特許第6775239号(P6775239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三鷹光器株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6775239-エアーモーター 図000002
  • 特許6775239-エアーモーター 図000003
  • 特許6775239-エアーモーター 図000004
  • 特許6775239-エアーモーター 図000005
  • 特許6775239-エアーモーター 図000006
  • 特許6775239-エアーモーター 図000007
  • 特許6775239-エアーモーター 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775239
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】エアーモーター
(51)【国際特許分類】
   F01D 21/00 20060101AFI20201019BHJP
   F01D 1/30 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   F01D21/00 M
   F01D1/30
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-114062(P2016-114062)
(22)【出願日】2016年6月8日
(65)【公開番号】特開2017-217222(P2017-217222A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390013033
【氏名又は名称】三鷹光器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 勝重
【審査官】 北村 一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−023058(JP,A)
【文献】 特開昭56−096174(JP,A)
【文献】 特開2012−026455(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第00876883(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
F01D 1/00−11/24
F01D 13/00−15/12;23/00−25/36
F01C 1/00−21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸を中心に有する羽根車が回転自在に収納され、羽根車をそれぞれ正方向及び逆方向へ回転させるべく羽根車に対して圧縮気体を吹出し自在な正吹出路と逆吹出路の下流端がそれぞれ接続され、羽根車に対して回転力を作用させた後の圧縮気体を排出する排気口が形成され、羽根車に対して所定の付勢力で接触するブレーキが収納された第1室と、
正吹出路及び逆吹出路の上流端が接続され、いずれか一方へ選択的に圧縮気体が供給される正給気路及び逆給気路の下流端が接続され、ブレーキと一体でブレーキの羽根車に対する接離方向で移動自在なピストンが収納され、該ピストンが正・逆吹出路の各上流端と正・逆給気路の各下流端をブレーキの付勢力により閉塞自在で且つ正・逆給気路のいずれか一方に圧縮気体が供給された場合のみ付勢力に抗してブレーキごと羽根車から離反する方向へ移動して正・逆吹出路の各上流端と正・逆給気路の各下流端をそれぞれ開放して第1室側への圧縮気体の流れを許容する第2室と、
正給気路と逆給気路の途中に両者を連通する状態で形成され、正給気路及び逆給気路を選択的に閉塞自在なブロックを移動自在に収納し、該ブロックが正給気路及び逆給気路のいずれか一方側に供給された圧縮気体の圧力により他方側へ移動して他方側のみ閉塞する第3室と、
を備えたことを特徴とするエアーモーター。
【請求項2】
第3室よりも上流側の正給気路と逆給気路は下流側の正給気路と逆給気路よりも間隔が広がっており、
ブロックは第3室の上流の正給気路又は逆給気路側からの圧縮気体の圧力を側面で選択的に受けることにより第3室内を移動自在であり、移動した側においてブロックの側面以外の下流側の面で、下流側の正給気路又は逆給気路を閉塞自在であり、
ブロックの両側には第3室の壁を貫通するシャフトがそれぞれ形成され、
シャフトの先端にはシャフトより大径で第3室の壁に係合することによりブロックの第3室内での移動量を規制するストッパが形成され、
