(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775372
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】消防用スタンドパイプ
(51)【国際特許分類】
A62C 33/00 20060101AFI20201019BHJP
【FI】
A62C33/00 C
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-195324(P2016-195324)
(22)【出願日】2016年10月2日
(65)【公開番号】特開2018-57471(P2018-57471A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年9月30日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2016年4月9日イカロス出版株式会社より発行された「Jレスキュー」Vol.81第49−50ページに掲載。
(73)【特許権者】
【識別番号】593157378
【氏名又は名称】株式会社岩崎製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100129986
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓生
(72)【発明者】
【氏名】岩崎 博己
【審査官】
内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−328612(JP,A)
【文献】
実開昭56−39052(JP,U)
【文献】
特開2012−255309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 33/00
A62C 35/20
A62C 35/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも上方へ伸長した剛体の管体からなるパイプ本体と、
前記パイプ本体の上部に設けられた、ホース又は消防用継手への接続口と、
前記パイプ本体の下部に設けられ、消火栓接続口への係止爪を突出入可能に備えた接続構造と、
前記パイプ本体の下部を除く中央部又は上部付近に設けられ、前記接続構造をロッド牽引する可動操作部を有し、当該可動操作部の移動によって前記接続構造の接続を解除する操作部と、を具備してなる消防用スタンドパイプであって、
前記操作部は、パイプ本体の周囲へプレート状に張り出した固定操作部と、前記固定操作部の下方にて所定の離間距離を有してパイプ本体の周囲へプレート状に張り出した可動操作部とからなり、
前記接続構造は、管状の接続口の周部に沿って収容された複数の係止爪と、各係止爪を接続口の管中心側へ突出させるよう弾性付勢する弾性材とを具備し、
前記可動操作部を、前記固定操作部側へ近接するよう上方へスライド移動させることで、前記可動操作部にロッド連結されたロッドによって係止爪を上方へ牽引し、突出状態の係止爪を、接続口の周部外方へ収容された突入状態とすることを特徴とする、消防用スタンドパイプ。
【請求項2】
前記固定操作部及び前記可動操作部が、共に多角形又は円形のプレート状張出部を有すると共に、それぞれのプレート状張出部が、所定の離間距離で平行に配置されるとともに、
前記可動操作部が、固定操作部と平行を保った離間距離が縮まるよう、前記パイプ本体の管方向に沿ってスライド移動することを特徴とする、請求項1に記載の消防用スタンドパイプ。
【請求項3】
前記固定操作部のプレート状張出部の上面又は前記可動操作部のプレート状張出部の下面の少なくともいずれかに、複数の微細凹凸部からなる微細凹凸加工、又は、面内の一部に所定形状で形成した収容凹部、の少なくともいずれかを施してなる、ことを特徴とする請求項2に記載の消防用スタンドパイプ。
【請求項4】
前記固定操作部及び前記可動操作部の各プレート状張出部は、平面内の互いに交わる軸方向へ長さの異なる第1の代表長さ及び第2の代表長さを有した、扁平円形又は扁平多角形の平面形状からなる、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の消防用スタンドパイプ。
【請求項5】
前記パイプ本体の上部に、管方向を縦方向から一側方向へ屈曲させてなり、当該屈曲先に接続口を有したベンド部と、
前記ベンド部の接続口がパイプ本体に対して所定の屈曲方向を向くように調整し得る配向調整手段とを具備してなり、
