特許第6774944号(P6774944)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6774944均質化したたばこ材料を製造する方法、および均質化したたばこ材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774944
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】均質化したたばこ材料を製造する方法、および均質化したたばこ材料
(51)【国際特許分類】
   A24B 3/14 20060101AFI20201019BHJP
   A24B 7/00 20060101ALI20201019BHJP
   A24B 3/08 20060101ALI20201019BHJP
   A24B 15/28 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   A24B3/14
   A24B7/00
   A24B3/08
   A24B15/28
【請求項の数】18
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-516705(P2017-516705)
(86)(22)【出願日】2015年9月9日
(65)【公表番号】特表2017-530704(P2017-530704A)
(43)【公表日】2017年10月19日
(86)【国際出願番号】EP2015070656
(87)【国際公開番号】WO2016050472
(87)【国際公開日】20160407
【審査請求日】2018年8月7日
(31)【優先権主張番号】14187204.4
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クリプフェル ヨリック
(72)【発明者】
【氏名】パイネンバーグ ヨハネス ペトラス マリア
(72)【発明者】
【氏名】ドイル マイケル エリオット
(72)【発明者】
【氏名】マンズール ベドヤ ジュアン デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラウシス パスカル
【審査官】 八木 敬太
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−231884(JP,A)
【文献】 特表2008−509703(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02526787(EP,A1)
【文献】 特表2013−519384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 1/00−15/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃やさない加熱式エアロゾル発生物品中に使用するための均質化したたばこ材料を製造する方法であって、
第一のたばこの特徴に対して第一の標的値を選択する工程であって、前記第一のたばこの特徴が還元糖であり、かつ前記第一の標的値が乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料中に存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントから成る、工程と、
第二のたばこの特徴の第二の標的値を選択する工程であって、前記第二のたばこの特徴が合計アンモニアと合計アルカロイドとのうちの1つである、工程と、
前記たばこブレンドを形成するために等級分けしたたばこタイプをブレンドする工程であって、各等級分けしたたばこタイプが、前記ブレンド内に前記第一のたばこの特徴および前記第二のたばこの特徴の前記第一の標的値および前記第二の標的値が所定の許容差範囲内で得られるように、所定の量の前記第一のたばこの特徴および前記第二のたばこの特徴を含む、工程と、
前記たばこブレンドをブレンドしたたばこ粉末へと粉砕する工程と、
前記ブレンドしたたばこ粉末を含むスラリーを形成する工程と、
前記スラリーから均質なたばこウェブのウェブを形成する工程と、を含む方法。
【請求項2】
前記第二のたばこの特徴が合計アルカロイドであり、かつ前記第二の標的値が、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約1.5パーセント〜約3.5パーセントから成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二のたばこの特徴が合計アンモニアであり、かつ前記第二の標的値が、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第三のたばこの特徴に対して第三の標的値を選択する工程であって、前記第三のたばこの特徴が合計アンモニアであり、前記第三の標的値が、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満である、工程を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ブレンドしたたばこ粉末が、前記均質化したたばこ材料中に含まれるたばこの合計量の約50パーセント〜約100パーセントを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
等級分けしたたばこタイプをブレンドする前記工程が、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の少なくとも約30パーセントのブライトたばこをブレンドする工程を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第一のたばこの特徴または前記第二のたばこの特徴の前記第一の標的値または前記第二の標的値に対する前記所定の許容差範囲が、前記選択されたそれぞれ第一の標的値または前記第二の標的値のプラスまたはマイナス約10パーセントである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記均質なたばこウェブを乾燥する工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記たばこブレンドをブレンドしたたばこ粉末へと粉砕する前記工程が、前記たばこブレンドを平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルの粉末へと粉砕する工程を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
等級分けしたたばこタイプのブレンド由来の粉末を含む均質化したたばこ材料であって、前記たばこブレンドが、前記均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約50パーセント〜約100パーセントを含み、かつ前記等級分けしたたばこタイプがブレンドされ、その結果還元糖が乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントの量で含まれ、合計アンモニアが乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満の量となるように、前記等級分けしたたばこタイプがブレンドされる、均質化したたばこ材料。
【請求項11】
合計アルカロイドが乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約1.5パーセント〜3.5パーセントの量で含まれるように、前記等級分けしたたばこタイプがブレンドされる、請求項10に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項12】
前記たばこブレンドが、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の少なくとも約30パーセントのブライトたばこを含む、請求項10または11に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項13】
