(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0028】
実施の形態1.
図1〜
図22は、実施の形態1を示すものである。
(定義)
「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいう。家電機器EEには、後述する誘導加熱調理器8、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9、照明器具6が含まれる。なお、以下の説明では、家電機器EEという場合には、特に断りがない限り、誘導加熱調理器8、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9を含む。
誘導加熱調理器8は、加熱調理器の一種である。他の種類の加熱調理器としては、トッププレートの下方から熱線を放射して加熱調理を行う輻射式電気加熱源を利用した加熱調理器もある、そこで以下の説明では、誘導加熱調理器は「加熱調理器」と呼ぶ。
【0029】
家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)定格消費電力
(5)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(6)使用開始年月日
(7)品質保証書番号
【0030】
「統合管理装置」10とは、2つ以上の家電機器EEを連携して動作させるための装置をいう。例えば加熱調理器8の運転と、他の家電機器EE、例えば空気清浄機7、排気装置9等の運転とを連携させる装置をいう。統合管理装置10は、家電機器EEの運転や停止、待機状態等の現在状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器EEから取得する機能を有する。
【0031】
「電力指令装置」とは、複数の家電機器EEの消費電力を個々に制限し、1つの家庭における総消費電力の上限を規制する機能を備えたものをいう。1つの家電機器EEに対して、「統合管理装置」が「電力指令装置」を兼ねている場合がある(以下述べる実施の形態1がこれに該当する)。
【0032】
また1つの家電機器の「電力指令装置」5が、他の家電機器についても電力指令装置であるとは限らない。例えば、実施の形態1では、後述する空気清浄機7にとって統合管理装置10は電力指令装置ではない。電力指令装置10は、空気清浄機7の運転情報を取得するが、その消費電力の上限値を規制して、1つの家庭の総消費電力の上限が、所定値を超えないように規制する機能がない。つまり、統合管理装置10は、空気清浄機7の運転開始と運転停止及び空気清浄能力の変更を指令する機能だけを有している。言い換えると、他の電気機器EEの運転状況や、その時点の消費電力の総量が統合管理装置10で判定され、その判定結果によって、空気清浄機7自体の消費電力が制限されたり、運転の開始が禁止されたりすることはない。
【0033】
後述する統合環境検知部16の「環境情報」とは、統合環境検知部16で得られた室内気温等の「環境データ」それ自体と、そのような環境データに基づいて作成した「環境評価情報」を総称したものをいう。「環境情報」には、家屋の居住快適性に影響する以下のような種類の情報を含むが、これに限定されない。
(1)温度情報
(2)湿度情報
(3)塵埃飛散度(単位空気容積あたりの塵埃量)情報
(4)花粉飛散量情報
(5)光量(可視光線量)情報・・・言い換えると居住空間の明るさの情報である。
(6)騒音情報・・・居住空間の静けさの情報である。
【0034】
統合環境検知部10が取得した気温(例えば、35℃)のデータは環境データに該当する。その気温(35℃)に基づいて、何らかの評価基準や計算処理等を経て分類やランク付け、又はその他加工をされた情報は、前述したように「環境評価情報」に該当する。例えば、「室温は高い」、「標準気温」というような情報が前記「環境評価情報」に該当する。
【0035】
「空気質改善機器」とは、居住空間内の空気の温度、湿度、清浄度等を改善する効果のあるものをいう。清浄度を向上させると有害物質や塵埃の含有量が少なく、清浄な空気となる。実施の形態1では、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9が該当する。
【0036】
図1は、1つの家屋の例を示している。
図1において、3は、1つの家屋1の居住空間を示すもので。例えばキッチンである。この
図1の家屋1では1つしか示されていないが、他に居間や寝室等の居住空間がある。この居住空間3には、家屋1の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計2を介して家屋1の内部に引き込まれている。
【0037】
4は、200Vの商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。電源線には、空気調和機5、照明器具6、天井設置型の空気清浄機7、加熱調理器8、レンジフード等の空気の排気装置9が、それぞれ接続されている。なお、
図1においては、空気調和機5、照明器具6、空気清浄機7、排気装置9は、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。
【0038】
10はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置を兼ねた統合管理装置であり、キッチンの垂直壁面11(
図2、
図13参照)等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。なお、照明器具6、空気清浄機7及び排気装置9は、居住空間の天井を構成する水平壁面12に支持されている。
【0039】
図1において、13は、居住空間HAの室内の気温と湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。14は、家屋の外部空間に設置された温度センサーであり、環境センサーの1種である。
【0040】
前記複合センサー13、温度センサー14は、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で後述する統合管理装置10の統合環境検知部16に送信する機能を有している。またこれら環境センサーの電源は充電された電池でも良いし、電源線1からの電力でも良い。またこれらセンサーは、その消費電力は1W(ワット)程度の小さいものであるため、電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置5の電力制限対象にはしていない。
【0041】
これら環境センサーは、所定のタイミングで統合管理装置10へ計測データを継続的に送信している。例えば、空気調和機5のある居住空間3においては、1分間隔で、また寝室(図示せず)では2分間隔で気温と湿度が計測されている。なお、前記各種環境センサーは、外部環境、例えば可視光線を受けて自ら電力を発生することにより自ら電源を備えたものでも良い。このようにすれば、前記電源線(主幹線)4との接続は不要にでき、設置が容易となる。
【0042】
図示していないが、上記したものの他に、環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサーと、空気中の単位容積あたりの塵埃量を測定する塵埃センサーと、室内の騒音の大きさを検知する騒音センサーと、室内の明るさを検知する照度センサーとが、各居住空間内のそれぞれ適当な位置に設けてある。また前記複合センサー13の他に、室外又は家屋の外部の気温と湿度とを検知する温度センサーや湿度センサーを設けても良い。更に屋内には、粒子状物質の量を計測するように、例えば、後述するPM2.5センサー42のようなセンサーを設けても良い。これら各センサーの検知結果のデータは、随時統合管理装置10の統合環境検知部16に送信される。
【0043】
一方、家屋1の外部の空気質は、粒子状物質や花粉等の影響が大きいため、花粉センサーや粒子状物質センサーを設けると良い。例えば、
図1では花粉センサー41とPM2.5センサー42を設けている。これらセンサー41、42は、例えば家屋1の外壁表面や玄関のドアの外側表面、窓の外枠、ベランダ、屋上等に設置している。これら各センサーの検知結果のデータは、随時統合管理装置10の統合環境検知部16に送信される。
【0044】
統合環境検知部16自体は統合管理装置10に内蔵されている必要はなく、統合環境検知部9が、統合管理装置10の本体10Aと離れた場所、あるいは別の居住空間に設置され、その本体10Aと無線又は有線で接続されている場合も、「統合管理装置10には統合環境検知部16を備えている」と定義している。
【0045】
図1において、20は、人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間3の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。なお、この家屋1の他の居住空間にもこのような人感知センサーを設置しても良い。
【0046】
人感知センサー20は、人が居るかどうかを検出した結果を、統合管理装置10の本体10Aに内蔵された人感知部21に対し、無線又は電気信号で送信する機能を有している。また人感知センサー20の電源には、事前に充電された電池が使用されても良いし、電源線1から分岐して供給される電力を使用しても良い。またこれらセンサーは、その消費電力は1W〜数W程度の小さいものであるため、前記電源線1からの電力で運転する場合でも、統合管理装置10の電力制限対象にはしていない。これらセンサーは、所定のタイミング(例えば10秒毎)で統合管理装置10へ計測データを継続的に送信している。なお、人感知センサー20は、赤外線式だけに限定されず、他の方式、例えば超音波方式のものを採用しても良い。
【0047】
引き続いて
図1を説明する。
15は、前記加熱調理器8を設置(ビルトイン)した流し台等の厨房家具であり、あとで詳しく説明する。
17は、統合管理装置10に接続されたルーターであり、このルーターは統合管理装置10を電力会社やその家屋1がある地域に情報を発信する地域地震情報提供機関、調理情報提供機関等の外部機関が設置したサーバー19に、インターネット等の広域の通信回路網(「通信ネットワーク」又は「公衆通信網」という)18を介して接続している。なお、ここでいう「外部機関」は、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。これら外部機関は1つには限られない。
【0048】
43は、情報通信の端末機器であり、以下、単に「端末機器」と呼ぶ。この端末機器43は、スマートフォン、携帯端末、タブレットと呼ばれており、人が携帯することに便利な情報通信用の端末機器である。この端末機器43は、不特定多数と通信ができるように通信部44と、端末機器への入力操作(タッチ式や音声入力式)ができる入力画面を備えた表示部45と、前記通信部44と表示部45を制御する制御部46と、を備えている。そしてこの端末機器は、家屋1に居住する家電機器EEの使用者が所有しており、屋外の遠隔地から広域の通信回路網(通信ネットワーク)18を介して統合管理装置10に接続できるし、また外部機関のサーバー19にも接続できるという前提で以下説明する。
【0049】
端末機器43は、家屋1の外部から通信回路網18を介して統合管理装置10に接続し、家電機器EEの一部を遠隔操作できる。この場合の遠隔操作の内容は、家電機器EEによって異なるが、例えば空気調和機5の場合は、冷房や暖房の運転開始、運転停止、室内基本の目標温度(設定温度ともいう)、運転時間の長さ、運転開始時刻と終了時刻等である。つまり、所定時刻になった場合には、空気調和運転を開始したり、停止したりする「予約運転」も設定できる。
【0050】
端末機器43から家電機器EEの運転状況や予約運転状況が遠隔地にあっても確認できるように、端末機器43から統合管理装置10を呼び出して、運転状況を示す情報を受信し、確認できる。つまり、統合管理装置10から所定のサーバー19に家電機器EEの運転情報を送信しているので、そのサーバー19にアクセスして端末機器43は家電機器EEの状態を知ることができる。これらについては、後でも詳しく説明する。
【0051】
図2は、本実施形態1の空気排出システム、家電機器の統合管理装置及び空気質の改善システムが適用されたハードウエアの構成例を示している。1つの居住空間として、キッチンを例にして以下説明する。
【0052】
本発明に係る空気質の改善システムは、天井(水平壁面)12に配置され、室内の空気を清浄化するための空気清浄機7、キッチンに配置された調理を行うための加熱調理器8、加熱調理器8の真上の位置に配置されるレンジフード(排気装置9の一種)26、空気調和機5、統合管理装置10とから構成させている。統合管理装置10は、これら家電機器EEを無線通信によって接続し、連携動作させるために必要である。
【0053】
前記レンジフード26は、その上方に排気口27を有しており、この排気口27には、屋外に連通しているダクト28の一端部が接続されている。29は、下面全体が吸込口31として開放されたフードであり、このフードの内部には排気用の電動ファン26Fが設置されている。なお、このレンジフード26は、天井(水平壁面)12に固定されているが、詳しい構成については説明を省略する。
【0054】
このレンジフード26の運転状況は、統合管理装置10の制御装置22(後で詳しく述べる)に随時送信される。このため、レンジフード26の内部には、統合管理装置10との間で、排気運転の開始、停止と、運転の強度(排気能力の大小)等の各種運転情報を送信する送信部(図示せず)と、受信部(図示せず)とを備えている。例えば、それら送信部と受信部をハードウエアでは一体化し、通信部30として備えている。通信部は統合管理装置10との無線通信又は赤外線通信で情報の授受を行う。
【0055】
電動ファン26Fが回転駆動されると、レンジフード26の吸込口から空気を吸引し、調理時の臭いや煙も吸引して、ダクト28を通して室外に排気するものである。なお、レンジフード26は、加熱調理器8の側から赤外線信号等の運転信号を受信して、運転を開始する方式である。
【0056】
排気装置9に、加熱調理器8の方向に向けて熱感知センサー(熱起電力素子)を配置しても良い。この構成によれば、排気装置9自身が加熱調理器8の運転開始を感知し、電動ファン26Fの運転を制御する。
【0057】
天井設置型の空気清浄機7は、居住空間3天井(水平壁面)12に埋め込む形で設置されている。空気清浄機7の箱型本体7Aの内部には、送風ファン7Fとフィルター33が備えられている。
【0058】
32は、空気案内板であり、空気清浄機7の下方全体を覆っている。34Aは、空気案内板32によって一方の端部(前記レンジフード26に近い側)に形成した吸込口である。34Bは、空気案内板32によって吸込口34Aとは反対側の端部に形成した吹出口である。
【0059】
前記送風ファン7Fは、居住空間(キッチン)3内の汚れた空気を吸込口34Aから吸引し、フィルター33を通して清浄化した空気を、前記吹出口34Bから居住空間3に向けて排出する。このようにして、空気中のほこりや臭いを取り除き、室内の空気を清浄化するものである。
【0060】
35は、空気清浄機7の臭いセンサーであり、前記吸込口34Aの入口部に臨むように配置されている。これは、運転時に空気清浄機7に取り込む空気の中から、臭いを検出し、空気の汚染度を検出している。なお、臭いセンサー35の位置は、吸込口34A側の風路で、かつフィルター33の前段であれば、どこに配置してもその効果に大きな差異はない。
【0061】
前記臭いセンサー35の検出結果は、空気清浄機7の本体7Aの内部に配置された臭い感知部(図示せず)で、臭いの強度が判定され、またその結果は、前記統合管理装置10の統合環境検知部16に随時送信される。このため、空気清浄機7の内部には、統合管理装置10との間で、空気清浄運転の開始、停止、臭いの強度の判定結果等の各種情報を送信する送信部(図示せず)と、受信部(図示せず)とを備えている。例えば、それら送信部と受信部をハードウエアでは一体化し、通信部31として備えている。通信部31は、統合管理装置10との無線通信又は赤外線通信で情報の授受を行う。
【0062】
空気清浄機7が、臭いを検出できるのは、空気清浄機7が運転中であり、しかも、居住空間3のどこかの場所で発生した臭いが、その発生場所から空気清浄機7に到達したときである。
【0063】
ところで、この空気清浄機7は、一般的に空気中の塵埃や花粉等を捕捉するために、微細な空気の通路を有したフィルター33を1枚又は複数枚(複数層)備えた構成である。そのため、油調理で発生した油煙を濾過すると、油の粒子がフィルター33の表面に付着し、油の粒子が結合して油膜を形成し、フィルター33の濾過性能が低下する。すなわち、フィルター33を通過する空気の量が低下し、空気清浄機7の空気浄化能力が低下する事態を招く。そこで、加熱調理で発生した排気の中に油調理で発生した油煙が含まれる場合には、空気清浄機7の運転をできるだけ避けるというアイデアが既に提案されている(特開2016−95126号公報)。そこでこの実施形態1では、このアイデアを更に発展させているが、詳しくは後で述べる。
【0064】
次に
図3について説明する。
図3は、統合管理装置10と家電機器EEの関係を示したブロック図である。なお、家電機器EEの側から見て、統合管理装置10が電力指令装置を兼ねている場合があることは、前に説明したので、ここでは説明しない。
【0065】
図3において、統合管理装置10の本体10Aの中には、人感知センサー20の検知出力を受ける人感知部21、前記複合センサー13と温度センサー14から、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で受信する統合環境検知部16、入力部24を備えている。統合環境検知部16は、花粉センサー41やPM2.5センサー42等からの検知結果も所定の形式のデータで受信している
【0066】
入力部24は、液晶表示画面に形成されたタッチ入力式のキーを操作すれば、消費電力の上限値を設定する家電機器EEを特定し、その上で消費電力の上限値や使用できる時間帯等も設定できる。例えば、使用者は、加熱調理器8の最大消費電力を例えば3000Wのように入力することができる。
【0067】
図3において、さらに統合管理装置10の本体10Aの中には、加熱調理器8や空気清浄機7、空気調和機5、排気装置9等の家電機器EEと個別に無線通信や赤外線通信ができる通信部(受信部・送信部)23と、統合管理装置10の全体の動作を制御する制御装置22と、家電機器EEの毎日の電力制御の履歴情報や統合環境検知部16で取得した毎日の「環境情報」等、比較的大きなデータ量の情報を記録する記憶装置25と、をそれぞれ備えている。記憶装置25は、例えば各種半導体メモリーやHDD等である。制御装置22には、情報処理の中核となるマイクロコンピューターと、ROM及びRAMを内蔵し、各種動作を規定するコンピュータプログラムが格納されている。
【0068】
次に
図4と
図5を説明する。
本実施の形態1における加熱調理器8は、流し台付きの厨房家具15に組み込まれており、商用電源200Vを使用した誘導加熱調理器である。
15Aは、厨房家具2に形成された設置口である。前記加熱調理器8は、この設置口15Aの口縁部に載せて支持されている。厨房家具15は、この実施の形態1では
図5に示すように、水道の給水口51から出る水を一時的に貯めることができる水槽52を備えている。
【0069】
15Bは、厨房家具15の所定の位置に形成した開口であり、この開口は、加熱調理器8を組み込んだ場合、その正面(後述するカバー71側)を前方へ露出させるためのものである。なお、開口15Bと設置口15Aの大きさは、規格によって所定の寸法になっている。
【0070】
加熱調理器8を厨房家具2に組み込む通常の方法は、
図17に示している通りである。この
図17は、厨房家具15への組み込み作業の途中段階を示す模式図である。この図のように、後述する本体ケース53の前方側(手前側)が下になるように傾けたまま、前記設置口15Aの中に本体ケース53を入れ、その後、本体ケース53の後方側を下げると、加熱調理器8が厨房家具15の設置口15Aの周縁部に載せられた状態になるので、最後にその状態を固定するため、ネジを締めて本体ケース53の周縁部に設置してある固定金具(図示せず)を移動(回動)させ、当該固定金具を厨房家具15に強く押し当てた状態にして設置が完了する。なお、このような設置方法は既に広く採用されているので、詳しい構造については説明を省略する。
【0071】
図6に示すように、加熱調理器8は、その本体8Aの外郭を構成する箱型形状の本体ケース53と、この上部に固定された金属製の額縁状の外枠54と、この外枠の上面の略全体を覆うように、その上面に重ねて取り付けられた耐熱強化ガラス製のトッププレート55とから構成されている。なお、このトッププレート55は、その下面全体は可視光線が透過しない塗装面で覆われることにより、トッププレート55の上方からは、その下方の機能部品、例えば後述する右IHコイル60Rが視認できないようになっている。
【0072】
加熱調理器8は、2つの誘導加熱部を備えている。1つは、トッププレート55上の左右中心線CL1(
図7参照)から右側に配置された誘導加熱部(「加熱口」ともいう)に合わせて、その下方に設置された右IHコイル(加熱源)60Rある。このコイルは、ドーナッツ状形状を有している。この右IHコイル60Rの最大火力は3000Wである。最大外形寸法(直径)RRは210mmである。
【0073】
もう1つは、左右中心線CL1(
図7参照)から左側に配置された誘導加熱部(「加熱口」ともいう)に合わせてその下方に設置された左側誘導加熱コイル60Lであり、ドーナッツ状形状を有している。なお、この左側加熱コイル60Lの最大火力は3000Wである。最大外形寸法(直径)RLは210mmである。なお、右側誘導加熱コイル(加熱源)60Rは、以下、「右IHコイル」と呼ぶ。また左側誘導加熱コイル(加熱源)60Lは、以下、「左IHコイル」と呼ぶことにする。
【0074】
前記した右IHコイル60Rと左IHコイル60Lの位置を目安的に示すために、トッププレート55上面には印刷により円形のマーク61L、61Rが形成されている。なお、
図4と
図6では右側のマーク61Rは見えない。
【0075】
前記円形のマーク61R、61Lの位置と大きさ(直径寸法)は、左右のIHコイル60L、60Rの外径寸法に応じて決定される。
図7、
図8では2つのIHコイル60L、60Rの位置が円で示されているが、実際には前述したように非透過性であるトッププレート55が上にあるため、使用者にはこれらIHコイル60L、60Rを目視することはできない。また2つのIHコイル61R、61Lの内、1つ又は2つを、ラジエントヒータや赤外線ヒータ等の輻射式電熱源に代えても良い。
【0076】
左右のIHコイル60L、60Rは、
図7に示すように、中心線CL1を挟んで互いに対称的な位置に配置されている。
【0077】
図4、
図6、
図7、
図9において、62は、平面形状が楕円形又は長方形の調理器具(第1の調理器具)であり、
図6、
図11、
図15にそれぞれ詳しく示しているように、ステンレスや鉄等の磁性金属製の皿部63と、この皿部の上方を覆う透明な耐熱ガラス製の蓋体64と、から構成されている。65は、使用者が蓋体64を持ち運ぶための摘みである。また66は、皿部63の両端部に一体成型された取っ手である。
【0078】
図7に2点鎖線で示した長方形状は、前記皿部63の底面の範囲を示しており、皿部63の外郭形状を示していない。言い換えると、皿部63底面の短径寸法は、
図7に符号SSで示している通りである。また、皿部9A底面の長径寸法は、
図7に符号LSで示している通りである。この第1の調理器具62は、この加熱調理器8のために(この加熱調理器の製造者によって)専用に製造されたものである。
【0079】
加熱調理器8の上面を除く他の面を構成するために薄い金属板から形成された本体ケース53を有している。
図9に示すように、本体ケース53は、薄い金属板をプレス装置による折り曲げ加工して断面U字形に成形した胴部53Uと、この胴部の前方側に溶接やネジ止めによって結合された前板53Fと、胴部の後方側に溶接やネジ止めによって結合された後面板53Hとの3者から、上面全体が開口した本体ケースが構成されている。その上面開口部は、トッププレート55が覆っている。前記胴部53Uは、左側面部53Lと右側面部53Rと、これら2つの間を一連に繋いでいる底面部53Bと、の3つで構成されている(
図10参照)。
【0080】
後面板53H(
図9参照)は、1枚の金属製薄板を折り曲げて形成しても良いが、通常は2又は3枚の薄板を溶接やネジ止めによって繋ぎ合せて形成している。53Jは、後述するように設置口15Aの中に、加熱調理器8を挿入する場合(
図17参照)、後面板53Hが厨房家具15に当たらないように(後面板3Hに)形成された傾斜面部である。
【0081】
図6において、58は、後述する送風機BM1が本体ケース53の外部から空気を導入するための吸気口であり、多数の小さい口径の貫通孔を傾斜面部53Jの背面(後ろ面)と、右側面に形成している。なお、この吸気口に導入される空気は、後述する空隙GPUから導入されるものである。つまり、居住空間3の中の新鮮な空気は、空隙GPU(
図14参照)を経由し、第1の送風機BM1に吸引され、最終的に排気口77から再び居住空間3に放出される。
【0082】
図6において、70は、この実施の形態の特徴点の1つである収納室である。この収納室70は、前記本体ケース53の中に区画形成されている。ここで「区画形成」とは、後で説明する下部空間112の中で、収納室70と冷却ユニットCUの部屋(
図10参照)との間が、物理的な物(板や壁等をいう。金属又はプラスチック等で形成されている)で仕切られ、空気の流通が設計上では許容されていない状態をいう。
【0083】
図6において、71は、前記収納室70の前面開口を開閉自在に閉鎖するカバー(扉)であり、後述するトレイ72が連結されている。73は、カバー71によって開閉自在に覆われる挿入口であり、この挿入口を介して、収納室70に物品を入れたり、出したりすることができる。
【0084】
第1の調理器具62の外形形状が、皿部63の両端部に取っ手66を一体に設けたシンプルな構造であるため、前記挿入口73から収納室70の中に格納する場合、また逆にその挿入口73を介して取り出す場合でも、使用者は皿部63と蓋体64を一括して移動でき、便利である
【0085】
取っ手66は、
図6に示しているように皿部63の最も上部に設けると、トッププレート15上面からの間隔を大きくできる。つまり、このトッププレート15の下方にある2つのIHコイル60L、60Rからの距離が大きくなるため、取っ手66が誘導加熱されることを抑制できる。取っ手66は、皿部63の底面(トッププレート15の上面に近接する面)から5cm以上離れた位置にあることが望ましいが、あまり離すと、それだけ皿部63の最大高さ寸法が大きくなり、収納室70や挿入口73の高さ寸法を大きくしなければならない。
【0086】
図7において、90は、平面形状が円形の調理器具(第2の調理器具)であり、一般に市販されている金属製(少なくとも底面部が、磁性金属製)の大径の鍋である。なお、第1の調理器具62や第2の調理器具90よりも、鍋底の直径が小さい鍋を使用することもできる。
【0087】
図14において、空隙GPUは、前記カバー71の下面と、家具表面材80の上面との間に形成された空隙である。この空隙は、カバー71の移動を許容するために、2cm〜数ミリメートル(mm)程度の大きさで形成されている。
【0088】
この空隙GPUも、後述する空隙BS1(
図13参照)に連通しているので、この前方側の空隙GPUから、第1の送風機BM1が空気を導入できる。この空隙を利用して吸気する形態にしているので、本体ケース53の上面に吸気口を設置することを省略できるから、上面のデザイン性を向上させることが期待できる。また、トッププレート55の上方に発生する蒸気や油煙等を吸込まないようにできる。なお、この