前記配向調整手段によって前記ベンド部の屈曲方向を変えることで、前記ベンド部の一部が、平面視にて、前記固定操作部及び前記可動操作部の各プレート状張出部の任意の張出し方向に対して突出しない非突出状態とし得る、ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の消防用スタンドパイプ。
【請求項6】
前記ベンド部は、平面視にて、前記パイプ本体の中心から前記接続口まで所定の屈曲長さで屈曲伸長し、
当該屈曲長さは、前記二種類のいずれかの代表長さの半分以下からなる、ことを特徴とする請求項5に記載の消防用スタンドパイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用スタンドパイプに関し、特に、消火栓接続口への接続を解除する操作部を備えた消防用スタンドパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の消防用スタンドパイプにおける操作部は、棒状部が左右に突出した可動レバーと、同じく棒状部が左右に突出した固定レバーとが、パイプに沿って上下に近接して離間形成されており、この可動レバーのスライド移動と連動して、本体下部の接続構造のリリース(係止解除)操作を行うようになっている。このような従来の消防用スタンドパイプとして、例えば、特許文献1に開示されるものがある。
【0003】
上記操作部を操作する際は、固定レバーを掌で抑えながら可動レバーを手指で上方へ引いてスライド移動させる。このスライド移動に伴って、本体下部の接続構造の係止爪が突出状態から突入状態となり、地下式消火栓との係止が解除される。上記構造では、可動レバーの左右の棒状部を同時に握って左右から同時に可動レバーを上方へ引き上げることで、リリース(係止解除)操作を確実に行うものとしている。
【0004】
しかしながら、上記構造では可動レバー、固定レバーが左右へ突出する分の格納スペースを要しており、収納時のコンパクト性に欠けていた。また両側方へ突出する棒状部によって、ホースや固定紐などが不意に係止する場合があり、また、運搬者や隣接材料などに接触する場合に突き刺さったりするなど、意図しない外部係止や外部接触事故のおそれがあった。特に迅速かつ正確な動作を要する消防活動において、意図しない外部係止や外部接触事故は回避すべきである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−70468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、リリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避し、また、コンパクトに収納できる消防用スタンドパイプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、本発明に係る消防自衛用噴霧継手は以下の構成としている。なお以降において構成名称に続けて記載する括弧内の数字列は、図面の実施例の相当構成を参照して理解するための参照用符号であって、これによって構成自体を図示のものに限定したり意義を限定したりするものではない。
先ず、本発明に係る消防用スタンドパイプは、少なくとも上方へ伸長した剛体の管体からなるパイプ本体(1)と、前記パイプ本体(1)の上部(11)に設けられた、ホース又は消防用継手への接続口(21)と、前記パイプ本体(1)の下部(12)に設けられ、消火栓接続口への係止爪(31)を突出入可能に備えた接続構造(3)と、前記パイプ本体(1)の下部を除く中央部又は上部付近に設けられ、前記接続構造(3)をロッド牽引する可動操作部(42)を有し、当該可動操作部(42)の移動によって前記接続構造(3)の接続を解除する操作部(4)と、を具備してなる消防用スタンドパイプであって、前記操作部(4)は、パイプ本体(1)の周囲へプレート状に張り出した固定操作部(41)と、前記固定操作部(41)の下方にて所定の離間距離を有してパイプ本体の周囲へプレート状に張り出した可動操作部(42)とからなり、前記接続構造(3)は、管状の接続口の周部に沿って収容された複数の係止爪(31)と、各係止爪(31)を接続口の管中心側へ突出させるよう弾性付勢する弾性材(32)とを具備し、前記可動操作部(42)を、前記固定操作部(41)側へ近接するよう上方へスライド移動させることで、前記可動操作部(42)にロッド連結されたロッド(43)によって係止爪(31)を上方へ牽引し、突出状態の係止爪(31)を、接続口の周部外方へ収容された突入状態とすることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、操作部(4)は、パイプ本体(1)の周囲へプレート状に張り出した固定操作部(41)と、固定操作部(41)の下方にて所定の離間距離を有してパイプ本体の周囲へプレート状に張り出した可動操作部(42)とからなり、接続構造(3)は、管状の接続口の周部に沿って収容された複数の係止爪(31)と、各係止爪(31)を接続口の管中心側へ突出させるよう弾性付勢する弾性材(32)とを具備している。