(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で用いる用語について、以下に説明する。
【0016】
「遊技媒体」とは、遊技機に使用されるメダル又は遊技球のことをいう。遊技機に電気的又は磁気的に記憶された遊技媒体の数を示す情報のことを「クレジット」といい、その数を「クレジット数」という。
【0017】
「ベット」とは、遊技を開始するために遊技媒体を賭することをいう。ベットされた遊技媒体は遊技の開始とともに消費される。遊技を開始するためにベットされた遊技媒体の数のことを「ベット数」という。「ベットボタン」とは、ベットするために遊技者が操作するための装置のことをいう。
【0018】
「遊技」とは、スタートレバーの操作から、リールの回転及び停止を経て、入賞の判定の結果に基づく処理が終了するまでの一連の過程のことをいう。「1遊技」、「1回の遊技」とは、その一連の過程の1回分のことをいう。また、「遊技」に代えて「ゲーム」と表記する場合もある。
【0019】
「入賞ライン」とは、役の入賞を判定する対象である所定の図柄位置の組合せのことをいう。ベットに応じて入賞の判定が無効の状態から有効な状態に変化する。「入賞ライン上」とは、入賞ラインに係る図柄位置のことをいう。
【0020】
「入賞」とは、役に対応する図柄組合せが入賞ライン上に停止表示することをいう。
以下では、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
<2.遊技機の外観構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスロットマシン1の斜視図である。
スロットマシン1は、前面が開放された箱型の本体2と、本体2の前面を開閉可能に設けられた前扉3とを備えている。
本体2内には、上下方向の中央部より少し上方の位置に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3が左右に並べて配置されている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3はそれぞれ、ドラム状のリール枠の周面にリール帯を巻着した構成を有しており、リール枠の中心で左右方向に延びる軸を中心に回転可能に設けられている。各リール帯には、20個の図柄が周方向に並べて配列されている。
【0022】
前扉3には、表示部5、操作部6および演出表示部7が設けられている。
表示部5は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3と対向する位置に設けられている。表示部5の中央部には、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の周面の一部を視認可能にするためのリール窓8が設けられている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中は、リール窓8内に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の図柄が次々に現れる(図柄の変動表示)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3が停止すると、リール窓8内に、左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれ3個の図柄、合計9個の図柄が表示される(図柄の停止表示)。
【0023】
リール窓8の下方には、兼用表示器23aおよび払出枚数表示器23bが左右に並べて配置されている。兼用表示器23aおよび払出枚数表示器23bは、たとえば、2桁の数字を表示可能な7セグメント表示器からなる。
【0024】
図2は、スロットマシン1の兼用表示器23aの拡大図である。
兼用表示器23aは、ドット付きの2桁の7セグメント表示器で構成しており、兼用表示器23aの2桁の7セグメント部分は、クレジット数表示器CRと指示モニタNMとで兼用している。また、兼用表示器23aのドット部分は、有利区間ランプYLとして利用している。
【0025】
指示モニタNMは、後述する主制御装置100aから演出サブ制御装置100bに対し、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C及び右ストップボタン15Rの操作順(以下、停止操作順という)を指示するコマンドを送信する際に当該コマンドの種別に応じた識別情報を表示する。
有利区間ランプYLは、指示モニタNMに初回の識別情報を表示するまでは消灯状態、初回の識別情報の表示以降は後述する有利状態が終了するまで点灯状態とされる。
【0026】
図1に戻り、操作部6は、表示部5の下側に配置されている。操作部6には、メダル投入口10、MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15Rおよび精算ボタン16が設けられている。
【0027】
メダル投入口10からメダルが投入されると、ベット数が最大の3枚未満である場合は、その投入されたメダルがベットされる。ベット数が3枚の状態で、メダル投入口10からメダルが投入された場合、その投入されたメダルは、50枚を上限として、スロットマシン1にクレジットされる。現在のクレジット数は、クレジット数表示器CRに表示される。
【0028】
MAXベットボタン11は、クレジットからのメダルの引き落としによりベット数を最大の3枚とすべく操作するボタンである。
【0029】
1枚ベットボタン12は、クレジットから1枚のメダルを引き落として、ベット数に1を加算すべく操作するボタンである。
【0030】
また、2枚ベットボタン13は、クレジットから2枚のメダルを引き落として、ベット数に2を加算すべく操作するボタンである。
【0031】
1遊技の実行に必要なメダル枚数を「規定数」という。規定数分のメダルがベットされた後、スタートレバー14が操作されると、1回の遊技(1遊技)が開始され、左リールR1、中リールR2、および右リールR3が回転し始める。左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rは、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3に対応して設けられている。左リールR1、中リールR2、および右リールR3が回転し始めた後、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されると、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転が停止する。
【0032】
なお、以下、左ストップボタン15L→中ストップボタン15C→右ストップボタン15Rの順で各ストップボタンを操作することを「左→中→右」という。
左ストップボタン15L→右ストップボタン15R→中ストップボタン15Cの順で各ストップボタンを操作することを「左→右→中」という。
中ストップボタン15C→右ストップボタン15R→左ストップボタン15Lの順で各ストップボタンを操作することを「中→右→左」という。
中ストップボタン15C→左ストップボタン15L→右ストップボタン15Rの順で各ストップボタンを操作することを「中→左→右」という。
右ストップボタン15R→左ストップボタン15L→中ストップボタン15Cの順で各ストップボタンを操作することを「右→左→中」という。
右ストップボタン15R→中ストップボタン15C→左ストップボタン15Lの順で各ストップボタンを操作することを「右→中→左」という。
【0033】
すべてのリールR1、R2、R3が停止した時点で、リール窓8内の有効化されている入賞ライン上に所定の図柄の組合せが並ぶと、その図柄の組合せに対応づけられた役に入賞となる。役によっては、配当として、メダルが払い出される。この入賞に対して払い出されるメダルの枚数は、払出枚数表示器23bに表示される。また、入賞に対して払い出されるメダルは、スロットマシン1に50枚を上限としてクレジットされ、50枚を超える分については、前扉3の最下部に設けられたメダル排出口40からメダルトレイ41に排出される。以上で、1遊技が終了である。
【0034】
精算ボタン16が押操作されると、スロットマシン1にクレジットされているメダルがメダル排出口40からメダルトレイ41に排出される。
【0035】
演出表示部7は、表示部5の上側に配置されている。演出表示部7には、遊技の進行に合わせた演出画像などを表示するための液晶表示器30が設けられている。また、演出表示部7には、液晶表示器30の左側および右側に、遊技中の雰囲気を盛り上げるための効果音などを出力する一対のスピーカ31、31が配置されている。
【0036】
また、前扉3には、操作部6とメダルトレイ41との間に、スロットマシン1の機種名などを表示する表示パネル42が装着されている。
【0037】
<3.遊技機の電気的構成>
<3−1.遊技機の電気的構成(主制御装置)>
図3は、スロットマシン1の電気的構成を示すブロック図である。
【0038】
スロットマシン1は、遊技の中枢的な制御を実行する主制御装置100aと、遊技に付随する演出のための制御を行う演出サブ制御装置100bと、光と音による電飾のための制御を行う電飾制御基板100cとを備えている。
【0039】
主制御装置100aには、CPU101、ROM102、RAM103、入出力ポート104、乱数生成回路105および信号送出回路106が備えられている。
【0040】
CPU101は、ROM102、RAM103、入出力ポート104、乱数生成回路105および信号送出回路106と電気的に接続されている。
【0041】
ROM102には、CPU101によって実行される各種のプログラムが格納されている。また、ROM102には、抽選テーブル107および停止制御テーブル108が格納されている。
【0042】
RAM103は、CPU101によるプログラムの実行時に、ワークエリアとして使用される。
【0043】
入出力ポート104には、兼用表示器23a、払出枚数表示器23b、左リールR1、中リールR2、および右リールR3をそれぞれ回転させるためのステッピングモータ51L,51C,51Rと、メダル投入口10から投入されるメダルの排出先を本体2内のメダル貯留部(図示せず)とメダルトレイ41とに切り替えるためのメダルブロックソレノイド52と、メダル貯留部からメダル排出口40を通してメダルトレイ41にメダルを排出するメダル払出駆動モータ53とが制御対象として接続されている。
【0044】
ステッピングモータ51L,51C,51R、メダルブロックソレノイド52およびメダル払出駆動モータ53は、本体2(
図1参照)内に設けられている。
【0045】
また、入出力ポート104には、MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15R、精算ボタン16、リール位置検出センサ54L,54C,54R、メダル投入センサ55、およびメダル払出センサ56が接続されている。
【0046】
MAXベットボタン11、1枚ベットボタン12、2枚ベットボタン13、スタートレバー14、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15R、および精算ボタン16が押操作されると、それらに内蔵されたスイッチ(図示せず)から操作信号が出力され、その操作信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0047】
左リールR1、中リールR2、および右リールR3が1回転する度に、それぞれリール位置検出センサ54L,54C,54Rから検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0048】