図14において、GPTは、カバー71の最上部にある手掛け部75天面と、厨房家具15の前面にある開口15Bの下面との間に、カバー71の移動を許容するために形成される2cm〜数ミリメートル(mm)程度の空隙である。
【0089】
図6において、77は、前記本体ケース53に固定された後部の外枠54に、左右方向に少し離れて、それぞれ形成された2つの排気口である。78は、前記排気口77の上に置かれた2つの排気カバーである。この排気カバーは、
図12に示すように後方に行くに従って屋根が高くなるように全体が湾曲した断面形状を呈しており、排気流を後方へ変更できるようになっている。なお、排気カバー78は、前記排気口77の全体を覆うような横幅寸法を有しており、前記外枠54に着脱自在に固定されている。
【0090】
図6において、84は、正面形状が正方形の右カバーであり、全体がプラスチックの一体成型で形成されている。この右カバーは、前記本体ケース53の前面において、前記収納室70の挿入口73より右側部分を覆うものである。この右カバーは、前記カバー71と同じ厚みを有し、カバー71の右側に隣接するように本体ケース53の前壁面53Fに固定されている。なお、右カバー84とカバー30の高さ寸法は同じであり、またそれら両者の表面の色も同じにしてある。なお、
図8には、カバー71と右カバー84の外形を、破線にて参考的に示している。
図8でWD1は、前記カバー71の横幅寸法を示しており、挿入口73の横幅、言い換えると間口寸法よりも大きく設定されている。
【0091】
図3、
図5、
図6において、前記カバー71と、右カバー84のそれぞれの前面71F、84Fの色と表面形態(模様や光沢の有無、凹凸状態等)は、厨房家具15の前面を構成する家具表面材80、81の前面の色や表面形態と合わせると、更に統一的意匠感が高まる。例えば、家具表面材80、81の正面全体が、単色や木目調で統一されている場合、カバー71の前面71Fと、右カバー84の前面84Fも、同じ単色の色や木目調デザインで統一すれば、この前面71F、84Fだけが厨房家具15の中で目立つこともない。なお、カバー71と家具表面材80、81の前面の色や模様を異ならせ、収納室70の挿入口73を覆うカバー71の存在感を示しても良い。
【0092】
82は、家具表面材80、81の前面に印刷で表示した枠線であり、家具表面材80、81の前面に物理的な凹凸を形成するものではないが、光沢のある金属製の細い板等を張り付けて、高級感を出したものでも良い。
【0093】
図6において、109は、厨房家具15に加熱調理器8を設置し、第1の送風機BM1を運転した場合、その加熱調理器8の吸気口58に吸引される冷却風の流れを示したものである。
【0094】
次に
図7と
図8について説明する。
図7から明らかなように、トッププレート15の上面において、排気カバー78よりも前方から、後述する操作部93の後端までの広いエリアは、誘導加熱調理に利用される加熱調理エリア92である。この「加熱エリア」という意味は、その全域でIHコイル60L、60Rによって誘導加熱できるという意味ではなく、第1〜第2の調理器具62、90等を、加熱調理しない場合に一時的に置いたり、あるいは誘導加熱するために置いたりできるという範囲である。ALは、この加熱エリア92の前後方向の長さ、すなわち奥行寸法を示している。
【0095】
図7から明らかなように、加熱エリア92の前後方向中心線CL2の真下に、前記の2つのIHコイル60L、60Rの各中心部が位置している。なお、2つのIHコイル60L、60Rの設置高さは同一である。言い換えると、トッププレート15の下方において、同一の水平面上に配置されている。
【0096】
図7において、破線で示した横長の長方形の部分は、2つの排気口77である。この2つの排気口77の前後方向の幅WBは、例えば30mm又は40mmに統一されている。言い換えると、右側の排気口77も、左側排気口77においても、その前後方向の幅WBは30mm又は40mmに形成されている。
【0097】
図7において、WA1は、2つの排気口77の、それぞれの横幅寸法である。例えば、200mm〜250mmの範囲の中の1つの寸法である。
前述したように右側のIHコイル60Rの直径RRは、210mm、左側のIHコイル60Lの直径RLも、210mmである。WA2は、2つのIHコイルの中心点を基準に計測したコイル相互間の間隔である。例えば、WA2は、300mmである。
【0098】
WA3は、2つのIHコイルの外側縁同士を基準にして計測した横幅寸法(以下、「第1の寸法」という)であり、例えば、510mmである。
WA4は、右側の排気口77の右側縁から左側排気口77の左側縁までの最大横幅寸法(以下、「第2の寸法」という)であり、例えば、560mmである。この横幅寸法WA4は、トッププレート55の最大横幅寸法598mm(又は600mm)の約93%以上に相当する。
【0099】
図7において、CUは、本体8Aの内部空間を冷却する冷却ユニットである。
この冷却ユニットの外郭ケース107は、電気絶縁性のプラスチック材料から形成された上蓋部115(
図10参照)と、これの下側に組み合わる下側部116と、から構成されている。
下側部116も、電気絶縁性のプラスチック材料から形成されている。この冷却ユニットCUの後方には大きな開口があり、その開口の後方に密着するように前記第1の送風機BM1が配置されている。
【0100】
図7と
図9において、93は、前記トッププレート15の前方側上面に形成された操作部であり、以下述べるように、使用者が指等で軽く触れた時の静電容量の変化を利用して入力できる方式の各種入力キーを、横方向に一直線状に配置している。
操作部93は、右操作部93Rと左操作部93Lの2つを備えている。
【0101】
図7において、94は、後述する制御装置143に商用電源160(
図16参照)を供給することと遮断することができる主電源スイッチ95の操作ボタン又は操作キー(タッチ入力式)である。
【0102】
左IHコイル60L及び右IHコイル60Rと、収納室70との位置について説明する。
図8に示すように、収納室70は、前記右IHコイル60Rの真下の位置を避けてそれよりも左側の範囲にある。
図8で収納室70の外形は破線で示している。
これは、右IHコイル60Rからの磁気的な影響を極力減らすことと、冷却ユニットCUと収納室70との間を隔離する空間が必要であることが主な理由である。なお、この
図8とは左右逆にし、冷却ユニットCUを左側に配置し、収納室70は、前記左IHコイル60Lの真下の位置を避けてそれよりも右側の範囲に配置しても良い。
【0103】
前記右操作部93Rには、3つのタッチ式入力キー96を配置してある。これら入力キー96は、1つ又は複数の入力機能が割り当てられている。例えば、誘導加熱時の火力(消費電力)や、誘導加熱時間、誘導加熱パターン等である。前記右操作部93Rは、右IHコイル60Rの動作開始や停止、その他通電条件(時間や火力等)を指令できるためのものである。また調理の種類を選択できる。例えば湯沸かし、揚げ物、煮物等の調理メニューの何れか1つを選択できる。
【0104】
この実施の形態1では、調理の種別(以下、「調理種別」という)に応じて排気装置9の運転条件を決めている。調理の種別は、調理メニュー(「調理モード」ともいう)によって変化するので、「調理メニュー」の例について以下の通り説明する。
(湯沸かし)
湯沸かしでは、操作部93で使用者が設定した火力(例えば1kw)にて制御装置143が(選択された)IHコイル60Lに高周波電力を印加するように指令すると、温度検出回路144が被加熱物(例えば、鍋など)の温度を、トッププレート55の下方から赤外線式温度センサーによって1秒間隔単位で計測し、監視する。
制御装置143は、予め設定している目標温度(例えば、98℃)に向けて加熱を実施し、温度検出回路144から送信された最新の温度の情報が、目標温度(例えば98℃)になった場合、沸騰したものと判断して、IHコイル60Lへの通電を停止し、また音声合成報知部145により、沸騰したことを知らせる報知を行う。
【0105】
次に、制御装置143は、温度検出回路144から取得した最新の温度の情報が、上記の目標温度よりも低い保温温度(例えば95℃)となるように加熱の停止と開始とを繰り返す(S12)。又は火力を下げて(例えば100W)で連続通電する。
【0106】
このように、保温温度で維持している間に使用者より加熱停止や火力変更の指令が入力された場合は「湯沸し」モードから抜けて「通常加熱」のモードにて加熱を行うことになる。一方、使用者からの指令が入力されず、一定時間(例えば10分)経過した場合は加熱を停止し、音声合成装置145により終了の報知を行う。
【0107】
(揚げ物調理)
揚げ物調理(「揚げ物調理モード」ともいう)とは、食用油を金属鍋等の被加熱容器に入れて行う調理であり。通常は、その油の量を所定量以上にし、油の温度を管理して行うことが好ましく、この実施の形態1では、油の温度が、揚げ物調理モードで設定されている温度(例えば180℃や200℃など)に短時間で上昇させるようにIHコイル60L、60Rの火力を制御する「自動揚げ物」メニューを有している。
天ぷらやコロッケの解凍等がこの揚げ物調理の1種である。油煙の発生が最も多い。
【0108】
(煮込み調理)
煮込み調理は、野菜や肉などの被調理物(食材)を被加熱容器に入れ、水や調理液等とともに、煮崩れしにくい温度である60〜70℃で数分間温度維持したあと、100℃近傍温度まで加熱することにより、野菜が煮崩れせず、肉が柔らかく煮込まれた料理となるものである。
【0109】
(茹で)
野菜や蕎麦、うどん等を茹でるときの調理メニューである。湯沸しモードと同様に、加熱初期は水量に対して最適な加熱制御が可能となり、また、略90℃を超えた段階で、例えば98℃以上の温度で保温状態を維持する。その後、茹でる食材を投入して、湯の温度低下が得られた場合には98℃程度の温度を維持して加熱を行う。なお、この実施の形態1では、蕎麦やうどん等を投入してからの「吹き零れ」対策のため、IHコイル60L、60Rの通電方法を、強・弱変化させ、又はオン・オフ(間欠的加熱動作)させて加熱継続し、お湯の温度を97℃程度に維持して、吹き零れがしにくい温度で一定に保つことできる。
【0110】
(通常加熱)
操作部93で使用者が設定した火力(例えば1kw)にて制御装置143が(選択された)IHコイル60Lに高周波電力を印加するものであり、湯沸かしのような目標温度(例えば、98℃)になった場合、IHコイル60Lへの通電を停止したり、その目標温度付近(例えば、95℃)で温度を維持するように火力を自動調整したり、間欠加熱運転をしたりする制御は行わない。なお、温度検出回路144による過熱防止のための温度監視は行われる。
【0111】
図7において、97は、前記左側操作部93Lに配置した3つのタッチ式入力キーである。この左側操作部93Lは、左IHコイル60Lの動作開始や停止、その他通電条件(時間や火力等)を指令できるためのものである。また調理の種類を選択できる。例えば湯沸かし、揚げ物、煮物等の調理メニューの何れか1つを選択できる。
【0112】
図7において、98は、前記制御装置143に対して外部(統合管理装置10)への無線通信を要求するインターネット接続指令用のタッチ式入力キーである。99は、前記制御装置143に対して、前記第1の調理器具62の存在結果を要求する確認指令用のタッチ式入力キーである。これら2つの入力キー98、99の動作については後で詳しく説明する。
【0113】
図7において、トッププレート55の前方中央部には、透明の表示窓55Aがあり、その近傍で真下には長方形状の表示画面91が配置されている。その表示画面は、例えば液晶表示画面である。この表示画面には、前記操作部93の操作結果が文字や記号等で表示されたり、あるいは前記制御装置143で検知した各種機能部品の動作状況等が表示されたりする。なお、この表示画面は、前記主電源スイッチ95の操作ボタン又は操作キー94を、ONにした以降、前記制御装置143の指令によって表示動作が開始される。なお、表示窓55Aは、トッププレート55の下面全体に施した可視光線を透過しない遮蔽層(塗装による膜)を、部分的に除去し、又は最初から形成しないことによって形成されている。
【0114】
図8〜
図10において、100は、本体ケース53の内部を上下に区画する金属製の水平仕切板であり、その右側部分には、大きな開口101が形成されている。この開口は、右IHコイル60Rに対して、第1の送風機BM1から送られた冷却風が通過するために設けてあり、その右IHコイル60Rの真下にある。なお、上記した「上下に区画する」との意味は、本体ケース53の左右横幅全体に亘り、完全に上下に仕切るというものはない。これについては次の
図9で説明する。この水平仕切板100は、第1の隔壁と呼ぶ場合がある。
【0115】
102は、同じく金属製の水平仕切板100の右側の前方部に形成した開口である。この開口は、左IHコイル60Lに対して、第1の送風機BM1から送られた冷却風を分岐させて供給するために設けてあり、前記開口101の前方に形成されている。103は、水平仕切板100の後方を前後に区画し、排気口77に連通する排気風路104を形成する金属製の後部仕切板である(
図12参照)。
【0116】
前記排気風路104は、主に本体8Aの内部空間を冷却する空気が流れるため「冷却風路」と呼ぶ場合がある。
【0117】
105は、後部仕切板103の後方を左右2つに区画する金属製の中央仕切板であり、これにより排気風路104の終端部が、左側の窓104Lと、右側の窓104Rに分割される。後部仕切板103は、水平仕切板100の後部に固定され、外枠54を下方向から支えている。
【0118】
図8において、117は、インバーター回路基板であり、前記冷却ユニットCUの内部に水平に設置されている。インバーター回路基板117の上には、2つのインバーター回路120L、120R(
図16参照)毎に、電力制御用回路素子149(
図10参照)及びそれら電子部品が取り付けられた2つの放熱用フィン(「ヒートシンク」ともいう)118等が実装されている。回路素子149には、インバーター回路120L、120Rとしてスイッチング動作する絶縁ゲートバイポーラ・トランジスタ(IGBT)やこれに逆並列接続されたフリーホイール・ダイオード(FWD)等の駆動部品が含まれている。放熱用フィンは、IGBTの放熱性能を高めるための部品である。
【0119】
図8において、符号110の矢印は、第1の送風機BM1から送られた冷却風の流れを示すものである。符号111の矢印は、更に下流側における冷却風の流れを示すものである。
【0120】
次に
図9について説明する。
112は、前記水平仕切板100によって、本体ケース53の内部に区画形成された下部空間である。水平仕切板100の上方には、上部空間113が区画形成される。上部空間の天井は、トッププレート55が構成する。下部空間112の右側は、金属製の薄い板から形成され、垂直に立っている第2の隔壁114(
図10参照)によって仕切られている。
【0121】
次に
図10において、前記収納室70は、その全体が例えば複数枚の薄い金属製板を箱状に結合して形成されている。70Tは、その収納室70の天井面を形成する天井壁で、例えば、鋼板やステンレス板で形成されている。
【0122】
70Hは、左右に1枚ずつ配置された金属板製の側面壁70L、70Rの後端部と、金属板製の底面壁70Bと前記天井壁70Tの後端部とに、それぞれネジ止めや溶接によって取り付けられた背面壁である。
【0123】
以上のように、上下・左右・背面の5面が、それぞれ壁70T、70L、70R、70B、70Hによって囲まれることで、前記収納室70が完成する。なお、HS1は、前記底面壁70Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離を示す。また、HS2は、前記トレイ72の底面壁72Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離を示す。
【0124】
次に
図9に戻り、1つの誘導加熱部(加熱口)について説明する。
前記左IHコイル60Lは、コイルベース69と、フェライト(図示せず)と、防磁リング(図示せず)と、を有している。
コイルベース69は、1つのIHコイル(左IHコイル)を一体的に保持している。具体的には、コイルベース69は、中心部に円形の窓を有し、その窓を中心にして放射状に6本〜10本程度の腕を有している。さらにこの腕の周囲は大きな透孔69Aが形成されている。つまり、コイルベース69自体は上下方向に通気性に富む構造である。このようなコイルベース69は、例えば(日本国)実用新案登録第3018751号公報等で提案されている。
【0125】
コイルベース69は、350℃程度でも変形しない耐熱性、電気絶縁性のプラスチックで一体に形成されている。コイルベースの下面には上述したフェライトが取り付けられており、また周囲には、防磁リングを配置している。
【0126】
前記コイルベース32の下面と、水平仕切板100との間には、弾性支持手段として、圧縮バネ等の弾性体(図示せず)が設けてある。その弾性体は、コイルベース69を、トッププレート55の裏面(下面)に弾力的に押し付ける形で支持している。
【0127】
次に
図10について説明する。
下部空間112の右側は、前記第2の隔壁114によって左右に仕切られ、その隔壁の左側には横幅寸法がW2の左側空間が形成されている。隔壁の右側には横幅寸法がW3の右側空間が形成されている。この右側空間には、縦断面形状が正方形又は長方形の冷却ユニットCUが格納されている。冷却ユニットCUの内部には前後方向に大きな通風路が形成されており、その上流側に第1の送風機BM1が配置されている。
【0128】
冷却ユニットCUの内部と、前記収納室70のある左側空間とは、空気の流れがないように構成されている。但し、前記収納室70のある左側空間に、第1の送風機BM1の冷却風の一部を分岐させて供給し、収納室70の周囲やその内部に供給して、収納室70を冷却するように構成しても良い。更に第1の送風機BM1とは別に、専用の送風機(第2の送風機)を設置し、それによって収納室70の周囲やその内部を冷却するように構成しても良い。
【0129】
次に
図11について説明する。
HBは、皿部63上面から蓋体64の下面との間隔で決まる、第1の調理器具62の有効高さである。
前記トレイ72は、左右両側に一体的な凸部121が形成されている。その凸部121の外側には、滑動部品124が装着されている。この滑動部品124は、プラスチック製の支持板122L、122Rに形成された前後方向に水平に伸びた案内溝123に支持されている。滑動部品124は、金属又はプラスチック製である。
【0130】
前記滑動部品124と案内溝123とによって、前記トレイ72は案内溝123に両側が案内されて、前後方向に軽い操作力を与えると簡単に移動可能である。
【0131】
トレイ72は、平面形状が長方形であり、浅い容器状の受け皿形状である。そして、金属又はプラスチック材料から形成されている。例えばアルミニウム製薄板をプレス成型して形成している。この受け皿72の奥行寸法L1は、前記収納室70の奥行寸法L2よりも1cm程度小さいので、収納室70の内部に、完全に格納できる(
図14参照)。
【0132】
前記トレイ72を前方に引き出した際には、前記滑動部品124が、案内溝123の内側を円滑に摺動し、トレイ72を軽い力で円滑に引き出すことができる。また後方に押し込む場合も同様にトレイ72は左右にある支持板122L、122Rによって円滑な移動ができる。
【0133】
図11に詳細に示すように、前記左右一対の支持板122L、122Rは、収納室70の右壁面70Rと左壁面70Lの下部に、前後方向に長く(収納室70の奥行き寸法に合わせて)設置され、ネジ125によってその2つの左右側面壁70R、70Lに固定されている。一対の支持板122L、122Rの荷重は、収納室70の底面壁70Bが受ける。
【0134】
126は、支持板122L、122Rの最も上端部に形成した段部であり、横方向に広がるように直角に屈曲した縦断面形状となっている。
【0135】
63Eは、第1の調理器具62の皿部63の最も上端部に一体に形成されている蓋受け部であり、蓋体64を載せることができる。72Eは、トレイ72の左右両側に、トレイ72の中心から見て左右両方向へ突出するよう、一体に形成した段部である。
【0136】
前記トレイ72の段部72Eは、
図11に示すように前記支持板122L、122Rの段部126の真上に伸びているため、使用者がトレイ72を引き出す場合でも、そのトレイ72の両側に支持板122L、122Rは殆ど見えない。つまり、トレイ72の段部72Eは、機械的構造物である支持板122L、122Rを見えにくくし、意匠性を向上させている。
【0137】
図11において、GPSは、トレイ72の底面と収納室70の底面壁70Bとの間に形成した空隙であり、この空隙の高さHPは、10〜20mm程度に形成されている。この空隙を過剰に大きくすると、前記トレイ72の底面壁72Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離HS2、つまり有効高さを低くすることになるため、物品の収納性を低下させる懸念がある。
【0138】
前記空隙GPSは、トレイ72と底面壁70Bとの間に空気の自然な移動を許容するように設けてある。トレイ72自体の機械的強度を上げ、トレイ72が平面度を保つように底面壁72Bに一体的にリブ127を形成している。なお、このトレイ72の下の空隙GPSを利用して冷却用や乾燥用の空気を強制的に流す構成を採用する場合、前記リブ127をそれらの空気流の案内板として兼用させるようにしても良い。
【0139】
次に
図12について説明する。
78は、
図6でも説明したように排気口77の上に置かれた2つの排気カバーである。78Eは、排気カバー78の後端縁であり、この部分によって排気口77からの排気流(矢印111Lで示す)が
図12に示すように後方へ向けられて放出される。
128は、排気カバー78の後端縁78Eの下側に形成された最終排気口である。なお、この最終排気口を前記排気口77と兼用させても良い。すなわち、排気カバー78を設けず、排気口77から居住空間3へ排気するようにしても良い。
【0140】
103は、後端部が前記外枠54に固定された金属製の後部仕切板、129は、この後部仕切板の途中に形成した複数個の通気窓である。この通気窓は全て同一形状であり、上部空間112の後部に、左右方向に複数個が規則的に点在するように設けてある。この後部仕切板103は、前記水平仕切板100の後部に一体に形成したものでも良いし、別個に形成して水平仕切板100の後部にネジ止めや溶接等で一体化したものでも良い。
【0141】
103Aは、後部仕切板103の後方水平部に形成した連通窓であり、外枠54に形成した排気口77と対応した位置に設けてある。なお、この連通窓103Aと排気口77との大きさと形状は、同じである。
【0142】
130は、排気口77の真下に形成された水受け部であり、排気口77を介して水やごみ等の異物が入った場合、この部分で受けることにより、通気窓129を乗り越えて、水平仕切板100側へ水等の異物が侵入しないようにしている。この水受け部130は、前記水平仕切板100の後部を一体に凹ませて形成するか、又は別の金属製部品を設けて、これを水平仕切板100の後部に固定して設置しても良い。
【0143】
130Aは、前記水受け部130の内側壁面で周囲が囲まれた屈曲空間部である。つまり、本体ケース53の後部には、前記排気口77に至る排気風路104の末端部が配置され、この末端部には、前記IHコイル60L、60Rを冷却した後の冷却風が、上方向に向きを変えるための屈曲空間部130Aが形成されている。水受け部130の後側の内側壁面に通気窓129側から進行してきた冷却風が当たることになるので、
図12に示すように、冷却風は上方へ向きが変えられる。
【0144】
次に
図13について説明する。この
図13は、全体の構成を簡略化して示したものである。2つの排気カバー78は実線での図示に代えて、破線で図示している。
カバー71を前方に引くと、前記トレイ72を収納室70の中から前方に引き出すことが可能であるが、この引き出し量を一定限度に制限した方が好ましい。トレイ72の中には、前記した第1の調理器具62を載せているため、必要以上に引き出すことを防止し、トレイ72の落下を防止する機構を備えているが、具体的には図示していない。しかし、トレイ72の後部に突起を設ける一方、収納室70の内側には、前記トレイ72をある限界位置まで引き出した際に、前記突起が当るようなストッパーを設けることで簡単に実現できる。
【0145】
図13において、LDは、カバー71を前方に引いた場合の最大引出し量を示している。この最大引出し量は、前記第1の調理器具62を、トレイ72の上から持ち上げて、収納室70の挿入口73から外へ運び出せる寸法に設定されている。例えば25cmである。また、この
図13に示すように、トレイ72を前方に一定限度まで引き出した状態でも、トレイ72は、略水平に支持される構成になっている。これは、トレイの左右両側に固定した滑動部品124が、収納室70の左右の側壁面70L、70Rに固定された一対の支持板122L、122Rに係合しているからである。
図13に示しているように、第1の調理器具62の重量とカバー71の重量を、トレイ72が支え、そのトレイ72の総重量を、前記収納室70の左右両側面壁70L、70Rが支えるという形になっている。
【0146】
図13において、131は、トレイ72の後部垂直壁に取り付けた永久磁石、132は、収納室70の後面壁70Bに設置した磁気感知スイッチ(リードスイッチ)である。
トレイ72が収納室70の最も奥の所定位置まで挿入されている場合、加熱調理器8の運転開始準備段階では、前記リードスイッチ132が、永久磁石131の接近を検知するからONを示す信号を出力することとなり、その検出信号は制御装置143に入力されるので、制御装置143では、カバー71が閉鎖されており、加熱調理を開始して良いと判断する。つまり、前記リードスイッチ132は、安全装置SDの一部を構成している。ここでいう「安全装置」は、前記制御装置143とリードスイッチ132の両者によって構成されていることが分かる。
【0147】
図13において、SP1は、左側加熱コイル8Lの下面と金属製の水平仕切板100との間に確保された空隙を示し、少なくとも3〜5cm以上に設定されている。SP2は、前記水平仕切板100の下面と、収納室70の上壁面70Tとの間に形成された空隙であり、少なくとも1〜2cmに設定してある。なお、前記収納室70の上面壁(天井壁)70Tの位置は、この上壁面70Tが磁性金属製であるかどうかに関係なく、左側IHコイル60Lから磁気的な影響を受けることを低減させるため、左側IHコイル60との間隔が、最低でも5cm、好ましくは6cm以上離れた位置となるように設定されている。なお、収納室70の内部には、金属製のスプーンや鍋等が収納され、これらが誘導加熱される可能性があるため、上面壁70Tが仮にプラスチック製であっても上記のような空隙SP1、SP2を確保することが望ましい。
【0148】
図13において、BS1は、前記後面板53Hと収納室70の背面壁70Hとの間に形成された空隙である。106は、この空隙を上下に区画して、上下の空間で空気が流通しないように水平に設けた仕切板である。そして本体ケース53の中の、仕切板106より下方空間に第1の送風機BM1が配置されている。
【0149】
図13において、140は、厨房家具15の内部を上下に仕切る仕切板で、この仕切板の下方空間141は、物品の収納庫として利用される。157は、厨房家具15に設置された加熱調理器8の本体8A下面と、前記仕切板140との間に確保されている通路である。この通路の前方端は、カバー71と家具表面材80との間に形成される空隙GPUと、右カバー84と家具表面材80との間に形成される空隙(図示せず)を介して、加熱調理器8の前方側空間に繋がっている。前記通路157は、
図6に符号109で示した冷却風の流れる通路となる。
【0150】
次に
図14について説明する。
