(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の目的により、式(II):
{式中、R
aは、1つ以上の親水基で任意選択により置換された有機基であり;−(H)
n−基は、任意の機構により生成した少なくとも1つの重合体鎖を表し;Zは、任意選択により置換されたアルコキシ、任意選択により置換されたアリールオキシ、任意選択により置換されたヘテロシクリル、任意選択により置換されたアルキルチオ、任意選択により置換されたアリールアルキルチオ、ジアルコキシホスフィニルまたはジアリールオキシホスフィニル[−P(=O)(OR
4)
2]、ジアルキルホスフィニルまたはジアリールホスフィニル[−P(=O)R
42](式中、R
4は、任意選択により置換されたC
1〜C
18アルキル、任意選択により置換されたC
2〜C
18アルケニル、任意選択により置換されたアリール、任意選択により置換されたヘテロシクリル、任意選択により置換されたアラルキル、任意選択により置換されたアルカリル、任意選択により置換されたアシルアミノ、任意選択により置換されたアシルイミノ、任意選択により置換されたアミノ、任意の機構により生成した重合体鎖からなる群から選択される)からなる群から選択され;Zは、さらに、任意選択により置換されたアルキル、好ましくは任意選択により置換されたC
1〜C
20アルキル、任意選択により置換されたアリール、および任意選択により置換されたアリールアルキルからなる群から選択されてもよい}のRAFT剤の制御下で、塩化ビニリデンと、任意選択により塩化ビニリデンと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体とを重合して塩化ビニリデン重合体を生成する工程を含む塩化ビニリデン重合体の製造方法を提供する。R
4基およびZ基の任意選択による置換基としては、エポキシ、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、カルボキシ(およびその塩)、スルホン酸(およびその塩)、アルコキシカルボニルまたはアリールオキシカルボニル、イソシアナト、シアノ、シリル、ハロ、およびジアルキルアミノが挙げられる。
【0018】
一般に、Zは、−R
5、−OR
5、−SR
5(式中、R
5は、任意選択により置換されたC
1〜C
20アルキルである)、−NR
5R
6(式中、R
5は定義の通りであり、R
6は、任意選択により置換されたC
1〜C
20およびアルキル任意選択により置換されたアリールから選択される)、および
(式中、eは2〜4の整数である)からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0019】
好ましくは、Zは、−OR
5、−SR
5(式中、R
5は、任意選択により置換されたC
1〜C
20アルキルである)、−NR
5R
6(式中、R
5は定義の通りであり、R
6は、任意選択により置換されたC
1〜C
20およびアルキル任意選択により置換されたアリールから選択される)、および
(式中、eは2〜4の整数である)からなる群から選択される。
【0020】
より好ましくは、Zは、−SR
5(式中、R
5は、任意選択により置換されたC
1〜C
20アルキルである)、−NR
5R
6(式中、R
5は定義の通りであり、R
6は、任意選択により置換されたC
1〜C
20およびアルキル任意選択により置換されたアリールから選択される)、および
(式中、eは2〜4の整数である)からなる群から選択される。
【0021】
さらにより好ましくは、Zは、−SCH
2(C
6H
5)、−S(CH
2)
uCO
2H(式中、uは2〜11の整数である)、−OC
zH
2z+1、−SC
zH
2z+1(式中、zは、上記定義の通り1〜12の整数であり、好ましくは2〜12の整数であり、例えば、2、3、4、6、8、10、12であるが、これらに限定されるものではない)、−SCH
2CH
2OH、−OCH
2CF
3、−N(C
6H
5)(CH
3)からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
式(II)では、R
aは、C
1〜C
6アルキル、C
1〜C
6アルコキシ、アリールまたはヘテロアリールから選択されてもよく、これらはそれぞれ、−CO
2H、−CO
2R、−CN、−SO
3H、−OSO
3H、−SOR、−SO
2R、−OP(OH)
2、−P(OH)
2、−PO(OH)
2、−OH、−OR、−(OCH
2−CHR
0)
w−OH、−(OCH
2−CHR
0)
w−OR、−CONH
2、CONHR
1、CONR
1R
2、−NR
1R
2、−NR
1R
2R
3[式中、RはC
1〜C
6アルキルから選択され、R
0は水素またはRから選択され、wは1〜10の整数であり、R
1、R
2およびR
3は、−CO
2H、−SO
3H、−OSO
3H、−OH、−(OCH
2CHR
0)
w−OH、−CONH
2、−SORおよびSO
2R、ならびにこれらの塩(式中、R、R
0およびwは上記定義の通りである)から選択される1つ以上の親水性置換基で任意選択により置換されているC
1〜C
6アルキルおよびアリールから独立して選択される]から選択される1つ以上の親水基で置換されていてもよい。
【0023】
好ましくはR
aは:−CH(CH
3)CO
2H、−CH(CO
2H)CH
2CO
2H、−C(CH
3)
2CO
2H、−CH
2(C
6H
5)、−C(CN)(CH
3)CO
2H、−C(CN)(CH
3)CH
2CH
2CO
2Hからなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0024】
本明細書で使用する場合、「アリール」および「ヘテロアリール」という用語は、それぞれ1つ以上の芳香環または複素芳香環を含みまたはそれからなり、環原子を介して結合している任意の置換基を指す。環は、単環系であってもまたは多環系であってもよいが、5員または6員の単環または二環が好ましい。「アルキル」という用語は、単独で使用されるか、または「アルケニルオキシアルキル」、「アルキルチオ」、「アルキルアミノ」、および「ジアルキルアミノ」のように組み合わせて使用され、直鎖、分岐鎖または環状のアルキル、好ましくはC
1〜C
20アルキルまたはシクロアルキルを示す。「アルコキシ」という用語は、直鎖または分岐鎖のアルコキシ、好ましくはC
1〜C
20アルコキシを示す。アルコキシの例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシおよび様々なブトキシ異性体が挙げられる。「アルケニル」という用語は、エチレン性一不飽和、二不飽和または多不飽和の、前記で定義されたアルキル基またはシクロアルキル基、好ましくはC
2〜C
20アルケニルを含む直鎖、分岐鎖または環状のアルケンから形成される基を示す。「アシル」という用語は、単独であるか、または「アシルオキシ」、「アシルチオ」、「アシルアミノ」または「ジアシルアミノ」のような組み合わせた形態であり、カルバモイル、脂肪族アシル基、および芳香族アシルと称される芳香環を含有するアシル基、または複素環式アシルと称される複素環を含有するアシル基、好ましくはC
