(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のマグネットしおり100に備えられた摘まみ部106は、固定片部104一枚分の厚さ、すなわち、マグネットシート101と1枚の装飾体107とを合わせた厚さとされているため、強度的に劣るものになっている。
【0007】
また、摘まみ部106は、両面ともにされ装飾されていない、すなわち、摘まみ部106の片面はマグネットシート101が露出しているため、摘まみ部106が装飾的効果を損ねるものになっている。
【0008】
そこで、本発明は、摘まみ部に強度を持たせ、しかも、摘まみ部の両面を装飾面とすることにより、装飾的効果も向上させることができるようにしたマグネットしおり、このマグネットしおりをパッケージにしたマグネットしおりセット、および、このマグネットしおりを製造するためのマグネットしおりの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るマグネットしおりは、一方側の固定片部と他方側の固定片部と摘まみ部とを備え、前記一方側の固定片部の内面と他方側の固定片部の内面とが互いに磁気吸着するマグネットしおりにおいて、前記摘まみ部は、重なり合った両方の固定片部と同じ厚さでもって両方の固定片部の基端側に連設され、両方の固定片部は、前記摘まみ部を枢軸として互いに開閉自在に構成されていることを特徴としている。
【0010】
このマグネットしおりによれば、前記摘まみ部が両方の固定片部の基端側に連設されていることにより、一方の固定片部に切り込みを形成することなく、両方の固定片部が重なり合った厚さと同じ厚さの摘まみ部を形成しているので、摘まみ部に強度を持たせることができる。しかも、摘まみ部は、何れの面も表裏に関係なく装飾面として使用でき、装飾的効果も向上させることができる。
【0011】
本発明に係るマグネットしおりの一態様として、前記各固定片部を構成するマグネットシートと、前記摘まみ部を構成する摘まみ部用の基材と、一方のマグネットシートおよび摘まみ部用の基材の一方の面に積層貼着された装飾層と、他方のマグネットシートおよび摘まみ部用の基材の他方の面に積層貼着された装飾層とを備えていることが好ましい。このマグネットしおりによれば、マグネットしおりの各面前面に装飾を施すことができる。
【0012】
また、本発明に係るマグネットしおりの他態様として、前記両方の固定片部における先端側の部分は、前記基端側の部分に比し吸着力が小さく設定されていることが好ましい。このマグネットしおりによれば、両方の固定片部における先端側の部分を容易に分離して、使い勝手を向上させることができる。
【0013】
また、本発明に係るマグネットしおりの異なる他態様として、前記両方の固定片部の基端側の内面に貼り合わされた補強用のテープを備えていることが好ましい。このマグネットしおりによれば、補強用テープによって両方の固定片部が分離しないようにすることができる。
【0014】
発明に係るマグネットしおりセットは、前記いずれかのマグネットしおりの両方の固定片部に挟まれる台紙を備えていることを特徴としている。
【0015】
このマグネットしおりセットによれば、マグネットしおりの各固定片部が台紙を挟んだ状態で販売したり、ノベルティ商品として配布したりすることが可能となり、商品価値を向上させることができる。台紙には、印刷等によって装飾が施されたり、使用説明や広告宣伝などマグネットしおりに記載できない事項が記載されたりする。
【0016】
また、本発明に係るマグネットしおりセットの一態様として、前記台紙は、前記摘まみ部が嵌り込む切り欠き凹部を備えていることを特徴としている。このマグネットしおりセットによれば、摘まみ部が前記切り欠き凹部に収納されるため、摘まみ部が台紙のエッジから突出して邪魔にならないようにすることができる。
【0017】
この本発明に係るマグネットしおりセットにおいて、前記切り欠き凹部の幅寸法は、前記両方の固定片部の幅寸法と同等に設定されていることが好ましい。このマグネットしおりセットによれば、収納時に前記切り欠き凹部にマグネットしおりを左右にずれることなく収納することができ、安定して収納することができる。特に補強用のテープが両方の固定片部の全幅に亘って貼り合わされている場合であっても、マグネットしおりを切り欠き部内に嵌め込むことができる。
【0018】
