特許第6775415号(P6775415)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775415ショートアーク型放電ランプを備えた光源装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775415
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ショートアーク型放電ランプを備えた光源装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 19/00 20060101AFI20201019BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20201019BHJP
   F21Y 101/00 20160101ALN20201019BHJP
【FI】
   F21V19/00 130
   F21S2/00 312
   F21Y101:00 300
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-254861(P2016-254861)
(22)【出願日】2016年12月28日
(65)【公開番号】特開2018-107061(P2018-107061A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000128496
【氏名又は名称】株式会社オーク製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】藤原 和正
(72)【発明者】
【氏名】太田 一秀
【審査官】 田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−059637(JP,A)
【文献】 特開2002−062586(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 19/00
F21S 2/00
F21Y 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光管の両端に一対の封止部を設けたショートアーク型放電ランプと、
一方の封止部が挿入される筒状首部を設けた凹面反射鏡と、
前記首部内において、前記一方の封止部が挿通される複数の環状部とを備え、
前記一方の封止部が、前記首部内の接着剤によって、前記首部内面と接着固定されており、
前記複数の環状部が、少なくとも発光管側端部に最も近い第1環状部とそれに隣り合う第2環状部との間に接着剤が介在するように、光軸方向に沿って配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記第1環状部と前記第2環状部との間において、接着剤が、前記首部内面から前記一方の封止部まで封止部径方向に介在していることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記第1環状部と前記第2環状部との間に介在する前記接着剤の光軸方向長さが、前記第1環状部の光軸方向長さの1/2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の環状部は3つ以上の環状部で構成され、互いに隣り合う環状部との間に接着剤が介在するように配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光源装置。
【請求項5】
前記複数の環状部が、同一形状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光源装置。
【請求項6】
径方向に溝部を形成して前記第1環状部と前記第2環状部とを設けたマルチリング部材が、配置されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光源装置。
【請求項7】
接着剤が、無機接着剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光源装置。
【請求項8】
反射鏡の首部を鉛直方向に向けた状態で、第1環状部を前記首部内に挿入し、前記首部の当てつけ部に接した状態で配置し、
接着剤を、前記第1環状部が埋まるようになるまで注入し、
第2環状部を前記首部内に挿入し、
前記接着剤を、前記第2環状部が埋まるようになるまで、さらに注入することを特徴とする光源装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショートアーク型放電ランプを備えた光源装置に関し、ランプへの保持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
