(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774969
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】RJ45コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/33 20060101AFI20201019BHJP
H01R 9/03 20060101ALI20201019BHJP
H01R 12/71 20110101ALI20201019BHJP
H01R 13/56 20060101ALI20201019BHJP
H01R 13/6581 20110101ALI20201019BHJP
H01R 13/66 20060101ALI20201019BHJP
H01R 13/6469 20110101ALI20201019BHJP
H01R 24/64 20110101ALN20201019BHJP
【FI】
H01R13/33
H01R9/03 Z
H01R12/71
H01R13/56
H01R13/6581
H01R13/66
H01R13/6469
!H01R24/64
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-561633(P2017-561633)
(86)(22)【出願日】2016年5月27日
(65)【公表番号】特表2018-520467(P2018-520467A)
(43)【公表日】2018年7月26日
(86)【国際出願番号】US2016034721
(87)【国際公開番号】WO2016196317
(87)【国際公開日】20161208
【審査請求日】2019年2月25日
(31)【優先権主張番号】62/168,099
(32)【優先日】2015年5月29日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2015/051680
(32)【優先日】2015年9月23日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/082,630
(32)【優先日】2016年3月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517109144
【氏名又は名称】オプティカル ケーブル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】OPTICAL CABLE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100181021
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 剛輝
(72)【発明者】
【氏名】スミオ セオ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン マイケル レイ
(72)【発明者】
【氏名】デリック エフ.スタイクレザー
(72)【発明者】
【氏名】イアン ジェイ.ティミンズ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス ウーランド
【審査官】
高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2013/0084755(US,A1)
【文献】
独国実用新案第202009015913(DE,U1)
【文献】
特開平10−055850(JP,A)
【文献】
特表平11−509975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/33
H01R 4/24 −4/2495
H01R 13/6581−13/6597
H01R 9/03
H01R 12/71
H01R 13/56
H01R 13/66
H01R 24/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号伝送性能を向上させる通信コネクタであって、
前端部と後端部とを有するケーブル終端部品であって、ケーブルの複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有するケーブル終端部品と、
前記ケーブル終端部品に備えられた複数のスロットであって、前記複数の導体対それぞれの各配線を該複数のスロットの1つに選択的に押し込むことが可能な複数のスロットと、
複数の電気接点と複数対のオフセット配置された圧接端子(IDC)とを含む受け口部品であって、1対のIDCは、対向する対のIDCに対して平行であるとともに、隣接する対のIDCに対して略平行であり、前記複数のオフセット配置されたIDCはそれぞれ、前記ケーブル終端部品と前記受け口部品とが結合すると、前記複数の導体対の配線に含まれる1対応配線に係合当接するように位置合わせされている受け口部品と、
前記IDCが取り付けられているプリント回路基板と、
先端部と前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第1のレバーアームであって、前記基端部は、前記受け口部品に備えられている対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、前記第1のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であって、前記開位置にあるときに該第1のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により前記フック要素を前記対応ラッチ要素に係合させ、それにより、前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する第1のレバーアームとを備え、
前記IDCがオフセット配置されているため、複数の前記受け口部品が互いに隣接する際、別の受け口部品のIDC間の分離距離が広がることにより、信号伝送が向上される通信コネクタ。
