【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売した場所 ファーストキッチン株式会社(東京都新宿区四谷4−34−1 新宿御苑前アネックスビル5F) 販売日 平成30年5月28日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面部に熱板を有するグリドルと、下面部に熱板を有し、グリドルに対して上下方向に旋回して開閉可能に支持されるプラテンとを備え、前記両熱板によって食材を上下から挟みつけるようにして両面同時に加熱可能な両面焼き調理器であって、
各熱板を加熱する熱板ヒータと、
各熱板の温度を検出する熱板温度センサと、
各熱板温度センサの検出温度に基づいて各熱板ヒータをオンオフさせる加熱制御部と、
プラテンを開閉駆動させるプラテン駆動部と、
グリドルに対するプラテンの高さ位置を検出する高さセンサと、
調理する食材の種類や調理温度等の動作条件を設定指示する操作パネルと、
食材の種類毎のプラテンの設定高さを記憶する記憶部とを備え、
操作パネルで選択操作された食材の種類に合わせて、高さセンサで検出される調理時のプラテンの高さ位置が前記選択された食材に対応する設定高さに自動調整され、
熱板が設定調理温度で維持されるよう、対応する熱板ヒータを所定のヒータオフ温度とヒータオン温度との間でオンオフさせる温調状態において、熱板温度センサの検出温度がヒータオフ温度より低く、熱板ヒータがオフされているときに調理が開始されて、検出温度がヒータオン温度より低い所定の第1補完判定温度まで降下した場合、
検出温度が第1補完判定温度より高く、ヒータオフ温度より低い所定の補完オフ温度まで上昇した時点で、対応する熱板ヒータをオフし、
熱板ヒータをオフした後、検出温度が補完オフ温度より高く、ヒータオン温度より低い所定の補完オン温度まで上昇した時点で、対応する熱板ヒータをオンする、両面焼き調理器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の両面焼き調理器では、調理する食材に合わせて、使用者自らが経験や調理指示書等に基づいてプラテン高さを判断し、手動で設定する必要があるため、使用者の熟練度によって熱板間隔が異なったり、或いは設定ミスが生じたりして、食材の上面側と下面側とで焼き加減にばらつきが生じる虞があった。また、調理する食材の種類が変わる度にプラテン高さの設定を確認したり調整したりする煩わしさもあった。
【0005】
さらに、前記従来の両面焼き調理器は、一般に、各熱板の裏面側略中央位置にそれぞれ、熱板の温度を検出する熱板温度センサが設けられており、熱板が設定調理温度で維持されるよう、熱板温度センサの検出温度に基づいて熱板ヒータのオンオフを制御するように構成されている。そのため、特に食材を冷凍の状態から調理する場合に、熱板の略中央位置に冷凍の食材が配されると、食材の温度が直接的に熱板温度センサに伝わり、検出温度を著しく降下させる。その結果、前記検出温度が再び設定調理温度に戻るまで熱板ヒータがオン状態で維持され続けることになるから、たとえプラテン高さが食材に適した高さに設定されていても、食材が過剰に熱せられて適切な焼き加減に仕上がらない虞があった。
【0006】
本発明は、前記課題を鑑みてなされたものであり、その目的は、グリドル側の熱板とプラテン側の熱板とで食材を上下両面同時に加熱可能な両面焼き調理器において、調理性能および利便性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る両面焼き調理器は、上面部に熱板を有するグリドルと、下面部に熱板を有し、グリドルに対して上下方向に旋回して開閉可能に支持されるプラテンとを備え、前記両熱板によって食材を上下から挟みつけるようにして両面同時に加熱可能な両面焼き調理器であって、
各熱板を加熱する熱板ヒータと、各熱板の温度を検出する熱板温度センサと、各熱板温度センサの検出温度に基づいて各熱板ヒータをオンオフさせる加熱制御部と、プラテンを開閉駆動させるプラテン駆動部と、グリドルに対するプラテンの高さ位置を検出する高さセンサと、調理する食材の種類や調理温度等の動作条件を設定指示する操作パネルと、食材の種類毎のプラテンの設定高さを記憶する記憶部とを備え、操作パネルで選択操作された食材の種類に合わせて、
高さセンサで検出される調理時のプラテン
の高さ
位置が前記選択された食材に対応する設定高さに自動調整され、
