンのキャリブレーションおよび操作上の整定値は、LSPI現象の頻度および重大性の両方に有意に影響を与え得る。
【0152】
本開示を説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。
【実施例】
【0153】
実施例A
配合物を
図1に記載されるように調製した。本明細書で使用される全ての成分は、商業的に入手可能である。配合物中、グループIII、IVおよびVベースストックを使用した。配合物中で使用される分散剤は、ホウ酸化スクシンイミド(約0.5に等しいB/N比を有するホウ酸化ポリイソブテニルスクシンイミドを含んでなる)、高分子量スクシンイミド(約1%の全窒素量を有するエチレンカーボネートキャップドビスポリイソブテニルスクシンイミド分散剤を含んでなる、高MWスクシンイミド分散剤1)および高分子量スクシンイミド(約1.2%の全窒素量を有するビスポリイソブテニルスクシンイミドを含んでなる、高MWスクシンイミド分散剤2)であった。
【0154】
配合物中で使用される残りの成分は、粘度指数向上剤、酸化防止剤、分散剤、抗摩耗剤、流動点降下剤、腐食抑制剤、金属不活性剤、シール適合性添加剤、消泡剤、抑制剤、抗さび添加剤および摩擦変性剤の1種以上であった。
【0155】
図1に記載される配合物に関して試験を行った。結果を
図1に示す。硫酸灰分試験はASTM D874に基づいて決定した。ホウ素含有量は、ASTM D6443に基づいて決定した。窒素含有量は、ASTM D3228に基づいて決定した。
【0156】
種々のエンジンハードウェアおよびコントロールスキームが、LSPIの出現に有意に影響を与える可能性がある。例えば、参照によって本明細書に全て組み込まれる、米国特許出願公開第2012/1866225号明細書および同第2003/0908070号明細書、ならびにSAE 2012−02−1148、SAE 2011−01−0340およびSAE 2011−01−0343を参照されたい。さらに、
図13は、タクシーキャブ現場試験から得られたドライブサイクルデータを示す。異なる相手先ブランド製造業者からの2種の異なる2.0L L4 TGDIエンジンタイプを、2週間、典型的なタクシーキャブシティドライブサイクルで運転した。車両のOBD−IIデータポートを使用してエンジン性能データを収集し、およびそれぞれのエンジンの発行されたエンジントルクマップ上にマッピングした。SAE 2011−01−0339を公表されたように、それらが10バールより高いBMEPおよび3000rpmより低いエンジン速度の領域で運転される場合、エンジンは特にLSPIの傾向がある。そのために、これらの操作条件によって境界を引かれるこれらのエンジンのトルクマップのいずれの領域も潜在的にLSPIの傾向がある。OBD−IIデータロガーの測定データに基づいて、異なるキャリブレーションによるエンジンが、それらが調整される方法に基づいて、異なるLSPI挙動を示す可能性があることを示すことができる。
図13は、2週間にわたる典型的なタクシーキャブシティドライブサイクルにおける2つの異なるエンジンタイプの運転を要約する約120万のデータポイントを示す。それぞれのエンジンタイプを使用する複数台のタクシーキャブがこの方法で観察された。両エンジンは2.0Lの直列4気筒TGDIエンジンであったが、エンジン型1は、その運転時間の平均1.67%をLSPI「危険地帯」で使用され、他方、エンジン型2は、平均0.17%のみを典型的なタクシーキャブシティドライブサイクルで使用される。さらに、エンジン型2は、LSPI関連分野の不良がゼロであることが示されたが、他方、エンジン型1は、LSPIと関連する複数の不良を示した。これは、LSPIに対する異なるエンジンプラットホームの異なる反応性をさらに例証する。
【0157】
本開示の目的に関して、2.0L4気筒TGDI GM EcotecエンジンをLSPI試験のために使用した。6セグメント試験手順を使用して、2つの異なる指定のエンジン負荷および速度条件において生じるLSPI現象の数を決定した。試験手順の各セグメントは、1サイクルが720度のクランクシャフト回転運動に相当する、25,000回のエンジンサイクルから構成された。条件の第1セットは2000rpmおよび18バールのBMEPであり、以後、「高負荷」と記載する。条件の第2セットは1500rpmおよび12.5バールのBMEPであり、以後、「低負荷」と記載する。試験手順は、2セグメントの高負荷、それに続いて、2セグメントの低負荷、それに続いて、2セグメントの高負荷から構成された。試験手順を開始する前に、2000rpmおよび4バールのBMEPで30分のウォームアップも実行した。試験された潤滑剤のそれぞれに対して、この試験手順を4回繰り返した。ピーク気筒圧力を監視するために4気筒のそれぞれに配置された圧力変換器を使用して、高負荷セグメントの間のみ、LSPI現象数を数えた。平均ピーク気筒圧力より4.7標準偏差高い、または平均ピーク気筒圧力より4.7標準偏差低い気筒中のピーク圧力がLSPI現象として数えられた。そのようなLSPI試験の結果を
