【文献】
Macromolecules,ACS Publications,1995,vol.28,No.24,p.8057−8064
【文献】
Russian Journal of General Chemistry,Pleiades Publishing. Ltd.,2011,vol.81,No.4,p.690−693
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0009】
本発明は、修飾シリコン含有材料、それを製造する方法、そのような材料から形成される硬化物品、および各種用途におけるその有用性を提供する。一態様において、本発明は、ビシクロ(2,2,1)基(式1)などのシリコン原子に結合した、架橋二環式基で修飾されたシランおよびシロキサンの形態のシリコン含有材料を提供する[式中、R
1−R
7は、H、C1−C12アルキル、−CO
2R’、−(CH
2)
n−Bであってもよく、ここでn=0−12、B=OR’、SR’、NR
8R
9、R’=C1−C12アルキルであり、R
8およびR
9は非置換または置換一価炭化水素基である。]。橋頭位置Aの置換基は、CH
2、NR’、S、SOまたはSO
2からである。修飾シリコーン材料は、優れた機械的および物理的性質を示す物品の形成に使用することができる。
【化1】
【0010】
一態様において、本発明は、ビシクロ(2,2,1)基[式中、R
1−R
7は水素であり、AはCH
2基であり、nは0である。]を含む修飾シロキサンポリマーを提供する。本明細書において使用される場合、他に示さない限り、用語「二環式基」は式1の化合物を指す。一般に、二環式基は分子中のシリコン原子に結合している。
【0011】
一態様において、二環式修飾シリコーン材料は、硬化物品を形成するために使用することができる。本物品は、比較的高い屈折率、透明性、気体透過率、硬度などを含むがこれらに限定されない優れた機械的および/または物理的性質を示すことができる。
【0012】
別の態様において、二環式修飾シランは、様々なポリマーおよびコポリマーの組成物および構成のポリシロキサン合成のためのモノマーとして使用される。
【0013】
また別の態様において、二環含有シロキサンを製造する方法、ならびにこれらの二環式修飾シランおよびシロキサンの有用性が提供される。
【0014】
本発明は、二環式基を含む修飾シリコーン材料を提供する。一実施形態において、二環式基は、材料中のシリコン原子に結合した式1のビシクロ(2,2,1)基である。シリコン含有材料は、例えばシロキサンであってもよい。一実施形態において、二環式修飾シリコーン材料は環式シロキサンを含む。別の実施形態において、二環式修飾シリコーンは直鎖シロキサンである。別の実施形態において、二環式修飾シリコン含有分子はシランである。二環式修飾シリコーンは、高い屈折率、低い気体透過率、高い透明性および長期安定性を含むがこれらに限定されない優れた機械的および物理的性質を示すことができる硬化物品の形成に使用することができる。
【0015】
総括的な分子構成要素およびその式を記載することは、複雑な分子構造を書く基準を設けるために有用である。各事例において、シリコン原子は4つの結合に配位される。ここに、本発明者らは、シロキサンの4つの一般的な構成要素成分を1単位当たりのSi−O結合の数が増す順に列挙したM、D、TおよびQ単位として定義する。M単位は1個のSi−O結合を有し、それにより式:R
10R
11R
12SiO
1/2[式中、R
10、R
11、R
12は、C−Si結合によってシリコン原子に結合した、独立して選択される有機基である。]によって記載することができる。D単位は2個のSi−O結合を有し、それにより式:R
13R
14SiO
2/2[式中、やはり、R
13およびR
14は、C−Si結合によってシリコン原子に結合した、独立して選択される有機基である。]によって記載することができる。T単位は3個のSi−O結合を有し、それにより式:R
15SiO
3/2[式中、R
15は、C−Si結合によってシリコン原子に結合した、選択される有機基である。]によって記載することができる。最後に、Q単位は4個のSi−O結合を有し、式:SiO
4/2によって記載することができる。この事例において、シリコン(Si)は酸素原子にのみ配位する。これらの4つの構成要素を使用すると、記述的な高分子化学を、単純な構成物を使用して容易に記載することができる。例えば、MD
xMは、「x」の値によって示される繰り返し単位の数を有する、直鎖状シロキサン単位(D単位)の両端に2つの末端キャップ単位(M)を有する直鎖状シロキサン流体である。ポリマーは単一分子中に多くの構成要素単位を組み込むことができ、シロキサンコポリマーの場合のように、官能基R
10−R
15が変わるにつれて、同じ種類の複数の構成単位が表記中の異なる上付き添え字によって示される。上の式において、R
10−R
