【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様によると、本発明は、燃やさない加熱式エアロゾル発生物品での使用のための均質化したたばこ材料を製造する方法に関し、前記方法は、たばこブレンドを形成するために等級分けしたたばこタイプをブレンドする工程と、前記たばこブレンドをブレンドしたたばこ粉末へと粉砕する工程と、ブレンドしたたばこ粉末を含むスラリーを形成する工程と、スラリーから均質なたばこウェブのウェブを形成する工程と、を含む。本発明によると、この方法は、第一のたばこの特徴に対する第一の標的値、および第二のたばこの特徴に対する第二の標的値を選択する工程をさらに含む。第一のたばこの特徴は還元糖であり、かつ第一の標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料中に存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントから成る。第二の標的値は、合計アンモニアおよび合計アルカロイドのうちの1つである。ブレンドする工程は、これらの第一の標的値および第二の標的値がブレンド中に所定の許容差範囲内で得られるように実施される。
【0008】
均質化したたばこ材料内に存在するたばこが実質的にエアロゾル発生物品内に存在する唯一のたばこ(またはその大部分)を構成するので、エアロゾルの特徴(例えば、その味わい、風味、および化学的特性など)への影響は、主に均質化したたばこ材料に由来する。従って、本発明によると、均質化したたばこ材料の成分は、結果として得られるブレンドしたたばこ粉末の全ての要素の起源が既知であるようにブレンドされる。これは、調製のために使用されるたばこダストの厳密な組成が完全には周知でない従来の再構成たばこシートを凌ぐ著しい利点である。従って、均質化したたばこ材料の製造のためにたばこをブレンドすることは、結果として得られる異なる種類のたばこのブレンドのある一定の特徴(例えば、風味特徴など)に対して所定の標的値を設定し、かつこれに適合することを可能にする。本発明によるエアロゾル発生物品のための均質化したたばこ材料の製造のための出発材料は、それゆえ、ほとんどがたばこ葉であるカットフィラーをブレンドするためのたばことサイズおよび物理的特性が同一であるたばこ葉である。
【0009】
従って、ある一定の標的値を得るために、ブレンド特徴の制御が実施される。最終製品に関連があると考えられるたばこ葉の中に存在する1つ以上の化学的特性が特定され、また特定された各特徴に対する望ましい標的値が選択される。この標的値は、2つ以上の等級分けしたたばこタイプを組み合わせることによって得られるたばこブレンドによって適合されるべき値である。1つ以上の標的値を選択すると、本発明の方法により実現される均質化したたばこ材料がエアロゾル形成物品中のエアロゾル形成基体として使用される時に形成されるエアロゾルの特徴に、ある程度影響を与えることができる。さらに、たばこの特徴を制御することによって、エアロゾル形成基体として使用される時、高度に再現可能なエアロゾルを作り出しうる均質化したたばこ材料を得ることができるようになる。
【0010】
少なくとも2つの標的値を選択することによってブレンドの中のたばこの少なくとも2つの特徴を制御することは、エアロゾル中に存在する少なくともいくつかの化合物の制御を可能にする場合があるが、これは、たばこの特徴に依存する芳香または化学的特性がある程度予測可能かつ再現可能であることを意味する。従って、均質化したたばこ材料は、特定のブレンドが可燃性エアロゾル発生物品(紙巻たばこなど)を特徴付ける仕方と同様に、例えば、均質化したたばこ材料を定義する特異的な特徴、または「風味」、または再現可能な特徴を有する。
【0011】
別の方法としてまたは追加的に、これらの2つの特徴の選択は、均質化したたばこ材料の特徴の制御に影響を与える場合があり、これは芳香または風味には影響しないが、これを処理できる方法には影響する。ある一定のたばこの特徴の制御は、エアロゾルの特徴にある程度影響を与えるだけでなく、最終製品を得るための均質化したたばこ材料の処理中の特徴にも影響を与えることが分かっている。すなわち、処理の種類ならびに所望される効果および成果に依存して、均質化したたばこ材料のある一定の特徴を増強または抑制するように、たばこブレンド中に存在するたばこの特徴を選択することができる。
【0012】
所定の許容差範囲は、たばこの特徴の葉ごとの天然のばらつきに反映する。
【0013】
「均質化したたばこ材料」という用語は、本明細書を通して、たばこ材料の粒子の凝集によって形成される任意のたばこ材料を含むように使用される。本発明では、均質化したたばこのシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することにより形成される。
【0014】
さらに、均質化したたばこ材料は、たばこの処理、取り扱い、および移送中に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0015】