前記収納室70の挿入口73最前縁から、収納室70の背面を構成する背面壁70Hまでの距離(奥行寸法)L2は、例えば30cmである。この奥行寸法L2は、取っ手66を含めた第1の調理器具62の最大長さよりも大きく設定されており、第1の調理器具62はこの収納室70の中に、前後方向に挿入されて格納できる。
【0151】
収納室70に取り出し自在に格納する物品として、第1の調理器具62が最も大きいため、この調理器具62の外形寸法を考慮して挿入口73の大きさを決定している。この収納室70に格納できる他の物品としては、例えば加熱調理器8に付属している取扱説明書や、調理後に特にトッププレート55の上面や操作部93の表面等の簡単な清掃をする洗剤、あるいは別の調理器具90(これに付属する蓋体があれば、その蓋体も含む)がある。
【0152】
収納室70の底面壁70Bの上面から天井壁70Tの下面までの距離(高さ寸法)HS1は、摘み65までも含めた調理器具62全体の最大高さ寸法よりも十分大きく、例えば10cmである。更に挿入口73から奥側の壁面70Hまでの寸法は一定である。挿入口73の間口(横幅寸法)は、例えば15cmである。このため収納室70の平面形状は、挿入口73から後方に向かって細長い形、長方形になっている。
【0153】
前記収納室70の挿入口73の大きさ(横幅と高さ寸法)は、前述した調理器具62の皿部63と蓋体64とを、重ねた状態のまま挿入できるように設定されているので、使用者が格納する場合、蓋体64と皿部63を分けたり、上下方向を変えたりする手間は必要なく、使い勝手が良い。
【0154】
図14に示しているように、本体ケース53の底面部53Bにおいて、収納室70が設置できる範囲は、前方の挿入口73を基準にして所定の長さ53Kの範囲である。
【0155】
図14において、BS1は、前記後面板53Hと厨房家具15の背面板15Uとの間に形成された空隙である。後述する第1の送風機BM1は、この空隙から冷却用の空気を吸引する。
【0156】
図14において、133は、本体ケース53の前面で、前記挿入口73の真上位置に取り付けたシール材である。このシール材は、例えばシリコンゴム製等の弾力性に富む素材から形成されており、カバー71で挿入口73を閉鎖した場合、その手掛け部75の背面に先端が接触するようになっている。なお、このシール材133は、収納室70の挿入口73側を完全に気密状態に保つものでなくとも良い。すなわち、カバー71が閉じた状態で、収納室70は、挿入口73口縁とカバー71との間に、空気の流通を許容する程度の隙間(例えば数mm程度の空隙)があっても良い。
【0157】
図14において、71Fは、前記カバー71の前面を示しており、この前面は、厨房家具15の中に加熱調理器8を組み込んだ場合、その下方に隣接して存在する扉又は引出し等の飾り板(家具表面材)80と、面一状態となる。言い換えると、加熱調理器8を組み込んだ場合、そのカバー71の前面71Fは、真上から見ると、家具表面材80の前面80Fと一直線上に並ぶ位置となる。そして家具表面材80と、カバー71とは、厨房家具15を前方から、あるいは斜め前方から見ても、統一された平面になっているような意匠感覚を使用者に呈することができる。なお、右カバー84の前面84Fの位置も、前記カバー71の前面71Fの位置と合わせてある。
【0158】
図14において、USは、加熱調理器8を厨房家具15の中に組み込んだ場合、その本体ケース53の下方と前記仕切板140との間に形成された通路157の上下方向の間隔を示すものである。この間隔の通路157は、前記空隙GPUを介して居住空間3に連通しているので、第1の送風機BM1が運転された場合には、居住空間3の中の新鮮な空気は、空隙GPUを経由し、加熱調理器8に吸引され、最終的に排気口77から再び居住空間3に放出される。
【0159】
次に加熱調理器1の制御関係の構成について
図16を参照しながら説明する。
95は、使用者によって開閉操作される主電源スイッチで、200Vの商用電源142に電源プラグ(図示せず)介して接続されている。94は使用者によって開閉操作される主電源スイッチ用の操作キー、148は、この主電源スイッチ95を介して電気エネルギーが供給される電源回路、143は、この電源回路から所定の定圧電流が供給され、マイクロコンピューターを中心に構成されている制御装置である。
【0160】
前記マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。また、前記マイクロコンピューターの記憶部(ROM、RAM)とは別に、異常監視情報を記録する大容量の記憶装置143Rを内蔵している。
【0161】
誘導加熱調理中は、電気的な異常状態の有無の監視が制御装置143によって実施されている。そのために図示していないが、前記インバーター回路基板117には、複数の電圧計、電流計(電流センサー)等を備えている。さらに制御装置143は、温度検出回路144から温度情報を得て、加熱調理器8の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば操作部93やIHコイル60L、60Rが、所定温度を超えないように温度検出回路144を通じて監視しており、前記所定温度を超えた時点で「異常予備状態」にあると制御装置143によって判定される。さらにその温度より所定温度(数℃)を超えると危険度高まり、制御装置143は本当の異常状態と認定する。
【0162】
この実施の形態1で、温度検出回路144の「測定対象物」とは、鍋等の被加熱容器に入れられた被調理物(食材や食用油等)、金属製の鍋やフライパン等の被加熱物(第1の調理器具62を含む)及びトッププレート55等を含む。
【0163】
この異常予備状態では直ちに加熱動作は停止せず、本体ケース53の内部空間を冷却している第1の送風機BM1の送風能力を上げることで改善する。しかし更に温度上昇した場合にはその時点で異常状態と制御装置143によって判定され、直ちに加熱動作を停止するため、例えば、加熱動作中である右IHコイル60Rに高周波電力を供給しているインバーター回路120Rの電源供給を遮断する。
【0164】
そして、少なくともこのような異常予備状態から緊急停止までの期間における加熱調理器8の主要な部分の電気的、物理的な変化状況を示す(異常監視)情報が、制御装置143の記憶部143Rの中に格納される。なお、記憶部143Rに記憶される異常監視情報は、主電源スイッチ95を入れた時点から取得開始され、調理を停止するまでの電気的、物理的変化の履歴が反映されたものとなる。そのため、その後選択した調理メニュー(例えば、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」など)や、誘導加熱の火力の情報も、時系列で記録される。途中で異常状態が原因で緊急停止した場合は、その時点まで異常監視情報が前記記憶装置143Rに保存されることになる。
【0165】
前記インバーター回路基板117の中には、2つのインバーター回路120L、120Rが1つずつ内蔵されている。
インバーター回路120Lは、前記左IHコイル60Lに高周波電流を供給するためのものであり、共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路に接続されている。
【0166】
120Rは、前記右側のIHコイル60Rに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。そしてこれら2つのインバーター回路120L、120Rは、前記制御装置143によって互いに独立して駆動されるようになっている。
【0167】
145は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生の報知情報などを、スピーカー146から音声でその都度報知する。
【0168】
144は、前記した温度検出回路である。この温度検出回路は、複数個の温度センサー(図示せず)が接続されている。
温度検出回路144は、2つのIHコイル60L、60Rによって加熱されるトッププレート55上の、第1の調理器具62の温度や、そのトッププレート55の温度、上部空間113の雰囲気温度、インバーター回路120L、120R、表示画面91等の温度を検知する。そして、それら温度検出結果を制御装置143に温度検出情報として随時送信する。前記温度センサー(図示せず)は赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
【0169】
147は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、後述する主電源スイッチ95に繋がる電源回路148とは別の専用電源(内蔵電池)BT1から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置143から求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、この加熱調理器8の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、加熱調理器1の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置143に伝える機能がある。このため、前記制御装置143の記憶装置143Rに記録される異常監視情報も、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。
【0170】
156は、地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記制御装置143に送り、制御装置143ではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全てのIHコイル60L、60Rの電源を瞬時に遮断する動作を行う。
【0171】
150は、無線通信手段である。この無線通信手段は、加熱調理器8の本体ケース53に内蔵されたものでも良いし、後述するアダプター形式で加熱調理器8の電源回路148に接続したものでも良いが、この実施の形態1では、アダプター形式を採用している。
【0172】
前記「アダプター」とは、加熱調理器8のような個々の家電機器とその電源との間に設けられる制御機器をいう。例えばここでいうアダプターとは、特開2011−205821号公報、特開2011−55623号公報に示されるようなアダプターをいい、電源プラグとコンセントを有し、そのコンセントに通電を制御すべき電気機器(この実施の形態1においては、加熱調理器8)を接続する。
そして電力指令信号をアダプターが無線通信によって受け取ると、制御すべき家電機器(加熱調理器8)の電源供給を制限し、又は遮断する。このように既存の家電機器(加熱調理器8)にアダプターを接続し、そのアダプターに、家庭内の総電力量を制限する電力制御装置(図示せず)から電力指令信号を送り、その信号によってアダプターが加熱調理器8を制御するので、既存の加熱調理器8にもアダプターを電源側に介在させることで、電力指令装置10によって消費電力を集中制御できる。
【0173】
図7に示したように、操作部93には入力キー98がある。この入力キー98をタッチ操作すると、前記制御装置143は、無線通信手段150を介して、統合管理装置10に接続され、統合管理装置10を介して家屋1の外部空間にある通信回路網18に接続されて、情報プロバーダー等の外部機関が設置したサーバー19から、前記第1の調理器具62の使用に役立つ情報を取得する。取得した情報は、前記記憶装置143Rに格納される。また取得した情報は前記表示画面91で表示し、あるいはこの表示に加えて更に、音声合成装置145によってスピーカー146から音声で報知される。
【0174】
図16において、148は、表示画面91を駆動するための駆動回路である。この駆動回路は前記制御装置143と接続されている。なお、この駆動回路148は、図示していないが、表示用メモリー、表示コントローラー、インターフェース、電源回路、コモンドライバー、およびセグメントドライバーを、それぞれ備えている。
【0175】
図16において、151は、前記第1の送風機BM1のモータ152を駆動する駆動回路であり、前記制御装置143によって、運転が制御される。
155は、前記制御装置143によって発信が制御される発信部であり、赤外線信号を発信する。その赤外線信号は、排気装置9に対する各種運転情報を含めた指令信号である。例えば、加熱運転開始は01、調理メニューで「油調理」は02、「湯沸かし」は03、加熱運転停止は04、火力(運転強度)大は05、排気運転の強度で「中」程度を意味する「中運転モード」は06、同じく運転強度の「弱(小)」を意味する「弱運転モード」は07、というように個別の識別コードを含んでいる。なお、加熱調理時間の長さを示すコードを含めても良い。例えば、加熱調理時間30分は、30、45分は、45のようなコードで指定する。但し、この場合には、排気装置9側に時計回路等の時計機能が必要となる。
154は、信号を発する赤外線発光素子である
【0176】
以上の構成であるから、次に加熱調理動作について説明する。
加熱調理器8の制御関係の構成について
図16を参照しながら説明する。
まず、使用者が主電源スイッチ95をONすると、この主電源スイッチを介して電気エネルギーが電源回路148に供給される。そしてこの電源回路から所定の定圧電流が供給され制御装置143が起動される。
【0177】
制御装置143は、温度検出回路144や、音声合成装置145、表示部駆動回路148を起動し、異常な温度状態が温度検出回路で検出されない場合で、かつ異常な電圧や電流が検出されない場合には、起動時の自己チェック動作を完了する。そして加熱調理開始できる旨を、前記表示画面91で表示し、かつ音声合成装置145は、スピーカー146を通じて報知する。
【0178】
そこで、収納室70のカバー71を手前に引出して、第1の調理器具62を取り出して、例えば
図7に示すように、左IHコイル60Lの真上位置に置く。なお、第1の調理器具62は、皿部63だけでも誘導加熱調理に利用できるが、蓋体64を同時に使用した方が、被調理物(例えば、魚や肉等)が飛散せず、また熱気が逃げないので、加熱効率が良くなる。
【0179】
制御装置143は、起動時の自己チェック動作を完了した後で、前記安全装置SDの一部を構成するリードスイッチ132が開放(OFF)されると、受け皿71が収納室70の最も奥の所定位置から引き出されたものであると判定する。その後、2つのIHコイル60L、60Rの何れかの上に、金属製の鍋等の被加熱物(第1の調理器具62を含む)が置かれたかどうかを、検知する(このような検知方法は既に各種方法が提案されているので詳しい説明は省略する)。
【0180】
制御装置143は、左IHコイル60Lか、又は右IHコイル60Rの上に第1の調理器具62があることを検知すると、表示画面91と音声合成装置145によって、加熱調理の条件を操作部93からインプットするように、使用者に促す。
左IHコイル60Lの上に、第1の調理器具62が置かれている場合、左側の操作部93Lにある、3つの入力キー97を使って、火力や加熱時間等を入力し、その入力キー97の1つで加熱開始の指令を入力すれば、インバーター回路120Lが制御装置143によって駆動され、(誘導)加熱調理が実行される。
【0181】
このような誘導加熱調理の実行前でも、また実行中、実行後においても、操作部93にある入力キー98をタッチ操作すると、前記制御装置143は、無線通信手段150を介して、統合管理装置10から通信回路網18に接続し、サーバー19から、前記第1の調理器具62の使用に役立つ情報をリアルタイムで取得し、取得した情報は、前記記憶装置143Rに格納される一方、表示画面91で表示し、あるいはこの表示に加えて更に、音声合成装置145によってスピーカー146から音声で報知されるので、使用者は、第1の調理器具62を使用する場合、外部の有益な情報を利用でき、便利である。例えば、魚を焼く場合には、加熱コイル8Lの火力について知ることができる。
【0182】
このような加熱調理の実行中、使用者が任意のタイミングで加熱動作を停止できるが、その停止指令は、前記入力キー97の1つで行える。緊急時には、前記主電源スイッチ95の操作キー94を押すことでも簡単に自動停止を行える。
【0183】
加熱調理を終えた第1の調理器具62は、
図13に示すように、収納室70のカバー71を手前に引出して、受け皿72を収納室70から前方に引き出し、次に、その受け皿72の上に第1の調理器具62を載せれば良い。仮に第1の調理器具62が、まだ加熱調理の直後であって温度が高くとも、受け皿72は金属や耐熱性のプラスチックで形成されているので、何ら支障はない。
【0184】
制御装置143は、前記安全装置SDの一部を構成するリードスイッチ132がONされると、受け皿72が収納室70の最も奥の所定の位置に戻されたことを検知する。この状態は、カバー71が挿入口73を閉鎖した状態でもある。そこで収納室70は、外部との空気の連通がない閉鎖空間に戻ったことになるので、前記したように、まだ高温度の第1の調理器具62の影響で、収納室70の内部雰囲気の温度が上昇することが想定される。しかし、この実施の形態1では、このような温度上昇も考慮して収納室70を設計してあり、本体ケース53の外郭温度やカバー71の表面温度を所定温度以上に上げることはない。なお、実際には調理に使用して食品や調味料等の付着で汚れた第1の調理器具62を、その使用直後にそのまま収納室70に格納することは想定し難い。実際は一旦清掃や洗浄等を行って、冷えた後で第1の調理器具62が収納室70に格納される。
【0185】
収納室70の内部雰囲気の温度上昇を抑制する対策の1つとして、収納室70の背面や天井面等に通気孔を設け、収納室70を上部空間113又は排気口77と連通させても良い。その場合、更に積極的に空気で冷却するならば、第1の送風機BMの冷却風の一部が収納室70の内部に導入され、またそこから排出されて、最終的に収納室70の熱気が、前記排気口77(
図13参照)からの排気流と同様に、本体ケース53から外部へ放出されるようにしても良い。
【0186】
以上の説明では、第1の調理器具62を使用して加熱調理をした場合であったが、その他の一般の金属鍋やフライパン等の調理器具、すなわち前記した第2の調理器具90でも調理は可能である。
【0187】
次に、前記制御装置143に対して、前記第1の調理器具62の存在結果を要求する確認指令用のタッチ式入力キー99を操作した場合の制御装置143の動作について説明する。入力キー99を操作されると、収納室70の内部に第1の調理器具62があるかどうかを、制御装置143が検出する。そのために、収納室70には、第1の調理器具62がある場合と、無い場合を判別するセンサー、例えば、受け皿72の上の所定位置に第1の調理器具62があることを、磁気的又は光学的、あるいは重量で検知するセンサーを別途設けている。
【0188】
前記カバー71が開放され、その後閉鎖されたことを前記リードスイッチ132で検知した場合、その開放前と後の磁気的、光学的又は重量(受け皿72を含めた重量で良い)の変化を判定して、比較的に重量がある(例えば、300g以上はある)第1の調理器具62の存在を検知している。第1の調理器具62がある場合、入力キー99を操作した時から直ぐに、その調理器具62の有無が、表示画面91で表示され、又は音声合成装置145で報知されるので、使用者は、例えば右IHコイル60Rの上で別の加熱調理をしている場合であっても、前記カバー71を前方に引き出さずに、第1の調理器具62の格納状態を直ぐに確認できるため、調理を中断する必要がなく、使用者には便利である。
【0189】
次に、前記第1の送風機BM1による冷却風の流れについて、
図8、
図12、
図13を参照しながら説明する。
インバーター回路120Lが制御装置143によって駆動され、加熱調理が実行されると、これと同期して制御装置143はモータ駆動回路151を起動し、第1の送風機BM1のモータ152を回転駆動する。
【0190】
すると、本体ケース53の後部に多数設けた吸気口58から、第1の送風機BM1が加熱調理器8の外部から(
図6に)矢印109で示すように吸気流を発生させる。
このため、飾り板84の下方に形成されている空隙GPUから、居住空間3の中の新鮮な空気が前記空隙GPUを介して、第1の送風機BM1まで吸引される。なお、このように空隙GPUを利用して吸気する形態にしているため、本体ケース53の上面に吸気口を設置することを省略でき、加熱調理器8の上面のデザイン性を向上させることが期待できる。
【0191】
本体ケース53の外部の新鮮な空気が、第1の送風機BM1の吸込み口から吸い込まれ、冷却ユニットCUの内部へ強制的に送り込まれる。送り込まれた空気は、冷却ユニットCU(外郭ケース107)の内部を、後方から前方に進む過程で、前記インバーター回路基板117の表面を流れるから、電力制御によって発熱する回路素子117が実装されたアルミニウム製放熱フィン118を冷却しながら、冷却ユニットCUの天井面にある開口101に至る。
【0192】
そして冷却用空気は、開口101から、その直ぐ上にある右IHコイル60Rに向かう。そして上部空間113にある右IHコイル60Rに衝突してその熱を奪う。そして冷却後の空気は後方に180度向きを変えて、後方にある排気口77に向かう。最終的には
図8に矢印111Rに示すように、右側の通気窓129から排気口77を通過し、加熱調理器8の外部へ放出される。
【0193】
一方冷却ユニットCUの前方まで進んだ残りの冷却風は、冷却ユニットの前方端部の天井面に形成した開口102からから上方に吹き出され、
図8に矢印110で示すように、左側に向かって進み、左IHコイル8Rに衝突してその熱を奪う。これによりこのIHコイル60Lが過熱されることを防止する。なお、左IHコイル60Lが駆動されておらず、加熱されていない場合でもこのような冷却風の供給は、加熱調理中に継続して行われる。
【0194】
さらに左IH60Lを冷却した後の冷却風も、
図8に矢印111Lに示すように、左IHコイル60Lの周辺から後方に向かって進み、最終的には排気口77から居住空間3の中に吹き出すことになる。
【0195】
図12に示すように、左側コイル60Lと右側コイル60Rを冷却して、通気窓129に至った空気は、水平方向から一旦は上方向に向きを変え、排気カバー78の下側に形成されている緩やかな湾曲面に案内される。そして矢印111Lで示すように、排気カバー78の後端縁128から、斜め上方に向けて放出される。つまり、居住空間3を構成するキッチン等の垂直壁11の方向に吹き出されるが、この排気流は、従来のような肉や魚等の食材等を焙焼した後の煙や臭いを含んだものではないので、垂直壁11に油煙や食材の焼けた臭い等を付着させることはない。
【0196】
次に上記したような、第1の送風機BM1からの空気流によって、収納室70の温度上昇が抑制されていることを説明する。
通常、IHコイル60L、60Rには、それらを支えるコイルベース69の周囲に防磁リングという漏洩磁束防止の手段が設けてあるが、左IHコイル60Lの直下にある収納室70の天井壁70Tが、真上の位置で誘導加熱している左IHコイル60Lの影響を受けて温度上昇する懸念がある。特に200V電源で、インバーター回路120Lを駆動し、特に大きな火力(例えば3000W)で加熱した場合には、左IHコイル60Lの下方にまで高周波磁界の影響を強く受けるので、最も近くにある金属製、例えば天井壁70Tが加熱されることにもなる。また水平仕切板100の温度が上がると、これと空隙SP2を介して天井壁70Tが接近している収納室70も間接的に温められる懸念もある。
【0197】
そこで、この実施の形態1においては、左IHコイル60Lと水平仕切板100との間に空隙SP1(
図13参照)を設けて、この空隙で水平仕切板100から収納室70側への断熱性を向上させることにした。この構成によれば、左側誘導コイル60Lの下方全体に冷却風が流れるので、その水平仕切板100の温度上昇が抑制される。
【0198】
ところで、冷却ユニットCUから左側IHコイル60Lの下方に供給される冷却風は、インバーター回路120Lを冷却したものであり(左IHコイル60Lだけで誘導加熱している場合は、インバーター回路120Lだけが駆動される)、空気の室温を数℃〜10℃程度上げる程度であるので、左IHコイル60Lの真下まで到達した段階でも未だ温風にはなっていない。このため、水平仕切板100の温度上昇を抑制する効果が期待できる。
【0199】
この実施の形態1においては、第1の送風機BM1は、2つのインバーター回路120L、120Rの何れか一方又は双方の駆動が制御装置143によって停止された後も、所定時間(例えば数分間から10分間程度)運転が継続されるように制御装置143の制御プログラムが設定されている。
【0200】
IHコイル60L、60Rの加熱動作を停止させてから一定時間を経過した段階でも、温度検出回路144に温度計測結果を伝える複数の温度センサー(図示せず)が、冷却ユニットCUの内部の雰囲気温度、水平仕切板100の上にある上部空間113の内部部品(表示画面91を含む)、トッププレート55の温度等を個別に計測している。そして、所定の温度まで下がった段階になったことを温度検出回路144が判定しないまでは、前記制御装置143は第1の送風機BM1の駆動回路151に駆動指令を出しているので、インバーター回路120L、120Rの駆動が停止された後も、上部空間113の温度が十分に低下するまで第1の送風機BM1による冷却は継続される。
【0201】
第1の送風機BM1は、インバーター回路120L、120Rの駆動停止後は、モータ76の回転数を落として省エネ運転に自動的に切り替わるようにしても良いが、後述する室内の空気質改善のために、更に所定の回転数を維持し、排気口77からの排気流を維持する場合がある。これについては後で説明する。
【0202】
次に水平仕切板100と収納室70との間に形成した空隙SP2の意義について説明する。前記空隙SP2は、前記左側IHコイル8Lとの間隔が、最低でも5cm、好ましくは6cm以上離れた位置となるように設定されているため、上壁面70Tは左IHコイル60Lから磁気的な影響を受けることが殆どない。このため収納室70自体が誘導加熱される懸念はなく、またこの収納室70の内部に金属製の小物や鍋等が収納されても、それらを誘導加熱する懸念がない。そのため、金属製の物品と、温度上昇を避けるべきである調味料等が入ったガラス製容器等が、収納室70の内部に混在していても、それら調味料等を劣化させたり、変質させたりしてしまうという問題を回避できる。
【0203】
(加熱調理器8の基本動作)
次に、加熱調理器8の加熱動作について、
図18〜
図19を参照しながら説明する。
図18に示したフローチャートは、加熱調理器8の基本的な動作ステップを示すものである。
まず、主電源スイッチ95の押しボタン94を使用者が押して、主電源を入れる(S1)。すると電源回路148を介して制御装置143に電源が印加され、制御装置143は、温度検出回路144から温度情報を得て、調理器の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを自己チェックする(S2)。
このステップでは、電力指令装置を兼ねている統合管理装置10に対して、運転情報信号L1を発信する。発信は、無線通信手段150から行われる。
【0204】
異常が発見されない場合、制御装置143は、表示画面91の表示部駆動回路148を起動する。そして表示画面91には、調理メニューを選択して調理を開始できることを表示する。これと同時に、音声合成装置145によって、表示画面91で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(S3)。
【0205】
その後、表示画面91には、左右のIHコイル60L、60Rの何れかの上方に金属製鍋等の被加熱物を載せて、使用者に調理メニューの選定を促す文字を表示する(S4)。
【0206】