15基は、水素、ヒドロキシル、または直鎖状もしくは分岐アルキル基、シクロアルキル基、直鎖状もしくは分岐アルコキシ基、アルキルビニル基(アリルを含む)、分岐もしくは直鎖状アルケニル基、シクロアルケニル基、直鎖状もしくは分岐アルキニル基、アリール基、置換アリール基、多核芳香族基、アミド、アミノ基、プロピルメルカプト基、グリシジル含有基または式1の二環式基から選ばれる1−30の炭素原子を含有する基から選ばれる。また、この表記によって、直鎖状、分岐および樹脂質の構造を記載することが有用であるだけでなく、環式シロキサンも、そうでなければ直鎖状構造(D単位)になるものの上のM基の欠如によって記載することができる。したがって、D
4は4つの繰り返し単位を含有する環式シロキサンである。
【0016】
一般に、二環式修飾シクロシロキサンは式2:
【化2】
[式中、D
1-3は様々なD単位(上記の通り)であり、D単位のR
13およびR
14は、式1の二環式化合物、メチル、Hまたはフェニルから独立して選ばれ、ここで、R
13またはR
14基の少なくとも1つは式1の二環式化合物であり、各下付き添字a、bおよびcは0から10までの整数である。ただし、a+b+cは3から10であり、a、bまたはcの少なくとも1つは0より大きい。]によって記載することができる。
【0017】
一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式2a:
【化3】
[式中、aは0−6であり、bは1−6であり、cは0−6である。]の環式シロキサンである。一実施形態において、ポリマーは式2[式中、aは0であり、bは1−6であり、cは0であり、R
16はメチル基である。]の環式シロキサンである(式2b)。
【0018】
一実施形態において、ポリマーは式2[式中、aは0であり、bは1−4であり、cは1−3であり、R
16-17はメチル基である。]の環式シロキサンである(式2c)。環式シロキサンのこれらおよび他の実施形態において、a+b+cは3から10、特に3から8、とりわけ3から6である。
【0019】
上記のように、二環含有シロキサンは、直鎖状または分岐または樹脂質のポリマーのいずれであってもよい。一般に、先に記載したM、D、TおよびQ単位のいずれかを含む高屈折率ポリマーを記載することができる。したがって、式1の二環式化合物を含有するポリマーは、式3:
M
1hM
2iD
1aD
2bD
3cD
4dT
1eT
2fQ
g (3)
[式中、各モノマー単位(M
1、M
2、D
1、D
2など)は独立して選択されたR
10−R
17基を有し、これは、水素、ヒドロキシル、直鎖状または分岐アルキル基、アルコール、直鎖状または分岐アルコキシ基、アリール基、アルキルビニル基、アミド、アミノ基、アクリロイル基、カルボニル基、シリルオキシ(例えばアルコキシシラン)基、イソシアニル基、メルカプト基(例えばメルカプトプロピル)、エポキシ含有(例えばグリシジル)基または式1の二環式基から選ばれ、ここで少なくとも1つのR
10-17基(M、D、T、Q単位を問わず)は式1の二環式分子であり;aは0−1000であり、bは0−500であり、cは0−500であり、dは0−100であり、eは0−100であり、fは0−100であり、gは0−1000であり、hは0−1000であり、iは0から200であり、ここで、いずれか特定の実施形態の少なくとも2つの下付き添字は正の整数である。]の一般的構造のものである。
【0020】
一実施形態において、高屈折率シロキサンポリマーは、次式:
MD
aD†
bD
HcT
eQ
gM、
M
HD
aD†
bD
HcD
PhdT
eQ
gM
H、
MD
aD†
bD
vijT
eQ
gM、
M
HD
aD†
bD
PhdD
vijT
eQ
gM
H、
M
viD
aD†
bD
vijT†
fQ
gM
vi、
M
hD
aD†
bT
eQ
g、
M
iT
eT†
fQ
g、
M
iD†
bT
eQ
g、または
M
hM†
lD
aT
eQ
g
[式中、M、D、TおよびQは上に記載される。]を含むがこれらに限定されない式3の直鎖状または樹脂質の変形によって記載されてもよい。上記の実施形態において、「vi」はビニル基を表し、「†」は式1の高屈折率分子を表し、M
viはジアルキルビニルモノシロキシを表し、D†は二環式化合物を含有するモノマー単位を表し、ここでR
13およびR
14の基の一方または両方は式1の二環式化合物であり、D
Hはアルキルヒドロゲンシロキシを表し、D
viはアルキルビニルシロキシを表す。なお別の実施形態において、シロキサンポリマーは、MQ、MT、MDT、MDQ、MDTQ、TQ、DTまたはDQ樹脂から選ばれてもよく、ここで、樹脂はT†単位、M†単位、D†単位、またはその2種以上の組み合わせを含む。一実施形態において、†基はノルボルニル基であってもよい。二環式修飾シロキサンポリマーの重合度は特に限定されず、特定の目的または意図した使用のために要望に応じて選択することができる。一実施形態において、ポリマーは1から約10,000の反復単位を含むことができる。一実施形態において、aは約0から約2000であり、bは約0から約1000であり、cは約0から約1000であり、dは約0から約1000であり、eおよびfは約0から100であり、gは0から50であり、jは0から1000である。