1〜C
20アシルを示す。
【0025】
本方法の第1の態様では、式(II)中の各−(H)−は、独立してエチレン性不飽和単量体の重合残基であり、nは、2〜300、好ましくは2〜250、さらには3〜200、より好ましくは3〜150、さらにより好ましくは3〜120の整数である。
【0026】
式(II)(式中、nは、5〜150、好ましくは10〜120の整数である)のRAFT剤が、本発明の方法に有利であることが判明した。
【0027】
この第1の態様による式(II)のRAFT剤は、式(I)
(式中、R
aおよびZは、式(II)で定義した通りである)
のRAFT剤の存在下、当該技術分野で既知の標準的な重合条件下で、少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体(h)前駆体の−(H)−への制御重合反応を行うことにより製造することができる。
【0028】
フリーラジカル重合法により重合することができる任意のエチレン性不飽和単量体(h)を−(H)−の前駆体として使用してもよい。
【0029】
本発明の好ましい態様では、−(H)
n−基は親水性である。従って、前記好ましい態様では、−(H)
n−基は、親水性を有する少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体(h1)に由来する繰り返し単位を含む。任意選択により、疎水性を有する1種以上のエチレン性不飽和単量体(h2)に由来する繰り返し単位は、−(H)
n−基中に存在してもよいが、但し、−(H)
n−基の全体的な親水性が維持されるものとする。
【0030】
「親水性」および「疎水性」という用語は、本明細書全体を通して、それらの一般的に認識されている意味で、即ち、「水と相互作用するまたは水に溶解する傾向を備える」(親水性)または「水に溶解できない」(疎水性)化合物および/または化合物の官能性部分を指すために使用される。
【0031】
親水性を有する任意のエチレン性不飽和単量体(h1)、即ち、親水性を付与するカチオン性官能基、アニオン性官能基または非イオン性官能基を含む任意のエチレン性不飽和単量体を使用して、−(H)
n−基を得ることができる。
【0032】
典型的には、エチレン性不飽和単量体(h1)は、少なくとも1つのカルボン酸官能基、スルホン酸官能基、硫酸官能基、ホスホン酸官能基、リン酸官能基、その塩、またはこれらの前駆体を含むものの中から選択される。
【0033】
少なくとも1つのカルボン酸官能基またはその前駆体を含む単量体(h1)の中で、例えば、α−β−エチレン性不飽和カルボン酸およびそれに対応する酸無水物、例えば、アクリル酸、無水アクリル酸、メタクリル酸、無水メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、N−メタクリロイルアラニン、N−アクリロイルグリシン、p−カルボキシスチレン、およびそれらの水溶性塩を挙げることができる。重合後の加水分解によりカルボン酸官能基、またはその塩を生成する、アクリル酸tert−ブチルまたはメタクリル酸tert−ブチルなどのカルボン酸官能基の単量体前駆体を選択してもよい。少なくとも1つのカルボン酸官能基を含む単量体(h1)の中で、アクリル酸またはメタクリル酸が有利となり得る。
【0034】
少なくとも1つの硫酸官能基もしくはスルホン酸官能基、またはその前駆体を含む単量体(h1)の中で、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−[N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−N,N−ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3−[N,N−ジメチルビニルベンジルアンモニオ)プロパンスルホン酸、3−[2−(N−メタクリルアミド)−エチルジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸、3−(メタクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、3−(アクリロイルオキシ)プロパンスルホン酸、2−(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2−(アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸、2−メチレンコハク酸ビス(3−スルホプロピル)エステル、3−[N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N,N−ジメチル]アンモニオプロパンスルホン酸、−(2−ビニルピリジニオ)プロパンスルホン酸およびそれらの対応する塩およびサルフェート類似体を挙げることができる。スルホン酸官能基の前駆体を含む単量体は、例えば、重合後の加水分解によりスルホン酸官能基、またはその塩を生成するp−スチレンスルホン酸n−ブチル、p−スチレンスルホン酸ネオペンチルから選択してもよい。
【0035】
ホスホン酸またはホスホン酸前駆体を含む単量体(h1)の特筆すべき例としては、例えば、N−メタクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、特に、n−プロピルエステル、メチルエステル、エチルエステル、n−ブチルエステルまたはイソプロピルエステル、およびそれらのホスホン一酸および二酸誘導体、例えば、N−メタクリルアミドメチルホスホン二酸;N−メタクリルアミドエチルホスホン酸エステル誘導体、例えば、N−メタクリルアミドエチルホスホン酸ジメチルエステルまたはN−メタクリルアミドエチルホスホン酸ジ(2−ブチル−3,3−ジメチル)エステル、およびそれらのホスホン一酸および二酸誘導体、例えば、N−メタクリルアミドエチルホスホン二酸;N−アクリルアミドメチルホスホン酸エステル誘導体、例えば、N−アクリルアミドメチルホスホン酸ジメチルエステル、N−アクリルアミドメチルホスホン酸ジエチルエステルまたはビス(2−クロロプロピル)N−アクリルアミドメチルホスホネート、およびそれらのホスホン一酸および二酸誘導体、例えば、N−アクリルアミドメチルホスホン酸;ビニルベンジルホスホネートジアルキルエステル誘導体、特に、ジ(n−プロピル)、ジ(イソプロピル)、ジエチル、ジメチル、ジ(2−ブチル−3,3’−ジメチル)およびジ(t−ブチル)エステル誘導体、およびそれらのホスホン一酸および二酸代替形態、例えば、ビニルベンジルホスホン二酸;ジエチル2−(4−ビニルフェニル)エタンホスホネート;ジアルキルホスホノアルキルアクリレートおよびメタクリレート誘導体、例えば、2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステルおよび2−(メチルアクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジメチルエステル、2−(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジエチルエステル、2−(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジメチルエステル、2−(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸ジメチルエステル、2−アクリロイルオキシ)メチルホスホン酸ジイソプロピルエステルまたは2−(アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸ジエチルエステル、およびそれらのホスホン一酸および二酸代替形態、例えば、2−(メタクリロイルオキシ)エチルホスホン酸、2−(メタクリロイルオキシ)メチルホスホン酸、2−(メタクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸、2−(アクリロイルオキシ)プロピルホスホン酸および2−アクリロイルオキシ)エチルホスホン酸;シアノ基、フェニル基、エステル基もしくは酢酸基で任意選択により置換されたビニルホスホン酸、塩もしくはそのイソプロピルエステルの形態のビニリデンホスホン酸、またはビス(2−クロロエチル)ビニルホスホネートがある。
【0036】
エチレン性不飽和単量体(h1)は、前述のホスホネート含有単量体のホスフェート類似体から選択することもできる。具体的なホスフェート含有単量体として、リン酸2−(メタクリロイルオキシ)エチル、リン酸2−(アクリロイルオキシ)エチル、リン酸2−(メタクリロイルオキシ)プロピル、リン酸2−(アクリロイルオキシ)プロピル、およびポリエチレングリコールオメガリン酸エステルのアクリレートもしくはメタクリレート、またはポリプロピレングリコールオメガリン酸エステルのアクリレートもしくはメタクリレートを挙げることができる。
【0037】
親水性を有する非イオン性エチレン性不飽和単量体(h1)の中で、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドンを挙げることができる。
【0038】
カチオン性官能基を含む親水性を有するエチレン性不飽和単量体(h1)の中で、ジメチルアミノエチルメタクリレートおよびその四級アンモニウム塩、ビニルベンジルクロライドおよびその四級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0039】
親水性を有する好ましいエチレン性不飽和単量体(h1)は、アニオン性官能基またはその前駆体を有するものの中から選択される。
【0040】
有利には、親水性を有するエチレン性不飽和単量体(h1)は、アクリル酸またはメタクリル酸、ビニルホスホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、および2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、それらの塩またはそれらの前駆体からなる群から選択されるが、これらに限定されるものではない。親水性を有する特に好ましいエチレン性不飽和単量体(h1)は、アクリル酸およびメタクリル酸の中から選択される。
【0041】
典型的には、親水性を有する好ましいエチレン性不飽和単量体(h1)は、それらの含有する官能基に対応する酸の酸解離定数pKaが6未満、好ましくは5未満、さらにより好ましくは4未満であることを特徴とする。
【0042】
親水性を有するエチレン性不飽和単量体(h1)と共重合され得る、疎水性を有するエチレン性不飽和単量体(h2)としては、例えば、スチレンおよびスチレン誘導体、例えば、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンまたはp−(t−ブチル)スチレン;アクリル酸またはメタクリル酸のエステル、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸t−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル;C
3〜C
12ビニルニトリル類、例えば、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル;カルボン酸のビニルエステル、例えば、酢酸、プロピオン酸、ステアリン酸のビニルまたはアリルエステル;ハロゲン化ビニル、ハロゲン化ビニリデンまたはハロゲン化ビニル芳香族化合物、例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデンまたはペンタフルオロスチレン;α−オレフィン、例えば、エチレン;共役ジエン単量体、例えば、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン;およびポリジメチルシロキサン鎖(PDMS)を生成することができる単量体からなる群から選択されるものがある。
【0043】
本発明の方法に有用であることが判明した式(II)のRAFT剤の具体例としては、例えば:ポリ(アクリル酸)
p−RAFT剤(式中、5≦p≦150、好ましくは10≦p≦120である)およびポリ(メタクリル酸)
q−RAFT剤(式中、5≦q≦130、好ましくは5≦q≦100である)がある。
【0044】
本発明の方法の第2の態様では、式(II)中の−(H)
n−基は、任意選択により置換されたポリアルキレンオキサイド鎖である。特に、式(II)中の各−(H)−は、エチレンオキサイド残基および/またはプロピレンオキサイド残基−(CHR
7CH
2O)−(式中、R
7は、水素または−CH
3である)であり、nは、2〜200、好ましくは2〜180、より好ましくは10〜160、さらにより好ましくは20〜140の整数である。好ましくは式(II)中の各−(H)−は、エチレンオキサイド残基である。より好ましくは、式(II)中の各−(H)−はエチレンオキサイド残基であり、R
aは−(OCH
2−CHR
0)
w−OHおよび−(OCH
2−CHR
0)
w−OR(式中、R、R
0およびwは、上記定義の通りである)から選択される。
【0045】
本発明の方法に有用であることが判明した、この第2の実施形態による式(II)のRAFT剤の具体例としては、例えば、ポリ(CH
2CH
2O)
r−RAFT剤(式中、5≦r≦200であり、好ましくは10≦r≦140である)がある。
【0046】
この実施形態の特に好ましい態様では、式(II)中の各−(H)−はエチレンオキサイド残基であり、R
aは−(OCH
2−CHR
0)
w−OHおよび−(OCH
2−CHR
0)
w−ORから選択され、−(H)
n−基はエステル結合、好ましくは−S−C(CH
3)
2C(O)−基を介して式(II)中のイオウ原子に結合している。
【0047】
この第2の実施形態によるRAFT開始剤は、国際公開第2009/147338号パンフレット(UNIVERSITE PIERRE ET MARIE CURIE PARIS VI)2009年12月10日に開示された。
【0048】
本発明の一態様では、式(I)または式(II)のRAFT剤中のZ基は、任意の機構により生成した重合体鎖であってもよい。このような重合体鎖は、式(II)のRAFT剤中の−(H)
n−基と同じであってもまたは異なってもよい。
