特許第6775261号(P6775261)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6775261
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】改ざん防止機能付き包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/54 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   B65D5/54 301P
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-207574(P2019-207574)
(22)【出願日】2019年11月18日
【審査請求日】2020年1月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592239866
【氏名又は名称】永和紙器工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074251
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100066223
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 政美
(72)【発明者】
【氏名】穴穂 元伸
(72)【発明者】
【氏名】松野 政行
(72)【発明者】
【氏名】福崎 利昭
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3217875(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3150880(JP,U)
【文献】 特許第6456050(JP,B2)
【文献】 特許第5306069(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート体を折曲して形成した矩形状箱体の上部開口縁に揺動自在に設けられた蓋体を形成し、該蓋体内に挿入した指先で蓋体を強制的に開口するように構成された改ざん防止機能付き包装箱において、
蓋体は上部開口縁で対向する内天板と外天板とが揺動自在に折り重なるように形成され、
一方の内天板の内天板と箱体との境界部分の揺動側端部に差込用切込線を形成すると共に、該差込用切込線に沿って隣接する箱体側面に差込用切込線から解除口を開口せしめる除去片を形成し、
他方の外天板の開口側端部に舌片状を成した差込固定片を形成し、
施蓋時に該差込固定片を差込用切込線内部に挿入して差込固定片の両端部を差込用切込線内に再開口不能に係合し、
開口時に除去片を除去すると箱体側面に解除口が開口すると同時に、外天板の差込固定片が差込用切込線から解除されるように構成したことを特徴とする改ざん防止機能付き包装箱。
【請求項2】
前記差込固定片は、前記外天板の開口側端部から舌片状に突設され、
該差込固定片の基端部側で屈曲する屈曲部の両側に切込みを形成して重合部を設け、
前記差込用切込線は、前記内天板と前記箱体との境界部分に形成され、
差込用切込線の長手両端部に設けた一対の係止突起と、前記差込用切込線の長手中央から前記内天板側に形成された係合凹部と、を備え、
施蓋時に前記差込用切込線に前記差込固定片を挿入したときに前記差込固定片の中央部の屈曲部分が係合凹部に係合すると共に、重合部が係止突起上に重なるように形成した請求項1記載の改ざん防止機能付き包装箱。
【請求項3】
前記解除口は、前記差込用切込線の両端部が箱体内に残るように開口し、前記外天板を再封自在に設けた請求項1又は2記載の改ざん防止機能付き包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施蓋した容器がいたずらや不法行為等によって開口されたか否かを判別する改ざん防止機能付き包装箱に係り、化粧品、薬品、ドリンク剤、その他商品を収納し店頭等に陳列することができる改ざん防止機能付き包装箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓋体の開口を容易にする包装容器は種々のものが提供されている。例えば、特許文献1に示す包装用箱では、施蓋時の蓋と接する箱体周面の端縁部に分離可能な切込部と、この切込部に連設して分離不能に保持する接続部とを設けたものである。
【0003】
そして、商品を取り出す際に切込に親指等を押し込み、その状態で上蓋を上方に開けると、フラップの切込が破れて上蓋が開くように構成されている。
