特許第6775269号(P6775269)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775269
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】衛星搭載放出機構とこれを備えた宇宙機
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/64 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
   B64G1/64 B
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-222890(P2016-222890)
(22)【出願日】2016年11月16日
(65)【公開番号】特開2018-79781(P2018-79781A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】500302552
【氏名又は名称】株式会社IHIエアロスペース
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和弘
【審査官】 森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭64−41500(JP,A)
【文献】 特表2016−528095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の衛星をロケットのフェアリング内に搭載し、宇宙空間において前記衛星を放出する衛星搭載放出機構であって、
前記衛星の搭載位置において前記ロケットの機軸に直交する仮想平面の両側にそれぞれ複数の前記衛星を着脱可能に保持する衛星搭載プレートと、
前記衛星搭載プレートに固定され、前記仮想平面において前記機軸に直交する軸心を有する回転軸と、
前記回転軸を前記軸心を中心に回転駆動する回転駆動装置と、を備える、衛星搭載放出機構。
【請求項2】
前記回転駆動装置は、前記衛星搭載プレート及び前記衛星の回転領域の外側に位置し、前記回転軸の両端を回転可能に支持する1対の支柱と、
前記支柱に固定され、前記回転軸を回転駆動する回転アクチュエータと、を有する、請求項1に記載の衛星搭載放出機構。
【請求項3】
前記衛星搭載プレートの回転を前記搭載位置に解除可能に固定するロック機構を備える、請求項1又は2に記載の衛星搭載放出機構。
【請求項4】
前記衛星搭載プレートは、前記仮想平面の両側に設けられ前記衛星を着脱可能に保持する複数の分離機構を有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の衛星搭載放出機構。
【請求項5】
前記衛星搭載プレートは、法線が互いに外方に傾斜した複数の傾斜面を有し、
前記分離機構は、前記傾斜面に1つずつ設けられ、
前記傾斜面の法線同士のなす角度は、衛星同士のフライアウト角に設定されている、請求項4に記載の衛星搭載放出機構。
【請求項6】
前記回転駆動装置は、前記機軸に対する前記衛星の放出角度を可変調整可能に構成されている、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の衛星搭載放出機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の衛星搭載放出機構と、
前記回転駆動装置を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記衛星の前記搭載位置から放出位置まで、前記衛星搭載プレートを回転させる、衛星搭載放出機構を備えた宇宙機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の衛星をロケットのフェアリング内に搭載し、宇宙空間において各衛星を放出する衛星搭載放出機構とこれを備えた宇宙機に関する。
【背景技術】
【0002】
「衛星コンステレーション」とは、複数の人工衛星(以下、単に「衛星」という)をシステム設計された軌道上に投入し、協調した動作を行わせることを意味する。
例えば、多数の衛星を互いに通信範囲が重ならないよう低軌道または中軌道に投入し、地球表面全体を網羅して動作させ、地球観測や衛星電話、GPSなどに利用することができる。
「衛星コンステレーション」は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