熱板が設定調理温度で維持されるよう、対応する熱板ヒータを所定のヒータオフ温度とヒータオン温度との間でオンオフさせる温調状態において、熱板温度センサの検出温度がヒータオフ温度より低く、熱板ヒータがオフされているときに調理が開始されて、検出温度がヒータオン温度より低い所定の第1補完判定温度まで降下した場合、
検出温度が第1補完判定温度より高く、ヒータオフ温度より低い所定の補完オフ温度まで上昇した時点で、対応する熱板ヒータをオフし、
熱板ヒータをオフした後、検出温度が補完オフ温度より高く、ヒータオン温度より低い所定の補完オン温度まで上昇した時点で、対応する熱板ヒータをオンすることを特徴とするものである。
【0008】
これによれば、調理する食材の種類を操作パネルで選択すれば、調理時のプラテン
の高さ
位置がその選択された食材の種類に対応する設定高さに自動調整されるから、使用者の熟練度が異なっても、食材の種類に適した熱板間隔で調理できる。よって、食材の上面側と下面側とで焼き加減にばらつきが生じ難い。また、調理する食材の種類が変わる度にプラテン
の高さ
位置の設定を確認したり調整したりする手間も省ける。
また、食材を冷凍の状態から調理する際に、熱板における熱板温度センサの配設位置に前記食材が配された結果、検知温度がヒータオン温度を大きく下回って第1補完判定温度に達した場合は、同検知温度がヒータオフ温度まで上昇するのを待たずに熱板ヒータをオフにするから、食材が過剰に熱せられるのを抑制できる。よって、焼き加減のばらつきが一層生じ難い。
【0009】
また、本発明に係る両面焼き調理器は、上面部に熱板を有するグリドルと、下面部に熱板を有し、グリドルに対して上下方向に旋回して開閉可能に支持されるプラテンとを備え、前記両熱板によって食材を上下から挟みつけるようにして両面同時に加熱可能な両面焼き調理器であって、各熱板を加熱する熱板ヒータと、各熱板の温度を検出する熱板温度センサと、各熱板温度センサの検出温度に基づいて各熱板ヒータをオンオフさせる加熱制御部と、プラテンを開閉駆動させるプラテン駆動部と、グリドルに対するプラテンの高さ位置を検出する高さセンサと、調理する食材の種類や調理温度等の動作条件を設定指示する操作パネルと、食材の種類毎のプラテンの設定高さを記憶する記憶部とを備え、操作パネルで選択操作された食材の種類に合わせて、高さセンサで検出される調理時のプラテンの高さ位置が前記選択された食材に対応する設定高さに自動調整され、
熱板が設定調理温度で維持されるよう、対応する熱板ヒータを所定のヒータオフ温度とヒータオン温度との間でオンオフさせる温調状態において、熱媒温度センサの検出温度がヒータオフ温度以上で、熱板ヒータがオフされているときに調理が開始されて、検出温度がヒータオン温度より低く、調理の開始温度から所定温度減じた第2補完判定温度まで降下した場合、
検出温度が第2補完判定温度より高く、ヒータオフ温度より低い所定の補完オフ温度まで上昇した時点で、対応する熱板ヒータをオフし、
熱板ヒータをオフした後、検出温度が補完オフ温度より高く、ヒータオン温度より低い所定の補完オン温度まで上昇した時点で、対応する熱板ヒータをオンすることを特徴とするものである。
【0010】
これによれば、食材を冷凍の状態から調理する際に、熱板における熱板温度センサの配設位置に前記食材が配された結果、検知温度がヒータオン温度より低く、調理の開始温度より所定温度低くなった場合は、同検知温度がヒータオフ温度まで上昇するのを待たずに熱板ヒータをオフにするから、食材が過剰に熱せられるのを抑制できる。よって、焼き加減のばらつきが一層生じ難い。
【0011】
上記各両面焼き調理器において、調理中のプラテンの高さ位置を、調理が開始されてプラテンの閉動作が停止されたときからの経過時間に応じて自動で調整可能としたものであるのが好ましい。これによれば、調理中に食材の厚みが変化しても、経過時間に合わせてプラテンの高さ位置を自動で変更させることができるから、食材の厚みに適した熱板間隔で調理できる。よって、食材の上面側と下面側とで焼き加減にばらつきが一層生じ難い。また、調理中、食材の厚みの変化に合わせてプラテンの高さ位置を手動で調整する手間も省ける。
【0012】
前記両面焼き調理器において、前記ヒータオフ温度、ヒータオン温度
、補完オフ温度
、及び補完オン温度は何れも、グリドル側とプラテン側とで異ならせて設定可能としたものであるのが好ましい。このようにヒータオフ温度やヒータオン温度、補完オフ温度