均質化したたばこ材料は、たばこの粒子の凝集を助けるために、1つ以上の内因性の結合剤、1つ以上の外因性の結合剤、またはその組み合わせを備えてもよい。均質化したたばこ材料は、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0016】
加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体としての使用が意図されている時、均質化したたばこは、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を持つことが好ましい場合がある。加熱式エアロゾル発生物品で使用するための再構成たばこは、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で約5重量パーセント〜約30重量パーセントでありうることが好ましい。
【0017】
本発明では、スラリーは、適切にブレンドされた異なるたばこタイプのたばこラミナおよびたばこ茎によって形成される。「たばこタイプ」という用語は、たばこの異なる品種のうちの1つを意味する。本発明に関しては、これらの異なるたばこタイプは、ブライトたばこ、ダークたばこおよびアロマティックたばこの3つの主な群に区別される。これらの3つの群間の区別は、たばこがたばこ製品中でさらに加工される前に受ける乾燥処理プロセスに基づく。
【0018】
ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語は熱風送管乾燥処理されたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、チャイニーズ熱風送管乾燥処理、熱風送管乾燥処理ブラジル、バージニアたばこなどのUS熱風送管乾燥処理、インディアン熱風送管乾燥処理、タンザニア産の熱風送管乾燥処理、または他のアフリカン熱風送管乾燥処理が挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこは、乾燥処理後、スパイスの効いたそして活気のある感覚と関連付けられたたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥質量基準で約2.5パーセント〜約20パーセント、かつ合計アンモニア含有量が葉の乾燥質量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。合計アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。
【0019】
ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語は空気乾燥処理したたばこに対して使用される。さらに、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みタバコ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚と関連付けられるたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこに対する例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、乾燥処理したダークブラジルガルパオ、日光乾燥処理または空気乾燥処理したインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥質量基準で約2.5パーセント未満、かつ合計アンモニア含有量が葉の乾燥質量基準で最高約0.5パーセントであるたばこである。
【0020】
アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば、精油の含有量が高い他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスの効いたそして芳香を持つ感覚と関連付けられたたばこタイプである。アロマティックたばこに対する例は、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこだが火力乾燥処理もされたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドである。
【0021】
さらに、ブレンドは、いわゆるフィラーたばこも含んでもよい。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終製品に特異的な特徴を有する芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用されるたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、熱風送管乾燥ブラジルの葉柄下部の熱風送管乾燥処理した茎でありうる。
【0022】
