(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態に係るちぎり和紙調ラベルは、ラベルシートと、粘着剤とを具備する。ラベルシートは、第1表面およびその反対側の第2表面を有し、主要部とその周縁部とを有する。ラベルシートは、繊維を含み、周縁部は、繊維が毛羽立っている毛羽立ち部を有する。粘着剤は、ラベルシートの第1表面側の周縁部以外、すなわち主要部に付着している。よって、周縁部が具備する毛羽立ち部には、粘着剤が付着していない。
【0013】
ここで、粘着剤は、主要部の第1表面側の全体に付着している必要はなく、主要部の第1表面側に部分的に付着していてもよい。粘着剤は、瓶などの被着体にちぎり和紙調ラベルを十分な強度で貼り付けることができる程度に、主要部の第1表面側に付着していればよい。
【0014】
主要部とは、第1表面側に粘着剤を有し、第2表面側に印刷などの意匠が施される意匠領域を有する部分であり、ラベルシートの大部分を成している。ラベルシートの形状は、主要部の形状にほぼ対応している。
【0015】
周縁部とは、粘着剤が付着していない、主要部の周囲に沿って設けられる縁状領域である。毛羽立ち部は、周縁部の全体もしくは大部分に形成されていることが好ましい。なお、意匠の形態に応じて、主要部の周囲の一部に沿う縁状領域だけに、毛羽立ち部を有する周縁部を形成してもよい。
【0016】
毛羽立ち部は、手作り感、高級感、希少価値などを演出する部位であるため、できるだけ毛羽の自然な風合いを出すことが望まれる。この点、毛羽立ち部を形成する繊維に粘着剤が付着していない場合、毛羽立ち部は自然な風合いを出すことができる。そして、ちぎり和紙調ラベルが被着体に貼り付けられたときにも、毛羽立ち部を形成する繊維が被着体に貼り付かないため、自然な風合いを維持することができる。
【0017】
一方、従来のように、毛羽立ち部を形成する繊維に粘着剤が付着している場合、複数の繊維が付着し合って毛羽立ち部の嵩が小さくなったり、繊維が被着体に貼り付いたりして、自然な風合いを出しにくくなる。
【0018】
粘着剤を有さない周縁部は、毛羽立ち部のみから構成されてもよく、毛羽立ち部の根元領域を含んでもよい。毛羽立ち部の根元領域にも粘着剤が付着していないことにより、毛羽立ちの自然な風合いが更に向上するとともに、毛羽立った繊維に偶発的に粘着剤が付着することが抑制される。
【0019】
ラベルシートの第1表面側において、主要部と周縁部との境界には、周縁部が薄くなる段差が設けられていることが好ましい。このような段差が存在することで、毛羽立った繊維に偶発的に粘着剤が付着することが更に抑制される。
【0020】
本発明の別の実施形態に係るちぎり和紙調ラベルは、更に、粘着剤を介してラベルシートに貼付された剥離シートを具備する。ラベルシートの周縁部と剥離シートとの間には、粘着剤が介在しないため、空隙が形成されている。これにより、ちぎり和紙調ラベルを使用する際にも、使用が容易になるという利点が生じる。
【0021】
すなわち、ちぎり和紙調ラベルを使用するには、ちぎり和紙調ラベルを剥離シートから剥がす必要がある。工場などでは、機械を使用して連続的に長尺の剥離シートから複数のちぎり和紙調ラベルが剥がされる。このとき、ラベルシートの周縁部と剥離シートとの間に空隙が存在することで、空隙が起点となってちぎり和紙調ラベルが剥離シートから剥がれやすくなる。よって、ちぎり和紙調ラベルが剥離シートから剥がれずに剥離シートを回収する機械に巻き込まれる、といった不具合を生じにくくなる。
【0022】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るちぎり和紙調ラベル9aの平面図であり、長尺の剥離シート4aに複数のちぎり和紙調ラベル9aが貼り付けられている様子を示している。
図2は、ちぎり和紙調ラベル9aの周縁部の拡大断面図であり、
図1のA−A線矢視断面図に相当する。ただし、
