【文献】
内装接着剤用 簡易くし目コテ 3mm,eTile 楽天市場ショップ,p.1−2,URL,https://item.rakuten.co.jp/etile/kkm-3mm/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ブレード部の両端に位置する2つのリブ部の下端と、前記ブレード部の前記一端との距離が、前記ブレード部の内側に位置するリブ部の下端と、前記ブレード部の前記一端との距離より長い、請求項1〜3のいずれか1項に記載のくし目ごて。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。図面は、実際の寸法とは異なるものであり、また、構成部材間の実際の寸法比を正確に表すものではない。また、本明細書中において、後述するくし目ごての材料としては、例えば、電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板等の金属が用いられる。くし目ごての材料としては、これらの鋼板が好ましいが、特に限定されない。すなわち、くし目ごての材料としては、接着剤等の塗布時に望まれる程度のしなりと強度を有すれば、これらに限定されない。例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)等の樹脂をくし目ごての材料として用いてもよい。
【0010】
図1は、第1の実施形態に係るくし目ごて100の正面図である。
図1に示すように、くし目ごて100は、ブレード部102と、持ち手部3と、接合部4と、を備える。くし目ごて100は、ブレード部102の一端(
図1における下端)から、持ち手部3の一端(
図1における上端)までの長さが約140mmである。
【0011】
ブレード部102は、くし目ごて100の本体部分であり、一端(
図1における下端)がくし目形状であるくし目部5を備える。くし目部5は、ブレード部102の一端と水平に延びる方向(
図1における横方向)において、約165mmの長さを備える。接着剤を塗布する作業において、作業者がこのくし目部5に接着剤を付けて、対象物(下地等)に接着剤を塗布する。あるいは、下地等に接着剤を散布し、くし目ごて100のくし目部5を用いて接着剤を均す。
【0012】
ブレード部102は、ブレード部102の一端と水平に延伸する長孔部6を備える。長孔部6は、
図2に示すように、接着材の容器である缶10の上面に設けられた取手11を差し込む貫通孔である。長孔部6は、ブレード部102の一端と水平に延伸する方向に約92mmの長さを有する。缶10は、例えば一斗缶である。したがって、長孔部6は、取手11が貫通することが可能な幅および長さを有する。長孔部6に缶10の取手11を差し込んで、くし目ごて100を缶10に装着させることで、缶10とくし目ごて100とを共に持ち運ぶことができる。また、くし目ごて100を使用しないときに缶10に装着させておくことで、くし目ごて100の紛失を防ぐことができる。
【0013】
長孔部6は、くし目部5の先端よりも持ち手部3に近い位置に設けられている。例えば、長孔部6の下端は、くし目部5の先端から約76mmの位置にある。このように、長孔部6を、くし目部5の先端よりも持ち手部3に近い位置に設けたことにより、接着剤の塗布作業時に、長孔部6から接着剤が漏れることがなく、接着剤を均一に塗り広げることができる。また、長孔部6の上端は、持ち手部3の端から58mmの位置にある。これにより、持ち手部3を持って接着剤の塗布を行う際、長孔部6の位置が邪魔にならない。
【0014】
また、
図1に示すように、ブレード部102は、長孔部6が延伸する方向と交差する方向に延伸する4つのリブ部121〜124を備える。なお、第1の実施形態において、リブ部121〜124は、それぞれ、ブレード部102の一端と水平の方向に、略等間隔(約33mm)の位置に備えられる。また、リブ部121〜124の下端は、それぞれくし目部5の先端から約67mmの位置にある。またリブ部121〜124は全て同じ形状であり、延伸する方向の長さは約40mm、幅(リブが延伸する方向と垂直となる方向の長さ)は、約12mmである。両側のリブ部121、124は、長孔部6と交わらない。すなわち、リブ部121、124は、長孔部6よりも外側に位置する。一方、内側に存在する2つのリブ部122、123は、長孔部6により上下に分断された形状となる。また、リブ部121〜124は、
図1における正面図において、手前側に凸状となるように形成されたリブである。このようにリブ部121〜124を設けることにより、長孔部6を備えるくし目ごて100において、ブレード部102の強度を向上させることができる。なお、リブ部121〜124が、ブレード部102の一端と水平の方向に略等間隔(約33mm)に位置する例を示したがリブ部の間隔はこれに限定されず、等間隔ではない構成とすることも可能である。また、リブ部の下端が全てくし目部5の先端から約67mmの位置にある例を示したが、リブ部の位置はこれに限定されず、くし目部5の先端からの位置が異なる構成とすることも可能である。
