(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775258
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】食品の加工方法、及び該方法を実施する食品の加工装置
(51)【国際特許分類】
A23L 17/00 20160101AFI20201019BHJP
A23L 13/20 20160101ALI20201019BHJP
【FI】
A23L17/00 C
A23L13/20
A23L17/00 F
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-131997(P2019-131997)
(22)【出願日】2019年7月17日
(65)【公開番号】特開2020-14459(P2020-14459A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年7月17日
(31)【優先権主張番号】107126070
(32)【優先日】2018年7月27日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】511053012
【氏名又は名称】國立屏東科技大學
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】王貳瑞
【審査官】
吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】
中国特許出願公開第107125622(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第103393136(CN,A)
【文献】
米国特許第04213229(US,A)
【文献】
韓国登録特許第10−1563109(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 17/
A23L 13/
A23K 10/
Japio−GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨と骨に付着している付着肉を有する加工対象物を加工することに適用される食品の加工方法であって、
前記加工対象物の前記付着肉を前記加工対象物の前記骨から容易に取り外すことができるように、前記加工対象物に対して蒸し作業を行うステップ(A)と、
前記ステップ(A)の蒸し作業で処理された前記加工対象物に対して、遠心分離作業を行って、前記骨から前記付着肉を取り外すステップ(B)と、
前記ステップ(B)で付着肉が取り外された前記骨に対して、2kg/cm2〜20kg/cm2の範囲内にあるゲージ圧力、及び、110℃〜200℃の範囲内にある温度で加熱加圧作業を行って軟化させ、軟化骨を得るステップ(C)と、
前記ステップ(C)で得た軟化骨に対して、40℃〜100℃の範囲内にある温度で乾燥作業を行って脆化させ、脆化骨を得るステップ(D)と、
前記ステップ(D)で得た脆化骨に対して、粉砕作業を行って粉末化させ、骨粉末を得るステップ(E)と、を含む、
ことを特徴とする食品の加工方法。
【請求項2】
前記ステップ(B)と前記ステップ(C)との間に、
前記骨から取り外された前記付着肉を集めるステップ(B1)を更に含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の食品の加工方法。
【請求項3】
骨と骨に付着している付着肉を有する加工対象物を加工することに適用され、蒸し器ユニットと、分離ユニットと、加圧加熱ユニットと、乾燥ユニットと、粉砕ユニットとが、上流側から下流側へと順に配置されるよう構成されている食品の加工装置であって、
前記蒸し器ユニットは、内に前記加工対象物を収容して前記加工対象物に対して蒸し作業を行うことができ、
前記分離ユニットは、前記蒸し器ユニットの下流側に設置されていると共に、分離空間が画成されている外殻部と、前記分離空間内に高速に自転することができるように設置され、且つ、内に前記蒸し作業で処理された前記加工対象物を収容することができる収容空間が画成されている上、該収容空間を周りから囲んでいる本体に、前記分離空間と前記収容空間とをそれぞれ連通させる複数の通穴が開けられている分離ドラムとを具え、前記分離ドラムでの回転による遠心分離作業を行って前記加工対象物の前記付着肉を前記加工対象物の前記骨から取り外してから前記複数の通穴を通して前記収容空間から前記分離空間に出すことができ、
前記加圧加熱ユニットは、前記分離ユニットの下流側に設置されていると共に、前記付着肉が取り外された前記骨を収容することができる加圧空間が画成されていて前記付着肉が取り外された前記骨を加圧することができる加圧機と、前記加圧機に設置されていて前記加圧空間にある前記付着肉が取り外された前記骨に対して加熱することができる加熱機と、から構成されていて加圧加熱作業を行って前記付着肉が取り外された前記骨を軟化させ、軟化骨を得ることができ、
前記乾燥ユニットは、前記加圧加熱ユニットの下流側に設置されていると共に、乾燥作業を行って前記軟化骨を脆化させ、脆化骨を得ることができ、