前記たばこブレンドが、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約40パーセント未満のダークたばこを含む、請求項10〜12のいずれか1項に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項14】
前記たばこブレンドが、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約40パーセント未満のアロマティックたばこを含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項15】
前記たばこブレンドが、乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約20パーセント未満のフィラーたばこを含む、請求項10〜14のいずれか1項に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項16】
乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の約1パーセント〜約3パーセントの量のセルロース繊維を含む、請求項10〜15のいずれか1項に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項17】
乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の約1パーセント〜約5パーセントの量の結合剤を含む、請求項10〜16のいずれか1項に記載の均質化したたばこ材料。
【請求項18】
乾燥質量基準で前記均質化したたばこ材料の約5パーセント〜約30パーセントの量のエアロゾル形成体を含む、請求項10〜17のいずれか1項に記載の均質化したたばこ材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、均質化したたばこ材料、および均質化したたばこ材料を製造するための方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、例えば、紙巻たばこまたは「燃やさない加熱式」たばこを含有する製品などのエアロゾル発生物品で使用する均質化したたばこ材料を製造するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
今日では、たばこ製品の製造では、たばこ葉の他に均質化したたばこ材料も使用される。この均質化したたばこ材料は、例えば、たばこ茎またはたばこダストなどの、一般にカットフィラーの製造にあまり適していないたばこ植物の部分から製造される。一般に、たばこダストは製造中にたばこ葉の取り扱いの間に副産物として作り出される。
【0004】
均質化したたばこ材料の最も一般的に使用される形態は、再構成たばこシートおよびキャストリーフである。均質化したたばこ材料シートを形成するプロセスは、一般的にスラリーを形成するためにたばこダストと結合剤とを混合する工程を含む。次にスラリーは、例えば、いわゆるキャストリーフを製造するために粘性のあるスラリーを移動する金属ベルト上にキャスティングすることによってたばこウェブを作り出すために使用される。あるいは、再構成たばこを作り出すために、粘性が低くかつ水含有量が高いスラリーを製紙と似たプロセスで使用することができる。調製されると、紙巻たばこおよび他の喫煙物品のために適切なたばこカットフィラーを製造するための葉たばこと類似した様式で、均質化したたばこウェブを切断してもよい。従来の紙巻たばこで使用するための均質化したたばこの機能は、実質的に充填力、引き出し抵抗、たばこロッドの硬さ、および燃焼特性などのたばこの物理的特性に限定される。この均質化したたばこは、一般に味わいに対する影響を有するようには設計されていない。このような均質化したたばこを作成するプロセスは、例えば、欧州特許第EP0565360号に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品では、エアロゾル形成基体はエアロゾルを形成するがたばこ材料の燃焼は防止するために、比較的低い温度に加熱される。さらに、均質化したたばこ材料中に存在するたばこは、一般にたばこのみであるか、または大部分がこのような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品の均質化したたばこ材料中に存在するたばこを含む。これは、このような「燃やさない加熱式」エアロゾル発生物品によって発生されるエアロゾル組成が実質的に均質化したたばこ材料のみに基づくことを意味する。従って、例えば、エアロゾルの味わいの制御のためには、均質化したたばこ材料の組成にわたる良好な制御を有することが重要である。従って、エアロゾル発生物品用の均質化したたばこ材料の製造のためにたばこダストまたは他のたばこ製造からの残り物を使用することは、たばこダストの厳密な組成が未知のためあまり適切ではない。
【0006】
従って、このような加熱式エアロゾル発生物品の異なる加熱特性およびエアロゾル形成の必要性に適合された、「燃やさない加熱式」の加熱式エアロゾル発生物品での使用のための均質化したたばこ材料、および均質化したたばこ材料を調製するための新しい方法に対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一の態様によると、本発明は、燃やさない加熱式エアロゾル発生物品での使用のための均質化したたばこ材料を製造する方法に関し、前記方法は、たばこブレンドを形成するために等級分けしたたばこタイプをブレンドする工程と、前記たばこブレンドをブレンドしたたばこ粉末へと粉砕する工程と、ブレンドしたたばこ粉末を含むスラリーを形成する工程と、スラリーから均質なたばこウェブのウェブを形成する工程と、を含む。本発明によると、この方法は、第一のたばこの特徴に対する第一の標的値、および第二のたばこの特徴に対する第二の標的値を選択する工程をさらに含む。第一のたばこの特徴は還元糖であり、かつ第一の標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料中に存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントから成る。第二の標的値は、合計アンモニアおよび合計アルカロイドのうちの1つである。ブレンドする工程は、これらの第一の標的値および第二の標的値がブレンド中に所定の許容差範囲内で得られるように実施される。
【0008】
均質化したたばこ材料内に存在するたばこが実質的にエアロゾル発生物品内に存在する唯一のたばこ(またはその大部分)を構成するので、エアロゾルの特徴(例えば、その味わい、風味、および化学的特性など)への影響は、主に均質化したたばこ材料に由来する。従って、本発明によると、均質化したたばこ材料の成分は、結果として得られるブレンドしたたばこ粉末の全ての要素の起源が既知であるようにブレンドされる。これは、調製のために使用されるたばこダストの厳密な組成が完全には周知でない従来の再構成たばこシートを凌ぐ著しい利点である。従って、均質化したたばこ材料の製造のためにたばこをブレンドすることは、結果として得られる異なる種類のたばこのブレンドのある一定の特徴(例えば、風味特徴など)に対して所定の標的値を設定し、かつこれに適合することを可能にする。本発明によるエアロゾル発生物品のための均質化したたばこ材料の製造のための出発材料は、それゆえ、ほとんどがたばこ葉であるカットフィラーをブレンドするためのたばことサイズおよび物理的特性が同一であるたばこ葉である。
【0009】
従って、ある一定の標的値を得るために、ブレンド特徴の制御が実施される。最終製品に関連があると考えられるたばこ葉の中に存在する1つ以上の化学的特性が特定され、また特定された各特徴に対する望ましい標的値が選択される。この標的値は、2つ以上の等級分けしたたばこタイプを組み合わせることによって得られるたばこブレンドによって適合されるべき値である。1つ以上の標的値を選択すると、本発明の方法により実現される均質化したたばこ材料がエアロゾル形成物品中のエアロゾル形成基体として使用される時に形成されるエアロゾルの特徴に、ある程度影響を与えることができる。さらに、たばこの特徴を制御することによって、エアロゾル形成基体として使用される時、高度に再現可能なエアロゾルを作り出しうる均質化したたばこ材料を得ることができるようになる。
【0010】