図2では、剥離シート4aを省略している。
図3〜
図5は、それぞれ別の実施形態に係るちぎり和紙調ラベルの周縁部の拡大断面図であり、
図2に係るちぎり和紙調ラベル9aの変形例である。
【0023】
図1および
図2に示すように、ちぎり和紙調ラベル9aは、意匠領域2aを含む主要部2Mと毛羽立ち部2fを有する周縁部2T(
図2参照)とを有する。意匠領域2a内には、図形、文字等の意匠が、例えば印刷により施されている。毛羽立ち部2fは、例えば手漉き和紙のような外観を有している。
【0024】
図2に示す実施形態では、粘着剤3を有さない周縁部2Tは、毛羽立ち部2fと、毛羽立っていない根元領域2tとで構成されている。一方、
図3に示す実施形態では、粘着剤3を有さない周縁部2Tは、毛羽立ち部2fのみから形成されている。いずれの実施形態においても、毛羽立ち部2fは、ラベルシート2の薄肉領域がちぎられることで形成されている。
【0025】
薄肉領域は、例えば、ラベルシート2の第1表面側の材料を部分的に除去することで形成される。これにより、主要部2Mと周縁部2Tとの境界には、周縁部2Tもしくは毛羽立ち部2fが薄くなるように段差が設けられる。この場合、粘着剤3の外縁は、ほぼ段差に一致する。このような段差を設けることで、粘着剤3と毛羽立ち部2fとの間に一定の距離が設けられるため、毛羽立った繊維に偶発的に粘着剤が付着することが抑制される。また、毛羽立ち部2fと剥離シート4aとの間に空隙が形成されやすくなり、空隙を起点としてちぎり和紙調ラベル9aが剥離シート4aから剥がれやすくなる。よって、ちぎり和紙調ラベル9aを使用する際に、ちぎり和紙調ラベル9aが剥離シート4aから剥がれずに、剥離シート4aを回収する機械に巻き込まれるような不具合が生じにくくなる。
【0026】
ここで、主要部2Mと周縁部2Tとの境界に、上記のような段差を設けることは必須ではない。例えば、
図4および
図5に示す実施形態では、主要部2Mよりも周縁部2T(もしく毛羽立ち部2f)が薄くなるような段差は設けられていない。
図4に示す実施形態では、粘着剤3を有さない周縁部2Tは、毛羽立ち部2fと、毛羽立っていない根元領域2tとで構成されている。一方、
図5では、粘着剤3を有さない周縁部2Tは、毛羽立ち部2fのみから形成されている。
【0027】
図4および
図5に示す実施形態においては、毛羽立ち部2fは、ラベルシート2の粘着剤3を有さない領域(すなわち粘着剤3だけが除去された領域)がちぎられることで形成されている。この場合にも、周縁部2Tと剥離シート4aとの間には、粘着剤3の厚さ分の空隙が形成されるため、ちぎり和紙調ラベル9aは剥離シート4aから十分に剥がれやすくなっている。また、これらの実施形態では、毛羽立ち部2fの厚さを大きくすることができるため、繊維の毛羽立ちの風合いを更に高めることができる。
【0028】
図6は、ちぎり和紙調ラベル9aを剥離シート4aから連続的に剥がす装置の概略構成を示している。このような装置を用いる場合、剥離シート4aは、所定の回収装置によって回収される。本来、ちぎり和紙調ラベル9aは、上ロール30aと下ロール30bのニップを通過したときに、破線で示すように、剥離シート4aから剥がされて水平方向に向かって延出されなければならない。しかし、毛羽立ち部2fを有する周縁部2Tは、主要部2Mのような剛性を有さないため、剥離シート4aの屈曲に追随しやすい。特に、周縁部2Tに粘着剤が付着すると、毛羽立った繊維が剥離シート4aに引っ張られて、そのような追随が生じやすく、ちぎり和紙調ラベル9aが剥離シート4aの回収装置に巻き込まれやすくなる。一方、
図2〜
図5に示す実施形態では、そのような不具合はほとんど発生しなくなる。
【0029】
次に、ちぎり和紙調ラベル9aの製造方法について説明する。
図7は、ちぎり和紙調ラベルの原紙となるラベル基材2Lを具備するラベル用紙1の平面図であり、