スタートレバー14が操作されると、CPU101は、ステッピングモータ51L,51C,51Rに駆動パルス信号を出力し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転を開始させる。CPU101は、ステッピングモータ51L,51C,51Rのステップ数およびリール位置検出センサ54L,54C,54Rの検出信号に基づいて、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転位置を常に把握している。
【0049】
左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されると、CPU101は、停止制御テーブル108を参照し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転位置に基づいて、ステッピングモータ51L,51C,51Rへの駆動パルス信号の出力を停止し、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の停止を制御する(リール停止制御)。
【0050】
リール停止制御では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rが押操作されてから、それぞれ左リールR1、中リールR2、および右リールR3を所定の最大引込コマ数(たとえば、4コマ)以下の範囲で、その回転を停止させる。
【0051】
メダル投入口10からメダルが投入される度に、メダル投入センサ55から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0052】
メダル払出駆動モータ53によってメダルがメダルトレイ41に1枚排出される度に、メダル払出センサ56から検出信号が出力され、その検出信号が入出力ポート104を介してCPU101に入力される。
【0053】
クレジット数は、RAM103に記憶されている。CPU101は、クレジット数表示器CRを制御し、RAM103に記憶されているクレジット数をクレジット数表示器CRに表示させる。CPU101は、メダルブロックソレノイド52を制御して、クレジット数が50に達するまでは、メダル投入口10から投入されるメダルの排出先をメダル貯留部にし、クレジット数が50に達すると、その排出先をメダルトレイ41にする。また、クレジット数が50に達した後、配当(メダルの払出)がある役に入賞した場合、CPU101は、メダル払出駆動モータ53を制御して、メダルをメダルトレイ41に排出させる。
【0054】
乱数生成回路105は、発振器(図示せず)からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタを含む構成であり、16ビットの乱数を発生させる。生成される乱数の範囲は0〜65535となる。
【0055】
スタートレバー14が操作されると、CPU101は、乱数生成回路105から乱数を取得し、複数の役が抽選対象に含まれる内部抽選を実行する。内部抽選では、ROM102の抽選テーブル107から1つの抽選テーブルが読み出して、該抽選テーブルと乱数生成回路105から取得した16ビットの乱数とに基づいて、内部抽選の当選役またはハズレが決定される。
【0056】
内部抽選によりいずれかの役に当選していなければ、リール停止制御により、リール窓8内に停止表示される9個の図柄(左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれ3個の図柄)が入賞態様をなすことはなく、役が入賞することはない。小役が入賞すると、CPU101は、払出枚数表示器23bを制御して、その配当として払い出されるメダルの枚数を払出枚数表示器23bに表示させる。
【0057】
また、CPU101は、信号送出回路106を介して、演出サブ制御装置100bおよび電飾制御基板100cに制御に必要な信号をコマンドとして送出する。
【0058】
なお、スロットマシン1では、1〜6までの6段階の設定値から1の設定値を選択することで、スロットマシン1の払出率の高低を設定することが出来るようになっている。なお、設定値が大きいほど、払出率が高くなる。
図示は省略するが、入出力ポート104には、本体2内に設けられ、設定値の選択(変更)時に操作する設定変更スイッチ及び設定変更ボタンが接続されている。設定変更スイッチは、設定キーを差し込んで時計回りに回転させることでオンとなるキースイッチ、設定変更ボタンはプッシュボタンにより構成している。
【0059】
設定値の選択(変更)時には、まず、前扉3を開放した状態で、設定変更スイッチに設定キーを差し込んで時計回りに回転させ、スロットマシン1の動作モードを設定変更モードに変更する。設定変更モードへ移行すると、兼用表示器23aに、現在の設定値が表示される。また、設定変更モードにて、設定変更ボタンを1回押すごとに、兼用表示器23aに表示されている設定値が1〜5の場合には1インクリメントされるとともに、6の場合には1に戻るようになっている。このように、兼用表示器23aに表示される設定値を確認しつつ、設定変更ボタンを操作することで、所望の設定値の選択が可能となっている。所望の設定値が兼用表示器23aに表示された状態で、スタートレバー14を操作することで、設定値の選択(変更)が完了する。そして、設定変更スイッチに差し込んだ設定キーを反時計回りに回転させて、動作モードを通常(遊技)モードに復帰させ、設定変更スイッチから、設定キーを抜き取ることで設定選択(変更)作業が完了する。
【0060】
<3−2.遊技機の電気的構成(演出サブ制御装置等)>
演出サブ制御装置100bには、CPU200、ROM201、RAM202、信号入力回路203、駆動回路204および乱数生成回路205が備えられている。
【0061】
CPU200は、ROM201、RAM202、信号入力回路203、駆動回路204および乱数生成回路205と電気的に接続されている。
【0062】
ROM201には、CPU200によって実行される各種のプログラムが格納されている。
【0063】
RAM202は、CPU200によるプログラムの実行時に、ワークエリアとして使用される。
【0064】
信号入力回路203には、主制御装置100aの信号送出回路106からの信号が入力される。
【0065】
乱数生成回路205は、発振器(図示せず)からのクロックパルスの出力に応答してカウントアップするインクリメントカウンタを含む構成であり、16ビットの乱数を発生させる。生成される乱数の範囲は0〜65535となる。
【0066】
CPU200は、ROM201に格納されているプログラムを実行し、信号入力回路203から入力される信号と、乱数生成回路205から取得した乱数とに基づき、演出抽選を行い、抽選の結果に基づき、駆動回路204を介して、液晶表示器30の表示を制御する。
【0067】
電飾制御基板100cは、主制御装置100aから送信されるコマンドに基づいて、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、右ストップボタン15Rなどに内蔵されたLED32の点灯を制御する。また、スピーカ31からの効果音の出力を制御する。
【0068】
<4.リール配列・停止位置の説明>
図4は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の図柄の配列を示す図である。
【0069】
左リールR1、中リールR2、および右リールR3のリール帯にはそれぞれ、20個(20コマ)の図柄が配列され、各リールR1〜R3の20個の図柄には、それぞれ「1」〜「20」の図柄番号が対応づけられている。
【0070】
左リールR1のリール帯には、「スイカ」、「ブランクB」、「赤7」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「ブランクB」、「ブランクA」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「チェリー」、「バー」、「リプレイ」、「ベル」、「スイカ」、「下ドラ」、「上ドラ」、「リプレイ」、および「ベル」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」〜「20」が対応づけられている。
【0071】
中リールR2のリール帯には、「リプレイ」、「ブランクA」、「スイカ」、「ベル」、「チェリー」、「リプレイ」、「バー」、「スイカ」、「ベル」、「チェリー」、「リプレイ」、「赤7」、「スイカ」、「ベル」、「チェリー」、「リプレイ」、「下ドラ」、「上ドラ」、「ベル」、および「チェリー」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」〜「20」が対応づけられている。
【0072】
右リールR3のリール帯には、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」、「リプレイ」、「赤7」、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」、「リプレイ」、「バー」、「ベル」、「チェリー」、「スイカ」、「リプレイ」、「ブランクB」、「ベル」、「下ドラ」、「上ドラ」、「リプレイ」、および「ブランクA」の図柄がこの順に配列されており、これらの図柄に、それぞれ図柄番号「1」〜「20」が対応づけられている。
【0073】
図5は、図柄停止位置および入賞ラインNLについて説明するための図である。
【0074】
左リールR1が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PL1,PL2,PL3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
中リールR2が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PC1,PC2,PC3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
右リールR3が停止すると、リール窓8内で上下に並ぶ図柄停止位置PR1,PR2,PR3にそれぞれ1個の図柄が停止する。
【0075】
スロットマシン1は、図柄停止位置PL3、PC1及びPR3を結ぶ山型のラインを入賞ラインNLとするいわゆる1ライン機である。
以下、リール窓8内の上段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC1,PR1を結ぶラインを上段ラインL2、中段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL2,PC2,PR2を結ぶラインを中段ラインL1、下段に横一列に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC3,PR3を結ぶラインを下段ラインL3、右下がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL1,PC2,PR3を結ぶラインを右下がりラインL4、右上がりの斜めライン上に整列する3つの図柄停止位置PL3,PC2,PR1を結ぶラインを右上がりラインL5という。
【0076】
<5.1遊技の説明>
図6は、スロットマシン1の主制御装置100aにより実行される遊技処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
<5−1.処理の流れ>
<5−1−1.メダル受付処理>
【0078】
スロットマシン1は、メダル投入口10へメダルが投入されると、投入されたメダルを受け付けてスロットマシン1の内部に取り込むか、投入されたメダルを受け付けずにメダルトレイ41に返却する(S100)。
【0079】
