特許第6775253号(P6775253)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775253ヘアケア装置用のフード、及びヘアケア装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775253
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ヘアケア装置用のフード、及びヘアケア装置
(51)【国際特許分類】
   A45D 20/12 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   A45D20/12 J
   A45D20/12 101
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2019-42103(P2019-42103)
(22)【出願日】2019年3月8日
(65)【公開番号】特開2020-141919(P2020-141919A)
(43)【公開日】2020年9月10日
【審査請求日】2019年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】301000239
【氏名又は名称】テスコム電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 雄一
(72)【発明者】
【氏名】大塚 健
【審査官】 芝井 隆
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0338211(US,A1)
【文献】 特開2012−200370(JP,A)
【文献】 実開昭54−033888(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアケア装置用のフードであって、
前記ヘアケア装置は、
送風路を構成し、風の吹出口に前記フードが装着されるハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ前記吹出口へ送風する送風器と、
前記送風路の外周側に配され霧状体を送風方向に沿って噴射する噴霧器と
を備え、
前記フードは、
前記吹出口から送風方向へ延び、部材の周方向の一部が欠損した欠損部を含むフード本体と、
前記欠損部において前記フード本体に支持され、前記噴霧器から噴射された前記霧状体を前記フード本体の外周側から内周側に導入する導入部材と
を備えるヘアケア装置用のフード。
【請求項2】
前記導入部材は、第1面及び前記第1面と対向する第2面を有し、
前記第1面は、第1の連結部材と結合して前記フード本体に支持され、
前記第2面は、第2の連結部材と結合して前記フード本体に支持される請求項1に記載のヘアケア装置用フード。
【請求項3】
前記導入部材は、前記霧状体の噴領域に面して配された羽部材である請求項1に記載のヘアケア装置用のフード。
【請求項4】
前記羽部材は、送風方向上流側から下流側にかけて前記フード本体の内周側に向かって傾斜している請求項に記載のヘアケア装置用のフード。
【請求項5】
前記羽部材は、送風方向に見て前記霧状体の噴領域の近傍から前記フード本体の内周側へ延びるように設けられている請求項に記載のヘアケア装置用のフード。
【請求項6】
前記霧状体は、霧状の液体又は粉体である請求項1〜5の何れか1項に記載のヘアケア装置用のフード。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか1項に記載のヘアケア装置用のフードと、
送風路を構成し、風の吹出口に前記フードが装着されるハウジングと、
前記ハウジング内に設けられ前記吹出口へ送風する送風器と、
前記送風路の外周側に配され霧状体を送風方向に沿って噴射する噴霧器と
を備えるヘアケア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケア装置用のフード、及びヘアケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体容器内の液体を霧化する超音波振動ユニットを備えるヘアドライヤーが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のヘアドライヤーでは、超音波振動ユニットと液体容器とがヘアドライヤーの上部に内蔵され、霧化した液体の放出口がヘアドライヤーのフードの上部に臨んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−200370