露光装置、プロジェクターなどで使用される光源装置では、ショートアーク型放電ランプは凹面反射鏡の中心軸に沿って固定されている。放電ランプの発光管両端には、一対の封止管が一体的に形成されており、一方の封止管を反射鏡の中空状(円筒状)首部に挿通させ、封止管と反射鏡首部との間に接着剤を充填することによって、放電ランプを反射鏡に保持(固定)させる。放電ランプはランプ点灯によって高温になるため、耐熱性のある接着剤(無機接着剤など)が使用される。
【0003】
放電ランプを接着剤で反射鏡に保持させる工程で接着剤が発光管側へ漏れだし、接着剤が発光管へ付着すると、ランプ点灯時に発光管が破損してしまう。これを防ぐため、放電ランプを挿通させた接着剤流出防止用リング(ワッシャ)を、反射鏡首部の発光管側端部に配置することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−186053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
封止管と反射鏡首部との間に充填した接着剤は、固化するときに内部に空隙が生じる場合があり、接着剤を充填させたスペースが大きいほど空隙が生じやすい。このような空隙には放電ランプの製造過程や運搬過程でランプ外部から水分が入り込みやすい。この入り込んだ水分には不純物(例えば、接着剤成分のアルカリ金属イオンなど)が溶解するため、ランプ点灯によって接着剤が加熱されると、不純物を含んだガス(例えば、不純物を含んだ水蒸気)が接着剤内部の空隙より接着剤外部に出ていく(たとえば噴出する、滲出する)。
【0006】
特に、接着剤流出防止用リング傍の接着剤領域は、放電ランプの発光管に近く、ランプ点灯時において、より高温状態となる。そのため、この部分に空隙があると、不純物が接着剤流出防止用リングと封止管との間を通じて発光管側に出ていく。その結果、不純物が発光管に付着し、発光管が失透するなどの不具合が生じる。
【0007】
したがって、放電ランプの強固な保持を維持しながら、不純物が発光管側へ出ていくことを防ぐことが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の光源装置は、発光管の両端に一対の封止部を設けたショートアーク型放電ランプと一方の封止部が挿入される筒状首部を設けた凹面反射鏡とを備える。それとともに、首部内において、一方の封止部が挿通される複数の環状部とを備える。一方の封止部が、首部内の接着剤によって、首部内面と接着固定されている。例えば接着剤は、無機接着剤で構成される。
【0009】
本発明では、複数の環状部が、少なくとも発光管側端部に最も近い第1環状部とそれに隣り合う第2環状部との間に接着剤が介在するように、光軸方向に沿って配置されている。接着剤が2つの環状部間に介在することで第1環状部傍の接着剤領域のスペースが制限されることになり、不純物が含まれやすい空隙が生じるのを抑制する。
【0010】
一方、第1環状部と第2環状部との間において、接着剤が、首部内面から一方の封止部まで封止部径方向に介在するようにすることで、放電ランプの保持を確実なものにすることができる。
【0011】
不純物が発光管側に出ていくことの抑制と堅固なランプ保持とを満たすことを考慮すれば、第1環状部と第2環状部との間に介在する接着剤の光軸方向長さを、第1環状部の光軸方向長さの1/2以下にすることが望ましい。
【0012】
例えば、複数の環状部は3つ以上の環状部で構成することが可能であり、互いに隣り合う環状部との間に接着剤が介在するように配置すればよい。また、複数の環状部は、同一形状で構成することが可能である。
【0013】
複数の環状部については、それぞれ1つの環状部をもつ複数のリング状部材を配置することが可能である。あるいは、径方向に溝部を形成して第1環状部と第2環状部とを設けたマルチリング部材が、配置されるようにすることも可能である。
【0014】
本発明の他の態様における光源装置の製造方法は、反射鏡の首部を鉛直方向に向けた状態で、第1環状部を首部内に挿入し、首部の当てつけ部に接した状態で配置し、接着剤を、第1環状部が埋まるようになるまで注入し、第2環状部を首部内に挿入し、接着剤を、第2環状部が埋まるようになるまで、さらに注入する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ショートアーク型放電ランプを備えた光源装置において、放電ランプを強固に保持する一方で、点灯時の接着剤によるランプの不具合を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態であるショートアーク型放電ランプの概略的な部分断面図である。