図8は、ラベル用紙1の断面図である。ラベル用紙1は、いわゆるタック紙であり、ラベル基材2Lと、ラベル基材2Lの第1表面側に形成された粘着剤3と、粘着剤3を介してラベル基材2Lに貼付された剥離シート4とを具備する。ラベル基材2Lの第1表面の反対側の第2表面は、タック紙の表面である。
【0030】
ラベル基材2Lは、例えば、秤量が64g/m
2、厚みが約150μmであり、粘着剤3の秤量は約14g/m
2である。ただし、これらの数値は一例に過ぎない。
【0031】
ラベル基材2Lは、繊維を含むシート材料もしくは不織布であり、中でも、和紙のように長繊維を含む紙シートを用いることが好ましい。このような紙シートを用いると、ちぎられた破断部位における繊維の毛羽立ちの風合いが良好になる。
【0032】
ラベル基材2Lの第2表面には、連続するラベル用紙1の長手方向(
図1の上下方向)に沿って、複数の意匠領域2aが設けられている。図示例では、互いに隣接する矩形の意匠領域2aの間に、間隔が設けられている。当該間隔は、意匠を形成しない余白部であり、このような余白部はなくてもよい。なお、意匠領域2aの形状は、矩形に限定されるものではない。
【0033】
粘着剤3が付着していない周縁部2Tを形成するには、まず、ラベル用紙1から剥離シート4を剥がし、ラベル基材2Lと粘着剤3との積層体に対し、第1表面側から、少なくとも粘着剤3が除去された溝を形成する。溝は、ラベルシート2の主要部2Mを囲むように、所定のパターンに沿って形成する。
【0034】
溝は、ラベル基材2Lの第1表面側が凹む薄肉領域であることが好ましい。このような溝は、粘着剤3とともにラベル基材2Lの第1表面側の材料を部分的に削り取ることで形成できる。これにより、主要部2Mと周縁部2Tとの境界に、周縁部2Tが薄くなる段差を設けることができる。すなわち、薄肉領域から周縁部2Tが形成される。このとき、主要部2Mの第1表面側に形成されている粘着剤3の外縁は、ほぼ段差と一致する。
【0035】
溝を形成する手段は、特に限定されない。例えば、レーザーまたはブレードを利用するハーフカット装置を用いて、ラベル基材と粘着剤との積層体に、第1表面側から溝を形成すればよい。
【0036】
図9は、レーザー加工装置8を用いて、粘着剤3とともにラベル基材2Lの第1表面側の材料を削って溝を形成する工程を概念的に示している。レーザー加工装置8は、レーザー発振器、レーザー光のビーム径を調整するビームエキスパンダ、反射ミラー、レーザービームを走査するガルバノスキャナ、レーザー発振器の出力とレーザービームの走査速度とを制御する制御部などを備えている。レーザーの種類は、特に限定されないが、例えばCO
2レーザーやYAGレーザーを用いることができる。ただし、レーザー加工装置8は、上記に限られない。
【0037】
巻回ロール24に巻回保持されたラベル用紙1は、その長手方向に沿って分離ロール22aに向かって走行し、分離ロール22aにおいて粘着剤3とともにラベル基材2Lが剥離シート4から剥がされる。剥離シート4が剥がされたラベル基材2Lと粘着剤3との積層体は、レーザー加工装置8によるレーザー光の照射をラベル基材2Lの第1表面側(粘着剤3側)から受け、溝が形成される。一方、剥離シート4は、第1補助ロール22bと第2補助ロール22cの周面を走行した後、結合ロール22dにおいて、溝が形成されたラベル基材2Lに再度貼り付けられる。その後、溝が形成されたラベル基材2Lと粘着剤3と剥離シート4との積層体(ラベル用紙1a)は、巻取りロール25に巻き取られる。
【0038】
レーザーの代わりに、ブレードを利用するハーフカット装置を用いる場合には、例えば、ラベル用紙1から剥離シート4を剥離した後、ラベル基材2Lを反転させ、ブレードによって、ラベル用紙1の長手向および幅方向に沿って溝を形成すればよい。ブレードを有するハーフカット装置は、例えば、円形回転刃やダイカットロールと、プラテンロールとにより構成されている。
【0039】