少なくとも2つの標的値を選択することによってブレンドの中のたばこの少なくとも2つの特徴を制御することは、エアロゾル中に存在する少なくともいくつかの化合物の制御を可能にする場合があるが、これは、たばこの特徴に依存する芳香または化学的特性がある程度予測可能かつ再現可能であることを意味する。従って、均質化したたばこ材料は、特定のブレンドが可燃性エアロゾル発生物品(紙巻たばこなど)を特徴付ける仕方と同様に、例えば、均質化したたばこ材料を定義する特異的な特徴、または「風味」、または再現可能な特徴を有する。
【0011】
別の方法としてまたは追加的に、これらの2つの特徴の選択は、均質化したたばこ材料の特徴の制御に影響を与える場合があり、これは芳香または風味には影響しないが、これを処理できる方法には影響する。ある一定のたばこの特徴の制御は、エアロゾルの特徴にある程度影響を与えるだけでなく、最終製品を得るための均質化したたばこ材料の処理中の特徴にも影響を与えることが分かっている。すなわち、処理の種類ならびに所望される効果および成果に依存して、均質化したたばこ材料のある一定の特徴を増強または抑制するように、たばこブレンド中に存在するたばこの特徴を選択することができる。
【0012】
所定の許容差範囲は、たばこの特徴の葉ごとの天然のばらつきに反映する。
【0013】
「均質化したたばこ材料」という用語は、本明細書を通して、たばこ材料の粒子の凝集によって形成される任意のたばこ材料を含むように使用される。本発明では、均質化したたばこのシートまたはウェブは、たばこ葉ラミナおよびたばこ葉茎の一方または両方を粉砕することによって、またはその他の方法で粉末化することによって得られた粒子状たばこを凝集することにより形成される。
【0014】
さらに、均質化したたばこ材料は、たばこの処理、取り扱い、および移送中に形成された少量のたばこダスト、たばこ微粉、およびその他の粒子状たばこ副産物のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0015】
均質化したたばこ材料は、たばこの粒子の凝集を助けるために、1つ以上の内因性の結合剤、1つ以上の外因性の結合剤、またはその組み合わせを備えてもよい。均質化したたばこ材料は、たばこおよび非たばこ繊維、エアロゾル形成体、可塑剤、風味剤、フィラー、水性および非水性の溶媒、ならびにこれらの組み合わせを含むがこれに限定されないその他の添加剤を含んでもよい。
【0016】
加熱式エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体としての使用が意図されている時、均質化したたばこは、乾燥質量基準で約5パーセントを超えるエアロゾル形成体含有量を持つことが好ましい場合がある。加熱式エアロゾル発生物品で使用するための再構成たばこは、エアロゾル形成体含有量が乾燥質量基準で約5重量パーセント〜約30重量パーセントでありうることが好ましい。
【0017】
本発明では、スラリーは、適切にブレンドされた異なるたばこタイプのたばこラミナおよびたばこ茎によって形成される。「たばこタイプ」という用語は、たばこの異なる品種のうちの1つを意味する。本発明に関しては、これらの異なるたばこタイプは、ブライトたばこ、ダークたばこおよびアロマティックたばこの3つの主な群に区別される。これらの3つの群間の区別は、たばこがたばこ製品中でさらに加工される前に受ける乾燥処理プロセスに基づく。
【0018】
ブライトたばこは、一般的に大きく、明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ブライトたばこ」という用語は熱風送管乾燥処理されたたばこに対して使用される。ブライトたばこの例としては、チャイニーズ熱風送管乾燥処理、熱風送管乾燥処理ブラジル、バージニアたばこなどのUS熱風送管乾燥処理、インディアン熱風送管乾燥処理、タンザニア産の熱風送管乾燥処理、または他のアフリカン熱風送管乾燥処理が挙げられる。ブライトたばこは、糖対窒素の比が高いことによって特徴付けられる。感覚的な見方からは、ブライトたばこは、乾燥処理後、スパイスの効いたそして活気のある感覚と関連付けられたたばこタイプである。本発明によると、ブライトたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥質量基準で約2.5パーセント〜約20パーセント、かつ合計アンモニア含有量が葉の乾燥質量基準で約0.12パーセント未満であるたばこである。還元糖には、例えばグルコースまたはフルクトースが含まれる。合計アンモニアには、例えばアンモニアおよびアンモニア塩が含まれる。
【0019】
ダークたばこは、一般的に大きく暗い色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「ダークたばこ」という用語は空気乾燥処理したたばこに対して使用される。さらに、ダークたばこは発酵していてもよい。主として噛みタバコ、嗅ぎたばこ、葉巻たばこ、およびパイプブレンド用に使用されるたばこもこの範疇に含まれる。感覚的な見方からは、ダークたばこは、乾燥処理後、スモーキーでダークシガータイプの感覚と関連付けられるたばこタイプである。ダークたばこは糖対窒素の比が低いことによって特徴付けられる。ダークたばこに対する例は、バーレーマラウイまたは他のアフリカンバーレー、乾燥処理したダークブラジルガルパオ、日光乾燥処理または空気乾燥処理したインドネシアカストリ(Kasturi)である。本発明によると、ダークたばこは、還元糖の含有量が葉の乾燥質量基準で約2.5パーセント未満、かつ合計アンモニア含有量が葉の乾燥質量基準で最高約0.5パーセントであるたばこである。
【0020】
アロマティックたばこは、しばしば小さい明るい色の葉を有するたばこである。本明細書を通して、「アロマティックたばこ」という用語は、芳香成分含有量、例えば、精油の含有量が高い他のたばこに対して使用される。感覚的な見方からは、アロマティックたばこは、乾燥処理後、スパイスの効いたそして芳香を持つ感覚と関連付けられたたばこタイプである。アロマティックたばこに対する例は、グリークオリエント、オリエントターキー、セミオリエントたばこだが火力乾燥処理もされたたばこ、ペリクなどのUSバーレー、ルスティカ、USバーレーまたはメリーランドである。
【0021】
さらに、ブレンドは、いわゆるフィラーたばこも含んでもよい。フィラーたばこは具体的なたばこタイプではないが、ブレンドで使用され、かつ最終製品に特異的な特徴を有する芳香の方向性をもたらさないその他のたばこタイプを補完するために主に使用されるたばこタイプを含む。フィラーたばこの例は、他のたばこタイプの茎、中央脈、または葉柄である。具体的な例は、熱風送管乾燥ブラジルの葉柄下部の熱風送管乾燥処理した茎でありうる。
【0022】
たばこの各種類の中で、たばこ葉は、例えば、原産、植物内での配置、色、表面性状、サイズ、および形状に関してさらに等級分けされる。たばこ葉のこれらの特徴および他の特徴は、たばこブレンドを形成するために使用される。たばこのブレンドは、同一の種類または異なる種類に属するたばこの混合物であり、その結果たばこブレンドは凝集した特異的な特徴を有する。この特徴は、例えば、加熱または燃焼された時の独特の味わいまたは特異的なエアロゾルの組成とすることができる。ブレンドは、一つのものと他方のものの所与の比率で特定されたたばこタイプおよび等級を含む。
【0023】
本発明によると、同一のたばこタイプ内での異なる等級は、各ブレンド構成成分のばらつきを低減するためにクロスブレンドされてもよい。本発明によると、特異的な所定の特徴を有する望ましいブレンドを実現するために異なるたばこ等級が選択される。例えば、ブレンドは、乾燥質量基準の均質化したたばこ材料あたりの還元糖、合計アンモニア、および合計アルカロイドの標的値を有してもよい。合計アルカロイドは、例えば、ニコチン、ならびにノルニコチン、アナタビン、アナバシン、およびミオスミンを含む少量アルカロイドである。
【0024】