本発明に係るマグネットしおりの製造方法は、前記一態様のマグネットしおりを製造するマグネットしおりの製造方法であって、前記一方側の固定片部用の第1マグネット基材と、他方側の固定片部用の第2マグネット基材と、摘まみ部用の基材とをそれぞれ準備し、前記第1マグネット基材と前記第2マグネット基材とを互いに磁気吸着させ、前記第1マグネット基材と摘まみ部用の基材の一方の面に、装飾層用の第1装飾シートを貼着し、前記第2マグネット基材と摘まみ部用の基材の他方の面に、装飾層用の第2装飾シートを貼着してマグネットしおり原反を製造し、前記マグネットしおり原反を切断することを特徴としている。
【0019】
このマグネットしおりの製造方法によれば、前記マグネットしおりを容易にかつ迅速に製造することができる。
【0020】
また、前記本発明に係るマグネットしおりの製造方法の一態様として、前記第1装飾シートおよび第2装飾シートの長さ方向に、図案を複数個配置し、しかも、前記図案を摘まみ部の方向が同じ方向を向くように、複数列に配置していることが好ましい。
【0021】
このマグネットしおりの製造方法によれば、抜き位置が複数列の方向に若干ずれた場合であっても、摘まみ部となる摘まみ部用の基材のずれた方向の長さは、片方の列が長くなると、もう片方の列も長くなる。これにより、それぞれの列の摘まみ部となる部分の誤差がほとんどなくなる。
【0022】
また、本発明に係るマグネットしおりの製造方法の他態様は、前記第1装飾シートおよび第2装飾シートの一方側に第1図案群を配置し、他方側に第2図案群を配置し、第1マグネット基材、第2マグネット基材、摘まみ部用の基材を表裏から挟んだ第1装飾シートの前記第1図案群および第2図案群と
、第2装飾シートの前記第2図案群および第1図案群とが、対向するようにしていることが好ましい。
【0023】
このマグネットしおりの製造方法によれば、第1装飾シートの第1図案群・第2図案群と
、第2装飾シートの第2図案群・第1図案群とが、第1マグネット基材、第2マグネット基材、摘まみ部用の基材を介して対向することで、マグネットしおりの表裏に第1図案と第2図案を容易に施すことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、摘まみ部に強度を持たせ、しかも、摘まみ部の両面を装飾面とすることにより、装飾的効果も向上させることができるようにしたマグネットしおり、このマグネットしおりをパッケージにしたマグネットしおりセット、および、このマグネットしおりを製造するためのマグネットしおりの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係るマグネットしおりの一実施形態を示す斜視図である。
【
図2】本発明に係るマグネットしおりの一実施形態を示す断面図である。
【
図3】本発明に係るマグネットしおりの一実施形態であって、摘まみ部を中心に示す断面図である。
【
図4】本発明に係るマグネットしおりの一実施形態であって、展開した状態の底面図である。
【
図5】本発明に係るマグネットしおりセットの一実施形態を示し、(a)はマグネットしおりと台紙を分離した状態の正面図、(b)はマグネットしおりを台紙に取り付けた状態の正面図である。
【
図6】(a)は本発明に係るマグネットしおりの製造方法において使用するトムソン刃の配置を示す概略図、(b)はマグネット基材に対するトムソン刃の相対位置を示す概略図である。
【
図7】本発明に係るマグネットしおりの製造方法の一実施形態を示す分解斜視図である。
【
図8】(a)〜(c)は本発明に係るマグネットしおりの製造方法の一実施形態における各製造工程を示す断面側面図である。
【
図9】本発明に係るマグネットしおりの製造方法の一実施形態における各製造工程を示し、(a)は断面側面図、(b)は断面正面図である。
【
図10】(a)〜(e)は本発明に係るマグネットしおりの他実施形態の各製造工程を示す断面側面図である。
【
図11】本発明に係るマグネットしおりの他実施形態の製造工程を示し、(a)は要部を示す斜視図、(b)は断面側面図である。
【
図12】従来のマグネットしおりを示し、(a)はマグネットしおりを展開した状態の斜視図、(b)はマグネットしおりの中央部を拡大した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係るマグネットしおりの実施形態について、