前記粉砕ユニットは、前記乾燥ユニットの下流側に設置されていると共に、粉砕作業を行って前記脆化骨を粉末化させ、骨粉末を得ることができる、
ことを特徴とする食品の加工装置。
【請求項4】
前記蒸し器ユニットと、前記分離ユニットと、前記加圧加熱ユニットと、前記乾燥ユニットと、前記粉砕ユニットと、を制御することができるように配置されている制御ユニットを更に具えている、
ことを特徴とする請求項3に記載の食品の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の加工方法及び食品の加工装置に関し、特に、食肉の骨を処理することができる食品の加工方法、及び該方法を実施する食品の加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、タマカイ、マグロ、メカジキといった大型の魚類は、栄養価が高く、食味が良く、経済価値が高い水産食品の1種である。なお、大型の魚類をレストランや家庭の台所で調理することができるようにするために、可食部のみ利用して複数に切断して包装するプロセスを実行する必要がある。しかしながら、このようなプロセスによって、魚の頭部、骨、鰭などが廃棄されてしまう問題がある。
【0003】
したがって、魚の頭部、骨、鰭などの水産食品を加工するプロセスにおいて発生する残渣物を無駄にしないために、該残渣物を焼いてセラミックス化した後に、農業、畜産、水産養殖などの分野で肥料又は飼料として使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】台湾特許第219887号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、魚類の頭部、骨、鰭などは、人体に有益な栄養素(例えば、ビタミン類、カルシウム、コラーゲンなど)をたっぷり含むものであるが、販売価値を有する水産加工品としては大量生産を実行しにくく、有効利用することができず、無駄になりやすい。
【0006】
そのため、水産食品製造業にとって、魚類の水産食品を製造するプロセスにおいて残留された魚類の頭部、骨、鰭などの残渣物を有効に利用して加工することは、魚類の経済価値の向上に大きく寄与することになる。
【0007】
なお、魚類の水産食品だけでなく、豚肉や牛肉や鶏肉などの肉類加工品を製造するプロセスにおいて残留された骨も、豊富なカルシウムを含んでいることから、肉類食品製造業にとっても、食肉の骨を有効に利用するための加工は、家畜、家禽を含む肉畜の経済価値を向上させる課題になる。
【0008】
よって、本発明は上記問題点に鑑みて、魚類や肉畜の経済価値を向上させることができるようにする食品の加工方法、及び該方法を実施する食品の加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための手段として、本発明は、骨と骨に付着している付着肉を有する加工対象物を加工することに適用される食品の加工方法であって、以下の(A)〜(E)の各ステップを含むことを特徴とする食品の加工方法を提供する。
【0010】
(A)前記加工対象物の前記付着肉を前記加工対象物の前記骨から容易に取り外すことができるように、前記加工対象物に対して蒸し作業を行う。
【0011】
(B)前記ステップ(A)の蒸し作業で処理された前記加工対象物に対して、遠心分離作業を行って、前記骨から前記付着肉を取り外す。
【0012】
(C)前記ステップ(B)で付着肉が取り外された前記骨に対して、2kg/cm
2〜20kg/cm
2の範囲内にある
ゲージ圧力、及び、110℃〜200℃の範囲内にある温度で加熱加圧作業を行って軟化させ、軟化骨を得る。
【0013】
(D)前記ステップ(C)で得た軟化骨に対して、40℃〜100℃の範囲内にある温度で乾燥作業を行って脆化させ、脆化骨を得る。
【0014】
(E)前記ステップ(D)で得た脆化骨に対して粉砕作業を行って粉末化させ、骨粉末を得る。
【0015】
また、本発明は、以下の食品の加工装置を提供する。
【0016】
即ち、上記の食品の加工方法を実施することに適用されると共に、蒸し器ユニットと、分離ユニットと、加圧加熱ユニットと、乾燥ユニットと、粉砕ユニットとが、上流側から下流側へと順に配置されるよう構成されている食品の加工装置であって、
前記蒸し器ユニットは、内に前記加工対象物を収容して前記加工対象物に対して蒸し作業を行うことができ、
前記分離ユニットは、前記蒸し器ユニットの下流側に設置されていると共に、分離空間が画成されている外殻部と、前記分離空間内に高速に自転することができるように設置され、且つ、内に前記蒸し作業で処理された前記加工対象物を収容することができる収容空間が画成されている上、該収容空間を周りから囲んでいる本体に前記分離空間と前記収容空間とをそれぞれ連通させる複数の通穴が開けられている分離ドラムとを具え、前記分離ドラムでの回転による遠心分離作業を行って前記加工対象物の前記付着肉を前記加工対象物の前記骨から取り外してから前記複数の通穴を通して前記収容空間から前記分離空間に出すことができ、