そして、可動操作部(42)を、固定操作部(41)側へ近接するよう上方へスライド移動させることで、可動操作部(42)にロッド連結されたロッド(43)によって係止爪(31)を上方へ牽引し、突出状態の係止爪(31)を、接続口の周部外方へ収容された突入状態とする。このため、消防用スタンドパイプの消火栓接続口への接続を解除するリリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避することができる。また、操作部(4)は、パイプ本体(1)の周囲へプレート状に張り出した固定操作部(41)及び可動操作部(42)とからなるので消防用スタンドパイプをコンパクトに収納することができる。
【0009】
また、上記又は下記いずれかの消防用スタンドパイプにおいては、前記固定操作部(41)及び前記可動操作部(42)が、共に多角形又は円形のプレート状張出部(44)を有すると共に、それぞれのプレート状張出部(44)が、所定の離間距離で平行に配置されるとともに、前記可動操作部(42)が、固定操作部(41)と平行を保った離間距離が縮まるよう、前記パイプ本体(1)の管方向に沿ってスライド移動することが好ましい。
【0010】
上記構成によれば、固定操作部(41)及び可動操作部(42)が、所定の離間距離で平行に配置された多角形又は円形のプレート状張出部(44)を有しており、可動操作部(42)が、固定操作部(41)と平行を保った離間距離が縮まるようパイプ本体(1)の管方向に沿ってスライド移動する。このため、固定操作部(41)及び可動操作部(42)を上下に握るようにして操作することができ容易に操作を行うことができる。また、固定操作部(41)及び可動操作部(42)のプレート状張出部(44)間の距離により、消防用スタンドパイプの消火栓接続口への接続が解除されたがわかるので、接続が解除されていないにも関らず、消防用スタンドパイプを消火栓接続口から取り外そうとする等のご操作を防止することができ、リリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避することができる。
【0011】
また、上記いずれかの消防用スタンドパイプにおいては、前記固定操作部(41)のプレート状張出部(44)の上面(44A)又は前記可動操作部(42)のプレート状張出部(44)の下面(44B)の少なくともいずれかに、複数の微細凹凸部からなる微細凹凸加工(45)、又は、面内の一部に所定形状で形成した収容凹部(46)、の少なくともいずれかを施してなることが好ましい。
【0012】
上記の構成によれば、固定操作部(41)のプレート状張出部(44)の上面(44A)又は可動操作部(42)のプレート状張出部(44)の下面(44B)の少なくともいずれかに、複数の微細凹凸部からなる微細凹凸加工(45)、又は、面内の一部に所定形状で形成した収容凹部の少なくともいずれかを施しているので、微細凹凸加工(例えばローレット加工)により静摩擦係数を増加させて、操作する際の手指を滑りにくくし、或いは、収容凹部内によって形成する操作する際の手指の一部を沿わせて収容する箇所を形成して、手指の掛かり位置ないし当たり位置を安定させることができる。このため、リリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避することができる。
【0013】
また、上記いずれかの消防用スタンドパイプにおいて、前記固定操作部(41)及び前記可動操作部(42)の各プレート状張出部(44)は、平面内の互いに交わる軸方向へ長さの異なる第1,第2の代表長さ(L1(短径),L2(長径))を有した、扁平円形又は扁平多角形の平面形状となっていることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、各プレート状張出部(44)は、平面内の互いに交わる軸方向へ長さの異なる第1,第2の代表長さ(L1,L2)を有した、扁平円形又は扁平多角形の平面形状からなる。そして、扁平円形又は扁平多角形の平面形状は、平面視にて、直交する二軸方向の一方に長く他方に短い楕円又は長円形状であるか、或いは、直交する二軸方向の一方に長く他法に短い変形多角形を含んでいる。このため、コンパクトに収納することができる。
