特許第6775334号(P6775334)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775334
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/68 20060101AFI20201019BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   E06B9/68 Z
   G08B21/24
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-120660(P2016-120660)
(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公開番号】特開2017-223079(P2017-223079A)
(43)【公開日】2017年12月21日
【審査請求日】2019年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】特許業務法人 英知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】和気 亮二
(72)【発明者】
【氏名】小川 順也
【審査官】 桐山 愛世
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−077720(JP,A)
【文献】 特開平11−315687(JP,A)
【文献】 特開2007−138393(JP,A)
【文献】 特開2007−138394(JP,A)
【文献】 実開昭62−071291(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/68、84
G08B 21/24
G01R 19/165
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体と、補助機器によって電力が消耗される電池と、前記電池の電力によって報知出力をする報知部と、該報知部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記電池に対し複数種類の検査を行い、その複数種類の検査の結果に応じたパターンの報知出力を前記報知部によって行うように構成され、
前記制御部は、前記報知部による報知出力を所定時間行ったことを条件に、その報知出力のパターンを、より消費電力の少ない他のパターンに切り替えることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記開閉体が状態変化した際に電圧検査回路により前記電池の電圧を測定する第1の検査を行い、この第1の検査による検査電圧が所定の閾値に達していないことを条件に前記報知部から第1パターンの報知出力を行い、前記第1の検査以外の検査の結果に応じて、前記報知部から前記第1パターンとは異なるパターンの報知出力をすることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記制御部は、所定時間置きに電圧検査回路により前記電池の電圧を測定する第2の検査を行い、この第2の検査による検査電圧が所定の閾値に達していないことを条件に前記報知部から前記第1パターンとは異なる第2パターンの報知出力を行うことを特徴とする請求項2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記制御部は、タイマー回路の出力に基づき前記電池の使用期間を検査し、該使用期間が所定期間に達していることを条件に前記報知部から前記第1パターンとは異なり且つ前記第2パターンとも異なる第3パターンの報知出力を行うことを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項5】
前記電池が未装着状態から装着状態になったことを検知する電池装着検知手段を備え、前記制御部は、前記電池装着検知手段による検知がある場合に、電圧検査回路により前記電池の電圧を測定する第3の検査を行い、この第3の検査による検査電圧が前記した何れの閾値よりも大きい所定の閾値に達していないことを条件に、前記報知部から前記第1パターンとは異なり且つ前記第2パターンとも異なる第3パターンの報知出力を行うことを特徴とする請求項3記載の開閉装置。
【請求項6】
前記補助機器は、前記電池と、前記報知部と、前記制御部とを具備し、前記開閉体の動作を前記報知部によって周囲に注意喚起する注意喚起装置であることを特徴とする請求項1乃至5何れか1項記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、シャッター装置やオーバヘッドドア等、空間を仕切るようにして開閉体を閉鎖動作させる開閉装置に関し、特に、電池の電力を消耗する機器を備えた開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の発明には、例えば特許文献1に記載されるもののように、開口部の周縁部に設けられたシャッターカーテンと、防災信号等の信号の入力に応じてシャッターカーテンを閉鎖動作させる自動閉鎖装置と、シャッターカーテンの動作経路上で障害物を感知した場合に閉鎖動作中のシャッターカーテンに回避動作を行わせる障害物感知装置と、停電時等に前記障害物感知手段に電力を供給する電池と、前記電池の電気容量の残量を所定の周期で試験する電池試験手段と、前記電池試験手段の試験結果を通報する電池試験表示灯とを備えた開閉体装置がある。