【0015】
くし目部5は、
図1に示すように、ブレード部102の一端において、均一にくし目形状が形成されている。適切な形状、寸法でくし目を形成することにより、適切な接着剤の塗布が可能となる。例えば、このくし目の間隔が広すぎると、必要な接着剤塗布量が確保されずに、接着の強度不足等の問題が発生する。また、くし目の間隔が狭い、またはくし目の高さが高すぎる場合には、塗布量過多になり、余分な接着剤が消費されることになる。
【0016】
図3は、
図1の一点鎖線A−Aにおけるくし目ごて100の断面図である。
図3において向かって左側がくし目ごて100の正面側となる。
図3に示すように、持ち手部3は、ブレード部102から延びる一枚の金属を折り返して接合部4で接合することで構成される。このように構成することで、持ち手部3と、ブレード部102とが分離するのを防ぐことができる。また、持ち手部3は、金属が折り返されている部分が、緩やかな曲線形状となっている。持ち手部3をこのような形状することで、作業者が持ち手部3を持った際に、持ちやすい形状となり、作業効率が上がる。また、一般的に、ブレード部102と、持ち手部3が接合される部分は、こての使用時に負荷が掛かるため、金属疲労等により破損する虞がある。第1の実施形態で示すように、接合部4では、金属板が2枚の構造になるため、接合部4の強度が高まる。接合部4の2枚の金属板は、例えば複数箇所を溶接することにより互いに結合される。接合部4における溶接箇所の数は任意である。なお、溶接箇所の図示は省略している。
【0017】
また、リブ部121〜124は
図3に示すように、所定の厚みを有する。第1の実施形態においては、リブ部121〜124は、正面方向に向かって凸構造である。ここで発明者らは、
図4に示すようにリブ部121〜124の厚みを複数段階に異ならせた実施例を作成し、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の試験を行った。「しなり具合」は、接着時塗布時に塗布床面の凸凹にくし目部5が追従する適度なしなり性の有無を示す。「先端そり」は、くし目ごて100のブレード部102の歪の有無に関する。「強度」は、接着剤塗布時にくし目ごて100が変形しすぎない強度であるか否かを示す。「塗布作業性」は、塗布床面に接着剤を均一に塗布できる作業性、すなわち接着剤塗布道具としての機能性を示す。試験結果は、◎、〇、△、×の順で、とても良い、良い、許容範囲、良くない、との判定レベルで表す。
図4に示すように、リブの厚みを1mm、2mm、3mmとした実施例1−1、1−2、1−3の全てにおいて、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全ての項目について、許容範囲以上の評価を得た。また、実施例1−1、1−2、1−3の全てにおいて、「先端そり」に関して「とても良い」との評価が得られた。また、リブ部121〜124の厚みが2mmである実施例1−2の場合に、「しなり具合」と「先端そり」の両方に関して「とても良い」との評価が得られた。
【0018】
図5は、第1の実施形態に係るくし目ごて100を含む接着剤塗布セット1の斜視図である。接着剤塗布セット1は、くし目ごて100を
図2に示すように缶10に装着し、さらに容器カバー20を被せて構成される。このように接着剤塗布セット1を構成することで、複数の接着剤塗布セット1を上下に重ねることが可能となる。また、容器カバー20を用いることで、例えば接着剤塗布セット1を移動させる際、缶10に装着したくし目ごて100が缶10から離れて、紛失してしまうのを防ぐことができる。さらに、接着剤の塗布後においては、容器カバー20を用いることで、くし目ごて100に付着した接着剤に触れることなく、接着剤塗布セット1を移動させることができる。
【0019】
図6は、容器カバー20の内側の斜視図である。容器カバー20は、例えば段ボール紙等を折り曲げて作成される。容器カバー20の孔21は、
図5に示す缶10の上面に設けられた取手11を差し込む貫通孔である。容器カバー20を缶10に装着した際、作業者は、この孔から、缶10の取手11を出し、取手11をもって缶10を運ぶ。また、
図6に示すように、容器カバー20の内側には、対向する一対または2対の辺に挟み込み部22を備える。挟み込み部22は、容器カバー20の側面から内側へ折り込むように形成されており、かつ、容器カバー20の側面内部に対して角度を有する。これにより、容器カバー20を缶10に被せた際に、挟み込み部22の端部が、缶10の上面の縁部下側に当接し、容器カバー20が缶10から容易に外れてしまうのを防ぐことができる。なお、容器カバー20の材質は段ボール紙に限定されず、例えばプラスチック等の材料を用いて構成してもよい。