図1に示す。
【0158】
この試験では、LSPIに及ぼす分散剤の化学的性質の影響を評価した。
図1に示すように、配合物中のホウ素の量は、その油のLSPI数の全数と強い相関関係を有する。特に、ホウ素のppmが0から241まで、507まで増加すると、驚くべきことに、LSPI数は約43から27まで、24まで減少する。これは、約241ppmのみのホウ素による40%の減少、および約507ppmのホウ素による48%の減少である。0ppmから241ppmまでのLSPI数の相対的な変化は、241ppmから507ppmのホウ素までのLSPI数の相対的な変化より大きいが、ホウ素の方向性の予想外の利点は、なお維持される。約240ppmのホウ素上昇でさえ、LSPI数を予想外にも40%減少させた。したがって、0〜約1000ppm、より好ましくは0〜約500ppmのホウ素を供給するホウ素源が、LSPIの低減に有益である。そのうえ、比較例5を実施例2および実施例11と比較することによって、他の分散剤型の悪影響を軽減するホウ酸化分散剤の有用性がさらに実証される。比較例5および実施例2は、それぞれ、22および24現象のほぼ等しいLSPI現象数を示したが、実施2はホウ酸化スクシンイミド分散剤のみを含有し、比較例5は分散剤を含有しなかった。そのうえ、実施例1および11を比較例1および2と比較すると、ホウ酸化分散剤は、非常に高濃度の分散剤誘導窒素においてさえ、非ホウ酸化分散剤単独を含有する潤滑剤に関して観察されるLSPI現象数を有意に減少させることが示された。
【0159】
この試験で使用される分散剤は、さらに、熱重量分析技術(TGA)を使用して評価した。白金参照パンを備えたATA機器Q5000 TGAを使用した。窒素ガスを毎分60.0ミリリットルで試料上に通した。分析には約15mgの試料分散剤を使用し、および次の温度上昇プログラム:50℃での均衡化、続いて、約1分かけて650℃までの温度上昇、650℃での均衡化、続いて、約15秒間の650℃での等温浸透を受けさせた。次いで、ガスを酸素に交換し、毎分60.0ミリリットルで流し、さらに45秒間の650℃でのさらなる等温浸透を受けさせた。最終的に、温度を約30秒間で650℃から750℃まで上昇させ、およびさらに30秒間にわたり750℃で等温浸透した。
【0160】
結果を
図2に示す。これは、TGA測定において20%および/または50%重量損失を達成する温度が増加すると、LSPI数が減少することを示す。TGAプロット上の3つのトレースは、この分析で使用される3つの分散剤の種類を表す。特に、分散剤1は高MWスクシンイミド分散剤1を表し、分散剤2は高MWスクシンイミド分散剤2を表し、および分散剤3はホウ酸化スクシンイミド分散剤を表す。20%重量損失を達成する温度は、これらの分散剤に関して、それぞれ、約355℃、344℃および328℃である。50%重量損失を達成した温度は、これらの分散剤に関して、それぞれ、約406℃、400℃および377℃である。驚くべきことに、より低いLSPI数を示したホウ酸化スクシンイミド分散剤では、より高いLSPI数を示した非ホウ酸化スクシンイミド分散剤よりも高い20%および50%重量損失時のTGA温度を与えた。
【0161】
実施例B
配合物を
図3に記載されるように調製した。本明細書で使用される全ての成分は、商業的に入手可能である。配合物中、グループIII、IVおよびVベースストックを使用した。
【0162】
配合物中で使用される清浄剤は、中程度TBNアルキルサリチル酸カルシウム(7.3%のCaを含有し、かつ約200のTBNを有するサリチル酸カルシウム1)、低TBNアルキルサリチル酸カルシウム(2.3%のCaを含有し、かつ約65のTBNを有するサリチル酸カルシウム2)、高TBNアルキルスルホン酸カルシウム(11.6%のCaを含有し、かつ約300のTBNを有するスルホン酸カルシウム1)、低TBNアルキルスルホン酸カルシウム(2.0%のCaを含有し、かつ約8のTBNを有するスルホン酸カルシウム2)および高TBNアルキルスルホン酸マグネシウム(9.1%のMgを含有し、かつ約400のTBNを有するスルホン酸マグネシウム1)であった。TBNの範囲は、低TBNは約0〜100、中程度TBNは約100〜200、および高TBNは約200〜600程度の高さまでとして定義される。
