特許第6775100号(P6775100)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775100請求情報管理装置、請求情報管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6775100
(24)【登録日】2020年10月7日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】請求情報管理装置、請求情報管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/04 20120101AFI20201019BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20201019BHJP
【FI】
   G06Q30/04
   G06Q50/10
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2020-530531(P2020-530531)
(86)(22)【出願日】2020年5月7日
(86)【国際出願番号】JP2020018581
【審査請求日】2020年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516380407
【氏名又は名称】ファーストアカウンティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】森 啓太郎
【審査官】 渡邉 加寿磨
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−66334(JP,A)
【文献】 特表2012−517637(JP,A)
【文献】 特開2015−8019(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0218438(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0116932(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
G16H 10/00 − 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の請求書に記載された請求額と、前記複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、前記複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶する記憶部と、
第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び前記第1請求書を発行した事業者の前記発行事業者識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、を比較する比較部と、
前記比較部が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力する出力部と、
を有する請求情報管理装置。
【請求項2】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された商品の金額である第1金額と、前記一以上の第2請求書に記載された商品の金額である第2金額とを比較し、
前記出力部は、前記第1金額が前記第2金額よりも前記所定の条件に相当する差以上高い場合に前記通知情報を出力する、
請求項1に記載の請求情報管理装置。
【請求項3】
前記比較部は、予め設定された期間内に連続して記載された同一の金額を前記第2金額として、前記第1金額と比較する、
請求項2に記載の請求情報管理装置。
【請求項4】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された前記商品の個数である第1個数と、前記一以上の第2請求書に記載された前記商品の個数である第2個数とを比較し、
前記出力部は、前記第1個数が前記第2個数よりも前記所定の条件に相当する差以上多い場合に前記通知情報を出力する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の請求情報管理装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、前記第1発行日以降に前記第1請求書を発行した事業者が発行した後続請求書に記載された商品の金額又は個数と、をさらに比較し、
前記出力部は、当該比較結果が一致していることを条件として前記通知情報を出力する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の請求情報管理装置。
【請求項6】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された複数の商品それぞれに対して、前記一以上の第2請求書に記載された同じ商品の金額又は個数と比較し、
前記出力部は、前記複数の商品のうち、前記比較部が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している商品を特定するための情報を含む前記通知情報を出力する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の請求情報管理装置。
【請求項7】
前記記憶部は、商品に関連付けて、当該商品の価格又は発注数が変更になった日である変更日をさらに記憶し、