【0021】
一実施形態において、修飾シリコーン材料は式Si†O
3/2の樹脂質シロキサンである(T†樹脂)。
【0022】
別の実施形態において、修飾シリコーン材料は、式M†
lM
iT†
f[式中、0<l+i≦3fおよびf>0]の樹脂質シロキサンである。
【0023】
また別の実施形態において、修飾シリコーン材料は式M†
lQ
g[式中、l≦4g]の樹脂質シロキサンである。
【0024】
一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式(4):
【化4】
[式中、R
10基は、アルキル(例えばメチル)、ビニル、アルコキシ、アルコール、ヒドリド、ハロゲン、メルカプト(例えばメルカプトプロピル)、アミノおよびエポキシ(例えばグリシジルアルキル)基から独立して選ばれる。]の直鎖状シロキサンである。R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
17およびR
18は、同一または異なる非置換または置換一価炭化水素基、芳香族基、アルコキシ、メルカプト(例えばメルカプトプロピル)、イソシアニル、アミノ、アクリロイル、カルボニル、シリルオキシ(例えばアルコキシシラン)およびエポキシ(例えばグリシジル)基を表す。R
16は、独立して、式1の二環式化合物または非置換もしくは置換一価炭化水素基を表す。式4の様々な単位(M、DおよびT単位)の数は、正の整数であり、a、b、c、eおよびjによって表される。一実施形態において、式4のポリマーは、「c」単位および「j」単位が同じポリマー中に存在しないように設計される。すなわち、式4の一実施形態において、jが0より大きい場合、cは0であり、cが0より大きい場合、jは0である。繰り返し単位は、より高次のコポリマーに適合するようにa’、a’’、a’’’などにさらに下位分類することができる。繰り返し単位aの数は0から1000であり、bは1から500であり、cは0から500であり、dは0−500であり、zは0−500である。適切な炭化水素基の例は、メチル、プロピル、オクチルなどを含むがこれらに限定されない。適切な芳香族基の例は、フェニル、ビフェニル、トリル、ベンジル、ナフチル、スチリル、アルファメチルスチリル、アントリル、フェナントリルなどを含むがこれらに限定されない。適切なアルケニル基は、ビニル、アリル、ビニルフェニル、アリルフェニル、ビニルベンジル、アリルベンジル、などを含むがこれらに限定されない。
【0025】
本発明において、シロキサン材料に二環式基を包含することによって、硬化したとき優れた性質を示すシリコーン材料を与えることを見いだした。特に従来のメチルシロキサンと比較して、硬化材料は比較的高い屈折率を示すことができる。
【0026】
予想外にも、二環式修飾シロキサンは、また、当分野の最先端であるフェニル−シロキサン系と比較して、酸素透過性を制限して優れたバリアフィルムを提供する。
【0027】
シロキサンポリマーはまた、ポリマー鎖中のシリコン原子にぶらさがった他の基を含んで、そこから形成されたポリマーおよび物品の性質を調整または調節することができることは理解されよう。例えば、上記のように、二環式修飾シリコーン材料は、材料中のシリコン原子に結合した芳香族化合物を含むことができる。ポリマーはまた、様々な潜在的硬化メカニズムを導入する様々な架橋官能基を含むことができる。そのような材料は、硬化物の性質、例えば屈折率をさらに調節もしくは調整する、および/または硬化することができる方式を調整するために使用することができる。適切な硬化方法の例は、付加硬化(例えばヒドリドとのビニルの反応)、縮合硬化、UV硬化、熱硬化などを含むがこれらに限定されない。他の基は、エポキシ含有基、アルコキシシリコーン含有基、チオール含有基、アクリラート含有基などを含むがこれらに限定されない。
【0028】
一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式(5):
【化5】
[式中、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
16、R
17はビニル基以外の上記の通りである。]のものである。繰り返し単位a、bおよびcは上記の通りであってもよい。一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式5[式中、R
10は水素である。]のものである。
【0029】
別の実施形態において、修飾シリコーン材料はエポキシ基を含む。一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式(5a)のように側鎖Si−Hがエポキシ基と置き換えられた式5のものである。
【化6】
【0030】