【0163】
配合物中で使用される分散剤は、ホウ酸化スクシンイミド、高分子量スクシンイミド(高MWスクシンイミド分散剤1)および高分子量スクシンイミド(高MWスクシンイミド分散剤2)であった。
【0164】
配合物中で使用される残りの成分は、粘度指数向上剤、酸化防止剤、分散剤、抗摩耗剤、流動点降下剤、腐食抑制剤、金属不活性剤、シール適合性添加剤、消泡剤、抑制剤、抗さび添加剤および摩擦変性剤の1種以上であった。
【0165】
図3に記載される配合物に関して試験を行った。結果を
図4に示す。硫酸灰分試験はASTM D874に基づいて決定した。ホウ素、カルシウムおよびマグネシウム含有量は、ASTM D6443に基づいて決定した。窒素含有量はASTM D3228に基づいて決定した。配合物に対するLSPI試験は、2.0L、4気筒TGDI GM Ecotecエンジンを使用して、実施例1に記載の手順に従って実行した。
【0166】
この試験は、LSPIに及ぼすマグネシウム清浄剤およびホウ酸化分散剤の影響を評価した。
図4に示すように、スルホン酸マグネシウム清浄剤と一緒にホウ酸化分散剤を使用することは、LSPI性能に関して予想外に有益であることが見出される。比較例1および2ならびに実施例2は、LSPIを有意に軽減するか、または低減するためにホウ素源を使用することの利益に関して実施例Aで識別される新しい発見を再現する。両方ともスルホン酸マグネシウム清浄剤およびホウ素源を使用して配合された実施例4および5は、異なる濃度の硫酸灰分において優れたLSPI性能を示す。硫酸灰分がLSPI性能に有害であることは知られているが、0.8重量%から1.6重量%まで硫酸灰分を2倍にすることで0から2までのLSPI数のごくわずかな増加が予想外に導かれるという事実は、極めて高い灰分濃度でさえ、これらのブレンドによって表される新しい発見を再現する。実施例4および5は、それぞれ、100%および95%のLSPI低減を示す。
【0167】
実施例C
配合物を
図5に記載されるように調製した。本明細書で使用される全ての成分は、商業的に入手可能である。配合物中、グループIII、IVおよびVベースストックを使用した。
【0168】
配合物中で使用される清浄剤は、中程度TBNアルキルサリチル酸カルシウム(7.3%のCaを含有し、かつ約200のTBNを有するサリチル酸カルシウム1)、低TBNアルキルサリチル酸カルシウム(2.3%のCaを含有し、かつ約65のTBNを有するサリチル酸カルシウム2)、高TBNアルキルスルホン酸カルシウム(11.6%のCaを含有し、かつ約300のTBNを有するスルホン酸カルシウム1)、低TBNアルキルスルホン酸カルシウム(2.0%のCaを含有し、かつ約8のTBNを有するスルホン酸カルシウム2)、中程度TBNカルシウムアルキルフェネート(5.5%のCaを含有し、かつ約150のTBNを有するカルシウムフェネート1)および高TBNアルキルスルホン酸マグネシウム(9.1%のMgを含有し、かつ約400のTBNを有するスルホン酸マグネシウム1)であった。TBNの範囲は、低TBNは約0〜100、中程度TBNは約100〜200、および高TBNは約200〜600程度の高さまでとして定義される。
【0169】
配合物中で使用される分散剤は、ホウ酸化スクシンイミドおよび高分子量スクシンイミドであった。配合物中で使用される抗摩耗剤は、第二級アルコールから誘導されたZDDP(10重量%のリンを含有し、混合C3およびC6第二級アルコールから調製した)および第一級アルコールから誘導されたZDDP(7重量%のリンを含有し、C8第一級アルコールから調製した)であった。
【0170】
配合物中で使用される残りの成分は、粘度指数向上剤、酸化防止剤、分散剤、抗摩耗剤、流動点降下剤、腐食抑制剤、金属不活性剤、シール適合性添加剤、消泡剤、抑制剤、抗さび添加剤および摩擦変性剤の1種以上であった。
【0171】
図5に記載される配合物に関して試験を行った。結果を