一方、衛星コンステレーションなどのため、複数の衛星をロケットのフェアリング内に搭載し、宇宙空間において衛星を放出する機構(以下、「衛星搭載放出機構」)は、例えば特許文献2,3に開示されている。
【0004】
特許文献2では、複数の衛星と支持プレートとの間に傾斜アダプタが配置される。打ち上げ中、傾斜アダプタは所定の搭載位置に位置する。衛星を分離する場合、傾斜アダプタを分離位置にし、衛星を傾斜または揺動させて隣接する衛星から離すように構成されている。
【0005】
特許文献3では、複数の副衛星を夫々格納する格納空間が、ロケットの機軸を中心として放射状に設けられており、機軸を中心として放射方向へ格納空間から夫々の副衛星を離脱させるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2002−530004号公報
【特許文献2】特表平10−503988号公報
【特許文献3】特開2005−75209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の傾斜アダプタは、単一の支持プレートに複数の傾斜アダプタを設置し、複数の衛星を分離させる際に、傾斜アダプタにより衛星を傾斜(または揺動)させることで、衛星同士の衝突を防止する。
しかし、フェアリング内の包絡域の制約から、単一の支持プレートに搭載できる衛星数は限られており、それ以上を搭載し、衛星同士の衝突を防止して放出することは困難だった。
【0008】
特許文献3の離脱構造は、衛星の格納空間と、格納空間の内側(機軸側)の離脱手段とを設ける必要がある。そのため、格納空間と離脱手段の占有領域が大きくなり、小さい衛星しか搭載できない。また、この離脱構造は、機軸に対する衛星の放出角度が固定され、放出角度の可変調整ができない。
【0009】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち本発明の目的は、複数の支持プレートにそれぞれ複数の衛星を搭載し、衛星同士の衝突を防止して放出することができ、かつ衛星の放出角度を可変調整できる衛星搭載放出機構とこれを備えた宇宙機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、複数の衛星をロケットのフェアリング内に搭載し、宇宙空間において前記衛星を放出する衛星搭載放出機構であって、
前記衛星の搭載位置において前記ロケットの機軸に直交する仮想平面の両側にそれぞれ複数の前記衛星を着脱可能に保持する衛星搭載プレートと、
前記衛星搭載プレートに固定され、前記仮想平面において前記機軸に直交する軸心を有する回転軸と、
前記回転軸を前記軸心を中心に回転駆動する回転駆動装置と、を備える、衛星搭載放出機構が提供される。
【発明の効果】
【0011】
上記本発明の構成によれば、衛星搭載プレートが、仮想平面の両側にそれぞれ複数の衛星を保持するので、従来より多くの衛星をフェアリング内に搭載することができる。
【0012】
また、回転駆動装置により衛星搭載プレートを回転軸の軸心を中心に回転させることができ、この回転により、仮想平面の両側に保持された複数の衛星の放出方向をそれぞれ設定することができる。
【0013】
従って、複数の衛星を衛星同士の衝突を防止して放出することができ、かつ衛星の放出角度を可変調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フェアリングと第1衛星及び第2衛星を示す模式図である。
図2】本発明の第1実施形態の衛星搭載放出機構を備えた宇宙機の側面図である。
図3図2の主要部拡大図である。
図4図3のA−A矢視図である。
図5】本発明の第1実施形態による第1衛星の放出状態を示す模式図である。
図6】本発明の第2実施形態の衛星搭載放出機構を備えた宇宙機の側面図である。
図7図6の主要部拡大図である。
図8図7のA−A矢視図である。
図9】本発明の第2実施形態による第2衛星の放出状態を示す模式図である。
図10】分離機構の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、フェアリング1と第1衛星2a及び第2衛星2bを示す模式図である。
フェアリング1の衛星包絡域1a(以下、「フェアリング内包絡域1a」と呼ぶ)は、ロケットのフェアリング内に衛星等を搭載する領域であり、限られた領域に無駄な空間を極力無くして衛星を搭載すること、又は、より多くの衛星を搭載することが望まれている。
フェアリング内包絡域1aは、例えば、ロケットの機軸Z−Zを中心とする円筒形部分と円錐形部分とからなる。
