特許第6775249号(P6775249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775249
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】研削装置用ノズル装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/02 20060101AFI20201019BHJP
   B24B 55/04 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   B24B55/02 B
   B24B55/04 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-88046(P2018-88046)
(22)【出願日】2018年5月1日
(65)【公開番号】特開2019-193957(P2019-193957A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】502244269
【氏名又は名称】ビック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳
(72)【発明者】
【氏名】根▲来▼ 洋
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭62−022064(JP,U)
【文献】 中国実用新案第205085764(CN,U)
【文献】 国際公開第2008/004365(WO,A1)
【文献】 特開2008−221425(JP,A)
【文献】 特開2003−311618(JP,A)
【文献】 実開昭58−036065(JP,U)
【文献】 特開2000−296466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B53/00−57/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
研削装置に装着され回転駆動される円盤状の砥石に研削液を供給する研削装置用ノズル装置において、
前記砥石は、ダイヤモンドホイール又はCBNホイールであり、
前記ノズル装置は、ノズル部と、前記研削液の供給管と、前記供給管を固定する固定手段と、前記ノズル部を前記供給管に接続する接続手段とを備えており、
前記ノズル部は、前記砥石の周面と両側面とを包み込む開口部と、研削液室と、円筒状の接続筒部と、前記接続筒部の外周に形成された雄ねじ部と、前記雄ねじ部に形成されたキー用スリットとを備えるとともに、合成樹脂製であり、
前記接続手段は、前記供給管における一端側に端部から順に、外周に溶接固定され前記ノズル部のキー用スリットに係合するキーと、リング状の鍔部と、リング状のシール材と、前記ノズル部の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が内周に形成された袋ナットとを備えており、
前記研削装置は、前記砥石を覆う砥石カバーを備え、前記砥石カバーに前記固定手段が設けられており、
前記固定手段は、平面視L字状の第一面と第二面とが形成された固定板と、前記供給管における前記端部の位置を調節する調節手段とを備えており、
前記調節手段は、前記供給管に固定されて直交方向に突出する雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の外周に装着された所定厚みの環状板と、前記雄ねじ部材に螺合する調節ナットとを備えるとともに、前記固定板の前記第一面が前記砥石カバーに固定され、前記第二面に前記雄ねじ部材を回動可能に貫通する貫通孔が形成されており、
前記供給管は、前記固定手段よりも研削液の上流側までを剛性の金属製とされ、前記金属製の上流側を可撓性材料製とされていることを特徴とする研削装置用ノズル装置。
【請求項2】
前記調節手段の前記貫通孔は、上下方向の長孔形状であることを特徴とする請求項1に記載の研削装置用ノズル装置。
【請求項3】
前記砥石は厚みの異なる複数のうちから所要厚みのものが選択されて前記研削装置に装着可能とされており、前記ノズル部は各砥石の厚みにそれぞれ合致する複数個のうちから選択された前記砥石に合致するノズル部が選択されて前記研削装置に装着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の研削装置用ノズル装置。
【請求項4】
前記調節手段における前記環状板は、ワッシャー、カラー又はスペーサ―であり、その厚みが前記砥石に整合していることを特徴とする請求項3に記載の研削装置用ノズル装置。
【請求項5】
前記供給管は、前記固定手段よりも研削液の下流側で順に直線状の下降部分と湾曲部分と水平部分とを備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の研削装置用ノズル装置。
【請求項6】