図6に示す。硫酸灰分試験はASTM D874に基づいて決定した。カルシウム、マグネシウム、ホウ素、亜鉛およびリン含有量は、ASTM D6443に基づいて決定した。窒素含有量はASTM D3228に基づいて決定した。配合物に対するLSPI試験は、2.0L、4気筒TGDI GM Ecotecエンジンを使用して、実施例1に記載の手順に従って実行した。この試験は、LSPIに及ぼす3種の添加剤系(すなわち、清浄剤、分散剤および抗摩耗剤)の影響を評価した。
図6に示すように、非ホウ酸化分散剤を含有する配合物および非ホウ酸化分散剤とホウ酸化分散剤との混合物を含有する配合物のLSPIが測定される場合、ホウ酸化スクシンイミド分散剤を使用することは、高分子量スクシンイミド分散剤よりも独特なLSPI利益を有する。比較例3、実施例6および実施例10は、LSPI性能に及ぼすホウ素含有量増加の影響を示す。ホウ素含有量が0から240ppmまで、および507ppmまで増加した時、LSPI数は46から27まで、および24まで減少する。LSPI頻度の減少におけるホウ素の利益は、
図5および6に示される有意で予想外の発見を表す。実施例8および実施例9は、二重分散剤系および第二アルコール誘導ZDDPとのスルホン酸マグネシウム清浄剤の独特の組合せを示す。二重分散剤系はホウ素供給源を含有する。この組合せの独特さは、異なるサリチル酸カルシウムベースの清浄剤系を使用し、最高LSPI数を有する比較例3と比較することによって示される。第二級アルコール誘導ZDDPおよびホウ酸化分散剤と一緒のスルホン酸マグネシウム清浄剤の使用は、排除とまではいかないまでも、LSPIを有意に低減することが示される。([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)の全濃度の所望の比率は、約2.5〜7であり、より好ましくは約3.3〜5である。実施例6を実施例12と比較することによって、さらに、ホウ酸化分散剤を第二級アルコール誘導ZDDPおよびスルホン酸マグネシウム清浄剤とサリチル酸カルシウム清浄剤との組合せと一緒に組み込むこの方法の有効性を示す。実施例12は、比較例3と比較して、98%のLSPIの低減を示す。
【0172】
実施例D
図7および8の潤滑エンジン油配合物は、添加剤およびベースストックの組み合わせであり、かつ100℃において約7.5〜8.5cStの動粘度および150℃において約2.5〜2.9cPの高温高せん断(10
−6秒
−1)粘度を有する。実施例P1、P2、P3の潤滑エンジン油配合物は、それぞれ、0.05、0.15および0.51のホウ素対分散剤窒素比を有することが予想される。これらの配合物中の全ホウ素含有量は、50ppm〜800ppmの範囲であることが予想される。(Mg+Ca)/(B+N分散剤)比は、実施例P3に関する1.28〜実施例P1に関する2.91の範囲であることが予想される。同様に、([Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P3に関する0.71〜実施例P1に関する1.62の範囲であることが予想される。最後に、実施例P1、P2およびP3の([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、1.99〜4.53であることが予想される。実施例P4およびP5の潤滑エンジン油配合物は、300ppm〜600ppmのマグネシウム含有量を有することが予想される。同様に、実施例P6、P7およびP8の潤滑エンジン油配合物は、300ppm〜900ppmのマグネシウム含有量および実施例P6に関する約0.12〜実施例P8に関する1.21のマグネシウム対カルシウム比を有することが予想される。同時に、これらの実施例のTBNは、実施例P8に関する6.8から実施例P6に関するP9まで変動する。同様に、実施例P4、P5およびP6の硫酸灰分含有量は、0.3重量%から1.2重量%灰分まで変動する。
図7および8において識別される他の比率も、本明細書で示されるように変化する。実施例P9およびP10の潤滑エンジン油配合物は、一定のTBNにおいて、それぞれ、約0.06および3のマグネシウム対カルシウム比を有することが予想される。実施例P11、P12およびP13の潤滑エンジン油配合物は、実施例P13に関する約96ppm〜実施例P11に関する約635ppmの範囲の亜鉛含有量を有することが予想される。実施例P11、P12およびP13の潤滑エンジン油配合物は、実施例P13に関する約87ppm〜実施例P11に関する約570ppmの範囲のリン含有量を有することが予想される。([Mg]+[Ca])/([Zn]+[P])比は、実施例P11に関する約2.5〜実施例P13に関する16.5の範囲である。([Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P11に関する約1〜実施例P13に関する0.15の範囲である。([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P11に関する約3.4〜実施例P13に関する2.6の範囲である。
