(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記高拡散率ガター層の前記1種以上のフッ化ポリマーは、炭素フッ素基および炭素−水素基の合計の50%以上が炭素フッ素基であるフッ化ポリマーを含む、請求項1に記載の薄膜複合膜。
【背景技術】
【0003】
ある特定のスルホン酸含有ポリマー、特にフッ化ポリマーの銀イオノマーの層を含有する膜は、アルケン類からアルカン類を分離するために使用されてきた。これらのタイプの化合物の分離、エタンからエチレン、プロパンからプロピレン、およびペンタンからペンテンなど、特に同数の炭素原子を有する化合物の分離はしばしば、他の方法によっては困難であり、なぜなら例えば、アルカンおよびアルケンの沸点は類似しているので、結果的に高いエネルギーが必要になるためである。このことは特に、2〜4個の炭素原子を含有する沸点のより低い材料にとって真であり、これは、通常エネルギーが非常に集中的である、低温蒸留法を必要とするであろう。
【0004】
膜分離過程において、薄膜複合膜がしばしば使用される。薄膜複合膜(TFC)は互いに結合される異種の材料の層から通常なり、単一の膜を形成する。この層状化構造は、膜の性能および耐久性を最適化する材料の組み合わせを使用することを可能にする。同じことは、銀イオノマーを使用するアルカン−アルケン分離過程にとって真であり、このような分離のための新たなTFCが本明細書において説明される。
【0005】
最低限の必要条件として、銀イオノマーの、「分離層」(SL)である、単一の層を有する膜が有用であろうと考えられ得る。しかしながら、このようなタイプの膜には2つの重要な欠点があり、銀イオノマーは高価であり、膜が十分な強度を有するのに必要なより厚い膜において、アルケンに対する透過性、すなわち、単位時間あたりに膜を通過することのできるアルケンの量は比較的少ない。それゆえ、1つの(またはそれより多数の)薄い分離層が、実用的な膜に必要とされる。TFC全体を物理的に支持するおよび分離層と層状に接触している別の層の材料との複合膜を付加することができる。この他の層は非多孔性であり、TFCを通過する材料(この場合、1つ以上のアルケン類)はまた、好ましくは、この他の層を通じて迅速に拡散すべきである。本明細書において、この他の層は、高拡散率層(HDR)と呼ばれる。
【0006】
アルケン類からのアルカン類の分離のための、銀イオノマー分離層を有する種々の複合膜の使用は公知であり、例えば、A.van Zylら,Journal of Membrane Science,133,(1997),15〜26ページ、O.I.Eriksenら,Journal of Membrane Science,85(1993),89〜97ページ、およびA.J.van Zyl,Journal of Membrane Science,137(1997),175〜185ページ、ならびに米国特許第5,191,151号を参照されたい。しかしながら、これらの参考文献のうち、銀イオノマーの分離層が、本明細書において説明されるHDR層の組み合わせにおいて使用されるTFCを説明するものはない。
【0007】
時に「ガター層」と呼ばれる、TFC層におけるある特定の層が使用され、概してM.Kattulaら,Designing ultrathin film composite membranes: the impact of a gutter layer,Scientific Reports,5,論文番号15016(2015)において説明されている。銀イオノマーを用いるアルカン−アルケンの分離に関する具体的な情報はない。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、ある特定の用語が使用され、それらの一部は以下に定義される。
【0010】
フッ化ポリマーまたはイオノマーが意味するのは、イオノマーにおける炭素−水素基および炭素フッ素基の合計であり、約20%以上が炭素−フッ素基であり、好ましくは50%以上、非常に好ましくは70%以上、特に好ましくは約90%以上、および非常に特に好ましくは約95%以上が炭素−フッ素基であり、または最も好ましくはペルフルオロコポリマーである。炭素−水素基が意味するのは炭素原子へ直接結合した水素原子であるのに対し、炭素−フッ素基は炭素原子へ直接結合したフッ素原子である。したがって−CF
2−基は2個の炭素−フッ素基を含有するのに対し、−CH
3基は3個の炭素−水素基を含有する。したがって、反復基が−CH
2CF