【0015】
また、上記いずれかの消防用スタンドパイプにおいては、前記パイプ本体(1)の上部に、管方向を縦方向から一側方向へ屈曲させてなり、当該屈曲先に接続口(21)を有したベンド部(2)と、前記ベンド部(2)の接続口(21)がパイプ本体(1)に対して所定の屈曲方向を向くように調整し得る配向調整手段(5)とを具備してなり、前記配向調整手段(5)によって前記ベンド部(2)の屈曲方向を変えることで、前記ベンド部(2)の一部が、平面視にて、前記固定操作部(41)及び前記可動操作部(42)の各プレート状張出部(44)の任意の張出し方向に対して突出しない非突出状態とし得ることが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、パイプ本体(1)の上部に、管方向を縦方向から一側方向へ屈曲させてなり、当該屈曲先に接続口(21)を有したベンド部(2)と、ベンド部(2)の接続口(21)がパイプ本体(1)に対して所定の屈曲方向を向くように調整し得る配向調整手段(5)とを具備している。そして、ベンド部(2)の屈曲方向をベンド部(2)の一部が、平面視にて、固定操作部(41)及び可動操作部(42)の各プレート状張出部(44)の任意の張出し方向に対して突出しない非突出状態となるように、配向調整手段(5)によりベンド部(2)の屈曲方向を変えることで、消防用スタンドパイプをコンパクトに収納することができる。
【0017】
また、上記いずれかの消防用スタンドパイプにおいて、前記ベンド部(2)は、平面視にて、前記パイプ本体(1)の中心から前記接続口(21)まで所定の屈曲長さ(B1)で屈曲伸長し、当該屈曲長さ(B1)は、前記二種類のいずれかの代表長さの半分以下からなる、ことが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、ベンド部(2)は、平面視にて、前記パイプ本体(1)の中心から接続口(21)まで所定の屈曲長さ(B1)で屈曲伸長し、当該屈曲長さ(B1)は、二種類のいずれかの代表長さの半分以下となっている。このため、平面視にて、ベンド部(2)の屈曲伸張した部分が、固定操作部(41)及び可動操作部(42)の各プレート状張出部からはみ出さない状態、例えば
図10に示すように平面視横方向に、平面視縦方向の第一代表長さよりも長い第二代表長さを有する場合、配向調整手段によって屈曲方向(接続口の方向)を平面視横方向に向けることで、平面視縦方向にてプレート状張出部の張り出し平面領域内に収まり、かつ、平面視横方向にてプレート状張出部の張り出し平面領域から大きく突出しない状態とすることができ、消防用スタンドパイプをコンパクトに収納することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、リリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避し、また、コンパクトに収納できる消防用スタンドパイプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1A】実施例に係る消防用スタンドパイプの側面図(収縮時)である。
【
図1B】実施例に係る消防用スタンドパイプの側面図(伸長時)である。
【
図2】実施例に係る消防用スタンドパイプの正面図である。
【
図3】実施例に係る消防用スタンドパイプの操作部の拡大図である。
【
図4】実施例に係る消防用スタンドパイプの
図2のA−Aにおける断面図である。
【
図5】実施例に係る消防用スタンドパイプの平面図である。
【
図6】実施例に係る消防用スタンドパイプの底面図である。
【
図7】実施例に係る消防用スタンドパイプの操作部の拡大図である。
【
図8】実施例に係る消防用スタンドパイプの
図8のB−Bにおける垂直方向の断面図である。
【
図9】実施例に係る消防用スタンドパイプの
図8のB−Bにおける平行方向の断面図である。
【
図10】実施例に係る消防用スタンドパイプのプレート状張出部の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の消防用スタンドパイプの実施例について図面を参照して説明する。なお以降において構成名称に続けて記載する数字列は、図面の実施例の相当構成を参照して理解するための参照用符号であって、これによって構成自体を図示のものに限定したり意義を限定したりするものではない。