例えば、ブライトたばこは、等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこを含んでもよい。等級Aのブライトたばこは、等級Bおよび等級Cのブライトたばこと化学的特性がわずかに異なる。アロマティックたばこは、等級Dのたばこおよび等級Eのたばこを含んでもよく、等級Dのアロマティックたばこは、等級Eのアロマティックたばこと化学的特性がわずかに異なる。たばこブレンドに対する例証のために可能な標的値は、例えば、乾燥質量基準で合計たばこブレンドの約10パーセントの還元糖の含有量とすることができる。選択した標的値を達成するために、70パーセントのブライトたばこと30パーセントのアロマティックたばことを、たばこブレンドを形成するために選択してもよい。70パーセントのブライトたばこは等級Aのたばこ、等級Bのたばこ、および等級Cのたばこの中から選択されるが、30パーセントのアロマティックたばこは等級Dのたばこおよび等級Eのたばこから選択される。ブレンドの中に含まれる等級A、B、C、D、Eのたばこの量は、たばこブレンドに対する標的値に適合するために、等級A、B、C、D、Eのたばこの各々の化学的組成に依存する。
【0025】
様々なたばこタイプは異なる化学的特性を有する。たばこ葉の中には300を超える化学成分が存在すると考えられる。同一のたばこタイプの中でも、異なる等級では化学的組成が異なる場合がある。たばこの化学成分は、遺伝子、農作業、土壌の種類および栄養素、気象条件、植物の病気、葉柄の配置、収穫および乾燥処理手順によって影響を受ける場合がある。
【0026】
本発明によると、選択された第一の標的値および第二の標的値に適合するようなやり方でたばこの異なる種類および等級のブレンドが実施される。たばこは、選択された第一の標的値および第二の標的値を得るために使用される、各種類および等級の割合を所定する特定の処方またはレシピに従ってブレンドされる。複数の異なるレシピによって第一の標的値および第二の標的値を得ることができるが、これは、たばこタイプおよび等級の異なる組み合わせを使用する数多くの異なるやり方で同一の標的値を得ることができることを意味する。複数の組み合わせの中でも、例えば、本発明の方法により製造された均質化したたばこ材料がエアロゾル発生物品に使用される時に形成されるエアロゾルの風味などの追加的な考慮事項という観点から、特定のブレンドのレシピが選択されることが好ましい。特定されるたばこの特徴および標的値が選択される理由となるたばこの特徴は、たばこ葉および茎で直接的に測定できる。
【0027】
第一の所定のたばこの特徴は還元糖の量である。還元糖は、たばこの中の異なる他の化合物(アミノ酸など)のレベルに対する指標であってもよい。特定のアミノ酸はある一定のエアロゾル成分のレベルに影響する場合があるため、還元された糖はある一定のエアロゾル成分の間接的な指標である場合がある。たばこの中の還元糖の含有量が非常に高いと、エアロゾルに酸性を付与するため望ましくない場合がある。還元糖はエアロゾルの中の含水量を増加する場合があるので、軟化剤として作用する場合がある。アルカロイドに対する糖の比を、逆の効果のバランスの指標とすることができ、それゆえ良好なエアロゾル品質の指標として機能する。高い比はマイルドさおよび滑らかさを示す傾向があるが、一方で非常に低い比は強過ぎて不快なエアロゾルを示す場合がある。この比が高すぎる場合、たばこがマイルドすぎると考えられることを示す場合がある。適度なアルカロイド含有量と組み合わされた高い糖含有量は、エアロゾル発生物品のエアロゾル中の特に好ましい特徴である。還元糖に対する標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントである。還元糖の量のこの選択された標的値はエアロゾルに心地良い芳香を与えることが分かっている。さらに、還元糖量のこの選択された標的値が処理中に均質化したたばこ材料の可塑性を高めることが分かっている。
【0028】
均質化したたばこ材料ウェブに由来する均質化したたばこ材料を含むエアロゾル発生物品の製造中、均質化したたばこウェブは、一般にある程度の物理的取り扱い(例えば、湿潤、移動、乾燥、および切断など)に耐える必要がある。従って、最終的なたばこ材料の品質に対する影響がないまたは影響が最小限である、このような取り扱いに耐えるように適合された均質化したたばこウェブを提供することが望ましいことになる。特に、均質化したたばこ材料ウェブが完全な破れまたは部分的な破れをほとんど示さないのが望ましいことになる。破れた均質化したたばこウェブは、製造中のたばこ材料の損失につながる可能性がある。部分的にまたは完全に破れた均質化したたばこウェブは、機械のダウンタイム、ならびに機械の停止中および起動中の廃棄物にもつながる場合がある。従って、製造中の欠陥および裂けを回避するために均質化したたばこ材料が非常に均質であることを必要とする一方で、他方では処理中に均質化したたばこ材料に作用する力に耐える十分高い引張強さを有する必要がある。
【0029】
従って、やや高い引張強さを意味する可塑性の特徴は、機械の停止の回避および生産収率の増加のために重要な態様である。本発明によると、この態様は、有利なことに、ブレンドの中に存在する還元糖の所定値を標的化することによって制御することができる。要約すると、還元糖量は、エアロゾルの風味だけでなく、キャスティングおよび処理した時に均質化したたばこ材料の品質にも影響を与えることが分かっている。
【0030】
さらなる標的値である、合計アンモニア量または合計アルカロイド量のいずれかは、本発明により選択されることが好ましい。合計アルカロイドは、エアロゾルの中のニコチン量の指標である。従って、たばこの中の合計アルカロイド量を制御することによって、エアロゾル発生物品を使用する間に形成され吸い込まれるエアロゾルの中のニコチン量を制御できるようにする。
【0031】
合計アンモニアは、エアロゾルの中の合計アンモニアのある程度の指標でありうる。有利なことに、第二のたばこの特徴は合計アルカロイドであり、そして前記第二の標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.5パーセント〜約3.8パーセントから成る。合計アルカロイド標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約1.5パーセント〜約3.5パーセントから成ることが好ましい。ニコチンはアルカロイドであり、それゆえ合計アルカロイド量を制御することは、その結果均質化したたばこ材料の中のニコチン量を制御する場合がある。前記第二のたばこの特徴は合計アンモニアであり、かつ前記第二の標的値は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満であることが好ましい。合計アンモニア含有量を可能な限り低い保つことが好ましい。ブレンドの中の合計アンモニアの制御は、エアロゾル発生物品の中の均質化したたばこ材料が使用される時に送達される、エアロゾルの化学組成の制御にある程度リンクしている。このようにして、エアロゾルの中のニコチン送達は、ある程度予測可能かつ再現可能である。
【0032】
好ましい実施形態では、方法は、第三のたばこの特徴に対して第三の標的値を選択する工程であって、第三のたばこの特徴が合計アンモニアであり、第三の標的値が乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満である、工程を含む。本発明によると、第一の標的値および第二の標的値を選択することができ、第一の標的値は還元糖に対する標的値であり、かつ第二の標的値は合計アンモニアまたは合計アルカロイドのいずれかに対する標的値である。好ましい実施形態では、選択された3つの標的値があり、第一の標的値は還元糖に対するものであり、第二の標的値は合計アルカロイドに対するものであり、そして第三の標的値は合計アンモニアに対するものである。
【0033】
エアロゾルおよび均質化したたばこ材料を製造するためのプロセスの複数の特徴をより良好に制御するために、等級分けしたたばこタイプの異なる選択されたブレンドを用いて、還元した糖、合計アルカロイド、および合計アンモニアに対する3つの異なる標的値全てが設定され適合される。
【0034】
好ましい実施形態では、ブレンドしたたばこ粉末は、合計量の約50パーセント〜約100パーセントの均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこを含む。
【0035】