2−であるフッ化ビニリデンのホモポリマーにおいて、炭素−水素基および炭素フッ素基は各々、存在する炭素−水素基+炭素−フッ素基の合計の50%である。50モルパーセントのペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)および50モルパーセントのエチレンからなるコポリマーにおいて、炭素−水素基は、存在する炭素−フッ素基+炭素水素基の合計の33.3%であり、炭素−フッ素基は、存在する炭素フッ素基および炭素−水素基の66.7%である。存在する炭素−フッ素基および炭素水素基の相対量は、元素分析、例えば、
14C NMRを用いたNMR分光法、これらのうちのいずれかの組み合わせによって決定できる。
【0011】
気体状態でのアルケンおよびアルカンの分離における「駆動力」が概して意味するのは、膜の第1の(「フィード」)側部上のアルケンの分圧が、膜の第2の(「生成物」)側部上のアルケンの分圧よりも高いことである。例えば、これは、いくつかの方法およびそれらの組み合わせによって達成され得る。1つは、第1の側部上のアルケンの分圧を増すために第1の側部を加圧することであり、第2は、第2の側部上のアルケンの分圧を下げるために窒素などの不活性ガスによって第2の側部を吹き流すことであり、第3は、第2の側部上のアルケンの分圧を下げるために真空ポンプによって第2の側部の圧力を低下させることである。駆動力を適用することに関する当該技術分野におけるこれらのおよび他の公知の方法が使用され得る。
【0012】
これは、算術的な関係
Q
aαF
a(P1
a−P2
a)
によってある程度まで気体の分離について定量化され得、
式中、Q
aは、膜を通じての成分「a」の流量であり、F
aは、膜を通じての成分aの透過性であり、P1
aは、第1の(フィード)側部上の分圧であり、およびP2
aは、第2の(生成物)側部上の分圧である。
【0013】
「層状化された」が意味するのは、関係する2つの層が互いに緊密に接触していることである。これはしばしば、「互いに結合している」と呼ばれるが、通常、別々の接着剤は採用されない。
【0014】
好ましくはSLは厚さ約0.1μm〜約1.0μmであり、より好ましくは厚さ約0.2μm〜約0.5μmである。先に記載したように、この層の相対的な薄さは、膜の単位面積当たりの全体的な分離過程の生産性を改善するのに役立っている。
【0015】
SLに有用なポリマーは、スルホン酸含有ポリマーの銀イオノマーである。このようなイオノマーは当該技術分野で周知であり、いくつかの場合アルケン類からアルカン類を分離することが公知である。例えば、そのすべてが参照により本明細書に含まれる米国特許出願第14/334,605号、米国仮出願第82/159,646号、第62/159,668号、および第62/262,169号(それぞれ現PCT出願 )、A.van Zylら,Journal of Membrane Science,133,(1997),15〜26,O.I.Eriksenら,Journal of Membrane Science,85(1993),89〜97ページ、およびA>J.van Zyl,Journal of Membrane Science,137(1997),175〜185ページ、ならびに米国特許第5,191,151号を参照されたい。Teflon(登録商標)AFの好ましい等級はAF2400であり、これは、83モルパーセントのPDD、および17モルパーセントのテトラフルオロエチレンを含有することが報告されている。ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)およびCF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2SO
2Fなど、PDDと他のコモノマーとのポリマーも採用され得る。PDDとこれらの代替的なモノマーとのコポリマーにおいて、PDD含有量が少なくとも90モルパーセントであるべきであることが好ましい。
【0016】
SL中で銀イオノマーを形成するスルホン酸含有ポリマーと、もちろん当該イオノマーそれ自体は、好ましくはフッ化ポリマーであり、より好ましくは50%以上、非常に好ましくは70%以上、および真に好ましくは90%以上が炭素フッ素基である。特に好ましくは、このポリマーはペルフルオロポリマーであり、すなわち、反復単位へ重合されるモノマーはすべて、水素を含有しない。このようなペルフルオロポリマーは、不純なモノマー由来の非常に少量の「外来の」炭素水素基、または鎖へ結合する開始剤断片などの基を有し得る。