この状態で、使用者が例えば右側操作部93Rの3つの入力キー96の内、特定の1つをタッチすると、調理メニューが選択されたことになる。ステップS5では、右側操作部93Rで入力キー96が操作されたかどうかをチェックし(S5)、このステップが「Yes」のときは、ステップS7に進み、統合管理装置10に対して、運転情報信号L2Rを発信する。発信は、無線通信手段150から行われる。そして、右IHコイル60Rによる加熱調理のメニュー選択ステップS9に進む。
【0207】
ステップS5が「No」であった場合は、ステップS6に進み、ステップS6では、左側操作部93Lで入力キー97が操作されたかどうかをチェックする。
このステップS6が「Yes」のときは、ステップS8に進み、統合管理装置10に対して、運転情報信号L2Lを発信する。発信は、無線通信手段150から行われる。そして左IHコイル60Lによる加熱調理のメニュー選択ステップS10に進む。
【0208】
次に、左側操作部93Lで、左IHコイル60Lによる加熱調理がステップS6で選択されたものと仮定し、以下説明する。
【0209】
図19は、加熱調理のためのメニュー選択の過程を示す制御装置143のフローチャート図であり、制御装置143の中核を構成するマイクロコンピューターの動作プログラムで規定されている。
【0210】
まず、表示画面91に調理メニューを文字(絵文字を含む)で表示する(S11)。この場合、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」、「茹で」の4種類を表示するものとする。この中で「揚げ物」は最初から食用油を使用する調理であり、他の3つとは区別されている。この理由はあとで説明する。
【0211】
調理メニューが表示されている状態で、入力キー97が操作され、「湯沸し」、「煮込み」、「揚げ物」、「揚げ物」「茹で」の中から1つだけ選択すると、調理メニュー確定のステップS12となる。
【0212】
制御装置143は次に、選択された調理メニューだけを表示画面に表示し、調理メニュー確定することを音声合成装置145によって音声で報知する。またこの調理メニューの選択結果を、前記統合管理装置10に対して、運転情報信号L3を発信することで通知する(S13)。発信は、無線通信手段150から行われる。
【0213】
ところで、ステップS13において制御装置143は、調理メニューを特定する情報を前記運転情報信号に含めて送信するか、またはその送信直後に送信する。
この実施の形態では、「揚げ物」は001、「湯沸し」は002、「煮込み」は003、「茹で」は004という特定コードを生成し、発信部150から送信するが、このコード001は、排気装置9側では、揚げ物調理であると解読できるようになっている。これは事前に排気装置9と加熱調理器8の間の通信の規定が一致している場合(同じメーカで製造されている場合が多い)が好ましい。しかし、厨房家具15を設置した際に、最初に排気装置9と加熱調理器8との間で適合テストを実施し、連携動作をするように設置業者がメーカの据付工事説明書等に従って調整することでも良い。または1つの標準規格に準拠して排気装置9と加熱調理器8が設計されていれば、上記のような調理メニューの内容の判定が容易に可能である。
【0214】
なお、排気装置9は、上記したような揚げ物調理であるかどうかを判定する機能が無くても良い。加熱調理器8側からの排気風量を指定する情報を識別できれば良い。
【0215】
次のステップS14において制御装置143は、選択された調理メニューの実行を許可する「許可信号」の到着を待つ。前記統合管理装置10は、加熱調理器8に対しては「電力指令装置」を兼ねているため、この家屋1の中で使用が許可されている最大消費電力量を計算する。つまり、空気調和機5のように、電力制限対象になっている他の電気機器EEの使用電力量と加熱調理器8で、選択された調理メニューを実行した場合の、消費電力量を計算し、1つのブレーカーBKによって許可された電力量を超過しないかどうか判定され、所定の余裕がある場合には、運転許可信号が発信されるシステムになっている。
【0216】
調理メニューが「揚げ物」であった場合は、使用する消費電力は最大2000Wであるため、この消費電力を加熱調理器8が電力指令装置(統合管理装置)10に要求する。
電力指定装置は、この消費電力を前提にしてこの家屋1の最大消費電力を計算する。但し、「揚げ物」を2種類設け、使用者が最大火力を選択できる「手動揚げ物」と使用者が最大火力を選択できない「自動揚げ物」の何れかを選択できるようにしても良い。この場合、前者は「予想最大消費電力は2000W」であると、統合管理装置10は判断し、また後者の場合は「予想最大消費電力は1800W」と統合管理装置10は判断する。
【0217】
加熱調理器8は、「手動揚げ物」は最大消費出力を1800W、「自動揚げ物」は2000Wまでしか投入できないように制御装置143が自己の消費電力を制限する機能がある。そのため、調理メニューで「自動揚げ物」を選択した場合には、加熱調理器8から電力指令装置(統合管理装置)10に要求する最大電力は、2000Wと自動的に決定される。このため、仮に統合管理装置10側で、上記したように予想最大消費電力を判断する機能が無くとも良い。
【0218】
この実施の形態1の加熱調理器8では、揚げ物調理の安全性を重視し、「自動揚げ物」しか選定できないように最初に設定してある。以下では「自動揚げ物」を前提に説明する。自動揚げ物を単に「揚げ物」と記載して以下説明する。
【0219】
ステップS14において制御装置143は、選択された調理メニューの「許可信号」を統合管理装置10から受信した場合、次のステップS15に進む。
次のステップS15では、「自動揚げ物」の加熱調理動作を開始したことを示す運転情報信号L4を統合管理装置10に送信する。統合管理装置10は、加熱調理器8の運転開始を知り、消費電力の変化を把握する動作を行う。
【0220】
そして左IHコイル60Lで加熱調理する場合は、インバーター回路120Lを駆動するため、左IHコイル60Lに高周波電力を印加する。なお、この調理開始と同時に、第1の送風機BM1が運転開始され、加熱調理器8の内部に冷却用の空気を導入する。
【0221】
次のステップS16においては、前記加熱調理開始の時点からの経過時間を判定する。
この判定基準時間は、調理メニュー毎に決まっている。例えば、「自動揚げ物」と「揚げ物」は30秒、「湯沸かし」と「茹で」の場合は60秒である。
【0222】
ステップS16において、「自動揚げ物」の場合の30秒が経過したら、「Yes」判定となり、次のステップS17に進む。
ステップS17では、制御装置143が発信部155に対して、排気運転の開始のための指令信号(制御信号)F0を排気装置9に向けて発信するように指令する。
【0223】
一方、被加熱物(第1の調理器具62を含む)等の温度を監視している温度検出回路144が、所定の温度T0(
図22参照)を検知した場合、制御装置143は排気装置9に対して、赤外線発光素子154から排気運転の開始のための指令信号F0を発信する。
【0224】
この実施形態1では、上述のように、加熱調理開始の時点からの経過時間と、温度上昇の2つの面で加熱調理の工程の進捗を監視しており、何れか一方の条件が満たされた場合には、排気運転を開始する指令信号F0を発信する。このため、排気装置9の運転について信頼性、安全性が高い。
【0225】
ステップS17で発信される制御信号は、排気装置9を「弱運転モード」で運転させるものである。そして
図20のステップSA1に進む。
【0226】
次に、
図20について説明する。
図20は、加熱調理器8の制御装置143の動作を示すものである。以下、この
図20を参照しながら、
図19のステップS17以降の動作について更に詳しく説明する。
ステップSA1は、油調理のメニューが選定されて加熱調理が開始されたかどうかを判定するステップである。
【0227】
油調理の場合は、このステップSA1は「Yes」になるので、次に統合管理装置10から加熱調理器8がある居住空間(キッチン)3の「環境情報」を取得する。
また、統合管理装置10から、空気清浄機7が運転中であるかどうかを示す情報を取得する(SA2)。なお、加熱調理器8が調理開始の後でその都度統合管理装置10に照会するのではなく、前記運転情報信号L4を受けた段階で、統合環境検知部16は加熱調理器8が油調理することを把握し、自動的に空気清浄機7の運転有無の情報を加熱調理器8に送信しても良い。
【0228】
ステップSA3において、空気清浄機7が運転中であった場合には、ステップSA4に進み、統合環境検知部16に対して空気清浄機7の運転を停止するように要請信号を発信する(SA4)。
【0229】
次に、被加熱物(第1の調理器具62を含む)等の温度を監視している温度検出回路144が、所定の温度T1(
図22参照)を検知した場合、制御装置143は排気装置9に対して、赤外線発光素子154から排気運転の条件を変更する指令信号を発信する。ここで発信される指令信号をF1で示す。
この場合、「弱運転モード」から「中運転モード」に変更される。
【0230】
次に、温度検出回路144が、所定の温度T2(
図22参照)を検知した場合、制御装置143は排気装置9に対して、赤外線発光素子154から排気運転の条件を変更する指令信号を発信する(SA5)。ここで発信される指令信号をF2で示す。
この場合、「中運転モード」から「強運転モード」に変更される。すると排気装置9は電動ファン26Fの運転条件を変更し、
図2に矢印FF1で示したように下方向から居住空間1の空気を、さらに強力に吸引して矢印FF2に示すように屋外へ排出する(SA5)。
【0231】
前記制御装置143の動作プログラムでは、予熱工程において測定対象物の温度が、前記第1の所定温度T1よりも高い第2の所定温度T2を超えた場合に、第2の制御信号(指令信号)F2を発信させてから、揚げ物工程と火力アップ工程に進む。そして、この揚げ物工程と火力アップ工程の実行中において、前記制御装置143は「第2運転」モードから「第1運転」モードへの変更を行う制御信号を発信しない。このため、一旦「強運転モード」に変更されたあとは、「中運転モード」には戻さない。
【0232】
加熱調理中は、排気装置9はそのまま「強運転」モードで運転継続されるので、加熱調理器8から上昇する水蒸気や食品が加熱された臭い等を含む温かい空気は、
図2に矢印FF1で示したように上昇し、排気装置9に導入され、矢印FF3で示したように空気清浄機7の方向に流れない。また空気清浄機7は既に停止しているので、
図2に矢印FF4で示したように、居住空間3の中で、加熱調理器3と最も遠い個所まで調理の熱気や臭い等が流れることはない。
【0233】
開始した調理が制御装置143によって停止された場合、左IHコイル60Lへの高周波電流の供給が停止してから3分経過するかどうかの判定が行われる(SA6)。
【0234】
この実施の形態1の排気装置9は、加熱動作終了した場合、その時点から3分経過するかどうかを制御装置143が監視し、3分経過した時点で、所定の終了指令信号が前記赤外線発光素子145から排気装置9の受信部(図示せず)に送信されるようになっている(SA7)。加熱調理器8側でこのような時間経過を計測せず、代わりに排気装置9側に例えば、トッププレート55側の温度を計測する熱起電力素子等の熱感知手段を設け、加熱調理を推測して排気運転を自動的に終了するようにしても良い。
【0235】
この後、排気装置9が通信部23から統合管理装置10に運転終了の信号を無線送信するから、その信号を受けて統合管理装置10は、排気装置9が運転停止したことと、最新の環境情報とを、それぞれ加熱調理器8に送信する(SA11)。
【0236】
そして空気が汚れており、空気質が悪いことが制御装置143で判明したときには、統合管理装置10に対して、空気清浄機7の運転開始を要請する所定の信号を発信する(SA13)。
【0237】
なお、また排気装置9の運転完了後も、統合管理装置10の統合環境検知部16は、所定の時間間隔で居住空間の空気質を計測しているので、加熱調理器8がステップSA12のような動作を行わなくとも、必要に応じて空気清浄機7の運転を自動的に開始させる。このため、加熱調理器8として、ステップSA12を省略しても良く、加熱調理器8に必須ではない。
【0238】
一方、前記ステップSA1で、油調理以外を開始した場合には、ステップSA8に進み、制御装置143は、その記憶装置143Rに記憶させてある居住空間3の環境情報を読み出し、空気が汚れているかどうかを判別する(SA9)。もし空気が汚れている場合には、ステップSA5に進み、制御装置143は、排気装置9に対して、赤外線発光素子154から「強運転」のモードで排気運転を開始するよう指令信号F2を発信する(SA5)。
【0239】
ステップSA9の判定で、空気が汚れていないと判断された場合には、ステップSA10に進み、制御装置143は、排気装置9に対して、赤外線発光素子154から「中運転」のモードに排気運転を変更する指令信号を発信する。
そしてこれ以降は、前記したステップSA6に進むので、以後の説明を省略する。
【0240】
この排気装置9の運転モードは、「強運転」モード、「中運転」モード、「弱運転」モードの3段階だけである。「中運転」モードとは、「強運転」モードよりも単位時間あたりの排気風量が小さく、「弱運転」モードよりも排気能力が大きい運転をいう。各運転モードにおいて、排気口77の開口面積が変化することは一切ないので、「弱運転モード」が、排気流の風速が最も遅い。
【0241】
図21は、加熱調理器8を家電機器EEの代表的な製品として、その調理器の電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時、統合管理装置を兼ねた電力指令装置10に送信され、家屋1の総電力量の管理が行われている状況を示したタイムテーブルである。電力使用量の制限対象として使用者が事前に登録した他の電気機器EE、例えば空気調和機7においても、基本的にこの加熱調理器8と同じように運転情報を随時電力指令装置10に送信している。
【0242】
図21において、L1〜L8が、加熱調理器8から電力指令装置10に送信される代表的な運転情報信号である。L1は、主電源投入(ON)を示す信号、L2は、加熱口を選択した情報である。左IHコイル60Lを選択した場合は、L2はL2Lとなる。
【0243】
図21は、左IHコイル60Lによる左側の加熱口を選択した場合である。L3は、調理メニューを選択した情報であり、湯沸し、煮込み、揚げ物調理などの各種調理メニューの中から(自動)「揚げ物」を選択した場合を示す。
【0244】
L4は、実際にインバーター回路120Lが駆動され、加熱動作が開始された運転情報を示す。L5は、所定温度T1を検知した運転情報を示す。L6は、
図22に示す予熱工程の目標温度T2(例えば、180℃)を検知して、揚げ物工程が開始された運転情報を示す。この加熱調理器8では、
図22で説明するように、揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。つまり、この加熱調理器8が実際に「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかは、この情報L6以後であるか(但し、次の情報L6を受信していない)どうかで判定される。
【0245】
F0は、排気装置9の運転を開始する指令信号(制御信号)である。F1は、排気装置9を「中運転」モードで運転する指令信号(制御信号)である。これら2つの信号は、発信部155によって赤外線発光素子154から排気装置9に向かって送信される。
この制御信号F0は、
図19のステップS16で発信することが決まるものである。前述したように加熱調理開始の時点からの経過時間や温度上昇状態で判定される。
【0246】
経過時間で判定するための基準時間は、調理メニュー毎に決まっている。例えば、「揚げ物」は30秒、「湯沸かし」と「茹で」の場合は60秒である。つまり自動揚げ物の場合は、運転情報信号L4の時点から30秒後に指令信号(制御信号)F0が発信される。また前述したように、この時間前に所定温度T0に到達したことが温度検出回路144によって検知された場合は、同様に指令信号(制御信号)F0が発信される。
【0247】
なお、
図21に示したように、前記制御信号F0が発信された場合に、統合管理装置10に対して、加熱調理器8から排気装置9の運転開始を求める特別な運転情報信号(F0A)を発信させても良い。この信号は、仮に加熱調理器8からの制御信号F0が、何らかの障害によって排気装置9に届かなかった場合でも、統合管理装置10が排気装置9の運転を開始させることができ、排気装置9を含む排気システムの信頼性を向上させることが期待できる。
【0248】
同様に、
図21に示しているように、前記制御信号F1が発信された場合に、統合管理装置10に対して、加熱調理器8から排気装置9が「中運転」モードで運転されることを求める特別な運転情報信号(F1A)を発信させても良い。この信号は、仮に加熱調理器8からの制御信号F1が、何らかの障害によって排気装置9に届かなかった場合でも、統合管理装置10が排気装置9の運転モードを変更し、「中運転」モードで運転させることができ、排気装置9を含む排気システムの信頼性を向上させることが期待できる。
【0249】
また
図21に示したように、前記制御信号F2が発信された際に、加熱調理器8は統合管理装置10に対して排気装置9の運転モードを、より大風量側に変更するように求める特別な運転情報信号(F2A)を発信させても良い。この信号は、仮に加熱調理器8からの制御信号F2が、何らかの障害によって排気装置9に届かなかった場合でも、統合管理装置10が排気装置9の運転を「強運転」モードに設定させることができ、排気装置9を含む排気システムの信頼性を向上させることが期待できる。
【0250】
L7は、実際にインバーター回路120Lの駆動が停止され、加熱動作が終了した情報を示す。L8は、主電源スイッチ95が開放(OFF)されたことを示す情報である。これら各情報L1〜L8には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。
【0251】
図21から明らかなように、加熱調理器8の電源投入から電源遮断までの全工程においては、運転情報信号L1〜L4の間及び「優先調理メニューの実行時間帯」を除いた時間帯では、前記電力指令装置10からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能である。信号L1〜L4の間は、調理メニューが確定していない段階であり、この直後に「揚げ物」調理が選択される可能性もあるので、電力削減を行わないに予備期間として指定している。但し、このL1〜L4の期間は、実質的に加熱動作が開始されておらず、使用電力も小さいので、このL1〜L4の期間を電力削減対象期間にしても良いが、電力削減効果は殆ど期待できない。
【0252】
従って、例えば前記したように「優先調理メニューの実行時間帯」に定義されていない「湯沸し」の工程では、何時でも電力削減要求に応じて電力を削減できる。言い換えると、調理メニューとして「湯沸し」を実行する工程で、加熱動作が開始されていても何時でも電力指令装置10は、加熱調理器8の消費電力の削減は可能である(停止も可能である)。
【0253】
図22は、調理メニューとして(自動)「揚げ物」を選択した場合において、「優先調理メニューの実行時間帯」を実行している状態を示したタイムテーブルである。この
図22において、T2は、使用者が設定した予熱温度であり、例えば180℃である。T1は、前記排気装置9の「中運転」モードで運転開始することを決める温度であり、例えば100℃である。T0は、前記排気装置9の「弱運転」モードで運転開始することを決める温度であり、例えば80℃である。
【0254】
インバーター回路120Lは、予熱温度T2を検知すると制御装置143によって火力が自動調節され、その予熱温度を維持するような動作を行う。
【0255】
前記温度検出回路(温度検知装置)144によって、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)を検知する前に、それより低い温度(T1)になったことを、制御装置143が検知できる。
【0256】
すると既に前記所定温度T1よりも低い温度T0(例えば80℃)の段階で、加熱調理器8から指令信号(制御信号)F1を発信し、排気運転を「中運転」モードから「強運転」モードに変更する。
【0257】
つまり、制御装置143は、
図21に示すように、予熱温度検知したことを示す運転情報信号L6が発信される前(
図21に示したステップSA5の段階)に、排気装置9の運転を最大の能力の「強運転」モードで開始する指令信号F2を出すことができる。
【0258】
そして運転情報信号L6の時点から「優先調理メニューの実行時間帯」が開始される。従って、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われない。仮に、この「優先調理メニューの実行時間帯」において不意に火力が落とされた場合、予熱温度を維持できず、使用者が所望の温度になっていると考えて調理(例えば、冷凍コロッケを油で揚げる)を開始した場合、天ぷら鍋の温度が例えば140℃にあると、温度が低くて調理が出来ない、という事態を招く可能性がある。
【0259】
実施の形態1の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態1の加熱調理器8は、第1の発明の構成を備えていた。
すなわち、この実施の形態1における加熱調理器8は、特に
図7から明らかなように、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱するための、加熱源となるIHコイル60L、60Rと、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記加熱源のIHコイル60L、60Rへの通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155と、を設け、
前記冷却用空気が前記本体8Aに導入される吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出するための、2つの排気口77までの間の排気風路の中に、前記IHコイル60L、60Rが配置されており、
前記2つの排気口77は、前記本体8Aの後部上面に設けてあり、
前記2つの排気口77は、前記本体8Aの横方向に所定の範囲(WA4)内に直線的に形成され、かつその2つの排気口77の、個々の横方向長さ(WA1)は、前記IHコイル60L、60Rの直径寸法(RL、RR)よりも大きく形成されていることを特徴とする構成である。
【0260】
この加熱調理器では、IHコイル60L、60Rの外形寸法(直径RL、RR)よりも幅広く排気口77が形成され、しかもその排気口77は、本体8Aの中のIHコイルやインバーター基板117等を冷却した清浄な空気だけが排気されるので、トッププレート55の上に置かれて加熱される金属鍋等から発生した蒸気や油煙等が自ら上昇して排気装置9に導入される際に、本体8Aの背後側で、横に長い帯状の空気の壁を形成できる。
このため、本体8Aの背後側に居住空間3の垂直壁面が接近していても、その垂直壁面に油煙等が接触することを抑制できる。
【0261】
さらに、前記本体8Aの内部に、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70を設けているため、収納室70の中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。
【0262】
さらに、この実施の形態1の加熱調理器1は、以下の特徴を備えていた。
すなわち、この加熱調理器8は、特に
図7から明らかなように、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱するための、少なくとも2つ加熱源となるIHコイル60L、60Rと、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記IHコイル60L、60Rへの通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155と、を設け、
前記冷却用空気が前記本体8Aに導入される吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出される排気口77までの間の排気風路の中に、前記IHコイル60L、60Rが配置されており、
前記IHコイル60L、60Rは、第1の寸法WA3の範囲内で、左右方向において並べて配置され、
前記排気口77は、前記本体8Aの後部上面に設けてあり、
前記排気口77は、前記本体8Aの横方向に、前記第1の寸法WA3よりも大きい第2の寸法(WA4)で直線的に配置されていることを特徴とする構成である。
【0263】
この加熱調理器では、第1の寸法WA3よりも横に広い範囲(
図7の寸法WA4の範囲)に排気口77が形成され、しかもその排気口77は、本体8Aの中のIHコイルやインバーター基板117等を冷却した清浄な空気だけが排気されるので、トッププレート55の上に置かれて加熱される金属鍋等から発生した蒸気や油煙等が自ら上昇して排気装置9に導入される際に、本体8Aの背後側で、横に長い帯状の空気の壁を形成できる。
このため、左右方向に並べて配置された2つのIHコイルの何れか一方及びその両方が同時に使用されて加熱調理が行われても、それらIHコイルの背後側にある排気口77から排気流が放出される。
そのため、加熱調理器8の背後側に居住空間3の垂直壁面が接近していても、その垂直壁面に対して、トッププレート55上で発生した蒸気や油煙等が接触することを抑制できる。
【0264】
さらに、前記本体8Aの内部に、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70を設けているため、収納室70の中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。
【0265】
さらに、実施の形態1の加熱調理器8は、特に
図7に示したように、
厨房家具15の所定位置に支持される本体8Aを有し、
前記本体8A内部には、この本体上方に置かれる被加熱物を加熱する加熱源(IHコイル)60L、60Rと、送風機MB1からの冷却風が供給され前記本体8Aの内部空間を強制的に冷却する冷却風路104と、を備え、
前記加熱源60L、60Rは、前記本体を左右に二分する中心線CL1を挟んでその両側で、互いに対称的な位置に1個所ずつ配置され、
前記本体8Aの後部には、前記冷却風路の終端部となる排気口77を設け、
前記排気口77は、2つの排気口から構成され、その各排気口は前記中心線CL1を挟んで左右に対称的に、かつ当該本体の横幅方向に所定の長さWA1をそれぞれ有しており、
前記2つの加熱部60L、60Rを含む最大横幅寸法WA3よりも、前記2つの排気口77が並んだ最大幅寸法WA4を大きく形成していることを特徴とする構成である。
【0266】
この加熱調理器8によれば、2つの加熱部60L、60R上の何れか一方又はその両方の上方に置かれる調理器具等の被加熱物から蒸気や油煙等が発生しても、その本体8Aの後部側にあり、かつ左右方向に長い排気口77から、排気流の壁を形成でき、加熱調理器8の周囲にある壁の汚染を効果的に防止することが期待できる。
【0267】
しかも、これら2つの排気口77は、本体8Aの中のIHコイルやインバーター基板117等を冷却した清浄な空気だけが排気されるので、トッププレート55の上に置かれて加熱される金属鍋等から発生した蒸気や油煙等が自ら上昇して排気装置9に導入される際に、本体8Aの背後側で、横に長い帯状の空気の壁を形成できる。
このため、左右方向に並べて配置された2つのIHコイルの何れか一方及びその両方が同時に使用されて加熱調理が行われても、それらIHコイルの背後側にある排気口77から清浄な空気の排気流が放出され、加熱調理器8の背後側に居住空間3の垂直壁面が接近していても、その垂直壁面に対して、トッププレート55上で発生した蒸気や油煙等が接触することを抑制できる。
【0268】
(その他の特長)
実施の形態1では、さらに以下の特徴により各種の利点がある。
(1)その1.