別の実施形態において、修飾シリコーン材料はシリルオキシ基を含む。一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式(5b)のようにシリルオキシ基によって側鎖Si−Hが置き換えられた式5のものである。
【化7】
【0031】
一実施形態において、二環式修飾シリコーン材料は式(6):
【化8】
[式中、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
16、R
18は水素以外の上記の通りである。]のものである。繰り返し単位a、bおよびjは上記の通りであってもよい。一実施形態において、修飾シリコーン材料はR
10がビニルである式6のものである。
【0032】
一実施形態において、修飾シリコーン材料は、式(7):
【化9】
[式中、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
16は上に記載される。]のものである。R
19はフェニルまたは一価炭化水素であってもよい。繰り返し単位a、bおよびdは上に記載される通りである。繰り返し単位dは0−500である。一実施形態において、二環式修飾シリコーン材料は、式7[式中、R
10はビニルである。]のものである(式(7a))。別の実施形態において、修飾シリコーン材料は式7[式中、R
10は水素である。]のものである(式(7b))。
【0033】
修飾シリコーン材料中の二環式化合物含有量は、特定の目的または意図した使用のために要望に応じて選択することができる。二環含有量は、ポリマー(およびその後の物品)の性質を調整することができるように制御または選択することができる。修飾ポリマーは、ポリマーの約90重量%から約1重量%;ポリマーの約70重量%から約20重量%、さらに約50重量%から約30重量%、さらに40重量%から20重量%の二環含有量があってよい。本明細書および特許請求の範囲中のどこか他のところのように、ここでも、数値を組み合わせて新規または未開示の範囲を形成することができる。
【0034】
二環式修飾シリコーン材料に結合した芳香族基を含む実施形態において、芳香族含有量は、修飾シリコーン材料、および所望の性質を含むそれから形成された物品を提供するために要望に応じて選択することができる。例えば、屈折率を改善するために芳香族基を含むことができる。しかしながら、高濃度の芳香族は、そのような材料から形成された物品の黄変または他の性質における低下をもたらすおそれがある。一実施形態において、二環式化合物を含む修飾ポリマーは、ポリマーの約40重量%以下;ポリマーの約30重量%以下;ポリマーの約20重量%以下;ポリマーの約15重量%以下;ポリマーの約10重量%以下;ポリマーの約5重量%以下;さらにポリマーの約1重量%以下の芳香族含有量を有する。一実施形態において、二環式修飾ポリマーは、ポリマーの約1重量%から約40重量%;ポリマーの約5重量%から約30重量%;ポリマーの約7重量%から約20重量%;さらにポリマーの約10重量%から約20重量%の二環含有量を有する。
【0035】
二環式修飾シロキサン材料は、シロキサンに二環式官能基を結合する任意の適切なプロセスによって調製することができる。一実施形態において、二環含有シロキサンは、不飽和二環式化合物(この場合、ノルボルネン)の、ヒドリド官能性環式シロキサンまたはヒドリド官能性直鎖状シロキサンモノマーもしくはポリマーとのヒドロシリル化反応によって形成される。これは、例えば、白金またはロジウム系触媒などの触媒を使用し、例えばトルエンなどの適切な溶媒を用いてまたは用いないで実行することができる。ヒドロシリル化反応に適切な反応スキームの例を以下に示す:
【化10】
上記反応において、反応は、特定の材料を与えるために要望に応じて任意の数のヒドリドを置き換えるように制御することができることが理解されよう。一実施形態において、出発材料中のSi−H基はすべて二環式基と置き換えられる。別の実施形態において、Si−H基の数分の1のみが二環式基と置き換えられ、利用可能なSi−H結合を残して他の官能基を加えることにより、または架橋のためにさらにポリマーを修飾する。
【0036】
別の実施形態において、二環含有材料は、二環式官能基を含む環式シロキサン、例えば、D†
4[式中、D†は二環式修飾シクロシロキサンである。]の開環重合によって調製することができる。開環重合は、一般に、D
r[式中、rは3から10であり、R
13およびR
14基はメチル、フェニル、水素またはビニルから独立して選ばれる。]によって記載される所望のシロキサン成分または官能基を用いて任意の適切な陰イオン性または陽イオン性開環重合プロセスによって実行することができる。これらの共反応体は、D
3、D
4、D
Ph4、D
Ph24、M
HD
HcM
H、M
viD
vijM
vi、MD
aD
vijMなど[式中、D
4はアルキルシクロテトラシロキサンを表し、D
Ph4は、Si原子上のアルキル基を置き換えるフェニル基を含むシクロテトラシロキサンを表し、D
Ph24は、Si原子に結合した2個のフェニル基を含むシクロテトラシロキサンを表し、D