【0020】
従来より、接着剤容器およびくし目ごてを運ぶ際、接着剤容器の上面にくし目ごてを載せ、その上から段ボールカバー等の容器カバーを装着した状態で、PPバンドを巻いて接着剤容器、くし目ごて、および容器カバーが外れないように固定する方法が一般的に用いられている。しかしこの方法の場合、接着剤容器の移動に伴いPPバンドが破断し、製品(接着剤容器、くし目ごて、および容器カバー)が落下する虞がある。また、PPバンドを用いることで、容器カバーを接着剤容器から外した後は、PPバンドのプラスチック廃棄物が発生することになる。これに対し、上述の第1の実施形態に係る接着剤塗布セットは、PPバンドを用いずに接着剤容器、くし目ごて、および容器カバーを装着することが可能である。よって、第1の実施形態に係る接着剤塗布セットによれば、PPバンド破断による製品落下を防ぎ、作業の安全性を確保することができる。また、PPバンドを用いないことで、プラスチック廃棄物の削減の効果が期待できる。
【0021】
また、接着剤容器にくし目ごてを装着する方法として、例えば粘着テープを用いて、接着剤容器の底面にくし目ごてを装着する方法が知られている。しかしこの方法を用いて接着剤容器にくし目ごてを装着した場合、くし目ごてに粘着テープの残り成分が付着してしまうという問題がある。また、接着剤容器の底面にくし目ごてを装着させることで、接着剤容器を床に置いたときに、底面に装着したくし目ごてにより、接着剤容器が傾く虞がある。これにより、接着剤容器の底面の座りの悪さ等の荷姿の問題が発生する。これに対し、上述の第1の実施形態に係るくし目ごては、くし目ごてに備える長孔に、接着剤容器の取手を差し込んで装着する。これにより、くし目ごてを接着剤容器の底面に装着した場合に生じる上述の問題の発生を防ぐことができる。
【0022】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、リブ部が4つである構成を例示したが、リブ部を6つとする構成としてもよい。以下、この発明の第2の実施形態として、リブ部を6つ有するくし目ごて200の構成について説明する。なお、以下の説明においては、第1の実施形態と異なる部分について説明する。
【0023】
図7は、第2の実施形態に係るくし目ごて200の正面図である。くし目ごて200は、リブ部221〜226を有する。両側のリブ部221および226は、長孔部6と交わらない。一方、内側に存在する4つのリブ部222〜225は、長孔部6により上下に分断された形状となる。
【0024】
また、
図7における正面図において、リブ部221〜226は正面に向かって凸状に形成されたリブである。このようにリブ部221〜226を設けることにより、長孔部6を備えるくし目ごて200において、ブレード部202の強度を向上させることができる。
【0025】
図8に、リブ部221〜226の厚みを複数段階に異ならせた複数の実施例について、上述の第1の実施形態と同様に「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の試験を行った結果を示す。
図8に示すように、リブ部の厚みを1mm、2mm、3mmとした実施例2−1、2−2、2−3の全てにおいて、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全ての項目について、許容範囲以上の評価が得られた。また、実施例2−1、2−2、2−3の全てにおいて、「強度」に関して「とても良い」という評価が得られた。これは、第1の実施形態と比較して、リブ部の数が4つから6つに増えたことに伴うものである。
【0026】
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態として、リブ部を5つ有するくし目ごて300の構成について説明する。なお、以下の説明においては、第1および第2の実施形態とは異なる構成について説明する。
【0027】
図9は、第3の実施形態に係るくし目ごて300の正面図である。くし目ごて300は、リブ部321〜325を有する。両側のリブ部321および325は、長孔部6と交わらない。一方、内側に存在する3つのリブ部322〜324は、長孔部6により上下に分断された形状となる。また、リブ部321とリブ部322、およびリブ部324とリブ部325の間隔は約31mmである。また、リブ部323と、リブ部322およびリブ部324との距離は、約26mmである。すなわち、外側に位置するリブ部の間隔の方が内側のリブ部の間隔より広い構成となる。ただし、このリブ部の間隔は、上述の長さに限定されず、略等間隔とすることも可能である。
【0028】
また、
図9における正面図において、リブ部321〜325は正面に向かって凸状に形成されたリブである。このようにリブ部321〜325を設けることにより、長孔部6を備えるくし目ごて300において、ブレード部302の強度を向上させることができる。