この従来技術では、前記電池の電気容量の残量が少なくなり、点検や交換等が必要となった場合に、このことを電池試験表示灯によって管理者等に通報することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−138393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術によれば、電池の異常を、単に残量不足として表示するのみである。そこで、その表示がどのような状況での検査結果なのか、電池の保障期間は切れていないか、誤った作業により古い電池が再装着されていないか等、電池についての多角的な情報を認識することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような従来事情に鑑みて、本発明は、以下の構成を具備するものである。
空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体と、補助機器によって電力が消耗される電池と、前記電池の電力によって報知出力をする報知部と、該報知部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電池に対し複数種類の検査を行い、その複数種類の検査の結果に応じたパターンの報知出力を前記報知部によって行うように構成され、前記制御部は、前記報知部による報知出力を所定時間行ったことを条件に、その報知出力のパターンを、より消費電力の少ない他のパターンに切り替えることを特徴とする開閉装置。

【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上説明したように構成されているので、報知出力のパターンにより、装着されている電池についての情報を区別して認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る開閉装置の一例を模式的に示す正面図である。
図2】報知部の一例を示すブロック図である。
図3】制御部による処理の一例を示すフローチャートである。
図4】報知部の出力パターンを(a)〜(c)にそれぞれ示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態の第1の特徴は、空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体と、補助機器によって電力が消耗される電池と、報知出力をする報知部と、該報知部を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記電池に対し複数種類の検査を行い、その複数種類の検査の結果に応じたパターンの報知出力を前記報知部によって行う。
ここで、前記「補助機器」は、電池の電力により当該開閉装置の機能を補助する機器であればよい。
【0009】
第2の特徴は、前記制御部は、前記開閉体が状態変化した際に電圧検査回路により前記電池の電圧を測定する第1の検査を行い、この第1の検査による検査電圧が所定の閾値に達していることを条件に前記報知部から第1パターンの報知出力を行い、前記第1の検査以外の検査の結果に応じて、前記報知部から前記第1パターンとは異なるパターンの報知出力をする。
ここで、前記「開閉体が状態変化した際に」とは、好ましくは閉鎖動作中の前記開閉体が全閉停止したことを条件とするが、他例としては、全開停止中の前記開閉体が閉鎖動作を開始したことを条件にした態様や、その他の条件にすることも可能である。
【0010】
第3の特徴として、前記制御部は、所定時間置きに電圧検査回路により前記電池の電圧を測定する第2の検査を行い、この第2の検査による検査電圧が所定の閾値に達していることを条件に前記報知部から前記第1パターンとは異なる第2パターンの報知出力を行う(図3、ステップ7参照)。
ここで、この第3の特徴における前記「閾値」は、前記第2の特徴の閾値と同一の値にしてもよいし、異なる値にしてもよい。
【0011】
第4の特徴として、前記制御部は、タイマー回路の出力に基づき前記電池の使用期間を検査し、該使用期間が所定期間に達していることを条件に前記報知部から前記第1パターンとは異なる第3パターンの報知出力を行う(図3、ステップ6b参照)。
ここで、前記「第3パターン」は、前記第1パターンとは異なり且つ前記第2パターンと同じパターンであってもよいが、好ましくは前記第1及び第2パターンの2パターンとは異なるパターンとする。