【0022】
(実施例)
本実施例に係る消防用スタンドパイプは、中央部に通水路13を有するパイプ本体1と、パイプ本体1の上部11に設けられたベンド部2と、パイプ本体1の下部12に設けられた消火栓接続口との接続構造3と、接続構造3の消火栓接続口との接続を解除する操作部4と、ベンド部2の屈曲方向を調整できる配向調整手段5とを備えている。
【0023】
図1A,
図1B及び
図2に示すように、パイプ本体1は、少なくとも上方へ伸長した剛体の管体からなり、外筒1Aと、外筒1Aに一部が収容可能に接続された内筒1Bとを備える。内筒1Bは、外筒1Aに対して軸方向に移動可能となっており、
図1Bに示すように、内筒1Bを外筒1Aから引き出す(伸長させる)ことでパイプ本体1の長さを調整することができる。また、不使用時には、
図1Aに示すように、内筒1Bの一部を外筒1A内へ収容する(短縮させる)ことでパイプ本体1の長さを短くして、コンパクトに収納することができるように構成されている。
【0024】
図1A,
図1B及び
図2に示すように、ベンド部2は、パイプ本体1の上部11に、管方向を縦方向から一側方向へ屈曲させてなり、当該屈曲先に接続口21を有している。このベンド部2の接続口21には、ホース又は消防用継手が接続される。また、
図1A,
図1B及び
図5に示すように、ベンド部2は、平面視にて、パイプ本体1の中心から接続口21まで所定の屈曲長さB1で屈曲伸長している。さらに、ベンド部2には、取手となる把持部22が設けられている。
【0025】
図6に示すように、接続構造3は、管状の接続口の周部に沿って収容された複数の係止爪31と、各係止爪31を接続口の管中心側へ突出させるよう弾性付勢する弾性材(不図示)とを備えている。消防用スタンドノズルは、接続構造3が備える複数の係止爪31により図示しない消火栓接続口へ係止接続される。
【0026】
図1A,
図1B及び
図2に示すように、操作部4は、パイプ本体1の下部を除く中央部又は上部付近に設けられ、接続構造3をロッド牽引する可動操作部42を有している。この可動操作部42の移動によって接続構造3がロッド牽引され、接続構造3の係止爪31が接続口の管中心側から外側へと移動して接続構造3の消火栓接続口への接続が解除される。
【0027】
具体的には、
図3に示すように、操作部4は、パイプ本体1の周囲へプレート状に張り出した固定操作部41と、固定操作部41の下方にて所定の離間距離を有してパイプ本体1の周囲へプレート状に張り出した可動操作部42とからなり、可動操作部42を、固定操作部41側へ近接するよう上方へスライド移動させることで可動操作部42にロッド連結されたロッド43によって係止爪31を上方へ牽引し、突出状態(各係止爪31が接続口の管中心側へ突出した状態)の係止爪31を、接続口の周部外方へ収容された突入状態(各係止爪31が接続口の周部外方へ収容された状態)となり、接続構造3の消火栓接続口への接続が解除される。
【0028】
また、操作部4の固定操作部41及び可動操作部42は、共に多角形又は円形のプレート状張出部44を有しており、それぞれのプレート状張出部44が、所定の離間距離で平行に配置されている。そして、可動操作部42が、固定操作部41と平行を保った離間距離が縮まるようにパイプ本体1の管方向に沿ってスライド移動するよう構成されている。
【0029】
また、
図4及び
図9に示すように、可動操作部42のプレート状張出部44の下面44Bには、複数の微細凹凸部からなる微細凹凸加工45(
図4参照)、又は、面内の一部に所定形状で形成した収容凹部46(
図9参照)の少なくともいずれかの加工が施されている。なお、固定操作部41のプレート状張出部44の上面44Aにも、複数の微細凹凸部からなる微細凹凸加工45、又は、面内の一部に所定形状で形成した収容凹部46の少なくともいずれかの加工を施すようにしてもよい。
【0030】
なお、
図10に示すように、操作部4の固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44を、平面内の互いに交わる軸方向へ長さの異なる第1,第2の代表長さL1(短径),L2(長径)を有した、扁平円形又は扁平多角形の平面形状で構成するようにしてもよい。例えば、プレート状張出部44を、平面内の互いに交わる軸方向へ長さの異なる第1,第2の代表長さL1,L2を有した、扁平円形(
図10(a)及び
図10(b))の平面形状としてもよく、扁平多角形(
図10(c))の平面形状としてもよい。また、固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44の形状を互いに異なるようにしてもよい(