や補完オン温度を、グリドル側とプラテン側とで異ならせて設定することで、食材の上下両面をそれぞれ適切に加熱することができるから、焼き加減のばらつきが一層生じ難い。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、使用者の熟練度が異なっても食材の焼き加減にばらつきが生じ難く、調理性能が格段に向上する。また、食材の種類が変わる度にプラテン
の高さ
位置の設定を確認したり調整したりする必要もないから、利便性も格段に向上する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、上記した本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0016】
図1から
図3に示すように、本発明の実施の形態に係る両面焼き調理器1は、調理器本体となる略矩形箱状のグリドル11と、グリドル11の上面部111を上方から被蓋する蓋体となる略矩形平板状のプラテン12とを備えており、プラテン12は、グリドル11の後部に設けられた開閉機構部13により、上下方向に旋回して開閉可能に支持されている。
【0017】
グリドル11の上面部111には、食材の載置面となる平板状の下熱板14が設けられている。一方、プラテン12の下面部121には、プラテン12が閉じられた位置にあるときに、下熱板14の上方に所定の間隔を存して略平行に対向配置され、下熱板14の上面に載置された食材を上方から加熱する上熱板15が設けられている。
【0018】
グリドル11の前面部112には、両面焼き調理器1の電源をオンオフする電源スイッチ20Aと、調理の開始を指示する調理スイッチ20Bと、待機モードの開始を指示する待機モードスイッチ20Cと、調理や待機モードの停止を指示する動作キャンセルスイッチ20Dと、調理する食材の種類や調理温度、調理時間等の動作条件を設定指示する操作機能およびそれら設定情報や動作状態等を表示する表示機能を兼備する操作パネル20E、所謂タッチパネルが設けられている。尚、本明細書では、グリドル11を前面部112側から見たときの奥行き方向を前後方向、幅方向を左右方向、高さ方向を上下方向という。
【0019】
図2および
図3に示すように、グリドル11内における下熱板14の下面(裏面)側およびプラテン12内における上熱板15の上面(裏面)側にはそれぞれ、対応する熱板14,15を略全面に亘って加熱する電熱式の熱板ヒータ21,22と、各熱板14,15の温度を検出する熱板温度センサ23,24とが設けられている。本実施の形態では、熱板温度センサ23,24はそれぞれ、対応する熱板14,15の下面側における前後左右間の略中央位置に配されている。
【0020】
下熱板14および上熱板15はそれぞれ、熱伝導性の高い金属材料で形成されている。さらに上熱板15の下面側には、熱伝導性の高い樹脂材料で形成された熱板カバー25が着脱自在に取り付けられている。熱板カバー25は、上熱板15の下面略全体を覆っており、その表面にはフッ素樹脂加工が施されている。このように、上熱板15の下面側に熱板カバー25を設けたことで、上熱板15に対する食材の焦げ付きや、プラテン12が開かれる際に、食材が上熱板15に付着したままプラテン12と共に持ち上がってしまうのを防止できる。また、上熱板15の下面に汚れが付着するのも防止できるし、熱板カバー25をプラテン12から取り外して清掃又は交換することもできる。
【0021】
図4に示すように、開閉機構部13は、グリドル11内にて左右に並んで平行に立設され、グリドル11内の固定壁113にて上下方向に摺動可能に支持される二本の支軸130と、支軸130の上端部相互を連結保持し、プラテン12の後部のヒンジ連結部122に対して回動可能に連結されるヒンジ131と、支軸130の中間部相互を連結保持する軸連結枠132と、プラテン12を開閉駆動させるプラテン駆動部としての開閉モータ30と、開閉モータ30の回転動作を支軸130の上下動作に変換するギアユニット31および駆動チェーン32とを備えている。
【0022】
軸連結枠132は、駆動チェーン32の中間部に設けられた枠掛合部320に掛合されており、開閉モータ30によってギアユニット31に連結された駆動チェーン32を正方向に回転させれば、それに伴って上方へ移動し、支軸130を押し上げる。一方、開閉モータ30によって駆動チェーン32を逆方向に回転させれば、軸連結枠132は、それに伴って下方へ移動し、支軸130を引き下げる。
【0023】
また、
図2および