具体的には、3枚のメダルが遊技にベットされている状態かつクレジット数が50未満の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルをスロットマシン1の内部に取り込むとともに、投入されたメダルの枚数だけクレジット数を加算する。また、3枚のメダルが遊技にベットされている状態かつクレジット数が50の場合にメダル投入口10へメダルが投入されると、CPU101は、メダルブロックソレノイド52を駆動して、投入されたメダルをメダルトレイ41に返却する。
【0080】
<5−1−2.ベット処理>
スロットマシン1は、メダル投入口10へのメダルの投入、MAXベットボタン11の操作、または再遊技役の入賞に応じて、ベット数を設定する(S101)。
【0081】
具体的には、ベット数が3未満の場合にメダル投入口10にメダルが投入されると、CPU101は、投入されたメダルの枚数だけベット数を加算する。また、ベット数が規定数未満の場合にMAXベットボタン11が操作されると、CPU101は、ベット数が規定数になるようにクレジット数を減算してベット数を加算する。また、CPU101は、再遊技役が入賞した場合には、その遊技でベットされていたベット数を、クレジット数の減算なしに再びベットする自動ベット処理を実行する。
【0082】
<5−1−3.レバー受付処理>
スロットマシン1は、3枚のメダルがベットされている状態でスタートレバー14の操作を受け付けた場合に遊技を開始させる(S102)。具体的には、ベット数が規定数に設定された状態でスタートレバー14が操作されると、CPU101は、後述する内部抽選処理以降の遊技処理を実行する。一方で、ベット数が規定数に満たない状態でスタートレバー14が操作された場合には、CPU101は、内部抽選処理以降の遊技処理を実行しない。
【0083】
<5−1−4.内部抽選処理>
スロットマシン1は、遊技の開始にともない、乱数生成回路105から乱数値を取得し、該乱数値に基づき、遊技の結果を導出するための情報を抽選により決定する内部抽選処理を実行する(S103)。内部抽選処理の詳細については後述する。
【0084】
<5−1−5.リール回転処理>
スロットマシン1は、内部抽選処理の実行後に、各リールR1〜R3上に配置された図柄を変動表示させるために左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれを回転させる(S104)。具体的には、CPU101は、内部抽選処理の実行後にステッピングモータ51L,51C,51Rのそれぞれに対して継続的にパルスを供給することで、左リールR1、中リールR2、および右リールR3のそれぞれを回転させる。なお、前の遊技での左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転の開始から4.1秒間が経過するまでは、次の遊技での左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転が開始されない。これにより、1遊技にかかる時間が4.1秒間以上に保たれる。
【0085】
<5−1−6.リール停止処理>
スロットマシン1は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中にストップボタン15L,15C,15Rが操作されると左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転動作を停止させる(S105)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の回転中に左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、または右ストップボタン15Rが操作されると、CPU101は、操作されたストップボタンに対応するリール(左ストップボタン15Lに対応する左リールR1、中ストップボタン15Cに対応する中リールR2、および右ストップボタン15Rに対応する右リールR3)が固定されたステッピングモータ(左リールR1に対応するステッピングモータ51L,中リールR2に対応するステッピングモータ51C,右リールR3に対応するステッピングモータ51R)に所定のパルスを供給することで、対応するリールR1〜R3の回転動作を停止させる。
【0086】
<5−1−7.図柄判定処理>
スロットマシン1は、左リールR1、中リールR2、および右リールR3の全てが停止した後に、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せを判定する(S106)。左リールR1、中リールR2、および右リールR3の全てが停止した後に、CPU101は、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せが、予め定められた所定の図柄組合せであるか否かを判定する。例えば、入賞ラインNL上に停止表示された図柄組合せが、役に対応する図柄組合せであるか否かを判定する。
【0087】
<5−1−8.メダル払出処理>
スロットマシン1は、入賞ラインNL上に小役に対応する図柄組合せが停止表示されたと判定した場合には、メダルの払出処理を実行する(S107)。
【0088】
<5−1−9.状態移行処理>
スロットマシン1は、図柄判定処理の結果、遊技状態を移行させるべき状態移行条件が成立したと判定した場合には、遊技状態を移行させる。スロットマシン1の遊技状態については後述する。
【0089】
<5−2.各処理の詳細説明>
以降、上述の各処理の詳細について説明する。
【0090】
<5−2−1.内部抽選処理の詳細>
スロットマシン1における内部抽選処理の詳細について説明する。内部抽選処理は、予め定められた複数の役から、入賞を許容する役を抽選により決定するための処理である。
【0091】
スロットマシン1において、内部抽選の対象である役には、ボーナス役、リプレイ(再遊技)役、及び小役を含む。
ボーナス役は、当選した遊技で入賞を取り零したとしても、次遊技以降、入賞するまで当選状態が持ち越されるとともに、入賞した場合には、次遊技からボーナス遊技状態が開始される役である。
これに対し、リプレイ役及び小役は、当選した遊技で入賞を取り零したとしても、当選状態が持ち越されることはない役である。リプレイ役は、入賞に応じて、ベット不要で次遊技の実行が可能となる役、小役は、入賞に応じてメダルが払い出される役である。
【0092】
なお、スロットマシン1には、内部抽選処理の態様、即ち抽選テーブル107が異なる複数種類のRT状態を搭載しているが、パチンコホールにおいては、基本的に1のRT状態に滞在し続けるAT機である。
このため、内部抽選処理については、この1のRT状態(以下、通常RT状態という)についてのみ説明し、他のRT状態については説明を省略する。
【0093】
スロットマシン1の通常RT状態の内部抽選処理では、
図7に示すように、RP1、RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、強チェリー、スイカ、チャンスA、チャンスB、押し順ベル1〜6、共通ベル、チャンスC及び全1枚役の計19種類を抽選区分として設定している。
【0094】
抽選区分RP1、RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、強チェリー、スイカ、チャンスA及びチャンスBはリプレイ役に係る条件装置で、これらのうちの何れかの抽選区分に当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、リプレイ役が入賞する。
抽選区分RP1に当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、中段ラインL1にリプレイ図柄が揃う。
抽選区分RP2に当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、中段ラインL1上に左から順に、リプレイ、チェリー、リプレイ図柄が並ぶ。
【0095】
押し順RP1〜3は、停止操作順によって停止図柄組合せが異なる、所謂押し順リプレイである。具体的には、内部抽選の結果、押し順RP1〜3のうちの何れかに当選した遊技において、正解操作順にてストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングにかかわらず、中段ラインL1上に左から順に、リプレイ、チェリー、リプレイ図柄が並ぶ。一方、同遊技において、前記正解操作順以外の操作順にて、ストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングにかかわらず、中段ラインL1にリプレイ図柄が揃う。
押し順RP1の正解操作順は、最初に左ストップボタン15Lを操作する「左1st」、押し順RP2の正解操作順は、最初に中ストップボタン15Cを操作する「中1st」、押し順RP3の正解操作順は、最初に右ストップボタン15Rを操作する「右1st」に設定している。
【0096】
抽選区分弱チェリーに当選した遊技での特徴的な出目は、右上がりラインL5上のPL3、PC2にチェリー図柄が停止するが、PR1にはチェリー図柄が停止しない、所謂2連チェリー、及び左リールR1の中・下段に、上ドラ/下ドラ図柄が停止する、所謂左2連図柄停止に設定している。
抽選区分強チェリーに当選した遊技での特徴的な出目は、右上がりラインL5上にチェリー図柄が並ぶ、所謂3連チェリー、及び左リールR1の中・下段、及び中リールR2の上・中段にそれぞれ、上ドラ/下ドラ図柄が停止する、所謂左中2連図柄停止に設定している。
【0097】
抽選区分スイカに当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、右下がりラインL4上にスイカ図柄が揃う。
【0098】
抽選区分チャンスAに当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、中段ラインL1上に左から順に、リプレイ、リプレイ、ベル図柄が並ぶ。
抽選区分チャンスBに当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、右下がりラインL4上のPL1、PC2にスイカ図柄が停止するが、PR3にはスイカ図柄が停止しない、所謂スイカテンパイはずれの図柄組合せが成立する。
【0099】
抽選区分押し順ベル1〜6、共通ベル、チャンスC及び全1枚役は、小役にかかる条件装置である。
【0100】
抽選区分押し順ベル1〜6は、停止操作順によって配当の異なる小役が入賞する、所謂押し順小役である。具体的には、内部抽選の結果、抽選区分押し順ベル1〜6のうちの何れかに当選した遊技において、正解操作順にてストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングにかかわらず、配当が10枚の小役が入賞する。一方、同遊技において、前記正解操作順以外の操作順にて、ストップボタン15L,15C,15Rを操作した場合には、その操作タイミングによって、配当が1枚の小役が入賞するか、入賞を取り零す。
【0101】
抽選区分押し順ベル1の正解操作順は「左→中→右」に設定しており、抽選区分押し順ベル1に当選した遊技において、正解操作順で停止操作が行われ、配当が10枚の小役の入賞したときには、右下がりラインL4上にベル図柄が揃う一方、正解操作順以外の操作順で停止操作が行われた場合には、ラインL1〜L5の何れにも、ベル図柄が揃うことはない。
【0102】
抽選区分押し順ベル2の正解操作順は「左→右→中」に設定しており、抽選区分押し順ベル2に当選した遊技において、正解操作順で停止操作が行われ、配当が10枚の小役の入賞したときには、上段ラインL2上にベル図柄が揃う一方、正解操作順以外の操作順で停止操作が行われた場合には、ラインL1〜L5の何れにも、ベル図柄が揃うことはない。
【0103】
抽選区分押し順ベル3の正解操作順は「中→左→右」に設定しており、抽選区分押し順ベル3に当選した遊技において、正解操作順で停止操作が行われ、配当が10枚の小役の入賞したときには、中段ラインL1上にベル図柄が揃う一方、正解操作順以外の操作順で停止操作が行われた場合には、ラインL1〜L5の何れにも、ベル図柄が揃うことはない。