【0017】
HDL中のフッ化ポリマーにおいて、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、および非常に好ましくは90%以上は炭素フッ素基である。特に好ましくは、このポリマーは過フッ化ポリマーであり、すなわち、反復単位へ重合されるモノマーはすべて、水素を含有しない。このようなペルフルオロポリマーは、不純なモノマー由来の非常に少量の「外来の」炭素水素基、または鎖へ結合する開始剤断片などの基を有し得る。
【0018】
好ましくは、HDL層は、厚さ約0.05μm〜約0.5μmであり、より好ましくは厚さ約0.05μm〜約0.2μmである。
【0019】
HDLに特に好ましいポリマーは、特にペルフルオロポリマーに含まれる場合、ペルフルオロ(2,2−メチル−1,3−ジオキソール)(PDD)のコポリマーである。PDDのいかなるコポリマーにおいても、総反復単位の少なくとも約50モルパーセント、より好ましくは少なくとも80モルパーセントがPDDに由来することが好ましい。一般的に言えば、より高いモルパーセントのPDDが、膜中の層へとポリマーを加工できることと一致して、PDDコポリマーすべてにおいて所望される。好ましいコポリマーは、Teflon(登録商標)AF(The Chemours Co.,デラウェア州ウィルミントン市19899,米国)として入手可能な、PDDとテトラフルオロエチレンとのコポリマーであり、Teflon(登録商標)AFについてのさらなる情報については、参照により本明細書により含まれるP.R.Resnickら,Teflon AF Amorphous Fluoropo!ymers,J.Schiers編,Modern Fluoropolymers,John Wiley & Sons,New York,1997,p.397〜420を参照されたい。Teflon(登録商標)AFの好ましい等級はAF2400であり、83モルパーセントのPDDおよび17モルパーセントのテトラフルオロエチレンを含有することが報告されている。
【0020】
HDLにおける他の潜在的に有用なポリマーは、旭硝子,1−5−1,丸の内,千代田区,東京都100−8405,日本国から入手可能なCytop(登録商標)フルオロポリマー樹脂(報告によるとホモポリマーf1,1,2,4,4,5,5,6,7,7−デカフルオロ−3−オキサ−1−,6−ヘプタジエン)、およびSolvay,SA,RUE DE RANSBEEK,310,1120ブリュッセル,ベルギー国から入手可能なHyflon(登録商標)DA型フルオロポリマー樹脂(報告によると、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロ(3−メトキシ−1,3−ジオキソール)からなるコポリマー)を含む。
【0021】
好ましくは、HDLにおけるポリマー(複数可)はいわゆる、「ガラス状」ポリマーである。それが意味するのは、10℃/分の加熱冷却速度を用いるASTM検査D3418−12e1を用いる差次的走査熱量測定法によって測定され、および第2の熱に関して測定される場合、当該ポリマーが約30℃を上回る融点を有さず、3J/g以上の融解熱を有することである。ガラス状ポリマーはまた、約40℃を上回る、より好ましくは約40℃のガラス転移温度(Tg)を有する。Tgは、10℃/分の加熱冷却速度でASTM検査D3418−12e1により測定され、Tgは、第2の熱に関する転移中点(屈曲点)として取られる。好ましくは、Tgは約220℃未満であり、その理由は、例えば、Tgが高過ぎる場合、ポリマーを溶解してコーティングまたは層を形成することが困難であり得るからである。
【0022】
HDLのためのポリマーは官能基を含有し得るが、好ましくはこれらの官能基は酸化することが比較的困難で、SL中の銀イオンと複合体形成または反応をしないであろう。有用な基は、ペルフルオロエーテルおよびクロロ(特にクロロトリフルオロエチレンとして存在する時)を含む。好ましくは存在しない基は、第一級および第二級アルコール、ヨード、ブロモ、およびアルデヒドである。
【0023】
HDLは、窒素に対する透過性が約25℃で少なくとも250GPUである。好ましくは、この透過性は、少なくとも約500GPUであり、より好ましくは少なくとも約1000GPUであり、特に好ましくは約1500GPUであり、非常に好ましくは少なくとも約2500GPUであり、最も好ましくは少なくとも約5000GPUであるべきである。アルケン類に対する透過性が十分高い場合、HDL材料の比較的厚い層が使用され得、このことは、2つの層のみ、すなわちHDLおよびSL、を有する膜を支持するであろう。
