特許第6774979号(P6774979)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6774979
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】転てつ機及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 7/00 20060101AFI20201019BHJP
   B61L 5/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   E01B7/00
   B61L5/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-73104(P2018-73104)
(22)【出願日】2018年4月5日
(65)【公開番号】特開2019-183453(P2019-183453A)
(43)【公開日】2019年10月24日
【審査請求日】2019年1月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001292
【氏名又は名称】株式会社京三製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100124682
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 泰
(74)【代理人】
【識別番号】100104710
【弁理士】
【氏名又は名称】竹腰 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100090479
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 一
(72)【発明者】
【氏名】越中 達也
【審査官】 柿原 巧弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−233329(JP,A)
【文献】 特開2017−009039(JP,A)
【文献】 国際公開第2003/095964(WO,A1)
【文献】 特開2013−256978(JP,A)
【文献】 特開2010−084373(JP,A)
【文献】 特開2000−289618(JP,A)
【文献】 特開平09−005378(JP,A)
【文献】 特開昭59−128044(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0092675(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 7/00
B61L 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において、転てつ機ケースの短手方向の一側面に、前記短手方向に異なる位置に設けられた、閉塞することで前記転てつ機ケース内が気密状態となる2箇所の貫通孔と、所定の接続形状を有するソケット部材を着脱可能な前記2箇所の貫通孔に設けられた2箇所のプラグであって、前記ソケット部材が取り付けられた場合に前記貫通孔の通流を開放し、前記ソケット部材が取り外された場合に前記貫通孔の通流を自動的に遮断する自動切替式の開放弁を有する2箇所のプラグと、を備え、前記転てつ機ケースの長手方向がレールに沿った方向となるように配置され、前記プラグに前記ソケット部材を取り付けない密閉状態と、前記ソケット部材の1つである防水透湿フィルタを有する通気用ソケット部材を前記プラグに取り付けた通気状態と、に状態変更可能な転てつ機の検査方法であって、
前記2箇所のプラグの両方に前記ソケット部材を取り付けない前記密閉状態の場合には、前記レールから遠い方のプラグに対して、前記ソケット部材の1つである圧力計を有する給排気可能構造の圧力計測ソケット部材を取り付けて圧力計測状態とし、当該プラグからの給気圧に基づいて密閉状態を検査し、
前記2箇所のプラグの両方に前記通気用ソケット部材を取り付けた前記通気状態の場合には、一方のプラグに取り付けられている前記通気用ソケット部材を前記圧力計測ソケット部材に取り替えて前記圧力計測状態とした上で、当該一方のプラグからの給気圧に基づいて他方のプラグに取り付けられた前記通気用ソケット部材の前記防水透湿フィルタの目詰まりを検査する、
検査方法。
【請求項2】
転てつ機ケースの長手方向がレールに沿った方向となるように配置された、請求項1に記載の検査方法による検査対象となる転てつ機であって、
平面視において、転てつ機ケースの短手方向の一側面に、前記短手方向に異なる位置に設けられた、閉塞することで前記転てつ機ケース内が気密状態となる2箇所の貫通孔と、