【請求項2】
先端部と、前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第2のレバーアームをさらに備え、前記基端部は、前記受け口部品に備えられている第2の対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、前記第2のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であり、前記開位置にあるときに前記第2のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により前記フック要素を前記第2の対応ラッチ要素に係合させて、それにより前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する、請求項1に記載の通信コネクタ。
【請求項3】
前記第1のフック要素及び前記第2のフック要素は、互いに対向して前記ケーブル終端部品に配置されている、請求項2に記載の通信コネクタ。
【請求項4】
前記ケーブル終端部品の前記後端部にケーブルラチェットアセンブリをさらに備え、前記ケーブルラチェットアセンブリは、第1のピボットクランプと第2のピボットクランプとを含み、前記第1のピボットクランプと前記第2のピボットクランプとはそれぞれ、前記ケーブルが前記ケーブル終端部品と接触する位置で前記ケーブルにかかる応力を開放するために、選択的に枢動して前記ケーブルと当接することができる、請求項1に記載の通信コネクタ。
【請求項5】
前記受け口部品に備えられた前記複数のオフセット配置された圧接端子を実質的に取り囲む内側ケーブルシールドをさらに備え、前記内側ケーブルシールドは該内側ケーブルシールドから延在する第1の突起及び第2の突起を有し、前記内側ケーブルシールドは導電材料から形成され、前記第1の突起及び前記第2の突起は、前記受け口部品が前記ケーブル終端部品に固定されると、前記ケーブル終端部品の対向する外面側にそって延在する大きさ及び構成を有し、これにより、前記第1の突起及び前記第2の突起は前記ケーブルの一部に隣接して延在する、請求項1に記載の通信コネクタ。
【請求項6】
前記内側ケーブルシールドは、前記第1の突起及び前記第2の突起のそれぞれに形成された少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチはそれぞれ、ケーブルドレイン配線がはめ込まれる大きさおよび構成を有する、請求項5に記載の通信コネクタ。
【請求項7】
信号伝送性能を向上させる通信コネクタであって、
ケーブルの複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有するケーブル終端部品と、
複数のスロットであって、前記複数の導体対それぞれの各配線を前記複数のスロットの1つに選択的に押し込むことが可能な複数のスロットと、
複数の電気接点と複数対のオフセット配置された圧接端子(IDC)とを含み、1対のIDCは、対向する対のIDCに対して平行であるとともに、隣接する対のIDCに対して略平行であり、前記複数のオフセット配置されたIDCはそれぞれ、前記ケーブル終端部品と前記受け口部品とが結合すると、前記複数の導体対の前記配線に含まれる1対応配線に係合当接するように位置合わせされている受け口部品と、
前記IDCが取り付けられているプリント回路基板と、を備え、
前記IDCがオフセット配置されているため、複数の前記受け口部品が互いに隣接する際、別の受け口部品のIDC間の分離距離が広がることにより信号伝送が向上される通信コネクタ。
【請求項8】
先端部と、前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第1のレバーアームをさらに備え、前記基端部は、前記受け口部品に備えられている対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、前記第1のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であって、前記開位置にあるときに該第1のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により前記フック要素を前記対応ラッチ要素に係合させ、それにより、前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する、請求項7に記載の通信コネクタ。
【請求項9】
前記ケーブル終端部品の前記後端部にケーブルラチェットアセンブリをさらに備え、前記ケーブルラチェットアセンブリは、第1のピボットクランプと第2のピボットクランプとを含み、前記ケーブルが前記ケーブル終端部品と接触する位置で前記ケーブルにかかる応力を開放するために、前記第1のピボットクランプと前記第2のピボットクランプとはそれぞれ、選択的に枢動して前記ケーブルに当接することができる、請求項7に記載の通信コネクタ。
【請求項10】
前記受け口部品に備えられた前記複数のオフセット配置されたIDCを実質的に取り囲む内側ケーブルシールドをさらに備え、前記内側ケーブルシールドは、該内側ケーブルシールドから延在する第1の突起及び第2の突起を有し、前記内側ケーブルシールドは導電材料から形成され、前記第1の突起及び前記第2の突起は、前記受け口部品が前記ケーブル終端部品に固定されると、前記ケーブル終端部品の対向する外面側にそって延在する大きさ及び構成を有し、これにより、前記第1の突起及び前記第2の突起は前記ケーブルの一部に隣接して延在する、請求項7に記載の通信コネクタ。
【請求項11】
前記内側ケーブルシールドは、前記第1の突起及び前記第2の突起のそれぞれに形成された少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチはそれぞれ、ケーブルドレイン配線がはめ込まれる大きさおよび構成を有する、請求項10に記載の通信コネクタ。
【請求項12】
信号伝送性能を向上させる電気接続システムであって、
プラグと、
前記プラグを受けるように構成されたジャックとを備え、