実施の形態1の加熱調理器8は、
被加熱物が載置されるトッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記被加熱物を加熱する加熱源60L、60Rと、空気を導入する送風機BM1と、前記加熱源への通電を制御する制御装置143と、被加熱物やトッププレート55等の測定対象物の温度を検出する温度検出回路144と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号F1、F2を発信する発信部155とを、それぞれ設け、
前記送風機BM1によって導入された空気を排出する排気口77を、前記本体8A上部に設け、
前記制御装置143は、前記送風機BM1を第1の排気能力で運転させる「中運転」モード(第1運転モード)の制御信号F1と、前記第1の排気能力より大きな排気能力で運転させる「強運転」モード(第2運転モード)の制御信号F2を、それぞれ前記発信部155から発信させ、
前記制御装置143は、使用者によって選択された調理メニューが予熱工程を含む油調理のときは、前記温度検出手段で計測した測定対象物の温度が、当該予熱工程の所定温度T1を超えた場合に、前記「中運転」モードから「強運転」モードへ変更する制御信号F2を発信することを特徴とする構成である。
【0269】
このため、居住空間3から排気を行う排気装置9に対して、予熱工程を含む油調理のメニューが選択されたときは、その予熱工程の所定温度T1になった段階で、排気能力を上げる運転に切り替える指令信号F2を発するので、加熱調理時にトッププレート55上で発生する油煙や熱気等を、居住空間に拡散させる前に、排出することが期待できる。
【0270】
(2)その2.
実施の形態1の加熱調理器8は、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱する加熱源60L、60Rを配置し、被加熱物の中の被調理物を非接触で前記加熱源60L、60Rによって調理するものにおいて、
前記本体8Aには、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記加熱源への通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、測定対象物の温度を検出する温度検出手段144と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号F1、F2を発信する発信部155とを、それぞれ設け、
前記冷却用空気が前記本体8Aに導入される吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出される排気口77までの間の排気風路104の中に、前記加熱源が配置されており、
前記制御装置は、前記操作部によって選択された複数の調理種別に応じて、前記排気装置の運転パターンを選択し、前記温度検出手段で検出した温度に基づいて前記制御信号を前記発信部から発信することを特徴とする構成である。
【0271】
このため、本体8Aの内部に確保された収納室70の中に、付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、
図21、
図22に示したように測定対象物の温度上昇に基づいて換気装置9に対し排気能力の制御信号F1、F2を発信するので、加熱調理時にトッププレート55上で発生する油煙や熱気等を排気装置9側へ効果的に導き、油煙や熱気等を居住空間に拡散させる前に、排出することが期待できる。
【0272】
(3)その3.
この実施の形態1における空気排出システムは、
被加熱物が載置されるトッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記被加熱物を加熱する加熱源(IHコイル)60L、60Rと、前記本体8Aの外部から空気を導入し、当該本体の上部に設けた排気口77から放出する送風機BM1と、前記加熱源60L、60Rへの通電を制御する制御装置143と、測定対象物の温度を計測する温度検出回路144と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155とを、それぞれ内蔵した加熱調理器8と、
前記加熱調理器8のある居住空間3の空気を当該空間外へ排出する排気装置9と、を備え、
前記制御装置143は、前記送風機BM1を第1の排気能力で運転させる「中運転」モードの制御信号F1と、前記第1の排気能力より大きな排気能力で運転させる「弱運転」モードの制御信号F2を、それぞれ前記発信部155から発信させ、
前記制御装置143は、使用者によって選択された調理種別が予熱工程を含む油調理のときは、測定対象物の温度が、当該予熱工程の所定温度T0を超えた場合に、前記「中運転」モードから「強運転」モードへ変更する制御信号F2を発信し、
前記排気装置9は、前記被加熱物から発生する加熱された気体と、前記排気口77から放出された空気とを導入し、かつ前記加熱調理器8から送信される前記制御信号F1、F2を受信して排気運転の制御を行うことを特徴とする構成である。
【0273】
このため、この空気排出システムによれば、加熱調理器8では、居住空間3から排気を行う排気装置9に対して、予熱工程を含む油調理が選択されたときは、その予熱工程の所定温度T0になった段階で、排気能力を上げる運転に切り替える指令を発するので、加熱調理時にトッププレート上で発生する油煙や熱気等を効果的に排出することが期待できる。
【0274】
(4)その4.
また、この実施の形態1の空気排出システムは、
トッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記トッププレート55上に置かれた被加熱物を加熱する加熱源(IHコイル)60L、60Rと、使用者が物品を出し入れできる挿入口73を有した収納室70と、前記本体8Aの内部空間に冷却用空気を導入する送風機BM1と、前記加熱源60L、60Rへの通電を制御する制御装置143と、前記制御装置143に対して運転指令信号を入力する操作部93と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155とを、それぞれ内蔵させた加熱調理器8と、
前記加熱調理器8のある居住空間の空気を当該空間外へ排出する排気装置9と、を備え、
前記加熱調理器8は、前記本体8Aの内部に導入される空気の吸気口58から、前記本体8Aの外部へ排出される排気口77までの間の排気風路104の中に、前記加熱源60L、60Rが配置され、
前記制御装置143は、前記操作部93によって選択された複数の調理種別に応じて、前記排気装置9の運転パターンを選択し、加熱調理工程の進捗に合わせて前記制御信号を前記発信部155から発信し、
前記排気装置9は、前記被加熱物から発生する加熱された気体と、前記排気口77から放出された空気とを導入し、かつ前記加熱調理器8から送信される前記制御信号を受信して排気運転の制御を行うことを特徴とする構成である。
【0275】
このため、加熱調理器8の収納室70の中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるので、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、居住空間3から排気を行う排気装置9は、加熱調理器8から受信する制御信号に応じて、排気運転が制御されため、加熱調理時にトッププレート55上で発生する熱気等を効果的に排出することが期待でき、油煙や臭いが拡散することを効果的に防止できる。
【0276】
(5)その5.
この実施の形態1における家電機器の統合管理装置は、
無線通信部150を備えた加熱調理器8と、前記加熱調理器8がある居住空間3の空気を当該空間外へ排出する排気装置9とから、それぞれ運転情報を取得し、当該加熱調理器8と排気装置9に対し制御信号を発して運転を集中制御する統合管理装置10において、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8がある居住空間3の空気質の状態に応じて前記排気装置9に運転指令信号F1、F2を発信し、
さらに前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8の無線通信部150から送信された調理種別を示す情報を含んだ前記運転情報信号L3に基づき、前記排気装置9の運転開始、運転停止、運転時間又は排気能力の少なくとも何れか1つを制御することを特徴とする構成である。
【0277】
このため、加熱調理器8がある居住空間3の空気質の状態に応じて前記排気装置9に運転指令信号を発信し、排気装置9の運転を制御するため、加熱調理時にトッププレート55上で発生する熱気等を排出することが期待でき、油煙や臭いが拡散することを効果的に防止できる。
【0278】
(6)その6.
この実施の形態1に示した空気質の改善システムは、
被加熱物が載置されるトッププレートと、使用者が物品を出し入れできる挿入口を設けた収納室とを備えた加熱調理器と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気を外部へ排出する排気装置と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気を浄化する空気清浄機と、
前記加熱調理器と空気清浄機とから、それらの運転状態の情報を収集するとともに、当該加熱調理器と空気清浄機のそれぞれの運転を制御する統合管理装置と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気の汚れや臭い、温度等の空気質を計測した結果を前記統合管理装置へ送信する環境検知部と、を備え、
前記加熱調理器は、その本体の内部に、居住空間の空気を導入する吸気口から当該空気を排出する排気口までの間の排気風路を備え、当該排気風路の中に、前記加熱源が配置されており、かつ当該排気風路の内部空間では、そこを流れる冷却風が前記被加熱物と被調理物に接触しない構成であり、
前記統合管理装置は、前記環境検知部からの空気質を計測した結果を示す情報に基づき前記空気清浄機と排気装置の少なくとも何れか1つの運転を制御し、
さらに前記統合管理装置は、前記加熱調理器から送信された調理種別を示す情報を含んだ前記運転情報に基づき、前記空気清浄機と排気装置の、運転開始、運転停止、運転時間又は排気能力の少なくとも何れか1つを制御することを特徴とする構成である。
【0279】
このため、厨房家具に内蔵された加熱調理器の収納室の中に、挿入口から付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、統合管理装置は、加熱調理器がある居住空間の空気質の状態に応じて前記排気装置に運転指令信号を発信し、排気装置の運転を制御するため、加熱調理時にトッププレート上で発生する熱気等を排出することが期待でき、油煙や臭いが拡散することを効果的に防止できる。
【0280】
(7)その7.
この実施の形態1の空気質の改善システムは、
居住空間の所定位置に固定される本体の内部空間に、居住空間の空気を強制的に導入して、食品等の被調理物を加熱しない冷却風の状態で、前記本体の後部に設けた排気口から室内空間に放出する加熱調理器と、
前記加熱調理器の上方にあって、当該加熱調理器側で発生した熱気を当該空間外へ排出する排気装置と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気を浄化する空気清浄機と、
前記加熱調理器と空気清浄機とから、それらの運転状態の情報を収集するとともに、当該加熱調理器と空気清浄機のそれぞれの運転を制御する統合管理装置と、
前記加熱調理器のある居住空間の空気の汚れや臭い、温度等の空気質を計測した結果を前記統合管理装置へ送信する環境検知部と、
広域無線通信回路網を介して前記統合管理装置に接続され、当該統合管理装置を経由して前記空気清浄機に対して運転の開始指令を与える情報通信端末機器と、を備え、
前記統合管理装置は、前記環境検知部からの空気質を計測した結果を示す情報に基づき前記空気清浄機と排気装置の少なくとも何れか1つの運転を制御し、
さらに前記統合管理装置は、前記加熱調理器から送信された運転情報に基づき、前記空気清浄機と排気装置の、運転開始、運転停止、運転時間又は排気能力の少なくとも何れか1つを制御し、
前記統合管理装置は、前記加熱調理器の運転状態に応じて前記空気清浄機に対して運転の停止指令を与えて運転停止している期間中、前記情報通信端末機器から前記空気清浄機に対する運転開始指令を受けたときは、当該指令に応じた運転開始指令信号を前記空気清浄機に対して発することを禁止する構成である。
【0281】
このため、統合管理装置は、加熱調理器の運転開始に伴って空気清浄機を一時停止した場合、情報通信端末機器から空気清浄機の遠隔操作は受け付けない処理を行うので、屋外にいる居住者等はこのような経緯を知らずに空気清浄機を遠隔操作しようとしても、そのような運転はされない。このため、空気清浄機が不用意に運転開始されて、加熱調理による油煙等で性能劣化するという不具合を防止できる。
【0282】
(8)その8.
この実施の形態1の加熱調理器8は、制御装置143には、前記カバー71が開いている状態を検知し、当該カバーが開いている状態では前記インバーター回路120L、120Rの動作開始を禁止する安全装置SD(132)を設けているものであるため、カバー71が開いている状態では前記インバーター回路120L、120Rの動作開始が自動的に禁止され、安全性を高めることができる。
【0283】
(9)その9
この実施の形態1の加熱調理器1は、無線通信手段150を更に有し、
前記尾操作部93には、前記第1の調理器具62を使用する場合に、前記無線通信手段150を介して調理参考情報を取得することを指令する指令スイッチ98を備えているので、調理に参考となる情報を外部から無線通信で取得することができ、第1の調理器具62を使う場合の利便性を高めることができる。
【0284】
この実施の形態1では、「中運転」モードを、第1運転モードと呼び、「強運転」モードを「第2運転」モードと呼んだが、「弱運転」モードと「中運転」モードを1つにして、これを「第1運転」モードと呼んでも良い。つまり、排気装置9の排気能力は2段階に設定したことに限定しておらず、3段階もしくは4段階以上の能力可変タイプであっても良い。
【0285】
実施の形態2.