所定の接続形状を有するソケット部材を着脱可能な前記2箇所の貫通孔に設けられた2箇所のプラグであって、前記ソケット部材が取り付けられた場合に前記貫通孔の通流を開放し、前記ソケット部材が取り外された場合に前記貫通孔の通流を自動的に遮断する自動切替式の開放弁を有する2箇所のプラグと、
を備え、
前記プラグに前記ソケット部材を取り付けない密閉状態と、
前記ソケット部材の1つである防水透湿フィルタを有する通気用ソケット部材を前記プラグに取り付けた通気状態と、
に状態変更可能であり、
前記2箇所のプラグの両方に前記ソケット部材が取り付けられていない前記密閉状態の場合に、前記レールから遠い方のプラグに対して、前記ソケット部材の1つである圧力計を有する給排気可能構造の圧力計測ソケット部材が取り付けられることで圧力計測状態となって、当該プラグからの給気圧に基づいて密閉状態の検査が可能となり、
前記2箇所のプラグの両方に前記通気用ソケット部材が取り付けられた前記通気状態の場合に、一方のプラグに取り付けられている前記通気用ソケット部材が前記圧力計測ソケット部材に取り替えられることで前記圧力計測状態となって、当該一方のプラグからの給気圧に基づいて他方のプラグに取り付けられた前記通気用ソケット部材の前記防水透湿フィルタの目詰まりが検査可能となる、
転てつ機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転てつ機等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば地下鉄などの転てつ機の水没の可能性がある環境では、転てつ機ケースを密閉構造として外部からの水の侵入を防止した耐水形の転てつ機が用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭59−128044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、耐水形の転てつ機には、転てつ機ケースを密閉構造としていることから、結露によって転てつ機ケース内の部品にさびが生じるといった問題があった。つまり、転てつ機ケースと動作かんとの間に防水構造を施していたとしても、パッキンの劣化やシール材の経年劣化などによって、動作かんに付着した僅かな水分が転てつ機ケースの内部に侵入し、これが原因となって転てつ機ケース内部に結露が生じることがある。
【0005】
また、耐水形の転てつ機について説明したが、耐水機能を要さない環境では非耐水形の転てつ機が設置される。従って、設置する場所に応じて耐水形の転てつ機を設置するか、非耐水形の転てつ機を設置するかが異なり、両仕様を切り替え可能な転てつ機は存在しなかった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐水形/非耐水形の仕様を切り替え可能であり、且つ、耐水形の仕様とした場合に転てつ機ケース内部の水蒸気を排出可能な転てつ機を実現する技術を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための第1の発明は、
閉塞することで転てつ機ケース内が気密状態となる貫通孔と、
所定の接続形状を有するソケット部材を着脱可能な前記貫通孔に設けられたプラグであって、前記ソケット部材が取り付けられた場合に前記貫通孔の通流を開放し、前記ソケット部材が取り外された場合に前記貫通孔の通流を自動的に遮断する自動切替式の開放弁を有するプラグと、
を備え、
前記プラグに前記ソケット部材を取り付けない密閉状態と、
前記ソケット部材の1つである防水透湿フィルタを有する通気用ソケット部材を前記プラグに取り付けた通気状態と、
に状態変更可能な転てつ機である。
【0008】
第1の発明によれば、貫通孔が閉塞されることで転てつ機ケース内が気密状態となる当該貫通孔に、着脱可能なソケット部材が取り付けられた場合に貫通孔の通流を開放し、ソケット部材が取り外された場合に貫通孔の通流を自動的に遮断する自動切替式の開放弁を有するプラグが設けられる。従って、ソケット部材を取り付けなければ耐水形となる。また、通気用ソケット部材を取り付けた場合には、水を通さず水蒸気を通す通気状態となるため、転てつ機ケース内部の水蒸気を排出可能な開放形の仕様にすることが可能である。更に、プラグへの通気用ソケット部材の取り付け/取り外しといった容易な作業で、耐水形と開放形との切り替えが可能である。
【0009】
第2の発明は、第1の発明の転てつ機であって、
前記転てつ機は、前記密閉状態と前記通気状態の他に、前記ソケット部材の1つである圧力計を有する給排気可能構造の圧力計測ソケット部材を前記プラグに取り付けた圧力計測状態、に状態変更可能な転てつ機である。
【0010】
第2の発明によれば、プラグに圧力計測ソケット部材を取り付けることで、転てつ機ケース内の空気圧を計測することができるので、例えば転てつ機ケースの気密構造が保たれているかを検査できる。
【0011】