前記ジャックは、
前端部と後端部とを有するケーブル終端部品であって、ケーブルの複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有するケーブル終端部品と、
前記ケーブル終端部品に備えられた複数のスロットであって、前記複数の導体対それぞれの各配線を前記複数のスロットの1つに選択的に押し込むことが可能な複数のスロットと、
複数の電気接点と複数対のオフセット配置された圧接端子(IDC)とを含む受け口部品であって、1対のIDCは、対向する対のIDCに対して平行であるとともに、隣接する対のIDCに対して略平行であり、前記複数のオフセット配置されたIDCはそれぞれ、前記ケーブル終端部品と前記受け口部品とが結合すると、前記複数の導体対の前記配線に含まれる1対応配線に係合当接するように位置合わせされている受け口部品と、
前記IDCが取り付けられているプリント回路基板と、
先端部と前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第1のレバーアームであって、前記基端部は、前記受け口部品に備えられている対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、前記第1のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であって、前記開位置にあるときに該第1のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により前記フック要素を前記対応ラッチ要素に係合させ、それにより、前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する前記第1のレバーアームとを備え、
前記IDCがオフセット配置されているため、複数の前記ジャックが互いに隣接する際、別の受け口部品のIDC間の分離距離が広がることにより信号伝送が向上される電気接続システム。
【請求項13】
前記プラグは、
ハウジングと、
前記ハウジングが収容する複数対の電気接点であって、前記受け口部品に備えられた前記複数の電気接点と電気的に接続する大きさおよび構成を有する複数対の電気接点と、
プリント回路基板(PCB)とを備え、前記PCBは、少なくとも第1の対及び第2の対の電導性信号トレースを含み、前記第1の対のトレースは第1の対の接点に接続され、前記第2の対のトレースは第2の対の接点に接続され、前記PCBは第1の領域と第2の領域とを含み、前記第1の対のトレースは前記第1の領域に位置し、前記第2の対のトレースは前記第2の領域に位置し、前記PCBは少なくとも第1の接地平面をさらに含み、前記第1の接地平面は第1の区分及び第2の区分を有し、前記第1の区分及び第2の区分は互いに実質的に電気的に絶縁され、前記第1の区分の少なくとも一部は、前記第1の対のトレースの少なくとも一部と隣接し、前記第2の区分の少なくとも一部は、前記第2の対のトレースの少なくとも一部と隣接することにより、信号伝送性能が向上される、請求項12に記載の電気接続システム。
【請求項14】
前記プラグは、
ハウジングと、
前記ハウジングが収容する複数対の電気接点と、
第1のプリント回路基板(PCB)とを備え、前記PCBは、少なくとも第1の対及び第2の対の電導性信号トレースを含み、前記第1の対のトレースは第1の対の接点に接続され、前記第2の対のトレースは第2の対の接点に接続され、前記PCBは第1の領域と第2の領域とを有し、前記第1の対のトレースのうちの少なくとも1つのトレースは前記第1の領域に位置し、前記第2の対のトレースのうちの少なくとも1つのトレースは前記第2の領域に位置し、前記PCBは少なくとも第1の導電性接地平面をさらに含み、前記第1の導電性接地平面は空隙を有し、前記空隙により互いに電気的に接続しない第1の区分及び第2の区分が形成され、前記第1の区分の少なくとも一部は、前記第1の対の少なくとも1つのトレースの少なくとも一部と隣接し、前記第2の区分の少なくとも一部は、前記第2の対の少なくとも1つのトレースの少なくとも一部と隣接する、請求項12に記載の電気接続システム。
【請求項15】
前記プラグは、
ハウジングと、
前記ハウジングが収容する複数対の電気接点と、
プリント回路基板(PCB)とを備え、前記PCBは、少なくとも第1の対及び第2の対の電導性信号トレースを含み、前記第1の対の信号トレースは第1の対の接点に接続され、前記第2の対の信号トレースは第2の対の接点に接続され、前記PCBは、第1の接地平面と、相対的に高誘電性である材料層と、高周波数伝送をサポートする相対的に低誘電性である材料層とをさらに含み、前記相対的に低誘電性である材料層は、前記第1の接地平面の一方の側と前記第1および第2の対のトレースとの間に位置し、前記相対的に高誘電性である材料層は、前記第1の接地平面のもう一方の側に隣接する、請求項12に記載の電気接続システム。
【請求項16】
先端部と、前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第2のレバーアームをさらに備え、前記基端部は、前記受け口部品の第2の対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、前記第2のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であり、前記開位置にあるときに前記第2のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により、前記フック要素を前記第2の対応ラッチ要素に係合させ、それにより、前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する、請求項12に記載の電気接続システム。
【請求項17】