図2図1の貫通孔付近を拡大した概略的断面図である。
図3図1の貫通孔付近を拡大した概略的断面図である。
図4】放電ランプの反射鏡への接着固定の工程を示した図である。
図5】第2の実施形態である放電ランプの貫通孔付近を拡大した概略的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0018】
図1は、第1の実施形態である光源装置の一部を概略的に示した断面図である。
【0019】
光源装置100は、ショートアーク型放電ランプ10と反射鏡50とを備え、プロジェクター、露光装置などに使用可能である。
【0020】
ショートアーク型放電ランプ10は、透明な石英ガラス製の球状発光管12を備え、発光管12内には一対の電極20、30が所定の距離間隔で対向配置される。発光管12の両側には、石英ガラス製の封止管(封止部)14A、14Bが、それぞれ発光管12と一体的に連設される。発光管12内の放電空間10Sには、水銀とハロゲンと希ガス(例えば、アルゴンガス)が封入されている。
【0021】
封止管14Bには、電極30を支持する電極支持棒17B、外部電源と接続されるリード棒19B、電極支持棒17Bとリード棒19Bとを電気的に接続させる金属箔(図示せず)などが封入されている。反対側の封止管14Aも、同様の構成になっている。そして、封止管14Bのランプ外側端部は、口金11B内に配置される。
【0022】
放電ランプ10は、ここでは所定の定格電力(例えば100〜500W)が供給される交流点灯ランプであり、交流電圧が一対の電極20、30に印加されることで極性(陰極、陽極)が交互に入れ替わる。電圧が一対の電極20、30に印加されると、電極20、30の間でアーク放電が発生し、発光管12の外部に向けて光が放射される。発光管12から放射された光は、反射鏡50によって所定方向へ導かれる。
【0023】
反射鏡50は、凹面側に反射面70Sを有する反射部(リフレクター)70と円筒状の首部60とを備えた楕円反射鏡である。首部60は、反射部70の中央底部から反射面70Sの反対側に向けて突出するように設けられ、首部60の内部には貫通孔62が反射鏡50の光軸(回転軸)に沿って形成される。貫通孔62は、反射面70S側に小径部64を有し、小径部64よりも径の大きい大径部61が、小径部64との境界部分から首部後端面50Eまで形成される。
【0024】
放電ランプ10は、ランプ点灯時にアークが反射鏡50の焦点位置となるように反射鏡50内に反射鏡50と同軸状に配置され、一方の封止管14Bが首部60の貫通孔62に挿通された状態で反射鏡50に保持される。具体的には、貫通孔62内の接着剤80によって、封止管14Bは貫通孔62の内面に接着固定(固着)される。
【0025】
本実施形態では、首部60の貫通孔62内に、複数のリング(環状部)90が封止管14Bを囲むように所定の場所に配置される。複数のリング90は、ランプ製造工程時に接着剤80が反射部70側(発光管12側)に漏出するのを防ぐとともに、ランプ点灯中に接着剤80の内部から不純物が発光管側に出ていくことを防ぐ。以下、図2および図3を用いてこれについて説明する。
【0026】
図2および図3は、図1の貫通孔62付近を拡大した断面図である。
【0027】
複数のリング90は、3つのリング(環状部)から構成されており、ここでは発光管12側から首部後端面50Eに向けて、第1リング(第1環状部)90A、第2リング(第2環状部)90B、第3リング(第3環状部)90Cと呼ぶ。第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cは同一形状であり、外径および内径、並びに軸方向の長さ(厚さ)がいずれも等しい。また、いずれのリングも耐熱性のある素材(例えばセラミック材)によって形成されている。
【0028】
各リングの内径は、封止管14Bが挿通できるように、封止管14Bの外径より大きい。一方、各リングの外径は、貫通孔62の大径部61の径より小さく、小径部64の径より大きい。第1リング90Aは、小径部64と大径部61との境界部分に当たる光軸(ランプ軸)方向Xに垂直な突き当て面63と接触している。
【0029】
第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cは、ランプ軸方向に沿って所定の間隔で並んで配置される。さらに、第2リング90Bと第3リング90Cは接着剤80に埋設されている。つまり、第1リング90Aと第2リング90Bとの間には接着剤80が介在し、第2リング90Bと第3リング90Cとの間にも接着剤が介在する。
【0030】