前記ノズル部は、前記接続筒部の他端側を膨出曲面状部に形成されており、前記膨出曲面状部側に前記開口部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の研削装置用ノズル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般鋼材などの被加工物の表面を研削加工する研削装置に用いられる研削装置用ノズル装置に関する技術であり、特に、合成樹脂製のノズル部と金属製の供給管との接続手段と、前記供給管を固定する固定手段に備えられた前記供給管の端部の位置の調節手段との構造に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
従来、研削装置には研削時に発生する研削粉を洗い流して砥石の目詰まりを防止するとともに、研削性能の維持と砥石の冷却を図るために、研削液を砥石に供給することが必要である。
また、従来、要求される研削の高性能化により、研削装置に使用される砥石はダイヤモンドホイールやCBNホイールが多用され、かつ、ツルーイング、ドレッシングがなされて、研削加工精度が高く、高速研削が行われている。
【0003】
そして、従来、高性能化された研削装置のノズル装置は、砥石に確実に集中して研削液を供給することが要求され、ノズルを箱形状とし、砥石の周面と両側面を抱き込むようにしている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
特許文献1に記載のノズル装置は、砥石とノズルの相対位置を正確に調整するために、U、V、Wの3軸線方向にそれぞれネジ駆動により移動可能に各移動台が連携するように形成されている。
【0004】
特許文献2に記載のノズル装置は、ノズル本体を砥石周面に略密着状態に宛がうために、ノズル内箱、ノズル外箱、内・外スピンドル軸、内・外マイクロメータ、内・外ダイヤルゲージなどを設けて、ノズル本体と砥石周面との隙間を調節できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−221425号公報(図8参照)
【特許文献2】特開2003−311618号公報(図2図3参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のノズル装置は、U軸移動台、V軸移動台、W軸移動台に各送りネジ、各つまみを設けて砥石とノズルの相対位置を調節する構造であるために、構造が複雑で高価であり、調節が面倒であるという課題があった。
また、特許文献2に記載のノズル装置は、ノズル内箱、ノズル外箱、内スピンドル軸、外スピンドル軸、内マイクロメータ、外マイクロメータ、内ダイヤルゲージ、外ダイヤルゲージなどが必要であり、構造が複雑であるとともに、大形となり、研削装置への設置に制約を受けるという課題があった。
【0007】
本発明は、従来の研削装置用ノズル装置の課題を解決するために、合成樹脂製のノズル部と金属製の研削液の供給管との接続手段と、前記供給管を砥石カバーに固定する固定手段に備えられた前記供給管の端部の位置の調節手段とにより、簡単な構造で調節も容易な砥石を包み込むノズル部を砥石に対して所定位置に設けることができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、研削装置に装着され回転駆動される円盤状の砥石に研削液を供給する研削装置用ノズル装置において、
前記砥石は、ダイヤモンドホイール又はCBNホイールであり、
前記ノズル装置は、ノズル部と、前記研削液の供給管と、前記供給管を固定する固定手段と、前記ノズル部を前記供給管に接続する接続手段とを備えており、
前記ノズル部は、前記砥石の周面と両側面とを包み込む開口部と、研削液室と、円筒状の接続筒部と、前記接続筒部の外周に形成された雄ねじ部と、前記雄ねじ部に形成されたキー用スリットとを備えるとともに、合成樹脂製であり、
前記接続手段は、前記供給管における一端側に端部から順に、外周に溶接固定され前記ノズル部のキー用スリットに係合するキーと、リング状の鍔部と、リング状のシール材と、前記ノズル部の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が内周に形成された袋ナットとを備えており、
前記研削装置は、前記砥石を覆う砥石カバーを備え、前記砥石カバーに前記固定手段が設けられており、
前記固定手段は、平面視L字状の第一面と第二面とが形成された固定板と、前記供給管における前記端部の位置を調節する調節手段とを備えており、
前記調節手段は、前記供給管に固定されて直交方向に突出する雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の外周に装着された所定厚みの環状板と、前記雄ねじ部材に螺合する調節ナットとを備えるとともに、前記固定板の前記第一面が前記砥石カバーに固定され、前記第二面に前記雄ねじ部材を回動可能に貫通する貫通孔が形成されており、
前記供給管は、前記固定手段よりも研削液の上流側までを剛性の金属製とされ、前記金属製の上流側を可撓性材料製とされているものである。
【0009】