前記受け口部品に備えられた前記複数のオフセット配置された圧接端子を実質的に取り囲む内側ケーブルシールドをさらに備え、前記内側ケーブルシールドは、該内側ケーブルシールドから延在する第1の突起及び第2の突起を有し、前記内側ケーブルシールドは導電材料から形成され、前記第1の突起及び前記第2の突起は、前記受け口部品が前記ケーブル終端部品に固定されると、前記ケーブル終端部品の対向する外面側にそって延在する大きさ及び構成を有し、これにより、前記第1の突起及び前記第2の突起は、前記ケーブルの一部に隣接して延在する、請求項12に記載の電気接続システム。
【請求項18】
前記内側ケーブルシールドは、前記第1の突起及び前記第2の突起のそれぞれに形成された少なくとも1つのノッチを含み、前記ノッチはそれぞれ、ケーブルドレイン配線がはめ込まれる大きさおよび構成を有する、請求項17に記載の電気接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照および優先権主張
本出願は、2016年3月28日出願の米国非仮特許出願第15/082,630号明細書、2015年3月29日出願の米国非仮特許出願第62/168,099号明細書、2015年1月16日出願の米国非仮特許出願第14/598,793号明細書(現在は米国特許第9,300,092号明細書)の優先権を主張する2015年9月23日出願のPCT出願第PCT/US2015/051680号明細書、及び2014年9月30日出願の米国非仮特許出願第62/057,443号明細書の優先権を主張し、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電気コネクタ内の並列接点により発生する電気信号による干渉およびリターンロスの低減に関する。より詳細には、本発明は、リターンロスを低減し、FCC型プラグにおける対間のクロストーク干渉だけでなく、コモンモード間のクロストーク干渉も低減することに関する。米国連邦通信委員会(The Federal Communications Commission)は、電気通信産業界で利用される電気コネクタに関して、相互嵌合性を提供するように、ある一定の構造上の基準を採用している。最も一般的に利用されているコネクタは、FCC型モジュラープラグおよびジャックであり、RJ45プラグおよびジャックとも呼ばれている。このプラグは一般に、1つの通信デバイスに接続することのできる複数の導体に終端されている。通常、各プラグは、4つの対を形成する8つの導体に終端されている。これに対応するジャックは一般に、パネルもしくはプリント回路基板または壁コンセントに取り付けられ、次にそれが電気通信ネットワークに接続されている。回路を完成させるために、このプラグおよびジャックを相互に嵌合させる。
【背景技術】
【0003】
クロストークおよびリターンロスの問題のほとんどは、プラグで発生するが、通常、クロストークおよびリターンロスの低減はジャック内において対処されている。例えば、本出願の譲受人であるオプティカルケーブルコーポレーション(Optical Cable Corporation)に付与された米国特許第5,299,956号明細書は、回路基板に接続されたジャックを示しており、そこでは基板上のトレースを用いて、主として対応プラグ内で発生するクロストークを打ち消している。やはりオプティカルケーブルコーポレーションに付与された米国特許第5,310,363号明細書は、クロストークを打ち消す特徴およびリターンロスを低減する特徴の両方を有する同様のジャックを示している。
【0004】
電気通信産業工業会(TIA:Telecommunications Industry Association)により、最大クロストークと、近端漏話(NEXT:Near End Cross Talk)及び遠端漏話(FEXT:Far End Cross Talk)の両方と、コモンモード結合と、最大リターンロスとに関する業界規格が定められている。TIAは現在、いわゆるカテゴリ8レベルの性能規格に取り組んでいる。この規格は、2,000MHzまでの帯域幅内で、秒速40ギガビットまでのデータ伝送速度が行えるように設計されている。TIA規格は、対と周波数とに依存する。様々な周波数及び対についてNEXT、FEXT及びリターンロスに関して現在草案されているTIA規格を
図6から
図14のグラフに示す。
【0005】
さらに、現在、ジャック内のケーブルを終端するには、ジャックの圧接端子(IDC:Insulation Displacement Contact)と、ケーブルの対応コネクタ対とを電気的に接続して保持するという、パンチダウン工具やプライヤ等の工具を使用しなければならない手間のかかる処理が含まれる。従って、本技術では、ジャック内のケーブルを終端するための工具が不要な機構が望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一形態によれば、信号伝送性能を向上させる通信コネクタを提供される。この通信コネクタは、前端部と後端部とを有するケーブル終端部品であって、ケーブルの複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有するケーブル終端部品と、前記ケーブル終端部品に備えられた複数のスロットであって、前記複数の導体対それぞれの各配線を該複数のスロットの1つに選択的に押し込むことが可能な複数のスロットと、複数の電気接点と複数のオフセット配置された圧接端子(IDC)とを含む受け口部品であって、前記複数のオフセット配置されたIDCはそれぞれ、前記ケーブル終端部品と前記受け口部品とが結合すると、前記複数の導体対の前記配線のうちの対応配線に係合当接するように位置合わせされている受け口部品と、プリント回路基板と、先端部と前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第1のレバーアームであって、前記基端部は、前記受け口部品に備えられている対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、第1のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であって、前記開位置にあるときに該第1のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により前記フック要素を前記対応ラッチ要素に係合させ、それにより、前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する第1のレバーアームとを備え、前記IDCがオフセット配置されているため、複数の前記受け口部品が互いに隣接する際、別の受け口部品のIDC間の分離距離が広がることにより信号伝送が向上される通信コネクタである。