さらに、第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cと、貫通孔62の内面との間にも接着剤80が介在する。第2リング90Bおよび第3リング90Cと封止管14Bとの間には接着剤80が介在し、第1リング90Aと封止管14Bとの間にも部分的に接着剤80が介在する。したがって、隣り合うリング間に介在する接着剤80は、貫通孔内面から封止管14Bに渡って介在し、第1リング90Aから第3リング90Cの周囲は接着剤80によって充填されている。
【0031】
接着剤80は、ここでは、耐熱性があって強固に接着固定させることが可能な無機接着剤が適用されており、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩を含む水溶液に対してアルミナ、シリカなどの無機粉末を加えて混練したものが使用可能である。接着剤80は、首部60の貫通孔62内に充填されており、第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cは接着剤80によってそれぞれ所定の場所に固定される。
【0032】
このように首部60の貫通孔62内に配置された第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cは、発光管側への接着剤80の漏出、およびランプ点灯中に接着剤80から不純物が出ていくことを防止する。以下、図3を用いて説明する。
【0033】
まず、第1リング90Aは、後述する接着固定の工程において、接着剤80が発光管側に漏れ出すことを防止する。
【0034】
第2リング90Bは、第1リング90Aのランプ軸方向外側に所定の長さD2だけ離れて配置される。これにより第1リング90Aのランプ軸方向外側に隣接する接着剤範囲Sのランプ軸方向長さをD2にすることができる。接着剤が固化するときに生じる空隙は、接着剤が充填される領域が大きいほど生じやすく、領域が小さいほど生じ難い。そのため、接着剤範囲Sに空隙が生じることを抑制することを考慮すれば、接着剤範囲Sのランプ軸方向長さD2は、できる限り小さくすることが望ましく、1mm以下がよい。また、接着剤範囲Sのランプ軸方向長さD2は、第1リング90Aの軸方向長さD1の1/2以下であることが望ましい。
【0035】
ランプ軸方向長さD2を1mm以下にしても、第1リング90Aの軸方向長さD1が軸方向長さD2に対して十分に大きくないと、接着剤範囲Sの接着剤80の固化による膨張を第1リング90Aと封止管14Bとの隙間で抑制できなくなる。つまり、接着剤範囲Sの接着剤80の固化にともなって、接着剤80が第1リング90Aと封止管14Bとの隙間から傍出してしまうため、接着剤範囲Sに空隙が生じやすくなってしまう。
【0036】
そのため、接着剤80の軸方向長さD2を、第1リング90Aの軸方向長さD1の1/2以下にするのがよく、このような構造にすることで、ランプ点灯中に不純物が第1リング90Aと封止管14Bの隙間から出ていくことを防ぐことができる。
【0037】
一方、第2リング90Bの径方向には、貫通孔62との間に接着剤80が介在し、また、第2リング90Bと封止管14Bとの間にも接着剤80が介在する。そのため、径方向およびランプ軸方向Xに沿った接着剤80による保持力は、第2リング90Bの配置に関わらず、低下しない。
【0038】
さらに第3リング90Cは、第3リング90Cよりも首部後端面50E側(封止管端面側)に生じた空隙に含まれる不純物が発光管側、すなわち接着剤範囲Sに移動することを防止する。第3リング90Cよりも首部後端面50E側の接着剤80の充填領域を大きくすることで、より強固に反射鏡50に放電ランプ10を保持させることができるが、充填領域が大きいことで空隙が生じやすい。しかし、第3リング90Cを配置することで、第3リング90Cのランプ軸方向両側の接着剤80を連結する経路が小さくなり、第3リング90Cよりも首部後端面50E側の空隙の不純物が第3リング90Cよりも発光管側に移動することを防止できる。また、第2リング90B同様、大径部61との間および封止管14Bとの間に接着剤80が介在するため、接着剤80による保持力を強固に維持することができる。
【0039】
さらに、第2リング90Bと第3リング90Cとの間のランプ軸方向長さD4も、接着剤範囲Sのランプ軸方向長さをD2と同様に定めることで、第2リング90Bと第3リング90Cとの間に空隙が生じることを抑制できる。
【0040】
また、ランプ点灯による第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cの熱膨張によって、封止管14Bにはランプ径方向の応力が加わるが、第1リング90A、第2リング90B、第3リング90Cが同一形状であるため、封止管14Bに加わる応力に極端な差が生じず、応力差によるクラック発生などを防ぐことができる。
【0041】