【0024】
しかしながら、このような非多孔性の非常に透過性の高い材料は見つけるのが困難であるので、多くの場合、(微小)多孔層という、多くの小さな孔を含有する第3の層が付加され、この層を通って所望の物が比較的閉塞されずに流れ得るのに対し、HDLは、TFCの生産性が単位面積当たり高くなるよう非常に薄い。この多孔層(PL)は、生産性を犠牲にすることなく、3つの(またはそれより多数の)層のTLC全体を物理的に支持するのに十分厚く作られ得る。
【0025】
これらの3つのタイプの層、すなわちSL、HDLおよびPLを単一のTLCへと組み合わせる場合、層の順番で、TLCの構造は典型的には、SL/HDL/PL(/は、そこで層の表面が互いに層状化されることを示す)Lであり、SLは、1つ以上の構成要素が分離されることになっている混合物へ曝露され、分離された生成物はHDLを通過して、PLの「遊離表面」から出る、またはその逆である。このタイプの構造において、HDLはしばしば、「ガター層」と呼ばれる。このガター層はしばしば、TLCの単位面積当たりのTLCの処理量を改善することが公知であり、参照により本明細書により含まれるM.Kattulaら,Designing ultrathin film composite membranes: the impact of a gutter layer,Scientific Reports,5,文献番号15016(2015)を参照されたい。
【0026】
しかしながら本発明において、ガター層は別の予期せぬ効果を有し、TLCの分離を全体として改善する。理論に縛られたくないが、概していえば、TLCの種々の層のために選択される材料(通常はポリマー)は、部分的には、そのTLCが使用されるであろう条件下でそれらが化学的および物理的に安定であることが理由で選択される。不運なことに、SL層の銀イオノマーはさほど化学的に安定ではなく、比較的容易に酸化され得る有機化合物の存在下で特にそうである。PLのための最も多い材料である有機ポリマーは、ポリマー自体の中に少量の外来の化学材料または酸化可能な基をしばしば含有しており、それらはAg
+によって酸化され、銀はしばしば金属によって還元され、それによりアルケン類からアルカン類を分離する上で無効になる。
【0027】
このような理由から、HDLについて本明細書で説明されるフルオロポリマー、特にペルフルオロポリマーが、膜の生産性をおそらく改善するだけでなく、適切な構造においてSLの完全性を保護するのに役立ち、その「分離特性」を初期的に、およびより長い時間にわたって改善すると考えられている。例えば、以下の表1を参照されたい。
【0028】
他の層および層構造が、HDL中に存在し得る。例えば、追加のHDL層が、好ましくはHDL/SL/HDL/PL構造で存在し得、ここで追加のHDL層は、SL/HDL/PLを有する3層HDLの「曝露される」表面を、混入およびおそらく、(部分的に)分離されることになっている混合物中の材料からの分解から保護する。他の有用な層および構造は、当業者に明らかであろう。
【0029】
アルケン類からアルカン類を分離するための1つ以上の密な銀イオノマー層を有するこれらのタイプの膜の使用は、当該技術分野で周知である。膜の片側は、1つ以上のアルカン類および1つ以上のオレフィン類からなる気体または液体の混合物へ曝露され、駆動力が提供される。溶出物流は、アルケン(類)に富む膜のもう片側の外へ出て、すなわち、アルケン(類)中のアルカン(類)の濃度は低下する。アルカン(類)およびアルケン(類)の混合物が気体である場合が好ましい。このような分離過程は、それらのすべてが参照により本明細書により含まれる米国特許出願第14/334,605号、米国仮出願第62/159,646号、第62/159,668号、および第62/262,169号(それぞれ現PCT出願 )、A.van Zylra,Journal of Membrane Science,133,(1997),15〜26ページ、O.I.Eriksenら,Journal of Membrane Science,85(1993),89〜97ページ、およびA.J.van Zyl,Journal of Membrane Science,137(1997),175〜185ページ、ならびに米国特許第5,191,151号において説明されている。
【0030】