【0017】
第1衛星2aは、例えば外形が四角柱であり、フェアリング内包絡域1aの機軸直交断面に4機配置できる寸法の超小型衛星である。
第2衛星2bは、例えば外形が四角柱であり、第1衛星2aよりも大きく、フェアリング内包絡域1aの機軸直交断面に2機配置できる寸法の超小型衛星である。
【0018】
以下、区別が必要な場合を除き、第1衛星2a及び第2衛星2bを単に「衛星2」と呼ぶ。
衛星2は、例えばコンステレーション用の衛星であるが、本発明は、これに限定されず、その他の衛星であってもよい。
また、衛星2は、上述した寸法又は形状に限定されず、その他の寸法又は形状であってもよい。
【0019】
図1において、(A)(B)(C)は、従来の搭載例を模式的に示している。
図1(A)は、第1衛星2aより大きい主衛星3をフェアリング1の先端部分に搭載する例である。この場合には、主衛星3の下段に3機程度の第1衛星2aを周方向に放出するように搭載するのが限界であった。
図1(B)は、主衛星3を搭載しない例である。この場合には、フェアリング1の頂部に4機の第1衛星2aを機軸方向に放出するように搭載するのが限界であった。
すなわち、第1衛星2a(フェアリング内包絡域1aの機軸直交断面に4機配置できる寸法の超小型衛星)は、上述のフェアリング内包絡域1aに3〜4機を搭載するのが限界であった。
【0020】
図1(C)は、第2衛星2bを搭載する例である。この場合は、第2衛星2b(フェアリング内包絡域1aの機軸直交断面に2機配置できる寸法の超小型衛星)は、上述のフェアリング内包絡域1aに2機を機軸方向に放出するように搭載するのが限界であった。
【0021】
図2は、本発明の第1実施形態の衛星搭載放出機構10を備えた宇宙機100の側面図である。
この図において、宇宙機100は、衛星搭載放出機構10とロケット結合構造34を備え、ロケット上段32に搭載する。
【0022】
衛星搭載放出機構10は、この例では複数(8機)の第1衛星2aをロケットのフェアリング内に搭載し、宇宙空間において第1衛星2aを放出する機構である。
【0023】
ロケット結合構造34は、この図において、ロケット上段32に取り付けられている。
【0024】
ロケット結合構造34は、ロケット上段32から電力の供給と作動信号を受け、分離機構14や回転駆動装置20(後述する)を制御する制御装置35を内部に搭載する。制御装置35は、衛星2の搭載位置から衛星同士の衝突を回避可能な放出位置まで、衛星搭載プレート12(後述する)を回転させる。
また、ロケット結合構造34は内部に搭載した制御装置35により、機軸Z−Zに対する衛星2の放出角度を可変調整する。
【0025】
この図において、衛星搭載放出機構10は、衛星搭載プレート12、回転軸16、及び回転駆動装置20を備える。
【0026】
図3は、図2の主要部拡大図である。
この図において、衛星搭載プレート12は、衛星2の搭載位置においてロケットの機軸Z−Zに直交する仮想平面11の両側にそれぞれ複数の衛星2を着脱可能に保持する。
「衛星2の搭載位置」とは、ロケットの打ち上げ時において衛星2が搭載される位置を意味する。
【0027】
衛星搭載プレート12は、この図において、仮想平面11の上側と下側に位置する第1支持プレート12Aと第2支持プレート12Bとを有する。
第1支持プレート12Aと第2支持プレート12Bは、仮想平面11に対して対称であるのがよい。
また、衛星搭載プレート12は、仮想平面11の両側に設けられた複数の分離機構14を有する。
【0028】
図4は、図3のA−A矢視図である。
この図において、機軸Z−Zに直交しかつ機軸Z−Zを中心Oとして互いに直交する2軸をX軸とY軸とする。
この図において、第1支持プレート12Aは、X軸とY軸の両方に沿った稜線13aを有し、法線が互いに外方に傾斜した4つの傾斜面13を有する。4つの傾斜面13には、それぞれ1つずつ(計4つ)の分離機構14が設けられている。
分離機構14は、それぞれ衛星2(第1衛星2a)を着脱可能に保持する。分離機構14は、例えば周知のマルマンバンド等の分離機構であり、衛星2を所定の搭載位置に強固に保持し、火工品又はモータの作動により分離を行い、衛星2を放出させるようになっている。
なお、支持プレート12は、軽量化のため分離機構14を搭載できる限りで、小さく設定されている。
【0029】
それぞれの分離機構14は、第1衛星2aの上面(破線で示す)を機軸Z−Zの先端側(図2の上側)に向け、かつそれぞれの放出方向が傾斜面13の法線方向に向くように設定されている。