前記比較部は、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第2発行日が前記第1発行日よりも前であり、かつ前記変更日よりも後の前記一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数とを比較する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の請求情報管理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記第1請求書に記載された商品の金額が所定の基準額よりも閾値以上大きい場合に前記通知情報を出力する、
請求項1から7のいずれか一項に記載の請求情報管理装置。
【請求項9】
コンピュータが実行する、
複数の請求書に記載された請求額と、前記複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、前記複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶部に記憶させるステップと、
第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び前記第1請求書を発行した事業者の前記発行事業者識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、を比較するステップと、
比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力するステップと、
を有する請求情報管理方法。
【請求項10】
コンピュータを、
複数の請求書に記載された請求額と、前記複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、前記複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部、
第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び前記第1請求書を発行した事業者の前記発行事業者識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、を比較する比較部、及び
前記比較部が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力する出力部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求情報管理装置、請求情報管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
請求書の画像データから商品名及び金額を読み取り、読み取った商品名及び金額に基づいて仕訳データを作成する会計処理システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−173935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
企業は同じ商品を定期的に購入する場合がある。このような場合であっても、商品を購入する企業の管理者が知らないうちに購入する商品の金額が変更されていたり、企業の管理者が知らないうちに発注個数が増加していたりすることがある。商品が値上げされている場合、商品を購入する企業においては、請求書を発行した会社に理由を確認したり、他社の商品に切り替えたりすることを検討する余地がある。発注個数が増加している場合、値引き交渉をする余地がある。しかしながら、管理者は大量の請求書を処理するため、請求書の発行元が商品の価格を変更していたり、商品の発注個数が増加したりしていても気付かないまま放置されてしまう場合があるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、請求書の受領者が、商品の購入価格又は購入数が変わったことに気付きやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の請求情報管理装置は、複数の請求書に記載された請求額と、前記複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、前記複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶する記憶部と、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び前記第1請求書を発行した事業者の前記発行事業者識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、を比較する比較部と、前記比較部が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された商品の金額である第1金額と、前記一以上の第2請求書に記載された商品の金額である第2金額とを比較し、前記出力部は、前記第1金額が前記第2金額よりも前記所定の条件に相当する差以上高い場合に前記通知情報を出力してもよい。
【0008】
前記比較部は、予め設定された期間内に連続して記載された同一の金額を前記第2金額として、前記第1金額と比較してもよい。