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ヘアドライヤー等のヘアケア装置の温風から容器内の液体や粉体への熱の影響を抑制すると共に、噴射された霧状体をヘアケア装置の送風に十分に混合させることができるヘアケア装置用のフード、及びヘアケア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、一態様に係るヘアケア装置用のフードは、前記ヘアケア装置の吹出口から送風方向へ延びるフード本体と、前記フード本体に支持され、前記ヘアケア装置の噴霧器から噴射された霧状体を前記フード本体の外周側から内周側に導入する導入部材とを備える。
【0006】
上記目的を達成するために、一態様に係るヘアケア装置は、上記のヘアケア装置用のフードと、送風路を構成し、風の吹出口に前記フードが装着されるハウジングと、前記ハウジング内に設けられ前記吹出口へ送風する送風器と、前記送風路の外周側に配され霧状体を送風方向に沿って噴射する噴霧器とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヘアドライヤー等のヘアケア装置の温風から容器内の液体や粉体への熱の影響を抑制すると共に、噴射された霧状体をヘアケア装置の送風に十分に混合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るヘアケア装置及びヘアケア装置用のフードを示す概略断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態に係るフードを示す斜視図である。
図3図3は、図2のフードを示す正面図である。
図4図4は、図2のフードを示す背面図である。
図5図5は、一実施例に係るヘアケア装置を用いた実験を示す写真である。
図6図6は、比較例に係るヘアケア装置を用いた実験を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るヘアケア装置及びヘアケア装置用のフードについて説明する。なお、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るヘアケア装置10及びヘアケア装置用のフード100を示す概略断面図である。この図に示すように、ヘアケア装置10は、ヘアドライヤーである。このヘアケア装置10は、本体部10Aと把持部10Bとフード100とを備える。
【0011】
本体部10Aは、ハウジング11と、送風器12と、ヒータ13と、噴霧器20とを備える。ハウジング11は、本体部10Aの外郭を構成し、内部に送風路111となる空洞が形成されている。ハウジング11の長手方向の一方側には吸込口112が形成され、ハウジング11の長手方向の他方側には吹出口113が形成されている。送風路111は、吸込口112から吹出口113に至る。このハウジング11の下部に把持部10Bが接続されている。把持部10Bは、ハウジング11の下部から、送風路111に対して直交する方向へ延びている。なお、把持部10Bとハウジング11とは、一体であってもよく、ヒンジを介して折畳み可能に接続されていてもよい。
【0012】
送風器12は、ファン121とモータ122とを備える。ファン121とモータ122とは、ハウジング11内に配されている。ファン121は、吸込口112の近傍に配されている。モータ122は、ファン121と吹出口113との間に配されている。ファン121の回転中心は、モータ122の回転軸に接続されている。ファン121及びモータ122の回転軸は、送風路111の中心と同軸に配されている。本実施形態では、ファン121は、正面から見て反時計回りに回転して吸込口112から吹出口113へ送風する。
【0013】
ヒータ13は、ハウジング11内におけるファン121と吹出口113との間に配されている。このヒータ13は、従来から公知のヘアドライヤー用の電気抵抗体を備え、ファン121により吸込口112から吹出口113へ送られる風を加熱する。
【0014】
噴霧器20は、送風路111よりも外周側に配されている。本実施形態では、噴霧器20は、ハウジング11の上部に配され、噴霧器20の吹出口は、ハウジング11の吹出口113の近傍に配されている。
【0015】
噴霧器20は、容器ユニット21と、噴霧ユニット22とを備える。容器ユニット21は、噴霧ユニット22に対して着脱可能に装着される。噴霧ユニット22は、ハウジング11の上部に配されている。
【0016】
容器ユニット21は、容器211と、芯棒212と、キャップ213とを備える。容器211は、芯棒212が挿入される開口が形成されている。芯棒212は、軸方向一端が容器211の開口から突出するように、キャップ213を介して容器211に取り付けられている。この芯棒212は、フェルト等の吸液性、通液性及び保液性に優れた棒材である。