たばこの各種類の中で、たばこ葉は、例えば、原産、植物内での配置、色、表面性状、サイズ、および形状に関してさらに等級分けされる。たばこ葉のこれらの特徴および他の特徴は、たばこブレンドを形成するために使用される。たばこのブレンドは、同一の種類または異なる種類に属するたばこの混合物であり、その結果たばこブレンドは凝集した特異的な特徴を有する。この特徴は、例えば、加熱または燃焼された時の独特の味わいまたは特異的なエアロゾルの組成とすることができる。ブレンドは、一つのものと他方のものの所与の比率で特定されたたばこタイプおよび等級を含む。
【0023】
本発明によると、同一のたばこタイプ内での異なる等級は、各ブレンド構成成分のばらつきを低減するためにクロスブレンドされてもよい。本発明によると、特異的な所定の特徴を有する望ましいブレンドを実現するために異なるたばこ等級が選択される。例えば、ブレンドは、乾燥質量基準の均質化したたばこ材料あたりの還元糖、合計アンモニア、および合計アルカロイドの標的値を有してもよい。合計アルカロイドは、例えば、ニコチン、ならびにノルニコチン、アナタビン、アナバシン、およびミオスミンを含む少量アルカロイドである。
【0024】
例えば、ブライトたばこは、等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこを含んでもよい。等級Aのブライトたばこは、等級Bおよび等級Cのブライトたばこと化学的特性がわずかに異なる。アロマティックたばこは、等級Dのたばこおよび等級Eのたばこを含んでもよく、等級Dのアロマティックたばこは、等級Eのアロマティックたばこと化学的特性がわずかに異なる。たばこブレンドに対する例証のために可能な標的値は、例えば、乾燥質量基準で合計たばこブレンドの約10パーセントの還元糖の含有量とすることができる。選択した標的値を達成するために、70パーセントのブライトたばこと30パーセントのアロマティックたばことを、たばこブレンドを形成するために選択してもよい。70パーセントのブライトたばこは等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこの中から選択されるが、30パーセントのアロマティックたばこは等級Dのたばこおよび等級Eのたばこから選択される。ブレンドの中に含まれる等級A、B、C、D、Eのたばこの量は、たばこブレンドに対する標的値に適合するために、等級A、B、C、D、Eのたばこの各々の化学的組成に依存する。
【0025】
様々なたばこタイプは異なる化学的特性を有する。たばこ葉の中には300を超える化学成分が存在すると考えられる。同一のたばこタイプの中でも、異なる等級では化学的組成が異なる場合がある。たばこの化学成分は、遺伝子、農作業、土壌の種類および栄養素、気象条件、植物の病気、葉柄の配置、収穫および乾燥処理手順によって影響を受ける場合がある。
【0026】
本発明によると、選択された第一の標的値および第二の標的値に適合するようなやり方でたばこの異なる種類および等級のブレンドが実施される。たばこは、選択された第一の標的値および第二の標的値を得るために使用される、各種類および等級の割合を所定する特定の処方またはレシピに従ってブレンドされる。複数の異なるレシピによって第一の標的値および第二の標的値を得ることができるが、これは、たばこタイプおよび等級の異なる組み合わせを使用する数多くの異なるやり方で同一の標的値を得ることができることを意味する。複数の組み合わせの中でも、例えば、本発明の方法により製造された均質化したたばこ材料がエアロゾル発生物品に使用される時に形成されるエアロゾルの風味などの追加的な考慮事項という観点から、特定のブレンドのレシピが選択されることが好ましい。特定されるたばこの特徴および標的値が選択される理由となるたばこの特徴は、たばこ葉および茎で直接的に測定できる。
【0027】
第一の所定のたばこの特徴は還元糖の量である。還元糖は、たばこの中の異なる他の化合物(アミノ酸など)のレベルに対する指標であってもよい。特定のアミノ酸はある一定のエアロゾル成分のレベルに影響する場合があるため、還元された糖はある一定のエアロゾル成分の間接的な指標である場合がある。たばこの中の還元糖の含有量が非常に高いと、エアロゾルに酸性を付与するため望ましくない場合がある。還元糖はエアロゾルの中の含水量を増加する場合があるので、軟化剤として作用する場合がある。アルカロイドに対する糖の比を、逆の効果のバランスの指標とすることができ、それゆえ良好なエアロゾル品質の指標として機能する。高い比はマイルドさおよび滑らかさを示す傾向があるが、一方で非常に低い比は強過ぎて不快なエアロゾルを示す場合がある。この比が高すぎる場合、たばこがマイルドすぎると考えられることを示す場合がある。適度なアルカロイド含有量と組み合わされた高い糖含有量は、エアロゾル発生物品のエアロゾル中の特に好ましい特徴である。還元糖に対する標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントである。還元糖の量のこの選択された標的値はエアロゾルに心地良い芳香を与えることが分かっている。さらに、還元糖量のこの選択された標的値が処理中に均質化したたばこ材料の可塑性を高めることが分かっている。
【0028】