図23〜
図29は、実施の形態2に係る加熱調理器8を示すものである。この実施の形態では、加熱調理器8の収納室70を、積極的に冷却する工夫を施したところが特徴である。また、制御装置143の動作プログラムを一部変更し、より迅速に排気装置9と連携できるようにしたものである。さらに第1の調理器具62は温度信号を送信するように改良していることも特徴である。なお、
図1〜
図22と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略している。
【0286】
図23は、
図8と同様な位置で見た場合の平面図であり、トッププレート55と外枠54を取り外した状態で示している。
図23に示すように、この実施の形態2の加熱調理器8では、冷却ユニットCUと収納室70との間を、中空の筒状の分岐ダクト160で連結したところが特徴である。
【0287】
排気口77の横幅寸法W1は、トッププレート55の横幅寸法WEの約80%相当にも及ぶ長さである。また本体ケース53の最大横幅寸法は、トッププレート55の横幅寸法よりは若干狭い。排気口77の横幅寸法W1は、長い方が良く、少なくとも本体8Aの横幅寸法又はトッププレート55の横幅寸法WEの80%以上の長さが好ましい。例えば、排気口77の横幅寸法W1は500mmである。
【0288】
第1の送風機BM1は、本体ケース53の底面壁53Bの後部と、胴部53Uの後部に多数の吸気口58を形成している。
図23に示すように底面壁53Bの後部に形成した吸気口58の真上に、第1の送風機BM1の吸込口側が位置している。
【0289】
本体ケース53の内部空間は、水平仕切板100によって上下2つに区画されている。
図23では、水平仕切板100と後述する冷却風ダクト164の一部を破断して示しており、165は、その破断線を示している。
【0290】
図24は、
図23のY−Y線の縦断面図である。
図23と
図24に示しているように、分岐ダクト160は、一端部(上流側)が冷却ユニットCUを構成する外郭ケース107の左側面に接続され、他端部(下流側)が収納室70の右側壁70Rの上部に接続されている。これにより、第1の送風機BM1から冷却ユニットCUの内部へ供給された冷却風の一部は、インバーター回路基板117に至る直前の段階で左側方に分岐して分岐ダクト160の中に流入する。
【0291】
分岐ダクト160の中に流入した冷却風は、
図24に破線の矢印で示すように分岐ダクト160の末端の吹出口から収納室70の内部に導入される。さらにその冷却風は、収納室70の中を通ったあと、収納室70の天面壁70Tを貫通するように設けた排気ダクト161から、案内ダクト162の中に案内される。案内ダクト162は、水平仕切板100の上方にある上部空間113の中に、前後方向に長く設けてある。
【0292】
案内ダクト162の終端部は、
図25に縦断面図で示しているように、垂直に伸びた後部仕切板103Aの背後まで伸びており、その末端部にある開口162Aは、排気口77のある空間(排気風路104)に連通している。後部仕切板103Bは、後部仕切板103Aの上端部に連結されており、水平に伸びていて、左右方向に長い排気口77を形成している。
【0293】
前記案内ダクト162の開口162Aは、
図25に示しているように、前記排気口77の真下の位置を避け、それよりも少し前方にある。これは排気口77から万一、水や被調理液等が流入した場合、そのような液体が開口162Aに入らないようにするためである。
【0294】
図25において、163は、その水受け部130の側面に形成した連通口であり、前記後部仕切板103Aに形成した通気窓129と対向した位置にある。
水受け部130は、排気口77の真下の位置にあり、左右方向に長く縦断面形状が樋状を呈している。
【0295】
以上の構成であるから、排気口77に向かって左右のIHコイル60L、60Rを冷却した冷却風が、通気窓129と連通口163を経由して水受け部130の所で上昇する気流に変化するが、その上昇する排気流に、前記開口162Aから、収納室70の内部からの空気が、矢印171に示すように誘引され、本体8Aの外部へ一緒に排出されるようになっている。
【0296】
図24に戻って、164は、プラスチック製の冷却風ダクトである。これは水平仕切板100の上面に設置されており、破線で示すように、冷却ユニットCUの前方側天井面に設けた連通口166と、水平仕切板100に設けた開口101とを通じて、冷却ユニットCU側から冷却風が導入される。そしてその冷却風を、2つのIHコイル60L、60Rの下方まで案内する。
インバーター回路120L、120Rによって高周波電力が印加され、高温になる2つのIHコイル60L、60Rは、冷却風ダクト164の天井面にある多数の透孔(噴流孔)164Aから噴き出される冷却風によって冷やされる。
【0297】
図24において、SP1は、前記左IHコイルの下面と、水平仕切板100の上面との間に形成された空隙であり、少なくとも4cm以上に設定されている。SP2は、金属製又はプラスチック製の水平仕切板100の下面と、収納室70の天井壁70Tとの間に形成された空隙で、少なくとも1cm以上に設定してある。従って、水平仕切板100の板厚寸法を除いても、前記収納室70の天井壁70Tの位置は、左IHコイル60Lから磁気的な影響を受けることを低減させるため、少なくとも直線距離で5cm以上離れた位置となるように設定されていることになる。
【0298】
第1の調理器具62は温度信号を送信するように改良しているので、これについて
図26を参照しながら説明する。
金属製の鍋等の調理容器に、温度検知手段と、その温度検知手段の計測温度を無線で送信するためのICタグとを設けることは既に提案されている。
代表的なものとして、日本特許第4089545号公報には、調理物を入れる金属製容器と、前記容器を加熱する誘導加熱調理器とを備え、前記容器の本体には、温度検知素子を取り付けるとともに、その容器のハンドル部分にICタグを設け、前記誘導加熱調理器は、前記ICタグと通信を行う通信手段と、この通信手段の信号を受ける高周波電流発生手段を設けた誘導加熱調理装置が開示されている。
【0299】
また日本特許第4848741号公報には、金属製の鍋(容器)に取付けられたICタグと通信を行う誘導加熱調理器が開示されている。具体的には、トッププレートの上に置かれた前記容器の底面に、温度検知手段を内蔵させ、その温度検知手段の温度が上昇すると、その温度検知手段の抵抗値の変化を、ICタグがアンテナを介して加熱調理器本体側にあるリーダに送信し、そのリーダはその信号を誘導加熱の制御手段に送るという構成である。前記制御手段はリーダから送信された計測温度と設定温度(例えば、180℃)を比較して、高周波電流発生手段(インバーター回路)の高周波出力を制御し、前記容器の温度を180℃に保つというものである。
【0300】
この実施の形態2における第1の調理器具62も、温度信号を送信する機能がある。
図26において、第1の調理器具62の皿部63は、磁性金属の鋳物製であるか、または鉄等をプレス成型して形成される。あるいは非磁性金属、例えばアルミニウム製の容器の底面に、磁性金属の短冊状の板を規則的に並べて張り付けて形成されている。
この第1の調理器具62の皿部63には、その側面に温度検知素子167が、例えば耐熱性接着材(例えば、シリコン樹脂)で密着状態に取り付けられている。
【0301】
取っ手66には、前記温度検知素子167からの温度検知信号を受けるICタグ168が装着されている。
一方、トッププレート55の下面の所定位置には、前記ICタグ168からの無線信号を受けるアンテナ169が設置されている。170は、前記アンテナで受けた情報を読み取るためのリーダであり、操作部93の後方に設置されている。
【0302】
温度検出回路144は、トッププレート55に接触してその温度を調節検出するサーミスタ等の接触式温度センサー(図示せず)と、トッププレート55の下に配置され、そのトッププレート55を透過して届く赤外線の量から、トッププレート55上に置かれた被加熱物(第1の調理器具62、第2の調理器具90を含む)の温度を検知する赤外線温度センサー(図示せず)と、本体ケース53の内部空間やインバーター回路基板117の温度を検知する接触式温度センサー(図示せず)等、数個の温度センサーの温度計測データを取得する。
そしてこの温度検出回路144には、前記温度検知素子167からICタグ168を介して送られた温度計測データも入力されるようになっている。
【0303】
次に
図27のフローチャートを説明する。この図は、
図20と同様に、制御装置143の動作ステップを示すものである。
この
図27に示すように、油調理を開始したステップSB1のあと、制御装置143は、排気装置9に対して運転開始の指令信号F1を赤外線発光素子154から送信する(SB2)。この運転開始時は、排気装置9は、排気風量が3段階(大・中・小)の内の、「中」段階風量を意味する「普通運転」モードの風量で運転される。なお、この指令信号(制御信号)F1は、実施の形態1のように加熱動作開始から30秒経過してからで良いが、加熱動作開始と同時でも良い。前者の方が、排気装置9の運転時間が短くなるので、トータルでの消費電力量を少なく抑えることができる。
【0304】
また統合管理装置10に対して運転情報信号L4Aを発信する。そして次のステップSB3では、所定の「強運転」モードの条件を満たすかどうかの判断がされる。ここで、「強運転」の条件を満たした場合、統合管理装置10への空気清浄機7の運転有無を照会することをせず、排気装置9に対して「強運転」モード開始の指令信号を赤外線発信素子154から送信する。また統合管理装置10に対して、「強運転」モードに切り替えたことを示す運転情報信号L4Bを発信する。なお、「強運転」モードに切り替える条件については、あとで詳しく説明する。
【0305】
このあとは、
図20のステップSA6と同じ動作を行い、
図20のステップSA7、SA11、SA12と同じステップの動作を行う。そして居住空間3の空気が汚れている場合には、ステップSA13で説明したように空気清浄機7の運転要請を統合管理装置10に行う。
【0306】
この実施の形態2では、実施の形態1の
図20で説明したように、記憶装置143Rから環境情報と空気清浄機7の運転情報を読み出して、空気清浄機7が運転されているかどうかの処理を制御装置143で行うステップSA2を省略しているので、所定の「強運転」の条件を満たした場合、迅速に排気装置9の排気能力を上げて、油煙等の排気に対応させることができる利点がある。
【0307】
なお、また統合管理装置10に対して、運転情報信号L4Bを発信しているので、統合管理装置10では以下の動作を行う。
まず、統合管理装置10では、常に加熱調理器8の油調理の運転開始と、空気清浄機7の運転有無の最新情報を、直接加熱調理器8と空気清浄機7とから、それぞれ取得して保有しているため、空気清浄機7が運転されているときには、その運転を直ぐに停止させる指令を空気清浄機7に発する。そして、排気装置9の運転が停止した段階での、統合環境検知部16の計測結果から居住空間3の空気が汚れていることが分かった場合には、再び空気清浄機7の運転を開始するために、運転開始指令信号を空気清浄機7に発する。
【0308】
この構成であるため、空気清浄機7のフィルター33に、加熱調理器8の油調理で発生する油煙が吸い込まれ、目詰まり等の不具合の原因になることを回避できる。なお、
図27のステップSB7は、油調理を開始したかどうかの判定ステップSA1において、油調理開始していないと判定された場合のステップであり、この場合には、排気装置9に対して「普通」運転開始の指令信号を赤外線発光素子154から送信する。また統合管理装置10に対して、運転情報信号L4Aを発信する。
【0309】
図28は、
図27のフローチャートのステップSB3で示した「強運転」の条件について説明したものである。
図28では、強運転の開始条件を満たす条件を記載してあるが、第1条件が第2条件以下に優先するものではなく、この表に記載の各条件は優劣がない。どれか1つの条件を満たしたことが加熱調理器8の制御装置143で判定された場合、ステップSB3は「Yes」となり、排気装置9に対して「強運転」を求める指令信号が発信される。
【0310】
統合管理装置10は、必ずしも空気清浄機7や排気装置9の通電を開始したり、停止したり、運転条件を変更したりする制御機能を保有していると限らない。そのため、排気装置9の運転モードが、例えば「弱運転」から「中運転」又は「強運転」に変化したことを統合管理装置10が感知しても、それに基づいて排気装置9を直接コントロールすることができない場合がある。このような場合でも、この実施の形態2では加熱調理器8を介して排気装置9の運転条件を変更でき、例えば「中運転」から「強運転」のモードに変更させ、居住空間の空気質、快適性を維持できる。
【0311】
図28において示された各種条件について、以下解説する。
(1)第1条件:IHコイル通電開始からの連続経過時間と、火力(500W)との双方を満たした場合をいう。例えば、火力500W以上でIHコイルが連続3分間以上継続した場合である。
(2)第2条件:IHコイル通電開始からの温度上昇度合をいう。ここでいう温度とは、調理メニューの1つである「油調理」を行う場合の、食用油、被加熱物、トッププレート55の少なくとも何れか1つの温度をいう。そして温度上昇の大きさは、例えば(食用油以外は)70度で良い。このため、トッププレート55の温度が25℃で加熱調理開始されたケースでは、95℃まで上昇した場合に条件が満たされる。また、食用油の場合は、過熱による発火を避けるため安全性を考慮して例えば50度に設定されている。
(3)第3条件:IHコイルが火力2kwで通電開始された場合をいう。フライパン等に少ない油を入れて、火力を2kw以上に設定して調理開始すると、急速にフライパン等が加熱され、油煙が発生することを想定した条件である。
(4)第4条件:IHコイル通電開始により、一般に市販されている各種鍋等の被加熱物や、第1の調理器具62、第1の調理器具90の温度が90℃を超えた場合。なお、この温度は、前記したような温度検出回路144の検出温度であれば良く、例えば前記第1の調理器具62では、それに取り付けられている温度検知素子167の検出温度でも良い。
(5)第5条件:前記第4の条件と類似しているが、第1の調理器具62の温度が90℃以上になっていることを温度検出回路144で検出した場合。
(6)第6条件:トッププレート55の温度が90℃以上になっていることを、温度検出回路144で検出した場合。
(7)第7条件:統合管理装置(電力指令装置)10から、特別な指令信号を受けた場合をいう。統合管理装置(電力指令装置)10は、統合環境検知部16を有しており、居住空間3の中の空気質の変化を常に監視しているため、居住空間3からの排気が必要なレベルを超える空気質の変化(悪化)があった場合、空気質を改善する空気清浄機7や排気装置9に対して、運転開始指令信号や運転条件変更(例えば、排気能力を上げる)指令信号を出す場合がある。この実施の形態2の統合管理装置(電力指令装置)10では、排気装置9に対する指令信号が通信状態の異常等で成功しなかった場合を想定し、加熱調理器8の発信部155を経由した赤外線信号での間接制御も可能にする構成となっており、確実に排気装置9を制御できる構成である。
【0312】
図29は、
図23に示す加熱調理器の収納室部分の拡大縦断面図である。
この実施の形態2では、実施の形態1と同様に、左右一対の支持板122L、122Rは、収納室70の右壁面70Rと左壁面70Lの下部に、前後方向に長く(収納室70の奥行き寸法に合わせて)設置されている。
【0313】
支持板122L、122Rは、ネジ125によってその2つの左右側面壁70R、70Lに固定されている。
【0314】
126は、支持板122L、122Rの最も上端部に形成した段部であり、横方向に広がるように直角に屈曲した縦断面形状となっている。第1の調理器具62の皿部63は、その最も上端部に、蓋体64を載せることができる蓋受け部63Eが一体に形成されている。
【0315】
この実施の形態2では、前記蓋受け部63Eの位置は、第1の実施の形態1よりも上方位置にある。すなわち、
図29に示すように底面から所定の高さHDの位置に形成されている。この寸法HDは例えば、50mm〜60mmである。この寸法は、IHコイル60L、60Rによって誘導加熱される時でも、それらコイルからの直線距離が最低でも50mm以上になるようにするために設定している。つまり、蓋受け部63Eと取っ手66は、底面から所定の高さHD離れることになるため、直接IHコイルで誘導加熱され、高温になることが回避される。
【0316】
さらにこの実施の形態2では、前記蓋受け部63Eの位置が、実施の形態1とは異なり、前記段部72Eよりも上方にあり、しかも収納室70の左右側面壁70L、70Rと接近したところにある。
このため、皿部63と蓋部64の有効内径を実施の形態1よりも大きくできる。従って、第1調理器具62の有効内部直径が大きいものを使用でき、一度に調理(焼き魚や餃子など)できる量を増やすことができるという副次的利点がある。
【0317】
前記蓋受け部63Eは、収納室70の左側面壁70Lとは間隙GPXを保っている。この間隙は、トレイ72を引き出す際、調理器具62、90等が、収納室70の左側面壁70Lや右側面壁70Rに接触しない程度であれば最小寸法で良い。
【0318】
前記段部72Eは、
図29に示すように前記支持板122L、122Rの上に伸びているため、使用者がトレイ72を引き出す場合でも、そのトレイ72の両側に支持板122L、122Rは殆ど見えない。つまり、機械的構造物である支持板122L、122Rを見えにくくし、意匠性を向上させている。この点は、実施の形態1の効果と同様である。
【0319】
実施の形態2の総括.
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2の加熱調理器8においても、実施の形態1と同等の効果が期待できる。
この実施の形態2の加熱調理器8でも、実施の形態1と同様に、本体8Aの内部に収納室70が確保されており、この中に付属品や調理器具等の物品を挿入して格納でき、また必要な都度取り出すことができるから、調理時の利便性を向上させることができる。しかも、室内居住空間から排気を行う排気装置9に対して、調理メニューに応じて運転を制御する指令信号が発信されるので、加熱調理時にトッププレート55上で発生する油煙や熱気等を、排気口77からの排気流によって排気装置9側へ案内して、居住空間3の外へ排出することが期待できる。
【0320】
この実施の形態2の加熱調理器8は、第1の送風機BM1から冷却ユニットCUの内部へ供給された冷却風の一部は、インバーター回路基板117に至る前の段階で分岐して分岐ダクト160の中に流入する。つまり、インバーター回路基板117の熱を奪って温度が上昇する前の冷却風が分岐ダクト160によって、収納室70の内部へ直接供給される構成であるため、収納室70が冷却風によって直接的に冷却される。このため、実施の形態1よりも更に効果的に収納室70の温度上昇抑制効果を期待できる。
【0321】
なお、この実施の形態2で説明したような、インバーター回路基板117を冷却する前の冷却風ではなく、冷却した後の冷却風の一部を分岐させて、収納室70の中に導入し、本体8Aの外部へ排出させることでも良い。これによれば、もし収納室70の内部空間に熱気が滞留しているような場面があっても、それを解消できる。
【0322】
さらに、インバーター回路基板117を冷却した後の冷却風の一部を分岐させて、収納室70の外側を通過させ、本体8Aの外部へ排出させることでも良い。例えば、
図13に示した空隙SP2に冷却風を通過させれば、収納室70を外側から冷却できる。このため、収納室70の内部空間に熱気が滞留しているような場面があっても、収納室70の温度を下げて解消できる。
【0323】
また、この実施の形態2では、以下のような加熱調理器8を備えている。
すなわち、この加熱調理器8は、特に
図27と
図28で説明したように、
被調理物を収容した被加熱物(第1の調理器具62を含む)が載置されるトッププレート55を有した本体8Aの内部に、前記被加熱物を加熱する加熱源(IHコイル60L、60R)と、空気を導入する送風機BM1と、前記加熱源への通電を制御する制御装置143と、前記本体8Aの外部にある排気装置9に対して制御信号を発信する発信部155とを、それぞれ設け、
前記送風機によって導入された空気を排出する排気口を、前記本体上部に設け、
前記制御装置は、加熱調理工程を開始した以降又は排気装置を起動した以降の、累積通電時間、計測対象物の温度上昇値、温度上昇幅、所定温度の超過、最大火力値の少なくとも何れか1つの条件が満たされたときに、前記排気装置の排気能力を増大させる運転に切り替える制御信号F2を、前記発信部155から発信させることを特徴とする構成である。
【0324】
これによれば、加熱工程が進行して油煙や高温蒸気が発生する場面を想定して、排気装置9の排気能力を向上させることができるので、居住空間3に調理の臭いが拡散したり、油煙が滞留したりすることを防止できる。
【0325】
実施の形態3.
図30〜
図35は、実施の形態3に係る加熱調理器8を示すものである。
この実施の形態3では、加熱調理器8の本体ケース53内部を、水平仕切板(第1の隔壁)100と第2の隔壁114によって、2つの空間に分けたところが特徴である。また、排気口77から真上の方向に冷却風を排出するようにしている。加熱調理器8の制御装置143も変更し、排気装置9の運転開始のタイミングを改良していることも特徴である。なお、
図1〜
図22と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略している。
【0326】
図30は、加熱調理器8の全体を示す斜視図である。
この加熱調理器8は、耐熱性ガラスから形成されたトッププレート55の直下に、3つのIHコイル61L、61M、61Rを設置している。全てのIHコイルの垂直方向の高さは同一である。
【0327】
図30では、3つのIHコイル60L、60M、60Rの外周縁の位置を円で示しているが、実際にはトッププレート55の上からはそれらIHコイル60L、60M、60Rは視認できない。
60は、右側IHコイル、60Lは左側IHコイルである。60Mは、これら2つのIHコイルの中間位置で、本体ケース53の後部に配置された中央IHコイルである。
【0328】
91L、91M、91Rは、それぞれ液晶表示画面等の表示画面であり、トッププレート55の一部に形成した透明窓の下方にそれぞれ近接して配置されている。なお、透明窓は、トッププレート55の下面を覆うように設けた印刷膜の一部だけ印刷しないことによって形成されている。3つの表示画面91L、91M、91Rは、操作部93の入力結果や調理工程、あるいは警告情報等が表示される。
【0329】
次に
図31について説明する。
図31は、
図30に示す加熱調理器を、トッププレートを取り外した状態で示したものである。
加熱調理器8の本体ケース53内部は、水平仕切板(第1の隔壁)100と第2の隔壁114(
図32参照)によって、2つの空間に区画されており、水平仕切板100の上方には上部空間113が形成されている。この上部空間の中に、3つのIHコイル61L、61M、61Rが配置されている。
【0330】
上部空間113から排気口77の間を仕切っている通気窓129は、後部仕切板103Aに形成されている(
図33参照)。
その後部仕切板103は、金属製の水平仕切板100の後部に、垂直に取り付けられている。
【0331】
図31では、通気窓129は6個形成されているが、これ以上形成しても良い。この上部空間113を前方から後方に流れる冷却風を、できるだけ均等に分けるように等間隔に、しかも同等の大きさ(開口面積、形状)で形成することが望ましい。
【0332】
175は、2つの排気口77の丁度中間位置を閉鎖するように設けた閉塞板であり、
これは、中央IHコイル61Mの真後ろの位置となる。この閉塞板175により、1つの開口が左右二つに分かれ、排気口77になっている。
176は、右側IHコイル61Rから真後ろの位置に横に長く形成した立ち壁であり、右側IHコイル61Rを冷却した後の冷却風が右側の排気口77に到達する量を調整するために、冷却ユニットCUの上部に設置してある。このため、
図34に示すように立ち壁176の真上の風路177は、少し狭くなっている。
【0333】
前記立ち壁177は、排気口77から水等の液体が滴下又は浸入した場合、それが前方へ移動しないように阻止する土手としての機能もある。
【0334】
次に
図32について説明する。
図32は、
図30に示す加熱調理器のX−X線縦断面図である。冷却ユニットCUの外郭を構成する外郭ケース107を有している。
外郭ケース107は、電気絶縁性材料(プラスチック等)で製造された上蓋部115と、これを支えるように電気絶縁性材料(プラスチック等)で製造された下側部116と、の2つのユニットから構成されている。
外郭ケース107の内部には、インバーター回路基板117が水平に設置されている。
前記上蓋部115と下側部116は、ネジで結合されて箱型形状の冷却ユニットCUを形成している。
【0335】
図32において、SP1は、左IHコイル8Lの下面と金属製の水平仕切板100との間に確保された(第1の)空隙を示し、少なくとも3〜5cm以上に設定されている。SP2は、前記水平仕切板100の下面と、収納室70の上壁面70Tとの間に形成された(第2の)空隙であり、少なくとも1〜2cmに設定してある。
SP3は、収納室70の右側面壁70Rと第2の隔壁114との間に形成された(第3の)空隙であり、3cm〜5cm程度の大きさである。
【0336】
178は、本体ケース53の全体を覆うような平面積を有する支持板であり、額縁形状である。つまり中央には大きな窓178Aが形成され、この窓を塞ぐように上方からトッププレート55が載せられている。
【0337】
次に
図33について説明する。
図33は、
図31に示す加熱調理器のY−Y線縦断面図である。
179は、アルミニウム等で形成された飾り枠であり、実施の形態1の外枠54に相当する部品である。この飾り枠は、2つの排気口77の周囲を囲むような大きさを有しており、本体ケース53の後部に移動しないように前記支持板178に固定されている。
【0338】
128は、この飾り枠に上下に貫通するように形成した最終排気口であり、この最終排気口は、排気口77の位置と合致するように形成されている。
最終排気口128の開口面積(大きさ)・形状は、排気口77の大きさ・形状と、ほぼ合致している。
【0339】
図34において、173は、冷却ユニットCUに対して、第1の送風機BM1を接続状態に支持する天面板であり、電気絶縁性材料(プラスチック等)で製造されている。そして下側部116との間に前記第1の送風機BM1を挟み込む形となっている。
前記立ち壁176は、この天面板の上面に一体に形成されている。
174は、電源基板であり、商用電源に接続されている。この電源基板には、電源コードを通じて加熱調理器8の外部にノイズ信号を伝えないように、ノイズ除去フィルター等の電気部品が実装されている。
【0340】
次に
図35は、加熱調理器8を家電機器EEの代表的な製品として、その調理器の電源投入から電源遮断までの全工程の動作を示すタイムテーブルである。
図35において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時、統合管理装置を兼ねた電力指令装置10に送信され、家屋1の総電力量の管理が行われている。これは、電力使用量の制限対象として使用者が事前に加熱調理器8を登録したからである。他の電気機器EEの内、電力使用量の制限を行う電気機器EE(例えば空気調和機7)においても、基本的にこの加熱調理器8と同じように運転情報を随時電力指令装置10に送信している。