第3の発明は、第1又は第2の発明の転てつ機であって、
前記転てつ機は、平面視において、前記転てつ機ケースの長手方向がレールに沿った方向となるように配置され、
前記貫通孔は、平面視において、前記転てつ機ケースの短手方向の一側面に、前記短手方向に位置が異なる2箇所に設けられ、
前記2箇所の貫通孔それぞれに前記プラグが設けられた、転てつ機である。
【0012】
第3の発明によれば、レールに対してどちら側に転てつ機が配置される場合であっても、レールに近い方と遠い方の2箇所にプラグが設けられている。そのため、例えば、保守作業の際に、安全な方や作業をし易い方であるレールから遠い方の位置に設けられたプラグに通気用ソケット部材の取り付け/取り外しを行うことで、耐水形と開放形との切り替えを、安全且つ容易に実現することができる。
【0013】
第4の発明は、
第3の発明の転てつ機の検査方法であって、
前記2箇所のプラグの両方に前記ソケット部材を取り付けない前記密閉状態の場合には、前記レールから遠い方のプラグに対して、前記ソケット部材の1つである圧力計を有する給排気可能構造の圧力計測ソケット部材を取り付けて圧力計測状態とし、当該プラグからの給気圧に基づいて密閉状態を検査し、
前記2箇所のプラグの両方に前記通気用ソケット部材を取り付けた前記通気状態の場合には、一方のプラグに取り付けられている前記通気用ソケット部材を前記圧力計測ソケット部材に取り替えて前記圧力計測状態とした上で、当該一方のプラグからの給気圧に基づいて他方のプラグに取り付けられた前記通気用ソケット部材の前記防水透湿フィルタの目詰まりを検査する、
検査方法である。
【0014】
第4の発明によれば、両方のプラグにソケット部材が取り付けられていない密閉状態とされ、耐水形の仕様となっている転てつ機に対して、レールに対してどちら側に転てつ機が配置される場合であっても、安全な方や作業をし易い方であるレールから遠い方の位置に設けられたプラグに圧力計測ソケット部材を取り付けることで、密閉状態の検査がし易くなる。また、両方のプラグに通気用ソケット部材が取り付けられて通気状態とされ、開放形の仕様となっている転てつ機に対して、それぞれの通気用ソケット部材の防水透湿フィルタの目詰まりを検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】転てつ機の構成例。
図2】プラグとこれに装着されるソケット部材との説明図。
図3】プラグが取り得る状態の説明図。
図4】耐水形の仕様の転てつ機に対する検査方法の説明図。
図5】開放形の仕様の転てつ機に対する検査方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態によって本発明が限定されるものではなく、本発明を適用可能な形態が以下の実施形態に限定されるものでもない。また、図面の記載において、同一要素には同一符号を付す。
【0017】
[構成]
図1は、本実施形態の転てつ機1の構成例を示す上面図である。図1に示すように、本実施形態の転てつ機1は、電気転てつ機であり、上面視において略長方形状でなる転てつ機ケース20の短手方向の一方の外側面(図1では、左側の外側面)に設けられたモータ10と、転てつ機ケース20の長手方向の外側面を短手方向に貫通して設けられた動作かん12と、を備える。また、転てつ機ケース20の内部には、不図示であるが、回路制御器や制御リレー、外部端子盤等の電気系統部品、減速機構部や転換機構部等の機械系統部品、が設けられている。電源や外部装置(例えば、連動装置等)との信号に必要なケーブル類は外部端子盤に集約された後、ケーブル束14として転てつ機ケース20の短手方向の他方の外側面(図1では、右側の外側面)から引き出される。
【0018】
モータ10は、転てつ機ケース20の側面を貫通して、転てつ機ケース20の内部に設けられた減速機構部に接続されている。モータ10で発生された回転動力は、減速機構部で適切なトルクに変換されて転換機構部に伝達される。転換機構部は、減速機構部で減速された回転動力を、動作かん12の直動運動に変換する。転てつ機1は、平面視において転てつ機ケース20の長手方向がレールに沿った方向になるように配置されており、動作かん12の直動運動によって、その先に接続されたトングレールが定位/反位に転換される。
【0019】
また、転てつ機ケース20と動作かん12との間は防水構造となっている。つまり、転てつ機ケース20の長手方向に沿った側面に形成された動作かん12の挿通孔の外周部に沿って、外からの水の浸入を防止するともに、直動運動する動作かん12の表面に付着した水分等を拭い取るためのワイパー部材が設けられている。このワイパー部材は、合成ゴムなどの弾性樹脂の薄板材・シート材などによって実現される。
【0020】