均質化したたばこ材料ウェブに由来する均質化したたばこ材料を含むエアロゾル発生物品の製造中、均質化したたばこウェブは、一般にある程度の物理的取り扱い(例えば、湿潤、移動、乾燥、および切断など)に耐える必要がある。従って、最終的なたばこ材料の品質に対する影響がないまたは影響が最小限である、このような取り扱いに耐えるように適合された均質化したたばこウェブを提供することが望ましいことになる。特に、均質化したたばこ材料ウェブが完全な破れまたは部分的な破れをほとんど示さないのが望ましいことになる。破れた均質化したたばこウェブは、製造中のたばこ材料の損失につながる可能性がある。部分的にまたは完全に破れた均質化したたばこウェブは、機械のダウンタイム、ならびに機械の停止中および起動中の廃棄物にもつながる場合がある。従って、製造中の欠陥および裂けを回避するために均質化したたばこ材料が非常に均質であることを必要とする一方で、他方では処理中に均質化したたばこ材料に作用する力に耐える十分高い引張強さを有する必要がある。
【0029】
従って、やや高い引張強さを意味する可塑性の特徴は、機械の停止の回避および生産収率の増加のために重要な態様である。本発明によると、この態様は、有利なことに、ブレンドの中に存在する還元糖の所定値を標的化することによって制御することができる。要約すると、還元糖量は、エアロゾルの風味だけでなく、キャスティングおよび処理した時に均質化したたばこ材料の品質にも影響を与えることが分かっている。
【0030】
さらなる標的値である、合計アンモニア量または合計アルカロイド量のいずれかは、本発明により選択されることが好ましい。合計アルカロイドは、エアロゾルの中のニコチン量の指標である。従って、たばこの中の合計アルカロイド量を制御することによって、エアロゾル発生物品を使用する間に形成され吸い込まれるエアロゾルの中のニコチン量を制御できるようにする。
【0031】
合計アンモニアは、エアロゾルの中の合計アンモニアのある程度の指標でありうる。有利なことに、第二のたばこの特徴は合計アルカロイドであり、そして前記第二の標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.5パーセント〜約3.8パーセントから成る。合計アルカロイド標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約1.5パーセント〜約3.5パーセントから成ることが好ましい。ニコチンはアルカロイドであり、それゆえ合計アルカロイド量を制御することは、その結果均質化したたばこ材料の中のニコチン量を制御する場合がある。前記第二のたばこの特徴は合計アンモニアであり、かつ前記第二の標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満であることが好ましい。合計アンモニア含有量を可能な限り低い保つことが好ましい。ブレンドの中の合計アンモニアの制御は、エアロゾル発生物品の中の均質化したたばこ材料が使用される時に送達される、エアロゾルの化学組成の制御にある程度リンクしている。このようにして、エアロゾルの中のニコチン送達は、ある程度予測可能かつ再現可能である。
【0032】
好ましい実施形態では、方法は、第三のたばこの特徴に対して第三の標的値を選択する工程であって、第三のたばこの特徴が合計アンモニアであり、第三の標的値が乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満である、工程を含む。本発明によると、第一の標的値および第二の標的値を選択することができ、第一の標的値は還元糖に対する標的値であり、かつ第二の標的値は合計アンモニアまたは合計アルカロイドのいずれかに対する標的値である。好ましい実施形態では、選択された3つの標的値があり、第一の標的値は還元糖に対するものであり、第二の標的値は合計アルカロイドに対するものであり、そして第三の標的値は合計アンモニアに対するものである。
【0033】
エアロゾルおよび均質化したたばこ材料を製造するためのプロセスの複数の特徴をより良好に制御するために、等級分けしたたばこタイプの異なる選択されたブレンドを用いて、還元した糖、合計アルカロイド、および合計アンモニアに対する3つの異なる標的値全てが設定され適合される。
【0034】
好ましい実施形態では、ブレンドしたたばこ粉末は、合計量の約50パーセント〜約100パーセントの均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこを含む。
【0035】
たばこブレンドは、均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの実質的に全体または少なくとも大部分を表す。たばこブレンドを形成するたばこの特徴を制御することは、均質化したたばこ材料の中のたばこの少なくとも大部分の特徴を制御することを意味する。特定されたたばこの特徴の標的値の適切な選択は、ブレンドが実際に均質化したたばこ材料のたばこの大部分を含有するという事実に起因して、均質化したたばこ材料がエアロゾル形成体として使用される時に形成されるエアロゾルの特徴の制御、および均質化したたばこ材料製造プロセスの制御を可能にする。
【0036】