HDLは、約25℃での窒素に対する最少透過性が少なくとも約500GPU、好ましくは少なくとも約1000GPU、より好ましくは少なくとも約1500GPUおよび非常に好ましくは少なくとも約2000でなければならない。このような層に関する高い透過性を得るために、これらの層は、検査される気体、この場合は窒素、に対する高い透過性を有するポリマーから典型的に作られ、概して非常に薄く、その理由は、より厚ければより透過性が低いからである。したがって、これらのSLは、厚さ約0.1〜約1.0μm、好ましくは厚さ約0.2〜約0.5μmであってよい。このような薄い層を形成し取り扱うことに起因する損傷のため、そのように薄い層について透過性を測定することはそれ自体困難であり得る。したがって、HDLの透過性の測定は、多孔層によって支持されるHDLを用いて測定でき、多孔層は、HDL自体よりも検査される気体に対するもっと高い「透過性」を有する。可能ならば、HDL層を有する膜、および例えば多孔層は両方とも、オレフィン/アルカン分離に使用されることになっている実際の膜を作るために使用される同じ過程によって作られる。例えば、以下の実施例3における「Teflon AF/PAN」基盤の調製を参照されたい。
【0031】
種々の他の適切なポリマーの窒素に対する透過性を発見することによって、SDLにおいて有用な潜在的なポリマーを探索できる。本明細書におけるGPU単位は、(1×10
−6)秒/cm
2・秒・cmHgであり、透過性単位はしばしばBarrerであり、当該単位は、(1×10
−10)秒・cm/cm
2・秒・cmHである。
【0032】
HDLの窒素透過性を測定する方法
多孔支持体上の膜としてガター層材料のみを含有する47mmの平板膜を、より大きな3インチの平らなシート膜から穿孔する。この47mm平板を次に、フィードポート、保持液ポート、吹き流し入口ポート、および透過液ポートからなるステンレス鋼交差流検査セルの中に配置する。4つのヘックスボルトを使用して、13.85cm
2の総活量面積を有する検査セル中に膜をしっかり固定する。
【0033】
セルのフィードポートを、4つの気体、すなわち、窒素、酸素、ヘリウム、および二酸化炭素からなる気体マニホルドへ接続する。保持液ポートをボール弁へ接続して、気流を行き止まりにし、かつ気体をパージする。2つの透過液ポートのうちの1つを閉じ、もう1つを流量計へ接続する。
【0034】
窒素は、気体調節装置によって圧力をかけ、1分間かけて緩徐にパージさせる。保持液ポートを閉じ、大気圧にある透過液から流量測定を行うことができる。この過程を5〜10psigの3つの異なるフィード圧について反復し、それにより平均透過性を算出できる。フィード圧、透過液流量、および温度を当該算出のために記録する。透過性は、等式
Q=F/(A・Δp)
によって算出でき、式中、Q=気体透過性、F=透過液流量、ΔP=経膜圧差であり、Aは膜の有効面積であり、この場合13.85cm
2である。
【0035】
オレフィン/アルカン分離のための透過性および選択性の測定
透過性(GPU、秒/cm
2・秒・cmHgの単位で報告される)および選択性の測定について、以下の手順を使用した。47mmの平板膜を、より大きな3インチの平らなシートの複合膜から穿孔した。この47mm平板を次に、フィードポート、保持液ポート、吹き流し入口ポート、および透過液ポートからなるステンレス鋼交差流検査セルの中に配置する。4つのヘックスボルトを使用して、13.85cm
2の総活量面積を有する検査セル中に膜をしっかり固定した。
【0036】
このセルをフィードライン、保持液ライン、吹き流しライン、および透過液ラインから構成される検査装置の中に配置した。フィードは、オレフィン(プロピレン)ガスおよびパラフィン(プロパン)ガスの混合物からなった。各ガスは、個別のシリンダーから供給された。オレフィンについては、ポリマー等級のプロピレン(99.5容積%純度)を使用し、パラフィンについては、99.9容積%純度のプロパンを使用した。2つのガスを次に、それらの個々のマスフロー制御装置へと供給し、そこで任意の組成の混合物が生成され得る。標準的な混合組成物は、200mL/分の総ガス流量で20容積%オレフィンおよび80容積%パラフィンであった。混合したガスを、水発泡機を通じて供給してガス混合物を加湿し相対湿度を90%超にした。背圧調節装置を保持液ラインにおいて使用して、膜に対するフィード圧を制御する。フィード圧は通常、ガスが換気される背圧調節装置の後で60psig(0.41MPa)で保持された。
【0037】