図3に示すように、開閉機構部13は、グリドル11内に設けられたリンク支持部113に対してプラテン12を回動可能且つ上下方向に所定の範囲内で摺動可能に連結するリンクアーム133を備えている。
【0024】
リンクアーム133の下端部331は、リンク支持部113に開設された上下方向に長い長孔330に連結されており、前記長孔330に沿ってその形成範囲内で摺動可能に構成されている。一方、リンクアーム133の上端部332は、プラテン12の後部のヒンジ連結部122よりさらに後方位置に設けられたリンク支持部113にて回動可能に連結されている。
【0025】
このように、プラテン12は、支軸130およびリンクアーム133を介してグリドル11に連結されており、閉じられた状態より、開閉モータ30を作動させて支軸130を上方へ摺動させると、リンクアーム133の下端部331がリンク支持部113の長孔330の上端に達するまで上方へ垂直移動する。そしてさらに支軸130を上方へ摺動させると、リンクアーム133は、下端部331が長孔330の上端にて係合保持され、それより上方への移動が阻止されるのに対し、支軸130は、さらに上方へ移動して、ヒンジ連結部122を押し上げる。その結果、プラテン12は、前記垂直移動から、リンク連結部123を支点、ヒンジ連結部122を力点とする上方への旋回移動に移行し、開かれた状態となる。
【0026】
一方、前記開かれた状態から、支軸130を下方へ移動させると、支軸130は、ヒンジ連結部122を引き下げ、プラテン12をグリドル11の上面部111と平行な状態になるまで下方へ旋回移動させる。そしてさらに支軸130を下方へ移動させると、リンクアーム133は、リンク支持部113の長孔330に沿って下方へ垂直移動し、リンク連結部123をヒンジ連結部122と同方向に引き下げる。その結果、プラテン12は、下方への旋回移動から、グリドル11の上面部111と平行な状態を保ったまま下方への垂直移動に移行し、閉じられた状態に戻る。
【0027】
図4に示すように、軸連結枠132には、グリドル11に対するプラテン12の高さ位置を示すプラテン検出子134が設けられている。また、開閉機構部13には、プラテン検出子134が所定の検出位置にあるか否かを検出する高さセンサ34と、高さセンサ34の配置高さを上下方向に所定の範囲内で変更させる電動のアクチュエータ35とが設けられている。
【0028】
高さセンサ34は、アクチュエータ35に対して上下方向に垂直移動可能に連結支持されており、プラテン12を閉じる動作中に、支軸130と共に降下するプラテン検出子134が高さセンサ34によって検出された位置を、グリドル11に対するプラテン12の高さ位置として検出する。尚、プラテン検出子134は、プラテン12の高さ位置を示す基準となり得る位置であれば、支軸130に設けられてもよいし、ヒンジ131に設けられてもよいし、駆動チェーン32の枠掛合部320に設けられてもよい。
【0029】
アクチュエータ35には、高さセンサ34と共に上下方向に垂直移動可能に連結支持され、グリドル11内における高さセンサ34の配置高さを示すセンサ検出子136が設けられている。また、開閉機構部13には、センサ検出子136が原点位置となる所定の検出位置にあるか否かを検出する原点センサ36Sと、センサ検出子136が上限位置となる前記原点位置より高い所定の検出位置にあるか否かを検出する上限センサ36Hと、センサ検出子136が下限位置となる前記原点位置より低い所定の検出位置にあるか否かを検出する下限センサ36Lとが設けられており、プラテン12の閉動作を開始する前にアクチュエータ35によって高さセンサ34を上下に移動させ、センサ検出子136が原点センサ36Sによって検出された位置を原点位置、上限センサ36Hおよび下限センサ36Lによって検出された位置をそれぞれ上限位置および下限位置として、アクチュエータ35の動作と高さセンサ34の位置とを整合させるセンサ位置補正動作を行うように構成されている。
【0030】
前記電源スイッチ20A、調理スイッチ20B、待機モードスイッチ20C、動作キャンセルスイッチ20D、操作パネル20E、熱板ヒータ21,22、熱板温度センサ23,24、開閉モータ30、高さセンサ34、アクチュエータ35、原点センサ36S、上限センサ36H、および下限センサ36Lは何れも、グリドル11の内部に組み込まれた制御回路100に図示しない電気配線を通じて接続されている。
【0031】