a、D
Hc、D
vij、M、M
HおよびM
viは先に記載した様々なシロキサンモノマーを表す。]を含むがこれらに限定されない。繰り返し単位a、cおよびjは正の整数である。
【0037】
二環含有材料(†によって示す)の様々な実施形態を行う適切な経路の例は、下記スキーム3(式1−3)に示す:
【化11】
スキーム3は特定の実施形態への経路を説明するが、フェニル基は、上に与えられた任意の単数の経路または上記経路の任意の非限定的な組み合わせによってポリマー組成物を変えるために要望に応じて任意の適切な置換基と置き換えることができることは理解されよう。
【0038】
さらに、二環含有シロキサンは、二環含有小分子のモノマーからも調製することができる。そのようなモノマーは、スキーム4、式12に示すように、ノルボルネンなどの不飽和二環式化合物の、一般式SiR
20mX
nH
(p-q)N
qを有するシランの好適な選択肢へのヒドロシリル化によって製造することができる。
【化12】
[式中、R
20はアルキル、アルキルビニルまたはアリール基から選ばれ、Xはハロゲンまたはアルコキシ基から選ばれ、Hはシリコンに結合した数の水素であり、Nは式1の二環式基であり、この事例においてノルボルネンとして示され、0≦m≦3、0≦n≦3、1≦p≦3、0<q≦p、m+n+p=4である。]。生成したら、そのような二環式修飾シラン(モノマー)は、シロキサンポリマーの形成のための、現在既知のまたは後に発見される任意の適切な縮合によって二環式修飾シロキサンポリマー中のM、DまたはT単位をもたらすことができる。
【0039】
上記のように、修飾シリコーン材料は、所望の官能基でのシリコーン材料のさらなる修飾を可能にする反応または架橋反応に使用される反応を受けることができるヒドリド基、ビニル基または他の適切な基を有する材料を与えるように調製することができる。したがって、例えば、式(5)のシリコーン材料などのヒドリドを好適な材料と反応させて、例えば、式(5a)もしくは(5b)の化合物、または他の所望の官能基などの所望の官能基とSi−H基を置き換えることができる。代替として、所望の材料は、部分的なヒドリドまたはビニル含有材料を最初に調製せずに、所望の官能基を含む好適な出発材料の選択によって直接調製することができる。
【0040】
架橋二環式基で修飾したシロキサンが架橋反応を可能にするヒドリドまたはビニル基を含んでいてもよいが、修飾シロキサンが、ヒドリドもしくはビニル基に加えてまたはそれらの代わりに、架橋に使用することができる材料を与える他の基を含むことができることは理解されよう。すなわち、M、DまたはT単位に、架橋において材料を有用にする適切な官能基を与えることができる。異なる官能基を組み込むことで、材料の調整が異なる種類の硬化反応に有用となることを可能にする。適切な架橋官能基の非限定的な例は、エポキシ、アルコキシ、チオール、アミノ、イソシアニル、アクリロイルなどを含む。エポキシを含む二環式修飾シロキサンは、例えば熱硬化、光硬化およびアミン硬化反応において有用になり得る。アルコキシ、例えばメトキシ、またはアルコキシシラン官能性材料は、スズ−、チタン−、および/またはビスマス−系触媒を含むがこれらに限定されない触媒を使用する縮合硬化反応において使用することができる。チオール官能性材料は、現在既知であるかまたは後に当業界で発見される適切な光または熱開始剤と組み合わせた場合、熱硬化または光硬化反応において使用することができる。
用途
【0041】
二環含有材料は、多数の用途または最終使用に用いることができる様々な組成物および調合物において利用することができる。一実施形態において、二環含有材料は硬化物品を形成するために利用することができる。硬化物品は、反応性基を含む二環含有材料を含む組成物、および二環含有化合物と反応する化合物を与えることにより形成することができる。二環含有化合物と反応する化合物は、同一もしくは異なる組成物または構造の別の二環含有化合物であってもよい。すなわち、一実施形態において、二環含有化合物は自己硬化系として提供することができる。別の実施形態において、二環含有化合物と反応する化合物は適切な架橋剤であってもよい。本組成物は、必要な反応を容易にし硬化物品を形成する適切な条件にかけられる。
【0042】
架橋剤は、シロキサン材料を架橋することができる任意の適切な材料から選ぶことができる。架橋剤として、ヒドリド基またはビニル基を含む任意のシロキサン(コ)ポリマーを、本発明の方法において付加硬化物品のために使用することができる。硬化の方法は、架橋すべきポリマーの相補的組成に依存する。例えば、メチルヒドロシロキサンおよびフェニルメチルシロキサンのコポリマー、メチルヒドロシロキサンおよびジフェニルシロキサンのコポリマー、ならびにメチルビニルシロキサンおよびフェニルメチルシロキサンのコポリマー、ならびに/または、そのような化合物の組み合わせを使用することができる。さらに、例えばテトラキス(ジメチルシロキシ)シラン、ジメチルシラン、メチルシランおよび/または1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンなどのモノマー架橋剤を架橋試薬として使用することができる。代替の架橋系も使用することができる。一実施形態において、架橋剤は不飽和二環式修飾シロキサンであってもよい。シリコンに結合した適切な二環式基の非限定的な例は、式13(D