また4つの傾斜面13の法線同士のなす角度は、衛星同士の好ましいフライアウト角に設定されている。フライアウト角は、例えば5〜10°程度である。
なお、この例において、4機の第1衛星2aの各側面は、X軸又はY軸に平行に位置し、かつ互いに間隔を隔てている。
【0030】
上述した構成により、第1支持プレート12Aに4機の第1衛星2aを搭載することができ、かつ4機の第1衛星2aを、衛星同士の衝突を防止して放出することができる。
【0031】
図3において、第1支持プレート12Aと第2支持プレート12Bは、仮想平面11の上側と下側である点を除き、同一の構成を有する。
従って、回転駆動装置20により仮想平面11の上側と下側を反転させることにより、第2支持プレート12Bに4機の第1衛星2aを搭載することができ、かつ4機の第1衛星2aを、衛星同士の衝突を防止して放出することができる。
【0032】
図10は、分離機構14の一例を示す説明図である。
この図において、(A)は図3の分離機構14の拡大図、(B)は(A)のB−B断面図、(C)は(B)のC部拡大図、(D)は(C)の作動説明図である。
【0033】
この例において、分離機構14は、傾斜面13に固定された第1連結部4a、衛星2に固定された第2連結部4b、複数のコマ5a、及びバンド5bを有する。
【0034】
図10(C)において、第1連結部4aと第2連結部4bは、リング状でありその半径方向外方にテーパ面を有する。複数のコマ5aは、その内方に第1連結部4aと第2連結部4bのテーパ面を軸方向に挟むテーパ面を有する。複数のコマ5aは、分離機構14の中心軸を中心に複数配置される。
バンド5bは、薄い板状であり、複数のコマ5aの外周面を囲み、所定の張力で複数のコマ5aを半径方向内方に付勢し、第1連結部4aと第2連結部4bを強固に固定する。
この構成により、衛星2を所定の搭載位置に強固に保持することができる。
【0035】
バンド5bは、その周方向の端部で例えばピン(図示せず)で連結されており、火工品又はモータにより、ピンを引き抜くことにより、図10(D)に示すように、バンド5bの連結部が外れ、バンド5bは外方に外れる。
また、図示しないバネにより第1連結部4aに対し第2連結部4bが分離する方向に付勢されており、バンド5bが外れると、複数のコマ5aも一緒に外方に外れ、第2連結部4bが第1連結部4aから分離される。これにより、衛星2が放出される。
【0036】
図3において、回転軸16は、衛星搭載プレート12に固定され、仮想平面11において機軸Z−Zに直交する軸心Yaを有する。
回転駆動装置20は、回転軸16を軸心Yaを中心に回転駆動する。
【0037】
図3図4において、回転駆動装置20は、1対の支柱22と回転アクチュエータ24を有する。
【0038】
1対の支柱22は、衛星搭載プレート12及び衛星2の回転領域Cの外側に位置する。
回転領域Cは、衛星搭載プレート12が、軸心Yaを中心に回転する際に、衛星搭載プレート12及び衛星2が通過する範囲を意味する。
【0039】
図3において、1対の支柱22は、ロケット結合構造34の上部に固定された支持板15(もしくはロケット結合構造34と一体化されたフランジ)に下端が固定され、衛星搭載プレート12及び衛星2の外側において機軸方向に延びる。
また、支柱22には、回転軸16の両端を回転可能に支持する軸受23(図4参照)が固定されている。
【0040】
図3において、回転アクチュエータ24は、支柱22に固定され、回転軸16を回転駆動する。
回転アクチュエータ24は、数値制御可能なステッピングモータと減速機を有することが好ましい。
【0041】
図3において、衛星搭載放出機構10は、さらに、衛星搭載プレート12の回転を搭載位置に解除可能に固定するロック機構26を備える。
ロック機構26は、この例では支柱22に固定され衛星搭載プレート12に挿入したピンを引き抜くピン引抜き装置(「ピンプーラ」と呼ばれる)である。
なお、ロック機構26は、ロケットの打ち上げ時に衛星2を搭載位置に保持し、必要時に火工品又はモータで開放可能である限りで、ピンプーラ以外であってもよい。
【0042】
図5は、本発明の第1実施形態による第1衛星2aの放出状態を示す模式図である。
本発明の第1実施形態によれば、衛星搭載プレート12が、仮想平面11の両側にそれぞれ4機の第1衛星2aを保持するので、従来より多い8機の第1衛星2aをフェアリング内に搭載することができる。
【0043】