【0029】
図10に、リブ部321〜325の厚みを複数段階に異ならせた複数の実施例について、上述の実施形態と同様に「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の試験を行った結果を示す。
図10に示すように、リブ部の厚みを1mm、2mm、3mmとした実施例3−1、3−2、3−3の全てにおいて、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全ての項目について、許容範囲以上の評価を得た。リブの厚みが2mmの実施例3−2の場合において、「しなり具合」が他の実施例3−1、および3−3より良いという評価が得られた。
【0030】
[第4の実施形態]
第1〜第3の実施形態では、リブ部が、全て正面方向に向かって凸状に形成される構成を例示したが、リブ部の一部を凹状に形成する構成としてもよい。以下、この発明の第4の実施形態として、リブ部の一部が凹状に形成されたくし目ごて400について、第1〜第3の実施形態とは異なる構成について説明する。
【0031】
図11は、第4の実施形態に係るくし目ごて400の正面図である。くし目ごて400は、上述の第3の実施形態と同様にリブ部421〜425の5つを有する。両側のリブ部421および425は、長孔部6と交わらない。一方、内側に存在する3つのリブ部422〜424は、長孔部6により上下に分断された形状となる。また、リブ部421とリブ部422、およびリブ部424とリブ部425の間隔は約31mmである。また、リブ部423と、リブ部422およびリブ部424との距離は、約26mmである。すなわち、外側に位置するリブ部の間隔の方が内側のリブ部の間隔より広い構成となる。ただし、このリブ部の間隔は、上述の長さに限定されず、略等間隔とすることも可能である。
【0032】
また、第4の実施形態においては、リブ部421、423および425が正面に向かって凸状に形成されており、リブ部422および424は凹状に形成される。すなわち、リブ部421からリブ部425に向かって、凸、凹、凸、凹および凸の順序で交互に凸と凹が繰り返される形状となる。
【0033】
図12に、リブ部421〜425の厚みを複数段階に異ならせた複数の実施例について、上述の実施形態と同様に「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の試験を行った結果を示す。
図12に示すように、リブの厚みを1mm、2mm、3mmとした実施例4−1、4−2の両方において、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全ての項目について、許容範囲以上の評価を得た。いずれの実施例においても、「しなり具合」および「先端そり」の項目については、「とても良い」という評価が得られた。実施例4−1、4−2は、リブ部の一部が凹状に形成されている点においてのみ、第3の実施形態における実施例3−2、3−3と異なる。実施例4−1、4−2は、特に「しなり具合」、「先端そり」、および「塗布作業性」において、実施例3−2、3−3よりも良い評価が得られている。
【0034】
なお、リブ部422および424が凹状に形成されたことにより、以下の利点もある。第3の実施形態においては、リブ部322および324は凸状である。ここで、第3の実施形態のくし目ごて300を、
図2に示すような態様で缶10に装着した場合、缶10の取手11がリブ部322および324の凸部と干渉し、取手11が缶10の上面から少し浮く形となってしまう。一方で、第4の実施形態におけるリブ部422および424は、凹状に形成されているため、くし目ごて400を缶10に装着した場合に、缶10の取手11がリブ部422および424と干渉しない。よって、くし目ごて400を缶10に装着した場合に、取手11が上側に浮くことを防ぐことができる。
【0035】
[第5の実施形態]
第1〜第4の実施形態では、全てのリブ部が、同じ長さを有し、くし目部5から一定の長さ(約67mm)の位置に設けられた構成を例示したが、両側のリブ部を他のリブ部よりもくし目部5から離れた位置に設けた構成としてもよい。以下、この発明の第5の実施形態としてくし目ごて500の構成について説明する。
【0036】
図13は、第5の実施形態に係るくし目ごて500の正面図である。くし目ごて500は、リブ部521〜525の5つを有する。また、両側のリブ部521および525は、長孔部6と交わらない。一方、内側に存在する3つのリブ部522〜524は、長孔部6により上下に分断された形状となる。また、リブ部521とリブ部522、およびリブ部524とリブ部525の間隔は約31mmである。また、リブ部523と、リブ部522およびリブ部524との距離は、約26mmである。すなわち、外側に位置するリブ部の間隔の方が内側のリブ部の間隔より広い構成となる。ただし、このリブ部の間隔は、上述の長さに限定されず、略等間隔とすることも可能である。