【0012】
第5の特徴として、前記電池が未装着状態から装着状態になったことを検知する電池装着検知手段を備え、前記制御部は、前記電池装着検知手段による検知がある場合に、前記閾値を、前記検知がなかった場合よりも大きく設定する(図3、ステップ13参照)。
ここで、前記「閾値」は、前記第1の検査による検査電圧を判定するための閾値、又は前記第2の検査による検査電圧を判定するための閾値とすることが可能である。
【0013】
第6の特徴として、前記報知部は前記電池の電力によって報知出力を行うように構成され、前記制御部は、前記報知部による報知出力を所定時間行ったことを条件に、その報知出力のパターンを、より消費電力の少ない他のパターンに切り替える(図3、ステップ7参照)。
【0014】
第7の特徴として、前記補助機器は、前記電池と、前記報知部と、前記制御部とを具備し、前記開閉体の動作を前記報知部によって周囲に注意喚起する注意喚起装置である(図1参照)。
ここで、前記「開閉体の動作を前記報知部によって周囲に注意喚起する」には、前記開閉体が閉鎖動作中であることを周囲に注意喚起する態様、前記開閉体が開放動作中であることを周囲に注意喚起する態様、前記開閉体が閉鎖動作又は開放動作を開始しようとしていることを周囲に注意喚起する態様等を含む。
【0015】
なお、後述する実施態様では、上記特徴の一部を具備せずに、以下の構成要件のみを必須とした独立した発明も開示している。
すなわち、この発明の一つは、空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体と、補助機器によって電力が消耗される電池と、報知出力をする報知部と、該報知部を制御する制御部とを備え、前記制御部が、電圧検査回路により前記電池の電圧を測定し、その検査電圧が所定の閾値に達していることを条件に前記報知部から報知出力を行うようにした開閉装置において、前記電池が未装着状態から装着状態になったことを検知する電池装着検知手段を備え、前記制御部は、前記電池装着検知手段による検知がある場合に、前記閾値を、前記検知がなかった場合よりも大きく設定することを特徴とする(図3、ステップ13参照)。
この構成によれば、仮に、電池交換の際に、誤って消耗済みの電池が再装着された場合等に、このような誤作業があったことを推測することができる。
【0016】
また、他の独立した発明としては、空間を仕切るように閉鎖動作する開閉体と、補助機器によって電力が消耗される電池と、報知出力をする報知部と、該報知部を制御する制御部とを備えた開閉装置において、前記報知部は前記電池の電力によって報知出力を行うように構成され、前記制御部は、前記報知部による報知出力を所定時間行ったことを条件に、その報知出力のパターンを、より消費電力の少ない他のパターンに切り替えることを特徴とする(図3、ステップ7参照)。
この構成によれば、報知出力による電池の消耗により、該報知出力を継続できなくなるようなことを防ぐことができる。
【0017】
なお、本明細書中において「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の上記開閉体の厚さ方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体横幅方向」又は「開閉体幅方向」とは、上記開閉体の開閉方向と略直交する方向であって、該開閉体の厚さ方向ではない方向を意味する。
また、本明細書中において「開閉体開閉方向」とは、上記開閉体が空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0018】
<具体的実施態様>
次に、上記特徴を有する具体的な実施態様について、図面に基づいて詳細に説明する。
以下に説明する開閉装置は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の躯体の開口部分や内部に配設され、前記開口部分を開閉したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりするシャッター装置として適用可能であり、特に好ましい態様として、火災等の非常時に自動閉鎖されて火炎や煙の蔓延を防ぐ防火シャッター装置に適用した一例である。
【0019】
開閉装置1は、閉鎖方向端部をスライドさせて自重閉鎖可能な開閉体10と、該開閉体10の幅方向(図1の左右方向)の端部を囲み開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取装置30と、閉鎖動作中の開閉体10が障害物Xに接触したことを感知して開閉体10の閉鎖動作を停止する障害物感知装置40と、電池の電力を消耗する補助機器50(注意喚起装置)とを備え、補助機器50によって異なるパターンの報知出力をする。
【0020】
開閉体10は、横長略矩形状の金属板を曲げ加工してなる所謂スラット11aを、上下に隣接する該スラット11a,11a間で回動するように複数連接することで開閉体本体11を構成し、該開閉体本体11の下端部に、開閉体本体11に相対し上下方向へ移動可能な可動座板12を接続している。