【0104】
抽選区分押し順ベル4の正解操作順は「中→右→左」に設定しており、抽選区分押し順ベル4に当選した遊技において、正解操作順で停止操作が行われ、配当が10枚の小役の入賞したときには、右上がりラインL5上にベル図柄が揃う一方、正解操作順以外の操作順で停止操作が行われた場合には、ラインL1〜L5の何れにも、ベル図柄が揃うことはない。
【0105】
抽選区分押し順ベル5の正解操作順は「右→左→中」に設定しており、抽選区分押し順ベル5に当選した遊技において、正解操作順で停止操作が行われ、配当が10枚の小役の入賞したときには、下段ラインL3上にベル図柄が揃う一方、正解操作順以外の操作順で停止操作が行われた場合には、ラインL1〜L5の何れにも、ベル図柄が揃うことはない。
【0106】
抽選区分押し順ベル6の正解操作順は「右→中→左」に設定しており、抽選区分押し順ベル6に当選した遊技において、正解操作順で停止操作が行われ、配当が10枚の小役の入賞したときには、PL3、PC2、PR3を結ぶ小山型のライン上にベル図柄が停止する一方、正解操作順以外の操作順で停止操作が行われた場合には、ラインL1〜L5の何れにも、ベル図柄が揃うことはない。
【0107】
抽選区分共通ベルに当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、配当が10枚の小役が入賞し、この際は、ラインL1〜L5の何れかに、ベル図柄が揃う。
【0108】
抽選区分チャンスCに当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミングによって、配当が1枚の小役が入賞するか、取り零す。
抽選区分全1枚役に当選した遊技では、左ストップボタン15L、中ストップボタン15C、および右ストップボタン15Rの操作タイミング及び操作順にかかわらず、配当が1枚の小役が入賞する。
【0109】
図8は、スロットマシン1の通常RT状態の内部抽選処理にて用いる抽選テーブル107の内容を示しており、各抽選区分に対応する抽選値を設定値毎に示している。内部抽選処理での乱数値の範囲は0〜65535のため、設定値毎の各抽選区分の当選確率は、抽選値/65536により算出できる。また、条件装置コードは、抽選区分(条件装置)の種別を示すコードで、
図8に示すように、先頭の抽選区分RP1に対応する2から、最後の抽選区分全1枚役に対応する20まで、連続する整数に設定している。
【0110】
抽選区分RP1の抽選値は、設定値にかかわらず16896、その当選確率は約1/3.9に設定している。
抽選区分RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、スイカ、チャンスA、及びチャンスBの抽選値はそれぞれ、設定値にかかわらず4、その当選確率は1/16384に設定している。
抽選区分強チェリーの抽選値は、設定値にかかわらず8、その当選確率は1/8192に設定している。
抽選区分押し順ベル1〜6の抽選値はそれぞれ、設定値にかかわらず1200、その当選確率は約1/54.6に設定している。
抽選区分共通ベルの抽選値は、設定値にかかわらず2000、その当選確率は約1/32.8に設定している。
抽選区分チャンスCの抽選値は、設定値にかかわらず16400、その当選確率は約1/4に設定している。
抽選区分全1枚役の抽選値は、設定値にかかわらず23000、その当選確率は1/2.85に設定している。
なお、
図8からわかるように、何れの抽選区分にも当選しない、所謂はずれは設定していない。
【0111】
図8から、19種類の抽選区分のうち、抽選区分RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、スイカ、チャンスA、及びチャンスBの8種類の抽選区分の抽選値は4、抽選区分押し順ベル1〜6の6種類の抽選区分の抽選値は1200で共通していることがわかる。
発明者らは、通常RT状態等、1のRT状態にて抽選対象とする複数の抽選区分間の抽選値の共通性に着目し、これを利用して、従来よりも記憶容量を削減できる抽選テーブル107の構造を考案した。以下、この構造について、説明する。
【0112】
<5−2−2.抽選テーブルの構造>
図9(a)及び(b)は、主制御装置100aのROM102上に記憶された抽選テーブル107のヘッダ構造を示している。ここでは、抽選区分と抽選値とを対応付けるためのデータ構造をヘッダといい、より具体的に、
図9(a)は、抽選区分に対応する抽選値のアドレスを特定するための第1のヘッダ構造、
図9(b)は、1の抽選テーブル107の終端を示す場合や、他の抽選テーブルの先頭の第1のヘッダ構造が記憶されたアドレスにジャンプする際に用いる第2のヘッダ構造を示している。
図9(a)及び(b)に示す如く、第1のヘッダ構造は3バイト、第2のヘッダ構造は1バイトで構成しており、それぞれ、先頭の1バイト目の最上位ビットをBIT7、最下位ビットをBIT0と示している。両ヘッダ構造において、1バイト目の最上位ビットであるBIT7は、第1及び第2のヘッダ構造のうち、何れであるかを示す識別子として用いており、第1のヘッダ構造の場合は1、第2のヘッダ構造の場合は、ゼロがセットされる。そして、
図9(b)に示す如く、第2のヘッダ構造においては、BIT0〜6の下位7ビットに、現在のアドレスから次に参照すべきアドレスまでのオフセットバイト数をセットすることとしている。なお、1の抽選テーブル107の終端を示す場合は、オフセットバイト数にゼロをセットすることとしている。
【0113】
次に、
図9(a)を参照して、第1のヘッダ構造について説明する。第1のヘッダ構造において、先頭の1バイト目のBIT6及びBIT5には、抽選値の種別を表す識別子をセットすることとしている。具体的に、BIT6には、抽選値が2バイトである場合には1、1バイトである場合には0がセットされる。また、BIT5には、設定値別に6通りの抽選値が設定されている場合には1、設定値にかかわらず共通の抽選値の場合には0がセットされる。BIT6及びBIT5の識別子がそれぞれ2通りのため、これらを組み合わせた抽選値の種別は計4通りとなる。抽選値は、この4通りの組合せごとに、ROM102上に連続して記憶されている。従って、BIT6及びBIT5の識別子から特定される抽選値の種別によって、この種別に対応する抽選値が記憶されたROM102上の先頭アドレスが特定できるようになっている。そして、先頭の1バイト目のBIT0〜BIT4の下位5ビットには、特定した先頭アドレスからのオフセット数がセットされる。ここでいうオフセット数は、先頭アドレスから何番目(先頭に記憶されている場合は0番目)に記憶された抽選値(設定別の場合は6通りの抽選値群)を参照すべきかを示す値で、抽選値の種別、これに対応する先頭アドレス、及びオフセット数から、参照すべき1の抽選値のアドレス(設定別の場合は6通りの抽選値群の先頭アドレス)が特定できるようになっている。以上の説明からわかるように、先頭の1バイト目のBIT0〜BIT4の下位5ビットには、参照すべき1の抽選値のアドレス(設定別の場合は6通りの抽選値群の先頭アドレス)の特定に必要な情報がセットされている。
また、第2のヘッダ構造において、2バイト目には同じ抽選値で抽選を繰り返す回数、3バイト目には当該抽選値で抽選を行う最初の条件装置コードをそれぞれセットすることとしている。
【0114】
図10に、
図8に示した通常RT状態中の抽選値テーブル107の実際の構造を具体的に示す。
図10に示す如く、通常RT状態中の抽選値テーブル107は、7個の第1のヘッダ構造と終端を示す第2のヘッダ構造との計22バイトで構成している。
図8から明らかなように、通常RT状態中の抽選値テーブル107では、全ての抽選区分において、設定値共通の抽選値を採用している。また、条件装置コード3の抽選区分RP2から条件装置コード10の抽選区分チャンスBまでの7つの抽選区分は抽選値が4で共通、条件装置コード12の抽選区分押し順ベル11から、条件装置コード17の抽選区分押し順ベル6までの6つの抽選区分は抽選値が1200で共通となっている。
図10では、上から順に、1番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード2の抽選区分RP1、2番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード3の抽選区分RP2から、条件装置コード10の抽選区分チャンスBまでの8つの抽選区分、3番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード11の抽選区分強チェリー、4番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード12の抽選区分押し順ベル11から、条件装置コード17の抽選区分押し順ベル6までの6つの抽選区分、5番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード18の抽選区分共通ベル、6番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード19の抽選区分チャンスC、7番目の第1のヘッダ構造は、条件装置コード20の抽選区分全1枚役に係るものである。
【0115】
上述の如く、通常RT状態中の抽選値テーブル107では、全ての抽選区分において、設定値共通の抽選値を採用しているため、7個の第1のヘッダ構造の先頭の1バイト目のBIT5にはこれを示すゼロをセットしている。また、条件装置コード3の抽選区分RP2から、条件装置コード11の抽選区分強チェリーまでの8つの抽選区分の抽選値は1バイトで表せるため、これらに係る2番目及び3番目の第1のヘッダ構造の先頭の1バイト目のBIT6にはこれを示すゼロ、他の5個の第1のヘッダ構造の先頭の1バイト目のBIT6には、抽選値が2バイトである旨を示す1をセットしている。
また、
図10の例では、1バイトで表せ、且つ設定値にかかわらず共通である抽選値の記憶領域の先頭(1バイト目)に4、2番目(2バイト目)に8が記憶され、2バイトで表せ、且つ設定値にかかわらず共通である抽選値の記憶領域の先頭(1〜2バイト目)に16896、2番目(3〜4バイト目)に1200、3番目(5〜6バイト目)に2000、4番目(7〜8バイト目)に16400、5番目(9〜10バイト目)に2300が記憶されていることを前提としている。従って、7個の第1のヘッダ構造の先頭の1バイト目のBIT0〜BIT4の下位5ビットには、上から順に、0、0、1、1、2、3、4をセットし、対応する抽選値のアドレスを特定可能としている。
【0116】
そして、抽選値が4で共通し、条件装置コードが連続する8つの抽選区分(RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、スイカ、チャンスA及びチャンスB)に係る2番目の第1のヘッダ構造の2バイト目には、同じ抽選値で抽選を繰り返す回数である8、3バイト目には、最初の抽選区分であるRP2に対応する条件装置コードの2をセットしている。
同様に、抽選値が1200で共通し、条件装置コードが連続する6つの抽選区分(押し順ベル1〜6)に係る4番目の第1のヘッダ構造の2バイト目には、同じ抽選値で抽選を繰り返す回数である6、3バイト目には、最初の抽選区分である押し順ベル1に対応する条件装置コードの12をセットしている。
他の5個の第1のヘッダ構造の2バイト目には、同じ抽選値で抽選を繰り返す回数である1、3バイト目には、抽選区分に対応する条件装置コードをそれぞれセットしている。
【0117】
以上説明したように、本スロットマシン1の抽選値テーブル107の構成によれば、1のRT状態での内部抽選処理の抽選対象の中に、抽選値が共通する複数の抽選区分(条件装置)を含む場合は、この数が多ければ多いほど大きな記憶容量削減効果を発揮することがわかる。近年主流のAT機等では、本スロットマシン1の抽選区分押し順ベル1〜6と同様に、正解操作順が異なる複数種類の所謂押し順小役が搭載されており、これらの抽選値は共通に設定される場合が多いため、特に有用である。また、遊技機関連法規上、押し順小役等、小役にかかる抽選区分は、ボーナス中を除く複数種類のRT状態で、抽選値を共通に設定しなくてはならない。