たばこブレンドは、均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの実質的に全体または少なくとも大部分を表す。たばこブレンドを形成するたばこの特徴を制御することは、均質化したたばこ材料の中のたばこの少なくとも大部分の特徴を制御することを意味する。特定されたたばこの特徴の標的値の適切な選択は、ブレンドが実際に均質化したたばこ材料のたばこの大部分を含有するという事実に起因して、均質化したたばこ材料がエアロゾル形成体として使用される時に形成されるエアロゾルの特徴の制御、および均質化したたばこ材料製造プロセスの制御を可能にする。
【0036】
第一のたばこの特徴または第二のたばこの特徴の第一の標的値または第二の標的値に対する所定の許容差範囲は、選択されたそれぞれ第一の標的値または第二の標的値プラスまたはマイナス10パーセントであることが好ましい。例えば、還元糖に対する標的値「x−RD」が、たばこの合計量の乾燥質量基準で約8パーセント〜約18パーセントの範囲内で選択される場合、ブレンドの中の実際の合計の還元した糖の含有量が「x−RD」のプラスまたはマイナス10パーセントであり、たばこの合計量の乾燥基準重量の約8パーセント〜約18パーセントの範囲内となるように、異なるたばこのブレンドが大変精密であることが好ましい。例えば、「x−RD」が約10パーセントである場合、許容差範囲は約9〜約11パーセントである。この範囲は標的値のプラスまたはマイナス約5パーセントであることがより好ましく、またプラスまたはマイナス約2パーセントであることがなおより好ましい。有利なことに、範囲がより狭いほどプロセスのパラメータへの影響はより大きく、またエアロゾルの送達への影響がある程度より大きい。
【0037】
有利なことに、この方法は均質なたばこウェブを乾燥する工程を含む。均質化したたばこ材料のウェブは、上述のたばこ粉末のブレンドを含んで調製されたスラリーを支持表面上でキャスティングすることを一般的に含む種類のキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。次に、均質化したたばこ材料のシートを形成するためにキャストたばこウェブを乾燥し、次に、支持表面から取り外すことが好ましい。キャスティング工程における前記キャストたばこ材料ウェブの水分はキャストたばこウェブの総重量の約60重量パーセント〜約80重量パーセントであることが好ましい。均質化したたばこ材料の製造のための方法は、前記キャストたばこウェブを乾燥し、前記キャストたばこウェブを巻き取る工程を含むことが好ましい。巻き取り工程における前記キャストたばこウェブの水分はたばこ材料ウェブの総重量の約7重量パーセント〜約15重量パーセントであることが好ましい。巻き取り工程における前記均質化したたばこウェブの水分は、均質化したたばこウェブの総重量の約8重量パーセント〜約12重量パーセントであることが好ましい。
【0038】
有利なことに、前記たばこブレンドをブレンドしたたばこ粉末へと粉砕する工程は、前記たばこブレンドを平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルの粉末へと粉砕する工程を含む。約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルの平均サイズは、粉砕によってたばこ細胞が少なくとも部分的に破壊されるサイズを表す。さらに、この平均サイズを有するたばこの粉末を使用して得られた均質化したたばこ材料は滑らかで均一である。以下では、「たばこ粉末」という用語は、本明細書を通して、平均サイズが約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルであるたばこを示すために使用される。
【0039】
均質な均質化したたばこ材料を得るために、均質化したたばこ材料のためのたばこラミナは粉末へと粉砕される必要がある。大きすぎるたばこ粒子(たばこ粒子が0.15ミリメートルより大きい)は、たばこ粉末から形成された均質化したたばこウェブ内の欠陥および不均質な区域の原因となる場合がある。たばこ材料のウェブがより薄いほど、この効果は増加する。均質化したたばこウェブ内の欠陥は、均質化したたばこウェブの引張強さを減少する場合がある。引張強さの減少は、エアロゾル発生物品の製造におけるその後の均質化したたばこウェブの取り扱いの困難につながる場合があり、例えば、たばこウェブが部分的にまたは完全に裂けることに起因する機械の停止を生じる可能性がある。さらに、不均質なたばこウェブは、同一の均質化したたばこウェブから製造されたエアロゾル発生物品間で意図しないエアロゾル送達において差異を作り出す場合がある。従って、エアロゾル発生物品用として許容可能な再構成たばこ材料を得るためのスラリーを形成するための出発たばこ材料としては、平均粒子サイズが比較的小さいたばこが望ましい。さらに、たばこ粉末がたばこ細胞構造のサイズと同一のサイズまたはそれ以下である場合、たばこからの物質のエアロゾル化を改善することができることが分かっている。有利なことに、0.05ミリメートルまで細かく粉砕することによって、たばこ細胞構造を開くことができると考えられる。
【0040】
第二の態様によると、本発明は、等級分けしたたばこタイプのブレンドに由来する粉末を含む均質化したたばこ材料に関し、前記ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料に含まれるたばこの合計量の約50パーセント〜約100パーセントを含む。本発明の第二の態様によると、等級分けしたたばこタイプは、等級分けしたたばこタイプのブレンドの中の還元糖が乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中の存在するたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントの選択された量となるようにブレンドされる。ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約75パーセント〜約100パーセントを含むことが好ましい。ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約90パーセント〜約100パーセントを含むことがより好ましい。ブレンドたばこは、均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約95パーセント〜約100パーセントを含むことが最も好ましい。均質化したたばこ材料の中のブレンドしたたばこの量が多いほど、プロセスパラメータにわたる制御はより良好になる。均質化したたばこ材料の中のブレンドしたたばこの量が多いほど、均質化したたばこ材料から生成されうるエアロゾルの再現性への影響はより良好になる。
【0041】
均質化したたばこ材料のウェブは、上述のたばこ粉末のブレンドを含めて調製されたスラリーを支持表面上でキャスティングすることを一般的に含む種類のキャスティングプロセスによって形成されることが好ましい。次に、均質化したたばこ材料のシートを形成するためにキャストたばこウェブを乾燥し、次に、支持表面から取り外すことが好ましい。
【0042】
本発明の均質化したたばこ材料は、エアロゾル発生物品で使用するために適切なたばこウェブを製造するためのキャスティングおよび乾燥するプロセスに耐えるように適応された良好な引張強さを有する。
【0043】
有利なことに、均質化したたばこ材料では、等級分けしたたばこタイプのブレンドの中の合計アンモニアが乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.2パーセント未満の量となるように、等級分けしたたばこタイプがブレンドされる。
【0044】
均質化したたばこ材料では、たばこタイプのブレンドの中の合計アルカロイドが乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に存在するたばこの合計量の約0.5パーセント〜3.8パーセントから成る量となるように、等級分けしたたばこタイプがブレンドされることが好ましい。
【0045】