前記加圧加熱ユニットは、前記分離ユニットの下流側に設置されていると共に、前記付着肉が取り外された前記骨を収容することができる加圧空間が画成されていて前記付着肉が取り外された前記骨を加圧することができる加圧機と、前記加圧機に設置されていて前記加圧空間にある前記付着肉が取り外された前記骨に対して加熱することができる加熱機と、から構成されていて加圧加熱作業を行って前記付着肉が取り外された前記骨を軟化させ、軟化骨を得ることができ、
前記乾燥ユニットは、前記加圧加熱ユニットの下流側に設置されていると共に、乾燥作業を行って前記軟化骨を脆化させ、脆化骨を得ることができ、
前記粉砕ユニットは、前記乾燥ユニットの下流側に設置されていると共に、粉砕作業を行って前記脆化骨を粉末化させ、骨粉末を得ることができる食品の加工装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
上記手段によれば、本発明に係る食品の加工方法は、本発明に係る食品の加工装置を用いて、例えば、魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨といった直接食用することができないものを加工対象物として、蒸し作業を行い、遠心分離作業で骨から付着肉を取り外し、骨が軟化されるまで加熱加圧作業(
ゲージ圧力が2kg/cm
2〜20kg/cm
2、及び、温度が110℃〜200℃)を行い、軟化骨が脆化されるまで乾燥作業(温度が40℃〜100℃)を行い、そして、乾燥作業で脆化骨が粉末化されるまで粉砕作業を行うことによって、魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨からなる骨粉末を大量生産することができる。
【0018】
そのため、水産食品又は肉類食品の製造販売業者にとって、魚類や肉畜の経済価値を向上させることができる。一方、消費者にとって、栄養価が高い食品を簡単に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る食品の加工方法を実施するための食品の加工装置を示す図である。
【
図2】本発明に係る食品の加工方法の実施形態を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る食品の加工方法、及び該方法を実施する食品の加工装置1について図面を参照して説明する。なお、本加工方法及び加工装置の加工対象物は、例えば、魚類、牛や豚といった家畜や、アヒルやガチョウや鶏といった家禽などの肉畜から得られた骨付きの食肉である。
【0021】
図1と
図2を参照して本発明に係る食品の加工方法、及び該方法を実施する食品の加工装置1を説明する。ここで、
図1は本発明に係る食品の加工方法を実施するための食品の加工装置1を示す図であり、また、
図2は本発明に係る食品の加工方法の実施形態を説明するフローチャートである。
【0022】
図1に示されるように、本発明に係る食品の加工装置1は、後述する食品の加工方法を実施することに適用されていると共に、蒸し器ユニット2と、分離ユニット3と、加圧加熱ユニット4と、乾燥ユニット5と、粉砕ユニット6とが、上流側から下流側へ順に配置されるよう構成されている。
【0023】
蒸し器ユニット2は、内に加工対象物を収容して加工対象物に対して高温の空気や水蒸気で加熱する蒸し作業を行うことができるものである。
【0024】
分離ユニット3は、
図1に示されるように、蒸し器ユニット2の下流側に設置されていると共に、分離空間310が画成されている外殻部31と、分離空間310内に高速に自転することができるように設置され、且つ、内に蒸し作業で処理された加工対象物を収容することができる収容空間320が画成されている上、該収容空間320を周りから囲んでいる本体に、それぞれ分離空間310と収容空間320とを連通させる複数の通穴(図示せず)が開けられている分離ドラム32と、を具えている。
【0025】
加圧加熱ユニット4は、
図1に示されるように、分離ユニット3の下流側に設置されていると共に、付着肉が取り外された骨を収容することができる加圧空間410が画成されていて付着肉が取り外された骨を加圧することができる加圧機41と、加圧機41に設置されていて加圧空間410にある付着肉が取り外された骨に対して加熱することができる加熱機42と、から構成されていて、加圧加熱作業を行って付着肉が取り外された骨を軟化させ、軟化骨を得ることができるよう構成されるものである。
【0026】
乾燥ユニット5は、
図1に示されるように、加圧加熱ユニット4の下流側に設置されていると共に、乾燥作業を行って軟化骨を脆化させ、脆化骨を得ることができるよう構成されるものである。
【0027】
粉砕ユニット6は、
図1に示されるように、乾燥ユニット5の下流側に設置されていると共に、粉砕作業を行って脆化骨を粉末化させ、骨粉末を得ることができるよう構成されるものである。
【0028】
また、該食品の加工装置1は、
図1に示されるように、蒸し器ユニット2と、分離ユニット3と、加圧加熱ユニット4と、乾燥ユニット5と、粉砕ユニット6と、を制御することができるように配置されている制御ユニット7を更に具えている。