【0341】
さらに
図35において、L1〜L8が、加熱調理器8から電力指令装置10に送信される運転情報信号である。L3は、調理メニューを選択したことを示す情報信号であり、湯沸し、煮込み、揚げ物調理などの各種調理メニューの中から「自動揚げ物」を選択した場合を示す。
【0342】
L4は、実際にインバーター回路120Lが駆動され、(誘導)加熱動作が開始された情報信号を示す。L5は、揚げ物工程が開始された情報信号を示す。これら各運転情報信号L1〜L8には、その現在時刻を示す情報が、秒単位まで含まれている。
【0343】
実施の形態1で説明した温度検出回路144と同じ温度検知装置を備えており、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)を検知する前に、それより低い温度(T1)になったことを検知できる。従って、温度検知装置からの温度検知情報を得ている制御装置143では、予熱温度検知したことを示す運転情報信号L5が発信される前(
図35に示したステップSA5の段階)に、排気装置9の運転を開始する指令信号F1を出すことができる。但し、この実施の形態3では、実施の形態1のように、排気装置9に対して赤外線信号等で運転開始を求めるのではなく、一旦、電力指令装置10に対して、排気装置9の運転を要請する信号が送信される。この場合、
図35では「換気開始推奨」と呼んでいる。
【0344】
電力指令装置10では、加熱調理器8からの排気装置9の運転を求める運転情報信号L5を受信すると、排気装置9に対して運転開始(但し、排気風量は少ない「弱」運転のモード)を指令する。この指令信号F0を排気装置9が受けると、排気装置9は運転回路が起動される(ON)。
【0345】
一方、電力指令装置10では、加熱調理器8からの運転情報信号L3によって、油を含む調理が実行されることを既に知っているので、空気清浄機7が運転されている場合には、その運転を、例えば10秒後に停止するように「一時停止指令信号」を出す(
図35のFB)。
【0346】
電力指令装置10では、さらに以下のように動作する。
(1)空気清浄機7を運転停止することを報知する。例えば、音声ガイド装置(図示せず)により「ただいまから少しの間、空気清浄機の運転を停止します」のような案内を自動的に行う。
(2)電力指令装置10の入力部を兼ねた液晶表示画面24においても、同様な趣旨のメッセージを文字で表示する。
(3)電力指令装置10と情報通信できる家電機器EEの中にテレビ受像機がある場合、そのテレビ受像機が視聴されているときは、その表示画面の一部に、同様な趣旨のメッセージを文字で表示させる。この表示指令は、電力指令装置10が行う。
(4)上記した(1)〜(3)の表示や報知の際、空気清浄機7をどうしても運転しておきたい場合には、空気清浄機7の操作部や、そのリモコンにおいて特定のキーを押すことを同時に報知する。例えば、「#」のキーを2回押すこと等を指示する。
(5)上記(4)までの報知後、所定時間(例えば8秒)内に、そのような特定のキーが押されない場合、電力指令装置10は、空気清浄機7に対して「一時停止指令信号」を取り消す信号は出さない。
【0347】
以上の動作により、空気清浄機7は、使用者が運転継続の意思を示さない限り、上記(4)の報知を行った時点から、10秒経過時に自動的に停止される(OFF)。なお、空気清浄機7がOFFとなっても、電力指令装置10との交信は随時行えるように無線通信部31は待機状態になる。また、空気清浄機7は、指令通り運転停止したことを所定の運転情報信号によって電力指令装置10に報告する。
【0348】
電力指令装置10は、以上のような経緯で空気清浄機7を一時停止した場合、事前に固有番号が登録されている端末機器43に対して、空気清浄機7の遠隔操作は受け付けない旨の信号FCを発信する。この時点から、後で述べる信号FHが送信される時点までは、端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作(例えば、運転開始)は一切受け付けない。なお、端末装置43は、空気清浄機7に直接操作信号を送信して遠隔操作はできない。これは、空気清浄機7には、家屋1の外部から無線通信を直接受ける受信部を備えていないためである。
電力指令装置10に対して遠隔操作信号を送信した場合に、電力指令装置10を介して間接的に、空気清浄機7の遠隔操作できるシステムとなっている。
【0349】
なお、電力指令装置10は、前記加熱調理器8から送信された前記運転情報信号L3の中に、油調理を示す情報が含まれていたときは、その信号L3を受け取り、その後加熱動作開始したことを示す運転情報信号L4を受信した時点から、空気清浄機7を完全にロックする。
つまり電力指令装置10の制御部22は、もし前記空気清浄機7がその時点(信号L4を受けた時点)で運転停止中であった場合、当該運転の開始をその後許可する指令信号を発しない。つまり、前記信号FCが送信される時点の前に、端末機器43から空気清浄機7の運転を開始する遠隔操作信号を受信しても、その信号に応じて空気清浄機7の運転を開始することはない。
【0350】
この実施の形態3において電力指令装置10は、加熱調理器8の運転開始に伴って空気清浄機7を一時停止した場合、端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作は受け付けない処理を行うので、屋外にいる居住者等はこのような経緯を知らずに端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作(例えば、運転開始)を指定しても、実際には空気清浄機7はその通りに運転されない。このため、空気清浄機7が不用意に運転開始されて、油調理の際の油煙等が堆積してフィルター33が性能劣化する等の不具合を防止できる。
【0351】
前記加熱動作開始の時点から少し時間経過すると、使用開始したIHコイル61L、61Rによってトッププレート55の上の調理器具、例えば第1の調理器具62は温度が上がる。そこで、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)を検知する前に、それより低い温度(T1)になったことを制御装置143は検知し、「中運転」のモード)を指令する。
【0352】
なお、温度(T1)になったことを検知して「中運転」に切り替えず、運転情報信号L4を受信した時点から1分経過後、換気装置9に対し、排気風量を少し増大させた「中運転」のモードを指令するようにしても良い。あるいは、これら2つを組合せ、何れか早い方を採用して「中運転」モードに変更するようにしても良い。
このような運転モード変更の指令信号F4を、統合管理装置10から排気装置9が受けると、排気装置9は「中運転」モードに変更され、排気風量が増加する。
【0353】
加熱工程が更に進むと、制御装置143は、被加熱物(金属鍋)の温度が使用者の設定した予熱温度(T2)になったことを検知できる。すると制御装置143は、排気装置9に対して「強運転」モードに切り替えるように指令信号F5を出すことができる。
【0354】
加熱工程が進み、使用中のIHコイル61Lの通電を制御装置143が停止すると、加熱調理器8から運転情報信号L7が、電力指令装置10に送信される。その後も加熱調理器8は、トッププレート55の温度を検知しているので、その温度が例えば50℃未満まで下がったかどうかを監視しており、50℃未満に下がったことが検知されると、
図35に示すように「換気終了推奨」という運転情報信号L7Aを発信する。
【0355】
電力指令装置10では、加熱調理器8からの運転情報信号L7Aによって、加熱調理が終わったことを知ることができるので、換気装置9に対して「停止指定信号」を出す(
図35のFE)。
【0356】
排気装置9は、前記信号FEを受けると、排気運転を停止する。
また、電力指令装置10は、以上のような経緯で排気装置9の運転を停止した場合、空気清浄機7の運転再開ができる旨の情報信号FGを発信する。
【0357】
この後、電力指令装置10は遠隔操作の受付ができないことを報知した特定の端末機器43に対して、空気清浄機7の遠隔操作(例えば、運転開始)が可能となったことを報知する(
図35のFH)。なお、運転再開ができる旨の情報FGを発信する時点で、居住空間3の空気の質が良くなっている場合、統合環境検知部16がそのような空気質の改善を検知するので、空気清浄機7を再起動する前に、空気清浄機7の運転要否を制御装置143で判定し、空気清浄機7の運転を開始しない場合もある。
【0358】
この実施の形態3は、
図31に示したように、水平仕切板100の後部に後部仕切板103を設け、左側の排気口77に流れる冷却風を、複数個の通気窓129によって横方向に分散させてから排気口77に至るようにしている。このため、排気口77の横幅全体から上方に向けて放出される排気流とすることができる。これにより、トッププレート55の上方にある熱気や油煙等を上方向に幅広い範囲で誘導できる。
【0359】
また、この実施の形態3は、
図31に示したように、右側IHコイル61Rから真後ろの位置に横に長く形成した立ち壁176を設け、右側IHコイル61Rを冷却した後の冷却風が右側の排気口77に到達する量を調整している。つまり立ち壁176の真上の風路177は、少し狭くなっているので、冷却ユニットCUから右側IHコイル61Rの周辺に供給された冷却風が、その後部側で近い位置にある排気口77に流れ過ぎて、左側IHコイル61L周辺に流れる風量が減ることを抑制し、最終的に2つの排気口77から放出される風量や風速に大きな差が出ないように調節している。
【0360】
(実施の形態3の総括)
この実施の形態3においても、実施の形態1と基本的に同等な効果が得られる。
さらにこの実施の形態3の空気質の改善システムは、
居住空間3の所定位置に固定される本体8Aの内部空間に、居住空間3の空気を強制的に導入して、食品等の被調理物を加熱しない冷却風の状態で、前記本体8Aの後部に設けた排気口77から居住空間に放出する加熱調理器8と、
前記加熱調理器8の上方にあって、当該加熱調理器8側で発生した熱気を当該空間外へ排出する排気装置9と、
前記加熱調理器8のある居住空間3の空気を浄化する空気清浄機7と、
前記加熱調理器8と空気清浄機7とから、それらの運転状態の情報を収集するとともに、当該加熱調理器8と空気清浄機7のそれぞれの運転を制御する統合管理装置10と、
前記加熱調理器8のある居住空間の空気の汚れや臭い、温度等の空気質を計測した結果を前記統合管理装置10へ送信する環境検知部16と、
通信回路網18を介して前記統合管理装置10に接続され、当該統合管理装置を経由して前記空気清浄機7に対して運転の開始指令を与える端末機器43と、を備え、
前記統合管理装置10は、前記環境検知部16からの空気質を計測した結果を示す情報に基づき前記空気清浄機7と排気装置9の少なくとも何れか1つの運転を制御し、
さらに前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8から送信された運転情報に基づき、前記空気清浄機7と排気装置9の、運転開始、運転停止、運転時間又は排気能力の少なくとも何れか1つを制御し、
前記統合管理装置10は、前記加熱調理器8の運転状態に応じて前記空気清浄機7に対して運転の停止指令を与えて運転停止している期間中、前記端末機器43から前記空気清浄機7に対する運転開始指令を受けたときは、当該指令に応じた運転開始指令信号を前記空気清浄機7に対して発することを禁止する構成である。
【0361】
従って、この実施の形態3の空気質の改善システムによれば、統合管理装置10は、加熱調理器8の運転開始に伴って空気清浄機7を一時停止した場合、端末機器43から空気清浄機7の遠隔操作は受け付けない処理を行うので、屋外にいる居住者等はこのような経緯を知らずに空気清浄機7を遠隔操作しようとしても、そのような運転はされない。このため、空気清浄機7が不用意に運転開始されて、加熱調理による油煙等で性能劣化するという不具合を防止できるという効果を奏するものである。
【0362】
また
図35に示したように、この実施の形態3の家電機器の統合管理装置10は、
厨房家具15の設置口15Aに設置され、その厨房家具15の内部から吸引した空気を本体8Aの上部に形成した横長の排気口77から冷却風として集中して排出する加熱調理器8と、その加熱調理器8の上面に置かれた被加熱物から発生する蒸気や油煙等と前記冷却風とを吸引して居住空間3の外部へ排出する排気装置9と、の2つの家電機器の運転を連携させる制御部22を備え、
前記制御部22は、前記加熱調理器8から運転情報信号を取得し、当該加熱調理器8に対し調理開始許可信号を送信し、
さらに前記制御部22が前記加熱調理器8から受信する前記運転情報信号は、前記排気装置9の運転開始を推奨する第1の信号L5と、加熱調理工程が所定の段階に進んだことを示す第2の信号L6の少なくとも2つあり、
前記制御部22は、前記第1の信号L5を受けた場合には、前記排気装置9の送風機26Fを第1の排気能力で運転させる「第1運転」モードの制御信号F0を発信させ、前記第2の信号を受けた場合には、第1の排気能力より大きな排気能力で運転させる「第2運転」モードの制御信号F2を発信させる構成であった。
【0363】
このため、この実施の形態3の統合管理装置10によれば、加熱調理器8の運転開始に伴って、最初は「弱運転」モード等の「第1運転」モードで排気装置9の運転を開始させ、その後、予熱工程の段階で予熱温度に到達したことなど所定の段階に進んだときに、排気装置9の運転を、「強運転」モード等の「第2運転」モードに切り替えて排気量を増強させることができる。これにより加熱調理に伴って蒸気や油煙の発生量が多くなっても、それらを排気口77からの排気流とともに排気装置9が回収し、居住空間3の外部へ排出することが期待できるという効果がある。
【0364】
また、この実施の形態3の家電機器の統合管理装置10においては、前記制御部22は、前記加熱調理器8の運転時に、運転を停止すべき家電機器(例えば、空気清浄機7)がある場合、当該家電機器(空気清浄機7)に対して運転の停止指令信号FBを、前記「第2運転」モードの制御信号F2の発信より前の段階で発信することを特徴とする構成を備えていた。
【0365】
このため、加熱調理器8の運転開始に伴って空気清浄機7を自動的に停止させることができるので、空気清浄機7が油煙等を吸い込んで、性能劣化するという不具合を防止できるという効果を奏するものである。
【0366】
実施の形態4.
図36〜
図41は、実施の形態4に係る加熱調理器8を示すものである。
この実施の形態4では、排気口77に近い排気風路104を更に改良したものである。すなわち、排気風路104の終端部を構成する樋状の水受け部130を1つのユニットにして形成したことが1つの特徴である。なお、
図1〜
図22と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略している。
【0367】
図36は、加熱調理器8を示した平面図である。この例では、トッププレート55の左右中心部に、加熱口を1つだけ設けたビルトイン式の誘導加熱調理器である。
【0368】
図36において、トッププレート55の左右中心線CL1を跨ぐような位置に、IHコイル60を配置している。実際にはIHコイル60は、トッププレート55の下方にあるため
図36のように目視できない。IHコイル60は、前後中心線CL2を跨ぐような位置にも配置しているため、正方形に近いトッププレート55の、略中心位置と、薄い円形(ドーナッツ状)のIHコイル60の中心は合致している。IHコイル60の最大外形寸法Aは、例えば250mmである。
【0369】
70は、操作部93のある前方側に開閉自在なカバー71(図示せず)を備えている収納室であり、全体が金属製薄板から構成されている。この収納室70の天井壁70T(図示せず)から60mm程度上方に離れた位置に、前記IHコイル60が水平に設置されている。
【0370】
180は、操作部93の一部を構成する近距離無線通信部(以下、「NFC通信部」という)である。ここは、近距離無線通信機能のあるスマートフォン等の端末機器43を接近又は接触させることで通信が行える。
【0371】
第1の送風機BM1は、本体ケース53の内部右側空間に配置され、本体ケース53の下部側面と底面部53Bに形成した多数の小孔からなる吸気口(図示せず)から、厨房家具15の内部空間を介して居住空間3の空気を吸引する。
【0372】
第1の送風機BM1から下流側に形成される排気風路104は、下部空間112にある前記収納室70の内部を経由せずに、IHコイル60のある上部空間113を貫通し、最終的にはトッププレート55の後部に、横一直線に形成した排気口77に至る。
【0373】
排気口77の横幅寸法W1は、トッププレート55の横幅寸法WEの約80%相当にも及ぶ長さである。また排気口77の横幅寸法W1は、IHコイル60の外形寸法Aよりも2倍以上大きい。
【0374】
図36において、矢印111で示すものは、排気口77から排出される冷却風の流れを示したものであり、破線で示した矢印は上部空間113を流れる冷却風を示している。また実線で示した前記矢印111は、
図36では水平に描かれているが、実際は排気口77から略鉛直方向に流れる冷却風である。
【0375】
図37は、排気風路104の終端部を構成する樋状の水受け部130を示すものであり、この水受け部130は、金属製薄板やプラスチックから製造されている。
この実施の形態4では、水等で腐食したり錆びたりしないようにステンレスやアルミニウムの薄板をプレス成形して、底面が湾曲面になっている。
【0376】
図37において、水受け部130の横幅寸法W5Lは、
図36に示した排気口77の横幅寸法W1の半分に形成されている。つまり、この排気口77の真下には、前記水受け部130を2本直列に並べて配置している。前述の通り、排気口77の横幅寸法W1は500mmであるので、この水受け部130の横幅寸法W5Lは250mmより僅かに短い。
【0377】
図37において、水受け部130の前後方向の幅寸法Bは、
図38に示しているように排気口77の前後方向の幅寸法WBよりも若干狭く形成されている。
163は、水受け部130の前方側の壁に開設した多数の連通口である。
【0378】
この連通口130の前方側には、上部空間113の全体を前後に仕切るように設けた後部仕切板103がある。
図25に示した実施の形態2とは異なり、後部仕切板103Aには、個々の連通口163と対応した多数の通気窓129を設けておらず、横幅方向に長い大きな通気窓129を、1つ又は2つ設けている。
【0379】
図37において、181は、水受け部130の中を、複数の空間に仕切るように内部に設けた隔壁である。
図37では、3つの部分に仕切るように隔壁181は2個所設けてある。この隔壁の存在により、通気窓129から水受け部130の内部空間に入った冷却風は、排気口77の右隅部や左隅部に集中することがなくなり、排気口77の全体から冷却風が吹き出るようになる。なお、隔壁181の高さは、水受け部130の最も低い底面から排気口77方向に伸びていれば良く、隔壁181の上端面が排気口77に接触する程度まで接近させる必要はない。
【0380】
図38において、78は、プラスッチックや金属等で製造された排気カバーであり、
図38に縦断面形状を示しているように、内部には排気風路104の終端部となる連通路182が背面方向に向かって形成されている。
連通路182は、
図38に示しているように背面78B側に開口しており、その背面は、後ろに行くに従って下がるような傾斜面であるため、厨房家具15の前面側に立って調理する使用者から連通路182の出口、つまり最終排気口128が見えることはない。このためデザイン性を損なうこともない。
【0381】
図38において、前記連通路182は、排気口77の横幅方向に、独立した貫通孔形状で数個〜10個以上設けてある。この連通路182の開口面積を大きくすると、異物等が入ってしまうことから、一定の開口面積の最終排気口128が規則的に並ぶよう配置されている。
【0382】
(統合管理装置の基本動作)
次に、
図39を参照しながら、統合管理装置(電力指令装置)10の基本動作を説明する。
図39に示しているように、電力指令装置10によって、消費電力量が制限される「電力制御対象機器」としては、加熱調理器8と空気調和機5が事前に当該電力指令装置10に登録されている。
電力確保の優先度は、加熱調理器8が、空気調和機5より高い。そのため、空気調和機7の運転中に、加熱調理器8の使用を開始すると、空気調和機7の電力量を削減するように指令信号が出る場合がある。
【0383】
図39に示しているように、空気清浄機7と排気装置9は、「電力制御対象機器」として登録していないという前提で、以下説明する。
1台の空気調和機5が先に運転開始されているという状況で、加熱調理器8の使用を開始する場合について説明する。
【0384】
1台の空気調和機5が運転開始されると、空気調和機から運転情報信号が電力指令装置10に送信される。この後で、加熱調理器8を使用したい場合、その主電源スイッチ95を閉じると、実施の形態1で説明したように調理メニューの選択ステップに移行する。仮に、「湯沸かし」、「自動揚げ物」、「煮物」等の調理メニューの中から「自動揚げ物」を操作部93で選択すると、「自動揚げ物」を選択したことを示す運転情報信号が電力指令装置10に送信される。その際、加熱調理器8からは使用する消費電力は最大で2000Wであることを示す情報も送信する。
【0385】
電力指令装置10では、「自動揚げ物」の調理用の電力(最大2000W)を許可するかどうかの判定処理を行う。このステップST1では、空気調和機5や「電力制御対象機器」に登録されていない「他の家電機器」(例えば、室内の照明器具6や冷蔵庫など)の消費電力の情報も得ている。すなわち、それら個々の「他の家電機器」の電源回路に挿入された電力センサー(図示せず)から、常に電力情報を得ているので、これら「他の家電機器」の消費電力も考慮し、ブレーカーBKで許されている上限値を超えないかどうか判断する。この判定は、電力指令装置10内部にある電力超過量判定回路(「比較器」ともいう。図示せず)で行う。
【0386】
そして、上限値を超えている場合は、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段(図示せず)によって決定する(ST2)。
【0387】
次に、電力指令装置10の制御装置143では、統合環境検知部16を通じて加熱調理器8のある居住空間3の、気温、湿度、空気清浄度(塵埃量など)の「環境データ」を、外部の複合センサー13や温度センサー14等から取得する。
【0388】
次のステップST3では、統合環境検知部16を通じて取得した環境データを利用して居住空間3の空気質を判定する。例えば、居住空間の空気は、有害物質や塵埃が少なく清浄であり、また気温と湿度も、居住者の健康を害する程の厳しい条件ではないことを、事前に定めた基準値と比較して判定する。
【0389】
また、実施の形態1で説明したように、空気調和機5、空気清浄機7、排気装置9等の「空気質改善機器」の最新の運転状況も、それら各機器からの運転情報信号によって把握する。そして、運転中の空気清浄機7は、加熱調理器8の調理メニューの内、「自動揚げ物」と「手動揚げ物」の何れにおいても、空気清浄機7との「同時運転は避ける」との条件が事前に電力指令装置10の制御部22の制御プログラムに入っているため、ステップST3では、空気清浄機7を適当なタイミングで一時停止するという判定結果を出す。また、ST2で決定した電力削減幅を、空気調和機5に対して指令信号(電力削減指令信号)として送信する。
【0390】
この電力削減指令信号を受けて空気調和機5は使用電力を削減する(ST4)。前記電力削減幅が300Wであった場合には、空気調和機5は冷房の目標温度が26℃であったものを28℃に変更することにより、空気調和機5で最も電力を消費する電動圧縮機(図示せず)の回転速度を落として、電力消費量を少なくした省エネ運転に変更される。なお、目標温度と現在の室内温度との相関関係から、電動圧縮機の回転速度を低下された場合の使用電力量は予め実験などで求めてあり、そのデータは空気調和機5側に記憶されてあるので、電力指令装置10からの電力削減要求に従って瞬時に電力削減運転のための電動圧縮機(図示せず)の運転条件が決定される。
【0391】
その後、空気調和機5は使用電力を300Wだけ下げたことを電力指令装置10に、運転情報信号として報知する。電力指令装置10ではその後、加熱調理器8に対して、要求のあった「自動揚げ物」の調理を開始することを許可する信号(加熱調理開始許可信号)を加熱調理器8に送信する。
【0392】
すると、加熱調理器8は所定のインバーター回路を駆動し、加熱動作を開始する。これで予熱工程(
図22参照)が開始される。
加熱調理器8の運転開始と同時に排気装置9に対する運転開始を指令しても良いが、加熱調理の開始と同時に、油煙や蒸気が発生することは通常では無いので、電気の消費量を抑制するため、この実施の形態4では、排気装置9の運転開始指令のタイミングを、加熱調理器8の運転開始から一定時間だけ遅らせている。例えば、加熱調理開始許可信号を送信してから1分経過後に、排気運転の開始指令信号を排気装置9に送信する。
【0393】
最初の段階では、排気装置9は「弱運転」モードで運転される。その後、加熱調理器8の温度検出回路144が排気運転を開始する所定温度TX(例えば、80℃)を検出すると、加熱調理器8は、「第1の排気運転推奨信号」を電力指令装置10に送信する。この実施の形態4では、この時点では既に電力指令装置10が、加熱調理開始許可信号を送信してから1分経過後に、排気運転の開始指令信号を送信しているため、この加熱調理器8の「排気運転推奨信号」は不要であるが、電力指令装置10の種類によっては、上記したような排気運転の開始指令信号を自動的に発信しない場合も想定し、このような安全策を講じている。
【0394】
次に電力指令装置10は、加熱調理開始許可信号を送信してから30秒後に、空気清浄機7に対して一時停止指令信号を送信する。すると空気清浄機7は運転を一時的に停止する。
【0395】
その後、加熱調理器8の温度検出回路144が排気運転を「中運転」モードに切り替える所定温度TY(例えば、100℃)を検出すると、加熱調理器8は、「第2の排気運転推奨信号」を電力指令装置10に送信する。
またこの実施の形態4では、例えば、加熱調理開始許可信号を送信してから1分経過後に、加熱調理器8は、排気運転の開始指令信号を排気装置9に送信する。仮に、この1分経過より前の時点で、前記所定温度TYを検知した場合は、その時点で「第2の排気運転推奨信号」を電力指令装置10に送信する。
【0396】
この実施の形態4では、加熱調理器8から「第2の排気運転推奨信号」が発信されることに関係なく、電力指令装置10自身でも、加熱調理開始許可信号を送信してから90秒後に、排気装置9に対して排気運転を「中運転」モードに切り替える指令信号を発信する。
もし、加熱調理器8側の信号送信機能に障害が発生し、または加熱調理器8側と電力指令装置10の間の通信状態に障害が発生し、「第2の排気運転推奨信号」を電力指令装置10が受信できない場合でも、排気装置9は、「弱運転」モードから「中運転」モードに自動的に切り替えられ、油煙や蒸気等が多量に発生する前に排気能力を増強できる。
【0397】