制御回路100は、両面焼き調理器1の主電源のオンオフを制御する電源制御部、下熱板14および上熱板15の温度を制御する加熱制御部、プラテン12の開閉動作を制御する開閉制御部、高さセンサ34の高さ位置を調整する高さ制御部、操作パネル20Eの動作を制御する操作表示制御部、食材の種類毎のプラテン12の設定高さや設定調理温度、設定調理時間等の動作条件を記憶する記憶部、調理時間を計測する計時部等の回路構成を有しており、これら各制御部や記憶部、計時部によって両面焼き調理器1全体の動作が制御される。
【0032】
前記制御回路100による両面焼き調理器1の動作制御を詳述する。まず、電源スイッチ20Aにて主電源のオン操作がなされ、両面焼き調理器1の主電源がオン状態にされると、操作表示制御部は、
図5に示すように、操作パネル20Eの表示画面を、調理する食材の種類を選択するための擬似操作スイッチとなる複数の食材選択キー41と、表示させる食材選択キー41を切り替えるための擬似操作スイッチとなる複数の表示切替キー42とを表示させる「メニュー画面」にする。
【0033】
尚、食材選択キー41には、個別にプラテン12の設定高さや設定調理温度Ts、設定調理時間等の動作条件が割り当てられており、図示しないが、操作パネル20Eを「設定画面」に切り替え、その設定画面に表示された種々の設定操作キーを操作することで、各食材選択キー41に割り当てられた動作条件の設定を任意に変更することができる。またその際、設定調理温度Tsは、グリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定することができる。
【0034】
主電源がオンにされた後、動作キャンセルスイッチ20Dが押されると、開閉制御部は、開閉モータ30を作動させてプラテン12を所定の開位置まで開く。また、高さ制御部は、高さセンサ34の動作補正を行った後、高さセンサ34を所定の開始位置まで移動させ、起動状態となる。
【0035】
前記起動状態になった後、操作パネル20Eにて一の食材選択キー41がタッチ操作されると、操作表示制御部は、
図6に示すように、操作パネル20Eの表示画面を、選択された食材の種類を示す食材情報43と、調理開始前の設定調理時間や調理開始後の残りの調理時間を示す残時間情報44と、現在の動作状態を示す動作情報45と、メニュー画面や設定画面に切り替えるための擬似操作スイッチとなる複数の画面切替キー46とを表示させる「情報表示画面」にする。
【0036】
また、高さ制御部は、アクチュエータ35を作動させて、プラテン12の設定高さに相当する高さ位置まで高さセンサ34を移動させる。加熱制御部は、プラテン12が開かれた状態のまま、両熱板ヒータ21,22を共にオン状態にして、各熱板温度センサ23,24の検出温度T1,T2がそれぞれ設定調理温度Tsに達するまで下熱板14および上熱板15を加熱する昇温中の状態にする。
【0037】
さらに、操作表示制御部は、操作パネル20Eの動作情報45を「昇温中」の表示にすると共に、操作パネル20Eのバックライトを、昇温中の状態であることを示す色(例えば、イエロー)で点滅させた状態にする。
【0038】
尚、何れかの食材選択キー41がタッチ操作される前に、表示切替キー42がタッチ操作された場合、操作表示制御部は、表示されていた食材選択キー41に代えて、他の食材の種類に対応する食材選択キー41を操作パネル20Eに表示させる。使用者は、このように順次表示される複数の食材選択キー41の中から、調理する食材に対応する食材選択キー41を探し出して操作する。
【0039】
前記昇温中の状態にて、熱板温度センサ23,24の検出温度T1,T2がそれぞれ設定調理温度Tsに達すれば、加熱制御部は、プラテン12が開かれた状態のまま、下熱板14および上熱板15が設定調理温度Tsで維持されるよう、各熱板ヒータ21,22をそれぞれ、所定のヒータオフ温度Taと、ヒータオフ温度Taより低いヒータオン温度Tbとの間で個別にオンオフさせる温調モード、即ち、焼成可の状態に移行する。
【0040】
尚、設定調理温度Tsがグリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定されている場合、ヒータオフ温度Taおよびヒータオン温度Tbも設定調理温度Tsに合わせて、グリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定される。
【0041】
また、前記のように焼成可の状態になると、操作表示制御部は、操作パネル20Eの動作情報45を「焼成可」の表示にすると共に、操作パネル20Eのバックライトを、焼成可の状態であることを示す色(例えば、グリーン)で点灯させた状態にする。