aD‡
b'D
vij)[式中、D‡はここに示
すように不飽和二環含有繰り返し単位がノルボルネン−メチル:
【化13】
{式中、R
13、R
14、R
16およびR
18は先に記載され、aは0から4であり、b’は1から6であり、jは0から4である。}を含む。]のシクロシロキサンを含むノルボルネン官能性シロキサンである。式13の一実施形態において、R
13、R
14、R
16およびR
18などの異なる置換基はすべてメチル基であり、aは0であり、b’は2から4であり、jは0から4である(式13a)。
【0043】
適切な二環含有シロキサン架橋剤の別の非限定的な例は、式14(D
aD†
bD
$b''):
【化14】
[式中、D†は、式1の二環式化合物(ここではノルボルニルシロキサンとして示される)であり、D
$はエチルノルボルネン−メチルシロキサンであり、R
13、R
14およびR
16は前に記載された通りであり、nは0−6である。繰り返し単位aは0から4であり、bは1から4であり、b’’は1から6である。]のシクロシロキサンを含む。式14の一実施形態において、R
13、R
14およびR
16などの様々な置換基はメチル基であり、aは0であり、bは1から4であり、b''は1−6である(式14a)。一実施形態において、
nは2である。
【0044】
組成物は、例えば、高温に組成物を曝露することによって硬化させることができる。一実施形態において、組成物は約20℃から約180℃の温度に曝露することができる。本物品は型中での硬化によって所望の形状に形成することができる。
【0045】
硬化物品は、様々な用途に適するようにする優れた性質を示す。一実施形態において、硬化物品は約1.41から約1.61;約1.42から約1.56;さらに約1.43から約1.51の屈折率を有する。一実施形態において、硬化物品は約1.45の屈折率を有する。硬化物品は優れた透明性、低い気体透過率、所望の硬度などを有することができる。一実施形態において、硬化物品は、約85%以上;約90%以上;約95%以上、約97.5%以上またはさらに約99%以上の透明性を有する。一実施形態において、硬化物品は、約50cm
3/m
2・24時間・気圧以上;約100cm
3/m
2・24時間・気圧、200cm
3/m
2・24時間・気圧以上;さらに約500cm
3/m
2・24時間・気圧以上の1mm厚シートの酸素透過率を有する。一実施形態において、硬化物品は、約A10から約D70;約A20から約D60;さらに約A50から約D60の硬度を有する。本明細書および特許請求の範囲中のどこか他のところのように、ここでも、数値を組み合わせて新規または未開示の範囲を形成することができる。
【0046】
修飾シリコーン材料は、様々な用途のための様々な材料を製造するために使用することができる。本発明の態様による修飾シリコーン材料は、他の材料の表面に適用することができる、または、所望の形状の製品を形成するために使用することができる塗膜またはフィルムを形成するために使用することができる。これから形成される修飾シリコーン材料およびポリマーは、比較的高い屈折率および優れた機械的性質を示すことができ、また高屈折率成分としてフェニル基を含むポリマーにまつわる他の問題を回避することができる。本ポリマーは、コンタクトレンズ、眼内レンズ、半導体発光封止剤(発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザダイオード)、導光路(平面および「ファイバー」両方の幾何学的形状)、光学的コンピューティング、光記憶媒体、反射防止膜、コンフォーマルコーティング、光学レンズ、マイクロレンズ、自動車用トップコート、塗料調合物およびトップコート、パーソナルケア製品、例えば着色化粧品および頭髪用化粧品、勾配屈折率光学部品、動的勾配屈折率部品などを含むがこれらに限定されない様々な用途において使用することができる。
【0047】
これから形成された修飾シリコーン材料およびポリマーは、所望の用途に有用な組成物または材料を製造するのに適する組成物または調合物において使用することができる。そのような組成物または調合物は、適切な材料を与えるための適切な担体、充填剤、添加剤などまたは他の材料を含んでもよい。
【0048】
架橋二環式基を含む修飾シリコーン材料は、特定の用途における適合性修飾剤として用いることができる。フェニルシリコーンは、化粧品/パーソナルケア製品、封止剤、潤滑剤、液晶組成物、シーラントなどの様々な組成物に使用される。架橋二環式基を含む修飾シリコーン材料は、フェニル含有シリコーン組成物などの他の従来の材料より様々な調合原料と適合し得る。本材料は、フェニルシリコーンの代替として、またはフェニルシリコーンと組み合わせて使用することができる。