吹き流しラインは、純粋な加湿された窒素流からなった。シリンダーからの窒素をマスフロー制御装置へ接続した。マスフロー制御装置を300mL/分の流量に設定した。この窒素を水発泡機へ供給して、相対湿度を90%超にした。発泡機の後で、窒素を膜の吹き流しポートへ供給して、透過液ポートを通じていかなる透過ガスも運搬した。
【0038】
透過液ラインは、膜を通る透過したガスおよび吹き流しガスおよび水蒸気からなった。透過液を3方向弁へ接続し、それにより流量測定を実施できた。GS−GasPro毛細カラム(0.32mm、30m)を備えたVarian(登録商標)450GCガスクロマトグラフ(GC)を使用して、透過液流中のオレフィンおよびパラフィンの比を分析した。透過液側における圧力は典型的には1.20〜1.70psig(8.3〜11.7kPa)であったが、本明細書における実施例については、0.0〜0.3psig(「0」〜2.1kPa)であった。実験は室温で実施した。
【0039】
実験中、以下、すなわちフィード圧、透過液圧、温度、吹き流し流量(窒素+水蒸気)および総透過液流量(透過液+窒素+水蒸気)、を記録した。
【0040】
記録した結果から以下、すなわちフィード流およびフィード圧を基にした個々のフィード分圧全部;測定された透過液流、吹き流し流量、およびGCからの組成を基にした個々の透過液流全部;透過液流量および透過液圧を基にした個々の透過液分圧全部、を決定した。これらから、個々の成分の経膜分圧を算出した。透過性についての式
Q
i=F
i/(AΔp
i)
(式中、Q
i=種「i」の透過性、F
i=種「i」の透過液流量、Δp
i=種「i」の経膜分圧、およびAは膜の面積(13.85cm
2)である)から、透過性(Q
i)を算出した。
【0041】
実施例において、以下の略語を使用する。
HFPO−酸化ヘキサフルオロプロピレン(HFPO二量体ペルオキシドの調製については、参照により本明細書により含まれる米国特許第7,112,314号を参照されたい。HFPO二量体[2062−98−8]は、Synquest Laboratories,米国フロリダ州アラチュア市から入手可能である)
PDD−ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)または
SEFVE−CF
2=CFOCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2SO
2F
PPSF−CF
2=CFOCF
2CF
2SO
2F
VF2−フッ化ビニリデン(H
2C=CF
2)
VF−フッ化ビニル(H
2C=CHF)
PPVE−ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)
【0042】
実施例1
PDD/VF/SEFVE(フィード比100:100:150)コポリマーの合成および加水分解
150mLのステンレス鋼圧力容器中へ、5分間のアルゴンパージ後、磁気撹拌棒、3.66gのPDD、10.04gのSEFVE、12mLのVertrel(登録商標)XF(報告によると、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デアフルオロペンタンであり、The Chemours Co.,デラウェア州ウィルミントン市,19899,米国から入手可能)、0.6mLのHFPO二量体ペルオキシド溶液(0.12M)を入れた後、0℃で0.69gのフッ化ビニルガスを負荷した。この反応混合物を圧力容器中で密封し、水浴中で室温にて撹拌した。反応3時間後に、この反応容器を大気へ開き、10mLのアセトンおよび40mLのメタノールを反応混合物へ添加した。結果として生じるゲル様沈殿物をガラス皿へ移し、100℃のオーブン中で一晩乾燥させて、5.5gのPDD/VF/SEFVEターポリマーを無色の固体(Tg37℃)として生じた。
【0043】
250mLの丸底フラスコ中へ、前の段落において合成したターポリマー3.75g、20mLの脱イオン水、60mLのメタノール、1.85gの炭酸アンモニウムおよび磁気撹拌棒を入れた。この反応混合物を撹拌し、50〜60℃で維持した。一晩の反応後、透明な溶液を得た。80mLの2.0Mの塩酸をこの混合物へ添加し、混合物中のメタノールを加熱下で蒸発させて、ゲル様沈殿物を形成した。液体を静かに移し、50mLの2.0Mの塩酸を添加し、30分間撹拌した。液体を静かに移し、80mLの脱イオン水を添加した後、30分間撹拌した。液体のデカントの後、水洗浄を2回反復し、固体残渣を60℃にて真空オーブン中で3時間乾燥させた。遊離スルホン酸基を含有する茶色がかった固体(2.7g)を得た。