【0029】
なお、本実施形態において、制御ユニット7は、例えば、蒸し器ユニット2、分離ユニット3、加圧加熱ユニット4、乾燥ユニット5、粉砕ユニット6、とそれぞれ電気的に接続することができると共に、それぞれに対して対応する数値(即ち、温度、圧力、処理時間など)の入力を制御することができるコンピュータであることができる。
<食品の加工方法>
本発明に係る食品の加工装置1を利用して、骨と骨に付着している付着肉を有する加工対象物を加工することに適用される食品の加工方法を実施する。
【0030】
該食品の加工方法の実施形態は、
図2に示されるように、以下のステップS11〜ステップS15を含む。
【0031】
ステップS11において、
図1と
図2に示されるように、加工対象物にある寄生虫や微生物を殺滅することができると共に、加工対象物の付着肉を加工対象物の骨から容易に取り外すことができるように、蒸し器ユニット2により加工対象物に対して付着肉に火が通る程度まで蒸し作業を行う。
【0032】
より具体的に言うと、本実施形態において、生の加工対象物を蒸し器ユニット2に入れて、制御ユニット7を用いて、加工対象物の種類に応じて蒸す時間、蒸す温度などの数値を設定して、加工対象物の蒸し作業を実行する。ここで、例えば魚類の加工対象物は、肉畜又は食鳥の加工対象物より蒸す時間を短く、蒸す温度を低く設定することができる。
【0033】
ステップS12において、
図1と
図2に示されるように、分離ユニット3により、ステップS11における蒸し作業で処理された加工対象物に対して、遠心分離作業を行って、骨から付着肉を取り外す。
【0034】
該ステップS12においては、上述の分離ユニット3を用いることにより、分離ドラム32での遠心分離作業を行って、加工対象物の付着肉を加工対象物の骨から取り外してから肉を複数の上記通穴を通して収容空間320から分離空間310に出すことができる。
【0035】
具体的には、本実施形態に係る分離ユニット3としては、高速回転により試料(ここでは、蒸し作業で処理された加工対象物である)に強大な加速度を加え、試料の成分を分離することができる遠心分離装置を用いることができる。
【0036】
より詳しく言うと、骨から付着肉を徹底的に分離するために、ステップS11において蒸し作業で処理された加工対象物を分離ユニット3の分離ドラム32の収容空間320内に入れて、制御ユニット7を用いて、加工対象物の種類に応じて回転速度、及び、回転時間を設定して、分離ユニット3の遠心分離作業で加工対象物の骨及び付着肉を互いに分離する。ここで、例えば魚類の加工対象物は、肉畜の加工対象物よりも回転速度と回転時間とを低く設定することができる。
【0037】
より具体的には、
図2に示されるように、ステップS12は、以下のように説明されるサブステップS121を含む。
【0038】
サブステップS121において、遠心分離作業により、骨から取り外され、且つ、複数の上記通穴を通して分離空間310に出された付着肉を集める。なお、集められた付着肉は、例えば、田麩、スナック菓子、インスタントラーメンにある乾燥肉といった食品、農業用の肥料、養殖業用の飼料の製造に供することができる。
【0039】
ステップS13において、
図1と
図2に示されるように、加圧加熱ユニット4により、ステップS12で付着肉が取り外された骨に対して、2kg/cm
2〜20kg/cm
2の範囲内にある
ゲージ圧力、及び、110℃〜200℃の範囲内にある温度で加熱加圧作業を行って軟化させ、軟化骨を得る。
【0040】
具体的には、本実施形態において用いる加圧加熱ユニット4としては、作動している際に、空気や液体が逃げないように密封されたチャンバを加熱すると共に、大気圧以上の圧力を加えて、チャンバに封入された液体の沸点を高めることで、チャンバにある加熱加圧対象物(ここでは、付着肉が取り外された骨である)をより高温と高圧で、比較的に短時間に加熱加圧対象物を軟化させることができる圧力鍋を用いることができる。
【0041】
より詳しく言うと、本実施形態におけるステップS13においては、ステップS12において付着肉が分離された骨を加圧機41の加圧空間410内に入れて、そして、加熱機42により加圧機41を加熱する際に、加圧空間410に放置された骨が加熱された加圧機41に接触することで焦げることを防止するために、骨が全体的に水に浸るまで水を注入する。そして、制御ユニット7を用いて、骨の種類に応じて加圧機41が提供する圧力、加熱機42が提供する温度、及び、処理時間を設定することによって、骨が軟化されるように加圧加熱作業を実行する。
【0042】
ここで、加圧加熱作業の処理条件としては、該骨が魚類の骨であれば、
ゲージ圧力を2kg/cm
2〜5kg/cm
2の範囲内に、温度を110℃〜200℃の範囲内に、そして、処理時間を1時間〜10時間の範囲内に設定することができる。一方、該骨が肉畜の骨であれば、
ゲージ圧力を5kg/cm
2〜20kg/cm
2の範囲内に、温度を110℃〜200℃の範囲内に、そして、処理時間を4時間〜24時間の範囲内に設定することができる。