【0049】
式(II)のRAFT剤を塩化ビニリデンの重合に使用する場合、少なくとも1つのブロック−(H)
n−と、塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのブロックとを含むRAFT剤を得ることができる。
【0050】
同様に、式(II)のRAFT剤を本発明の方法における塩化ビニリデンの重合に使用する場合、少なくとも1つのブロック−(H)
n−と、塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのブロックとを含むブロック共重合体を得ることができ、これは−SC(S)Z官能基を含有しない。
【0051】
RAFT剤は、塩化ビニリデン重合体中のブロック−(H)
n−および塩化ビニリデンブロックのそれぞれの長さの制御および調整を可能にする。
【0052】
さらに、RAFT剤の制御下で行われる重合のリビング性のため、−(H)
n−または塩化ビニリデンの各タイプのブロックを2つ以上有する塩化ビニリデン重合体および/またはRAFT剤の製造が可能になる。さらに、どのタイプでも各ブロックは、同じタイプの他のどのブロックとも異なる組成および/またはブロック長を有し得る。
【0053】
好ましくは、−(H)
n−ブロックは親水性である。
【0054】
重合プロセスは、典型的には、液体媒体中で行われる。
【0055】
塩化ビニリデン単量体、および塩化ビニリデンと共重合可能な任意選択による単量体は、液体媒体中に別々の液相として存在してもよく、それらは液体媒体中に完全に可溶であってもよく、または液体媒体はそれ自体、単量体から本質的になってもよい。
【0056】
本方法は、実際、塩化ビニリデンと、塩化ビニリデンと共重合可能ないずれかの任意選択によるエチレン性不飽和単量体とを本質的に含む液体媒体中で行うことができる。
【0057】
あるいは、本方法は、塩化ビニリデンおよび任意選択によるエチレン性不飽和単量体とは異なる液体媒体の存在下で行うことができる。
【0058】
液体媒体は、有機溶媒であってもよい。典型的には、有機溶媒は、塩化ビニリデン(および任意選択によりそれと共重合可能な任意の単量体)が可溶な溶媒の中から選択される。好適な有機溶媒の特筆すべき非限定例としては、ベンゼン、トルエン、酢酸エチル、ジオキサン、テトラヒドロフランがある。
【0059】
あるいは、液体媒体は水であってもよい。
【0060】
本発明の方法の好ましい実施形態では、液体媒体は水であり、本方法は塩化ビニリデン重合体の水性分散液を製造する。
【0061】
有利には、本発明の方法は、水中で、式(II)のRAFT剤の制御下にて、塩化ビニリデンと、任意選択によりそれと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体とを重合する工程を含む。
【0062】
液相が水である場合、本方法は、乳化ラジカル重合法、即ち、水性媒体中で、任意選択により乳化剤および少なくとも部分的に水に可溶なラジカル開始剤の存在下で行われるラジカル重合法であってもよい。
【0063】
あるいは、本方法は、懸濁重合法、即ち、油溶性開始剤を使用し、強力な機械的撹拌および乳化剤または懸濁剤の存在により単量体の液滴のエマルションを形成するラジカル重合法であってもよい。
【0064】
好ましくは、本発明の方法は、水性液体媒体中で行われる乳化ラジカル重合法である。
【0065】
より好ましくは、本発明の方法は、水性液体媒体中で行われ、RAFT剤が、少なくとも1つの親水性−(H)
n−ブロックを含む式(II)のRAFT剤から選択される乳化ラジカル重合法である。
【0066】
水性液体媒体中で行われる乳化ラジカル重合法に有用であることが判明した式(II)のRAFT剤の非限定例としては、例えば、ポリ(アクリル酸)
p−RAFT剤(式中、5≦p≦150、好ましくは10≦p≦140、より好ましくは40≦p≦120である)、およびポリ(メタクリル酸)
q−RAFT剤(式中、5≦q≦130、好ましくは5≦q≦100、より好ましくは20≦q≦100である)がある。
【0067】
さらにより好ましくは、本発明の方法は、水性液体媒体中で行われ、RAFT剤が、少なくとも1つの親水性−(H)
n−ブロックと塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのブロックとを含む式(II)のRAFT剤から選択される乳化ラジカル重合法である。
【0068】
塩化ビニリデンの重合は、通常、フリーラジカル源による開始を必要とする。開始ラジカル源は、好適な化合物(過酸化物、ペルオキシエステル、またはアゾ化合物などの熱開始剤)の熱誘導均等開裂、レドックス開始系、光化学開始系、または電子線、X線もしくはγ線などの高エネルギー放射線などのフリーラジカルを発生させる任意の好適な方法で提供することができる。開始系は、反応条件下で開始剤または開始ラジカルとRAFT剤とのかなりの有害な相互作用が反応条件下で生じないように選択される。
【0069】
当該技術分野で従来既知の分散剤、界面活性剤、pH調整剤などのその他の従来の添加剤を重合プロセス中に液相に添加することができる。
【0070】
典型的には、本方法は、15℃以上、好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上の温度で行われる。典型的には、温度は、有利には、100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。温度は、有利には15℃〜100℃、好ましくは30℃〜80℃である。
【0071】
重合のpHは、1〜7、例えば、この範囲内の任意の値、例えば約1、例えば約2、約3、約4、約5、約6、約7である。pHは、有利には7以下、より有利には6.5以下である。
【0072】
pHは、既知の任意の手段で調節することができる。有利には、pHは、少なくとも1種の塩基を添加することにより調節される。好適な塩基の非限定例としては、ピロリン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウムおよび炭酸カルシウムがある。好ましくは、塩基はピロリン酸四ナトリウムである。
【0073】
本発明の方法は、バッチ法、半連続法または連続法で運転することができる。液体媒体が塩化ビニリデンと任意選択によるエチレン性不飽和単量体とから本質的になる場合、本方法は、好ましくはバッチ法で運転される。他方、液体媒体が塩化ビニリデンと任意選択によるエチレン性不飽和単量体とから本質的にならない場合、本方法はバッチ法、半連続法または連続法で運転することができる。
【0074】
本方法の終わりに、塩化ビニリデン重合体を、RAFT剤に由来する鎖末端基を除去する既知の手順に従って処理することができる。
【0075】
本方法の終わりに、塩化ビニリデン重合体は、液体媒体から固体として単離されてもよく、または、例えば、液体媒体が水である場合、水性分散液として使用されてもよい。この後者の場合、後で分散液を使用する前に残留単量体はストリッピングされる。
【0076】
塩化ビニリデン重合体を液体媒体から単離するための、または塩化ビニリデン重合体分散液を配合するための、従来の技術を使用することができる。