【0042】
尚、前記焼成可の状態のときに、待機モードスイッチ20Cが押されて待機モードの開始が指示された場合、開閉制御部は、高さセンサ34によってプラテン検出子134が検出される高さ位置までプラテン12を閉じ、加熱制御部は、前記焼成可の状態と同様、下熱板14および上熱板15が設定調理温度Tsで維持されるよう、各熱板ヒータ21,22をオンオフさせる温調モード、即ち、保熱状態にする。さらに、操作表示制御部は、操作パネル20Eの動作情報45を「待機中」の表示にすると共に、操作パネル20Eのバックライトを、保熱状態であることを示す色(例えば、グリーン)で点滅させた状態にする。そしてその後、動作キャンセルスイッチ20Dが押さて待機モードの停止が指示された場合は、再び前記焼成可の状態に戻す。
【0043】
前記焼成可の状態のときに、調理スイッチ20Bが押されて調理の開始が指示されると、開閉制御部は、高さセンサ34によってプラテン検出子134が検出された時点でプラテン12の閉動作を自動停止させる。これにより、プラテン12は、選択された食材の種類に対応する設定高さまで閉じられた状態となる。また、加熱制御部は、前記焼成可の状態と同様、調理開始からの経過時間が設定調理時間に達するまで下熱板14および上熱板15が設定調理温度Tsで維持されるよう、各熱板ヒータ21,22をオンオフさせる温調モード、即ち、焼成中の状態にする。
【0044】
さらに前記焼成中の状態になれば、操作表示制御部は、操作パネル20Eの動作情報45を「焼成中」の表示にすると共に、調理開始からの経過時間に応じて残時間情報44の表示を逐次変更させる。また、操作パネル20Eのバックライトは、前記焼成可の状態と同様の状態で維持する。
【0045】
尚、前記焼成中の状態のときに、動作キャンセルスイッチ20Dが押されて調理の停止が指示された場合、開閉制御部は、プラテン12を所定の開位置まで開く。そして、加熱制御部による下熱板14および上熱板15の温度制御および操作表示制御部による操作パネル20Eの動作制御を、前記焼成可の状態に戻す。
【0046】
ところで、食材を冷凍の状態から調理する場合、下熱板14の上面略中央位置に食材が載置されると、その下方および上方に配された熱板温度センサ23,24に食材の温度が直接的に伝達される。その結果、
図7および
図8に示すように、各熱板温度センサ23,24の検出温度T1,T2は、熱板ヒータ21,22がオン状態になった後も一定時間降下し続け、ヒータオフ温度Taを大きく下回る。
【0047】
そこで、加熱制御部は、
図7に示すように、前記検出温度T1,T2がヒータオフ温度Taより低い状態で調理の開始が指示された場合において、焼成中の状態のときに、前記検出温度T1,T2がヒータオン温度Tbより低い所定の第1補完判定温度Tuまで降下すれば、同検出温度T1,T2がヒータオフ温度Taより低く且つ前記第1補完判定温度Tuより高い所定の補完オフ温度Tcまで上昇した時点で、対応する熱板ヒータ21,22をオフにする第1の補完モードAに移行する。
【0048】
或いは、
図8に示すように、前記検出温度T1,T2がヒータオフ温度Ta以上の状態で調理の開始が指示された場合において、焼成中の状態のときに、前記検出温度T1,T2が調理開始時の温度である開始温度Xから所定温度減じた第2補完判定温度Txまで降下すれば、同検出温度T1,T2がヒータオフ温度Taより低く且つ前記第2補完判定温度Txより高い所定の補完オフ温度Tcまで上昇した時点で、対応する熱板ヒータ21,22をオフにする第2の補完モードBに移行する。
【0049】
尚、設定調理温度Tsがグリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定されている場合、第1補完判定温度Tu、補完オフ温度Tc、および第2補完判定温度Txも設定調理温度Tsに合わせて、グリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定される。
【0050】
前記のように熱板14,15の温度が大幅に降下した後、再び上昇に転じた段階で熱板ヒータ21,22をオフにしても、食材は熱板14,15の予熱により加熱され続けるが、その間に食材に加えられる単位時間あたりの熱量は、熱板ヒータ21,22がオン状態のときに比べて小さくなる。そこで、加熱制御部は、
図7および