図1〜
図11を参照して説明する。このマグネットしおり1は、一方側の固定片部2と、他方側の固定片部3と、摘まみ部5とを備えている。摘まみ部5は、両方の固定片部2,3の基端側に連設され、両方の固定片部2,3は、摘まみ部5を枢軸として互いに開閉自在になるようにされている。
【0027】
一方側の固定片部2は、例えば四角形板状の第1マグネットシート20と、この第1マグネットシート20の表面に積層貼着されたシート状の第1装飾層21とを備えている。他方側の固定片部3は、第1マグネットシート20と同じ形状の第2マグネットシート30と、この第2マグネットシート30の外面側に積層貼着されたシート状の第2装飾層31とを備えている。
【0028】
第1,第2マグネットシート20,30は、一方の側縁から他方の側縁へ帯状のN極と帯状のS極を交互に縞状に多極着磁されている。当然ながら、両固定片部2,3が重なり合ったときに、第1マグネットシート20のN極とS極が第2マグネットシート30のS極とN極とが向き合うように多極着磁されている。なお、両固定片部2,3の先端側は、三角形状でも半円形状でもよい。
【0029】
摘まみ部5は、重ね合わされた状態の両固定片部2,3の基端(
図1に示す上端)に接合するようにして連設されたマグネット製の摘まみ部用の基材(以下、「第3マグネットシート」という。)50を備えている。第3マグネットシート50の厚さは、重ね合わされた第1,第2マグネットシート20,30と同じ厚さとされている。したがって、このマグネットしおり1は、基端から先端まで一定の厚さとなっている。
【0030】
また、摘まみ部5は、
図2および
図3に示すように、第3マグネットシート50の各面に、第1装飾層21の上部21aおよび第2装飾層31の上部31aがそれぞれ積層貼着されている。すなわち、第1装飾層21は、第1マグネットシート20の表面と第3マグネットシート50の一方の面とに一体的に積層貼着されている。また、第2装飾層21は、第2マグネットシート30の表面と第3マグネットシート50の他方の面とに一体的に積層貼着されている。
【0031】
そして、摘まみ部5は、上方に向けて凸となる例えば半円形(四角形状や三角形状などでもよい。)に形成されており、
図1に示すように、その基部の幅寸法L1は、固定片部2、3の幅寸法L2よりも小さく設定されている。したがって、一方側の固定片部2および他方側の固定片部3の上部両側には、肩部2a、3aがそれぞれ設けられている。
【0032】
それぞれのマグネットシート20,30,50は、フェライト系、マンガン・アルミニウム系、サマリウム・コバルト系、ネオジウム・鉄・ホウ素系、サマリウム・鉄・窒素系等の硬質磁性材料からなる磁石材料微粉末を有機高分子エラストマーに練り込み着磁された樹脂製磁石等適宜の樹脂製磁石が用いられる。
【0033】
また、着磁は、一方側の固定片部2および他方側の固定片部3との内面だけ磁気吸着する片面着磁に限らず、マグネットしおり全体も強磁性体物品に磁気吸着するようにしてもよい。また、使用する磁石の種類や着磁方法も適宜に選択し実施することができる。
【0034】
そして、第1装飾層21および第2装飾層31は、一般的な紙あるいは薄いプラスチックシートのような加工紙等が用いられ、文字やイラスト等の装飾が適宜施されている。勿論、使用者が後で加筆しやすいように、白色或いは単色のみとしてもよい。また、第1装飾層21および第2装飾層31は、異なる装飾であっても同じ装飾であってもよい。
【0035】
このような第1マグネットシート20と第2マグネットシート30とが接合している基端側(図面では上端側)の内側面には、
図3および
図4にも示すように、貼着力を有する補強用のテープ6が貼り付けられている。したがって、第1マグネットシート20および第2マグネットシート30の内側面の先端部分(図面では下端部分)には、テープ6が貼り付けられていない。
【0036】
このテープ6が貼着されていない両マグネットシート20,30の先端部分20a,30aの吸着力は、テープ6が貼着されている部分の吸着力よりも弱く設定されている。このように、両方の固定片部2、3における先端側の部分を、前記摘まみ部側の部分に比し吸着力が小さくなるように、吸着力の強度を設定することにより、両方の固定片部2,3の先端側の間同士が容易に分離して、使い勝手が向上する。両方の固定片部2、3間同士の吸着力は、例えば、それぞれのマグネットシート20、30の先端部分20a,30aを所定温度で加熱することにより調整することができる。