【0017】
容器211は液体を収容する。容器211に収容された液体は、芯棒212に吸収され、芯棒212の先端まで浸透する。ここで、容器211に収容される液体としては、化粧剤、芳香剤、薬剤、及び水等を例示できる。
【0018】
噴霧ユニット22は、カートリッジ221と、付勢部材222と、超音波振動子223とを備える。カートリッジ221は、ハウジング11の上部に配されており、容器ユニット21が着脱可能に装着される。容器ユニット21は、容器211の開口が吹出口113側を向くようにカートリッジ221に装着される。
【0019】
カートリッジ221は、容器211の幅方向両側、および底側の三方を囲繞する壁部を備える。このカートリッジ221の壁部の一部は開口しており、この開口221Aと容器211の開口とが対向している。また、カートリッジ221の上面は開閉可能な蓋となっており、この蓋が開いた状態で、容器ユニット21がカートリッジ221に対して着脱される。
【0020】
付勢部材222及び超音波振動子223は、カートリッジ221内に配されている。付勢部材222は、容器211の底側とカートリッジ221の壁部との間に配され、容器211をカートリッジ221の開口221A側に付勢している。付勢部材222としては、圧縮コイルバネや板バネ等のバネやゴム等を例示できる。
【0021】
超音波振動子223は、カートリッジ221の開口221Aと芯棒212の先端との間に配されている。この超音波振動子223は、多数の微小な貫通孔が形成された板状の素子である。ここで、芯棒212の先端が付勢部材222により超音波振動子223に押し当てられていることにより、液体が芯棒212から超音波振動子223の貫通孔に移動する。
【0022】
ハウジング11には不図示のスイッチが設けられている。このスイッチが操作されると超音波振動子223が振動する。この超音波振動子223の振動によって、超音波振動子223の貫通孔に保持された液体が、霧化してカートリッジ221の開口221Aから前方(送風方向)に吹出される。
【0023】
ここで、霧化した液体は、フード100の上側から送風方向に沿って吹出され、フード100内に導入される。即ち、フード100は、その上側から吹出された霧状の液体を導入する構成を有する。以下、フード100について説明する。
【0024】
図2は、フード100を示す斜視図であり、図3は、フード100を示す正面図であり、図4は、フード100を示す背面図である。これらの図に示すように、フード100は、フード本体101と、導入部材102と、複数の連結部材103とを備える。なお、図中の+x方向を右方向とし、図中の+y方向を上方向とし、図中のz方向を前方向として以下説明する。
【0025】
フード本体101は、円筒状の部材の周方向の一部が欠損した構造の部材である。なお、フード本体101の円弧形状は真円であることは必須ではなく楕円でもよい。フード本体101は、前方から見て(図3の−z方向に見て)C字状に構成されており、上側の所定範囲が欠損している。当該所定範囲は、例えば、90°〜180°、好ましくは100°〜160°、より好ましくは110°〜140°である。本実施形態では、当該所定範囲は、120°である。
【0026】
フード本体101の前面側の直径は、フード本体101の背面側の直径よりも小さくなっている。また、フード本体101の背面側がハウジング11の吹出口113に対して着脱可能に装着される。フード本体101の開口が、フード本体101の円の中心よりも上側に位置するように、フード本体101が吹出口113に装着される。
【0027】
導入部材102は、羽部材であり、複数の連結部材103を介してフード本体101に固定されている。導入部材102は、平面視で(図2〜4の−y方向に見て)矩形状又は台形状の板材である。導入部材102の4角は、R形状に形成されている。また、導入部材102は湾曲している。この導入部材102の湾曲については後に詳細に説明する。連結部材103は、棒材である。
【0028】
導入部材102は、フード本体101の円の中心の近傍に配されている。導入部材102の大部分は、フード本体101の円の中心の高さよりも上側に配されている。また、導入部材102は、フード本体101の前後方向の中央に配されている。
【0029】
導入部材102の正面から見て右側とフード本体101の正面から見て右側の上端との間に、1本の連結部材103が左右方向に沿って配されている。当該1本の連結部材103は、フード本体101の前後方向の中央に配されている。当該1本の連結部材103の一端とフード本体101の正面から見て右側の上端とが結合され、当該1本の連結部材103の他端と導入部材102の下面(背側の面)とが結合されている。
【0030】