第一のたばこの特徴または第二のたばこの特徴の第一の標的値または第二の標的値に対する所定の許容差範囲は、選択されたそれぞれ第一の標的値または第二の標的値プラスまたはマイナス10パーセントであることが好ましい。例えば、還元糖に対する標的値「x−RD」が、たばこの合計量の乾燥質量基準で約8パーセント〜約18パーセントの範囲内で選択される場合、ブレンドの中の実際の合計の還元した糖の含有量が「x−RD」のプラスまたはマイナス10パーセントであり、たばこの合計量の乾燥基準重量の約8パーセント〜約18パーセントの範囲内となるように、異なるたばこのブレンドが大変精密であることが好ましい。例えば、「x−RD」が約10パーセントである場合、許容差範囲は約9〜約11パーセントである。この範囲は標的値のプラスまたはマイナス約5パーセントであることがより好ましく、またプラスまたはマイナス約2パーセントであることがなおより好ましい。有利なことに、範囲がより狭いほどプロセスのパラメータへの影響はより大きく、またエアロゾルの送達への影響がある程度より大きい。
【0037】
有利なことに、この方法は均質なたばこウェブを乾燥する工程を含む。均質化したたばこ材料のウェブは、上述のたばこ粉末のブレンドを含んで調製されたスラリーを支持表面上でキャスティングすることを一般的に含む種類のキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。次に、均質化したたばこ材料のシートを形成するためにキャストたばこウェブを乾燥し、次に、支持表面から取り外すことが好ましい。キャスティング工程における前記キャストたばこ材料ウェブの水分はキャストたばこウェブの総重量の約60重量パーセント〜約80重量パーセントであることが好ましい。均質化したたばこ材料の製造のための方法は、前記キャストたばこウェブを乾燥し、前記キャストたばこウェブを巻き取る工程を含むことが好ましい。巻き取り工程における前記キャストたばこウェブの水分はたばこ材料ウェブの総重量の約7重量パーセント〜約15重量パーセントであることが好ましい。巻き取り工程における前記均質化したたばこウェブの水分は、均質化したたばこウェブの総重量の約8重量パーセント〜約12重量パーセントであることが好ましい。
【0038】
有利なことに、前記たばこブレンドをブレンドしたたばこ粉末へと粉砕する工程は、前記たばこブレンドを平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルの粉末へと粉砕する工程を含む。約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルの平均サイズは、粉砕によってたばこ細胞が少なくとも部分的に破壊されるサイズを表す。さらに、この平均サイズを有するたばこの粉末を使用して得られた均質化したたばこ材料は滑らかで均一である。以下では、「たばこ粉末」という用語は、本明細書を通して、平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルであるたばこを示すために使用される。
【0039】
均質な均質化したたばこ材料を得るために、均質化したたばこ材料のためのたばこラミナは粉末へと粉砕される必要がある。大きすぎるたばこ粒子(たばこ粒子が0.15ミリメートルより大きい)は、たばこ粉末から形成された均質化したたばこウェブ内の欠陥および不均質な区域の原因となる場合がある。たばこ材料のウェブがより薄いほど、この効果は増加する。均質化したたばこウェブ内の欠陥は、均質化したたばこウェブの引張強さを減少する場合がある。引張強さの減少は、エアロゾル発生物品の製造におけるその後の均質化したたばこウェブの取り扱いの困難につながる場合があり、例えば、たばこウェブが部分的にまたは完全に裂けることに起因する機械の停止を生じる可能性がある。さらに、不均質なたばこウェブは、同一の均質化したたばこウェブから製造されたエアロゾル発生物品間で意図しないエアロゾル送達において差異を作り出す場合がある。従って、エアロゾル発生物品用として許容可能な再構成たばこ材料を得るためのスラリーを形成するための出発たばこ材料としては、平均粒子サイズが比較的小さいたばこが望ましい。さらに、たばこ粉末がたばこ細胞構造のサイズと同一のサイズまたはそれ以下である場合、たばこからの物質のエアロゾル化を改善することができることが分かっている。有利なことに、0.05ミリメートルまで細かく粉砕することによって、たばこ細胞構造を開くことができると考えられる。
【0040】