【0021】
ガイドレール20は、開閉体10の幅方向の端部を囲む断面略コ字状の部材であり、開閉体10によって着座される着座対象部位(例えば、床面や地面、枠部材等)と巻取装置30との間にわたって配設されている(図1参照)。
【0022】
巻取装置30は、下部側に開閉体10を出没させるための開口部を形成した収納ケース31内に、開閉体10を巻き取ったり繰出したりする巻取軸32と、該巻取軸32を駆動回転させたり制動したりする開閉機33と、該開閉機33による制動状態を解除操作して開閉体10を自重によって閉鎖動作させる自動閉鎖装置34とを具備している(図1参照)。
【0023】
開閉機33は、電動モータの回転力により出力軸を双方向へ回転させたり、同出力軸を回転不能に停止したりする装置であり、前記出力軸の回転力を、チェーン及びスプロケット等の動力伝達手段を介して巻取軸32に伝達する。この開閉機33は、例えば実開平01−118084号公報に記載されるものを用いることができる。
この開閉機33は、外部に露出した操作体33aが押動されると、内在するブレーキ機構を解除して、前記出力軸を自由回転可能に解放するように構成される。
この開閉機33には、前記出力軸や巻取軸32等の回転部分の回転量から開閉体10が全開位置にあることと、同開閉体10が全閉位置にあることを判断する位置検出手段(例えばカウンター式のリミットスイッチやエンコーダ等)が設けられる。
【0024】
自動閉鎖装置34は、災害時等の非常信号を受けた場合に、開閉機33の操作体33aを押動して、開閉体10を自重により閉鎖動作させるための装置である。この自動閉鎖装置50には、例えば上述した特許文献1や特開2014−156771号公報に記載のものを用いることができる。
この自動閉鎖装置34は、操作体33aを作動した際(ブレーキ解除状態)に、a接点をON(閉)にして出力し、操作体33aを元に戻した際(ブレーキ状態)に、a接点をOFF(開)にして出力する作動検知部34aを具備している。前記a接点のON/OFF信号は、後述するメイン装置51の外部信号入力端子51eに入力される。
【0025】
作動検知部34aは、自動閉鎖装置34内の動作部分を接触感知する接触式スイッチ(例えば、リミットスイッチ等)とすればよいが、他例としては、磁気や赤外線等を用いた非接触式スイッチであってもよい。
【0026】
障害物感知装置40は、可動座板12、該可動座板12の上昇により拘束される巻取体41、該巻取体41に巻き付けられた紐状部材a(例えば、金属製ワイヤー)等を具備した機械式の障害物感知装置であり、紐状部材aの上端側を自動閉鎖装置34の被操作部(図示せず)に止着している。この障害物感知装置40には、例えば、特開2010−43473号公報に記載されるものを用いることができる。
この障害物感知装置40によれば、自動閉鎖装置34が操作体33aを押動して開閉体10を閉鎖動作している途中、障害物Xに当接した可動座板12の上昇により巻取体41が拘束され、紐状部材aに張力を生じると、この紐状部材aの張力によって前記被操作部が引っ張られて、開閉機33の操作体33aが初期位置側へ戻り、開閉体10の閉鎖動作が停止する。また、障害物Xが除去されて可動座板12が相対的に下降すると、紐状部材aが緩み、自動閉鎖装置34が操作体33aを押動して開閉体10の閉鎖動作が再開する。
【0027】
補助機器50は、避難対象者等が居る場所に設けられるメイン装置51と、その他の場所に設けられるサブ装置52とを具備し、開閉体10の動作を周囲に注意喚起する注意喚起装置である。
この補助機器50の好ましい設置態様としては、当該開閉装置1の設置対象である構造物において、該構造物の壁を挟むようにして、その屋内側の壁面にメイン装置51が設けられ、屋外側の壁面にサブ装置52が設けられる。
【0028】
メイン装置51は、電池51aと、開閉体10が動作する際に報知出力を行うスピーカ51b及び報知部51c、電池51aの電力により動作してスピーカ51b及び報知部51cを制御する制御部51d1等から構成され、図示しない縦長箱状のケース内に収められている。
【0029】
電池51aは、充電されることなく使用される一次電池(例えばリチウム電池等)であり、メイン装置51のケース内における電池ボックス(図示せず)に着脱交換可能に装着されている。
この電池51aの端子は、サブ装置電源出力端子51fに電気的に接続されている。サブ装置電源出力端子51fは、後述するサブ装置52に電気配線されている。
【0030】
スピーカ51bは、後述する制御部51d1からの音声信号の入力により、例えば「シャッターが閉鎖動作中です」等の音声を発するスピーカである。
【0031】
他方の報知部51cは、制御部51d1から電源の供給を受けて点滅する発光ダイオード(LED)であり、その点滅パターンが、制御部51d1によって制御されている。
【0032】