【0004】
ところが、特許文献1の包装容器は蓋体の開口を容易にすることは可能でも、この蓋体を糊で固定する構成なので製造工程が複雑になる課題があった。
【0005】
そこで本発明者は、このような不都合を解消すべく、先に蓋体の開口を容易にする組立包装用箱を提案している(特許文献1、2参照)。すなわち、蓋体に隣接する箱体側面に形成した除去片を破断すると、蓋体に形成した摘み片が露出するように形成し、この摘み片を手指で摘み、上方に強制移動させることで下天板、中天板及び上天板から成る蓋体を開口するように構成したものである。
【0006】
さらに、これらの組立包装用箱には、いたずらや不法行為等によって開口されると破断する破断予定線による改ざん防止機能も備えている。この破断予定線は、蓋体と箱体側面とが連続する境界部分に破断予定線を形成し、蓋体を開口する場合にこの破断予定線を切除するように構成したもので、この破断予定線が改ざん防止機能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平4−53618号公報
【特許文献2】特許第4775742号公報
【特許文献3】実用新案登録第3150880公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のように蓋体内に指を挿入して開口する包装用箱は、指先を開口部にある程度深く押し込まないと上蓋に指先を掛けることができない構成である。しかも、蓋体は糊で接着されているので、製造工程が複雑になるという課題の他、強固に接着されている蓋体を開口する際に爪の生え際部分を切込縁で擦ってしまう虞があるなど、操作時における安全性の課題もある。
【0009】
また、特許文献2、特許文献3の組立包装用箱は、摘み片を持ち上げることで下天板、中天板及び上天板を破断させる構成なので、摘み片に多くの負荷がかかることになる。そのため、摘み片を持ち上げる際に、万が一、摘み片が破断すると、開口操作に支障が生じる虞がある。
【0010】
さらに、特許文献2、特許文献3の組立包装用箱の改ざん防止機能は、上天板の揺動側端部に破断予定線を形成すると共に、上天板の開口側端部に封緘紙を接着して上天板を施蓋することで、不正な開口を阻止する構成である。すなわち、上天板を開口しようとすると、この破断予定線を切除するか、あるいは封緘紙を剥がす必要があり、これらの痕跡で不正開封が確認できるように構成したものである。
【0011】
ところが、上天板の開口側端部に封緘紙を接着するなどの作業により、製造コストが増加する不都合があった。しかも、破断予定線を切除せずに接着た封緘紙を不正に剥がして不正に開口する手段もある。
【0012】
そこで本発明は、上述の課題を解消すべく案出されたもので、蓋体内に指を挿入して開口する包装箱において、破断予定線や封緘紙等を用いずに、安全に開口することができ、しかも封緘紙等の接着手段を用いずに不正開口を阻止できる改ざん防止機能付き包装箱の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成すべく本発明における第1の手段は、シート体Pを折曲して形成した矩形状箱体10の上部開口縁11に揺動自在に設けられた蓋体20を形成し、該蓋体20内に挿入した指先で蓋体20を強制的に開口するように構成された改ざん防止機能付き包装箱において、蓋体20は上部開口縁11で対向する内天板21と外天板22とが揺動自在に折り重なるように形成され、一方の内天板21の内天板21と箱体10との境界部分の揺動側端部に差込用切込線21Aを形成すると共に、該差込用切込線21Aに沿って隣接する箱体10側面に差込用切込線21Aから解除口12を開口せしめる除去片13を形成し、他方の外天板22の開口側端部に舌片状を成した差込固定片22Aを形成し、施蓋時に該差込固定片22Aを差込用切込線21A内部に挿入して差込固定片22Aの両端部を差込用切込線21A内に再開口不能に係合し、開口時に除去片13を除去すると箱体10側面に解除口12が開口すると同時に、外天板22の差込固定片22Aが差込用切込線21Aから解除されるように構成したものである。
【0014】
第2の手段において、前記差込固定片22Aは、前記外天板22の開口側端部から舌片状に突設され、前記差込固定片22Aの基端部側で屈曲する屈曲部の両側に切込みを形成して重合部22Aaを設け、前記差込用切込線21Aは、前記内天板21と前記箱体10との境界部分に形成され、差込用切込線21Aの長手両端部に設けた一対の係止突起21Aaと、前記差込用切込線21Aの長手中央から前記内天板21側に形成された係合凹部21Abと、を備え、施蓋時に前記差込用切込線21Aに前記差込固定片22Aを挿入したときに前記差込固定片22Aの中央部の屈曲部分が係合凹部21Abに係合すると共に、重合部22Aaが係止突起21Aa上に重なるように形成したことにある。
