(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる成分(A)のオクタノイルリジンは、Nε−オクタノイル−L−リジン、Nα−オクタノイル−L−リジン等が挙げられ、Nε−オクタノイル−L−リジンが好ましい。
成分(A)のオクタノイルリジンは、そのまま用いることができるほか、他の粉体の表面処理剤として用いることもできる。オクタノイルリジンを粉体の表面処理剤として用いた場合にも、当該オクタノイルリジンは、成分(A)に含まれる。
また、成分(A)のオクタノイルリジンは、表面処理して用いることもできる。
【0009】
成分(A)の含有量は、粉末が凝集して、ダマができるのを抑制し、塗布後の肌にムラづきしにくくなる点から、全組成中に1質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、60質量%以下であり、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましい。また、成分(A)の含有量は、全組成中に1〜60質量%であり、5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましい。
【0010】
成分(B)の油成分は、エステル油及び高級アルコールから選ばれるもので、25℃で液状のものである。ここで、25℃で液状とは、流動性を有するもので、ペースト状のものも含まれる。
かかるエステル油及び高級アルコールから選ばれる油成分としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良い。
【0011】
25℃で液状のエステル油としては、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソステアリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、パルミチン酸エチルヘキシル、エチルヘキサン酸セチル、メトキシケイ皮酸オクチル、酢酸トコフェロール、炭酸プロピレン、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジエチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸プロパンジオール、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジ(カプリン酸/カプリル酸)プロパンジオール、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリット、テトライソステアリン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸ポリグリセリル−2、ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2、トリイソステアリン酸ポリグリセリル−2、テトライソステアリン酸ポリグリセリル−2、オクタカプリル酸ポリグリセリル−6、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)、イソステアリン酸トレハロースエステルズ、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、フィトステロール脂肪酸エステル、コレステロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル等のエステル油、アボガド油、マカデミアナッツ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、パーム油、ヤシ油、ヒマシ油、ホホバ油、ヒマワリ油、ツバキ油、トウモロコシ油等の植物油、液状ラノリン等の動物油が挙げられる。
【0012】
これらのうち、ミリスチン酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、メトキシケイ皮酸オクチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリエチルヘキサノイン、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、炭酸プロピレンが好ましく、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、メトキシケイ皮酸オクチル、トリエチルヘキサノインがより好ましい。
【0013】
また、25℃で液状の高級アルコールとしては、分岐構造を有する炭素数16〜24の高級アルコールが好ましく、例えば、デシルテトラデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、ヘキシルデカノール、オレイルアルコール等が挙げられる。
これらのうち、オクチルドデカノールが好ましい。
【0014】
成分(B)のエステル油及び高級アルコールから選ばれる25℃で液状の油成分は、1種又は2種以上用いることができ、含有量は、粉末が凝集して、ダマができるのを抑制し、塗布後の肌にムラができにくく、粉っぽくなく、自然な仕上がりで、潤って見える点から、全組成中に0.1質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、20質量%以下であり、16質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましい。また、成分(B)の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%であり、0.5〜16質量%が好ましく、1〜12質量%がより好ましい。
【0015】