なお、ラベル用紙1aから剥離シート4を剥離することなく、剥離シート4とともに粘着剤3やラベル基材2Lを切削して、溝の少なくとも一部(例えば
図10に示す縦溝10)を形成してもよい。
【0040】
図10は、溝が形成されたラベル用紙1aの平面図であり、
図7に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
図10に示すように、連続するラベル用紙1aにおいて、矩形の各ラベル領域9を区画するように(すなわち主要部2Mを囲むように)、ラベル用紙1aの長手方向(
図10の上下方向)に沿って直線状の縦溝10が、間隔をあけて平行に形成される。また、長手方向に直交する方向、すなわちラベル用紙1aの幅方向(
図10の左右方向)に沿って直線状の横溝11が、長手方向に沿って一定の間隔をあけて複数形成される。各横溝11の両端は、各縦溝10に連なるように形成される。ラベル基材2Lの第1表面側の材料が削られて各溝10,11が形成されることで、各溝10,11の薄肉領域は、残余の領域に比べて薄く、強度が弱くなっている。
【0041】
ここで、各溝10,11の深さは、ラベル基材2Lの厚みの、例えば0.1倍〜0.7倍程度(好ましくは0.45〜0.55倍)になるように形成される。ただし、溝の深さは、ラベル基材2Lを貫通しない深さであればよい。各溝10,11の深さは、ちぎり和紙調ラベル9aのラベルシート2の周縁部2Tが有する段差の高さに相当する。また、各溝10,11の幅は、好ましくは0.1mm〜2.0mmであり、より好ましくは0.8mm〜1.2mmになるように形成される。
【0042】
各縦溝10と各横溝11とによって区画されたラベル領域9が、意匠領域2aを含む1枚のちぎり和紙調ラベル9a(
図1参照)に対応する。各縦溝11の外方の領域、すなわちラベル用紙1aの幅方向の両端部は、長手方向に沿って延びる余白領域12となっている。この余白領域12は、位置決め用のマーク等を除いて印刷のない余白となっている。
【0043】
次に、溝に沿ってラベル基材2Lをちぎることで、粘着剤3が付着していない毛羽立ち部2fを有する周縁部2Tが形成される。このとき、溝の深さ、溝幅、ラベル基材2Lのちぎり方などを制御することで、
図2〜
図5に示すような周縁部を任意に選択して形成することができる。
【0044】
図11は、ラベル用紙1aから、毛羽立ち部2fを有する周縁部2Tを備えたちぎり和紙調ラベル9aを製造する製造装置の概略構成図である。ラベル用紙1aには、各溝10,11が予め形成されており、巻取りロール25に巻き取られている。
【0045】
本実施形態に係る製造装置は、ラベル用紙1aの幅方向に沿って形成された横溝11の部分に、ラベル用紙1aの強度を弱めるために、浸透液を塗布する浸透液塗布手段5と、ラベル用紙1aを、長手方向に沿って形成された縦溝10に沿って連続的にちぎる長手方向ちぎり手段6と、ラベル用紙1aを、幅方向に沿って形成された横溝11に沿ってちぎる幅方向ちぎり手段7とを備えている。
【0046】
浸透液塗布手段5は、フレキソ印刷方式を利用して、ラベル用紙1aに形成した横溝11に浸透液を塗布する。具体的には、表面にフレキソ版を設けた版胴13に、スポンジロール14を介して図示しない貯留槽の浸透液を供給し、版胴13と圧胴15との間を通過するラベル用紙1aの幅方向に延びる横溝11の部分に、浸透液を転写塗布する。このようにラベル基材2Lの横溝11の部分に、浸透液を塗布することによって、溝(薄肉領域)の強度を他の部分に比べて相対的に低下させることができる。
【0047】
浸透液は、ラベル基材2Lに浸透できるものであればよく、通常の水、あるいは、水に水溶性溶剤を加えたものを使用することができる。水溶性溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール等のグリコール類などが挙げられる。
【0048】