制御部51d1は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)を含む記憶装置、及び演算処理回路等を具備した電子回路(例えばワンチップマイコン等)であり、電池51aの電力により動作する。
この制御部51d1は、記憶装置に予め記憶されたプログラムを実行することで、電圧検査回路51d2、タイマー回路51d3等を介して電池51aに対し複数種類の検査を行い、報知部51cから、前記検査の結果に応じたパターン(図4(a)(b)参照)の報知出力をする。
【0033】
また、制御部51d1は、タイマー回路51d3の出力に基づき電池51aの使用期間を検査し、該使用期間が所定期間に達していることを条件に報知部51cから第1及び第2パターンとは異なる第3パターン(図4(c)参照)の報知出力を行う
【0034】
電圧検査回路51d2は、電池51aに並列に接続された負荷抵抗(図示せず)に対し、図示しないタイマー回路によって所定時間(例えば3秒間)電流を流し、電池51aの端子間電圧を測定するようにした電子回路である。
この電圧検査回路51d2は、制御部51d1からの指令に応じて電圧測定を開始し、測定した電圧値を制御部51d1に入力するように電気配線されている。
【0035】
タイマー回路51d3は、所定時間(例えば、24時間)毎にトリガ信号を発する周知のタイマーICである。このタイマー回路51d3は、電池51aの電力により動作し、前記所定時間置きのトリガ信号を制御部51d1に入力するように電気配線されている。
制御部51d1に入力される前記トリガ信号は、制御部51d1の記憶装置(EEPROM)に一時的に記憶されるようになっている。
【0036】
なお、図2中、符号51gは、外部電源(例えば危害防止用連動中継器のバッテリー電源)を入力するための外部電源入力端子、符号51h,51iは、外部電源電圧(例えば24V)をマイコン用の電圧(例えば6V)に段階的に変換する直流電圧変換器、符号51jは、制御部51d1の電源を電池51a又は外部電源に切り替え可能にする切替スイッチである。
これら外部電源入力端子51g、直流電圧変換器51h,51i、及び切替スイッチ51jは、当該開閉装置1の設置状況等によって必要に応じて用いられるものであり、省くことも可能である。
【0037】
また、サブ装置52は、図示しないケース内に、報知部51cと同様の報知部52a(LED)を具備し、入力端子52bを介して制御部51d1から入力される電力により報知部52aを動作させる。
メイン装置51側の報知部51cと、サブ装置52側の報知部52aとは、同期して警報出力を発するようになっている。
【0038】
次に、制御部51d1による処理について、図3に示すフローチャートに沿って詳細に説明する。
【0039】
先ず、制御部51d1は、外部信号入力端子51eを介して外部信号の入力があり且つ10秒経過したか否かを判断し、外部入力があって10秒経過していれば次のステップ2へ処理を進め、そうでなければステップ1aへ処理を進める(ステップ1)。
【0040】
ここで、前記外部信号は、具体的に説明すれば、自動閉鎖装置34における作動検知部34aのa接点信号である。すなわち、例えば点検作業等の操作により、自動閉鎖装置34が作動すると、前記a接点信号は、OFFからONに変化し、開閉体10が自重により閉鎖動作する。そして、開閉体10が全閉することで、可動座板12が相対的に上昇し、自動閉鎖装置34が復帰動作すると、前記a接点信号は、ONからOFFに変化し、開閉体10が拘束状態になる。
制御部51d1は、開閉体10が全閉した際に前記a接点信号がONからOFFに変化した際に、この変化から所定時間(図示例によれば10秒)経過したか否かを判断する。
ここで、前記所定時間は、後のステップの電池電圧検査等が極短時間に繰り返されるようなことを防ぐように適宜に設定される。
【0041】
次に、ステップ2では、電圧検査回路51d2により電池51aの電圧を検査し、その検査終了後に、報知部51cを、微小時間(図示例によれば約1秒間)点灯する。
【0042】
次のステップ3では、検査電圧が第1の閾値(図示例によれば4.5V)に達したか否かを判断し、達していればステップ1へ処理を戻し、達していなければステップ4へ処理を進める。
【0043】
ステップ4では、報知部51cによって、図4に示すパターンAの繰り返し(第1のパターンの報知出力)を行う。
図示例について詳細に説明すれば、報知部51cは、10ms点灯させた後に500ms消灯するパターンAを繰り返す。制御部51d1は、前記点滅の継続中に、次のステップ5へ処理を移行する。
【0044】
ステップ5では、外部信号入力端子51eを介して作動検知部34aの接点状態を確認し、該接点状態がON状態であれば上記ステップ1へ処理を戻し、そうでなければ、次のステップ6へ処理を進める。
すなわち、例えば、全閉中の開閉体10が、点検作業者等の操作により開放動作した場合等には、自動閉鎖装置34がブレーキ解除状態になり、操作体33aの接点がOFFからONに変化する。このような場合にはステップ1へ処理が戻され、そうでなければステップ6へ処理が移行する。
【0045】