【0037】
また、第5の実施形態においては、第4の実施形態と同様に、リブ部521〜525に凸状のリブ部と凹状のリブ部とが混在している。
図14を参照して後に説明するが、リブ部521〜525が凸、凹、凸、凹および凸の順に形成された構成を実施例5−1、5−2とし、リブ部521〜525が凹、凸、凹、凸および凹の順に形成された構成を実施例5−3、5−4とする。なお、実施例5−1および5−3と、実施例5−2および5−4とは、リブの厚みが異なる。
【0038】
ここで、第5の実施形態においては、第4の実施形態と比べて、両側のリブ部521および525が、くし目部5からより離れた位置に存在している。例えば、第4の実施形態において、両側のリブ部421および425の下端と、ブレード部402の下端との長さが約67mmであるのに対し、第5の実施形態における両側のリブ部521および525の対応する長さが約71mmとなる。
【0039】
図14に、実施例5−1〜5−4について、上述の実施形態と同様に「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の試験を行った結果を示す。
図14において、実施例5−1〜5−4の全てにおいて、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全ての項目について、許容範囲以上の評価を得た。リブ部の厚みを3mmとした実施例5−2で、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全てにおいて「とても良い」という評価が得られた。
【0040】
また、実施例5−2は、第4の実施形態において説明したように、リブ部522および524が凹状に形成されたことにより、缶10の取手11にリブ部が干渉せず、取手11が缶10の上面から浮くことがない、という利点もある。
【0041】
[第6の実施形態]
第1〜第5の実施形態では、リブ部の長さが全て同じである構成について例示したが、一部のリブ部を他のリブ部より短いものとする構成としてもよい。以下、この発明の第6の実施形態として、一部のリブ部の長さを他のリブ部よりも短くしたくし目ごて600の構成について説明する。以下の説明においては、第1〜第5の実施形態とは異なる構成について説明する。
【0042】
図15は、第6の実施形態に係るくし目ごて600の正面図である。くし目ごて600は、リブ部621〜625の5つを有する。リブ部621〜625は、凸、凹、凸、凹および凸の順に交互に凹凸形状に形成されている。また、両側のリブ部621および625は、長孔部6と交わらず、上述の第5の実施形態と同様に上に少しずれている。リブ部623は、長孔部6により上下に分断された形状となる。さらに、第6の実施形態においては、リブ部622および624が、長孔部6の下側のみに存在する点で、上述の第5の実施形態とは異なる。
【0043】
図16は、くし目ごて600の背面図である。また、
図17には、くし目ごて600の上面図、
図18は、くし目ごて600の底面図を示す。
図19は、くし目ごて600の右側面図である。
図19に示すように、凸形状のリブ部625は、凸形状のリブ部623より、上位側に位置する。また、凹形状のリブ部624は、くし目部5側の下側のみ凹形状で存在する。
図20は、くし目ごて600の斜視図である。
【0044】
図21に、リブ部621〜625の厚みを3mmとした実施例6について、上述の実施形態と同様に「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の試験を行った結果を示す。すなわち実施例6は、リブ部622および624が長孔部6の下側のみに存在する点において、第5の実施形態に係る実施例5−2と異なる。
図21において、実施例6については、「しなり具合」、「先端そり」、「強度」、および「塗布作業性」の全てにおいて「とても良い」という評価が得られた。
【0045】
また、くし目ごて600は、第4の実施形態において説明したように、リブ部622および624が缶10の取手11に干渉しないので、取手11が缶10の上面から浮くことがない、という利点もある。
【0046】
[他の実施形態]
以上、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0047】
例えば、上述の各実施形態においては、複数のリブ部が互いに平行かつ長孔部6の延伸方向に直交する方向に設けられた例を示した。しかし、複数のリブ部の一部または全てが、長孔部6の延伸方向に対して斜めに交差するよう設けられた構成としてもよい。また、リブ部の数や、凹状のリブ部および凸状のリブ部の割合および配置順序は、上述で説明した具体例に限定されない。