該ストッパによりブロックが閉塞している正給気路又は逆給気路側においてそれぞれブロックの側面が圧縮気体の圧力を受けるべく上流の正給気路又は逆給気路に対して露出した状態となることを特徴とする請求項1記載のエアーモーター。
【請求項3】
ストッパがブロックによる正給気路又は逆給気路のいずれかの閉塞時に同じ側の正吹出路又は逆吹出路を閉塞することを特徴とする請求項2記載のエアーモーター。
【請求項4】
羽根車の出力軸を中心にした対称位置に重量軽減孔が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアーモーター。
【請求項5】
正吹出路及び逆吹出路の下流端が複数に分岐されて第1室に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアーモーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエアーモーター、特に電磁場対策が必要な医療現場等での使用に好適なエアーモーターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
手術室内にMRIを設置して手術中にMRI画像を撮影しながら画像誘導の手術を行う試みが開始されている。MRIが設置された手術室内では医療機器から電磁波等の電気ノイズが発生するとMRI画像に悪影響を与えるため手術室内で使用される医療機器には電気モーターを使用することができない。
【0003】
そのため空気等の圧縮気体で駆動するエアーモーターが用いられる。この種のエアーモーターは圧縮気体で回転する羽根車を有し、その羽根車の回転中心に形成された出力軸から動力を得る構造になっている。医療機器では単なる動力だけでなく必要な回転量を正確に得ることが求められるため、羽根車にはブレーキが組み合わされている。
【0004】
ブレーキは羽根車に接触する方向に常時付勢されており、圧縮気体が羽根車に供給されていない状態ではブレーキが羽根車に接触して回転が停止される。ブレーキには羽根車の下流側に位置するピストンが一体形成され、羽根車を通過した排気の圧力がそのピストンに作用してピストンがブレーキごと羽根車から離れる方向に移動し羽根車が回転可能となる。圧縮気体の供給を停止すると排気の圧力が無くなりブレーキは再び付勢力により羽根車に接触して回転が停止される。このように圧縮気体の供給時のみ回転し、供給を停止するとブレーキにより回転が停止する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3557174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような関連技術にあっては、ブレーキを稼働させるピストンが羽根車の下流側に設けられているため、圧縮気体の供給タイミングに対してブレーキの稼働タイミングが遅くなり、その分回転制御が困難であった。
【0007】
本発明は、このような関連技術に着目してなされたものであり、回転制御が容易なエアーモーターを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の側面は、出力軸を中心に有する羽根車が回転自在に収納され、羽根車をそれぞれ正方向及び逆方向へ回転させるべく羽根車に対して圧縮気体を吹出し自在な正吹出路と逆吹出路の下流端がそれぞれ接続され、羽根車に対して回転力を作用させた後の圧縮気体を排出する排気口が形成され、羽根車に対して所定の付勢力で接触するブレーキが収納された第1室と、正吹出路及び逆吹出路の上流端が接続され、いずれか一方へ選択的に圧縮気体が供給される正給気路及び逆給気路の下流端が接続され、ブレーキと一体でブレーキの羽根車に対する接離方向で移動自在なピストンが収納され、該ピストンが正・逆吹出路の各上流端と正・逆給気路の各下流端をブレーキの付勢力により閉塞自在で且つ正・逆給気路のいずれか一方に圧縮気体が供給された場合のみ付勢力に抗してブレーキごと羽根車から離反する方向へ移動して正・逆吹出路の各上流端と正・逆給気路の各下流端をそれぞれ開放して第1室側への圧縮気体の流れを許容する第2室と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の第2の側面は、正給気路と逆給気路の途中に両者を連通する第3室を形成し、該第3室に正給気路及び逆給気路を選択的に閉塞自在なブロックを移動自在に収納し、該ブロックが正給気路及び逆給気路のいずれか一方側に供給された圧縮気体の圧力により他方側へ移動して他方側のみ閉塞することを特徴とする。
【0010】