【0009】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された前記商品の個数である第1個数と、前記一以上の第2請求書に記載された前記商品の個数である第2個数とを比較し、前記出力部は、前記第1個数が前記第2個数よりも前記所定の条件に相当する差以上多い場合に前記通知情報を出力してもよい。
【0010】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、前記第1発行日以降に前記第1請求書を発行した事業者が発行した後続請求書に記載された商品の金額又は個数と、をさらに比較し、前記出力部は、当該比較結果が一致していることを条件として前記通知情報を出力してもよい。
【0011】
前記比較部は、前記第1請求書に記載された複数の商品それぞれに対して、前記一以上の第2請求書に記載された同じ商品の金額又は個数と比較し、前記出力部は、前記複数の商品のうち、前記比較部が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している商品を特定するための情報を含む前記通知情報を出力してもよい。
【0012】
前記記憶部は、商品に関連付けて、当該商品の価格又は発注数が変更になった日である変更日をさらに記憶し、前記比較部は、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第2発行日が前記第1発行日よりも前であり、かつ前記変更日よりも後の前記一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数とを比較してもよい。
【0013】
前記出力部は、前記第1請求書に記載された商品の金額が所定の基準額よりも閾値以上大きい場合に前記通知情報を出力してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様の請求情報管理方法は、コンピュータが実行する、複数の請求書に記載された請求額と、前記複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、前記複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶部に記憶させるステップと、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び前記第1請求書を発行した事業者の前記発行事業者識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、を比較するステップと、比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力するステップと、を有する。
【0015】
本発明の第3の態様のプログラムは、コンピュータを、複数の請求書に記載された請求額と、前記複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、前記複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶部に記憶させる記憶制御部、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、前記第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び前記第1請求書を発行した事業者の前記発行事業者識別情報に関連付けて前記記憶部に記憶された一以上の第2請求書に記載された前記商品の金額又は個数と、を比較する比較部、及び前記比較部が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力する出力部、として機能させる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、請求書の受領者が、商品の購入価格又は購入数が変わったことに気付きやすくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】請求情報管理装置の概要を説明するための図である。
図2】請求情報管理装置を使用して請求書を管理する事業者が受領する請求書の一例を示す図である。
図3】請求情報管理装置の機能構成を示す図である。
図4】記憶部が記憶する請求書情報データベースの一例を示す図である。
図5】請求情報管理装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[請求情報管理装置1の概要]
図1は、請求情報管理装置1の概要を説明するための図である。請求情報管理装置1は、読取装置2(例えばスキャナ又はデジタルカメラ)が請求書を読み取ることによって生成された請求書画像データを取得し、請求書画像データに含まれる文字列を解析した結果を用いて請求書を管理するための装置であり、例えばコンピュータである。請求情報管理装置1は、1台のコンピュータにより構成されていてもよく、複数のコンピュータにより構成されていてもよい。
【0019】
図2は、請求情報管理装置1を使用して請求書を管理する事業者が受領する請求書の一例を示す図である。図2に示す請求書には、請求書を発行した事業者(以下、「発行事業者」という。)の名称、住所、連絡先が記載されている。また、請求の対象となる商品が購入された個数及び購入した商品の金額(すなわち請求額)が記載されている。請求情報管理装置1は、これらの情報を請求書情報データベースに登録して管理する。
【0020】