有利なことに、均質化したたばこ材料では、前記ブレンドたばこは、乾燥質量で均質化したたばこシートの中に含まれるたばこの合計量の少なくとも約30パーセントのブライトたばこを含む。均質化したたばこ材料では、前記ブレンドたばこは乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約40パーセント未満のダークたばこを含むことが好ましい。有利なことに、前記ブレンドたばこは乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約40パーセント未満のアロマティックたばこを含む。ブライトたばこ、ダークたばこ、およびアロマティックたばこの異なる特性に起因して、上記の範囲を使用することで異なるブレンドに対する大きい設計空間が作り出される。均質化したたばこ材料のブレンドたばこは、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の中に含まれるたばこの合計量の約20パーセント未満のフィラーたばこを含むことが好ましい。
【0046】
好ましい実施形態では、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約1パーセント〜約3パーセントの量のセルロース繊維を含む。セルロースパルプは、水およびセルロース繊維を含む。均質化したたばこ材料のスラリーに含むためのセルロース繊維は当業界において周知であり、柔らかい木材繊維、堅い木材繊維、ジュート繊維、亜麻繊維、大麻繊維、たばこ繊維、およびこれらの組み合わせを含むが、これに限定されない。パルプ化に加えて、セルロース繊維は、精製、機械的パルプ化、化学的パルプ化、漂白、硫酸塩パルプ化、およびこれらの組み合わせなどの適切なプロセスを受ける場合がある。
【0047】
繊維粒子は、たばこ茎材料、葉柄または他のたばこ植物材料を含む場合がある。木材繊維などのセルロースベースの繊維はリグニン含有量が低いことが好ましい。繊維粒子は低い含有率(例えば、約2〜約15%の含有率)に対してキャストリーフに十分な引張強さをもたらす要求に応じて選択されてもよい。別の方法として、植物繊維などの繊維を上記の繊維とともに、またはその代替として使用してもよく、これには大麻および竹が含まれる。
【0048】
スラリーから最終的な均質化したたばこ材料への、切断されかつエアロゾル発生装置内へ導入される処理の間、均質化したたばこシートは、多くの場合、湿潤、移動、乾燥、および切断に耐える必要がある。均質化したたばこウェブが破壊および欠陥形成を最小限に抑えつつ処理の厳しさに耐える能力は、たばこ材料の損失を減少させることから非常に望ましい特性である。均質化したたばこ材料の中へのセルロース繊維の導入は、強化剤として作用して、材料のシートの牽引に対する引張強さを増加する。従ってセルロース繊維の添加は均質化したたばこ材料ウェブの弾力を増加し、そしてそれゆえエアロゾル発生装置および他の喫煙物品の製造コストを減少する場合がある。
【0049】
なことに、均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約1パーセント〜約5パーセントの量の結合剤を含む。
【0050】
本明細書に記載されるゴムまたはペクチンのいずれかなどの結合剤を添加することは、均質化したたばこウェブ全体にわたりたばこ粉末を実質的に分散したままにすることを確保するために有利である。ガムの記述的な検討のためには、Gums And Stabilizers For The Food Industry,IRL Press (G.O.Phillip et al.eds.1988)、Whistler,Industrial Gums:Polysaccharides And Their Derivatives,Academic Press(2d ed.1973)、およびLawrence,Natural Gums For Edible Purposes,Noyes Data Corp.(1976)を参照されたい。
【0051】
任意の結合剤を採用してもよいが、好ましい結合剤は、天然ペクチン(果実ペクチン、柑橘類ペクチン、またはたばこペクチンなど)、グアーガム(ヒドロキシエチルグアーおよびヒドロキシプロピルグアーなど)、ローカストビーンガム(ヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルローカストビーンガムなど)、アルギネート、デンプン(変性デンプンまたは誘導体化デンプンなど)、セルロース(メチルセルロース、エチルセルロース、エチルヒドロキシメチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースなど)、タマリンドガム、デキストラン、プラロン、コニャックフラー、キサンタンガム、およびこれに類するものである。本発明で使用するために特に好ましい結合剤はグアーである。
【0052】
均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で均質化したたばこ材料の約5パーセント〜約30パーセントの量のエアロゾル形成体を含むことが好ましい。
【0053】
均質化したたばこ材料のウェブのためのスラリーに含むための適切なエアロゾル形成剤は当業界で周知であり、一価アルコール(メントールのような)、多価アルコール(トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオールおよびグリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテートまたはトリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチルおよびテトラデカン二酸ジメチルなど)が挙げられるが、これに限定されない。
【0054】
例えば、本明細書による均質化したたばこ材料が加熱式エアロゾル発生物品の中でエアロゾル形成基体として使用されるよう意図されている場合、均質化したたばこ材料のウェブは、エアロゾル形成体の含有量が乾燥質量基準で約5重量パーセント〜約30重量パーセントであってもよい。発熱体を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムでの使用が意図されている均質化したたばこ材料は、乾燥質量基準で5パーセント〜約30パーセントを超えるエアロゾル形成体を含むことが好ましい場合がある。発熱体を有する電気的に動作するエアロゾル発生システムでの使用が意図されている均質化したたばこ材料は、エアロゾル形成体がグリセロールであることが好ましい場合がある。
【0055】
第三の態様によると、本発明は上述の均質化したたばこ材料の一部分を含むエアロゾル発生物品に関する。エアロゾル発生物品は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品である。エアロゾル発生物品は、不燃性のエアロゾル発生物品であってもよい。不燃性のエアロゾル発生物品は、例えば、エアロゾル形成基体を加熱することにより、または化学反応により、またはエアロゾル形成基体の機械的な刺激により、エアロゾル形成基体を燃焼することなしに揮発性化合物を放出する。
【0056】
エアロゾル形成基体は、エアロゾル揮発性化合物を形成することができ、またエアロゾル形成基体を加熱することによって放出されうる揮発性化合物を放出する能力を有する。エアロゾル形成生成物品で使用される均質化したたばこ材料のために、エアロゾル形成体はキャストリーフを形成するスラリーに含まれることが好ましい。所定の特徴のうちの1つ以上に基づいてエアロゾル形成体を選んでもよい。機能的には、エアロゾル形成体は、エアロゾル形成体の特定の気化温度を超えて加熱された時、エアロゾル形成体が気化してエアロゾル内のニコチンおよび/または風味剤を運ぶことができるメカニズムを提供する。
【0057】
本発明はエアロゾル発生物品のバッチにも関し、第一のたばこの特徴または第二のたばこの特徴のそれぞれの第一の標的値または第二の標的値は所定の許容差範囲内であり、かつ許容差範囲は第一の標的値または第二の標的値は選択されたそれぞれ第一の標的値または第二の標的値のプラスまたはマイナス約10パーセントと等しい。
【0058】
具体的な実施形態を以下の添付図面を参照しながら、例証としてのみであるがさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1図1は、本発明による均質化したたばこ材料のためのスラリーを製造する方法の流れ図を示す。
図2図2は、図1の方法のブロック図の異形を示す。
図3図3は、本発明による均質化したたばこ材料の製造方法のブロック図を示す。
図4図4は、図1図2、または図3の方法の工程のうちの1つの拡大図を示す。
図5図5は、図1図2、または図3の方法の工程のうちの1つの拡大図を示す。