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、塗布後にムラがなく、粉っぽくなく、自然な仕上がりで、潤って見え、時間が経過しても、ムラのない仕上がりで、潤って見える点から、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、2以上がさらに好ましく、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、12以下がさらに好ましい。また、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、0.5〜30が好ましく、1〜20がより好ましく、2〜12がさらに好ましい。
【0016】
本発明で用いる成分(C)の窒化ホウ素は、通常の化粧料に用いられるものであれば特に制限されずに使用することができる。窒化ホウ素の形態としては、六方晶、ウルツ鉱型構造、立方晶、菱面体晶、乱層構造などのいずれでも良く、使用性の点から、六方晶のものが好ましい。
窒化ホウ素は、塗布時のすべりの良さの点から、平均粒子径が2〜20μmのものが好ましく、4〜15μmのものがより好ましく、7〜12μmのものがより好ましい。形状は、板状であるのが好ましい。
成分(C)としては、SHP−6(平均粒子径9.6μm)、SHP−3(平均粒子径5.3μm)(以上、水島合金鉄社製)等の市販品を用いることができる。
【0017】
成分(C)の窒化ホウ素は、1種又は2種以上用いることができ、含有量は、塗布時のすべりに優れつつ、粉末が凝集して、塗布後の肌にムラづきしにくくなる点から、全組成中に1質量%以上であり、2質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、50質量%以下であり、40質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。また、成分(C)の含有量は、全組成中に1〜50質量%であり、2〜40質量%が好ましく、3〜25質量%がより好ましい。
【0018】
本発明において、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、粉末が凝集して、ダマができるのを抑制し、塗布後の肌にムラができにくく、粉っぽくなく、自然な仕上がりで、潤って見える点から、0.2以上であり、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましく、25以下であり、12以下が好ましく、8以下がより好ましい。また、成分(C)に対する成分(A)の質量割合(A)/(C)は、0.2〜25であり、0.5〜12が好ましく、1〜8がより好ましい。
【0019】
本発明の粉末化粧料は、更に、比表面積10〜100m
2/gの微粒子酸化亜鉛を含有することができ、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得ることができる。
微粒子酸化亜鉛は、比表面積15〜95m
2/gであるのが好ましい。また、化粧持ち、塗布時の使用感に優れる点から、平均粒子径は、5〜40nmであるのが好ましく、10〜30nmがより好ましい。
【0020】
微粒子酸化亜鉛は、そのまま使用することができるが、必要に応じて、シリコーン、金属石鹸、レシチン、N−アシルアミノ酸、フッ素化合物等によって、撥水及び/又は撥油処理を行ったものを用いることもできる。化粧崩れを防ぎ、化粧料中の微粒子酸化亜鉛の分散性を向上させる点から、シリコーン処理したものが好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理をするのがより好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
【0021】
微粒子酸化亜鉛は、1種又は2種以上を用いることができ、化粧持ちに優れ、良好な使用感を得る点から、含有量は、全組成中に0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、20質量%以下が好ましく、12質量%以下がより好ましく、8質量%以下が更に好ましい。また、微粒子酸化亜鉛の含有量は、全組成中に0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜12質量%がより好ましく、1〜8質量%が更に好ましい。
【0022】
本発明の粉末化粧料は、更に、前記以外の粉体を含有することができる。かかる粉体としては、通常の化粧料に用いられる体質顔料、着色顔料であれば制限されず、例えば、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、セリサイト、タルク、マイカ、カオリン、ベンガラ、クレー、ベントナイト、雲母、チタン被膜雲母、ベンガラ被覆雲母チタン、ベンガラ・黒酸化鉄被覆雲母チタン、コンジョウ被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ホウケイ酸、オキシ塩化ビスマス、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、成分(C)以外の酸化亜鉛、酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化鉄、群青、酸化クロム、水酸化クロム、カラミン及びカーボンブラック、これらの複合体等の無機粉体;ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、シルクパウダー、セルロース、長鎖アルキルリン酸金属塩、N−モノ長鎖アルキルアシル塩基性アミノ酸、これらの複合体等の有機粉体;さらに、上記無機粉体と有機粉体との複合粉体などが挙げられる。
【0023】