【0173】
実施例E
図9および10の潤滑エンジン油配合物は、添加剤およびベースストックの組み合わせであり、かつ100℃において約5.5〜7.5cStの動粘度および150℃において約2〜2.5cPの高温高せん断(10
−6秒
−1)粘度を有する。実施例P14、P15およびP16の潤滑エンジン油配合物は、それぞれ、0.05、0.15および0.51のホウ素対分散剤窒素比を有することが予想される。これらの配合物中の全ホウ素含有量は、50ppm〜800ppmの範囲であることが予想される。([Mg]+[Ca])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P16に関する1.28〜実施例P14に関する2.91の範囲であることが予想される。同様に、([Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P16に関する0.71〜実施例P14に関する1.62の範囲であることが予想される。最後に、実施例P14、P15およびP16の([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、1.99〜4.53であることが予想される。実施例P17およびP18の潤滑エンジン油配合物は、300ppm〜600ppmのマグネシウム含有量を有することが予想される。同様に、実施例P19、P20およびP21の潤滑エンジン油配合物は、300ppm〜900ppmのマグネシウム含有量および実施例P19に関する約0.12〜実施例P21に関する1.21のマグネシウム対カルシウム比を有することが予想される。同時に、これらの実施例のTBNは、実施例P21に関する6.8から実施例P19に関する9まで変動する。同様に、実施例P17、P18およびP19の硫酸灰分含有量は、0.3重量%から1.2重量%灰分まで変動する。
図9および10において識別される他の比率も、本明細書で示されるように変化する。実施例P22およびP23の潤滑エンジン油配合物は、一定のTBNにおいて、それぞれ、約0.06および3のマグネシウム対カルシウム比を有することが予想される。実施例P24、P25およびP26の潤滑エンジン油配合物は、実施例P26に関する約96ppm〜実施例P24に関する約635ppmの範囲の亜鉛含有量を有することが予想される。実施例P24、P25およびP26の潤滑エンジン油配合物は、実施例P26に関する約87ppm〜実施例P24に関する約570ppmの範囲のリン含有量を有することが予想される。([Mg]+[Ca])/([Zn]+[P])比は、実施例P24に関する約2.5〜実施例P26に関する16.5の範囲である。([Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P24に関する約1〜実施例P26に関する0.15の範囲である。([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P24に関する約3.4〜実施例P26に関する2.6の範囲である。
【0174】
実施例F
図11および12の潤滑エンジン油配合物は、添加剤およびベースストックの組み合わせであり、かつ100℃において約9〜11cStの動粘度および150℃において約2.9〜3.4cPの高温高せん断(10
−6秒