図10(d))。
【0031】
なお、
図10(a)及び
図10(c)に示すように、ベンド部2の屈曲長さB1が、操作部4の固定操作部41及び可動操作部42の第2の代表長さL2(長径)の半分以下となるようにしてもよい。また、
図10(a)及び
図10(c)では、ベンド部2の屈曲長さB1が、操作部4の固定操作部41及び可動操作部42の第2の代表長さL2(長径)の半分以下となるようにしているが、ベンド部2の屈曲長さB1が、操作部4の固定操作部41及び可動操作部42の第1の代表長さL1(短径)の半分以下となるように構成してもよい。
【0032】
図1A,
図1B及び
図2に示すように、配向調整手段5は、ベンド部2をパイプ本体1に回転可能に接続しており、この配向調整手段5により、ベンド部2の接続口21がパイプ本体1に対して所定又は任意の屈曲方向を向くように調整が可能となっている。この配向調整手段5により、ベンド部2の屈曲方向を変えることで、ベンド部2の一部が、平面視にて、固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44の張出し方向に対して突出しない非突出状態とすることができる。
【0033】
以上のように、本実施例に係る消防用スタンドパイプは、少なくとも上方へ伸長した剛体の管体からなるパイプ本体1と、パイプ本体1の上部11に設けられた、ホース又は消防用継手への接続口21と、パイプ本体1の下部12に設けられ、消火栓接続口への係止爪31を突出入可能に備えた接続構造3と、パイプ本体1の下部を除く中央部又は上部付近に設けられ、接続構造3をロッド牽引する可動操作部42を有し、当該可動操作部42の移動によって接続構造3の接続を解除する操作部4とを備えている。
【0034】
操作部4は、パイプ本体1の周囲へプレート状に張り出した固定操作部41と、固定操作部41の下方にて所定の離間距離を有してパイプ本体の周囲へプレート状に張り出した可動操作部42とからなる。接続構造3は、管状の接続口の周部に沿って収容された複数の係止爪31と、各係止爪31を接続口の管中心側へ突出させるよう弾性付勢する弾性材32とを備えている。そして、可動操作部42を、固定操作部41側へ近接するよう上方へスライド移動させることで、可動操作部42にロッド連結されたロッド43によって係止爪31を上方へ牽引し、突出状態の係止爪31を、接続口の周部外方へ収容された突入状態としている。
【0035】
すなわち、操作部4は、パイプ本体1の周囲へプレート状に張り出した固定操作部41と、固定操作部41の下方にて所定の離間距離を有してパイプ本体の周囲へプレート状に張り出した可動操作部42とからなり、接続構造3は、管状の接続口の周部に沿って収容された複数の係止爪31と、各係止爪31を接続口の管中心側へ突出させるよう弾性付勢する弾性材32とを備えている。そして、可動操作部42を、固定操作部41側へ近接するよう上方へスライド移動させることで、可動操作部42にロッド連結されたロッド43によって係止爪31を上方へ牽引し、突出状態の係止爪31を、接続口の周部外方へ収容された突入状態とする。このため、消防用スタンドパイプの消火栓接続口への接続を解除するリリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避することができる。また、操作部4は、パイプ本体1の周囲へプレート状に張り出した固定操作部41及び可動操作部42とからなるので消防用スタンドパイプをコンパクトに収納することができる。
【0036】
また、本実施例に係る消防用スタンドパイプは、固定操作部41及び可動操作部42が、共に多角形又は円形のプレート状張出部44を有すると共に、それぞれのプレート状張出部44が、所定の離間距離で平行に配置されるとともに、可動操作部42が、固定操作部41と平行を保った離間距離が縮まるようパイプ本体1の管方向に沿ってスライド移動するように構成されている。
【0037】
すなわち、固定操作部41及び可動操作部42が、所定の離間距離で平行に配置された多角形又は円形のプレート状張出部44を有しており、可動操作部42が、固定操作部41と平行を保った離間距離が縮まるようパイプ本体1の管方向に沿ってスライド移動する。このため、固定操作部41及び可動操作部42を上下に握るようにして操作することができ容易に操作を行うことができる。また、固定操作部41及び可動操作部42のプレート状張出部44間の距離により、消防用スタンドパイプの消火栓接続口への接続が解除されたがわかるので、接続が解除されていないにも関らず、消防用スタンドパイプを消火栓接続口から取り外そうとする等のご操作を防止することができ、リリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避することができる。