本発明の第3の側面は、ブロックの正給気路側及び逆給気路側の両方に、正給気路又は逆給気路の閉塞時に第3室の壁部に係合してブロックの移動を規制し、該ブロックの閉塞側の側面を露出させるストッパを形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の第4の側面は、ストッパがブロックによる正給気路又は逆給気路のいずれかの閉塞時に同じ側の正吹出路又は逆吹出路を閉塞することを特徴とする。
【0012】
本発明の第5の側面は、羽根車の出力軸を中心にした対称位置に重量軽減孔が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第6の側面は、正吹出路及び逆吹出路の下流端が複数に分岐されて第1室に接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の側面によれば、ブレーキのピストンを内蔵する第2室が、羽根車を内蔵する第1室よりも圧縮気体の上流側に位置し、圧縮気体の圧力を羽根車に作用させる前にピストンに作用させることができるため、ブレーキのタイミング遅れがなく、より正確な回転制御が行えるようになる。
【0015】
本発明の第2の側面によれば、第3室内に収納したブロックが供給された圧縮気体の圧力により自動的に移動して、供給側でない方を閉塞するため、第2室に供給された圧縮気体の一部が供給側でない方の正給気路又は逆給気路を介して逆流するのを防止することができる。
【0016】
本発明の第3の側面によれば、ブロックによる正給気路又は逆給気路の閉塞時に、ストッパにより移動が規制されてブロックの閉塞側の側面が露出するため、閉塞された側に圧縮気体が再度供給された際に、圧縮気体の圧力が露出された側面を押す方向に作用してブロックを確実に閉塞側へ移動させることができる。
【0017】
本発明の第4の側面によれば、ストッパがブロックによる正給気路又は逆給気路のいずれかの閉塞時に同じ側の正吹出路又は逆吹出路を閉塞するため、閉塞側の正吹出路又は逆吹出路内に圧縮気体が余計に流入するのを防止して、供給側における圧縮気体の流れを確実にする。
【0018】
本発明の第5の側面によれば、羽根車に重量軽減孔を形成したため、羽根車が軽量になり、羽根車がブレーキと接触した際において、羽根車の慣性による回り過ぎ防止して、羽根車を確実に停止させることができる。
【0019】
本発明の第6の側面によれば、正吹出路及び逆吹出路の下流端が複数に分岐されて第1室に接続されているため、圧縮気体を羽根車に対して複数の方向から吹き付けることができ、羽根車の回転を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態に係るエアーモーターを示す断面図。
図2】正転方向への圧縮気体が供給されたエアーモーターを示す断面図。
図3】逆転方向への圧縮気体が供給されたエアーモーターを示す断面図。
図4】第2室の底面を示す断面図。
図5】第1室を示す断面図。
図6】第2実施形態に係るエアーモーターを示す断面図。
図7】第2実施形態の第1室を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1図5は本発明の第1実施形態に係るエアーモーター1を示す図である。
【0022】
以下では駆動流体として空気(圧縮気体)Eを用いた場合を説明し、その空気Eの流れの下流側から上流側へ向けての構造を順に説明する。第1室R1は円柱状の第1空間を画成し最も下流側に位置しており内部に羽根車2が収納されている。羽根車2は周囲に羽根を有する円板状で、中心には出力軸3が形成されている。羽根車2には扇形をした重量軽減孔4が出力軸3を中心とした対称位置に2対(計4つ)形成されている。
【0023】
羽根車2は出力軸3がベアリング5を介して第1室R1の内部に支持されており、出力軸3を中心に正逆方向へ回転できるようになっている。
【0024】
図5に示すように、第1室R1の一端側には正吹出路6aと逆吹出路6bの各下流端7a、7bがそれぞれ形成されている。そして各下流端7a、7bから羽根車2へ向けて空気Eを吹き出すことにより、羽根車2を空気Eの吹き出し方向に応じた方向へ回転させることができる。図5中、白矢印が正転方向で、黒矢印が逆転方向である。羽根車2を回転させた空気Eは第1室R1における各下流端7a、7bの反対側に形成された排気口8から排出される。羽根車2の出力軸3は医療機器等の機構に組み合わされ、出力軸3が回転することによりその機器に必要な回転量の動力が与えられる。
【0025】