請求情報管理装置1は、同一の事業者が定期的に発行する複数の請求書の内容を分析し、請求書に記載された商品の金額又は商品の個数等に変化が生じている場合に、変化が生じていることと変化の内容を管理者に通知する。管理者は、例えば、請求書を受領した会社の経理担当者のように会社の経理業務に関わっている人、当該会社の購買業務に関わっている人、又は当該会社の代表者である。
【0021】
大量の請求書を処理している管理者は、商品の金額の変化や商品の購入数の変化に気づくことが容易ではないが、請求情報管理装置1が、商品の金額の変化や商品の購入数の変化が生じていることを通知することで、管理者が早期に変化に気づくことができる。商品の金額が高くなっている場合、管理者は、請求書を発行した事業者、又は商品を発注した担当者に金額について確認することにより、必要以上の額の支払いをしてしまうことを未然に防ぐことが可能になる。また、商品の購入数が増えている場合、管理者は、請求書を発行した事業者と価格交渉をしたり、購入数が妥当であるかどうかを発注担当者に確認したりすることにより、経費の削減をすることが可能になる。
【0022】
[請求情報管理装置1の機能構成及び動作]
図3は、請求情報管理装置1の機能構成を示す図である。請求情報管理装置1は、表示部11と、通信部12と、記憶部13と、制御部14とを有する。制御部14は、文字列特定部141と、比較部142と、出力部143とを有する。
【0023】
表示部11は、情報を表示するディスプレイである。表示部11は、出力部143の指示に基づいて、請求書に含まれている各種のデータを一覧表示したり、請求書の内容に変化があったことを示す通知情報を表示したりする。
【0024】
通信部12は、ネットワーク(例えばイントラネット又はインターネット)に接続するための通信インターフェースであり、他のコンピュータとの間でデータを送受信するための通信コントローラを有する。通信部12は、例えば、請求書に含まれている各種のデータ、及び請求書の内容に変化があったことを示す通知情報を他のコンピュータに送信する。
【0025】
他のコンピュータは、例えば管理者が使用するコンピュータである。管理者は、自身のコンピュータに通知情報が届いた時点で、請求書に記載された金額又は個数が、過去の請求書に記載されていた金額又は個数と異なっていることを認識することができる。通知情報には、請求書情報データベースにアクセスするためのリンク情報が含まれており、管理者は、当該リンク情報をクリックすることで、通知情報に対応する複数の請求書に含まれていたデータを時系列に閲覧することができる。
【0026】
記憶部13は、例えばROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びハードディスク等の記憶媒体を有する。記憶部13は、制御部14が実行するプログラムを記憶する。また、記憶部13は、読取装置2から取得された請求書画像データを記憶する。
【0027】
記憶部13は、さらに、請求書画像データから抽出された、請求書に記載された各種のデータが登録された請求書情報データベースを記憶する。具体的には、記憶部13は、複数の請求書に記載された請求額と、複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、複数の請求書の発行日と、が関連付けられた請求書情報データベースを記憶する。
【0028】
図4は、記憶部13が記憶する請求書情報データベースの一例を示す図である。図4に示す請求書情報データベースにおいては、発行事業者識別情報の一例としての発行事業者名と、請求書の発行日と、複数の商品それぞれの請求額と、複数の商品それぞれの購入数とが関連付けられている。請求書情報データベースにおいては、請求書を特定するための請求書識別情報(例えば請求書番号)がさらに含まれていてもよい。
【0029】
図4(a)に示す例においては、複数の発行事業者が発行した多数の請求書に関連付けられた多数の情報のうち、「田中商事」が毎月末に発行した請求書に記載された情報のみが抽出された状態で示されている。図4(b)に示す例においては、複数の発行事業者が発行した多数の請求書に関連付けられた多数の情報のうち、「佐藤食品」が毎月末に発行した請求書に記載された情報のみが抽出された状態で示されている。通知情報を受けた管理者は、例えば図4に示すような一覧データを閲覧することができる。管理者は、一覧データの一部のデータをクリックすることで、当該データが記載されていた請求書の請求書画像データを表示することもできる。
【0030】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部14は、記憶部13に記憶されたプログラムを実行することにより、文字列特定部141、比較部142及び出力部143として機能する。
【0031】
文字列特定部141は、読取装置2によって生成された請求書画像データを取得し、取得した請求書画像データに基づいて、請求書に含まれている複数の文字列を特定する。文字列特定部141は、例えばOCR処理を実行することにより、請求書画像データに基づいて、請求書に含まれている文字列を特定する。文字列特定部141が特定する文字列は、例えば、発行事業者名、発行日、各商品の請求額、及び各商品の購入数であり、請求書情報データベースに登録される情報に対応する文字列である。文字列特定部141は、例えば人工知能エンジンを搭載しており、例えば、画像データと文字列との関係を教師データとして深層学習して構築された機械学習モデルを使用することにより、高い精度で文字列を特定する。
【0032】