請求項2に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1に係る本発明の構成に加え、前記調節手段の前記貫通孔は、上下方向の長孔形状としたものである。
【0010】
請求項3に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1又は2に係る本発明の構成に加え、前記砥石は厚みの異なる複数のうちから所要厚みのものが選択されて前記研削装置に装着可能とされており、前記ノズル部は各砥石の厚みにそれぞれ合致する複数個のうちから選択された前記砥石に合致するノズル部が選択されて前記研削装置に装着されているものである。
【0011】
請求項4に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項3に係る本発明の構成に加え、前記調節手段における前記環状板は、ワッシャー、カラー又はスペーサ―であり、その厚みが前記砥石に整合しているものである。
【0012】
請求項5に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1〜4のいずれかに係る本発明の構成に加え、前記供給管は、前記固定手段よりも研削液の下流側で順に直線状の下降部分と湾曲部分と水平部分とを備えているものである。
【0013】
請求項6に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1〜5のいずれかに係る本発明の構成に加え、前記ノズル部は、前記接続筒部の他端側を外方に突出する膨出曲面状部に形成されており、前記膨出曲面状部側に前記開口部が設けられているものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、前記ノズル部は、ダイヤモンドホイール又はCBNホイールの前記砥石の周面と両側面とを包み込む開口部と、研削液室と、円筒状の接続筒部と、前記接続筒部の外周に形成された雄ねじ部と、前記雄ねじ部に形成されたキー用スリットとを備えるとともに、合成樹脂製であり、前記接続手段は、前記供給管における一端側に端部から順に、外周に溶接固定され前記ノズル部のキー用スリットに係合するキーと、リング状の鍔部と、リング状のシール材と、前記ノズル部の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が内周に形成された袋ナットとを備えており、前記研削装置は、前記砥石を覆う砥石カバーを備え、前記砥石カバーに前記固定手段が設けられており、前記砥石カバーに設けられた前記固定手段は、平面視L字状の第一面と第二面とが形成された固定板と、前記供給管における前記端部の位置を調節する調節手段とを備えており、前記調節手段は、前記供給管に固定されて直交方向に突出する雄ねじ部材と、前記雄ねじ部材の外周に装着された所定厚みの環状板と、前記雄ねじ部材に螺合する調節ナットとを備えるとともに、前記固定板の前記第一面が前記砥石カバーに固定され、前記第二面に前記雄ねじ部材を回動可能に貫通する貫通孔が形成されており、前記供給管は、前記固定手段よりも研削液の上流側までを剛性の金属製とされ、前記金属製の上流側を可撓性材料製とされているから、砥石の所定位置にノズル部を装着する際は、調節手段の調節ナットを緩めて仮固定状態とし、ノズル部を砥石の所定位置に押し込んで接続手段の袋ナットを仮締めし、砥石を手動回動させてノズル部の位置が正確であることを確認して、袋ナットを締付け、つぎに、調節手段の調節ナットを締付けて研削装置用ノズル装置を固定するのであり、簡単な構造で安価で調節も容易な砥石を包み込むノズル部を砥石に対して所定位置に設けることができるのである。
そして、調節手段は、供給管に固定された雄ねじ部材とそれに螺合する調節ナットとを備えるとともに、固定板の第一面が砥石カバーに固定され、第二面に雄ねじ部材を回動可能に貫通する貫通孔が形成されているから、供給管を雄ねじ部材を支点として回動させて供給管端部の位置を左右方向に調節できるとともに、接続手段により研削液の液洩れのないノズル部の供給管端部への接続が簡単、確実にできるのである。
【0015】
請求項2に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1に係る本発明の効果に加え、調節手段の貫通孔は、上下方向の長孔形状であるから、必要に応じて雄ねじ部材の位置を上下させて供給管端部の位置を上下に調節することができるのである。
【0016】
請求項3に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1又は2に係る本発明の効果に加え、砥石は厚みの異なる複数のうちから所要厚みのものが選択されて研削装置に装着可能とされており、ノズル部は各砥石の厚みにそれぞれ合致する複数個のうちから選択された砥石に合致するノズル部が選択されて研削装置に装着されているから、砥石の厚みが変わっても、研削液を砥石に集中して確実に供給することができるのである。
【0017】