【0015】
第3の手段の前記解除口12は、前記差込用切込線21Aの両端部が箱体10内に残るように開口し、前記外天板22を再封自在に設けたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1により、除去片13を除去すると箱体10側面に解除口12が開口して外天板22の差込固定片22Aが露出すると同時に、外天板22の差込固定片22Aが差込用切込線21Aから解除されるように構成したことで、外天板22を安全且つ容易に開口することができる。
【0017】
しかも、内天板21と箱体10との境界部分に形成された差込用切込線21Aに、差込固定片22Aを差し込んで再開口不能に施蓋する構成なので、改ざん防止構造が極めて目立たずに済む。この結果、従来のような封緘紙等の接着手段を用いることなくコストアップの課題を解消することができる。
【0018】
請求項2のように、差込用切込線21Aに差込固定片22Aを挿入したときに差込固定片22Aの中央部が係合凹部21Abに係合すると共に、重合部22Aaが係止突起21Aa上に重なるように形成したことにより、差込用切込線21Aに挿入した差込固定片22Aは差込用切込線21Aからの再開封を確実に防止することができる。したがって、どのように開口しようとしても、必ず差込用切込線21Aが破損することになり、確実な改ざん防止機能を実現することができる。
【0019】
請求項3のごとく、解除口12は、差込用切込線21Aの両端部が箱体10内に残るように開口し、外天板22を再封自在に設けているので、開口した箱体10を再利用することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の包装箱を例示する展開図である。
図2】本発明の包装箱の蓋部を開けた状態を示す縦断面図である。
図3】折曲片と内天板とを閉じた状態を示す縦断面図である。
図4】外天板を閉じた状態を示す縦断面図である。
図5】本発明の蓋部を閉じた状態を示す斜視図である。
図6】除去片を除去した状態を示す斜視図である。
図7】外天板を開口した状態を示す斜視図である。
図8】蓋体全体を開口した状態を示す斜視図である。
図9】本発明の改ざん防止構造を示す施蓋時の要部断面図である。
図10】(イ)は除去片を示し、(ロ)は挿入口を示す正面図である。
図11】(イ)は他の除去片を示し、(ロ)は他の挿入口を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の基本構成は、シート体Pを折曲して形成した矩形状の箱体10と、該箱体10を施蓋する改ざん防止機能付きの蓋体20とで構成されたものである(図1参照)。本発明の箱体10は、蓋体20にて施蓋する開口部が矩形状を成す形状であればよく、胴体部のサイズや形状、及び、底部の構成などは任意に変更することができる。
【0022】
蓋体20は、該箱体10を施蓋した際に不正な開口を防止する改ざん防止機能を備えている。この蓋体20の基本構成は、箱体10の上部開口縁11で対向する内天板21と外天板22とが揺動自在に折り重なるように形成されている(図2参照)。図示例では、この上部開口縁11に、さらに対向する一対の折曲片23、24を設けてあり、これらの折曲片23、24を開口部に折り込んだ上に、内天板21を重ねて折り込み(図3参照)、さらに、内天板21の上に外天板22を折り込んで重ねるものである(図4参照)。このとき、最初に内天板21を折り込み、この上に折曲片23、24を折り重ね、最後に外天板22を折り重ねることも可能である。
【0023】
一方の内天板21の揺動側端部に差込用切込線21Aを形成する(図1参照)。さらに、この差込用切込線21Aに隣接する箱体10の側面に解除口12を開口せしめる除去片13を形成している(図6参照)。
【0024】
他方の外天板22の開口側端部に差込固定片22Aを屈曲形成している(図1参照)。そして、この差込固定片22Aを差込用切込線21Aから箱体10内部に挿入して再開口不能に施蓋するように設けている(図9参照)。これらの差込固定片22Aと差込用切込線21Aとが改ざん防止構造になっている。
【0025】
すなわち、差込固定片22Aは、外天板22の開口側端部に舌片状に突設されている(図7参照)。そして、この差込固定片22Aの基端部側で屈曲する屈曲部の両側に切込みを形成して重合部22Aaを設けている。この重合部22Aaは、外天板22施蓋時に後述する係止突起21Aaの上に重なるように設けている。