文字列特定部141は、複数の請求書に記載された請求額と、複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、複数の請求書の発行日とを関連付けて記憶部13に記憶させる記憶制御部として機能する。すなわち、文字列特定部141は、請求書に含まれている文字列を特定すると、特定した文字列のうち請求書情報データベースに登録すべき文字列を、記憶部13における当該文字列に対応する領域に格納する。文字列特定部141は、特定した文字列を比較部142に通知してもよい。
【0033】
比較部142は、請求書情報データベースを参照することにより、第1発行日に発行された第1請求書と、第1発行日よりも前の一以上の第2発行日に、第1請求書を発行した事業者によって発行された第2請求書とを比較する。第1発行日は、請求書に記載された金額又は個数をチェックする対象となる請求書の発行日であり、例えば、請求書情報データベースに新たに登録された請求書の発行日である。
【0034】
比較部142は、第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、一以上の第2発行日及び第1請求書を発行した事業者の発行事業者識別情報に関連付けて記憶部13に記憶された一以上の第2請求書に記載された商品の金額又は個数と、を比較する。比較部142は、例えば、第1請求書に記載された複数の商品それぞれに対して、一以上の第2請求書に記載された同じ商品の金額又は個数と比較する。比較部142は、比較した結果として、金額差又は個数差を出力部143に通知する。
【0035】
出力部143は、比較部142から通知された比較結果に基づく通知情報を出力する。出力部143は、例えば、最新の請求書(第1請求書)に記載された商品の金額又は個数が、過去の請求書(第2請求書)に記載された商品の金額又は個数と大きく異なっている場合に、第1請求書及び第2請求書の発行事業者名、該当する商品名、及び金額又は個数の変化量等を含む通知情報を出力する。出力部143は、第1請求書及び第2請求書に対応するデータにアクセスするためのリンク情報を含む通知情報を出力してもよい。出力部143は、通知情報を表示部11に出力して表示させてもよく、通信部12を介して外部のコンピュータに送信してもよい。管理者は、出力された通知情報を確認することにより、適切な対応をすることが可能になる。
【0036】
以下、比較部142及び出力部143の動作の詳細を説明する。一例として、比較部142は、第1請求書に記載された商品の金額である第1金額と、一以上の第2請求書に記載された商品の金額である第2金額とを比較する。
【0037】
図4(a)に示した請求書情報データベースの例において、最新の請求書が発行された日である第1発行日が2019年8月31日であるとすると、比較部142は、2019年8月31日に発行された請求書に記載されているコピー用紙の金額である第1金額(5,830円)と、2019年8月31日よりも前に発行された複数の請求書それぞれに記載されているコピー用紙の金額である第2金額とを比較する。同様に、比較部142は、2019年8月31日に発行された請求書に記載されているインクの金額である第1金額(4,400円)と、2019年8月31日よりも前に発行された複数の請求書それぞれに記載されているインクの金額である第2金額とを比較する。
【0038】
比較部142は、2019年8月に発行された請求書に記載されているコピー用紙の金額は、2019年8月に発行された請求書に記載されているコピー用紙の金額と一致していないと判定する。比較部142は、330円の差額が生じていることを出力部143に通知する。比較部142は、インクの金額には変化がないと判定する。
【0039】
ところで、毎月の請求額又は発注数が変動している商品については、管理者が金額又は個数の変化を監視する重要度が低いと考えられ、このような場合においても金額又は個数が変化したことを示す通知情報を出力部143が出力すると、管理者の業務が煩雑になってしまう。そこで、比較部142は、予め設定された期間内に連続して記載された同一の金額を第2金額として、第1金額と比較する。比較部142は、予め設定された期間にわたって同一の金額が続いていない場合、第1金額と第2金額とを比較しない。個数についても同様である。
【0040】
図4(a)に示す例において、予め設定された期間が6ヶ月間だとする。この場合、出力部143は、2019年8月において、2019年2月から7月までの6ヶ月間に発行された請求書に記載されたコピー用紙の金額5,500円と、2019年8月に発行された請求書に記載されたコピー用紙の金額5,830円とを比較する。比較部142は、2019年8月に発行された請求書に記載されているコピー用紙の金額が、2019年2月から2019年7月までに発行された全ての請求書に記載されているコピー用紙の同一金額よりも高いと判定し、出力部143が通知情報を出力する。比較部142及び出力部143がこのように動作することで、毎月の請求額が同一の商品が比較対象となるため、それ以外の商品の金額が変化したことが管理者に通知されることが抑制される。
【0041】
また、比較部142は、第1請求書に記載された商品の個数である第1個数と、一以上の第2請求書に記載された商品の個数である第2個数とを比較する。図4(b)に示した請求書情報データベースの例において、最新の請求書が発行された日である第1発行日が2019年8月31日であるとすると、比較部142は、2019年8月31日に発行された請求書に記載されているお茶の個数である第1個数(20個)と、2019年8月31日よりも前に発行された複数の請求書それぞれに記載されているお茶の個数である第2個数とを比較する。
【0042】