なお、浸透液塗布手段5は、用いなくてもよい。すなわち、ラベル基材2Lの横溝11への浸透液の塗布を省略してもよい。また、ラベル基材2Lの縦溝10にも、浸透液を塗布してもよく、塗布しなくてもよい。
【0049】
長手方向ちぎり手段6は、その上流側のロール27で剥離シート4が剥離されたラベル用紙1a(すなわちラベル基材2Lと粘着剤3との積層体)の幅方向の両端部の余白領域12,12を、ラベル基材2Lの長手方向に沿って延びる各縦溝10,10に沿って連続的にちぎるものである。
【0050】
図12は、長手方向ちぎり手段6の要部の構成を示す概略斜視図である。
図12では、縦溝10や横溝11等の図示を省略している。長手方向ちぎり手段6は、一対の当接部材18,18を備えており、各当接部材18,18は、例えば、金属製であって、矩形板状である。各当接部材18,18は、矢符A方向に走行するラベル基材2Lの幅方向の両側にラベル基材2Lを挟むように配置される。すなわち、ラベル基材2Lは、各当接部材18,18の矩形の平面の間を走行するように配置される。
【0051】
各当接部材18,18は、互いに対向する矩形の平面が、ラベル基材2Lの走行方向の下流側に向かって互い近接するように、傾斜させて配置される。すなわち、各当接部材18,18の矩形の平面の対向間隔は、ラベル基材2Lの走行方向の下流側程、狭くなっている。
【0052】
矢符A方向へ走行するラベル基材2Lは、走行方向の下流側へ向かって対向間隔が狭くなる両当接部材18,18の間を進むにつれて、その幅方向の両端部の余白領域12,12が、両当接部材18,18によって規制され、下方へ徐々に屈曲される。また、屈曲される領域は、ラベル基材2Lの内方に徐々に拡大する。
【0053】
ラベル基材2Lが、各当接部材18,18の、ラベル基材2Lの走行方向の下流側の各端部18a,18aまで進むと、ラベル基材2Lの幅方向の両端部の余白領域12,12は、縦溝10,10付近まで下方へ屈曲し、ついに当接部材18,18の下流側の各端部18a,18aに、ラベル基材2Lの長手方向に沿って延びる縦溝10,10に当接する。
【0054】
ラベル基材2Lの幅方向の両端部の余白領域12,12は、各当接部材18,18の下流側の各端部18a,18aで、それぞれ折返すように、ラベル基材2Lの走行方向とは逆方向へ図示しない巻取りロールにそれぞれ巻き取られる。
【0055】
これにより、矢符A方向へ走行するラベル基材2Lと、逆方向へ引っ張られる余白領域12,12とが、各当接部材18,18の各端部18a,18aに当接する強度の弱い縦溝10,10の部分で引き裂かれ、ラベル基材2Lから余白領域12,12が、縦溝10,10に沿って連続的にちぎられる。
【0056】
各当接部材18の下流側の各端部18a,18aは、やや丸味を帯びて形成されている。これによって、ラベル基材2Lの幅方向の両端部の余白領域12,12を、矢符A方向とは逆方向へ各当接部18a,18aで折返して引っ張る際に、余白領域12,12が、折返し部分で破断することなく、連続的にちぎることができる。
【0057】
上記のように、各当接部材18,18の下流側の各端部18a,18aは、ラベル基材2Lの長手方向に沿って延びる縦溝10,10付近に当接して、ラベル基材2Lから余白領域12,12をちぎるための始点となる。よって、円滑に余白領域12,12をちぎるためには、各端部18a,18aが、ラベル基材2Lに当接する位置が重要である。このため、各当接部材18,18は、その矩形の平面のラベル基材2Lに対する傾斜角度等を調整できるように設置されている。
【0058】
なお、剥離シート4のラベル領域9と余白領域12,12との境界(すなわち縦溝10,10)に対応するように、予め、スリットやミシン目等の切込み線を長手方向に沿って剥離シート4側から形成しておいてもよい。この場合、長手方向ちぎり手段6では、切込み線を有する剥離シート4付きのラベル用紙1aの余白領域12,12を、剥離シート4と一体に、切込み線に沿って連続的にちぎることが可能である。