第1室R1内にはブレーキ9も収納されている。ブレーキ9は羽根車2の重量軽減孔4以外の周縁部に当接自在なカップ形状をしている。ブレーキ9の中心には連結軸10が形成され、この連結軸10がスライド自在に支持されることにより、ブレーキ9は羽根車2に対して接離自在になっている。連結軸10にはバネ11が設けられ、ブレーキ9を常時羽根車2と接触するように付勢している。ブレーキ9が羽根車2から離れた時だけ羽根車2は回転することができ、ブレーキ9との接触時は回転が停止される。
【0026】
正吹出路6a及び逆吹出路6bは空気Eの上流側に延び第2室R2に接続されている。正吹出路6a及び逆吹出路6bは第2室R2をいったん通り越し、上流側に大きく迂回した状態で第2室R2に接続されている。
【0027】
第2室R2は円柱状の第2空間を画成し、その底面12には図4の通り正吹出路6a及び逆吹出路6bの上流端13a、13bと、後述する正給気路14a及び逆給気路14bの下流端15a、15bが接続されている。正吹出路6a、逆吹出路6b、正給気路14a、逆給気路14bはそれぞれ断面四角の中空形状をしている。
【0028】
ブレーキ9の連結軸10も第2室R2内に挿入されている。第2室R2内に挿入されたブレーキ9の連結軸10は第2室R2内に収納された円板状のピストン16と一体化されている。従ってピストン16もブレーキ9の羽根車2に対する接離方向(上下方向)で一体的に往復移動自在となる。ピストン16と第2室R2の底面12とにより略密閉化されたスペースが形成される。
【0029】
正給気路14a及び逆給気路14bは第2室R2から更に上流側に延び、その途中に第3空間を画成する第3室R3が形成されている。第3室R3は正給気路14aと逆給気路14bを連通する構造で、正給気路14a及び逆給気路14bは第3室R3でクランク状に曲折し、第3室R3より上流側が下流よりも両者間の間隔が広がっている。幅広になった正給気路14aと逆給気路14bの先端に上流端17a、17bが形成されている。
【0030】
第3室R3内にはブロック18が正給気路14a側及び逆給気路14b側へ移動自在に収納されている。ブロック18の両側には第3室R3の壁を貫通するシャフト19a、19bが形成され、該シャフト19a、19bの先端にストッパ20a、20bがそれぞれ形成されている。
【0031】
ストッパ20a、20bはシャフト19a、19bより大径で、第3室R3の壁に係合することによりブロック18の移動量を規制している。ブロック18は、ストッパ20a、20bが係合することにより、第3室R3の下流側の正給気路14a及び逆給気路14bをそれぞれ選択的に閉塞可能な幅だけ移動してブロック18の側面21a、21b以外の下流側の面で下流側の正給気路14a又は逆給気路14bを閉塞する。どちらかを閉塞した際にはストッパ20a、20bによりそれ以上移動せず、閉塞した側のブロック18の側面21a、21bが空気Eの圧力を受けるべく上流の正給気路14a又は逆給気路14bに対して必ず露出するように構成されている。
【0032】
またストッパ20a、20bの位置には迂回した正吹出路6a及び逆吹出路6bも存在し、ストッパ20a、20bに対応する位置には挿入孔22a、22bも形成されている。
【0033】
ブロック18が正給気路14a又は逆給気路14bのいずれかを閉塞した際に、同様に閉塞した側の正吹出路6a又は逆吹出路6bの挿入孔22a、22b内にストッパ20a、20bが挿入されて、その正吹出路6a又は逆吹出路6bを閉塞するようになっている。
【0034】
挿入孔22a、22bはストッパ20a、20bに合致した形状を有しており、その一部が挿入孔22a、22b内に挿入されることにより挿入孔22a、22b自体も閉塞する。
【0035】
正給気路14a及び逆給気路14bの上流端17a、17bは図示せぬ小型電磁弁(この小型電磁弁の電磁ノイズは小さいため影響がない)とチューブを介してエアーモーター1が使用される部屋の外部に設置されたエアーポンプ(図示省略)に接続されている。エアーポンプが室外に設置されているため、エアーポンプから生じる高周波の電磁波ノイズを完全に遮断することができる。
【0036】
エアーモーター1を使用する時は小型電磁弁で正給気路14a又は逆給気路14bのいずれか一方を選択し、その選択した方の上流端17a、17bから空気Eを供給することにより羽根車2が正転又は逆転し、その回転量に応じて出力軸3から必要な動力が得られる。
【0037】
図2は正給気路14a側に空気Eを供給した場合を示している。
【0038】
空気Eを供給する直前は図1の状態で、正給気路14aに空気Eが供給されると、ブロック18の正給気路14a側の側面21aが露出していることにより、空気Eの圧力はその側面21aを押す方向に作用し、ブロック18を逆給気路14b側へ移動させる。
【0039】