比較部142は、2019年8月に発行された請求書に記載されているお茶の個数は、2019年6月及び2019年7月に発行された請求書に記載されているお茶の個数と一致していると判定する。また、比較部142は、2019年8月に発行された請求書に記載されているお茶の個数は、2019年1月から2019年5月に発行された請求書に記載されているお茶の個数よりも多いと判定する。比較部142は、コーヒー豆の個数には変化がないと判定する。
【0043】
さらに、比較部142は、2019年8月に発行された請求書に記載されているお茶の金額が、2019年1月から2019年5月に発行された請求書に記載されているお茶の金額よりも多いと判定する。比較部142は、判定結果を出力部143に通知し、出力部143は、個数に変化があったことを示す通知情報を出力する。
【0044】
図4(b)に示すように金額及び個数の両方が変化している場合、比較部142は、商品の単価を算出し、単価を比較してもよい。図4(b)に示す例の場合、比較部142は、お茶の単価は変化しておらず、発注された個数が増加したと判定する。単価が増加している場合、比較部142は、個数及び単価の両方が増加していることを出力部143に通知し、出力部143は、個数及び単価の両方が増加していることを示す通知情報を出力する。
【0045】
出力部143は、比較部142が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力してもよい。所定の条件は、例えば、管理者により設定された金額差又は個数差である。所定の条件は、比較した結果が、連続して発行された複数の請求額に記載された一定の金額又は個数に、管理者により設定された割合が乗算された値以上であることであってもよい。
【0046】
出力部143は、金額に差が生じているという比較結果が比較部142から入力された場合、例えば、第1発行日に対応する第1金額が、第1発行日よりも前の第2発行日に対応する第2金額よりも所定の条件に相当する差以上高い場合に通知情報を出力する。図4(a)に示す例において、所定の条件に相当する金額差が、直前の月までの一定金額に対して5%以上であるとした場合、2019年8月31日発行の請求書におけるコピー用紙の金額5,830円は、直前の月までの金額である5,500円に対して5%以上高くなっている。そこで、出力部143は、2019年7月31日の請求書が請求書情報データベースに登録された時点で、金額が増加していることを示す通知情報を出力する。
【0047】
出力部143は、個数に差が生じているという比較結果が比較部142から入力された場合、例えば、第1個数が第2個数よりも所定の条件に相当する差以上多い場合に通知情報を出力する。図4(b)に示す例において、所定の条件に相当する個数差が、直前の月の個数に対して2倍以上であるとした場合、2019年6月30日発行の請求書におけるお茶の個数20個は、直前の月までの一定個数である10個に対して2倍になっている。そこで、出力部143は、2019年6月30日の請求書が請求書情報データベースに登録された時点で、個数が増加していることを示す通知情報を出力する。
【0048】
ところで、1回の請求書において金額又は個数が変化しただけであれば、管理者が当該変化を把握する必要がないという場合も想定される。そこで、比較部142は、第1請求書(例えば2019年8月31日発行の請求書)に記載された商品の金額又は個数と、第1発行日以降に第1請求書を発行した事業者が発行した後続請求書(例えば2019年9月30日発行の請求書)に記載された商品の金額又は個数と、をさらに比較してもよい。第1請求書の金額又は個数と比較する後続請求書の数は、任意であり、例えば管理者により設定される。
【0049】
比較部142がこのように動作する場合、出力部143は、第1請求書に記載された金額又は個数と後続請求書に記載された金額又は個数との比較結果が一致しており、かつ第1請求書に記載された金額又は個数が、過去の第2請求書に記載された金額又は個数と異なっていることを条件として、金額又は個数が変化したことを示す通知情報を出力する。比較部142及び出力部143がこのように動作することで、1回の請求書における金額又は個数が変化しただけでは、変化があったことが管理者に通知されないので、管理者が確認をする対象となる件数を減らすことができる。
【0050】
ここで、金額又は個数が変化している場合であっても、商品の価格又は発注数が変更されたということを管理者が把握している場合、請求書に記載された金額又は個数に変化が生じたとしても、出力部143が通知情報を出力する必要はない。そこで、通信部12は、商品に関連付けて、当該商品の価格又は発注数が変更になった日である変更日をさらに記憶してもよい。当該変更日は、例えば管理者によって設定される。
【0051】
この場合、比較部142は、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、第2発行日が第1発行日よりも前であり、かつ変更日よりも後の一以上の第2請求書に記載された商品の金額又は個数とを比較する。すなわち、比較部142は、商品の価格又は発注数が変更になったことを管理者が把握している時点よりも前に発行された請求書に記載された金額又は個数を比較対象とせず、管理者が価格又は発注数が変更されたと認識していない期間に発行された請求書を比較の対象とする。比較部142がこのように動作することで、商品の価格又は発注数が変更になったことを管理者が把握しているにもかかわらず管理者に通知情報が通知されてしまうことを抑制できる。
【0052】