【0044】
実施例2
PDD/VF/PPSF(フィード比100:100:150)コポリマーの合成および加水分解
150mLのステンレス鋼圧力容器中へ、5分間のアルゴンパージ後、磁気撹拌棒、3.66gのPDD、6.3gのPPSF、12mLのVertrel(登録商標)XF、0.6mLのHFPO二量体ペルオキシド溶液(0.12M)を入れた後、0℃で0.96gのフッ化ビニルガスを負荷した。この反応混合物を圧力容器中に密封し、水浴中で室温にて撹拌した。一晩の反応後に、反応容器を大気へ開き、10mLのアセトンおよび40mLのメタノールを反応混合物へ添加した。結果として生じるゲル様沈殿物をガラス皿へ移し、100℃にてオーブン中で一晩乾燥させ、6.0gのPDD/VF/PPSFターポリマーを無色の固体(Tg58℃)として生じた。
【0045】
250mLの丸底フラスコ中へ、前の段落において合成したターポリマー4.0g、20mLの脱イオン水、60mLのメタノール、1.5gの炭酸アンモニウムおよび磁気撹拌棒を入れた。この反応混合物を撹拌し、50〜60℃で維持した。一晩の反応後に、透明な溶液を得た。80mLの2.0Mの塩酸をこの混合物へ添加し、混合物中のメタノールを加熱下で蒸発させて、ゲル様沈殿物を形成した。液体を静かに移し、50mLの2.0Mの塩酸を添加し、30分間撹拌した。液体を静かに移し、80mLの脱イオン水を添加した後、30分間撹拌した。液体のデカントの後、水洗浄を2回反復し、固体残渣を60℃にて真空オーブン中で3時間乾燥させた。遊離スルホン酸基を含有するわずかに茶色がかった固体(3.0g)を得た。
【0046】
実施例3
膜の形成および検査
ガラスボトル中へ、実施例1由来の0.1gのポリマー、20mgの硝酸銀、3.5gのイソプロピルアルコールおよび1.5gのNovec(登録商標)7300(報告によると、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロ−3−メトキシ−4−トリフルオロメチルペンタンであり、3M Corp.,Electronic Markets Materials Div.,ミネソタ州セントポール市,55144,米国)を入れた。結果として生じる溶液を1〜2時間撹拌した後、孔径が1.2μmのガラスファイバーフィルタで濾過した。この溶液を「溶液1」と示す。
【0047】
ガラスボトル中へ、実施例2由来の0.1gのポリマー、20mgの硝酸銀、3.5gのイソプロピルアルコールおよび1.5gのNovec(登録商標)7300を入れた。結果として生じる溶液を1〜2時間撹拌した後、孔径が1.2μmのガラスファイバーフィルタで濾過した。この溶液を「溶液2」と示す。
【0048】
ガラスボトル中へ、0.4gのAquivion(登録商標)D79−25BS(Sigma−Aldrich,米国から得られ、報告によると、水中の25重量パーセントポリマーを含有しており、ポリマーベースの1.23〜1.30meq/gの酸能力がある)、20mgの硝酸銀、4.6gのイソプロピルアルコールを入れた。結果として生じる溶液を1〜2時間撹拌した後、孔径が1.2μmのガラスファイバーフィルタで濾過した。この溶液を「溶液3」と示す。
【0049】
ガラスボトル中へ、0.5gのNafion(登録商標)D2020(DuPont Fuel Cells,私書箱80701,デラウェア州ウィルミントン市,19880−0701,米国から得られ、報告によると、20重量パーセントのポリマー、約34重量%の水、および約46重量%の1−プロパノール、ポリマーベースの1.03〜1.12meq/gの酸能力を含有している)、20mgの硝酸銀、4.5gのイソプロピルアルコールを入れた。結果として生じる溶液を1〜2時間撹拌した後、孔径が1.2μmのガラスファイバーフィルタで濾過した。この溶液を「溶液4」と示す。
【0050】
基盤を、Nanostone Water,10250 Valley View Rd.,ミネソタ州エデンプレーリー地区,53344,米国によって製造されたPAN350膜上でFluorinert(登録商標)770(3M Corp.,3M Cencer,ミネソタ州セントポール(Sty.Paul)市,米国から入手可能)においてTeflon(登録商標)AF2400(DuPont Co.,デラウェア州ウィルミントン市,19898,米国から入手可能)(Teflon(登録商標)AFについてのさらなる情報については、参照により本明細書により含まれるP.R.Resnickら,Teflon AF Amorphous Fluoropolymers,J.Schiers編,Modern Fluoropolymers,John Wiley & Sons,ニューヨーク,1997,p.397〜420を参照されたい)の0.2重量%をコーティングすることによって調製した(PAN350膜はポリアクリロニトリルから生成されると考えられている)。この基盤を「Teflon AF/PAN」と示す。