【0037】
そして、本実施形態のマグネットしおりセットは、
図5に示すように、前記構成からなるマグネットしおり1に挟まれる台紙7を備えている。この台紙7は、表裏面が印刷等により装飾が施されたり、使用説明や広告宣伝等、マグネットしおり1に記載できない事項が記載されたりする。
【0038】
台紙7は、略四角形状を呈しており、上部には、マグネットしおり1の摘まみ部5が入り込む切り欠き凹部7aが形成されている。切り欠き凹部7aの幅寸法L3は、マグネットしおり1の幅寸法L2と同等に設定されている。
【0039】
これにより、マグネットしおり1は、一方側の固定片部2と他方側の固定片部3とが磁気吸着力により台紙7を挟持し、両方の固定片部2、3の肩部2a、3aは、切り欠き凹部7aに収納される。このとき、テープ6の屈曲部6aが切り欠き凹部7aの底辺7cに当接し、摘まみ部5の上辺5aは、台紙7の上辺7bから突出しないようにされている。
【0040】
次に、前記マグネットしおり1の製造方法について、
図6〜
図10を参照して説明する。マグネットしおり1は、
図6(a)に示すようなトムソン刃13aを備えたトムソン打ち抜き装置13を使用して製造される。なお、トムソン打ち抜き装置13に替えてカッターナイフなどを使用してもよい。
【0041】
トムソン刃13aは、マグネットしおり1の外形を象る形状に複数列(図面では2列)並設され、各列とも同じ方向(
図6では摘まみ部5を形成する部分が上側となるように図示している。)に向けられている。本実施形態は、トムソン刃13aを上下に2列に配置し、各列には6個のトムソン刃13aを配置する場合について例示している。
【0042】
そして、
図7に示すように、第1装飾層21および第2装飾層31を形成するための装飾シート(印刷紙)S1、S2は、上下に2列の図案Aと図案Bを並べたものとされている。図案A、Bは、マグネットしおり1の表裏が対(ペア)になる図案群が長さ方向(図面では左右方向)に並べられている。
【0043】
具体的には、上段の図案Aは、第1装飾層21に使用される図案A左(スペードで示す第1図案群)と、第2装飾層31に使用される図案A右(クラブで示す第2図案群)とのペアとされている。図案Bは、第1装飾層21に使用される図案B左(ハートで示す第1図案群)と、第2装飾層31に使用される図案B右(ダイヤで示す第2図案群)とのペアとされている。
【0044】
また、図案Aと図案Bは、上下の向きが同じ向き(摘まみ部5となる部分が上側)に並設されている。上の列の図案Aと下の列の図案Bとは、柄や色彩が相違するものが採用されているが、同様の図案であってもよい。なお、本実施形態は、第1装飾層21となる第1図案群と、第2装飾層31となる第2図案群とを例示するが、図案群の個数は特に限定されるものではない。また、図案の列も2列以外の複数列でも1列でも可能である。
【0045】
このような印刷紙S1は、2枚でもって所定長さ寸法および幅寸法の第1マグネット基材MS1、第2マグネット基材MS2、摘まみ部用の基材MS3を挟む。第1マグネット基材MS1と第2マグネット基材MS2は、第1マグネットシート20と第2マグネットシート30を形成するためのもので、同等の幅(図面において上下方向)および厚さ寸法に設定されている。
【0046】
摘まみ部用の基材MS3は、摘まみ部5用の第3マグネットシート50を形成するためのもので、その幅寸法は、第1,第2マグネット基材MS1,MS2の幅寸法よりも小さく設定されている。また、第1,第2マグネット基材MS1,MS2の厚さは、例えば、0.4mmに設定されている。摘まみ部用の基材MS3の厚さは、例えば、0.8mmに設定されており、摘まみ部用の基材MS3の厚さは、2枚重ねた第1,第2マグネット基材MS1,MS2の厚さと同じに設定されている。
【0047】
マグネットしおり1を製造するには、
図8および
図9に示すように、先ず、第1装飾シートとしての印刷紙S1を裏返してテーブル(図示省略)に載置、すなわち、図案A,Bを施した表面をテーブルに重ねる。
【0048】
そして、
図8(a)の仮想線に示すように、上向きになった印刷紙S1の裏面に厚い摘まみ部用の基材MS3の一方の面を貼着する。印刷紙S1の裏面の左右方向の両側には、