請求項4に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項3に係る本発明の効果に加え、調節手段における環状板は、ワッシャー、カラー又はスペーサ―であり、その厚みが砥石に整合しているから、供給管端部の位置を調節してノズル部の開口部を砥石の所定位置に装着させることができるのである。
【0018】
請求項5に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1〜4のいずれかに係る本発明の効果に加え、供給管は、固定手段よりも研削液の下流側で順に直線状の下降部分と湾曲部分と水平部分とを備えているから、研削液の供給管における流通損失を小さくでき、研削液の循環ポンプの容量及び消費電力を小さくできるのである。
【0019】
請求項6に係る本発明の研削装置用ノズル装置は、請求項1〜5のいずれかに係る本発明の効果に加え、ノズル部は、接続筒部の他端側を膨出曲面状部に形成されており、膨出曲面状部側に開口部が設けられているから、砥石にノズル部を装着するのが、容易である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置を搭載する研削装置の概略正面図である。
図2図1の一部省略側面図である。
図3図1の部分拡大側面図である。
図4】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置における接続手段の図で、(a)は分解正面図、(b)は(a)のA−A矢視図、(c)は(a)のB−B矢視図及び(d)は(a)のC−C矢視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置における固定手段の図で、(a)は正面図及び(b)は側面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置の固定手段における固定板の図で、(a)は正面図及び(b)は側面図である。
図7】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置の調節手段における雄ねじ部材、環状板及び供給管の図で、(a)は正面図、(b)は側面図及び(c)は平面図である。
図8】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置の調節手段における調節ナットの図で、(a)は正面図及び(b)は側面図である。
図9】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置におけるノズル部を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は正面図及び(d)は斜視図である。
図10】本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置のノズル部における砥石の周面と両側面とを包み込む開口部側の変形例を示す図で、(a)は四角筒形、(b)は四角筒膨出曲面状形及び(c)〜(f)はそれぞれ厚みが大きい砥石用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を添付した図1図10に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る研削装置用ノズル装置を搭載する研削装置の概略正面図、図2及び図3図1の一部省略側面図及び部分拡大側面図、図4は接続手段の図、図5は固定手段の図、図6は固定板の図、図7は雄ねじ部材、環状板及び供給管の図、図8は調節ナットの図、図9はノズル部の図及び図10はノズル部における開口部側の変形例を示す図である。
【0022】
図1図3において、1は研削装置であり、研削装置1は円盤状の砥石2を回転駆動して往復動自在なテーブル11上の電磁チャック12に装着された被加工物(図示せず)を研削加工するようにしている。
研削装置1の砥石2は、外径が150mm、厚みが12mmのダイヤモンドホイールであり、ツルーイング及びドレッシングがなされて、研削加工精度が高く、高速研削を行うようにしている。
【0023】
3は、砥石2に研削液を供給する研削装置用ノズル装置であり、ノズル装置3は、ノズル部4と、研削液の供給管5と、供給管5を固定する固定手段6と、ノズル部4を供給管5に接続する接続手段7とを備えている。
ノズル部4は、合成樹脂製であり、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などから射出成形で形成されている。
【0024】
そして、ノズル部4は、砥石2の周面21と両方の側面22とを包み込む開口部41と、研削液室42と、円筒状の接続筒部43と、接続筒部43の外周に形成された雄ねじ部43aと、雄ねじ部43aに形成されたキー用スリット43bとを備えている。
雄ねじ部43aは、図9に示すように、雄ねじ部43aが形成されていない円筒状部の外径が20mm、内径が18mmで、雄ねじ部43aの谷底の径が20mmで、ねじ山の頂の径が22mmに形成されている。
【0025】