【0077】
本発明の方法により、塩化ビニリデンおよびそれと共重合可能な任意選択によるエチレン性不飽和単量体を式(II)のRAFT剤の制御下で重合して、塩化ビニリデン重合体を生成する。
【0078】
「塩化ビニリデン重合体」という表現は、本明細書では、塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位を少なくとも50重量%含む重合体を示すために使用される。典型的には、塩化ビニリデン重合体中の塩化ビニリデンの量は、50〜99.5重量%、好ましくは60〜98重量%、より好ましくは65〜95重量%である。
【0079】
本発明の本方法に使用できる、塩化ビニリデンと共重合可能な好適なエチレン性不飽和単量体の非限定例としては、例えば、塩化ビニル、ビニルエステル、例えば、酢酸ビニルなど、ビニルエーテル、アクリル酸類、それらのエステルおよびアミド、メタクリル酸類、それらのエステルおよびアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、スチレン誘導体、例えば、スチレンスルホン酸およびその塩、ビニルホスホン酸およびその塩、ブタジエン、オレフィン、例えば、エチレンおよびプロピレンなど、イタコン酸、無水マレイン酸があるが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩の1つ、例えば、ナトリウム塩、2−スルホエチルメタクリル酸(2−SEM)またはその塩の1つ、例えば、ナトリウム塩、およびメタクリレート末端ポリプロピレングリコールのリン酸エステル(Rhodia製の製品であるSIPOMER(登録商標)PAM−200など)またはその塩の1つ、例えば、ナトリウム塩、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)などの共重合性乳化剤もある。
【0080】
好ましくは、本発明の方法に使用される、塩化ビニリデンと共重合可能なエチレン性不飽和単量体は、塩化ビニル、無水マレイン酸、イタコン酸、スチレン、スチレン誘導体、および一般式(III):
CH
2=CR
1R
2(III)
{式中、R
1は、水素および−CH
3から選択され、R
2は、−CNおよび−COR
3[式中、R
3は、OH、−OR
4(式中、R
4は、任意選択により1個以上のOH基を有するC
1〜C
18直鎖または分岐鎖のアルキル基、C
2〜C
10エポキシアルキル基およびC
2〜C
10アルコキシアルキル基である)から選択され、R
3はまた、−NR
5R
6基(式中、R
5およびR
6は同じであっても異なってもよく、水素、および任意選択により1つ以上のOH基を有するC
1〜C
10アルキル基から選択される)]から選択されるから選択される}
に対応するアクリル系またはメタクリル系単量体、前述の共重合性界面活性剤およびメタクリレート末端ポリプロピレングリコールのリン酸エステルまたはその塩の1つ、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)からなる群から選択される。
【0081】
より好ましくは、本発明の方法に使用される、塩化ビニリデンと共重合可能なエチレン性不飽和単量体は、塩化ビニル、無水マレイン酸、イタコン酸、ならびに、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(アルキル)アクリルアミドからなる群から選択されるアクリル系またはメタクリル系単量体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩の1つ、2−スルホエチルメタクリル酸(2−SEM)またはその塩の1つ、およびメタクリレート末端ポリプロピレングリコールのリン酸エステルまたはその塩の1つ、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)からなる群から選択される。
【0082】
さらにより好ましくは、塩化ビニリデンと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体は、無水マレイン酸、イタコン酸、ならびに、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(アルキル)アクリルアミドからなる群から選択されるアクリル系またはメタクリル系単量体、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)またはその塩の1つ、2−スルホエチルメタクリル酸(2−SEM)またはその塩の1つ、およびメタクリレート末端ポリプロピレングリコールのリン酸エステルまたはその塩の1つ、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)からなる群から選択される。
【0083】
最も好ましくは、塩化ビニリデンと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体は、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジ(アルキル)アクリルアミド、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルアクリレート(PEOA)、ポリ(エチレンオキサイド)メチルエーテルメタクリレート(PEOMA)からなる群から選択される。
【0084】
本発明の第2の目的は、少なくとも1つの親水性ブロック−(H)
n−と少なくとも1つのブロック−(V)
m−とを含むブロック共重合体であり、式中、−(H)−およびnは上記定義の通りであり、各−(V)−は、塩化ビニリデンと、任意選択により塩化ビニリデンと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との重合残基であり;mは、1〜3000、好ましくは2〜2500、より好ましくは5〜2000の整数である。
【0085】
塩化ビニリデンブロック共重合体の定義は、上記で定義された、少なくとも1つの親水性ブロック−(H)
n−と、塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位を含む少なくとも1つのブロックである、ブロック−(V)
m−とを含むRAFT剤を含む。
【0086】
各−(V)
m−ブロックは、塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位を少なくとも50重量%含む。典型的には、−(V)
m−ブロック中の塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位の量は、少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも65重量%である。塩化ビニリデンに由来する繰り返し単位の他に、−(V)
m−ブロックは、任意選択により、塩化ビニリデン重合体に関して上記で定義された、塩化ビニリデンと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体に由来する繰り返し単位を含んでもよい。