図7に示すように、位置決め用マーク9が印刷されており、この位置決め用マーク9を基準にして2枚の摘まみ部用の基材MS3をそれぞれ確実に位置決めすることができる。
【0049】
次に、一体となった薄い第1マグネット基材MS1および薄い第2マグネット基材MS2を所定位置に貼着された摘まみ部用の基材MS3に沿わせ、印刷紙S1の裏面に貼着する。正確には、薄い第2マグネット基材MS2が印刷紙S1の裏面に貼着される。厚い摘まみ部用の基材MS3と重ね合わされた2枚の薄い第1,第2マグネット基材MS1,MS2とは同じ厚さとなり、表面はフラットになっている。
【0050】
次に、
図8(b)に示すように、印刷紙S1に貼られた摘まみ部用の基材MS3の他方の面および第2マグネット基材MS2の表面に接着剤を塗布し、第2装飾シートとしての他方の印刷紙S2をこの第2マグネット基材に貼着することにより、マグネットしおり原反10を製造する。
【0051】
なお、印刷紙S1と印刷紙S2とは、同一図案のものである。印刷紙S1と印刷紙S2と同一図案のものを使用することにより、例えば、印刷紙S1の図案A左(スペード・ハート)と印刷紙S2の図案A右(クラブ・ダイヤ)とが対向する。
【0052】
次に、
図8(c)に示すように、マグネットしおり原反10を、一対のローラ11,11間に通して、印刷紙S1、S2と第1,第2マグネット基材MS1,MS2および摘まみ部用の基材MS3とを確実に圧着させる。一対のローラ11,11を通過したマグネットしおり原反10は、印刷紙S1,S2が第1,第2マグネット基材MS1,MS2および摘まみ部用の基材MS3から剥がれないようされている。なお、印刷紙S1,S2が合成紙の場合には、乾燥炉に入れ乾燥させる。
【0053】
次に、トムソン打ち抜き(型抜き)加工を行う(抜き工程)。なお、乾燥炉に入れた場合は冷却させた後に行う。この抜き工程は、最初に貼った印刷紙S1の方を抜き型13に合わせて抜くのが好ましい。第1,第2マグネット基材MS1,MS2と摘まみ部用の基材MS3を最初に貼り合わせた印刷紙S1は、摘まみ部用の基材MS3を位置決めマーク9に合わせて貼っているので、ずれがほとんどなく、バラツキが抑制され、精度が期待できるからである。
【0054】
また、
図6(b)に示すように、抜き位置(第1,第2マグネット基材MS1,MS2と摘まみ部用の基材MS3に対するトムソン刃13aの位置)が矢印の方向(図に示す上下方向)に若干ずれた場合、すなわち、型抜き部材の上側の列と下側の列との間隔が狭くなったり広くなったりした場合であっても、摘まみ部5となる部分の上下の向きが同じ向きに並設されているので、摘まみ部5となる第3マグネットシート50の上下方向の長さは、片方(上段側)が長くなると、もう片方(下段側)も長くなる。
【0055】
これにより、上下側の摘まみ部5となる部分の誤差がほとんど生じない。さらに、セットになる図案を左右の横に並べているので、同様にセットとなる図案の左右方向のバラつきも解消する。また、第1装飾シートと第2装飾シートとは、同一図案のものを使用することが可能となり、部品点数を減少することができる。
【0056】
この型抜き部材は、
図11に示すように、重なり合っている第1マグネットシート20と第2マグネットシート30とを広げ、第1,第2マグネットシート20,30の基端側の内面に粘着力を有する補強用のテープ6を貼着することで、マグネットしおり1が完成する。このマグネットしおり1は、台紙7にセットされ、すなわち、両固定片部2,3が台紙7を挟んだマグネットしおりセットとして袋に入れられて出荷される。
【0057】
以上のように、本実施形態のマグネットしおりの製造方法は、複数個のマグネットしおり1を容易且つ確実に製造することが可能となる。
【0058】
次に、マグネットしおり1の製造方法の他の実施形態について、
図9および
図10を参照しながら説明する。この他の実施形態では、印刷紙S1と印刷紙S2とは、一列の場合(例えば図案Aのみの場合)を例示する。
【0059】
先ず、テーブル側に予め設けられた位置決めの目印を利用して、摘まみ部用のマグネット基材MS3を位置決めする。さらに、
図10(a)に示すように、互いに吸着された第1マグネット基材MS1および第2マグネット基材MS2を、先に置かれた摘まみ部用の基材MS3に並設する。
【0060】
次に、
図10(b)に示すように、上方側の第1マグネット基材S1および摘まみ部用の基材MS3に印刷紙S1を貼着する。