また、ノズル部4は、接続筒部43の他端側を半球面状に膨出する膨出曲面状部44に形成されており、膨出曲面状部44側に砥石2との隙間を可及的に小さくするように幅が砥石2の厚みと略同じ12mmの開口部41であって、開口部41の形状も図3に示す砥石2の周面21と両側面22とを包み込むようにしている。
ノズル部4は、砥石2に対して、例えば図3に示す所定位置に装着されたときに、開口部41から挿入された砥石2の周面21及び両側面22周りが研削液室42に形成されて、研削液が砥石2の高速回転に連れられて被加工物の研削加工面に供給されるようにしている。
【0026】
つぎに、接続手段7は、図4に示すように、供給管5における一端側51に端部52から順に、外周に溶接固定されたノズル部4のキー用スリット43bに係合するキー71と、外周に溶接固定されたリング状の鍔部72と、リング状のシール材73と、ノズル部4の雄ねじ部43aに螺合する雌ねじ部74aが内周に形成されるとともに供給管5が貫通する穴部を備えた袋ナット74とを備えている。
また、研削装置1には、砥石2の下方を残して上方を覆う砥石カバー23を備え、砥石カバー23に固定手段6が設けられており、固定手段6は図5図8に示すように、平面視L字状の第一面81と第二面82とが形成された固定板8と、供給管5における端部52の位置を調節する調節手段9とを備えている。
【0027】
調節手段9は、供給管5に溶接固定の断面コ字状の取付部材91aに溶接固定されて供給管5から直交方向に突出する雄ねじ部材91と、雄ねじ部材91の外周に装着された所定厚みの環状板92と、雄ねじ部材91に螺合する調節ナット93とを備えている。
環状板92は、例えば金属製のワッシャー、カラー又はスペーサ―であり、使用する環状板92の厚みを変えることにより、供給管5aの端部52(ノズル部4)の位置を図3において、紙面の前後方向に変更することができるようにしている。
【0028】
そして、固定板8の第一面81に4つのビス孔81aが形成され、固定板8は砥石カバー23の垂直平面23aにビスにより固定されており、第二面82に雄ねじ部材91を回動可能に貫通する上下方向に長い長孔形状の貫通孔83が形成されている。
供給管5は、図1に示すように、固定手段6よりも研削液の上流側の継手53までを剛性の金属製の供給管5aとされており、金属製の供給管5aの上流側(継手53の上流側)を可撓性材料製の供給管5b、例えば合成樹脂製の供給管5bとされている。
【0029】
また、供給管5は、図3に示すように、固定手段6よりも研削液の下流側で順に直線状の下降部分5cと湾曲部分5dと水平部分5eとを備え、研削液の供給管5における流通損失を小さくでき、研削液の循環ポンプの容量及び消費電力を小さくできるようにしている。
なお、図1において、13は研削液受部、14は研削液タンク、15は研削液の循環ポンプ、16はポンプ用モーター、17は研削液受部13と研削液タンク14とを接続するリターンホース及び54は可撓材料製の供給管5bに介設された開閉弁であり、図2において、24は砥石駆動用スピンドルモーター、25は砥石駆動軸及び26は砥石取付具である。
【0030】
ここで、以上のように構成した研削装置用ノズル装置3におけるノズル部4を砥石2の所定位置に装着する手順を説明する。
まず、調節手段9の調節ナット93を緩めて金属製の供給管5aを仮固定状態とし、ノズル部4を砥石2の所定位置に押し込んで接続手段7の袋ナット74を仮締めし、砥石2を手動回動させてノズル部4の位置が正確であることを確認して、袋ナット74を所定トルクで締付ける。
【0031】
つぎに、調節手段9の調節ナット93を締付けて研削装置用ノズル装置3を固定するのであり、簡単な構造で調節も容易な砥石2を包み込むノズル部4を砥石2に対して所定位置に設けることができるのである。
このように、調節手段9は、供給管5aに固定された雄ねじ部材91とそれに螺合する調節ナット93とを備えるとともに、固定板8の第一面81が砥石カバー23の垂直平面23aに固定され、第二面82に雄ねじ部材91を回動可能に貫通する貫通孔83が形成されているから、供給管5aを雄ねじ部材91を支点として回動させて供給管5aの端部52の位置を左右方向に調節できるとともに、接続手段7により研削液の液洩れのないノズル部4の供給管5aの端部52への接続が簡単にできるのである。
【0032】
以上の実施の形態では、研削装置1の砥石2は、外径が150mm、厚みが12mmのダイヤモンドホイールとしたが、ダイヤモンドホイールに替えてCBNホイールにしてもよく、砥石2の厚みを12mmから変更して例えば8mm、10mm、16mm、20mmのうちから被加工物に応じて選択することができる。
砥石2の厚みを変更する場合、ノズル部4、その開口部41及び調節手段9における環状板92の厚みを変更して、ノズル部4が砥石2の周面21及び両側面22に対して隙間を可及的に小さくして、包み込むことができるように、合致する開口部41を備えたノズル部4の選択とノズル部4の位置の調節を行うのである。
【0033】
すなわち、例えば、砥石2の厚みを20mmに変更したとき、砥石2の厚み方向の中心線は、図2において紙面の左方向に(図3において紙面の手前方向に)2mm移動するため、ノズル部4の形状を例えば図10(d)に変更するのである。