また、転てつ機ケース20の短手方向のうち、モータ10が設けられた側と反対側(図1では、右側の外側面)には2箇所の貫通孔が形成され、貫通孔のそれぞれにプラグ24が嵌め込まれている。この2箇所の貫通孔を閉塞することで、転てつ機ケース20は内部が気密状態となるように構成されている。
【0021】
図2は、プラグ24と、これに着脱されるソケット部材30とでなるカプリングの説明図である。プラグ24は、自動切替式の開放弁である自動復帰機能を有するバルブ26を内蔵している。バルブ26には所定のバネ構造によりプラグ24内から突出する方向へ常時一定の付勢力が付勢されており、プラグ24にソケット部材30が取り付けられた場合にソケット部材30が当接してバルブ26が押し込まれることで、プラグ24が嵌め込まれた貫通孔22の通流が開放され、ソケット部材30が取り外された場合には、バルブ26が自動復帰して貫通孔22の通流が自動的に遮断されるようになっている。
【0022】
本実施形態では、ソケット部材30として、通気用ソケット部材30Aと、圧力計測ソケット部材30Bとが、プラグ24に着脱可能となっている。通気用ソケット部材30Aは、プラグ24の取り付け側とは逆側に、防水透湿フィルタ32が設けられている。防水透湿フィルタ32は、粉塵や液体を遮断するが水蒸気を通す防水透湿性を有する延伸多孔質素材で実現される。圧力計測ソケット部材30Bは、プラグ24の取り付け側とは逆側に、圧力計34が設けられている。圧力計34には、給排気用のクランプインバルブ36が取り付けられており、このクランプインバルブ36を開くことで給排気可能な構造となっている。
【0023】
プラグ24は、ソケット部材30の取り付け有無によって、図3に示す3種類の状態に変更可能である。図3は、プラグ24がとり得る状態を示す模式図である。図3(a)は、プラグ24にソケット部材30を取り付けない密閉状態である。密閉状態では、ソケット部材30が取り付けられていないことによってプラグ24のバルブ26が復帰し、貫通孔22の通流が遮断される。つまり、転てつ機ケース20の内部が気密状態に保たれており、いわば従来の耐水形の転てつ機と同様の仕様となっている。
【0024】
図3(b)は、プラグ24に通気用ソケット部材30Aを取り付けた通気状態である。通気状態では、ソケット部材30が取り付けられたことによって、貫通孔22の通流が開放されているが、通気用ソケット部材30Aの防水透湿フィルタ32によって、液体(水など)は遮断されて空気(水蒸気など)のみの通流が可能な状態である。つまり、転てつ機ケース20の内部への水の侵入は防止されているが、内部の水蒸気を外部に逃がすことは可能な、開放形の転てつ機となっている。
【0025】
図3(c)は、プラグ24に圧力計測ソケット部材30Bを取り付けた圧力計測状態である。圧力計測状態では、ソケット部材30が取り付けられたことによって、貫通孔22の通流が開放されており、圧力計34によって、転てつ機ケース20の内部の空気圧を計測可能な状態である。クランプインバルブ36(図2参照)に給気チューブ等が接続されて給気されることで、転てつ機ケース20内の空気圧を測定することができる。
【0026】
このようなプラグ24へのソケット部材30の取り付け有無によって、転てつ機の形態を、耐水形或いは開放形に容易に変更可能である。すなわち、図3(a)に示すような耐水形の転てつ機に対して、プラグ24に通気用ソケット部材30Aを取り付けて図3(b)の通気状態とすることで、開放形の転てつ機に変更することができる。また逆に、図3(b)に示すような開放形の転てつ機に対して、プラグ24に取り付けられている通気用ソケット部材30Aを取り外して図3(a)の密閉状態とすることで、耐水形の転てつ機に変更することができる。
【0027】
また、開放形/耐水形の何れの転てつ機に対しても、圧力計測ソケット部材30Bを用いた、転てつ機ケース20内の空気圧の測定(圧力測定)を行うことができる。すなわち、図3(a)に示すような耐水形の転てつ機に対して、プラグ24に圧力計測ソケット部材30Bを取り付けて図3(c)の圧力計測状態とすることで、圧力測定を行うことができる。また、図3(b)に示すような開放形の転てつ機に対して、プラグ24に取り付けられている通気用ソケット部材30Aを取り外し、替わりに、圧力計測ソケット部材30Bを取り付けて図3(c)の圧力計測状態とすることで、圧力測定を行うことができる。この圧力測定によって、転てつ機ケース20内の気密が保たれているかを検査することができる。
【0028】
本実施形態の転てつ機1としては、短手方向の一側面に2つの貫通孔22を設けて、それぞれにプラグ24を設ける構成を採用することも可能である。この場合、通常時の使用形態として2つの形態を取り得る。1つ目は、図4の上側に示すように、2つのプラグ24(24a,24b)の何れにもソケット部材30を取り付けない気密状態として、耐水形の転てつ機として使用する形態である。2つ目は、図5の上側に示すように、2つのプラグ24(24a,24b)のそれぞれに通気用ソケット部材30Aを取り付けた通気状態として、開放形の転てつ機として使用する形態である。プラグ24への通気用ソケット部材30Aの取り付け有無によって、この2つの形態を容易に変更可能である。