【0051】
別の基盤を、調製したPAN350膜上にn−ヘキサン中の10%Sylgard(登録商標)184をコーティングすることによって調製した。この基盤をPDMS/PANと示す。
【0052】
溶液1をそれぞれ30%未満の相対湿度で、PAN350膜上に直接コーティングし、かつTeflon AF/PAN膜上にコーティングした。
【0053】
溶液2をそれぞれ30%未満の相対湿度で、PAN350膜上にコーティングし、Teflon AF/PAN上にコーティングし、およびPDMS/PAN上にコーティングした。
【0054】
溶液3をそれぞれ30%未満の相対湿度で、PAN350膜上にコーティングし、Teflon AF/PAN上にコーティングし、およびPDMS/PAN上にコーティングした。
【0055】
溶液4をそれぞれ30%未満の相対湿度で、PAN350膜上にコーティングし、かつTeflon AF/PAN上にコーティングした。
【0056】
得られた複合膜を、以下の方法のようにプロパンおよびプロピレンの透過性について測定する。
【0057】
透過性測定膜は、径47mmの平板シートであった。20モル%のプロピレン(ポリマー合成等級)、および80%プロパンのフィードガス組成物を、水発泡機を通過させることによって加湿した。両ガスの合計流量は200mL/分であった。フィードガス(プロピレンおよびプロパンからなる混合物)は60psigであり、膜の第2の側部上の吹き流しガスは、0.0〜0.3psigの圧力の加湿された窒素であった。膜の第2の側部からの透過液をGCによって分析して、プロパンおよびプロピレンのモル比を決定した。透過性(GPU)はcm
3/cm
2/秒/cmHg×10
6で与えられる。
【0058】
表1は、透過性測定結果を示す。
【表1】
【0059】
表1から、複合膜中のフルオロポリマーHDLの組み込みがプロピレン透過液およびプロピレン/プロパン選択性の両方の一貫した増大をもたらすことが明らかである。
【0060】
実施例4
PDD/PPVE高拡散率ポリマーの合成
ガラス圧力チューブに8.0gのPDD、872mgのPPVE、0.8mLのVertrel XF中のHFPO二量体ペルオキシド溶液(0.12M)および15mLのVertrel XFを入れた。混合物を0℃にてアルゴンで5分間脱気した後、ガラスチューブを密封し、水浴中で室温に温め、この反応混合物を一晩撹拌した。このチューブを空気へ開き、30mLのアセトンをこの混合物中へ添加した。5分間撹拌した後、この混合物を濾過し、30mLの新鮮なアセトンを添加して、容器からあらゆるものをすすぎ出した。濾紙上の固体を時計ガラスへ移した。100℃のオーブン中で一晩乾燥させた後、7.4gの白色の固体をPDD/PPVEポリマーとして収集した。
【0061】
実施例5
PDD/SEFVE高拡散率ポリマーの合成
ガラス圧力チューブに4.88gのPDD、892mgのSEFVE、0.4mLのVertrelXF中のHFPO二量体ペルオキシド溶液(0.12M)および15mLのVertrel XFを入れた。この混合物を0℃にてアルゴンで5分間脱気した後、ガラスチューブを密封し、水浴中で室温に温め、この反応混合物を一晩撹拌した。このチューブを空気へ開き、30mLのアセトンを混合物中へ添加した。5分間撹拌した後、この混合物を濾過し、30mLの新鮮なアセトンを添加して、容器からあらゆるものをすすぎ出した。濾紙上の固体を時計ガラスへと移した。100℃のオーブン中で一晩乾燥させた後、4.1gの白色の固体をPDD/SEFVEポリマーとして収集した。
【0062】
実施例6
高拡散率層の透過性測定
溶液を種々の濃度でFluorinert(登録商標)770中のTeflon(登録商標)AF2400から調製し(表2)、実施例3において説明した通りPAN350膜上にコーティングした。より低いポリマー濃度はより薄い膜の形成をもたらすと考えられる。これらの支持された膜を、10、20および30psig(68.9、137.8および207.7kPa)のフィード圧で、ならびに生成物側の大気(雰囲気)圧で、窒素透過性について検査した。各溶液について表2に示す結果は、3つのフィード圧の平均値である。
【表2】