また、砥石2の厚み方向の中心線及びノズル部4が図3において紙面の手前方向に2mm移動するため、供給管5aの端部52を図3において紙面の手前方向に2mm移動する必要がある。
【0034】
供給管5aの端部52の調節は、調節手段9における環状板92の厚みが2mm厚いものに変更するのである。
このように、砥石2は厚みの異なる複数のうちから所要厚みのものが選択されて研削装置1に装着可能とされており、ノズル部4は各砥石2の厚みにそれぞれ合致する複数個のうちから選択された砥石2に合致するノズル部4が選択されて研削装置1に装着されており、砥石2の厚みが変わっても、研削液を砥石2に集中して確実に供給することができるのである。
【0035】
また、調節手段9における環状板92は、その厚みが砥石2の厚みに応じて所定厚みにしているから、供給管5aの端部52の位置を調節してノズル部4の開口部41を砥石2の所定位置に装着させることができるのである。
以上の実施の形態では、ノズル部4について、図9に示すものを中心に説明し、砥石2の厚みが16mmの場合に図10(d)に示すものを説明したが、以下にノズル部4の他の変形例について図10に基づいて説明する。
【0036】
まず、図9図10(a)及び図10(b)に示すノズル部4は、砥石2の厚みが12mm、10mm及び8mmのものに共通した外形であり、開口部41の形状がそれぞれ砥石2の厚みにより異なっている。
したがって、ノズル4の外形については砥石2の厚みが12mm、10mm及び8mmのものについて共通に成形し、開口部41を砥石の厚みに合わせて切削加工して形成してもよく、ノズル部4のそれぞれについて外形及び開口部41を同時に成形してもよい。
【0037】
また、図10(c)、図10(d)、図10(e)及び図10(f)に示すノズル4は、砥石2の厚みが16mm及び20mmのものに共通した外形であり、開口部41の形状がそれぞれ砥石2の厚みにより異なっている。
したがって、ノズル4の外形については砥石2の厚みが16mm及び20mmのものについて共通に成形し、開口部41を砥石2の厚みに合わせて切削加工して形成してもよく、ノズル部4のそれぞれについて外形及び開口部41を同時に成形してもよい。
【0038】
以下、ノズル部4の変形例について、図10(a)〜図10(f)に基づいて、図9のノズル部4からの変形箇所である開口部41(研削液室42)側を、それぞれ簡単に説明する。
まず、図10(a)〜図10(f)に示すノズル4は、接続筒部43、雄ねじ部3a及びキー用スリット43bについては、供給管5側における接続手段7と接続するために、変更がなされていないので、符号の記入及び説明を省略する。
【0039】
そして、図10(a)〜図10(f)は、いずれも紙面の左右方向において、左側から平面図、側面図及び正面図を示している。
図10(a)に示すノズル4は、開口部41(研削液室42)側を正四角筒状とし、先端部を垂直平面状部としている。
【0040】
図10(b)に示すノズル4は、開口部41(研削液室42)側を正四角筒状とし、先端部を断面円弧状の膨出曲面状部としている。
図10(c)に示すノズル4は、開口部41(研削液室42)側を四角筒状とし、先端部を垂直平面状部としている。
【0041】
図10(d)に示すノズル4は、開口部41(研削液室42)側を断面長穴筒状とし、先端部を長穴辺からそれぞれ弧状に膨出する膨出曲面状部としている。
図10(e)に示すノズル4は、開口部41(研削液室42)側を四角筒状とし、先端部を断面円弧状の膨出曲面状部としている。
【0042】
図10(f)に示すノズル4は、開口部41(研削液室42)側を四角筒状とし、先端部を四角辺からそれぞれ弧状に膨出する膨出曲面状部としている。
以上の実施の形態では、貫通孔83を上下方向の長孔形状としたが、長孔形状に替えて円形のバカ孔でもよい。
【0043】
また、以上の実施の形態では、厚みの異なる複数の砥石2を選択して、研削装置1に使用可能としたが、1種類の所要厚みの砥石2専用の研削装置用ノズル装置としてもよい。
以上の実施の形態では、供給管5は、固定手段6よりも研削液の下流側で順に直線状の下降部分5cと湾曲部分5dと水平部分5eとから形成したが、湾曲部分5dに替えて直角部分としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 研削装置
2 砥石
21 周面
22 側面
23 砥石カバー
23a 垂直平面
3 研削装置用ノズル装置
4 ノズル部
41 開口部
42 研削液室
43 接続筒部
43a 雄ねじ部
43b キー用スリット
44 膨出曲面状部
5 供給管
5a 金属製の供給管
5b 可撓材料製の供給管
5c 下降部分
5d 湾曲部分
5e 水平部分
51 一端側
52 端部
6 固定手段
7 接続手段
71 キー
72 リング状の鍔部
73 リング状のシール材
74 袋ナット
74a 雌ねじ部
8 固定板
81 第一面
82 第二面
83 貫通孔
9 調節手段
91 雄ねじ部材
92 環状板
93 調節ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10