【0029】
なお、通気状態として、通気用ソケット部材30Aは、2つのプラグ24(24a,24b)のうち、どちらか一方にのみ取り付けることも可能である。この場合、レールに遠いほうのプラグ24aに通気用ソケット部材30Aを取り付けることが好適である。転てつ機ケース20に2つの貫通孔22を設けることにより、レールに対してどちら側に転てつ機1が配置される場合であっても、レールに近い方と遠い方の2箇所にプラグ24が設けられている状態となる。そのため、レールから遠いほうのプラグ24aに通気用ソケット部材30Aを取り付けることで、通気用ソケット部材30Aの取り付け作業及び交換作業を、安全且つ容易に行うことができる。
【0030】
そして、転てつ機ケース20の内の圧力測定を行う際には、2つのプラグ24のうち、一方のプラグ24に圧力計測ソケット部材30Bを取り付けて圧力計測状態として、圧力測定を行う。すなわち、図4に示すように、耐水形の転てつ機として使用している場合には、レールから遠いほうのプラグ24aに圧力計測ソケット部材30Bを取り付けて圧力計測状態とする。そして、圧力計測ソケット部材30Bのクランプインバルブ36から給気し、圧力計34によって転てつ機ケース20内の圧力を計測する。耐水形の転てつ機として使用している場合、転てつ機ケース20内の密閉状態が保たれているかを検査することができる。パッキンの劣化やシール材の経年劣化などによって空気が外部に漏れていると、計測される空気圧が一定以下の値を示すことになる。圧力測定が終了した場合には、プラグ24aから圧力計測ソケット部材30Bを取り外すことで、元の状態となる。レールから遠いほうのプラグ24aに圧力計測ソケット部材30Bを取り付けるようにすることで、密閉状態が保たれているかの検査の作業が安全且つし易くなる。
【0031】
また、図5に示すように、2つのプラグ24(24a,24b)のそれぞれに通気用ソケット部材30Aを取り付けて開放形の転てつ機として使用している場合には、一方のプラグ24(図5では、レールから遠いほうのプラグ24a)に取り付けられている通気用ソケット部材30Aを取り外し、これに替えて、圧力計測ソケット部材30Bを取り付けて圧力計測状態とする。そして、圧力計測ソケット部材30Bのクランプインバルブ36から給気し、圧力計34によって転てつ機ケース20内の圧力を計測する。開放形の転てつ機として使用している場合には、他方のプラグ24(図5では、レールに近いほうのプラグ24b)に取り付けられている通気用ソケット部材30Aの防水透湿フィルタ32の目詰まりを検査することができる。防水透湿フィルタ32が目詰まりしていると、通気が妨げられるため、計測される空気圧が一定以上の値を示すこととなる。圧力測定が終了した場合には、プラグ24から圧力計測ソケット部材30Bを取り外した後、通気用ソケット部材30Aを取り付けることで、元の状態となる。このように、プラグ24に通気用ソケット部材30Aを取り付けた状態で、防水透湿フィルタ32の目詰まりを検査することが可能となる。なお、図5とは逆に、他方のプラグ24bに取り付けられている通気用ソケット部材30Aを圧力計測ソケット部材30Bに取り替えることで、一方のプラグ24aに取り付けられている通気用ソケット部材30Aの目詰まりの検査を行うこともできる。
【0032】
[作用効果]
このように、本実施形態の転てつ機1によれば、プラグ24への各種ソケット部材30の着脱といった簡易な操作で、転てつ機ケース20内を密閉状態とした耐水形と、転てつ機ケース20の内部への水の侵入は防止するが内部の水蒸気を外部に逃がすことは可能な通気状態とした開放形と、に切り替えることができる。また、圧力計測ソケット部材30Bをプラグ24に取り付けた圧力計測状態とすることで、転てつ機ケース20の内部の空気圧を計測することもできる。
【0033】
なお、本発明の適用可能な実施形態は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能なのは勿論である。
【0034】
例えば、図1に示した転てつ機1では、短手方向の一側面に設けた2つの貫通孔22それぞれにプラグ24を設ける構成としたが、貫通孔22を1つのみとして、1つのプラグ24のみを設ける構成としてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1…転てつ機
10…モータ、12…動作かん、14…ケーブル束
20…転てつ機ケース
22…貫通孔、24…プラグ、26…バルブ
30…ソケット部材
30A…通気用ソケット部材、32…防水透湿フィルタ
30B…圧力計測ソケット部材、34…圧力計、36…クランプインバルブ
図1
図2
図3
図4
図5