第1リング90Aと封止管14Bの径方向距離間隔D3は、不純物が封止管14B付近を伝って発光管側へ出ていくのを防ぐことを考慮すれば、できる限り小さくすることが望ましい。しかしながら、上記熱膨張による応力が封止管14Bに過度にかかることを抑える必要もある。したがって、径方向距離間隔D3は、第1リング90Aの径方向厚さD5の20%以上70%以下にするのが望ましい。第2リング90B、第3リング90Cについても同様に定めることができる。
【0042】
このように、複数のリング90を配置することによって、第1リング90Aのランプ軸方向外側に隣接する接着剤範囲Sに空隙が生じることを防止するともに、首部後端面50E側の接着剤80に生じた空隙から、不純物が接着剤範囲Sに移動することを防止しでき、反射鏡の放電ランプへの強固な保持を維持しつつ、より確実に接着剤80から不純物が発光管側へ出ていくことを防止することができる。
【0043】
次に放電ランプ10の反射鏡50への接着固定の工程について説明する。
【0044】
図4は、放電ランプ10の反射鏡50への接着固定の工程を示した図である。
【0045】
反射鏡50を、首部後端面50Eが鉛直上方になるように配置する。反射鏡50の凹面側より放電ランプ10の封止管14Bを首部60の貫通孔62に挿入し、反射鏡50に対して放電ランプが所定の位置関係となるように位置調整を行なう。位置調整の後、第1リング90Aを鉛直上方側から封止管14Bに通し、貫通孔62内に配置する。上述したように、第1リング90Aの外径は小径部64の径よりも大きいため、第1リング90Aは封止管14Bを通って突き当て面63と接触して止まる。第1リング90A配置後、接着剤80を貫通孔62内に注入する。このとき、第1リング90Aが所定の深さで埋まるように接着剤80を注入する(図4(A)参照)。
【0046】
次に、第2リング90Bを第1リング90Aと同様に鉛直上方側から封止管14Bに通す。接着剤80は粘性があるため、最初に注入した接着剤表面80K付近で静止する。これにより、第2リング90Bは第1リング90Aとは接触せず、接着剤80を介して所定の間隔で離間した状態となる。第2リング90Bを挿入した後、第2リング90Bが所定の深さで埋まるように接着剤80を注入する(図4(B)参照)。
【0047】
そして、第3リング90Cを第2リング90Bと同様に鉛直上方側から封止管14Bに通し、接着剤80を注入することで、第2リング90Bと同様に、第3リング90Cは第2リング90Bとは接触せず、接着剤80を介して所定の間隔で離間した状態となる。(図4(C)参照)。さらに、接着剤80の硬化(固化)前に口金11Bを封止管14Bに装着させ、その一部が接着剤80に浸るようにする(図4(D))。このような接着工程によって、放電ランプ10が反射鏡50に接着固定される。
【0048】
第1の実施形態では、3つのリングによって3つの環状部を配置しているが、4つ以上のリングによって4つ以上の環状部を配置してもよい。
【0049】
次に、図5を用いて、第2の実施形態である光源装置について説明する。第2の実施形態では、複数の環状部をもつリングが適用される。それ以外の構成については、第1の実施形態と同じである。
【0050】
図5は、第2の実施形態におけるリングを拡大して示した概略的部分断面図である。
【0051】
複数のリング190は、マルチリング191と、リング(環状部)192とを備えている。マルチリング191は、2つの環状部191A、191Bを有し、その間には、ランプ径方向に沿った溝部191Cを形成し、2つの環状部191A、191Bが一部分で連結している。溝部191Cには、接着剤80が充填され、環状部191Aと191Bのランプ軸方向の間には接着剤80が介在する。また、マルチリング191とリング192とのランプ軸方向の間にも接着剤80が介在する。これにより、接着固定の工程における接着剤80の注入に関わらず、容易に環状部191Aと191Bとの間のランプ軸方向長さ距離間隔を定めることができる。
【0052】
このような構成によっても、同様の強度を維持し、不純物が発光管側へ出ていくことを抑えることができる。なお、溝は径方向外側から光軸方向に向けて形成してもよい。また、周方向の一部に沿って形成してもよい。
【0053】
第2の実施形態では、2つの環状部を有する1つのマルチリングと1つのリングによって3つの環状部を配置しているが、3つの環状部を有する1つのマルチリングだけにしてもよい。さらに、複数のマルチリンクを用いてもよい。
【符号の説明】
【0054】
10 放電ランプ
14B 封止管(封止部)
20、30 電極
50 反射鏡
60 首部
80 接着剤
90 複数のリング(複数の環状部)
90A 第1リング(第1環状部)
90B 第2リング(第2環状部)
90C 第3リング(第3環状部)
図1
図2
図3
図4
図5