図6図6は、図1および図2の方法を実施するための装置の概略図を示す。
図7図7は、図3の方法を実施するため装置の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0060】
最初に図1を参照すると、本発明によるスラリーの製造方法が示される。本発明の方法の第一の工程は、均質化したたばこ材料を製造するためのたばこブレンドに使用されるたばこタイプおよびたばこ等級の選択100である。本方法で使用されるたばこタイプおよびたばこ等級は、例えば、ブライトたばこ、ダークたばこ、アロマティックたばこ、およびフィラーたばこである。
【0061】
均質化したたばこ材料の製造での使用が意図されている選択されたたばこタイプおよびたばこ等級のみが、本発明の方法の以下の工程による処理を受ける。
【0062】
方法は、選択したたばこを設置するさらなる工程101を含む。この工程は、例えば、製品追跡およびトレーサビリティのためにバーコードリーダーによって検証できる、等級および品質などのたばこの完全性を点検する工程を含んでもよい。たばこの葉は、収穫および乾燥処理の後、葉柄位置、品質、および色を記述する等級が与えられる。
【0063】
たばこタイプは、様々なたばこタイプの一部のたばこの特徴の値を得るために試験されるか、またはたばこの特徴は既に分析され、例えば、バーコードまたはステッカーに報告または記載されるかのいずれかである。これらのたばこの特徴は、還元糖と、合計アンモニアまたは合計アルカロイドのうちの1つを含む。
【0064】
各たばこタイプの中の各等級に対するこれらの特徴の分析または値の読み出しが実施される。例えば、熱風送管乾燥処理たばこは、乾燥質量基準で約22パーセントと等しい還元糖含有量を有する種類または等級、および乾燥質量基準で約18パーセントの還元糖含有量を有するオンタリオ熱風送管乾燥処理たばこを含んでもよい。等級分けしたたばこタイプは、本発明の方法のさらなる工程で形成されるたばこブレンド9で使用される。ブレンドに対して、たばこの特徴の複数の標的値が設定される。還元した糖に対して、乾燥質量基準でたばこの合計量の約8パーセント〜約18パーセントの範囲内の標的値が選択される。さらに、合計アンモニアに対して、乾燥質量基準でたばこの合計量の約0.2パーセント未満の標的値が選択されることが好ましい。合計アルカロイドに対して、乾燥質量基準でたばこの合計量の約1.5パーセント〜約3.5パーセントから成る標的値が選択されることも好ましい。還元した糖、合計アルカロイド、および合計アンモニアをたばこ葉で直接的に測定することができ、これによって、選択された標的値を得るためにたばこブレンド9の中に存在する様々な種類のたばこの割合を選ぶことができる。
【0065】
さらに、均質化したたばこ材料の製造のためにたばこを製造施設に移送する場合には、設置する工程101は、たばこ箱を再度箱詰めする工程またはたばこ箱のケースを開ける工程も含んでもよい。次に、再度箱詰めされたたばこは、たばこを計量するために計量ステーションに供給されることが好ましい。
【0066】
さらに、たばこを設置する工程101は、通常たばこ葉は箱詰めされて移送される時にベール梱包内で搬送されるので、必要に応じてベール梱包を開く工程を含んでもよい。
【0067】
たばこのベール梱包はたばこタイプに応じて分離される。例えば、各たばこタイプのための処理ラインがあってもよい。従って、以下に詳細に述べるように、各たばこタイプに対して以下の工程が実施される。その後これらの工程は等級毎に実施されてもよく、その結果1つの生産ラインのみを必要とする。あるいは、異なるたばこタイプは分離したラインで処理されてもよい。一部のたばこタイプに対する処理工程が異なる場合、これは有利でありうる。例えば、従来の主なたばこプロセスでは、ダークたばこは通常追加的なケーシングを受けるので、ブライトたばことダークたばことは少なくとも部分的に分離されたプロセスで処理される。ところが、本発明によると、均質化したたばこウェブの形成の前にブレンドされたたばこ粉末にケーシングを添加しないことが好ましい。
【0068】
さらに、本発明の方法はたばこ葉を粗く粉砕する工程102を含む。
【0069】
本発明の方法の変形によると、図2に図示するように、たばこを設置する工程101の後で、かつたばこを粗く粉砕する工程102の前に、さらに細断する工程103が実施される。細断する工程103では、たばこは、平均サイズが約1ミリメートル〜約100ミリメートルである細片へと細断される。
【0070】
細断する工程103の後、細片から非たばこ材料を取り除く工程を実施することが好ましい(図1および図2に図示せず)。
【0071】
その後、細断されたたばこは粗く粉砕する工程102に向かって搬送される。たばこ葉の細片を粗く粉砕するためのミルへのたばこの流量を制御および測定することが好ましい。
【0072】
粗く粉砕する工程102では、たばこ細片は約0.25ミリメートル〜約2ミリメートルの平均粒子サイズまで減少する。この段階では、たばこ粒子はその細胞がまだ実質的に損傷されておらず、また結果として得られる粒子はこれに関連する搬送問題をもたらさない。
【0073】
本発明の方法は、粗く粉砕されたたばこを包装および移送する工程を含む随意の工程104(図2に図示する)を含んでもよい。本発明の方法の粗く粉砕する工程102およびその後の工程が異なる製造施設で実施される場合には、この工程104が実施される。
【0074】
粗く粉砕する工程102の後、たばこ粒子は、ブレンドする工程105へ(例えば、空気輸送によって)輸送されることが好ましい。あるいは、粗く粉砕する工程102の前にブレンドする工程105を実施してもよく、または存在する場合には、細断する工程103の前にブレンドする工程105を実施してもよく、あるいは細断する工程103と粗く粉砕する工程102との間にブレンドする工程105を実施してもよい。
【0075】
ブレンドする工程105で、たばこブレンドのために選択された異なるたばこタイプの全ての粗く粉砕されたたばこ粒子はブレンドされる。従って、ブレンドする工程105は全ての選択されたたばこタイプに対して単一の工程である。これは、ブレンドする工程の後は、全ての異なるたばこタイプに対して単一のプロセスラインのみが必要であることを意味する。
【0076】
ブレンドする工程105では、粒子状の様々なたばこタイプの混合を実施することが好ましい。たばこブレンドの特徴のうちの1つ以上を測定および制御する工程を実施することが好ましい。本発明によると、予め設定した標的値(複数可)による望ましいブレンドが得られるようにたばこの流れを制御してもよい。例えば、ブレンドは乾燥質量基準でブレンド内の合計たばこの少なくとも約30パーセントのブライトたばこ1を含み、また乾燥質量基準でブレンド内の合計たばこの少なくとも約0パーセント〜約40パーセント(例えば、約35パーセント)の割合でダークたばこ2およびアロマティックたばこ3を含むことが望ましい場合がある。乾燥質量基準でブレンド内の合計たばこの約0パーセント〜約20パーセントの割合でフィラーたばこ4も導入することがより好ましい。従って異なるたばこタイプの流量は、この様々なたばこタイプの比が得られるように制御される。あるいは、使用される異なるたばこ葉に対して粗く粉砕する工程102がその後行われる場合、工程102の初めの計量する工程が、流量を制御する代わりにたばこタイプおよび等級当たりの使用されるたばこの量を決定する。
【0077】
図5に示すように、ブレンドは還元糖10に対する標的値、ならびに少なくとも合計アルカロイド11および合計アンモニア12に対する標的値のうちの1つに適合するように調製される。結果として得られたブレンドが、還元した糖、合計アンモニア、および合計アルカロイドの値がおよそ選択された標的値を有するように、3つの標的値全てが選択されることが好ましい。所定の許容差範囲内の第一の標的値、第二の標的値、および第三の標的値が本発明のプロセスで得られ、前記所定の許容差範囲は、それぞれ第一の標的値、第二の標的値、および第三の標的値プラスまたはマイナス10パーセントであることが好ましい。
【0078】
図4では、ブレンドする工程105の間の様々なたばこタイプの導入を示す。これらのたばこタイプは、結果として得られるブレンドで上述の標的値が得られるような比で導入される。
【0079】