【0048】
また、
図22〜
図25に示すように、リブ部を3つ備えた構成も、本発明の実施形態に含まれる。なお、
図22〜
図25において、前述した他の実施形態で説明した構成については、同じ参照番号が付与されている。
【0049】
なお、本発明は、以下のように説明することもできる。
【0050】
本発明の第1の構成に係るくし目ごては、接着剤を塗布するために用いるくし目ごてであって、一端にくし目形状を有するブレード部と、ブレード部の他端側に位置し、作業者が把持するための持ち手部と、を備え、ブレード部は、接着剤が格納される容器の上面に設けられた取手を差し込むための孔であってブレード部の一端と水平に延伸する長孔部と、長孔部の延伸方向と交差する方向に延在する複数のリブ部と、を有する。
【0051】
この第1の構成では、長孔部の延伸方向と交差する方向に延在する複数のリブ部を備えることで、ブレード部のしなり具合や先端そり具合を適切に保ちつつ、強度や塗布作業性を有するくし目ごてを実現できる。
【0052】
本発明の第2の構成に係るくし目ごては、第1の構成のくし目ごてにおいて、ブレード部の両端に位置する2つのリブ部は、長孔部と交わらない構成となっている。
【0053】
この第2の構成によれば、長孔部と交わらないリブ部をブレード部の両端に設けることで、ブレード部の強度を高めることができる。
【0054】
本発明の第3の構成に係るくし目ごては、第1または第2の構成のくし目ごてにおいて、複数のリブ部が、凸形状のリブ部と、凹形状のリブ部と、を含む構成となっている。
【0055】
この第3の構成によれば、複数のリブ部が凸形状のリブ部と、凹形状のリブ部と、を含むことにより、くし目ごてのしなり具合および先端のそり具合を適切なものにすることが可能となる。
【0056】
本発明の第4の構成に係るくし目ごては、第3の構成のくし目ごてにおいて、複数のリブ部は、凸形状のリブ部と、凹形状のリブ部と、が長孔部の延伸方向において交互に位置する構成となっている。
【0057】
この第4の構成によれば、複数のリブ部において、凸形状のリブ部と、凹形状のリブ部と、が長孔部の延伸方向において交互に位置する構成とすることで、より適切なしなり具合および先端そり具合を有するくし目ごてが実現できる。
【0058】
本発明の第5の構成に係るくし目ごては、第1〜第4の構成のくし目ごてにおいて、ブレード部の両端に位置する2つのリブ部の下端と、ブレード部の一端との距離が、ブレード部の内側に位置するリブ部の下端と、ブレード部の一端との距離より長い、構成となっている。
【0059】
この第5の構成によれば、ブレード部の両端に位置する2つのリブ部を他のリブ部より、ブレード部の一端からの距離を長くすることで、ブレード部の強度を高めることが可能となる。
【0060】
本発明の第6の構成に係るくし目ごては、第3または第4の構成のくし目ごてにおいて、複数のリブ部のうち、凹形状のリブ部は、長孔部と交わらない構成となっている。
【0061】
この第6の構成によれば、複数のリブ部のうち、凹形状のリブ部は、長孔部と交わらない構成とすることで、しなり具合、先端そり具合、強度、および塗布作業性において、良好なブレード部を有するくし目ごてが実現できる。
【0062】
本発明の第7の構成に係る接着剤塗布セットは、接着剤が格納される容器と、第1〜6のいずれかの構成に記載のくし目ごてとを備え、くし目ごての長孔部に容器の上面に設けられた取手を差し込むことにより、容器の上面にくし目ごてを装着可能とする。
【0063】
この第7の構成によれば、くし目ごての長孔部に容器の上面に設けられた取手を差し込むことによって、容器にくし目ごてを装着させることができる。これにより、容器を移動させる際、くし目ごてが容器から外れて紛失するのを防ぐことができる。
【0064】
本発明の第8の構成に係る接着剤塗布セットは、第7の構成の接着剤塗布セットにおいて、容器の上部を覆う容器カバーをさらに備え、容器カバーは、対向する一対または2対の辺の側面から内側に折り込まれ、容器の上面の端部に係合する挟み込み部を備える。
【0065】
この第8の構成によれば、容器カバーが、対向する一対の側面から内側に折り込まれ、容器の上面の端部に係合する挟み込み部を備えることで、容器から外れにくい容器カバーを実現できる。さらに、接着剤塗布後には、容器カバーで容器上部を覆うことで、くし目ごてに付着した接着剤を外部に晒すことなく、容器を移動させることが可能となる。
【解決手段】一端にくし目形状を有するブレード部と、ブレード部の他端側に位置し、作業者が把持するための持ち手部と、を備える接着剤を塗布するために用いるくし目ごてである。ブレード部は、接着剤が格納される容器の上面に設けられた取手を差し込むための孔であってブレード部の一端と水平に延伸する長孔部と、長孔部の延伸方向と交差する方向に延在する複数のリブ部と、を有する。