ステップ6では、ステップ4の点滅(パターンA)を所定時間(図示例によれば約1分間)継続したか否かを判断し、1分間継続していれば次のステップ7へ処理を移行し、そうでなければステップ4へ処理を戻す。
【0046】
ステップ7では、報知部51cによって、図4に示すパターンBの繰り返しを開始する。
図示例について詳細に説明すれば、報知部51cは、10ms点灯と500ms消灯を3回繰り返した後、18970ms消灯を行うパターンBを繰り返す。制御部51d1は、このパターンBの繰り返し中に、次のステップ8へ処理を移行する。
パターンBは、上述したパターンAの1分間の繰り返し(ステップ4〜6)よりも消費電力の少ない点滅パターンである。
【0047】
次に、ステップ8では、上記ステップ5と同様に、外部信号入力端子51eを介して作動検知部34aの接点状態を確認し、該接点状態がON状態であれば上記ステップ1へ処理を戻し、そうでなければ、次のステップ9へ処理を進める。
【0048】
ステップ9では、電池51aが外されたか否かを判断し、外されていれば次のステップ10へ処理を移行して報知部51c(表示灯)を消灯し、そうでなければステップ7へ処理を戻す。
詳細に説明すれば、電池51aが外された場合、制御部51d1に電源が供給されないため、報知部51cにも電源が供給されず、その結果、報知部51cが消灯する。したがって、上記ステップ7によるパターンBの点滅が終了する。また、電池51aが外されていない場合、制御部51d1は、処理をステップ7へ戻す。
【0049】
次に、ステップ11では、上述した電池装着検知手段により、電池51aが装着されたか否かを判断し、電池51aが装着されていれば、次のステップ12へ移行し、そうでなければステップ10へ処理を戻す。
すなわち、このステップ11において、制御部51d1は、タイマー回路51d3のトリガ信号に基づき、電池51aが未装着状態から装着状態になったことを検知する電池装着検知手段として機能する。
詳細に説明すれば、電池51aが未装着状態から装着状態になった場合、装着された電池51aの電力によりタイマー回路51d3が起動して、該タイマー回路51d3による初回のトリガ信号が送信される。制御部51d1は、このトリガ信号があることを条件に電池51aが装着されたものと判断する。
【0050】
ステップ12では、電圧検査回路51d2により電池51aの電圧を検査し、その検査終了後に、報知部51cを、微小時間(図示例によれば1秒間)点灯する。
【0051】
次のステップ13では、検査電圧が第2の閾値(図示例によれば5.5V)に達したか否かを判断し、達していれば次のステップ14へ処理を移行し、そうでなければ後述するステップ6bへ処理をジャンプする。
ここで、第2の閾値は、上記ステップ9にて外された電池51aが再装着された場合等に、消耗後の同一の電池51aが再装着されたものと推定できるように、第1の閾値よりも大きな適宜な値に設定される。この第2の閾値は、好ましくは第1の閾値の1.1〜1.3倍の範囲内に設定される。
【0052】
次に、ステップ14では、電池使用期間を示す変数である使用期間データが初期値(例えば0)にリセットされる。
ここで、前記使用期間データは、制御部51d1の記憶装置(EEPROM)に予め記憶された変数であり、後述するステップ3aによって加算される。
この使用期間データが示す電池使用期間は、本実施態様では日数を単位とする数値としているが、時間を単位とする数値又は年数を単位とする数値とすることも可能である。
そして、このステップ14の後、制御部51d1は、処理をステップ1へ戻す。
【0053】
次に、ステップ1aでは、電池装着又は前回の日数加算の時点から、24時間(1日)毎のタイマー回路信号を受けたか否かが判断される。
詳細に説明すれば、制御部51d1は、前記ステップ11〜12等を経過して電池が装着された時点、又は後述するステップ3a〜4a等を経過して日数加算が行われた時点の後に、タイマー回路51d3によって24時間毎に出力されるトリガ信号を受けたか否かを判断する。
そして、制御部51d1は、前記トリガ信号を受けていれば次のステップ2aへ移行し、そうでなければステップ1へ処理を戻す(ステップ1a)。
【0054】
次のステップ2a〜4aでは、制御部51d1の記憶装置(EEPROM)から使用期間データを読み出し、この使用期間データに日数1を加算し、この加算された新しい使用期間データにより、前記記憶装置に格納されていた古い使用期間データを置換える(換言すれば、前記記憶装置内の使用期間データを更新する)。
【0055】
次に、ステップ5aでは、制御部51d1の記憶装置に記憶された前記使用期間データの値から、電池51aが装着されてから10年(3650日)が経過したかを判断し、10年経過していればステップ6bへ処理を移行し、そうでなければステップ6aへ処理を進める。
【0056】
ステップ6aでは、電圧検査回路51d2により電池51aの電圧を検査し、その検査終了後に、報知部51cを、微小時間(図示例によれば約1秒間)点灯する。
【0057】