これらの粉体は、そのまま用いることができるほか、必要に応じて、シリコーン、金属石鹸、レシチン、N−アシルアミノ酸、フッ素化合物、アルキルアルコキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等によって、撥水及び/又は撥油処理を行ったものを用いることもできる。化粧崩れを防ぐ点から、シリコーン処理、アルキルアルコキシシシラン処理、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理したものが好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサンを用いたシリコーン処理;オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシランを用いたアルキルアルコキシシシラン処理、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン処理するのがより好ましい。これらの処理は、通常の方法により行うことができる。
【0024】
本発明の粉末化粧料は、前記成分のほか、通常の化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の油成分、界面活性剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、紫外線吸収剤、保湿剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤などを含有することができる。
【0025】
本発明の粉末化粧料は、通常の方法に従って製造することができる。
本発明の粉末化粧料は、例えば、フェイスパウダー、固形ファンデーション、ほほ紅、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料などとして好適である。なかでも、フェイスパウダーが好ましい。
粉末化粧料の製剤としては、固形状、粉末状が好ましく、なかでも、粉末状が好ましい。
【実施例】
【0026】
製造例1(Nε−モノオクタノイル−L−リジンの製造)
n−オクタン酸(東京化成工業社製)93.0g、リジン(東京化成工業社製)84.5gを、キシレン(関東化学社製)439.2gに25℃で懸濁させ、得られた懸濁液を、80℃に昇温し、80℃で1時間撹拌させることにより、n−オクタン酸リジン塩を形成させた。さらに懸濁液を昇温し、窒素雰囲気下で加熱沸騰させながら反応によって生成した水を系外に除去し、3時間撹拌を続けた。冷却後、晶析した結晶を濾別し、516.0gの50質量%エタノール水溶液を用いて得られた結晶を洗浄し、乾燥し、Nε−モノオクタノイル−L−リジンの白色粉末139.5g(収率89.0%)を得た。
【0027】
製造例2(オクタノイルリジン処理タルクの製造)
タルク(タルク JA−46R、浅田製粉社製)950gと、オクタノイルリジン50gをヘンシェルミキサーに入れ、10分間撹拌混合して表面処理を行い、オクタノイルリジン処理タルクを1000g得た。
【0028】
実施例1〜11、比較例1〜2
表1に示す組成の粉末化粧料(フェイスパウダー)を製造し、「ムラのない仕上がり」、「粉っぽくない仕上がり」、「自然な仕上がり」、「潤って見える」、「5時間経過後のムラのない仕上がり」及び「5時間経過後の潤って見える」を評価した。結果を表1に併せて示す。
【0029】
(製造方法)
表1に示す組成の粉体成分を、ヘンシェルミキサーを用いて均一混合し、これに油分を加えて更に混合した後、ふるいを通してフェイスパウダーを得た。
【0030】
(評価方法)
5名の専門パネラーが、各粉末化粧料(フェイスパウダー)を、パフで肌に塗布した直後の「ムラのない仕上がり」、「粉っぽくない仕上がり」、「自然な仕上がり」、「潤って見える」、塗布から5時間経過後の「ムラのない仕上がり」及び「潤って見える」を下記基準で評価した。結果を5名の積算値で示す。
【0031】
(1)ムラのない仕上がり:
4;塗布した直後の肌にムラが見られない。
3;塗布した直後の肌にほとんどムラが見られない。
2;塗布した直後の肌にややムラが見られる。
1;塗布した直後の肌にムラが見られる。
【0032】
(2)粉っぽくない仕上がり:
4;塗布した直後の肌が粉っぽくない。
3;塗布した直後の肌があまり粉っぽくない。
2;塗布した直後の肌がやや粉っぽい。
1;塗布した直後の肌が粉っぽい。
【0033】
(3)自然な仕上がり:
4;塗布した直後の肌が自然に仕上がっている。
3;塗布した直後の肌がやや自然に仕上がっている。
2;塗布した直後の肌にあまり自然に仕上がっていない。
1;塗布した直後の肌が自然に仕上がっていない。
【0034】
(4)潤って見える:
4;塗布した直後の肌(頬)が潤って見える。
3;塗布した直後の肌(頬)がやや潤って見える。
2;塗布した直後の肌(頬)があまり潤って見えない。
1;塗布した直後の肌(頬)が潤って見えない。
【0035】
(5)5時間経過後のムラのない仕上がり:
4;塗布後5時間経過後の肌にムラが見られない。
3;塗布後5時間経過後の肌にほとんどムラが見られない。
2;塗布後5時間経過後の肌にややムラが見られる。
1;塗布後5時間経過後の肌にムラが見られる。
【0036】
(6)5時間経過後の潤って見える:
4;塗布後5時間経過後の肌(頬)が潤って見える。
3;塗布後5時間経過後の肌(頬)がやや潤って見える。
2;塗布後5時間経過後の肌(頬)があまり潤って見えない。
1;塗布後5時間経過後の肌(頬)が潤って見えない。
【0037】
【表1】
【0038】
実施例12(固形ファンデーション)
表2に示す組成の粉末化粧料(固形ファンデーション)を製造した。
得られた固形ファンデーションは、塗布後にムラがなく、粉っぽくなく、自然な仕上がりで、潤って見え、5時間経過後も、ムラのない仕上がりで、潤って見える。
【0039】
(製造方法)
粉体成分を混合・粉砕した後、油成分を加えて混合し、得られた混合物をさらに粉砕機で粉砕した。ここで得られた粉砕物を、容器に充填し、充填量10.0g、成型圧1500kgfで成型して、固形ファンデーションを得た。
【0040】
【表2】
【0041】
実施例13(フェイスパウダー)
実施例1〜11と同様にして、表3に示す組成のフェイスパウダーを製造した。
得られたフェイスパウダーは、塗布後にムラがなく、粉っぽくなく、自然な仕上がりで、潤って見え、5時間経過後も、ムラのない仕上がりで、潤って見える。
【0042】
【表3】