【0038】
また、本実施例に係る消防用スタンドパイプは、固定操作部41のプレート状張出部44の上面44A又は可動操作部42のプレート状張出部44の下面44Bの少なくともいずれかに、複数の微細凹凸部からなる微細凹凸加工45、又は、面内の一部に所定形状で形成した収容凹部46、の少なくともいずれかの加工を施している。
【0039】
このため、微細凹凸加工(例えばローレット加工)により静摩擦係数を増加させて、操作する際の手指を滑りにくくし、或いは、収容凹部内によって形成する操作する際の手指の一部を沿わせて収容する箇所を形成して、手指の掛かり位置ないし当たり位置を安定させることができる。このため、リリース(係止解除)操作の確実性を担保しつつ、不要な外部係止や接触事故を回避することができる。
【0040】
また、
図10に示すように、本実施例に係る消防用スタンドパイプの固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44は、平面内の互いに交わる軸方向へ長さの異なる第1,第2の代表長さL1,L2を有した、扁平円形(
図10(a)及び
図10(b))又は扁平多角形(
図10(c)及び
図10(c))の平面形状、となっている。
【0041】
そして、扁平円形又は扁平多角形の平面形状は、平面視にて、直交する二軸方向の一方に長く他方に短い楕円又は長円形状であるか、或いは、直交する二軸方向の一方に長く他方に短い変形多角形を含んでいる。このため、コンパクトに収納することができる。
【0042】
また、本実施例に係る消防用スタンドパイプは、パイプ本体1の上部に、管方向を縦方向から一側方向へ屈曲させてなり、当該屈曲先に接続口21を有したベンド部2と、ベンド部2の接続口21がパイプ本体1に対して所定の屈曲方向を向くように調整し得る配向調整手段5とを備えている。そして、配向調整手段5によってベンド部2の屈曲方向を変えることで、ベンド部2の一部が、平面視にて、固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44の任意の張出し方向に対して突出しない非突出状態とすることができる。
【0043】
すなわち、パイプ本体1の上部に、管方向を縦方向から一側方向へ屈曲させてなり、当該屈曲先に接続口21を有したベンド部2と、ベンド部2の接続口21がパイプ本体1に対して所定の屈曲方向を向くように調整し得る配向調整手段5とを備えており、ベンド部2の屈曲方向をベンド部2の一部が、平面視にて、固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44の任意の張出し方向に対して突出しない非突出状態となるように、配向調整手段5によりベンド部2の屈曲方向を変えることで、消防用スタンドパイプをコンパクトに収納することができる。
【0044】
また、本実施例に係る消防用スタンドパイプのベンド部2は、平面視にて、パイプ本体1の中心から接続口21まで所定の屈曲長さB1で屈曲伸長し、当該屈曲長さB1は、操作部4の固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部44の第1,第2の代表長さL1,L2の半分以下となっている。
【0045】
このため、平面視にて、ベンド部2の屈曲伸張した部分が、固定操作部41及び可動操作部42の各プレート状張出部からはみ出さない状態、例えば
図10に示すように平面視横方向に、平面視縦方向の第一代表長さよりも長い第二代表長さを有する場合、配向調整手段によって屈曲方向(接続口の方向)を平面視横方向に向けることで、平面視縦方向にてプレート状張出部の張り出し平面領域内に収まり、かつ、平面視横方向にてプレート状張出部の張り出し平面領域から大きく突出しない状態とすることができ、消防用スタンドパイプをコンパクトに収納することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 パイプ本体
1A 外筒
1B 内筒
2 ベンド部
3 接続構造
4 操作部
5 配向調整手段
11 パイプ本体の上部
12 パイプ本体の下部
13 通水路
21 接続口
22 把持部
31 係止爪
41 固定操作部
42 可動操作部
43 ロッド
44 プレート状張出部
45 微細凹凸加工
B1 所定の屈曲長さ
L1,L2 第1,第2の代表長さ