【0087】
ブロック共重合体は、2つ以上の親水性ブロック−(H)
n−および/または2つ以上のブロック−(V)
m−を含んでもよい。
【0088】
さらに、ブロック共重合体は、親水性ブロック−(H)
n−および塩化ビニリデンブロック−(V)
m−以外のブロック−(X)
p−を含んでもよい。
【0089】
−(H)
n−、−(V)
m−および−(X)
p−のどのタイプでも各ブロックは、同じタイプの他のどのブロックとも異なる組成および/またはブロック長を有し得る。
【0090】
塩化ビニリデン重合体および式(II)のRAFT剤に関して前記で定義された定義および優先(preferences)は、上記で定義されたビニリデンブロック共重合体にも適用される。
【0091】
本発明の別の目的は、上記で定義された塩化ビニリデンブロック重合体を含む組成物である。
【0092】
一態様では、組成物は、典型的には、上記で定義された塩化ビニリデンブロック重合体と、塩化ビニリデンブロック共重合体とは異なる少なくとも1種の重合体とを含む固体組成物であってもよい。典型的には、組成物中に使用される重合体は、塩化ビニリデン重合体と相溶性のある重合体の中から選択されるが、これらに限定されるものではない。組成物中の重合体は、本発明の塩化ビニリデン重合体とは異なる塩化ビニリデン重合体であってもよい。
【0093】
別の態様では、組成物は、塩化ビニリデンブロック重合体と液相とを含む液体組成物であってもよい。
【0094】
液相は、塩化ビニリデン重合体の製造方法に使用される液体媒体と同じであっても、または異なってもよい。本発明の方法の特に有利な態様では、液相が塩化ビニリデンと、それと共重合可能な任意選択によるエチレン性不飽和単量体とから本質的にならない場合、好都合には本方法を使用して、使用可能な状態の塩化ビニリデン重合体液体分散液を直接製造することができる。あるいは、塩化ビニリデン重合体を好適な液体に分散または懸濁させることにより、液体組成物を製造することができる。
【0095】
本発明の方法は、改善された特性を有する塩化ビニリデンブロック重合体を得ることを可能にする。
【0096】
塩化ビニリデンブロック重合体は、コーティング、即ち、塗料およびワニスの分野に特に有用となり得る。
【0097】
塩化ビニリデンブロック重合体は、様々な組成物の添加剤として、特に、顔料分散剤として、油/水型または水/油型エマルション用の安定剤として、またはポリマーブレンド中の安定剤として有用となり得る。
【0098】
特に有利な用途では、少なくとも1つの親水性ブロックと少なくとも1つの塩化ビニリデンブロックとを含む本発明の塩化ビニリデンブロック重合体を安定剤としておよび任意選択によりRAFT剤として、塩化ビニリデン重合体の製造に使用される塩化ビニリデンを含む水性エマルションに使用することができる。
【0099】
従って、本発明の目的は、塩化ビニリデンと任意選択により塩化ビニリデンと共重合可能な少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との乳化重合法における、少なくとも1つの親水性ブロック−(H)
n−と少なくとも1ブロックの塩化ビニリデンブロック−(V)
m−とを含む塩化ビニリデンブロック共重合体の使用である。さらに乳化剤を必要とし得ないように、ビニリデンブロック共重合体は安定剤として機能し得る。
【0100】
本発明の別の目的は、フィルムを製造するための本発明の塩化ビニリデンブロック重合体の使用、および上記で定義された塩化ビニリデンブロック重合体を含むフィルムである。
【0101】
一実施形態では、フィルムは、塩化ビニリデンブロック重合体を含む固体重合体組成物の押出成形により製造することができる。あるいは、フィルムは、塩化ビニリデンブロック重合体を含む溶融組成物から、または塩化ビニリデンブロック重合体の(水中または適切な溶媒中の)分散液から従来のコーティング法により製造することができる。
【0102】
ここで以下の実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、その目的は単なる例示に過ぎず、本発明の範囲の限定を意図するものではない。参照により本明細書に援用される任意の特許、特許出願、および出版物の開示が、用語を不明瞭にし得る程度まで本願の明細書と矛盾する場合、本明細書が優先するものとする。
【実施例】
【0103】
材料
実施例では次の材料を使用した:
V70:2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)
ACPA:4,4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸(純度>98%、Sigma−Aldrich)
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル(純度>98%、Fluka)
TTCA:2−(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)−2−メチルプロパン酸、LAI,J.T.,et al...Macromolecules.2002,vol.35, p.6754−6756に記載のように製造
CBP:4−シアノ−4−(ブチルスルファニルカルボニル)スルファニルペンタン酸、BOUHADIR,N,et al...Tetrahedron Letters.1999,vol.40,p.277.およびTHANG,S.H.,et al..Tetrahedron Letters.1999,vol.40,p.2435に記載のように製造
GC1:2−(ブチルスルファニルカルボノチオイル)スルファニルプロパン酸、PAEK,K.,et al.,.Chemical Communications..2011,vol.37,p.10272に記載のように製造
AA:アクリル酸(純度>99%、Aldrich)
MA:アクリル酸メチル(純度>99%、Aldrich)、減圧蒸留
VDC:塩化ビニリデン(純度99.5%(GC)、Fluka)、25重量%NaOH水溶液で洗浄
ジオキサン(GPR Rectapur,VWR)
トルエン(GPR Rectapur,VWR)
テトラヒドロフラン(THF)(Normapur,VWR)
メタノール(GPR Rectapur,VWR)
ジエチルエーテル(Acros Organics)
【0104】
キャラクタリゼーション
単量体転化率:重量分析により測定
【0105】
重合体の分子量および分子量分布(M
w/M
n)は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)で測定した。後者は、2本のカラムPL Gel Mixed C columns(5μm)を使用して、40℃で行った。THFを溶離液として1mL×min
−1の流速で使用した。検出は、LCD Analytical refracto−Monitor IV示差屈折率検出器で行った。平均分子量は、ポリスチレン標準物質に基づく検量線から算出した。
【0106】
希釈された水性重合体分散液の平均粒径(D