【0026】
また、差込用切込線21Aは、この差込固定片22Aを挿入可能な長さに形成された部位で、内天板21と箱体10との境界部分に設けている(図7参照)。この差込用切込線21Aには、さらに係止突起21Aaと係合凹部21Abとを備えている。
【0027】
一方の係止突起21Aaは、差込用切込線21Aの長手両端側に形成された一対の部位で、施蓋時に内天板21を屈曲すると、係止突起21Aaの先端部が差込用切込線21Aの上に重なるように形成している(図7参照)。
【0028】
他方の係合凹部21Abは、差込用切込線21Aの長手中央から前記内天板21側に形成された凹状部位部ある(図7参照)。そして、差込用切込線21Aに差込固定片22Aを挿入したときに差込固定片22Aの中央部が係合凹部21Abに係合する。したがって、この差込用切込線21A内に前述の差込固定片22Aを挿入すると、差込固定片22Aの屈曲部が係合凹部21Abに係合すると共に、重合部22Aaが係止突起21Aaの上に重なることになる(図9参照)。
【0029】
このように、重合部22Aaが係止突起21Aa上に重なると、差込固定片22Aによる施蓋時の閉塞力を強化することになる(図5参照)。この結果、差込固定片22Aは差込用切込線21Aから完全に抜き出すことができなくなり、仮に、この差込固定片22Aを無理に開けようとすると、差込固定片22Aが破損する。
【0030】
さらに、差込用切込線21Aの長手両端部方向に沿って一対の破断予定線21Bを延長形成している(図7参照)。この破断予定線21Bの使用は任意であるが、折込片21Bを切り離すことで、内天板21と外天板22とを同時に開口することが可能になる(図示せず)。すなわち、施蓋した外天板22を開口する際に、解除口12で露出した差込固定片22Aを外天板22の内側に指で折り込み、この状態で差込固定片22Aを指で持ち上げると、破断予定線21Bが破断して内天板21も開口するように設けたものである。尚、外天板22のみを開口する場合は、この破断予定線21Bを破断させる必要はない(図7参照)。
【0031】
解除口12は、差込固定片22A全体が露出するように開口する他、差込固定片22Aの両端部が箱体10内に残った状態で露出するように設けてもよい。図10に示す解除口12は、差込固定片22Aの両端部が残った状態で開口する状態を示している。すなわち、解除口12を開口する除去片13は箱体10の側面に形成されている(同図(イ)参照)。この除去片13を除去すると、解除口12が開口し、この解除口12から差込固定片22Aの中央部分が露出する(同図(ロ)参照)。そして、差込固定片22Aの両端部分が箱体10内に隠れた状態になっている。そのため、差込固定片22Aの隠れた両端部分が箱体10内に係止するので、解除口12を開けた後でも、再び差込固定片22Aを箱体10内に挿入して再利用することができる。
【0032】
図11に示す解除口12は、差込固定片22A全体が露出するように開口するように形成している。すなわち、箱体10の側面に形成されている除去片13(同図(イ)参照)を除去すると、解除口12から差込固定片22A全体が露出して外天板22が簡単に開口するようになっている(同図(ロ)参照)。この場合、極めて容易に外天板22を開くことが可能になる。
【0033】
尚、本発明の構成は図示例に限られるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での設計変更は自由に行えるものである。
【符号の説明】
【0034】
P シート体
10 箱体
11 上部開口縁
12 解除口
13 除去片
20 蓋体
21 内天板
21A 差込用切込線
21Aa 係止突起
21Ab 係合凹部
21B 破断予定線
22 外天板
22A 差込固定片
22Aa 重合部
23 折曲片
24 折曲片
【要約】
【課題】蓋体内に挿入した指先で安全、且つ確実に開口することができる改ざん防止機能付き包装箱を提供する。
【解決手段】内天板21の揺動側端部に差込用切込線21Aを形成する。該差込用切込線21Aに隣接する箱体10側面に除去片13を形成する。外天板22の開口側端部に差込固定片22Aを形成する。差込用切込線21Aから箱体10内部に差込固定片22Aを再開口不能に挿入する。除去片13を除去すると箱体10側面に解除口12が開口するように形成する。該解除口12から差込固定片22Aが露出するように構成する。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11