【0043】
ステップS14において、
図1と
図2に示されるように、乾燥ユニット5により、ステップS13に得た軟化骨に対して、40℃〜100℃の範囲内にある温度で乾燥作業を行って脆化させ、脆化骨を得る。
【0044】
具体的には、本実施形態に係る乾燥ユニット5としては、熱風や冷風を当てることによって、乾燥対象物(ここでは、軟化骨である)を脱水して軟化骨が脆化されるまで乾燥を実行する乾燥装置を用いることができる。
【0045】
更に、本実施形態におけるステップS14においては、ステップS13において取得された軟化骨を乾燥ユニット5に入れて、そして、制御ユニット7を用いて、骨の種類に応じて乾燥ユニット5が提供する乾燥するための風の温度、及び、処理時間を設定することによって、ステップS13において取得された軟化骨に対して乾燥作業を実行する。
【0046】
ステップS15において、
図1と
図2に示されるように、粉砕ユニット6により、ステップS14で得た脆化骨に対して粉砕作業を行って粉末化させ、骨粉末を得る。
【0047】
具体的には、本実施形態に係る粉砕ユニット6としては、摩擦や圧縮の力によって粉砕を実行する粉砕機を用いることができる。なお、骨粉末の用途に応じて、該粉砕ユニット6は、例えば、粗粉砕機、中間粉砕機、微粉砕機、摩砕機などであることができる。
【0048】
総括すると、本発明に係る食品の加工方法は、本発明に係る食品の加工装置1を用いて、例えば、魚類の頭部、骨、鰭、又は、家畜や家禽などの肉畜の骨などの直接には食することができない食材を加工対象物として、加工対象物の付着肉及び骨を互いにより簡単に分離させることができるための蒸し作業、骨から付着肉を取り外すための遠心分離作業、骨を軟化させ軟化骨を得るための加熱加圧作業、軟化骨を脆化させ脆化骨を得るための乾燥作業、そして、脆化骨を粉末化させるための粉砕作業、を順序に実行することによって、骨粉末を取得することができる。
【0049】
また、本発明に係る食品の加工装置1は、制御ユニット7が、蒸し器ユニット2と、分離ユニット3と、加圧加熱ユニット4と、乾燥ユニット5と、粉砕ユニット6とからなる構成に対して、温度、圧力、回転速度、実施時間などの加工条件に関わる数値を設定することによって、骨と付着肉を有する加工対象物から骨粉末になる該食品の加工方法を自動化することを実現することができる。それによって、魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨からなる食品加工品を大量生産することができる。
【0050】
なお、魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨には、人体に有益なビタミン類、カルシウム、コラーゲンなどの栄養素がたっぷり含まれており、また、該食品の加工方法によって取得された骨粉末は水に分散することができるので、後に例えば健康食品の原料として使用されることができる。勿論、本発明に係る方法により製造される食品加工品は、それに限定されず、直接食用するものとしても、調味料として料理に添加するものとしてもよく、上記した栄養素を提供することができる。
【0051】
よって、水産食品又は肉類食品の製造販売業者にとって、肉部だけでなく、不要なものと見なされている魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨などでも、食品加工品の加工対象物として利用することができることで、魚類や肉畜の経済価値を向上させることができる一方、消費者にとって、人体に必要な栄養素を自然な食材から摂取することができる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態及び変化例を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0053】
上記の本発明に係る食品の加工方法は、例えば、魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨といった直接食用することができない食材を加工対象物として、蒸し作業、遠心分離作業、加熱加圧作業、乾燥作業、粉砕作業を順序に実行することによって、魚類の頭部、骨、鰭、或いは、肉畜の骨からなる骨粉末を取得することができる。また、上記の本発明に係る食品の加工装置は、制御ユニットを更に設けることで、該食品の加工方法を自動化することを実現させることができ、骨粉末を大量生産することができる。
【0054】
それによって、水産食品又は肉類食品の製造販売業者にとって、魚類や肉畜の経済価値を向上させることができる。一方、消費者にとって、栄養価が高い食品を簡単に取得することができる。そのため、産業上の利用可能性がある。
【符号の説明】
【0055】
S11〜S15 ステップ
S121 サブステップ
1 食品の加工装置
2 蒸し器ユニット
3 分離ユニット
31 外殻部
310 分離空間
32 分離ドラム
320 収容空間
4 加圧加熱ユニット
41 加圧機
410 加圧空間
42 加熱機
5 乾燥ユニット
6 粉砕ユニット
7 制御ユニット