本スロットマシン1の抽選値テーブル107の構成の採用による記憶容量削減効果は、1のRT状態でも発揮されるが、本構成を複数のRT状態に対応する複数の抽選テーブルで採用することによって、全体としては、1のRT状態での容量削減効果に、RT状態の数を乗じた分の容量削減効果が得られる。
【0118】
<6.遊技の詳細説明>
次に、スロットマシン1での遊技の詳細について説明する。
【0119】
<6−1.指示機能に係る遊技状態フロー>
図11は、スロットマシン1における、指示機能に係る遊技状態遷移を示す図である。
【0120】
スロットマシン1の指示機能に係る遊技状態は、指示機能が作動不可能な非有利状態と、指示機能が作動可能な有利状態とに大別される。指示機能が作動すると、抽選区分押し順ベル1〜6の何れかに当選した遊技で、主制御装置100aから演出サブ制御装置100bに対して、正解操作順を指示するコマンドが送信されるとともに、指示モニタNMに正解操作順に対応する識別情報が表示される。演出サブ制御装置100bは、主制御装置100aからの指示コマンドに従って、液晶表示器30への表示や、スピーカ31、31からの音声出力により、前記正解操作順を遊技者に報知する。以降、主制御装置100aが指示モニタNMに識別情報の表示を行って、演出サブ制御装置100bに対し指示コマンドを送信したことを、指示機能の作動という。
非有利状態中においては、有利区間ランプYLは消灯状態とされ、内部抽選処理の結果に応じて有利状態移行抽選を実行し、該有利状態移行抽選に当選すると有利状態に移行する。
【0121】
前記有利状態は、指示機能を作動させない通常有利状態と、指示機能を作動させるAT状態とで構成している。なお、これに代えて、設計上の1ゲームあたりのメダル増加枚数期待値、即ち純増枚数がプラスとなるように、指示機能の作動頻度が設定されている有利状態をAT状態、純増枚数がゼロ以下となるように、指示機能の作動頻度が設定されている有利状態を通常有利状態としてもよい。
通常有利状態は、特訓ゾーン、バトルゾーン及び引き戻しゾーンの3つのゾーンで構成している。前記有利状態移行抽選の当選時には、先ず通常有利状態、具体的には特訓ゾーンへ移行する。なお、有利区間ランプYLは、前記AT状態へ移行するまで、消灯状態に維持される。前記有利状態移行抽選の当選時には、先ず通常有利状態、具体的には特訓ゾーンへ移行する。なお、有利区間ランプYLは、前記AT状態へ移行するまで、消灯状態に維持される。
特訓ゾーンは、次のバトルゾーンにて勝利するためのレベルアップゾーンで、具体的には、内部抽選結果に応じてレベルアップ処理が行われる。特訓ゾーンには、特訓ゾーンAと、特訓ソーンAよりもレベルが上がりやすい特訓ゾーンBの2種類があり、その遊技期間は何れも25ゲームに設定している。
特訓ゾーン終了後に移行するバトルゾーンは、現在のレベルと内部抽選結果とに応じてAT開始抽選が行われるゾーンで、該AT開始抽選に当選すれば勝利となり、ATへ移行する。バトルゾーンの遊技期間も25ゲームに設定しており、この期間中にAT開始抽選に当選しなかった場合には敗北となり、再度特訓ゾーンからやり直しとなる。例外的に、バトルゾーン終了時の有利状態ゲーム数(有利状態開始からの消化ゲーム数)が、天井ゲーム数の777ゲームを超えている場合には、バトルゾーン中にAT開始抽選に当選しなかったとしても勝利として、ATへ移行させることにしている。
【0122】
ATは、所謂差枚数管理型としており、開始時に残り獲得枚数の初期値が決定されるとともに、AT中には、内部抽選結果に応じて、残り獲得枚数の上乗せ処理が行われる。また、残り獲得枚数は、抽選区分押し順ベル1〜6または共通ベルに当選したゲームにて7枚(=配当10枚−規定数3枚)減算され、残り獲得枚数がゼロ以下になると、ATは終了となり、引き戻しゾーンへ移行する。
引き戻しゾーンは、バトルゾーンと同様に、現在のレベルと内部抽選結果とに応じてAT開始抽選が行われるゾーンで、該AT開始抽選に当選すれば引き戻し成功となり、ATへ復帰する。引き戻しゾーンの遊技期間は40ゲームに設定しており、この期間中にAT開始抽選に当選しなかった場合には引き戻し失敗となり、非有利状態へ転落する。
【0123】
また、スロットマシン1は、有利状態に係るリミッタ機能を搭載している。具体的にリミッタ機能は、有利状態中の実行遊技数が1500遊技に至った場合、または有利状態中の差枚数(有利状態中に獲得したメダル枚数と投入したメダル枚数との差分)が2400枚を超えた場合に、強制的に有利状態を終了して非有利状態に移行させるものである。このため、有利状態中には毎遊技、実行遊技数及び差枚数をカウントする処理を実行するとともに、両カウント値が1500遊技/2400枚に至ったか否かを判断する処理を行っている。具体的に、差枚数をカウントする処理では、有利状態中の毎遊技、現時の差枚数カウンタに、当該遊技での払出枚数を加算する(再遊技が入賞した場合は払出枚数として遊技実行のために投入されたメダル枚数(以下、投入枚数という)を加算する)とともに、当該遊技での投入枚数を減算し、結果が0以上の場合はそのまま維持する一方、マイナスとなった場合は0をセットする。
スロットマシン1では、引き戻しゾーンでの引き戻しを繰り返して、8回目のATへ至ると、該8回目のATについてはリミッタ作動まで継続するATとし、リミッタ作動により非有利状態へ転落させることとしている。
なお、以降、有利状態中の処理についてフローチャートを用いて説明するが、各フローチャートでは、実行遊技数及び差枚数をカウントする処理や、両カウント値が1500遊技/2400枚に至ったか否かを判断する処理、即ちリミッタ作動判断処理については、記載を省略する。
【0124】
以下、指示機能に係る遊技制御について説明する。
【0125】
<6−2.非有利状態>
先ず、スロットマシン1の非有利状態中の処理の流れについて、
図12を参照して説明する。
【0126】
非有利状態中には、先ず、ステップS1201にて内部抽選処理を実行し、次のステップS1202にて、押し順ベル1〜6または共通ベルに当選したか否かを判断する。
ステップS1202にてノーと判断した場合には、ステップS1201に戻る一方、イエスと判断した場合には、ステップS1203にて有利状態移行抽選処理を実行する。具体的に、有利状態移行抽選処理での当選確率は50%に設定している。
【0127】
次のステップS1204では、有利状態移行抽選処理にて当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS1201へ戻る一方、イエスと判断した場合には、次のステップS1205にて有利状態開始処理を実行してリターンする。
【0128】
<6−3.有利状態>
次に、スロットマシン1の有利状態中の処理の流れについて説明する。先ず、有利状態開始処理について説明する。
【0129】
<6−3−1.有利状態開始処理>
図13は、スロットマシン1の有利状態開始処理の流れを示すフローチャートである。
有利状態開始処理では、先ず、ステップS1301にて、天井ゲーム数に777をセットし、次のステップS1302にて特訓ゾーン種別抽選処理を実行する。特訓ゾーン種別抽選処理では、これから開始すべき特訓ゾーンの種別、具体的には特訓ゾーンA及びBのうち、何れを開始するかを決定する。
特訓ゾーン種別抽選処理の内容を
図14に示す。
図14に示す如く、特訓ゾーン種別は設定値に応じて決定しており、設定値が1の場合、248/256の確率で特訓ゾーンA、8/256の特訓ゾーンBに決定される。設定値が2の場合、244/256の確率で特訓ゾーンA、12/256の特訓ゾーンBに決定される。設定値が3の場合、240/256の確率で特訓ゾーンA、16/256の特訓ゾーンBに決定される。設定値が4の場合、214/256の確率で特訓ゾーンA、42/256の特訓ゾーンBに決定される。設定値が5の場合、226/256の確率で特訓ゾーンA、26/256の特訓ゾーンBに決定される。設定値が6の場合、200/256の確率で特訓ゾーンA、56/256の特訓ゾーンBに決定される。
【0130】
図13に戻り、次のステップS1303では、初期レベル決定処理を実行する。初期レベル決定処理の内容を
図15に示す。
図15に示す如く、初期レベルは特訓ゾーン種別に応じて決定しており、特訓ゾーン種別が特訓ゾーンAの場合、初期レベルは、248/256の確率で1、6/256の確率で2、1/256の確率で3、1/256の確率で4にそれぞれ決定される。特訓ゾーン種別が特訓ゾーンBの場合の初期レベルは、一律1としている。
【0131】
図13に戻り、次のステップS1304では、特訓ゾーン種別が特訓ゾーンAか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1305にて特訓ゾーンA中処理を実行する一方、ノーと判断した場合にはステップS1306にて特訓ゾーンB中処理を実行して、リターンする。
【0132】
<6−3−2.特訓ゾーンA中処理>
図16は、スロットマシン1の特訓ゾーンA中の処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、ステップS1601にて残りゲーム数に25をセットする。次のステップS1602では、内部抽選処理を実行し、次のステップS1603にて、内部抽選結果に応じてレベルアップ処理を実行する。レベルアップ処理の内容を
図17に示す。
図17に示す如く、レベルアップ処理では、内部抽選結果と、現在の遊技状態が特訓ゾーンA、後述する特訓ゾーンB及びバトルゾーンの何れかに応じて、レベルアップなしか、1〜3のレベルアップを行うかを決定する。
具体的に、内部抽選結果が抽選区分RP1に当選、且つ特訓ゾーンAに滞在中の場合には、215/256の確率でレベルアップなし、41/256の確率で1レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分RP1に当選、且つ特訓ゾーンBに滞在中の場合には、一律1レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分RP1に当選、且つバトルゾーンに滞在中の場合には、143/256の確率でレベルアップなし、113/256の確率で1レベルアップと決定する。
【0133】
内部抽選結果が、抽選区分RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、強チェリー、スイカ、チャンスA及びチャンスBの何れかであった場合には、現在の遊技状態にかかわらず、内部抽選結果に応じてレベルアップ処理を行っている。
具体的に、内部抽選結果が抽選区分RP2に当選の場合には、224/256の確率で1レベルアップ、31/256の確率で2レベルアップ、1/256の確率で3レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分押し順RP1〜3の何れかに当選の場合には、240/256の確率で1レベルアップ、15/256の確率で2レベルアップ、1/256の確率で3レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分弱チェリーに当選の場合には、192/256の確率で1レベルアップ、63/256の確率で2レベルアップ、1/256の確率で3レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分強チェリーに当選の場合には、192/256の確率で2レベルアップ、64/256の確率で3レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分スイカに当選の場合には、128/256の確率で1レベルアップ、96/256の確率で2レベルアップ、32/256の確率で3レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分チャンスAに当選の場合には、224/256の確率で1レベルアップ、31/256の確率で2レベルアップ、1/256の確率で3レベルアップと決定する。