−1)粘度を有する。実施例P27、P28およびP29の潤滑エンジン油配合物は、それぞれ、0.05、0.15および0.51のホウ素対分散剤窒素比を有することが予想される。これらの配合物中の全ホウ素含有量は、50ppm〜800ppmの範囲であることが予想される。([Mg]+[Ca])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P29に関する1.28〜実施例P27に関する2.91の範囲であることが予想される。同様に、([Zn]+[P])/([B]+[N]分散剤)比は、実施例P29に関する0.71〜実施例P27に関する1.62の範囲であることが予想される。最後に、実施例P27、P28およびP29の([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、1.99〜4.53であることが予想される。実施例P30およびP31の潤滑エンジン油配合物は、300ppm〜600ppmのマグネシウム含有量を有することが予想される。同様に、実施例P32、P33およびP34の潤滑エンジン油配合物は、300ppm〜900ppmのマグネシウム含有量および実施例P32に関する約0.12〜実施例P34に関する1.21のマグネシウム対カルシウム比を有することが予想される。同時に、これらの実施例のTBNは、実施例P34に関する6.8から実施例P32に関する9まで変動する。同様に、実施例P30、P31およびP32の硫酸灰分含有量は、0.3重量%から1.2重量%灰分まで変動する。
図11および12において識別される他の比率も、本明細書で示されるように変化する。実施例P35およびP36の潤滑エンジン油配合物は、一定のTBNにおいて、それぞれ、約0.06および3のマグネシウム対カルシウム比を有することが予想される。実施例P37、P38およびP39の潤滑エンジン油配合物は、実施例P39に関する約96ppm〜実施例P37に関する約635ppmの範囲の亜鉛含有量を有することが予想される。実施例P37、P38およびP39の潤滑エンジン油配合物は、実施例P39に関する約87ppm〜実施例P37に関する約570ppmの範囲のリン含有量を有することが予想される。([Mg]+[Ca])/([Zn]+[P])比は、実施例P37に関する約2.5〜実施例P39に関する16.5の範囲である。([Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P37に関する約1〜実施例P39に関する0.15の範囲である。([Mg]+[Ca]+[Zn]+[P])/([B]+[N]
分散剤)比は、実施例P37に関する約3.4〜実施例P39に関する2.6の範囲である。上記実施例において使用される金属の濃度は、最終潤滑剤における重量による全%の単位である。[N]
分散剤とは、分散剤のみによって最終潤滑剤に提供された窒素濃度を意味する。
【0175】
本明細書に引用される全ての特許および特許出願、試験手順(ASTM法、UL法など)および他の文献は、そのような開示が本開示と一致する限り、およびそのような組み込みが容認される全ての権限に関して、参照によって完全に組み込まれる。
【0176】
数値的な下限および数値的な上限が本明細書に記載される場合、いずれかの下限からいずれかの上限までの範囲が考慮される。本開示の例示的な実施形態が詳細に記載されているが、様々なその他の修正形態は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、当業者にとって明らかであり、かつ当業者によって容易になされ得ることが理解されるであろう。したがって、添付された特許請求の範囲は、本明細書で明らかにされた実施例および記載に限定されるように意図されず、むしろ、請求項が、本開示が関連する当業者によって、その均等物として扱われるであろう全ての特徴を含めて、本開示に存在する特許取得可能な新規性の全ての特徴を包含すると解釈される。
【0177】
本開示は、多数の実施形態および個々の実施例を参照して上記された。上記の詳細な説明を考慮に入れて、当業者は多くの変形形態を提案するであろう。全てのそのような明白な変形形態は、添付の請求項の全ての意図された範囲内にある。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
配合油を潤滑油として使用することによって、前記潤滑油で潤滑されたエンジンにおける低速プレイグニッションを防止または低減する方法であって、前記配合油が、主成分として潤滑油ベースストックと、副成分として少なくとも1種のホウ素含有化合物とを含む組成を有し、前記少なくとも1種のホウ素含有化合物が、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含み、