z)および多分散性は、Malvern製のZetasizer Nano S90装置(角度90°、5mW He−Neレーザー、633nm)を使用して、25℃での動的光散乱(DLS)により測定した。
【0107】
実施例1〜2:溶液中でのポリ(VDC−co−MA)共重合体の製造
TTCA0.1428g(0.392mmol)を25mLの丸底フラスコ中でトルエン8.49gに溶解した。次いで、V70、0.0178g(0.057mmol)を添加し、得られた混合物を0℃で20分間窒素パージした。VDC7.1567g(73.8mmol)およびMA0.7648g(8.88mmol)を、セプタムを通して反応混合物に注入した。密封した丸底フラスコを、サーモスタットで30℃に調節した油浴に浸漬した。
【0108】
反応媒体中、MAは、単量体の全モル量に対して11mol%であった。
【0109】
実施例2は、実施例1の手順に従って行ったが、TTCAの代わりにCBPを使用し、トルエンの代わりにジオキサンを使用した。
【0110】
操作条件を表1に要約する。
【0111】
重量分析により全単量体の転化度、およびSECにより算出される重合体の実験的数平均分子量M
n,expの変化(evolution)も監視するために、試料を一定間隔で採取した。
【0112】
44時間後、実施例1における単量体転化率は36.0重量%であった。実施例2では、54時間反応した後、単量体転化率は36.9重量%であった。
【0113】
冷メタノール中で沈殿させた後、重合体を回収した。
【0114】
【0115】
実施例3:66℃、加圧下における溶液中のポリ(VDC−co−MA)
TTCA0.95g(25.9mmol)およびAIBN0.0641g(3.89mmol)をトルエン50.37gに溶解した。この混合物を反応器に導入し、室温で20分間アルゴンパージした。0℃で20分間窒素パージした後、VDC37mL(0.46mol)およびMA5.20mL(0.06mol)を注入バルブを介して反応器に導入した。
【0116】
この注入後、オートクレーブをアルゴン5バールに加圧し、反応混合物を66℃で加熱し、300rpmで撹拌した。
【0117】
重量分析により単量体の転化度、および重合体のM
n,expの変化を監視するために、試料を一定間隔で採取した。
【0118】
48時間後、単量体転化率は57.5重量%になった。冷メタノール中で沈殿させた後、重合体を回収した。M
w/M
n=1.65、M
n,exp=7500g.mol
−1。
【0119】
実施例4〜5:塊状でのポリ(VDC−co−MA)共重合体の製造
TTCA0.160g(0.44mmol)およびV70、0.020g(0.06mmol)を密封したフラスコ中でVDC7.1567gとMA0.8030gとの混合物に溶解した。密封したフラスコに注入する前に、単量体を0℃で20分間窒素パージした。密封したフラスコをサーモスタットで30℃に調節した油浴に浸漬した。
【0120】
実施例4および5では、MAは、単量体の全モル量に対してそれぞれ11%および22%であった。
【0121】
冷メタノール中で沈殿させた後、各重合体を回収した。重合条件および重合体の特性を表2に報告する。
【0122】
【0123】
実施例6:ブロック共重合体PEO−b−ポリ(VDC−co−MA)の製造:PEO−TTCの存在下でのVDC/MAの溶液重合
国際公開第2009/147338号パンフレット(UNIVERSITE PIERRE ET MARIE CURIE PARIS VI)2009年12月10日に開示されている手順に従って製造した、(M
n,exp=8600g.mol
−1)を有するCH
3O−(CH
2CH
2O)
143−C(O)−C(CH
3)
2−S−C(S)−SC
12H
25(PEO1−TTC)、1.1559g(17.3mmol)を25mLの丸底フラスコ中でトルエン4.02gに溶解した。V70、0.0082g(0.0266mmol)を添加し、得られた混合物を0℃で20分間窒素パージした。0℃で20分間窒素パージした後、VDC3.1538g(32.5mmol)およびMA0.3537g(4.11mmol)を、セプタムを通して反応混合物に注入した。密封した丸底フラスコを、サーモスタットで30℃に調節した油浴に浸漬した。
【0124】
重量分析により単量体の転化度、および重合体のM
n,expの変化を監視するために、試料を一定間隔で採取した。
【0125】
44時間後、単量体転化率は50重量%であった。冷メタノール中で沈殿させた後、重合体を回収した。重合プロセス中に採取した粗試料の重合体特性を表3に報告する。
【0126】
【0127】
実施例7〜9:ブロック共重合体PEO−b−ポリ(VDC−co−MA)の製造:70℃、加圧下、PEO−TTCの存在下でのVDC/MAの乳化重合
CH
3O−(CH
2CH
2O)
143−C(O)−C(CH
3)
2−S−C(S)−SC
12H
25(PEO1−TTC)(M
n,exp=8600g.mol
−1)、0.5600g(0.07mmol)、TSPP0.1921g(0.72mmol)およびNa
2S
2O
50.0221g(0.12mmol)を水80gに溶解した。この混合物を反応器に導入し、16℃で20分間アルゴンパージした。次いで、0℃で20分間窒素パージした後、VDC6.4mL(0.08mol)、MA1.8mL(0.02mol)およびAPSの水溶液([APS]=0.28mol.L
aq−1)5mLを、注入バルブを介して反応器に導入した。
【0128】
注入後、オートクレーブをアルゴンで1バールに加圧し、反応混合物を70℃に加熱し、400rpmで撹拌した。
【0129】
重量分析により全単量体の転化度、およびSEC分析から算出される重合体のM
n,expの変化も監視するために、試料を一定間隔で試料液バルブにより採取した。
【0130】
5.3時間後、実施例7の全単量体転化率は90.5重量%であった。
【0131】
実施例7と同じ手順に従って実施例8および9を行ったが、PEO1−TTCの代わりにPEO2−TTCを使用した(M
n,exp=3200g.mol
−1;n=44)。
【0132】
操作条件および得られた重合体の特性を表4に要約する。
【0133】
【0134】
異なるモル質量のPEO−TTCで安定なラテックスが得られた。しかし、成長するVDC/MA重合体鎖の安定化では、PEO2−TTCの方がPEO1−TTCより効率が高いように見受けられるが、その理由は、後者では凝集物の量が比較的多いからである。凝集物は、重合中に生成する不溶性固体である。凝集物のパーセンテージは、反応器に最初に導入されたRAFT剤と単量体との重量の合計を基準にした凝集物の重量比を表す。
【0135】
実施例9では、混合物の粘度が増加した、そして8時間および転化率34重量%で反応を停止させる。
【0136】
実施例10:ブロック共重合体PAA−b−ポリ(VDC−co−MA)の製造:PAA−TTCの存在下でのVDC/MAの溶液重合
TTCAからジオキサン溶液中で製造し、ジエチルエーテル中で回収したHO
2C−C(CH
3)
2−(CH
2−CH(CO
2H))
n−S−C(S)−SC
12H
25(PAA1−TTC)(M
n,exp=2400g.mol