ブロック18は逆給気路14b側へ移動してもストッパ20aが第3室R3の正給気路14a側の壁部と係合するため、第3室R3の反対側の端部まで移動せず、ちょうど正給気路14aを開放し且つ逆給気路14bを閉塞する位置で停止し、その逆給気路14bの側面21bは露出した状態が維持される。
【0040】
第3室R3の壁に係合したストッパ20aは先端が挿入孔22a内に位置しており、挿入孔22a自体はストッパ20aにより閉塞された状態が維持される。またもう一方のストッパ20bは逆吹出路6bの挿入孔22b内に挿入されるため、逆吹出路6bを閉塞すると共に挿入孔22b自体も閉塞する。
【0041】
正給気路14aが開放されるため、空気Eは正給気路14aの下流端15aから第2室R2内に供給される。第2室R2内に供給された空気Eの静圧は真っ先にピストン16に作用し、バネ11の付勢力に抗してピストン16を上昇させる。ピストン16が上昇すると第2室R2の底面12の全ての開口が開放される。
【0042】
第2室R2内には正給気路14aの下流端15aから空気Eが流入し、他の3つの通路へも進入しようとするが、逆給気路14bはブロック18により閉塞され、逆吹出路6bはストッパ20bにより閉塞されているため、空気Eは正吹出路6a側だけに流れる。
【0043】
すなわち、ブロック18が供給側でない逆給気路14bを閉塞するため、ここを介して空気Eが逆流するのを防止でき、同じくストッパ20bにより閉塞側の逆吹出路6b内に空気Eが余計に流入するのを防止するため、必要な正吹出路6a側だけに空気Eが流れる。
【0044】
正吹出路6aへ流れた空気Eは下流端7aから第1室R1内の羽根車2へ吹きつけられ、圧力勾配により羽根車2を正転方向へ回転させる。正転方向への羽根車2の回転力は出力軸3から取り出され、組み合わせられた機器を稼働させることができる。羽根車2を回転させた後の空気Eは排気口8から外部へ排出される。
【0045】
そして必要な回転量が得られて羽根車2を停止させる場合には、正給気路14aへの空気Eの供給を停止する。するとピストン16に作用する空気Eの圧力が低下するため、ピストン16はバネ11の付勢力によりブレーキ9ごと下降し、ピストン16が第2室R2の全ての開口を閉塞すると共に、ブレーキ9が羽根車2に接触して羽根車2の回転を停止させる。
【0046】
ブレーキ9と一体のピストン16を内蔵する第2室R2が、羽根車2を内蔵する第1室R1よりも空気Eの流れの上流側に位置し、空気Eの圧力を羽根車2に作用させる前にピストン16に作用させることができるため、ブレーキ9のタイミング遅れがなくなり、より正確な回転制御が行えるようになる。
【0047】
羽根車2がブレーキ9により制動される際、羽根車2が重量軽減孔4により軽量になっているため、羽根車2の慣性による回り過ぎ防止することができ、羽根車2の回転を正確に制御することができる。
【0048】
羽根車2を逆転方向へ回転させる場合には、図3に示されている通り、空気Eを逆給気路14bへ供給すれば良い。そうすることにより正転方向とは逆の動作が生じて、羽根車2を逆転方向へ回転させることができる。
【0049】
図6及び図7は本発明の第2実施形態を示す図である。本実施形態は、前記第1実施形態と同様の構成要素を備えている。よって、それらと同様の構成要素については共通の符号を付すとともに、重複する説明を省略する。
【0050】
この実施形態に係るエアーモーター23では、正吹出路6a及び逆吹出路6bがそれぞれ2つに分岐された下流端7a、7b、24a、24bを有し、第1室R1はそれらの接続箇所を2つ設けた。
【0051】
各下流端7a、7b、24a、24bの接続口は第1室R1の対向位置に形成されて、それぞれ羽根車2に対して対向位置から同じ回転方向へ作用するように空気Eを吹き出す。排気口25も排気口8の反対側に形成し、各下流端7a、7b、24a、24bからの排気がスムーズに行われる。このように空気Eを羽根車2に対して複数の方向から吹き付けることにより、羽根車2の回転をより一層安定させることができる。
【0052】
以上の各実施形態では、圧縮気体として空気Eを例にしたがこれに限定されず、窒素ガスその他の気体を用いても良い。
【符号の説明】
【0053】
1、23 エアーモーター
2 羽根車
3 出力軸
4 重量軽減孔
6a 正吹出路
6b 逆吹出路
8、25 排気口
9 ブレーキ
14a 正給気路
14b 正給気路
16 ピストン
18 ブロック
20a、20b ストッパ
E 空気(圧縮気体)
R1 第1室
R2 第2室
R3 第3室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7