第二の態様によると、本発明は、等級分けしたたばこタイプのブレンドに由来する粉末を含む均質化したたばこ材料に関し、前記ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料に含まれるたばこの合計量の約50パーセント〜約100パーセントを含む。本発明の第二の態様によると、等級分けしたたばこタイプは、等級分けしたたばこタイプのブレンドの中の還元糖が乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中の存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントの選択された量となるようにブレンドされる。ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約75パーセント〜約100パーセントを含むことが好ましい。ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約90パーセント〜約100パーセントを含むことがより好ましい。ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約95パーセント〜約100パーセントを含むことが最も好ましい。均質化したたばこ材料の中のブレンドしたたばこの量が多いほど、プロセスパラメータにわたる制御はより良好になる。均質化したたばこ材料の中のブレンドしたたばこの量が多いほど、均質化したたばこ材料から生成されうるエアロゾルの再現性への影響はより良好になる。
【0041】
均質化したたばこ材料のウェブは、上述のたばこ粉末のブレンドを含めて調製されたスラリーを支持表面上でキャスティングすることを一般的に含む種類のキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。次に、均質化したたばこ材料のシートを形成するためにキャストたばこウェブを乾燥し、次に、支持表面から取り外すことが好ましい。
【0042】
本発明の均質化したたばこ材料は、エアロゾル発生物品で使用するために適切なたばこウェブを製造するためのキャスティングおよび乾燥するプロセスに耐えるように適応された良好な引張強さを有する。
【0043】
有利なことに、均質化したたばこ材料では、等級分けしたたばこタイプのブレンドの中の合計アンモニアが乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満の量となるように、等級分けしたたばこタイプがブレンドされる。
【0044】
均質化したたばこ材料では、たばこタイプのブレンドの中の合計アルカロイドが乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.5パーセント〜3.8パーセントから成る量となるように、等級分けしたたばこタイプがブレンドされることが好ましい。
【0045】
有利なことに、均質化したたばこ材料では、前記ブレンドたばこは、乾燥質量で均質化したたばこシートの中に含まれるたばこの合計量の少なくとも約30パーセントのブライトたばこを含む。均質化したたばこ材料では、前記ブレンドたばこは乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約40パーセント未満のダークたばこを含むことが好ましい。有利なことに、前記ブレンドたばこは乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約40パーセント未満のアロマティックたばこを含む。ブライトたばこ、ダークたばこ、およびアロマティックたばこの異なる特性に起因して、上記の範囲を使用することで異なるブレンドに対する大きい設計空間が作り出される。均質化したたばこ材料のブレンドたばこは、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約20パーセント未満のフィラーたばこを含むことが好ましい。
【0046】
好ましい実施形態では、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約1パーセント〜約3パーセントの量のセルロース繊維を含む。セルロースパルプは、水およびセルロース繊維を含む。均質化したたばこ材料のスラリーに含むためのセルロース繊維は当業界において周知であり、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、大麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。パルプ化に加えて、セルロース繊維は、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切なプロセスを受ける場合がある。
【0047】
繊維粒子は、たばこ茎材料、葉柄または他のたばこ植物材料を含む場合がある。木材繊維などのセルロースベースの繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。繊維粒子は低い含有率(例えば、約2〜約15%の含有率)に対してキャストリーフに十分な引張強さをもたらす要求に応じて選択されてもよい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0048】
スラリーから最終的な均質化したたばこ材料への、切断されかつエアロゾル発生装置内へ導入される処理の間、均質化したたばこシートは、多くの場合、湿潤、移動、乾燥、および切断に耐える必要がある。均質化したたばこウェブが破壊および欠陥形成を最小限に抑えつつ処理の厳しさに耐える能力は、たばこ材料の損失を減少させることから非常に望ましい特性である。均質化したたばこ材料の中へのセルロース繊維の導入は、強化剤として作用して、材料のシートの牽引に対する引張強さを増加する。従ってセルロース繊維の添加は均質化したたばこ材料ウェブの弾力を増加し、そしてそれゆえエアロゾル発生装置および他の喫煙物品の製造コストを減少する場合がある。