【0007】
本発明の別の形態によれば、信号伝送性能を向上させる通信コネクタを提供される。この通信コネクタは、ハウジングと、前記ハウジングに収容されるケーブル終端部品であって、ケーブルの複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有するケーブル終端部品と、複数のスロットであって、前記複数の導体対それぞれの各配線を該複数のスロットの1つに選択的に押し込むことが可能な複数のスロットと、前記ハウジングに収容される受け口部品であって、複数の電気接点と複数のオフセット配置された圧接端子(IDC)とを含み、前記複数のオフセット配置されたIDCはそれぞれ、前記ケーブル終端部品と前記受け口部品とが結合すると、前記複数の導体対の前記配線に含まれる1対応配線に係合当接するように位置合わせされている受け口部品と、プリント回路基板と、を備え、前記IDCがオフセット配置されているため、複数の前記受け口部品が互いに隣接する際、別の受け口部品のIDC間の分離距離が広がることにより信号伝送が向上される通信コネクタである。
【0008】
本発明の別の形態によれば、信号伝送性能を向上させる電気接続システムを提供される。この電気接続システムは、プラグと、前記プラグを受けるように構成されたジャックとを備え、前記ジャックは、 前端部と後端部とを有するケーブル終端部品であって、ケーブルの複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有するケーブル終端部品と、前記ケーブル終端部品に備えられた複数のスロットであって、前記複数の導体対それぞれの各配線を該複数のスロットの1つに選択的に押し込むことが可能な複数のスロットと、複数の電気接点と複数のオフセット配置された圧接端子(IDC)とを含む受け口部品であって、前記複数のオフセット配置されたIDCはそれぞれ、前記ケーブル終端部品と前記受け口部品とが結合すると、前記複数の導体対の配線に含まれる1対応配線に係合当接するように位置合わせされている受け口部品と、プリント回路基板と、先端部と前記ケーブル終端部品に枢動可能に固定されている基端部とを有する第1のレバーアームであって、前記基端部は、前記受け口部品に備えられている対応ラッチ要素に係合する大きさおよび構成を有するフック要素を有し、前記第1のレバーアームは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であって、前記開位置にあるときに該第1のレバーアームの前記先端部にユーザが加えた力により前記フック要素を前記対応ラッチ要素に係合させ、それにより、前記閉位置を画定し、前記ケーブル終端部品を前記受け口部品に固定する第1のレバーアームとを備え、前記IDCがオフセット配置されているため、複数の前記ジャックが互いに隣接する際、別の受け口部品のIDC間の分離距離が広がることにより信号伝送が向上される電気接続システムである。
【0009】
本発明と見なされる主題を添付の特許請求の範囲に記載する。本発明自体、ならびにさらなる目的および利点は、以下の説明を添付図面と併せて参照すればより良く理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の主題であるプラグの部分切欠図であり、回路基板、および対応ジャック接点と接続しているプラグ接点を示している。
【
図2】
図1のプラグの部分図であり、例示の目的で、プラグ本体およびプラスチック構成部品が除去されている。
【
図3】断面線3―3により得られる
図2の回路基板を反転した断面図である。
【
図5】
図4の分離した接地平面のうちの1つを示す図である。
【
図6】
図4の回路基板をさらに詳細に示す図である。
【
図7】
図6の回路基板を示す図であるが、誘電材料が除去されて回路基板の上部を示している。
【
図9】対1―3について、プラグの順方向のNEXTを示すグラフである。
【
図10】対2―3および対3―4について、プラグの順方向のNEXTを示すグラフである。
【
図11】対2―1および対1―4について、プラグの順方向のNEXTを示すグラフである。
【
図12】対2―4について、プラグの順方向のNEXTを示すグラフである。
【
図13】対1―3について、プラグの順方向のFEXTを示すグラフである。
【
図14】対2―3および対3―4について、プラグの順方向のFEXTのグラフである。
【
図15】対2―1および対1―4について、プラグの順方向のFEXTを示すグラフである。
【
図16】対2―4について、プラグの順方向のFEXTを示すグラフである。
【
図17】4つの対すべてについての、プラグの逆方向のリターンロスを示すグラフである。
【
図18】対1―2について、本発明の主題である分離した接地平面を有するプラグと、分離していない接地平面を有するプラグとを比較した、コモンモード間NEXTロスを示すグラフである。
【
図19】対1―4について、本発明の主題である分離した接地平面を有するプラグと、分離していない接地平面を有するプラグとを比較した、コモンモード間NEXTロスを示すグラフである。
【
図20】対2―4について、本発明の主題である分離した接地平面を有するプラグと、分離していない接地平面を有するプラグとを比較した、コモンモード間NEXTロスを示すグラフである。
【
図21】本発明の受け口部品及びケーブル終端部品を示す斜視図である。
【
図22】ともに固定した受け口部品及びケーブル終端部品を示す斜視図である。
【
図24】ケーブル終端部品に固定した受け口部品を示す斜視図である。
【
図26】ケーブル終端部品の断面を示す斜視図である。
【
図27】ともに固定した受け口部品及びケーブル終端部品の断面を示す斜視図である。
【