【0059】
幅方向の両端部の余白領域12,12がそれぞれちぎられたラベル基材2Lは、走行方向に沿う周縁部2Tが、手作業でちぎったように毛羽立った毛羽立ち部を有する。余白領域12,12がちぎられたラベル基材2Lは、
図11に示すように、長手方向ちぎり手段6の下流側のロール28で再び剥離シート4が貼り合されて幅方向ちぎり手段7へ送られる。
【0060】
図13に示すように、幅方向ちぎり手段7は、ラベル用紙1aの走行方向に沿ってそれぞれ配置された第1ロール対20および第2ロール対21を備えている。第1ロール対20は、上ロール20aと下ロール20bとを備えている。第2ロール対21は、上ロール21aと下ロール21bとを備えている。第1ロール対20を通過するときに、ラベル用紙1aから剥離シート4が剥離され、ラベル基材2Lと粘着剤3との積層体が下流側の第2ロール対21へ送られる。
【0061】
第2ロール対21の回転速度、すなわちラベル基材2Lと粘着剤3との積層体の送り速度は、上流側の第1ロール対20の送り速度よりも速くなっている。すなわち、第1ロール対20がラベル基材2Lと粘着剤3との積層体を送り出す速度よりも、下流側の第2ロール対21によって、ラベル基材2Lと粘着剤3との積層体を引っ張る速度の方が速くなっている。よって、第1ロール対20に挟まれたラベル用紙1aと第2ロール対21に挟まれた積層体のとの間で、引張力が生じ、ラベル基材2Lがちぎられることになる。幅方向ちぎり手段7によれば、ラベル用紙1aの走行方向を変更することなく、ラベル基材2Lを長手方向および幅方向にそれぞれちぎることができる。
【0062】
ラベル基材2Lには、その幅方向に沿って、浸透液が塗布された横溝11が形成されているので、強度の弱い横溝11の部分に、引張応力が集中し、ラベル基材2Lと粘着剤3との積層体は、横溝11に沿ってちぎれることになる。本実施形態では、ラベル基材2Lに、幅方向に沿う横溝11が形成され、強度が弱くなっているので、幅方向ちぎり手段7では、横溝11に沿ってラベル基材2Lを確実にちぎることができる。よって、第1ロール対20と第2ロール対21との間の、非着処理された支持板23上の略一定の位置で、ラベル基材2Lを安定してちぎることができる。幅方向ちぎり手段7によって、横溝11に沿ってちぎって得られた矩形のラベル9aには、幅方向の周縁部2Tにも手作業でちぎったような毛羽立ち部が形成される。
【0063】
横溝11を形成していない場合には、浸透液の塗布量や揮発量のばらつきによって、浸透液を塗布した箇所(弱紙力部)の強度にばらつきが生じる。弱紙力部の強度が弱いと早めにちぎれ、強度が強いと遅めにちぎれることになり、ちぎれる位置が、第1ロール対20と第2ロール対21との間において、ばらつく場合がある。ちぎれる位置が第1ロール対20寄りにずれると、ちぎれたラベル基材2Lを、第2ロール対21に送ることができない場合がある。
【0064】
これに対して、本実施形態によれば、ラベル用紙1aに、強度にばらつきのない横溝11を形成しているので、浸透液の塗布量や揮発量にばらつきがあっても、横溝11に沿って安定してちぎることができる。これにより、第1ロール対20と第2ロール対21との間において、ラベル基材2Lのちぎれる位置がばらつくのを抑制することができる。
【0065】
第1ロール対20と第2ロール対21との送り速度は異なるため、
図13に示すように、第2ロール対21では、第1ロール対20で剥離した剥離シート4とは別の剥離シート4aがラベル9に貼付けられ、巻取りロール26に巻き取られる。
【0066】
上記のように、ラベル基材2Lと粘着剤3との積層体に、第1表面側から溝を形成する場合、ラベル基材2Lを溝に沿ってちぎって得られたラベルシート2を第2表面側から観察したときに、第2表面側の毛羽立ちを目立たせることができる。一方、第1表面側の溝(主要部2Mと周縁部2Tとの境界)は目立たなくなる。