前記エンジンが、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含まない潤滑油を使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較すると、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)について標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、50%よりも大きい低速プレイグニッションの低減を示す、
方法。
(態様2)
前記副成分が、少なくとも1種の清浄剤をさらに含み、前記清浄剤が、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含み、前記少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩が、少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含む、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記副成分が、少なくとも1種の清浄剤と、少なくとも1種の亜鉛含有化合物または少なくとも1種の抗摩耗剤とをさらに含み、前記清浄剤が、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含み、前記少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩が、少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含み、前記少なくとも1種の抗摩耗剤が、第二級アルコール由来の少なくとも1種のジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物を含む、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記潤滑油ベースストックが、グループI、グループII、グループIII、グループIVまたはグループVのベース油を含み、前記グループVのベース油が、2%〜20%の濃度でエステルベース油を含み、100℃で2cSt〜8cStの動粘度を有し、前記グループIIIのベース油がGTLベース油を含む、態様1〜3のいずれか1項に記載の方法。
(態様5)
前記ホウ素含有化合物またはホウ酸化分散剤が、ホウ酸化スクシンイミド、ホウ酸化コハク酸エステル、ホウ酸化コハク酸エステルアミド、ホウ酸化マンニッヒ塩基およびそれらの混合物からなる群から選択され、前記非ホウ酸化分散剤が、ホウ素含有化合物を含むカップリング剤とともに、無水コハク酸誘導スクシンイミドまたはコハク酸エステルを含む、態様1〜4のいずれか1項に記載の方法。
(態様6)
ホウ素が、有機もしくは無機ホウ素含有化合物と、ホウ酸化スクシンイミド、ホウ酸化コハク酸エステル、ホウ酸化コハク酸エステルアミド、マンニッヒ塩基エステルまたはそれらの混合物との混合物によって前記潤滑油に提供され、前記ホウ酸化スクシンイミドが、モノスクシンイミド、ビス−スクシンイミドまたはそれらの混合物である、態様1〜5のいずれか1項に記載の方法。
(態様7)
前記潤滑油中の、前記亜鉛含有化合物および抗摩耗剤からの全亜鉛と、前記清浄剤からの全アルカリ土類金属とを加算して、前記ホウ素含有化合物およびホウ酸化分散剤からの全ホウ素で割った比率が9.2〜45である、態様3〜6のいずれか1項に記載の方法。
(態様8)
前記有機酸のアルカリ土類金属塩が、アルカリ土類金属スルホネート、アルカリ土類金属カルボキシレート、アルカリ土類金属フェネート、アルカリ土類金属ホスフェートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、態様2〜7のいずれか1項に記載の方法。
(態様9)
前記清浄剤が、
(i)マグネシウムスルホネート、マグネシウムフェネートおよびマグネシウムサリシレートならびにそれらの混合物の少なくとも1種、任意選択的にカルシウムスルホネート、カルシウムフェネートおよびカルシウムサリシレートならびにそれらの混合物の少なくとも1種、
(ii)マグネシウムスルホネート、マグネシウムカルボキシレート、マグネシウムフェネート、マグネシウムホスフェートおよびそれらの混合物から選択される、有機酸の少なくとも1つのマグネシウム塩、または
(iii)マグネシウムスルホネート、マグネシウムスルホネートおよびマグネシウムサリシレートの混合物、マグネシウムスルホネートおよびマグネシウムフェネートの混合物、もしくはマグネシウムスルホネートおよびマグネシウムカルボキシレートの混合物