図28】ともに固定した受け口部品及びケーブル終端部品を示す斜視図である。
【
図29】ともに固定した受け口部品及びケーブル終端部品を示す斜視図である。
【
図30】受け口部品のハウジングを除去した状態で、ともに固定した受け口部品及びケーブル終端部品を示す斜視図である。
【
図31】IDCのオフセット位置を示す、第1の通信コネクタ及び第2の通信コネクタの側面立面図である。
【
図32】ともに固定した受け口部品及びケーブル終端部品を示す斜視図である。
【
図33】ケーブル終端部品に挿入されたケーブルと、ケーブルを支持するピボットクランプとを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面のうち、いくつかの図面において、類似の参照番号は類似の部品を示している。
【0012】
ここで
図1をより詳細に参照すると、プラスチック製の本体12を有するプラグ10が設けられている。プラグ10は、導体の4つの信号対を対応RJ45ジャックに接続するための標準的FCC型RJ45プラグの接続構成を有することが好ましい。対応するRJ45ジャックを、ジャック接点14を除き、特に
図21〜33に示している。プラグ10は、FCC規格に従って対に配列された8つの接点16を含む。FCC規格によれば、対1は、第4の接点および第5の接点で構成され、対2は、第1の接点および第2の接点で構成され、対3は、第3の接点および第6の接点で構成され、対4は、第7の接点および第8の接点で構成されている。
【0013】
プラグ10は、回路基板18も含む。回路基板18は、導体および誘電材料からなる7つの層で構成されることが好ましい。回路基板18は、回路基板18の反転した断面を示す
図3にさらに良く図示されている。回路基板18の最上層20は、トレースの4つの導体対のうちの2つに対応する回路基板トレース、例えばトレース22を含む。基板18の第2層24は、イソララミネートシステムズコーポレーション(Isola Laminate Systems Corp)から入手可能な市販のFR408などの、高性能、高周波誘電材料を含む。回路基板18の第3層26は、第1の分離した接地平面26で構成されている。接地平面26は、
図5にも示されている。回路基板18の第4層28は、やはりイソララミネートシステムズコーポレーションから入手可能な市販のFR4などの標準的誘電材料で構成されている。回路基板18の第5層30は、第2の分離した接地平面30で構成されている。回路基板18の第6層32は、第2層24と同じ高性能、高周波誘電体で構成されていることが好ましい。第7層すなわち最下層34は、トレースの4つの導体対のうちの残りの2つに対応する回路基板トレース、例えばトレース35の別の層を含む。
【0014】
図5に最も良く見ることができるように、第1の接地平面26が分離され、トレースの対の方向に接地平面に沿って長手方向に延在する空隙36を形成し、接地平面26を2つの電気的に絶縁された要素50および要素52に有効に分割するようになっている。このトレースに対する分離位置は電気性能に影響する。第2の接地平面30もまた分離され、第1の接地平面26と実質的に同一であることが好ましい。回路基板18の上側および底側のトレースは、回路基板18の一方の側から延在する回路基板接点38に終端されている。参照を目的として、回路基板18の回路基板接点38の延在の起点となっている側を上側とする。複数のバイアホール、例えばバイアホール40が回路基板18を貫通して延在し、基板の底側のトレースを対応回路基板接点に接続できるようなっている。例えば、トレース35は、バイアホール(導体46およびその接続を明確にするために図示せず)を貫通して延在する導体46に接続され、次にこれが回路基板接点48に接続している。8つの回路基板接点38は、8つの対応プラグ接点16に接続されている。
【0015】
図5を再び参照すると、項目26は接地平面のことを指しているが、この接地平面は少なくとも2つの、そして好ましくは2つの実質的に電気的に絶縁された区分、すなわち、空隙36によって分離された区分50および区分52を含む。区分50および区分52を「実質的に電気的に絶縁された」と表現することは、2つの要素が互いに接触せず、空隙36は、電気エネルギーが2,000MHzにおいてさえも空隙36をまたいで実質的に移動しないように十分な幅であることをいう。すなわち、空隙36は、容量結合または誘導結合のいずれかによって相当量の電流または電圧が区分50から区分52に、およびその逆に移動してしまうほどに小さくないことが重要である。加えて、接地平面26の区分50および区分52は、
図2に図示するように同一の平面上にあることが好ましいが、これは異なる平面上にある区分を除外することを意図するものではない。しかしながら、区分50および区分52が、互いに電気的に接触していないことが重要である。空隙36は、少なくとも0.08ミリメートルの幅であることが好ましい。空隙36はまた、接地平面26のリターンロス低減特性が低下するほどにまで幅広くないことが好ましい。空隙36は、6.35ミリメートル以下の幅であることが好ましい。
【0016】
図7に見ることができるように、対37は、分離した接地平面26の区分50の上方で区分50に隣接し、対39は、分離した接地平面26の区分52の上方で区分52に隣接している。対37から区分50まで移動するエネルギーは、区分52または対39まで移動することがない。なぜなら空隙36によって、各トレース上の信号の区分50および区分52へのリターン電流が電気的に絶縁されているからである。
図8に示すように、基板18のもう一方の側の、接地平面30の2つの分離した区分と対41および対43との間で、同じ電気的絶縁が生じている。対37の1つのトレースだけが区分50に隣接し、対39の1つのトレースだけが区分52に隣接していてもよい。
【0017】
分離した接地平面を用いることにより、トレース間のコモンモード絶縁が増大することで、プラグ10の差動対伝送特性が高められることが分かっている。これは、
図18、
図19および
図20を参照すると最も良く図示されている。例えば、