−1;n=29)0.7777g(0.29mmol)を、10mLの丸底フラスコ中でジオキサン3.2192gに溶解した。V70、0.0153g(0.05mmol)を添加し、得られた混合物を10℃で20分間窒素パージした。0℃で20分間窒素パージした後、VDC0.9122g(9.41mmol)およびMA0.4518g(5.25mmol)を、セプタムを通して反応混合物に注入した。密封した丸底フラスコを、サーモスタットで30℃に調節した油浴に浸漬した。
【0137】
重量分析により単量体の転化度、および重合体のM
n,expの変化を監視するために、試料を一定間隔で採取した。
【0138】
16.4時間後、単量体転化率は84重量%であった。冷ジエチルエーテル中で沈殿させた後、重合体を回収した。M
w/M
n=1.27、M
n,exp=5300g.mol
−1。
【0139】
実施例11:ワンポットでのブロック共重合体PAA−b−ポリ(VDC−co−AA)の製造
TTCA0.0896g(0.246mmol)を25mLの丸底フラスコ中でジオキサン16.96gに溶解した。V70、0.0077g(0.025mmol)を、15℃で20分間窒素でスパージした反応混合物に添加した。20分間窒素パージした後、AA3.0781g(42.29mmol)を、セプタムを通して反応混合物に注入した。密封した丸底フラスコを、サーモスタットで30℃に調節した油浴に浸漬した。
【0140】
重量分析により単量体の転化度、および重合体のM
n,expの変化を監視するために、試料を一定間隔で採取した。
【0141】
2.8時間後、AA転化率は66重量%になり、RAFT剤PAA2−TTCをin−situで得た(M
w/M
n=1.16、M
n,exp=7300g.mol
−1、n=114)。次いで、窒素パージしたVDC2.9112g(30.03mmol)を、セプタムを通して注入した。
【0142】
26.8時間後、全単量体転化率(AAおよびVDC)は30.5重量%であった。ジエチルエーテル中で沈殿させた後、重合体を回収した。M
w/M
n=1.27、M
n,exp=13800g.mol
−1。
【0143】
実施例12:溶液中でのブロック共重合体ポリ(VDC−co−MA)−b−ポリ(AA)の製造
実施例1で得られたポリ(VDC−co−MA)−TTC(Mn=4600g.mol
−1)1.0034g(6.436mmol)を100mLの丸底フラスコ中でジオキサン30.07gに溶解した。次に、ACPA0.0102g(0.036mmol)およびAA5.0530g(2.069mol)を反応混合物に添加した。得られた混合物を15℃で20分間窒素パージした後、密封した丸底フラスコを、サーモスタットで70℃に調節した油浴に浸漬した。
【0144】
重量分析により単量体の転化度、および重合体のM
n,expの変化を監視するために、試料を一定間隔で採取した。
【0145】
85分後、単量体転化率は60.5重量%であった。冷ジエチルエーテル中で沈殿させた後、重合体を回収した。M
w/M
n=1.45、M
n,exp=14800g.mol
−1。
【0146】
実施例13〜16:ブロック共重合体PAA−b−ポリ(VDC−co−MA)の製造:70℃、加圧下、PAA−TTCの存在下における固形分25%でのVDC/MAの乳化重合
HO
2C−C(CH
3)
2−(CH
2−CH(CO
2H))
n−S−C(S)−SC
12H
25(PAA3−TTC)(M
n,exp=5000g.mol
−1;n=65)、0.6504g(0.12mmol)、TSPP0.6983g(2.63mmol)、およびACPA0.0916g(0.3mmol)を、水85gに溶解した。この混合物を反応器に導入し、16℃で20分間アルゴンパージした。次いで、0℃で20分間窒素パージした後、VDC19.5mL(0.24mol)およびMA5.5mL(0.06mol)を、注入バルブを介して反応器に導入した。注入後、オートクレーブをアルゴンで1バールに加圧し、反応混合物を70℃に加熱し、400rpmで撹拌した。
【0147】
重量分析により全単量体の転化度、およびSEC分析から算出される重合体のM
n,expの変化も監視するために、試料を一定間隔で試料液バルブにより採取した。実施例13と同じ手順に従って実施例14および15を行ったが、PAA3−TTCの代わりにPAA4−TTCを使用した(M
n,exp=2100g.mol
−1;n=31)。実施例16ではRAFT剤または界面活性剤を反応混合物に添加しなかった。操作条件および得られた重合体の特性を表5に要約する。
【0148】
【0149】
ラテックスの安定性は、m
マクロRAFT剤/m
単量体比に関して、PAA4−TTCを用いた場合0.3%の低さで得られる。さらに、実施例13から、比較的高いモル質量のPAA−TTCを用いて界面活性剤非含有ラテックスを得ることが可能であることが分かる。実施例16では、PAA−TTCの存在下で行う場合より転化率が低くなり、ラテックスが急速に沈降した。RAFT剤を用いなかった場合、安定性が達成されなかった。
【0150】
実施例17〜19:ブロック共重合体PAA−b−ポリ(VDC−co−MA)の製造:70℃、加圧下、PAA−TTCの存在下における固形分40%でのVDC/MAの乳化重合
実施例13と同じ手順に従って実施例17〜19を行ったが、PAA3−TTCの代わりに、実施例17ではPAA4−TTCを、実施例18および19ではPAA1−TTCをそれぞれ使用した。操作条件および得られた重合体の特性をに要約する。実施例18で得られたラテックスは、実施例17のものより白い。同じ固形分では、MAのmol%が減少すると、0.75%という比較的高いm
RAFT剤,0/m
単量体,0比で安定性が達成され、比較的多量の凝集物が得られる。操作条件および得られた重合体の特性を表6に要約する。
【0151】
【0152】
実施例20〜21:70℃、加圧下、PSSNa−GC1の存在下における固形分40%でのVDC/MAの乳化重合
実施例13と同じ手順に従って実施例20および21を行ったが、PAA3−TTCの代わりに、GC1から水中で製造し、THF中で回収したHO
2C−C(CH
3)−(CH
2−C(C
6H
6(SO
3−,Na
+)))
n−S−C(S)−S−C
4H
9(PSSNa−GC1)を使用した(M
n,th=2100g.mol
−1;n=5)。
【0153】
操作条件および得られた重合体の特性を表7に要約する。
【0154】
【0155】
実施例22:ブロック共重合体PAA−b−ポリ(VDC−co−MA)−b−ポリ(VDC−co−MA)の製造:70℃、加圧下、PAA−b−ポリ(VDC−co−MA)−TTCの存在下における固形分40%でのVDC/MAの乳化重合
実施例13と同じ手順に従って実施例23を行ったが、PAA3−TTCの代わりに、実施例10で得られたPAA−b−ポリ(VDC−co−MA)−TTC(M
n,exp=5300g.mol
−1)を使用した。操作条件および得られた重合体の特性を表8に要約する。
【0156】
【0157】
実施例23から、両親媒性VDCベースのブロック共重合体は、VDCのリビング乳化重合において安定剤および制御剤として効率が良いことが分かる。