当然のことながら、各たばこタイプはそれ自体が下位ブレンドである可能性があり、言い換えれば、「ブライトたばこタイプ」は、例えば、バージニアたばことブラジル熱風送管乾燥処理たばことの異なる等級のブレンドである可能性がある。
【0080】
ブレンドする工程105の後、たばこ粉末平均サイズ約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルにまで細かく粉砕する工程106が実施される。この細かく粉砕する工程106は、たばこのサイズをスラリーの調製のために適切な粉末サイズまで減少する。この細かく粉砕する工程106の後、たばこの細胞は少なくとも部分的に破壊され、たばこ粉末が粘着性になる場合がある。
【0081】
このようにして得られたたばこ粉末は、たばこスラリーを形成するためにすぐ使用することができる。あるいは、例えば、適切な容器内でのさらなるたばこ粉末の保存の工程を挿入してもよい(図示せず)。
【0082】
ここで図3を参照すると、均質化したたばこウェブの製造のための本発明の方法が示される。細かく粉砕する工程106から、たばこ粉末がその後のスラリー調製工程107で使用される。スラリー調製工程107の前またはスラリー調製工程107の間に、本発明の方法は、2つのさらなる工程を含む。すなわち、繊維を水中に均一に分散して精製するためにセルロース繊維5と水6とをパルプ化するパルプ調製工程108と、エアロゾル形成体7と結合剤8とを予混合する懸濁液調製工程109である。エアロゾル形成体7はグリセロールを、結合剤8はグアーを含むことが好ましい。有利なことに、懸濁液調製工程109は、水を導入することなくグアーとグリセロールとを予混合する工程を含む。
【0083】
スラリー調製工程107は、エアロゾル形成体と結合剤との予混合溶液をスラリー混合タンクへ移送する工程と、パルプをスラリー混合タンクへ移送する工程と、を含むことが好ましい。さらに、スラリー調製工程は、パルプが入ったスラリー混合タンクへたばこ粉末ブレンドを投与し、そしてグアーとグリセロールとの懸濁液を投与する工程を含む。この工程は、スラリーの均一性および均質性を確保するために高剪断ミキサーを用いてスラリーを処理する工程も含むことがより好ましい。
【0084】
スラリー調製工程107は水を添加する工程も含むことがより好ましく、望ましい粘性および水分を得るためにスラリーに水が添加される。
【0085】
均質化したたばこウェブを形成するために、工程107により形成されたスラリーはキャスティング工程110でキャストされることが好ましい。このキャスティング工程110は、キャスティングステーションへスラリーを移送する工程、およびスラリーを均質でフィルム厚さが均一なウェブへと支持体上にキャスティングする工程を含むことが好ましい。キャスティング工程中、キャストウェブの厚さ、水分、および密度がキャスティングの直後に制御されることが好ましく、またプロセス全体にわたりスラリー測定装置を使用して連続的にモニターしてフィードバック制御することもより好ましい。
【0086】
次に、均質化したキャストウェブは、例えば、無限ステンレス鋼製ベルトドライヤーでの均一で穏やかなキャストウェブの乾燥を含む、乾燥工程111で乾燥される。無限ステンレス鋼製ベルトドライヤーは、個別の制御可能ゾーンを備えてもよい。乾燥工程は、各乾燥ゾーンにおいて穏やかな乾燥プロファイルを確保するために各乾燥ゾーンにおけるキャストリーフ温度をモニターする工程、および均質化したキャストウェブが形成される支持体を加熱する工程を含むことが好ましい。乾燥プロファイルは、いわゆるTLC乾燥プロファイルであることが好ましい。
【0087】
ウェブ乾燥工程111の最後に、乾燥したウェブ中の含水量および存在する欠陥の数を測定するために、モニターする工程(図示せず)が実行される。
【0088】
標的とされた含水量まで乾燥した均質化したたばこウェブは、次に、例えば、単一のマスターボビンを形成するために、巻き取り工程111で巻き取られることが好ましい。次に、小さいボビンを形成するプロセスで切り込みを入れることによってより小さいボビンの製造を実施するために、このマスターボビンを使用してもよい。次に、エアロゾル発生物品(図示せず)の製造のためにより小さいボビンを使用してもよい。
【0089】
図1または図2による均質化したたばこ材料のためのスラリーの製造の方法が、図6に概略的に図示したスラリー製造のための装置200を使用して実施される。装置200は、異なるたばこタイプの蓄積、積層解除、計量、および検査が行われるたばこ受容ステーション201を含む。随意に、たばこがカートンの中に入れられて移送されている場合には、たばこを収容するカートンの取り出しが受容ステーション201で実施される。随意に、たばこ受容ステーション201は、たばこベール梱包分割ユニットも備える。
【0090】
図6では、1つの種類のたばこのための生産ラインのみを示すが、ブレンドする工程が実施される時期によっては、本発明による均質化したたばこ材料ウェブで使用される各たばこタイプのために同一の設備が存在してもよい。さらにたばこは、細断する工程103のためにシュレッダー202内に導入される。シュレッダー202は、例えば、ピンシュレッダーとすることができる。シュレッダー202は、たばこ細片を解いて細片をより小さい葉片へと細断するように、全てのサイズのベール梱包を取り扱うように適合されることが好ましい。各生産ライン内の細断されたたばこは、例えば、空気輸送203によって、粗く粉砕する工程102のためにミル204へ運ばれる。搬送中に細断されたたばこの中の異物が取り除かれるように制御がなされることが好ましい。例えば、細断されたたばこの空気輸送に沿って、ストリング除去コンベアシステム、重粒子分離装置、および金属検出器が存在してもよく、添付図ではこれら全てが205で示される。
【0091】
ミル204は、たばこ細片の約0.25ミリメートル〜約2ミリメートルのサイズまでの粗い粉砕に適合する。ミルのローターの速さを制御することができ、またたばこ細断片の流量に基づいて変化させることができる。
【0092】
均一なマスフロー制御のためにバッファサイロ206を粗い粉砕機ミル204の後に位置させることが好ましい。さらに、ミル204は、安全のためにスパーク検出器および安全停止システム207を装備していることが好ましい。
【0093】
例えば、空気輸送208によって、たばこ粒子がミル204からブレンダー210へ搬送される。ブレンダー210は、その中に適切な弁制御システムが存在するサイロを含むことが好ましい。ブレンダー内に、所定のブレンドのために選択されたたばこの全ての異なる種類の全てのたばこ粒子が導入される。ブレンダー210内でたばこ粒子は均一なブレンドへと混合される。たばこ粒子のブレンドは、ブレンダー210から細かく粉砕するステーション211へと搬送される。
【0094】
細かく粉砕するステーション211は、例えば、正しい仕様で、すなわち約0.03ミリメートル〜約0.12ミリメートルの細かいたばこ粉末で生産するための適切に設計された補助設備を有する衝撃分類ミルである。スラリー調製プロセスが行われる下流のスラリーバッチ混合タンクへの連続供給のためのバッファ粉末サイロ213へ細かいたばこ粉末を移動するために、細かく粉砕するステーション211の後に、空気輸送ライン212が適合される。
【0095】
本発明の方法の工程100〜109に上述されるたばこ粉末を使用して調製されたスラリーは、図7に示すキャスティングステーション300でキャスティングもされることが好ましい。
【0096】
バッファタンクからのスラリー(図示せず)は、精密流量制御測定付きの適切なポンプによってキャスティングステーション300へ移動される。キャスティングステーション300は、以下のセクションを備えることが好ましい。スラリーが、適切なウェブ形成のために必要とされる均質性および厚さを有して、ステンレス鋼製ベルトなどの支持体303の上へキャストされる精密スラリーキャスティングボックスおよびナイフアセンブリ301は、ポンプからスラリーを受ける。キャストたばこウェブを乾燥するために、乾燥ゾーンまたは乾燥セクションを有する主ドライヤー302が提供される。個別の乾燥ゾーンは、支持体上方の加熱空気および調節可能な排気制御とともに、支持体の下側に蒸気加熱を有することが好ましい。主ドライヤー302の中では、均質化したたばこウェブが支持体303上で望ましい最終的水分まで乾燥される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7