図18に示すように、分離した接地平面を有するプラグを、プラグの他の要素はすべて同じであるが、分離していない接地平面を有するプラグと比較した。
図18からわかるように、分離した接地平面の対1―2についてのコモンモード間NEXTロスの方が、2,000メガヘルツまでの帯域幅について、高い性能を実現した。
【0018】
図19に示すように、分離した接地平面を有するプラグの対1―4についてのコモンモード間NEXTロスは、分離していない接地箇所を有するプラグよりも優れており、
図20に示す対2―4も同様であった。
【0019】
さらに、およそ0.45ミリメートルから1.65ミリメートルの間をあけて空隙が形成されている分離接地平面26および分離接地平面30を有する本発明の主題であるプラグについて、順方向のNEXTを測定した。
図9から
図12は、現行のカテゴリ8規格と対照して測定された様々な対についてのプラグの順方向のNEXTの大きさを示す。
図9は、対1―3についてのNEXT測定値を示す。
図10は、対2―3および対3―4についてのNEXT測定値を示す。
図11は、対1―2および対1―4についてのNEXT測定値を示す。
図12は、対2―4についてのNEXT測定値を示す。
図9〜
図12に示す測定値はすべて、現行のカテゴリ8のNEXT規格を上回っている。2,000MHzにおいて、NEXTは、対1―3についてはおよそ−15.1dBであり、対2―3について、およそ−23.0dBであり、対3―4について、およそ−23.5dBであり、対1―2についてはおよそ−34.3dBであり、対1―4についてはおよそ−41.5dBであり、対2―4についてはおよそ−41.4dBであった。
【0020】
本発明の主題である同じプラグについて、プラグの順方向FEXTも測定した。
図13から
図16は、様々な対についてのプラグの順方向のFEXTを示す。
図13は、対1―3についてのFEXT測定値を示す。
図14は、対2―3および対3―4についてのFEXT測定値を示す。
図15は、対1―2および対1―4についてのFEXT測定値を示す。
図16は、対2―4についてのFEXT測定値を示す。これらの読み取り値はすべて、本発明の主題であるプラグが現行のカテゴリ8のFEXT規格を上回っていることを示している。2,000MHzにおいて、FEXTは、対1―3についてはおよそ−29.3dBであり、対2―3についてはおよそ−36.1dBであり、対3―4についてはおよそ−32.3dBであり、対1―2についてはおよそ−36.2dBであり、対1―4についてはおよそ−36.7dBであり、対2―4についてはおよそ−44.5dBであった。
【0021】
図17は、本発明の主題である同じプラグの4つの対すべてについてのリターンロスを示し、これらもまた、2014年12月1日時点のリターンロスについてのカテゴリ8規格草案を上回っている。2,000MHzにおいて、リターンロスは、対1についてはおよそ−15.5dBであり、対2についてはおよそ−17.3dBであり、対3についてはおよそ−12.5dBであり、対4についてはおよそ−17.3dBであった。
【0022】
図3を再び参照すると、回路基板18の第4層すなわち中心層28は、中央芯材としてFR4などの安価な標準的な誘電材料で作成され、主に回路基板の基材として使用される。FR4は、エポキシ樹脂バインダを施したガラス繊維織物で作られており、信号の周波数にもよるが、かなりの高誘電率、例えば4.5といった誘電率を有する。しかしながら、より直接的にプラグの伝送品質に影響する材料は、回路基板の第2層24および第6層32に用いられる誘電体である。なぜなら、これらの層は、層20および層34のトレースに近接しているからである。誘電性である第2層および第6層は、4.5未満の誘電率を有するが、3.7を超えない誘電率を有することが好ましい。この低誘電率材料は、高周波数成分に良好に適合し、カテゴリ8の、すなわち2,000メガヘルツまでの高周波数伝送に対応している。第2層および第6層内の材料は、FR408であることが好ましい。FR408もまた、エポキシ樹脂バインダを施したガラス繊維織物から作られているが、信号速度をより速くするように設計されている。第2層および第6層としてFR408を用いると、上記で言及した差動リターンロスの改善の実現に役立つことが分かっている。FR408の第2層および第6層は、FR4の第4層よりも薄くするものとする。第2層および第6層の厚さは、0.127±0.025mmであることが好ましい。FR408はFR4よりも高価であるため、信号品質を下げずにFR408の薄層のみを用いることで実質的な費用便益が実現される。FR408の厚さは、利用可能な任意の標準的サイズとすることが可能である。本明細書に関するPCBは0.005インチの層を用いている。この厚さは、所望されるトレース形状に従って決められる。
【0023】
RJ45プラグで接地平面を用いることにより、リターンロスが改善される。しかしながら、本出願人は、接地平面26で分離または空隙36を用いなければ、導体対に関するクロストークが問題となることを見出している。接地平面が分離していることにより、伝送路のリターン電流が伝送路の近傍に留められ、その結果、プラグのトレース間のコモンモード絶縁が増大し、したがって、クロストークが低減される。接地平面26の厚さは、0.0178ミリメートルから0.0771ミリメートルの範囲にあることが好ましい。加えて、接地平面26は銅製であることが好ましい。また、回路基板18の一方の側のトレースとその隣接した接地平面26との間の距離は、0.051ミリメートルから0.61ミリメートルの間であることが好ましい。本明細書で使用する「分離した接地平面」という用語の使用は、2つ以上の別個の接地平面を意味する場合がある。別個の接地平面または分離した接地平面が含む別個の区分は、同じ電位にあっても、同じ電位になくてもよい。分離した接地平面を、コネクタPCBに規定されているようにトレース対の下に配置することにより、プラグ全体において、他の対と個々の導体との間の結合パラメータの調整が可能になることが分かっている。
【0024】
初めに
図21〜
図23を参照すると、ジャック100は、ケーブル終端部品102と受け口部品104とを備えている。ケーブル終端部品102は、前端部と後端部とを含み、ケーブル200の複数の導体対を選択して収容する大きさおよび構成を有する(