以上の構成であるから、排気口77に向かって左右のIHコイル60L、60Rを冷却した冷却風が、通気窓129と連通口163を経由して水受け部130の所で、その湾曲した底面によって上昇する気流に変化する。
【0398】
さらにこの実施の形態4の加熱調理器8は、厨房家具15の所定位置に支持される本体ケース53を有し、前記本体ケース53内部には、この本体ケースの上方に置かれる被加熱物(第1の調理器具62など)を加熱するIHコイル60と、第1の送風機BM1からの冷却風が供給され前記本体ケースの上部空間113を強制的に冷却する排気風路104と、を備え、前記本体ケース53の後部には、前記排気風路104の終端部となる排気口77を設け、前記排気口77は、前記本体ケース53の横幅方向に連続して所定の長さW1に亘って開口しており、前記IHコイル(加熱部)60の最大外径寸法Aよりも、前記排気口の横幅寸法W1を大きく形成していることを特徴とする構成である。
【0399】
この加熱調理器8によれば、加熱部であるIHコイル60の上方に置かれる調理器具等の被加熱物から発生する蒸気や油煙等に対応して、その背後側に排気流の壁を形成でき、加熱調理器8の周囲にある壁の汚染を効果的に防止することが期待できる。
【0400】
さらに収納室70を設ければ、調理の際に使用される物品や調味料等の収納も可能であり、使用者の利便性を向上させることも期待できる。
【0401】
さらに加熱調理器8は、厨房家具15の所定位置に支持される本体ケース53を有し、前記本体ケースの内部(上部空間113)には、この本体ケース53の上方に置かれる被加熱物を加熱するIHコイル60と、第1の送風機BM1からの冷却風が供給され前記本体ケース53の内部空間を強制的に冷却する排気風路104と、を備え、
前記IHコイル60は、前記本体ケースを左右に二分する中心線CL1の上に配置され、さらに本体ケース53を前後に二分する中心線CL2の上に配置されている。
前記本体ケース53の後部には、前記排気風路104の終端部となる排気口77を設け、前記排気口77は、前記本体ケース53の横幅方向に連続し、かつ前記本体ケースを左右に二分する中心線CLを挟んで左右に対称的に所定の長さW1に亘って開口しており、前記IHコイル60の最大外径寸法Aよりも、前記排気口77の横幅寸法W1を大きく形成している。
【0402】
この加熱調理器8によれば、本体ケース53の上方を覆うトッププレート55の中央部に置かれる調理器具等の被加熱物から発生する蒸気や油煙等に対応して、その背後側に排気流の壁を幅広く形成でき、加熱調理器8の周囲にある壁の汚染を効果的に防止することが期待できる。
【0403】
しかも、本体ケース53の中心部を境に、左右方向に均等な長さで排気口77が配置されているため、加熱調理器8の背後側で一方に偏ることなく排気流を供給でき、被加熱物から発生する蒸気や油煙等の排気を、加熱調理の位置に影響受けることなく、安定して行うことが期待できる。
【0404】
(端末機器の構成)
次に、
図40を参照しながら、端末機器43の構成を説明する。
端末機器43は、スマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話や、携帯できるタブレット型のパーソナル・コンピュータ等である。
端末機器43は、液晶表示画面を有する表示部183と、使用者が操作する複数の入力キーを有する操作入力部(操作部)184と、無線インターフェース部(通信部)185と、姿勢検知部186と、マイクロコンピューターを内蔵した制御部187と、操作場面に応じた複数種類の合成音声を出力し、かつ必要に応じて振動を発生させる小型バイブレータを内蔵した報知部188と、を備えている。このバイブレータが音声を出す(鳴動)するときに、それと同期して振動させることができ、これにより使用者に表示部183だけでは確実に操作状況等を伝えることができない状況でも、音と振動でそれを補うことが期待できる。
【0405】
前記通信部185は、2つの入出力部から構成され、その1つは、前記通信回路網(通信ネットワーク)18との間で所定の通信を行う無線インターフェース部185Aである。他の1つは、前記電力指令装置10の通信部23と、加熱調理器8の近距離無線通信部180との間で近距離無線通信する無線インターフェース部185Bである。
【0406】
前記表示部182、操作部184と、無線入出力部185、姿勢検知部186、後述する制御部187、報知部188は、信号線(図示せず)で相互に接続されている。前記姿勢検知部186には、ジャイロセンサーを備えており、使用者が端末機器44を(左右・前後方向に)傾ける際の姿勢を検出して、当該姿勢を示す信号を前記制御部187に出力する。
【0407】
制御部187は、大きく分けて中央演算処理装置(CPU)189と、半導体記憶素子を主体に形成された記憶部190とを備える。CPU189は、記憶部190の中にあるROM、RAM部191に格納されている制御プログラムに従って、端末機器43全体の処理を実行するものであり、処理を実行する過程で必要なデータを前記ROM、RAM部191から読み出したり、処理を実行する過程で生成したデータを、前記ROM、RAM部191に格納したりする。
【0408】
前記記憶部190には、家電機器EE(この実施の形態4においては、少なくとも加熱調理器8)のためのアプリケーション・ソフトウェアを格納することができるアプリケーション処理部192がある。このアプリケーション処理部192は、また電力指令装置10の入力部(液晶表示画面)24のためのアプリケーション・ソフトウェアも格納する。アプリケーション処理部192のソフトウェアは、端末機器43の外部からインストールされたものでもよいし、端末機器43の製造・出荷時から記憶部190に格納されているものでもよい
【0409】
前記端末機器43は、外部にあるサーバー19から、通信回路網18を経由して所望のアプリケーション・ソフトウェアをダウンロードし、前記記憶部190のアプリケーション処理部192に格納することができるようになっている。
【0410】
前記CPU189が上記のアプリケーション処理部192に従って処理を実行することによって、所定の受信処理部193、送信処理部194、通信確立部195、表示制御部196、選択確定部197、の各機能が実現される。
【0411】
端末機器43は、この端末機器自体の現在位置を検出する位置検出部198と、位置情報記憶部199及び距離情報算出部200を、それぞれ備えている。
前記位置検出部198は、GPS衛星201から送信されているGPS信号を受信し、その受信した信号を解析して、端末機器43の地球上の現在位置を算出する機能を有している。つまり、この位置検出部198によって、端末機器43の地球上の現在位置は、リアルタイムで把握される。
【0412】
距離情報算出部200は、事前に位置情報記憶部198に登録された物体(「目標物」という)の位置情報と、端末機器43との現在位置の情報とに基づいて、その目標物までの距離を算出する機能を有している。算出した距離の情報は、「距離判定情報信号」として制御部187に出力される。そして、制御部187からその距離判定情報信号が、無線入出力部185を介して外部へ発信される。なお、この実施の形態では、算出した距離の情報とは例えば100m単位であるが、それ以外でも良い。これは入力部184を操作して使用者が一定の単位の中から選択して設定できる。
【0413】
端末機器43は、目標物の一種として前記電力指令装置10を登録設定した場合、その電力指令装置10が設置された居住空間3の中に存在する全ての家電機器EE、例えば加熱調理器8までの距離も、数m程度の差しかないので、個々の家電機器EEを目標物に設定登録する必要はない。しかし、この実施の形態4では、個々の家電機器EEに対して、端末機器43から「予約運転条件を示す遠隔操作信号」と「予約運転実行の照会信号」を送信するため、個々の家電機器EEを目標物に設定登録している。この設定登録は、端末機器43を変更したり、居住空間3が転居により変更したりしない限り、個々の家電機器EE毎に1回行えば良いが、詳細は後で説明する。
【0414】
電力指令装置(統合管理装置)10を利用する場合、個々の家電機器EEの設置位置の情報を、端末機器43に個別に登録することは必ずしも必要ではなく、電力指令装置(統合管理装置)10の設置位置情報を1回だけ端末機器43に読み込ませることで、登録を一括して行うようにしても良い。
【0415】
前記制御部187は、距離判定情報信号の時間的変化を監視している機能もあり、一定時間毎の変化値から、端末機器43の移動速度を算出する機能がある。例えば1分間隔で距離判定情報信号が示す距離の変化を算出し、「分速100m」、「分速300m」等の「移動速度情報」を生成し、これを「距離判定情報信号」と同時に送信し、又はその信号送信後に引き続いて送信する動作を行う。このため、端末機器43から「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信した電力指令装置10では、電力指令装置10が自分の位置まで端末機器43が移動し、到達する推定時間を計算で求めることができる。
【0416】
この実施の形態4では、端末機器43と加熱調理器8との間には、電力指令装置10が介在している形であり、直接通信を行う構成になっていないが、直接通信する方法を採用した場合でも、実施の形態4の加熱調理器8側では、前記「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信することにより、加熱調理器8の設置位置まで端末機器43が移動して到達する時間を求めることができる機能を備えている。
【0417】
(端末機器と家電機器の初期設定)
特定の端末機器43から、「予約運転条件を示す遠隔操作信号」、「予約運転実行の照会信号」や「予約運転実行の照会信号」を送信した場合、この実施の形態4では、それら各種信号を直接受信するのは、加熱調理器8等の家電機器EEではなく、電力指令装置10である。
【0418】
最初に端末機器43を特定する固有情報を、電力指令装置10のNFC入出力部(図示せず)を通じて制御部22に読み込ませ、登録することができる。これにより、以後は通信回路網18からルーター17を通じて電力指令装置10に各種通信を行うことができる。また、端末機器43も、電力指令装置10側から連携動作をするための制御プログラムがインストールされ、また電力指令装置10の固有情報を取得できる。
【0419】
この実施の形態4では、個々の家電機器EEに対して、端末機器43から後述する「予約運転条件を示す遠隔操作信号」、「予約運転実行の照会信号」を送信するため、加熱調理器8を目標物の1つに設定登録している。この場合、最初に端末機器43を特定する固有情報を、加熱調理器8のNFC通信部180(
図36参照)を通じて制御部22に読み込ませ、登録することができる。また端末機器43側も加熱調理器8と連携動作をするための制御プログラムがインストールされ、これにより、以後は通信回路網18からルーター17と電力指令装置10を介して各種通信を行うことができる。端末機器43も、加熱調理器8の固有情報、識別情報を取得できる。
【0420】
端末機器43は、
図40で説明したように、情報サーバー19にアクセスして、電力指令装置10や加熱調理器8の制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードし、電力指令装置10や加熱調理器8と連携動作をするための制御プログラムをインストールするようにしても良い。
【0421】
加熱調理器8や電力指令装置10を目標物(目標位置)に設定登録する1つの方法は、居住空間3の中で端末機器43を使用して、端末機器43の現在位置情報検出機能を働かせる。すると端末機器43で現在位置情報が表示部182に表示されるので、その状態で加熱調理器8のNFC通信部180を通じて制御装置143に読み込ませ、登録する。これにより、端末機器43では、加熱調理器8の設置位置情報が登録される。
【0422】
同様に、端末機器43で現在位置情報を読み出した状態で、電力指令装置6のNFC入出力部(図示せず)を通じて制御部22に、その現在位置情報を読み込ませ、登録する方法である。これにより、端末機器43の中に、電力指令装置10の設置位置情報が登録される。なお、他の方法としては、実際のその居住空間のある家屋の情報(緯度・経度情報や、正確な住所情報に基づく住所コード等)を、端末機器43の入力部131によって直接制御部134にインプットする方法がある。
【0423】
端末機器43を利用して加熱調理器8の運転を開始する場合について説明する。
この実施の形態4では、端末機器43によって調理メニューの選択を行うことができ、その選択結果を加熱調理器8のNFC通信部180を介して制御装置143にインプットできることが特徴の1つである。
【0424】
端末機器43は、事前にサーバー19から加熱調理器8用のアプリケーションソフトをダウンロードしておく。加熱調理する前にそのプリケーションソフトを起動させ(ステップSS1)、表示部183に加熱調理器8の調理条件設定用の画面を表示させる(SS2)。
【0425】
表示画面183には、例えば「湯沸かし」、「煮物」、「揚げ物」という3種類の調理メニューがアイコン形式で表示される(SS3)。そこで、その中の1つのアイコンにタッチすることで、希望する調理メニューが選択できる(SS4)。
【0426】
次に、表示部183には、選択した調理メニューで良いかどうかを確認するメッセージや、選択したメニュー名が表示されたアイコンが表示されるので、それにタッチする(SS5〜SS7)。これで端末機器43側での調理メニューの選定は完了したので、報知部188からの音声ガイドに従って加熱調理器8のNFC通信部180に端末機器43を接近させる。この場合、加熱調理器8は、主電源スイッチ95を先にONしておく。NFC通信部180は、端末機器43を接近させることで、通信を開始し、加熱調理器8側に対して選択した調理メニューの情報を読み込ませることができる(SS8)。
【0427】
加熱調理器8は、安全上、端末機器43を接近させただけでは加熱調理は開始されないので、トッププレート55の上面前方側に設けた操作部93のスタートキー(図示せず)を押すことで、加熱調理がスタートする。
【0428】
なお、
図39で説明したが、加熱調理器8が「電力制御対象機器」として電力指令装置10に登録されている場合には、上記のような操作部93のスタートキー(図示せず)を押しただけでは加熱調理はスタートされない。選択された調理メニューを実行できるかどうかを電力指令装置10で判定し、その電力指令装置からの加熱調理開始許可信号が届いて初めて加熱調理開始できる。
【0429】
この実施の形態4の加熱調理器8においても、実施の形態1で説明したものと同等の効果が得られる。
さらに、この実施の形態4の加熱調理器8では、本体ケース53は、その最も後部となる背面と底面との角部に傾斜面部53Jを有し、
前記傾斜面部53Jの上方には、排気口77に至る排気風路104の末端部が配置され、
前記末端部には、前記加熱源60L、60Rを冷却した後の冷却風が、上方向に向きを変えるための屈曲空間部を構成する部品(水受け部130)を配置している構成であるため、上部空間113を通過して水平方向に移動してくる冷却風を、排気風路104の末端部の直前で水平方向に変化させ、トッププレート55の後部から鉛直又は斜め上方向に流れる気流を形成できる。
これにより、排気装置9側への熱気や油煙の上昇移動を助け、排気効率を高めることが期待できる。
【0430】
また前記水受け部130の底部には、前記排気口77を介してもし浸入する液体があった場合、その液体を受ける凹部が形成されているので、加熱調理器8の内側下部や冷却ユニットCU等の内部に配置された高圧電気部品等に、そのような異物(液体)が浸入することを防止できるという効果も期待できる。
【0431】
実施の形態5.
図42は、実施の形態5の加熱調理器を示した平面図である。この加熱調理器8は、トッププレート55の左右に、所定の間隔で離れた加熱口を1つずつ設けたビルトイン式の誘導加熱調理器である。なお、
図1〜
図22の実施の形態1と、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略している。
【0432】
図42において、第1の送風機BM1は、本体ケース53の内部に配置されており、本体ケース53の下部側面や下部背面等から吸引した厨房家具15内の空気を、冷却風として2つのIHコイル60L、60Rに分配して供給する。その分配のため、上部空間113の中には、図示していないが風路案内板やダクト等が設置されている。
【0433】
この加熱調理器8は、厨房家具15の所定位置に支持される本体ケース53を有し、前記本体ケース53の上部空間113には、この本体ケース53の上方に置かれる被加熱物を加熱する2つのIHコイル60L、60Rと、第1の送風機BM1からの冷却風が供給され、前記本体ケース53の上部空間113を強制的に冷却する排気風路104と、を備え、前記本体ケース53の後部には、前記排気風路104の終端部となる2つの排気口77を設けている。
つまり、2つの排気口77は間隔W4を介して横一列に形成されており、間隔W4の非排気部を含めた全体の横幅寸法がW3である。
【0434】
前記IHコイル60L、60Rは、本体ケース53の左右方向に離れて2つあり、前記排気口77は、2つの排気口77から構成され、その各排気口77は前記本体ケース53の横幅方向に所定の長さW5L、W5Rをそれぞれ有しており、前記2つのIHコイル60L、60Rを含む最大横幅寸法W2よりも、前記2つの排気口77が並んだ最大幅寸法W3を大きく形成している構成である。
排気口77の前後方向の幅WBは、排気口77の全体に亘り一定である。
【0435】
この加熱調理器8によれば、2つの加熱部(IHコイル60L、60R)上の調理器具等の被加熱物から発生する蒸気や油煙等に対応して、その背後側に排気流の壁を形成でき、加熱調理器8の周囲にある壁の汚染を効果的に防止することが期待できる。
【0436】
さらに収納室70を設ければ、調理の際に使用される物品や調味料等の収納も可能であり、使用者の利便性を向上させることも期待できる。
【0437】
さらにこの加熱調理器8は、厨房家具15の所定位置に支持される本体ケース53を有し、
前記本体ケース内部には、この本体ケースの上方に置かれる被加熱物を加熱するIHコイル60L、60Rと、第1の送風機からの冷却風が供給され前記本体ケース53の内部空間を強制的に冷却する排気風路104と、を備え、
前記IHコイルからなる加熱源は、前記本体ケース53を左右に二分する中心線CL1を挟んでその両側に、互いに対称的位置に1個所ずつ配置され、
前記本体ケース53の後部には、前記排気風路104の終端部となる排気口77を設け、
前記排気口77は、2つの排気口から構成され、その各排気口77は前記中心線CL1を挟んで左右に対称的に、かつ当該本体ケース53の横幅方向に所定の長さW5L、W5Rをそれぞれ有しており、
前記2つのIHコイル(加熱部)を含む最大横幅寸法W2よりも、前記2つの排気口77が並んだ最大幅寸法W3を大きく形成していることを特徴とする構成である。
【0438】
この加熱調理器8によれば、本体ケース53の左右IHコイル60L、60Rの直上部分に置かれる第1の調理器具62、第2の調理器具90等の被加熱物から発生する蒸気や油煙等を、効果的に排気装置9側へ案内できる。
すなわち、この実施の形態5によれば、本体ケース53の後部に排気風路104からの清浄な空気によって上昇気流を作ることができる。このため上記した被加熱物から発生する蒸気や油煙等を効率良く排気装置9側へ導くことができる。
【0439】
しかも、本体ケースの中心部を境に排気口が配置されているため、加熱調理器の背後側で(左側と右側の)一方に偏ることなく排気流を供給でき、被加熱物から発生する蒸気や油煙等の排気を、加熱調理の位置に影響受けることなく、安定して行うことが期待でき、厨房家具15に隣接する居住空間の壁11や家具等を汚すことを防止できる。
【0440】
以上説明した各実施の形態では、IHコイルを備えた誘導加熱調理器8であったが、赤外線ヒータやラジアントヒータと呼ばれる速熱性ヒータを加熱部に採用しても良い。またIHコイルと併用しても良い。さらに、都市ガスやLPガス等を燃料とするバーナを加熱源とする加熱調理器でも良い。
【0441】
また被加熱物(第1の調理器具62等)やトッププレート55の温度を計測して、自動揚げ物調理時の予熱温度等を検知していたが、被加熱物の中に入れた被調理物や食用油の温度を、温度プローブ等の計測手段によって直接測定して、加熱調理状態や工程を制御するようにしても良い。
【0442】
例えば、日本国特開2009−125992号公報には、調理容器内の調理物と直接接触する温度検出ユニットが提案されている。
また同じく特開2016−125992号公報には、測定対象物の温度を検知する温度検知手段と、温度検知手段が検知した温度の情報を送信する無線通信手段と、無線通信手段に電力を供給する電源部と、温度検知手段、無線通信手段、及び電源部を水密状態で収納する筐体とを備え、電源部は、電磁誘導により電力を受電する受電コイルと、受電コイルが受電した電力を蓄電する蓄電池とを有する加熱調理器が提案されている。
従って、本発明の実施形態1で説明した温度検出回路144では、そのような直接温度計測方式を採用しても良い。
【0443】
また排気口77は、実施の形態1のように、外枠54に形成する場合に限定されない。外枠54を設けない場合には、後部仕切板103に形成することでも良く、他の部材に形成しても良い。例えば、本体ケース53の後面板53Hの上端部を、トッププレート55の後方において水平に伸ばし、その部分に排気口77を形成しても良い。排気風路104の終端部を、排気カバー78で上方から覆い、この排気カバー78に排気口77を直接形成しても良い。さらには、トッププレート55に排気口77を設け、その排気口を最終排気口128と兼用させる構成にしても良い。つまりこの場合には、トッププレート55の排気口77上方には何もカバー等を設置せず、排気口77から居住空間に直接排気することになる。
【0444】
さらに、下部空間112や収納室70の内部に第2の送風機を設け、この送風機によって本体8Aの外部から吸引した空気を収納室70に供給し、その収納室70に送り込んだ空気を最終的に前記排気風路104から排気口77を経由して本体8Aの外部へ排出するようにしても良い。この場合、前記収納室の内部の空気が積極的に排出されるので、収納室70の中に空気が滞留しない。このため、もし収納室の内部に熱気があっても、それを前記排気風路から排出できる利点がある。
【0445】
また、上記した各実施の形態では、排気装置9について「弱運転」モード、「中運転」モード、「強運転」モードという区分で、排気能力の大きさを区別していたが、この発明はこのような3区分で排気装置9を運転させることに限定されておらず、2段階の強度でも良く、4段階以上の制御をするものであっても良い。
【0446】
実施の形態1では、
図8に示している通り、後部仕切板103の後方を左右2つに区画する中央仕切板105を設けていたので、排気風路104の終端部が、左側の窓104Lと、右側の窓104Rに分割されている。つまり、後部仕切板103より冷却風の流れで下流側は、中央仕切板105によって実質的に2つの風路に区画形成され、その最終開口部が、前記左右の窓104L、104Rということになる。そのため、後部仕切板103に設けた通気窓を通過した上部空間113の中の冷却風は、その通過直後に混じり合うことはない。
【0447】
これに対し、実施の形態3では、
図31と
図32に示した通り、後部仕切板103に設けた通気窓129や風路177を通過した冷却風は、その通過直後に混じり合うことがあり、2つの排気口77に至る。
【0448】
さらに、実施の形態4では、水受け部130の内側は、その左右方向において数個所に隔壁181があり、横方向への冷却風の流れを規制しているから、実施の形態2のように混じり合うことはない。つまり、隔壁181は排気風路104の末端部で積極的に仕切っている。なお、積極的という意味は、シール材等で空気の流れを完全に遮断するほどの気密性を維持する構造ではないということである。
【0449】
このため、実施の形態4では、仮に左側の排気口77(77L)の真上に異物(雑巾など)が置かれ、排気が妨げられた場合には、この水受け部130の中で冷却風が右に移動して右側の排気口77(77R)から集中して排出されるということは殆どない。
【0450】
しかしながら、後部仕切板103に設けた通気窓129から下流側での排気が滞ると、その後部仕切板103に至る直前の上部空間113では、右側方向への冷却風の流れが自然と増加し、結果的に右側の排気口77(77R)から、IHコイル60R、60Lや冷却ユニットCU内部等を冷却した後の空気は、上部空間113の中に異常に停滞することなく排出される。
【0451】
このため、上記のように片側の排気口77が異物で塞がれるような異常事態が発生しても、本体8Aの内部のIHコイル60R、60Lや冷却ユニットCUの中のインバーター回路基板117等の過熱を招くことが回避される。また排気口77から清浄な空気の排気流が維持されるので、トッププレート55の上の被加熱物等から発生する蒸気や油煙等を、排気装置9方向へ誘導する効果も期待できる。
【0452】
このような異常事態の場合でも、実施の形態で説明したように、IHコイル60R、60Lの最大外径寸法(例えば20cm程度)に比較して、それよりも横に長い寸法で排気口77を設けているため、例えば横幅が10cm前後の狭い排気口から冷却後の風が勢い良く、局部的(集中的)に吹出されるようなことにならないため、本体8Aの後方部において、真上又は斜め上方向等に向かう清浄な空気流の壁を、横方向に広い範囲で形成できる。
【0453】
なお、上記のように片側の排気口77が異物で塞がれるような異常事態が発生したことを検知し、第1の送風機BM1の送風能力を増強する運転に自動変更したり、音声合成装置145等で使用者へ警告報知(排気口77が塞がれていないかどうかの点検を促すことも含む)したりしても良い。例えば、水受け部130の中の右半分と左半分の気圧を検知するために1対の気圧センサーを設置し、2つの気圧センサーで計測された気圧に一定値以上の気圧差が発生した場合、制御装置143が上記したような送風量変化や警告等の対応動作を行わせることで良い。
【0454】
なお、排気風路104の出口側にある終端部を、右側の排気口77(77R)と左側の排気口77(77L)に完全に区画するような仕切り壁を設け、上部空間113から下流側で左右2つに排気風路104を分岐させ、2つの独立した排気風路を形成するようにしても良い。ここでいう仕切り壁とは、実施の形態1で示した中央仕切板105のように、排気口77に至るまでの排気風路104の末端部を2つに区画するものである。
【0455】
さらに左右のIHコイル60L、60Rは、ドーナッツ状(環状)に巻いた1つのコイルだけではなく、2重又は3重以上に巻いた複数のコイルを組み合わせて使用しても良い。また銅板を円形等に切り抜いて1つのコイルを構成するようにしても良く、細い銅線やアルミ線を巻いたコイルだけに何ら限定されない。
【0456】
また、各実施の形態では、IHコイル60L、60Rの平面形状は、真円に近いものであったが、長方形や楕円形でも良い。例えば、楕円形のIHコイルを、前後方向に長くなるように設置した場合、その楕円形のIHコイルの最大短径寸法が、IHコイルの最大横幅寸法になる。
【0457】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。