ところで、第1請求書に記載された商品の金額が、当該商品の相場額と大きく乖離している場合、当該商品の金額が過去の請求書に記載された金額から変化しているか否かによらず問題である。そこで、出力部143は、第1請求書に記載された商品の金額が、所定の基準額よりも閾値以上大きい場合に、相場額と乖離していることを示す通知情報を出力してもよい。所定の基準額は、予め記憶部13に記憶されていてもよく、相場額を提供する外部装置から取得してもよい。閾値は、予め管理者により設定された値である。出力部143がこのように動作することで、発注担当者が取引先からキックバックを得る不正をするリスクを低減させることができる。また、相場額が下がった際に相場額よりも高く商品を購入してしまうことを防ぐことができる。
【0053】
[請求情報管理装置1の動作の流れ]
図5は、請求情報管理装置1の動作の流れを示すフローチャートである。図5に示すフローチャートは、請求書画像データが文字列特定部141に入力された時点から開始している。
【0054】
文字列特定部141に第1請求書の請求書画像データが入力されると、文字列特定部141は、請求書画像データに含まれている文字列を特定する(S11)。比較部142は、文字列特定部141が特定した文字列のうち発行事業者名を特定し(S12)、請求書情報データベースにアクセスして、過去の請求書データ(すなわち第2請求書のデータ)を参照する(S13)。
【0055】
比較部142は、第1請求書と第2請求書に同一の商品の名称が含まれているか否かを判定する(S14)。比較部142は、同一の商品の名称が含まれていないと判定した場合(S14においてNO)、処理を終了する。比較部142は、同一の商品の名称が含まれていると判定した場合(S14においてYES)、S15に進んで、当該商品の金額が増加しているか否かを判定する(S15)。
【0056】
商品の金額が増加していると比較部142が判定した場合(S15においてYES)、出力部143は、金額が増加していることを示す第1通知情報を作成して(S16)、S17に進む。商品の金額が増加していないと比較部142が判定した場合(S15においてNO)、出力部143は、第1通知情報を作成しない。
【0057】
続いて、比較部142は、商品の個数が増加しているか否かを判定する(S17)。商品の個数が増加していると比較部142が判定した場合、出力部143は、個数が増加したことを示す第2通知情報を作成する(S18)。商品の個数が増加していないと比較部142が判定した場合、第2通知情報を作成しない。出力部143は、第1通知情報又は第2通知情報のうち、少なくともいずれかが作成された場合、金額又は個数が変化したことを示す通知情報を出力する(S19)。
【0058】
[変形例]
以上の説明においては、出力部143が、請求書に記載された金額又は個数が過去の請求書に記載された金額又は個数よりも大きくなった場合に通知情報を出力する場合を例示したが、出力部143が通知情報を出力する条件はこれに限らない。出力部143は、請求書に記載された金額又は個数が過去の請求書に記載された金額又は個数よりも小さくなった場合に通知情報を出力してもよい。出力部143がこのように動作することで、請求情報管理装置1を使用する管理者が、請求書に誤りがないかどうかを請求書の発行事業者に確認することが可能になる。
【0059】
[請求情報管理装置1による効果]
以上説明したように、比較部142は、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、第1発行日よりも前の一以上の第2発行日に第1請求書を発行した事業者により発行された一以上の第2請求書に記載された商品の金額又は個数とを比較する。そして、出力部143は、比較部142が比較した結果が所定の条件を満たす場合に、その旨を示す通知情報を出力する。比較部142及び出力部143がこのように動作することで、例えば管理者が通知情報を確認することで、請求書に記載された金額又は個数の変化内容に応じた対応をとることができる。
【0060】
例えば、商品が値上げされている場合、管理者は、請求書を発行した会社に理由を確認したり、他社の商品に切り替えたりすることが可能になる。また、発注個数が増加している場合、管理者は値引き交渉をすることが可能になる。
【0061】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0062】
例えば、以上の説明においては、記憶部13が請求情報管理装置1に設けられている場合を例示したが、記憶部13が請求情報管理装置1の外部装置に設けられていてもよい。この場合、請求情報管理装置1と外部装置とが組み合わさって請求情報管理装置として機能する。
【符号の説明】
【0063】
1 請求情報管理装置
2 読取装置
11 表示部
12 通信部
13 記憶部
14 制御部
141 文字列特定部
142 比較部
143 出力部
【要約】
請求情報管理装置1は、複数の請求書に記載された請求額と、複数の請求書を発行した事業者を識別する発行事業者識別情報と、複数の請求書の発行日と、を関連付けて記憶する記憶部13と、第1発行日に発行された第1請求書に記載された商品の金額又は個数と、第1発行日よりも前の一以上の第2発行日、及び第1請求書を発行した事業者の発行事業者識別情報に関連付けて記憶部13に記憶された一以上の第2請求書に記載された商品の金額又は個数と、を比較する比較部142と、比較部142が比較した結果が所定の条件を満たす差を示している場合に、差が生じていることを示す通知情報を出力する出力部143と、を有する。
図1
図2
図3
図4
図5