【0061】
次に、
図10(c)に示すように、第1,第2マグネット基材MS1,MS2と摘まみ部用の基材MS3および印刷紙S1を、一対のローラ11,11間に通して圧着させることにより、第1,第2マグネット基材MS1,MS2と摘まみ部用の基材MS3および印刷紙S1を確実に接着する。一対のローラ11,11を通過した第1,第2マグネット基材MS1,MS2と摘まみ部用の基材MS3および印刷紙S1を受け取り、複数段に重ねる。なお、印刷紙S1が合成紙の場合には、貼り合わせをしたものを乾燥炉に入れ乾燥させる。
【0062】
次に、
図10(d)に示すように、第2マグネット基材MS2および摘まみ部用の基材MS3に印刷紙S2を貼着し(印刷紙S1が合成紙の場合には、マグネット基材および印刷紙を乾燥炉から取り出し、冷却させた後)、マグネットしおり原反10を製造する。次に、
図10(e)に示すように、マグネットしおり原反10を一対のローラ11,11間に通す圧着工程(
図10(e)参照)を終了する(乾燥炉に入れた場合には、乾燥炉から取り出し冷却させる。)。
【0063】
さらに、
図11(a)に示すように、発砲スチロール製の位置決め台(図示省略)に、マグネットしおり原反10を摘まみ部5が下向きとなるように開いて置く。これにより、一方側の固定片部2と、他方側の固定片部3が展開された状態となるため、両方の固定片部2,3間に長尺状の粘着力を有する補強用のテープ6を貼る。なお、テープ6の接着を良好にするために布等で押さえていくのが好ましい。
【0064】
テープ6の貼合わせ工程の終了後に、一方側の固定片部2と、他方側の固定片部3の所定部分を加熱して、吸着力を弱くさせる。すなわち、両方の固定片部2,3における自由端側の部分は、前記摘まみ部側の部分に比し吸着力が小さくなるように加熱する。さらに、
図11(b)に示すように、抜き工程(閉じられたマグネットしおり1を抜き型13に合わせて抜く工程)を行う。その後に、マグネットしおり1を台紙7にセットして袋に入れることにより完成する。
【0065】
次に、前記マグネットしおり1を使用する場合には、袋を開封した後に、一方側の固定片部2および他方側の固定片部3を所定角度開いて、マグネットしおり1を台紙7から分離する。マグネットしおり1の自由端側の先端部分は、吸着力が基部側部分よりも小さく設定されているため、容易に開放することができる。
【0066】
さらに、例えば、書籍、雑誌等の書物、あるいは手帳やノート等のあるページの裏表紙に、マグネットしおり1の一方側の固定片部2および、他方側の固定片部3を開いて差し込み、磁気吸着力で挟持して取り付ける。摘まみ部は、両方の固定片部の基端側から突設されている。すなわち、摘まみ部5の厚さは、両方の固定片部を合わせた厚さに相当するため、摘まみ部5の強度が強くなる。この結果、摘まみ部5が不用意に屈曲したりすることなく、安定するため摘まみやすくなる利点がある。
【0067】
しかも、本実施形態のマグネットしおり1は、摘まみ部5が両方の固定片部2、3の上方端から延設され、第3マグネットシート50の両面に、第1装飾層21の上部21aおよび第2装飾層31の上部31aがそれぞれ積層貼着された構成となっている。このため、前記両方の固定片部2,3および摘まみ部5の両面に、表裏関係なく装飾が可能となり、装飾的なデザイン効果も向上する。また、マグネットしおり1は、台紙7にセットして販売したり、ノベルティ商品として配布したりするのに最適であり商品価値が向上する。
【0068】
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく種々変更することができる。
【0069】
例えば、補強用のテープ6は、摘まみ部5の幅分だけ固定片部2,3に貼り付けてもよい。あるいは、補強用のテープ6を使用することなく、第1装飾層21と第2装飾層31とによって第1マグネットシート20および第2マグネットシート30と摘まみ部5とを一体化してもよい。これらの場合は、台紙7の切り欠き凹部7aは、摘まみ部5の基部の幅寸法L1よりも大きめとしてもよい。
【0070】
また、上記実施の形態では、摘まみ部5が第3マグネットシート50、摘まみ部用の基材MS3から形成されるとした。しかし、摘まみ部5は、樹脂や紙などで形成してもよい。また、上記実施の形態では、固定片部2,3は多極着磁したものとしたが、必ずしも多極着磁しなくてもよい。