内部抽選結果が抽選区分チャンスBに当選の場合には、128/256の確率で2レベルアップ、128/256の確率で3レベルアップと決定する。
【0134】
図16に戻り、次のステップS1604では、残りゲーム数および天井ゲーム数をそれぞれ1減算する。次のステップS1605では、現在のレベルが10以上か否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1607に移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS1606にて残りゲーム数がゼロか否かを判断する。そして、ステップS1606にてノーと判断した場合には、ステップS1601に戻り特訓ゾーンAを継続する一方、イエスと判断した場合には、ステップS1607へ移行する。ステップS1607では、特訓ゾーンAを終了しバトルゾーンへ移行させるべく、バトルゾーン中処理を実行してリターンする。
【0135】
<6−3−3.特訓ゾーンB中処理>
図18は、スロットマシン1の特訓ゾーンB中の処理の流れを示すフローチャートである。
特訓ゾーンBでの処理は、上述した特訓ゾーンAでの処理に、
図18のステップS1804及びS1805を加えたもので、この2つのステップ以外の処理については、特訓ゾーンAと同等であるため、これらのステップの説明は省略し、以下、ステップS1804及びS1805の処理についてのみ説明する。
特訓ゾーンBでは、内部抽選の結果、抽選区分押し順ベル1〜6の何れかに当選したゲームで、配当が10枚の小役が入賞した場合にレベルアップを行う、押し順当てゲームを実行している。ステップS1805及びステップS1805の処理は、この押し順当てゲームに係る処理である。
具体的に、ステップS1804では、内部抽選の結果、抽選区分押し順ベル1〜6の何れかに当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS1805にて押し順当てゲーム処理を実行する一方、ノーと判断した場合にはステップS1805をスキップして、ステップS1806へ移行する。
ステップS1805の押し順当てゲーム処理では、スタートレバー14操作時に、液晶表示器30にて、押し順当てゲームの開始を報知または示唆する表示を行うとともに、遊技者のリール停止操作による全てのリールR1、R2、R3の停止後に、配当が10枚の小役が入賞したか否かを判断し、入賞した場合には、252/256の確率で1レベルアップ、4/256の確率で2レベルアップさせる。
以上説明した通り、特訓ゾーンBでは、特訓ゾーンAにはない、押し順当てゲームでのレベルアップが期待できるため、特訓ゾーンAよりも特訓ゾーンBの方が、レベルアップが期待できる。
【0136】
<6−3−4.バトルゾーン中処理>
図19は、スロットマシン1のバトルゾーン中の処理の流れを示すフローチャートである。上述の如く、バトルゾーンは、現在のレベルと内部抽選結果とに応じてAT開始抽選が行われるゾーンで、該AT開始抽選に当選すれば勝利となり、ATへ移行する。
バトルゾーン中処理では、先ず、ステップS1901にて残りゲーム数に25をセットする。次のステップS1902では、内部抽選処理を実行し、次のステップS1903にて、内部抽選結果に応じてレベルアップ処理を実行する。レベルアップ処理の内容は、特訓ゾーンと同様であるため、説明は省略する。次のステップS1904では、AT開始抽選処理を実行する。AT開始抽選処理の内容を
図20に示す。
図20に示す如く、AT開始抽選処理では、現在のレベルと内部抽選結果とに応じた当選確率に基づき、ATを開始するか否かを決定する。
図20には抽選値を記しており、当選確率は抽選値/256で算出できる。また、
図20中の「ベル」は、内部抽選結果が抽選区分押し順ベル1〜6及び共通ベルの何れかであること、「その他」は、内部抽選結果が抽選区分チャンスC及び全1枚役の何れかであることを示している。
【0137】
例えば、現在のレベルが1、且つ内部抽選結果が抽選区分RP1、「ベル」(押し順ベル1〜6及び共通ベル)、「その他」(チャンスC及び全1枚役)の何れかである場合のAT開始抽選の当選確率は、0/256に設定している。
現在のレベルが1、且つ内部抽選結果が抽選区分RP2、押し順RP1〜3、弱チェリー、スイカ、チャンスAの何れかである場合のAT開始抽選の当選確率は、1/256に設定している。
現在のレベルが1、且つ内部抽選結果が抽選区分強チェリーである場合のAT開始抽選の当選確率は、16/256に設定している。
現在のレベルが1、且つ内部抽選結果が抽選区分チャンスBである場合のAT開始抽選の当選確率は、32/256に設定している。
レベル2〜10についても同様で、
図20に記載の通りであるため、レベル2〜10については説明を省略する。
図20からわかるように、AT開始抽選の当選確率は、レベルが1、2〜4、5〜7、8〜9、10の5通りのレベル域ごとに設定されており、高レベル域ほど高くなるように設定している。従って、AT開始抽選当選に対する期待度は、高レベル域に属するレベルになればなるほど向上する。
【0138】
図19に戻り、次のステップS1905では、残りゲーム数および天井ゲーム数をそれぞれ1減算する。次のステップS1906では、AT開始抽選に当選したか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ステップS1907にて残りゲーム数がゼロか否かを判断する。ステップS1907にてノーと判断した場合には、バトルゾーンを継続すべくステップS1902に戻る一方、イエスと判断した場合には、ステップS1908にて、天井ゲーム数がゼロ以下か否かを判断する。ステップS1906にてイエスと判断した場合、及びステップS1908にてイエスと判断した場合には、バトルゾーンを終了してATを開始すべく、ステップS1909にてAT開始処理を実行してリターンする。一方、ステップS1908にてノーと判断した場合には、バトルゾーンを終了して再度特訓ゾーンを開始すべく、
図13のステップS1302に戻る。
【0139】
<6−3−5.AT開始処理>
図21は、スロットマシン1のAT開始処理の流れを示すフローチャートである。AT開始処理では、AT中のメダル増加に応じて減算されるとともに、ゼロ以下になるとAT終了となる残り獲得枚数の初期値(以下、初期枚数という)、並びに、AT中の残り獲得枚数の上乗せ性能にかかる上乗せモードを決定する。また、スタートレバー14の操作に応じて、一定期間に亘るフリーズ状態を発生させる。フリーズ状態とは、一定期間に亘って遊技者による遊技進行操作を受け付けずに無効とし、遊技を進行させない状態のことをいう。
通常は、スタートレバー14の操作に応じてリールR1、R2、R3の始動を行うが、フリーズ状態では、例えばこのリールR1、R2、R3の始動を行わず、前記一定期間経過後、即ちフリーズ状態終了後に、リールR1、R2、R3を始動させるようにしてもよい。また、これに代えて、スタートレバー14の操作に応じて、通常と同様にリールR1、R2、R3の始動を行うが、前記一定期間中は、ストップボタン15L、15C、15Rの操作を受け付けても無効としてリールR1、R2、R3の回転を継続し、前記一定期間経過後、即ちフリーズ状態終了後に、ストップボタン15L、15C、15Rの操作を有効としてもよい。そして、前記フリーズ状態中に、液晶表示器30上で、前記初期枚数のカウントアップ演出を実行することとしている。
【0140】
図21に示す如く、AT開始処理では、先ずステップS2101にて連チャン回数に1、次回上乗せモードに「通常」をセットする。そして、次のステップS2102にて、初期枚数決定処理を実行する。初期枚数決定処理の内容を
図22に示す。
図22に示す如く、初期枚数は、128/256の確率で40枚、64/256の確率で60枚、24/256の確率で80枚、31/256の確率で120枚、5/256の確率で160枚、2/256の確率で240枚、2/256の確率で320枚にそれぞれ決定される。
【0141】
図21に戻り、次のステップS2103では、残り獲得枚数に初期枚数をセット、上乗せモードに次回上乗せモード、次回上乗せモードに「通常」をそれぞれセットする。従って、初回ATでの上乗せモードは、「通常」となる。
次のステップS2104では、スタートレバー14操作が行われたか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS2105へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS2104にて同じ判断を繰り返す。ステップS2105では内部抽選処理を実行し、次のステップS2106にてフリーズ状態を開始する。フリーズ状態中には、ステップS2107にて、液晶表示器30上で、初期枚数カウントアップ演出を実行する。次のステップS2108ではフリーズ状態を終了するか否かを判断し、イエスと判断した場合には、AT中処理へ移行すべく、
図25のステップS2502へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS2108にて同じ判断を繰り返す。具体的に、ステップS2108では、フリーズ状態開始から2000msec経過したか否かを判断し、イエスと判断した場合にフリーズ状態を終了すると判断する。従って、フリーズ状態の期間は2000msecである。ステップS2108にてイエスと判断した場合には、
図25に示すAT中処理のステップS2502に移行する。AT中処理については後述する。
【0142】
<6−3−6.初期枚数カウントアップ演出>
液晶表示器30上での初期枚数カウントアップ演出例を
図23に示す。
図23からわかるように、初期枚数カウントアップ演出は、0枚からカウントアップを開始し、決定した初期枚数でカウントアップを停止することによって、該初期枚数を遊技者に報知する演出である。以下、カウントアップ開始から、決定した初期枚数でカウントアップを停止するまでの時間を演出時間という。
図22に示す如く、初期枚数には複数通りのバリエーションがあるため、遊技者は、初期枚数カウントアップ演出がいつまで継続するか、固唾を呑んで液晶表示器30を見つめることになる。従って、遊技者の興趣の向上には、初期枚数が多いほど演出時間を長くするのが効果的である。また、フリーズ状態に設定しなかった場合は、初期枚数カウントアップ演出中のストップボタン15L、15C、15Rの操作が可能となるため、当該操作によって遊技が進行し、これに対応した他の演出が液晶表示器30上で開始されるため、初期枚数カウントアップ演出が中断されることになる。この結果、初期枚数カウントアップ演出では、遊技者に初期枚数を確実に報知することが出来なくなるため、別の報知機会を設ける等の対応が必要となり、遊技制御の複雑化を招く問題がある。よって、初期枚数カウントアップ演出を最後まで確実に遊技者に見せるべく、フリーズ状態とするのが最適である。
【0143】
また、初期枚数に適した演出時間に応じて、フリーズ状態の期間を設定する方法も考えられるが、この場合は、フリーズ状態の期間も複数通り用意する必要がある。しかしながら、主制御装置100aのROMに記憶されているプログラムや、該プログラムが参照するデータの容量には一定の制限が課されている。このため、例えば、上述した内部抽選処理に用いる抽選テーブルの記憶容量の圧縮等の細かい努力を重ねることにより、上記一定の制限内に収めているのが現状である。よって、フリーズ状態の期間を複数通り用意することは困難であるため、本スロットマシン1では、フリーズ状態の期間は1通り、即ち、初期枚数にかかわらず一定とし、演出サブ制御装置100b側での工夫によって、初期枚数が多いほど演出時間を長くする方法を採用した。