図33参照)。スタッファキャップ部品106は、ケーブル終端部品102とは別の部品でもよいし、ケーブル終端部品102の一部として一体に形成されていてもよい。スタッファキャップ部品106は、それぞれフック要素110A、110Bを有する第1のレバーアーム108A及び第2のレバーアーム108Bと、複数のスロット112と、クロスバー116を有する開口部114とを備える。
【0025】
レバーアーム108A、108Bはそれぞれ、固定されていない先端部と、スタッファキャップ部品106に枢動可能に固定されている基端部とを含む。基端部は、受け口部品104に設けられた対応ラッチ要素111A、111B(図示せず)に係合する大きさおよび構成である対応フック要素110A、110Bを有している。各レバーアーム108A、108Bは、開位置と閉位置との間で選択的に操作可能であり、レバーアーム108A、108Bのいずれかが開位置にあるときにユーザがその先端部に力を加えると、フック要素110A、110Bが対応ラッチ要素111A、111Bに係合して、ケーブル終端部品102を受け口部品104に固定する。これにより、
図21に示すように、閉位置が画定される。一実施形態において、第1のフック要素110A及び第2のフック要素110Bは、対応ラッチ要素111A、111Bと対向して、ケーブル終端部品102及び受け口部品104にそれぞれ配置されている。操作時、レバーアーム108A、108Bを用いてケーブル終端部品102を受け口部品104に固定することにより終端が完了するので、第2の工具を用いる必要がない。
【0026】
図21から
図23をさらに参照すると、ケーブル終端部品102を受け口部品104に固定する前に、ケーブルの複数の導体対の各配線を、複数のスロット112の1つに選択的に押し込むことにより、配線をその中に固定する。
【0027】
図24から
図27を参照すると、受け口部品104は、受け口部品104のハウジングによって形成されるポート122を介して接触可能な複数の電気接点14を含む。受け口部品104は、凹表面120にはめ込まれる大きさの正面アイコン118を含む。一実施形態において、正面アイコン118は、凹表面120に対応する大きさの装着クリップを含む。正面アイコン118により、より広い表面積で情報を表示することができる。特に
図24を参照すると、内側ケーブルシールド124の対向する第1のセグメントには、ポート122を介して接触可能である。特に
図25を参照すると、IDCハウジング132には、複数のオフセット配置された圧接端子(IDC)130が備えられている。複数のオフセット配置された圧接端子はそれぞれ、ケーブル終端部品102と受け口部品104とが結合したときに、複数の導体対の配線に含まれる1対応配線に係合当接するように位置合わせされている。
図25に示すように、ジャック100の主プリント回路基板(PCB)134は、受け口部品104内に収容されてもよい。
【0028】
ジャック100の一実施形態として、内側ケーブルシールド124を備えてもよい。内側ケーブルシールド124は、1つ以上の導電材料から形成されていてよい。内側ケーブルシールド124は、受け口部品104の、複数のオフセット配置された圧接端子130を実質的に取り囲み、内側ケーブルシールド124から延在する第1の突起126及び第2の突起126を含む。第1の突起126及び第2の突起126は、受け口部品104がケーブル終端部品102に固定されると、ケーブル終端部品102の対向する外面側にそって延在する大きさおよび構成を有する。第1の突起126及び第2の突起126は、ケーブル200の一部に隣接して延在している。一実施形態において、ケーブル終端部品102は、第1の突起及び第2の突起126を通す大きさの凹表面127を含む。第1の突起126及び第2の突起126はそれぞれ、1つ以上のノッチ128を含む。各ノッチ128は、ケーブルドレイン配線(図示せず)をはめ込む大きさおよび構成を有する。好適な一実施形態において、ノッチ128は、涙型に形成されて、ケーブルドレイン配線をノッチ128に固定しやすいようになっている。
【0029】
内側ケーブルシールド124は、導電ラップの役割をする。例えば取り付けたパネルと接触するために、内側ケーブルシールド124の一部をハウジングから突出させるという実際的な必要があるため、内側ケーブルシールド124は実質的に受け口部品104のハウジングの内部に位置してよい。内側ケーブルシールド124が本来ハウジングの内部に位置しているので、ジャック100は効果的に色分けすることができる。
【0030】
図28〜
図30、
図32及び
図33を参照すると、ケーブル終端部品102の後端部に設けられたケーブルラチェットアセンブリは、第1のピボットクランプ136A及び第2のピボットクランプ136Bを含む。第1のピボットクランプ136A及び第2のピボットクランプ136Bはそれぞれ、ケーブル200をケーブル終端部品104に挿入する位置でケーブル200にかかる応力を開放するために、選択的に枢動してケーブル200に当接してもよい。識別を容易にするために、ケーブル終端部品102はラベル138を含んでもよい。
【0031】
図31を参照すると、IDC130をオフセット配置することにより、隣接するIDCハウジング132とジャック100とが対向する面積が最小になるので、あるジャック100のIDC130と隣接するジャック100のIDC130との隔離を効果的に拡大して、信号伝送性能を向上させる。
【0032】
上記の本発明の好適な実施形態の説明を参照すると、これらの好適な実施形態に多くの変更例がなされ得ることが明白であろう。このような変更例はすべて、本発明の真の精神および範囲内に入る添付の特許請求の範囲において具体化されることを理解されたい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明を活用可能な方法と、本発明を作製および使用可能な方法は、上記から、特に電気コネクタにおける電気信号による干渉とリターンロスとの低減に関する内容から明らかであろう。