【0049】
なことに、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約1パーセント〜約5パーセントの量の結合剤を含む。
【0050】
本明細書に記載されるゴムまたはペクチンのいずれかなどの結合剤を添加することは、均質化したたばこウェブ全体にわたりたばこ粉末を実質的に分散したままにすることを確保するために有利である。ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry,IRL Press (G.O.Phillip et al.eds.1988)、Whistler,Industrial Gums:Polysaccharides And Their Derivatives,Academic Press(2d ed.1973)、およびLawrence,Natural Gums For Edible Purposes,Noyes Data Corp.(1976)を参照されたい。
【0051】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアーおよびヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コニャックフラー、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0052】
均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約5パーセント〜約30パーセントの量のエアロゾル形成体を含むことが好ましい。
【0053】
均質化したたばこ材料のウェブのためのスラリーに含むための適切なエアロゾル形成剤は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールのような)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
例えば、本明細書による均質化したたばこ材料が加熱式エアロゾル発生物品の中でエアロゾル形成基体として使用されるよう意図されている場合、均質化したたばこ材料のウェブは、エアロゾル形成体の含有量が乾燥質量基準で約5重量パーセント〜約30重量パーセントであってもよい。発熱体を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムでの使用が意図されている均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5パーセント〜約30パーセントを超えるエアロゾル形成体を含むことが好ましい場合がある。発熱体を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムでの使用が意図されている均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体がグリセロールであることが好ましい場合がある。
【0055】
第三の態様によると、本発明は上述の均質化したたばこ材料の一部分を含むエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品である。エアロゾル発生物品は、不燃性のエアロゾル発生物品であってもよい。不燃性のエアロゾル発生物品は、例えば、エアロゾル形成基体を加熱することにより、または化学反応により、またはエアロゾル形成基体の機械的な刺激により、エアロゾル形成基体を燃焼することなしに揮発性化合物を放出する。
【0056】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル揮発性化合物を形成することができ、またエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されうる揮発性化合物を放出する能力を有する。エアロゾル形成生成物品で使用される均質化したたばこ材料のために、エアロゾル形成体はキャストリーフを形成するスラリーに含まれることが好ましい。所定の特徴のうちの1つ以上に基づいてエアロゾル形成体を選んでもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、エアロゾル形成体の特定の気化温度を超えて加熱された時、エアロゾル形成体が気化してエアロゾル内のニコチンおよび/または風味剤を運ぶことができるメカニズムを提供する。
【0057】
本発明はエアロゾル発生物品のバッチにも関し、第一のたばこの特徴または第二のたばこの特徴のそれぞれの第一の標的値または第二の標的値は所定の許容差範囲内であり、かつ許容差範囲は第一の標的値または第二の標的値は選択されたそれぞれ第一の標的値または第二の標的値のプラスまたはマイナス約10パーセントと等しい。
【0058】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。