【0144】
具体的には、
図24に示す如く、初期枚数カウントアップ演出において、初期枚数が多いほど演出時間が長くなり、且つ、最大の初期枚数である320枚の場合でも、フリーズ状態の期間である2000msec内に、初期枚数カウントアップ演出が完了するように、初期枚数に応じて、1回のカウントアップ動作で加算する加算単位及び加算間隔を設定することとした。
例えば、初期枚数が40枚の場合は、加算単位を1枚、加算間隔を26msecとすることで、演出時間が1040msecになるように設定した。初期枚数が60、80、120、160、240、及び320枚の場合も同様に、
図24に記載の通りのため、これについては説明を省略する。
【0145】
以上説明したように、本スロットマシン1では、初期枚数カウントアップ演出において、初期枚数に応じて、1回のカウントアップ動作で加算する加算単位及び加算間隔を設定したので、1通りのフリーズ状態の期間内で、初期枚数が多いほど演出時間を長くすることが出来る。この結果、主制御装置100aの記憶容量の増大を最小限とし、遊技者の興趣を高めることができる。
【0146】
<6−3−7.AT中処理>
図25は、スロットマシン1のAT中処理の流れを示すフローチャートである。AT中には、内部抽選の結果、抽選区分押し順ベル1〜6の何れかに当選したゲームで正解操作順が報知される。また、AT中には、抽選区分押し順ベル1〜6または共通ベルに当選したゲームにて、残り獲得枚数が7枚減算され、残り獲得枚数がゼロになるとATは終了となる。
図25に示す如く、AT開始処理では、先ずステップS2501にて内部抽選処理を行う。次のステップS2502では、抽選区分押し順ベル1〜6の何れかに当選したか、または抽選区分押し順RP1〜3に当選し、且つ押し順報知抽選に当選したか否かを判断する。上述のAT開始抽選処理(
図21参照)では、ステップS2105にて既に内部抽選処理を実行済のため、AT開始抽選処理終了後は、ステップS2502へ移行する。
【0147】
また、抽選区分押し順RP1〜3当選時の押し順報知抽選での当選確率は、上乗せモードが「通常」の場合は25/256、「高確」の場合は128/256、「抑制」の場合は0/256にそれぞれ設定している。
そして、ステップS2502にてイエスと判断した場合には、ステップS2503にて正解押し順を報知してステップS2504へ移行する一方、ノーと判断した場合にはステップS2503をスキップしてステップS2504へ移行する。
ステップS2504では全リールR1、R2、R3が停止したか否かを判断し、イエスと判断してステップS2505へ移行するまで、ステップS2504にて同じ判断を繰り返す。ステップS2505では残り獲得枚数上乗せ処理を実行する。残り獲得枚数上乗せ処理の内容を
図26に示す。
【0148】
図26に示す如く、残り獲得枚数上乗せ処理は、上乗せモードと、内部抽選結果に応じて、残り獲得枚数に上乗せするか否か、また上乗せする場合にはその値を決定する。
図26には、上乗せ期待値を示しており、例えば、上乗せモードが「通常」、且つ、内部抽選の結果、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した場合の上乗せ期待値は4.34枚、抽選区分RP2に当選した場合の上乗せ期待値は19.53枚、抽選区分RP1〜3に当選した場合の上乗せ期待値は1.25枚、抽選区分弱チェリーに当選した場合の上乗せ期待値は23.55枚、抽選区分強チェリーに当選した場合の上乗せ期待値は52.59枚、抽選区分スイカに当選した場合の上乗せ期待値は30.94枚、抽選区分チャンスAに当選した場合の上乗せ期待値は33.32枚、抽選区分チャンスBに当選した場合の上乗せ期待値は73.53枚にそれぞれ設定している。上乗せモードが「高確」及び「抑制」の場合については、
図26に記載の通りであるため、説明は省略する。
【0149】
一例として、内部抽選の結果、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した場合の残り獲得枚数上乗せ処理の内容を
図27に示す。
図27に示す如く、上乗せ枚数は、10枚〜573枚までの9通りのバリエーションとし、上乗せモードごとに、各上乗せ枚数の選択確率を定義している。具体的に、上乗せモードが「通常」の場合には、170/256の確率で上乗せなし(0枚)、76/256の確率で上乗せ10枚、4/256の確率で上乗せ20枚、4/256の確率で上乗せ30枚、1/256の確率で上乗せ50枚、1/256の確率で上乗せ100枚に決定する。上乗せモードが「高確」及び「抑制」の場合については、
図27に記載の通りであるため、説明は省略する。また、他の抽選区分に当選した場合についても、各上乗せ枚数の選択確率が異なること以外は、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した場合と同等であるので、説明は省略する。
【0150】
なお、上述した、抽選区分押し順RP1〜3当選時の押し順報知抽選にて当選し、報知された正解押し順通りの停止操作を行って、中段ラインL1に左から順に、リプレイ、チェリー、リプレイ図柄が停止した場合には例外的に、内部抽選の結果、抽選区分RP2に当選したものとして、残り獲得枚数上乗せ処理を実行する。そして、残り獲得枚数上乗せ処理にて、上乗せを行うと決定された場合には、その値を液晶表示器30に表示して遊技者に報知するとともに、残り獲得枚数に上乗せ値を加算する。
【0151】
図25に戻り、次のステップS2506では、残り獲得枚数更新処理を実行する。具体的に、残り獲得枚数更新処理では、抽選区分押し順ベル1〜6または共通ベルに当選したゲームにて7枚(=配当10枚−規定数3枚)減算する。さらに具体的に、抽選区分押し順ベル1〜6に当選したゲームにて、遊技者が正解押し順以外の操作順でリール停止操作を行った場合、実際には1枚の配当が得られるか、配当が得られないことになるが、この場合であっても、残り獲得枚数を7枚減算することとしている。一方、リプレイ役及び1枚役の入賞時や、何れの役も入賞しなかった取り零し時には、残り獲得枚数の更新は行わない。
【0152】
ここで、内部抽選の結果、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した遊技でのメダル払出枚数は、最大でも1枚であるため、当該遊技は、AT中に持ちメダルが2枚または3枚減少する遊技となるが、上述の如く、残り獲得枚数の更新は行われない。また、
図27に示す如く、上乗せモードが「通常」または「抑制」の場合には、内部抽選の結果、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した遊技において、比較的高い確率で上乗せも行われない。このため、AT中に、少なくとも1回抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選し、且つ上乗せが行われずにATが終了した場合、実際の獲得枚数が、初期枚数を下回る結果を招くことになり、この場合には、遊技者に不満を抱くことになるため、問題となる。
そこで、この問題の発生を防止すべく、本スロットマシン1では、
図27に示す如く、内部抽選の結果、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した遊技においては、差枚数カウンタ値と残り獲得枚数の和が、初期枚数以下か否かを判定し、初期枚数以下の場合は例外的に、必ず10枚上乗せすることとしている。これにより、AT終了時の獲得枚数が、初期枚数を下回ることはなく、また、上述の和が初期枚数を超えている場合、即ち初期枚数以上のメダル獲得が既に確定している状況下では、上乗せモードに応じた設計通りの上乗せ性能を発揮させることができる。
【0153】
図25に戻り、次のステップS2507では、差枚数カウンタ値が100の倍数を超えたか否かを判断し、イエスと判断した場合にはステップS2508にて次回上乗せモード決定処理を行って、ステップS2509へ移行する一方、ノーと判断した場合には、ステップS2508をスキップしてステップS2509へ移行する。上述の如く、次回上乗せモード決定処理は、約100枚のメダルを獲得するごとに実行され、次回のAT中の上乗せモードを決定する。次回上乗せモード決定処理の内容を
図28に示す。
【0154】
具体的には、有利状態ゲーム数が1100以上、または差枚数カウンタ値が1400以上の場合には、次回上乗せモードに「抑制」をセットする。
また、上記の条件には該当せず、差枚数カウンタ値が200以上または残り獲得枚数が200以上、即ち今回のATで200枚以上のメダルの獲得が確定している場合には、次回上乗せモードに「抑制」をセットする。
上記2つの条件の何れにも該当しない場合には、次回上乗せモードに、231/256の確率で「通常」、25/256の確率で「高確」をそれぞれセットする。
【0155】
図25に戻り、次のステップS2509では、残り獲得枚数がゼロ以下になったか否かを判断し、ノーと判断した場合には、ATを継続すべくステップS2501に戻る。一方、ステップS2509にてイエスと判断した場合には、ステップS2510にて連チャン回数が8回に至ったか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ATを継続すべくステップS2501に戻る一方、ノーと判断した場合には、ATは終了となり、ステップS2511にて引き戻しゾーン中処理を実行してリターンする。
なお、連チャン回数が8回に至った場合は、残り獲得枚数がゼロになっても、即ち残り獲得枚数にかかわらず、リミッタの作動によって有利状態が終了するまでATを継続させ、リミッタ作動後に非有利状態へ転落させることとしている。
【0156】
<6−3−8.引き戻しゾーン中処理>
図29は、スロットマシン1の引き戻しゾーン中の処理の流れを示すフローチャートである。引き戻しゾーンのゲーム期間は、最長で40ゲームに設定しており、引き戻しゾーン中には、上述した特訓ゾーン及びバトルゾーンと同様に、レベルアップ抽選が実行されるとともに、現在のレベルに応じてAT開始抽選が実行され、該AT開始抽選に当選した場合には、引き戻し成功となり、ATに復帰する。一方、AT開始抽選に当選することなく40ゲーム経過した場合には、有利状態終了となり、非有利状態に転落する。
【0157】
引き戻しゾーンでは、先ずステップS2901にて残りゲーム数に40をセットして、次のステップS2902にて引き戻しモード決定処理を実行する。引き戻しモードとは、後述するレベル初期値に関連するパラメータで、A〜Dの4段階とし、高いレベル初期値とされる期待度は、A<B<C<Dとしている。引き戻しモード決定処理の内容を
図30に示す。
図30に示す如く、引き戻しモードは、設定値に基づき決定しており、例えば、設定値が1の場合の引き戻しモードは、147/256の確率でA、76/256の確率でB、32/256の確率でC、1/256の確率でDに決定される。設定値が2〜6の場合については、
図30に記載の通りであるため、説明は省略する。
図30からわかるように、設定値が大きいほど、高いレベル初期値とされる期待度が高い引き戻しモードに決定される確率が高くなるように設定している。
【0158】
図29に戻り、次のステップS2903では、レベル初期値決定処理を実行する。レベル初期値決定処理の内容を
図31に示す。
図31に示す如く、レベル初期値は、引き戻しモードに基づき決定しており、例えば、引き戻しモードがAの場合のレベル初期値は1、引き戻しモードがBの場合のレベル初期値は、64/256の確率で1、128/256の確率で2、16/256の確率で3、16/256の確率で4、16/256の確率で5、16/256の確率で6に決定される。引き戻しモードがC及びDの場合については、
図31に記載の通りであるため、説明は省略する。
図31からわかるように、引き戻し期待度が高い引き戻しモードほど、大きなレベル初期値に決定される確率が高くなるように設定している。