を含む、態様2〜8のいずれか1項に記載の方法。
(態様10)
(i)前記清浄剤によって提供されるマグネシウムおよびアルカリ土類金属が、前記潤滑油中に500ppm〜5000ppmの量で存在するか、
(ii)前記清浄剤によって提供される全アルカリ価(TBN)が、ASTM D2896によって測定される場合、2mg KOH/g〜17mg KOH/gの範囲であるか、または
(iii)前記清浄剤によって提供される硫酸灰分が、0.4〜1.7重量%の範囲である、
態様2〜9のいずれか1項に記載の方法。
(態様11)
前記亜鉛含有化合物が、ジンクカルボキシレート、ジンクスルホネート、ジンクアセテート、ジンクナフテネート、ジンクアルケニルスクシネート、ジンクアシッドホスフェートソルト、ジンクフェネートおよびジンクサリシレートからなる群から選択される、態様3〜10のいずれか1項に記載の方法。
(態様12)
前記ジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物が、式:
Zn[SP(S)(OR1)(OR2)]2
[式中、R1およびR2は、独立して、第一級または第二級C1〜C8アルキル基である(ただし、R1およびR2の少なくとも一方が第二級C1〜C8アルキル基である)]
によって表される、態様3〜11のいずれか1項に記載の方法。
(態様13)
主成分として潤滑油ベースストックと、副成分として少なくとも1種のホウ素含有化合物とを含む組成を有する潤滑エンジン油であって、前記少なくとも1種のホウ素含有化合物が、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含み、
エンジンが、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含まない潤滑油を使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較すると、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)について標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、50%よりも大きい低速プレイグニッションの低減を示す、潤滑エンジン油。
(態様14)
前記副成分が、少なくとも1種の清浄剤をさらに含み、前記清浄剤が、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含み、前記少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩が、少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含む、態様13に記載の潤滑エンジン油。
(態様15)
前記副成分が、少なくとも1種の清浄剤と、少なくとも1種の亜鉛含有化合物または少なくとも1種の抗摩耗剤とをさらに含み、前記清浄剤が、少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩を含み、前記少なくとも1種の有機酸のアルカリ土類金属塩が、少なくとも1種の有機酸のマグネシウム塩を含み、前記少なくとも1種の抗摩耗剤が、第二級アルコール由来の少なくとも1種のジンクジアルキルジチオフォスフェート化合物を含む、態様13に記載の潤滑エンジン油。
(態様16)
配合エンジン油を潤滑油として使用することによって、前記潤滑油で潤滑されたエンジンにおける低速プレイグニッションを防止または低減する方法であって、前記配合エンジン油が、70〜85重量%の少なくとも1種の潤滑油ベースストックと、前記配合エンジン油に30〜1500ppmのホウ素を提供する量の少なくとも1種の分散剤とを含む組成を有し、前記少なくとも1種の分散剤が、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含み、
前記エンジンが、少なくとも1種のホウ酸化分散剤、またはホウ素含有化合物と非ホウ酸化分散剤との混合物を含まない潤滑油を使用してエンジンで達成される低速プレイグニッション性能と比較すると、25,000回のエンジンサイクル、2000回転毎分(RPM)におけるエンジン運転および18バールの正味平均有効圧(BMEP)について標準化された低速プレイグニッション(LSPI)数に基づいて、50%よりも大きい低速プレイグニッションの低減を示す、
方法。