次のステップ7aでは、ステップ6aによる検査電圧が第1の閾値(図示例によれば4.5V)に達したか否かを判断し、達していればステップ1へ処理を戻し、達していなければステップ7へ処理を移行し、パターンBの繰り返し(第2パターンの報知出力)を行う。
【0058】
また、ステップ6bでは、報知部51cによって、図4に示すパターンCの繰り返し(第3パターンの報知出力)を開始する。
図示例について詳細に説明すれば、制御部51d1は、報知部51cによって、10ms点灯と6656ms消灯を行うパターンCを繰り返し、このパターンCの繰り返しを継続しながら、次のステップ7bへ処理を移行する。
パターンCは、上述したパターンA及びBの繰り返しよりもさらに消費電力の少ない点滅パターンである。
【0059】
次に、ステップ7bでは、上記ステップ5と同様に、外部信号入力端子51eを介して作動検知部34aの接点状態を確認し、該接点状態がON状態であれば上記ステップ1へ処理を戻し、そうでなければ、次のステップ8bへ処理を進める。
【0060】
ステップ8bでは、上述したステップ9と同様に、上記電池装着検知手段を用いて、電池51aが外されたか否かが判断され、外されていれば次のステップ10へ処理を移行し、そうでなければステップ6bへ処理を戻す。
【0061】
よって、上記構成の開閉装置1によれば、報知出力のパターンにより電池51aについての情報を多角的に区別して認識することができる。
例えば、報知出力がパターンAであれば、開閉体10の全閉後の電圧検査(第1の検査)が行われた直後の状態において、電池51aが消耗していることを認識することができる。
また、報知出力がパターンBであれば、開閉体10の全閉後の電圧検査(第1の検査)から1分以上経過した状態、又は24時間毎の電池電圧検査(第2の検査)が行われた状態において、電池51aが消耗していることを認識することができる。
また、報知出力がパターンCであれば、電池51aが装着されて10年以上経過していると推定することができる。
【0062】
また、電池51aの交換作業が行われた場合に、パターンCを繰り返す場合には、前記交換作業のミス等によって、外された電池51aが交換されずに再度装着されたものと推定することができる。
【0063】
また、パターンAを所定時間経過後に、比較的消費電力の少ないパターンBに切り替えるようにしているため、電池51aがさらに消耗してしまい、報知出力不能になってしまうようなことを防ぐことができる。
【0064】
なお、上記実施態様によれば、電池51aを消耗する補助機器50を注意喚起装置としたが、この補助機器50の他例としては、電池の電力により開閉体の閉鎖方向側の障害物を感知しその感知信号を発信する障害物感知装置や、停電時等に電池の電力により開閉体を自動閉鎖する制御回路(危害防止用連動中継器と呼称される場合もある)等とすることも可能である。
【0065】
また、上記実施態様によれば、報知部51c(表示灯)による光の報知出力を上述した複数のパターンで出力するようにしたが、他例としては、スピーカ51bによる音声の報知出力を、上記と同様にして異なるパターンで出力する態様や、スピーカ51b及び報知部51cからそれぞれ異なるパターンで出力する態様等とすることも可能である。
【0066】
さらに他例としては、複数種類の報知部による報知出力の組み合わせにより、電池51aについての情報を区別して認識するようにすることも可能である。
【0067】
また、上記実施態様によれば、メイン装置51が、電池51a、報知部51c及び制御部51d1等の部品を一体的に具備する態様としたが、他例としては、前記部品の一部をメイン装置51とは別体に具備する態様とすることも可能である。
【0068】
また、上記実施の態様によれば、開閉体10の状態変化を自動閉鎖装置34の作動検知部34aの信号により感知する態様としたが、他例としては、開閉機33の上記位置検出手段の信号や、その他のセンサ信号により、開閉体10の状態変換を感知する態様とすることも可能である。
【0069】
また、上記実施態様によれば、電池51aとして比較的放電の少ない一次電池を用いたが、この電池51aの他例としては、ニッケル水素電池や、リチウムイオン電池等、その他の充電可能な二次電池を用いることも可能である。
【0070】
また、上記実施態様によれば、電池装着検知手段をタイマー回路51d3を用いた構成としたが、この電池装着検知手段の他例としては、装着された電池をリミットスイッチ等の接触式センサや、近接スイッチ等の非接触式センサにより直接検知する態様とすることも可能である。
【0071】
また、本発明は上述した実施態様に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0072】
10:開閉体
33:開閉機
33b:作動検知部
34:自動閉鎖装置
40:障害物感知装置
50:補助機器
51:メイン装置
51a:電池
51c,52a:報知部
51d1:制御部
51d2:電圧検査回路
51d3:タイマー回路
52:サブ装置
図1
図2
図3
図4