なお、引き戻しゾーン中には、液晶表示器30に表示される演出の背景色によって、現在のレベルを示唆することにしている。具体的に、現在のレベルが1の場合の背景色は青色、現在のレベルが2〜4の場合の背景色は黄色、現在のレベルが5〜7の場合の背景色は緑色、現在のレベルが8〜9の場合の背景色は赤色、現在のレベルが10の場合の背景色は虹色にそれぞれ設定している。
【0159】
図29に戻り、次のステップS2904では、内部抽選処理を実行し、次のステップS2905にて、残りゲーム数を1減算する。そして、次のステップS2906では、内部抽選結果に応じてレベルアップ処理を実行する。レベルアップ処理の内容は、上述した、特訓ゾーンAでのレベルアップ処理(
図16のステップS1603、内容については
図17参照)と同様であるので、説明は省略する。
次のステップS2907では、現在のレベルが2以上7以下で、且つ残りゲーム数が25ゲーム以上か否かを判断し、ノーと判断した場合にはステップS2908にてAT開始抽選処理を実行して、ステップS2909へ移行する。一方、ステップS2907にてイエスと判断した場合には、ステップS2908をスキップして、ステップS2909へ移行する。ステップS2908のAT開始抽選処理は、上述したバトルゾーン中のAT開始抽選処理(
図19のステップS1904、内容については
図20参照)と同等のため、説明は省略する。また、ステップS2907からS2909までの処理の理由については後述する。
【0160】
次のステップS2909ではAT開始抽選に当選したか否かを判断し、イエスと判断した場合には、ステップS2913にて連チャン回数に1加算して、ATを開始すべく、AT開始処理のステップS2102(
図21参照)へ移行する。一方、ステップS2909にてノーと判断した場合には、ステップS2910にて残りゲーム数がゼロか否かを判断し、ノーと判断した場合には、引き戻しモードを継続すべくステップS2904へ戻る。
一方、ステップS2090にてイエスと判断した場合には、引き戻しゾーンは終了となり、有利状態を終了すべく、ステップS2911にて有利状態終了処理を実行する。有利状態終了処理では、主制御装置100aのRAM103に記憶されている、有利状態に関連するデータを全てクリアする。そして、次のステップS2912にて、非有利状態中処理を呼び出して、リターンする。
【0161】
次に、ステップS2907からS2909までの処理の理由について説明する。
現行の「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」によれば、回胴式遊技機(スロットマシン)の出玉率が、400ゲーム間で220%を超えた場合には不適合となる。本スロットマシン1において、AT中の1ゲームあたりの純増枚数は約5枚に設定しており、この場合の出玉率は、約267%(純増枚数5枚=3枚イン、8枚アウト、出玉率=8/3=約267%)であるため、仮にATが400ゲーム継続した場合には不適合となってしまう出玉性能に設定している。
【0162】
ATのゲーム期間は、上述の如く、AT開始時の初期枚数決定処理の結果と、AT中の残り獲得枚数上乗せ処理の結果によって変動するが、100ゲーム以上継続することは稀で、殆どの場合は50ゲーム以内に終了するように設計し、また、AT終了後には、指示機能を作動させない引き戻しゾーンを経由して、再度ATに復帰させることで、ATが長期間に亘り継続することがないようにして、不適合となることがないように設計している。
【0163】
しかしながら、引き戻しゾーンの序盤で、AT開始抽選に当選した場合には、ATが継続したことと同義になってしまい、指示機能を作動させない引き戻しゾーンを設けた意味がなくなってしまう。この問題を解決するには、引き戻しゾーンの序盤で、AT開始抽選に当選したとしても引き戻しゾーンを維持し、引き戻しゾーンでのゲーム数が一定以上になったことを条件にATに復帰させる方法が考えられる。この方法を採用すれば、AT間に、指示機能を作動させない少なくとも一定ゲーム数以上の期間を設けることができるが、上述の如く、AT開始抽選の当選期待度に直結する現在のレベルを液晶表示器30の背景色によって、遊技者に示唆しているため、特に、液晶表示器30の背景色が赤または虹の場合、即ち現在のレベルが、早期のAT復帰(引き戻し)が期待できる8以上の高レベルにあるときであっても、ATへの復帰に一定以上のゲーム数の消化が必要となってしまい、遊技者が不信感を抱く虞がある。
【0164】
そこで、本スロットマシン1では、現在のレベルが、AT開始抽選を行ったとしても早期のAT復帰(引き戻し)が望めない1の場合(背景色が青の場合)、及び早期のAT復帰(引き戻し)が期待できる8以上の高レベルにある場合(背景色が赤または虹の場合)には、残りゲーム数にかかわらず、AT開始抽選を実行することとした。また、現在のレベルが、AT復帰(引き戻し)の期待度が中程度の2〜7にある場合(背景色が黄または緑の場合)には、引き戻しゾーンの序盤、具体的には引き戻しゾーン開始から15ゲーム間は、AT開始抽選を行わないこととした。現在のレベルが、AT復帰(引き戻し)の期待度が中程度の2〜7にある場合(背景色が黄または緑の場合)には、遊技者も引き戻しゾーンの序盤でAT復帰(引き戻し)しなかったとしても、不信感を抱く可能性は低い。
従って、この方法によれば、遊技者が不信感を抱くことを防止しつつ、全レベル域ではないものの、相対的に遊技者が滞在しやすい中レベル域においては、AT間に15ゲーム以上の指示機能を作動させないゲーム数を確保することが出来る。この結果、不適合となるリスク、即ち、遊技機として守るべき射倖性の範囲を超えることを抑制することが出来る。
【0165】
<7.遊技機の動作を擬似的に実行するシミュレーションプログラムについて>
次に、携帯電話機(スマートフォンを含む)、携帯情報端末(タブレット型コンピュータを含む)、デスクトップ型コンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、家庭用遊技機(据置型遊技機)、携帯用遊技機、又は遊技施設等に設置される業務用遊技機にて、スロットマシン等の遊技機の動作を擬似的に実行するシミュレーションプログラムに、本発明を適用した実施例について説明する。
なお、上記の例示に限らず、遊技機に対する遊技進行操作に相当する入力操作が可能な入力装置と、遊技機の動作を擬似的に表示する表示装置と、シミュレーションプログラムを実行して、前記入力装置に対する入力操作に基づき遊技を進行させるとともに、前記表示装置の表示を制御する制御装置と、を備えた遊技装置、または遊技システムであれば、適用可能である。
【0166】
例えば、上述のスロットマシン1の動作をスマートフォン上で擬似的に実行する、スマートフォン用のシミュレーションプログラムは、スマートフォンに内蔵されたコンピュータ(CPU、RAM、ROM等)により実行される。なお、シミュレーションプログラムは、スマートフォンにインストールされてもよいし、インストールされずに、スマートフォンからネットワークを介してアクセス可能なサーバやクラウド上にあってもよい。
上記シミュレーションプログラムが実行されると、スマートフォンの画面上に、スロットマシンの画像を表示するとともに、スロットマシンでのスタートレバーの操作に相当するスマートフォンの操作(以下、遊技開始操作という)に応じて、前記スマートフォンの画面上に表示されたリール画像を変動させる。
また、その後のスロットマシン1でのストップボタンの操作に相当するスマートフォンの操作(以下、停止指示操作という)に応じて、前記スマートフォンの画面上に表示されたリール画像を停止させる。前記遊技開始操作並びに停止指示操作を繰り返すことにより、スロットマシン1での遊技が、スマートフォンの画面上で擬似的に体験できるようになっている。
【0167】
具体的には、前記スマートフォンの画面上に表示されたスタートレバーの表示位置を操作する(タップする)ことで、遊技開始操作と判断し、前記スマートフォンの画面上に表示されたリール画像を変動させ、前記スマートフォンの画面上に表示された各ストップボタンの表示位置を操作する(タップする)ことで、停止指示操作と判断し、前記スマートフォンの画面上に表示されたリール画像を停止させる。前記スマートフォンの画面上に表示されたスタートレバー、および各ストップボタンの操作は、タッチパネルに対するタップ操作ではなく、スタートレバーから各ストップボタンの方向へのフリック操作でもよい。
さらに、スタートレバーやストップボタンの各画像の表示位置ではなく、遊技開始操作、および停止指示操作を受け付ける状態(以下、操作受付状態という)中は、前記スマートフォンの画面上のどこをタップしても(以下、適当操作という)、当該操作受付状態を満たしたと判断し、該当するリール画像の変動、または停止を行ってもよい。
前記停止指示操作受付状態において、該当するストップボタンの表示位置をタップせずに適当操作を行い、当該停止指示操作を満たしたと判断した場合には、予め定めておいた操作順(例えば、左ストップボタン→中ストップボタン→右ストップボタンの順)と判断し、該当するリール画像を停止するようにしてもよい。また、前記スマートフォンの画面上に各ストップボタンの停止操作順(所謂、押し順ナビ)が表示された場合において、該当するストップボタンの表示位置をタップせずに適当操作を行った場合には、前記スマートフォンの画面上に表示されたストップボタンの停止操作順で操作されたと判断し、該当するリール画像を停止するようにしてもよい。
【0168】
上記シミュレーションプログラムは、スロットマシン1のCPU101及びCPU200にて実行されていた各種プログラムをベースに、移植先の遊技装置または遊技システムのプラットフォームやアーキテクチャーに応じた、種々の最適化を施して構成される。例えば、スマートフォン用のシミュレーションプログラムにおいて、スロットマシン1でのリール制御処理は、スマートフォンの画面上に表示するリール画像の変化によって、前記リール制御処理により実現されるリールの回転及び停止に係る動作を忠実に再現するリール画像表示処理に最適化される。なお、種々の最適化には、再現する必要がない処理(例えばエラー処理)の削除や、シミュレーションプログラム独自の機能(例えば、遊技規則上、スロットマシン1への搭載は不可能であるが、操作性や効率の向上が図れる機能)の搭載等を含んでもよい。
【0169】
このように、スロットマシン1で実行される遊技性を、移植先の遊技装置または遊技システムのプラットフォームやアーキテクチャーに応じて最適化して、シミュレーションプログラムを構成することにより、本発明を遊技機に適用したときと同等の作用効果を移植先の遊技装置または遊技システムにおいても発揮することが出来る。
【0170】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
例えば、上述の初期枚数カウントアップ演出においては、ゼロから初期枚数までカウントアップする構成としたが、カウントアップを開始する数値については、ゼロに限らず、最低の初期枚数未満の数値であれば任意に選択可能である。
また、本スロットマシン1は、差枚数管理型のAT機であるため、初期枚数カウントアップ演出での報知対象を初期枚数としたが、報知対象については、AT期間が維持される期間に係る残り権利数の初期値であればよく、例えば、ゲーム数管理型のAT機においては、本スロットマシン1の初期枚数に代えて、初期ゲーム数を報知対象とすれば、本スロットマシン1と同等の効果が得られる。
【解決手段】内部抽選の結果、抽選区分チャンスCまたは全1枚役に当選した遊技でのメダル払出し枚数は、最大でも1枚であるため、1遊技単位での差枚数は−2枚となる。AT中の同遊技において、差枚数カウンタと残り獲得枚数の和が、AT開始時に遊技者に報知した初期枚数以下の場合は、残り獲得枚数に一律10枚上乗せする一方、これ以外の場合は、上乗せモードに応じて、上乗せするか否か、及び上乗せする場合にはその枚数を決定する。