また、図5に示すように、回転駆動装置20により衛星搭載プレート12を回転軸16の軸心Yaを中心に回転させることができ、この回転により、仮想平面11の両側に保持された8機の第1衛星2aの放出方向をそれぞれ設定することができる。
すなわち回転駆動装置20は、ロケット結合構造34に搭載した制御装置35により、機軸Z−Zに対する第1衛星2aの放出角度を可変調整可能に構成されている。
【0044】
従って、8機の第1衛星2aを衛星同士の衝突を防止して放出することができ、かつ8機の第1衛星2aの放出角度を可変調整できる。
【0045】
図6は、本発明の第2実施形態の衛星搭載放出機構10を備えた宇宙機100の側面図である。
この例において、衛星搭載放出機構10は、複数(4機)の第2衛星2bをロケットのフェアリング内に搭載し、宇宙空間において第2衛星2bを放出する機構である。
以下、第1実施形態との相違点を説明する。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0046】
図7は、図6の主要部拡大図であり、図8は、図7のA−A矢視図である。
【0047】
図8において、第1支持プレート12Aは、Y軸に沿った稜線13aを有し、法線が互いに外方に傾斜した2つの傾斜面13を有する。2つの傾斜面13には、それぞれ1つずつ(計2つ)の分離機構14が設けられている。
なお、支持プレート12は、軽量化のため分離機構14を搭載できる限りで、小さく設定されている。
【0048】
それぞれの分離機構14は、第2衛星2bの上面(破線で示す)を機軸Z−Zの先端側(図7の上側)に向け、かつそれぞれの放出方向が傾斜面13の法線方向に向くように設定されている。
また2つの傾斜面13の法線同士のなす角度は、衛星同士の好ましいフライアウト角(例えば5〜10°程度)に設定されている。
なお、この例において、2機の第2衛星2bの隣接する側面は、Y軸に平行に位置し、かつ互いに間隔を隔てている。
【0049】
上述した構成により、第1支持プレート12Aに2機の第2衛星2bを搭載することができ、かつ2機の第2衛星2bを、衛星同士の衝突を防止して放出することができる。
図7において、第1支持プレート12Aと第2支持プレート12Bは、仮想平面11の上側と下側である点を除き、同一の構成を有する。
【0050】
図9は、本発明の第2実施形態による第2衛星2bの放出状態を示す模式図である。
本発明の第2実施形態によれば、衛星搭載プレート12が、仮想平面11の両側にそれぞれ2機の第2衛星2bを保持するので、従来より多い4機の第2衛星2bをフェアリング内に搭載することができる。
【0051】
また、図9に示すように、回転駆動装置20により衛星搭載プレート12を回転軸16の軸心Yaを中心に回転させることができ、この回転により、仮想平面11の両側に保持された第2衛星2bの放出方向をそれぞれ設定することができる。
すなわち回転駆動装置20は、ロケット結合構造34に搭載した制御装置35により、機軸Z−Zに対する第2衛星2bの放出角度を可変調整可能に構成されている。
【0052】
従って、第2衛星2bを衛星同士の衝突を防止して放出することができ、かつ第2衛星2bの放出角度を可変調整できる。
【0053】
また、本発明の実施形態によれば、回転アクチュエータ24を数値制御可能なステッピングモータで構成し、回転軸16をステッピングモータで回転させることで衛星2の放出方向を決定し、個々の衛星2を放出したい方向に順次分離することができる。
また、ロケットの打ち上げ時には、ロック機構26(例えばピンプーラ)によりロンチロック(回転固定)しておき、衛星2の分離放出時に解除することで、衛星搭載放出機構10の誤動作を防止できる。
【0054】
なお本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
C 回転領域、Ya 軸心、Z−Z 機軸、1 フェアリング、
1a フェアリング内包絡域、2 衛星、2a 第1衛星、2b 第2衛星、
3 主衛星、4a 第1連結部、4b 第2連結部、5a コマ、5b バンド、
10 衛星搭載放出機構、11 仮想平面、12 衛星搭載プレート、
12A 第1支持プレート、12B 第2支持プレート、13 傾斜面、
13a 稜線、14 分離機構、15 支持板(フランジ)、16 回転軸、
20 回転駆動装置、22 支柱、23 軸受、24 回転アクチュエータ、
26 ロック機構、32 ロケット上段、34 ロケット結合構造、
35 制御装置、100 宇宙機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10