図8に示すように、前記補完モードA又は補完モードBにおいて、熱板ヒータ21,22をオフにした後、前記検出温度T1,T2がヒータオン温度Tbより低い所定の補完オン温度Tdまで上昇した段階で、対応する熱板ヒータ21,22をオンにして、再び通常の温調モードに移行する。
【0051】
尚、設定調理温度Tsがグリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定されている場合、補完オン温度Tdも設定調理温度Tsに合わせて、グリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定される。
【0052】
このように、前記両面焼き調理器1によれば、調理する食材の種類を操作パネル20Eで選択すれば、調理開始の指示に応じてプラテン12が閉じられたとき、プラテン12の高さ位置が、選択された食材に対応する設定高さに自動調整されるから、使用者の熟練度が異なっても、食材の種類に適した熱板間隔で調理できる。これにより、食材の上面側と下面側とで焼き加減にばらつきが生じ難く、調理性能が格段に向上する。また、食材の種類が変わる度にプラテン12の設定高さを確認したり調整したりする手間も省けるから、利便性も格段に向上する。
【0053】
しかも、このものでは、食材を冷凍の状態から調理する際に、下熱板14の上面略中央位置に前記食材が載置された結果、熱板温度センサ23,24の検出温度T1,T2がヒータオン温度Tbを大きく下回って第1補完判定温度Tuに達するか、或いは、調理の開始温度Xを大きく下回って第2補完判定温度Txに達した場合は、同検知温度T1,T2が再びヒータオフ温度Taまで上昇するのを待たずに、対応する熱板ヒータ21,22をオフにするから、食材が過剰に熱せられるのを抑制できる。よって、焼き加減のばらつきが一層生じ難く、調理性能が一層向上する。
【0054】
さらに、このものでは、グリドル11側とプラテン12側とでそれぞれ異なる設定調理温度Tsに調整することで、ヒータオフ温度Taやヒータオン温度Tb、補完オフ温度Tc、補完オン温度Tdもそれぞれ、グリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定されるから、食材の上下両面をそれぞれ適切に加熱することが可能である。よって、焼き加減のばらつきがより一層生じ難く、調理性能がより一層向上する。
【0055】
また、食材の種類によっては、使用者が意図して食材を上面側と下面側とで異なる加熱度合で調理したい場合もあるが、前記のようにグリドル11側とプラテン12側とでそれぞれ異なる設定調理温度Tsを設定すれば、ヒータオフ温度Taやヒータオン温度Tb、補完オフ温度Tc、補完オン温度Tdもそれぞれ、設定調理温度Tsに合わせてグリドル11側とプラテン12側とで異なる値に設定されるから、食材を所望の加熱状態に仕上げることができる。よって、調理の多様性も向上する。
【0056】
上記実施の形態では、調理中、プラテン12の設定高さは常に一定で保持されるが、所定時間が経過するのに合わせてプラテン12の設定高さを自動で調整可能なものとしてもよい。詳述すると、制御回路100の記憶部には、調理中における単位時間毎(例えば、30秒毎)のプラテン12の設定高さが記憶されており、計時部は、調理の開始が指示されてプラテン12の閉動作が自動停止された時点より、前記単位時間が経過したか否かの監視を開始する。高さ制御部は、調理の開始後、前記単位時間が経過する毎にアクチュエータ35を作動させて、調理中のプラテン12の設定高さに相当する高さ位置まで高さセンサ34を移動させる。尚、プラテン12の設定高さは、調理中に一回のみ調整されるものとしてもよいし、調理中に複数回調整されるものとしてもよい。
【0057】
このものでは、調理中に食材が膨張し或いは収縮して厚みが変化しても、経過時間に合わせてプラテン12の高さ位置を自動で調整させることができるから、食材の厚みに適した熱板間隔で調理できる。これにより、食材の上面側と下面側とで焼き加減にばらつきが一層生じ難く、調理性能がより一層向上する。また、調理中、食材の厚みの変化に合わせてプラテン12の設定高さを手動で調整する手間も省けるから利便性も一層向上する。
【0058】
また、上記実施の形態では、各熱板14,15の裏面側の略中央位置に熱板温度センサ23,24が配置されたものを説明したが、各熱板14,15の全体の温度を正確に検出可能であれば、各熱板14,15の裏面側の中央位置よりも前後又は左右に偏心した位置に熱板温度センサ23,24が配置されたものとしてもよい。