他方、導入部材102の正面から見て左側とフード本体101の正面から見て左側の上端との間に、2本の連結部材103が左右方向に沿って配されている。当該2本の連結部材103は、前後方向に並べて相互に平行に配されている。前側の連結部材103の高さは、後側の連結部材103の高さより低い。当該2本の連結部材103の一端とフード本体101の正面から見て左側の上端とが結合され、当該2本の連結部材103の他端と導入部材102の上面(腹側の面)とが結合されている。
【0031】
ここで、導入部材102は、後方側から前方側(送風方向上流側から下流側)へ下向き(内周側)に傾斜するように配されている。また、導入部材102は、右側から左側へ下向きに傾斜するように配されており、噴霧領域の近傍からフード本体101の内周側へ延びている。さらに、導入部材102の右側は、腹側が下向きに凹となるように湾曲する一方、導入部材102の左側は、腹側が上向きに凸となるように湾曲している。
【0032】
ファン121(図1参照)は、図3の反時計回り方向(図中矢印W方向)に回転し、図中矢印W方向に旋回する風を送る。フード100を通過する風は、コアンダ効果により導入部材102の腹側の面と背側の面とに沿って流れる。
【0033】
ここで、導入部材102が後方側から前方側へ下向きに傾斜していることにより、フード本体101の開口付近において、風の流れが、後方側から前方側へ下向き(内周側)に傾斜した向きに生じる。これにより、導入部材102の上側に吹出された霧状の液体が、導入部材102に沿った下向きの風の流れにより誘引されてフード本体101の内側に導入される。また、導入部材102の背面側で生じる乱流が抑制される。
【0034】
また、導入部材102が右側から左側へ下向きに傾斜し、噴霧領域の近傍からフード本体101の内周側に延びていることにより、フード本体101の開口付近において、風の流れが、ファン121の回転方向に沿った向きに生じる。これにより、フード本体101の内側に導入された霧状の液体が効果的に風に混合される。
【0035】
さらに、導入部材102が上述の湾曲形状であることにより、コアンダ効果が生じ易くなり、霧状の液体のフード本体101内への導入が促進される。
【0036】
本出願の発明者等は、ヘアケア装置10の効果を検証する実験を実施した。以下、本実験について説明する。
【0037】
図5は、一実施例に係るヘアケア装置を用いた実験を示す写真である。この写真に示すように、本実験で用いた実験機は、ヘアドライヤーの上部に噴霧器20を装着し、ヘアドライヤーの吹出口113にフード100を装着したものである。本実験では、噴霧器20の容器211に水を入れて噴霧器20からミストを放出させた。また、ヘアドライヤーのファンを作動させて送風した。
【0038】
図6は、比較例に係るヘアケア装置を用いた実験を示す写真である。この写真に示すように、本実験で用いた実験機は、上記実施例と同じヘアドライヤーの上部に噴霧器20を装着したものである。本実施形態では、噴霧器20の容器211に水を入れて噴霧器20からミストを放出させた。また、ヘアドライヤーのファンを作動させて送風した。
【0039】
図6に示す比較例の実験では、噴霧されたミストが、僅かにヘアドライヤーの風に誘引されるにとどまることが確認された。それに対して、図5に示す実施例の実験では、噴霧されたミストが、顕著にフード本体101内に導入されてヘアドライヤーの風と混合することが確認された。
【0040】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態において開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0041】
例えば、上記の実施形態では、霧状に液体を噴射する噴霧器を例に挙げたが、霧状に粉体を噴射する噴霧器についても採用可能である。霧状に噴射された粉体は、導入部材102によりフード本体101内に導入される。
【0042】
また、上記の実施形態では、噴霧器をヘアケア装置の上部に設けたが、ヘアケア装置の側部や下部に設けてもよい。さらに、噴霧器の噴射口をヘアケア装置のハウジングの外側に設けると共にフードに開口を形成することは必須ではなく、噴霧器の噴射口をフードの内側に配置し、フードに開口を形成しないようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10 ヘアケア装置、10A 本体部、10B 把持部、11 ハウジング、12 送風器、13 ヒータ、20 噴霧器、100 フード、101 フード本体、102 導入部材、103 連結部材、111 送風路、112 吸込口、113 吹出口、121 ファン、122 モータ、211 容器、212 芯棒、213 キャップ




図1
図2
図3
図4
図5
図6