【0049】
一実施形態において、修飾シリコーン材料は、例えば化粧品、日焼け止め、シャンプーまたはコンディショナーのような毛髪用製品、ローション、クリームなどを含むがこれらに限定されないパーソナルケア組成物中に含まれてもよい。パーソナルケア組成物は、担体、顔料、フィルム形成剤、乳化剤、ビタミン、可塑剤、界面活性剤、抗酸化剤、ワックス、油、溶媒などの様々な原料を含むことができる。
【0050】
一実施形態において、パーソナルケア製品は、場合によって、0−90重量部の顔料を含んでいてもよい。本明細書において使用に適する顔料はすべて、無機および有機着色剤/顔料である。これらは、通常、アルミニウム、バリウムもしくはカルシウム塩またはレーキである。レーキは、固体希釈剤で増量もしくは希釈された顔料、または通常、酸化アルミニウム水和物である吸着性表面に水溶性染料を沈殿させることによって調製された有機顔料のどちらかである。レーキは、また、酸性または塩基性染料からの不溶性塩の沈殿により形成する。カルシウムおよびバリウムレーキも本明細書において使用される。適切なレーキは、赤色3号アルミニウムレーキ、赤色21号アルミニウムレーキ、赤色27号アルミニウムレーキ、赤色28号アルミニウムレーキ、赤色33号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色6号アルミニウムレーキ、黄色10号アルミニウムレーキ、オレンジ5号アルミニウムレーキおよび青色1号アルミニウムレーキ、赤色6号バリウムレーキ、赤色7号カルシウムレーキを含むがこれらに限定されない。パール、酸化チタン、赤色6号、赤色21号、青色1号、オレンジ5号および緑色5号染料、胡粉、タルク、酸化鉄および雲母チタンなどの他の着色剤および顔料も組成物に含まれてよい。
【0051】
パーソナルケア組成物は、場合によって、先行技術において公知の0−99重量部の有機フィルム形成剤を含んでいてもよい。造膜剤は、美容上許容されるいずれかであってもよい。有用な造膜剤の例には、天然ワックス、ポリエチレンポリマーなどのポリマー、およびPVP、エチレン酢酸ビニルのコポリマー、ジメチコンゴムおよびシェラック、ポリテルペンなどの樹脂が含まれる。
【0052】
パーソナルケア組成物は、場合によって、0−50重量部の遮断性または吸収性日焼け止め剤を含んでもよい。遮断性日焼け止め剤は、一般に無機質であり、様々な酸化セシウム、酸化クロム、酸化コバルト、酸化鉄、赤色ペトロラタム、シリコーン−および他の処理された二酸化チタン、二酸化チタン、酸化亜鉛、ならびに/または酸化ジルコニウム、BaTiO
3、CaTiO
3、SrTiO
3およびSiCなどである。吸収性日焼け止め剤は、通常有機種であり、特に有用である。そのような吸収性日焼け止め剤は、一般に、紫外線スペクトルの320から400nmの領域の放射線を吸収するUV−A吸収体、例えばアントラニラート、ベンゾフェノンおよびジベンゾイルメタン;一般に、紫外線スペクトルの280から320nmの領域の放射線を吸収するUV−B吸収体、例えば、p−アミノ安息香酸誘導体、カンファー誘導体、シンナマートおよびサリチラートを含むがこれらに限定されない。有機日焼け止め剤の特定の例には、p−アミノ安息香酸、アボベンゾンシノキセート、ジオキシベンゾン、ホモサラート、メンチルアントラニラート、オクトクリレン、オクチルメトキシシンナマート、オクチルサリチラート、オキシベンゾン、パジマート、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、スルイソベンゾン、トロルアミンサリチラート、アミノ安息香酸、アミルジメチルp−アミノ安息香酸、ジエタノールアミンp−メトキシシンナマート、ジガロイルトリオレアート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート、エチルヘキシルp−メトキシシンナマート、2−エチルヘキシルサリチラート、グリセリルアミノベンゾアート、ホモメンチルサリチラート、ホモサラート、3−イミダゾール−4−イルアクリル酸およびそのエチルエステル、アントラニル酸メチル、オクチルジメチルPABA、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸および塩、スルイソベンゾン、トリエタノールアミンサリチラート、N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウムメチルスルファート、アミノベンゾアート、4−イソプロピルベンジルサリチラート、2−エチルヘキシル4−メトキシシンナマート、メチルジイソプロピルシンナマート、イソアミル4−メトキシシンナマート、ジエタノールアミン4−メトキシシンナマート、3−(4’−トリメチルアンモニウム)−ベンジリデン−ボルナン−2−オンメチルスルファート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホナート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メトキシベンゾフェノン、ca−(2−オキソボルン−3−イリデン)−トリル−4−スルホン酸およびその可溶性塩、3−(4’−スルホ)ベンジリデン−ボルナン−2−オンおよびその可溶性塩、3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ベンゼン1,4−ジ(3−メチリデン−10−カンファースルホン)酸およびその塩、ウロカニン酸、2,4,6−トリス−(2’−エチルヘキシル−1’−オキシカルボニル)−アニリノール1,3,5−トリアジン、2−(p−(tert−ブチルアミド)アニリノール−4,6−ビス−(p−(2’−エチルヘキシル1’−オキシカルボニル)アニリノール1,3,5−トリアジン、2,4−ビス{1,4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシル−フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、N−(2et4)−(2−オキソボルン−3−イリデン)メチルベンジルアクリルアミドのポリマー、1,4−ビスベンゾイミダゾリル−フェニレン−3,3’,5,5’−テトラスルホン酸およびその塩、ベンザルマロナート置換ポリオルガノシロキサン、ベンゾトリアゾール置換ポリオルガノシロキサン(ドロメトリゾールトリシロキサン)、可溶化2,2’−メチレン−ビス−1,6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチルフェノール、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4,4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,4−ジメチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2,6−ジメチル−4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、および前述の日焼け止め剤の少なくとも1つを含む組み合わせが含まれる。
【0053】
パーソナルケア組成物は、具体的には着色化粧品、日焼け止め、ヘアコンディショナー、保湿クリームなどとして含むがこれらに限定されない使用のために調合することができる。そのような用途に適する形態および調合は、当業者に公知である。例えば、日焼け止めとして使用するために調合される場合、組成物は、薄板状乳剤、マイクロ乳剤またはナノ乳剤の形態をしていてもよい。さらに、乳剤は、流動性単純乳剤、流動性複エマルジョン、硬質単純乳剤または硬質複エマルジョンであってもよい。単純乳剤または複エマルジョンは、分散した脂質小胞もしくは油小滴を含む連続的水相、または、脂質小胞もしくは水小滴が分散した連続的脂肪相を含んでもよい。一実施形態において、日焼け止め用途は連続的水相を有する乳剤であり、スティック、ローション、ゲル、スプレーなどの形態をしていてもよい。日焼け止め乳剤の形成に適する乳化剤は、例えばポリソルベート−20、ラウレス−7、ラウレス−4、セピックから入手可能なセピゲル(登録商標)305などの当業界で公知のエトキシ化界面活性剤、野菜および鉱油などの油;蜜ろう、パラフィン、コメヌカろう、カンデリラろう、カルナバワックスなどの動物および/または合成ろうならびにその誘導体;ゲルSS71、ゲルEA2786、クオタニウム−18ベントナイト、38CE、ゲルISD VまたはゲルISDなどの炭化水素ゲルまたはベントン型ゲル;ゴールドシュミット・ケミカル・コーポレイションから入手可能なセチルジメチコンコポリオール−ポリグルセリル4−イソステアリン酸−ヘキシラウラート(ABIL(登録商標)WE09)などの有機シリコーン乳化剤、ベヘン酸ジメチコン、セチルジメチコンコポリオール(ABIL(登録商標)EM90)、(ABIL(登録商標)EM97)、ラウリルメチコンコポリオール(5200)、シクロメチコンおよびジメチコンコポリオール(DC5225CおよびDC3225C)、シクロペンタシロキサンおよびジメチコンコポリオール(SF1528)を含む。
【0054】
パーソナルケア組成物は、ビタミンまたは皮膚栄養剤を場合によって含んでいてもよい。いくつかの適切な薬剤は、セラミド、ヒアルロン酸、パンテノール、ペプチド(銅ヘキサペプチド−3)、AHA(乳酸)、レチノール(パルミチン酸レチニル)−ビタミンA誘導体、ビタミンC(l−アスコルビン酸)、BHA(サリチル酸)、茶剤(緑茶、白茶、赤茶)、大豆および他の植物誘導体、イソフラボン(ブドウ種子抽出物)、アルギレリン、アサイーベリーである。
【0055】
結果として得られる調合物の可撓性および化粧用の性質を改善するために、可塑剤も調合物に加えてよい。可塑剤はフィルム形成剤の脆性および亀裂を回避するためにたびたび使用され、例えば、レシチン、ポリソルベート、ジメチコンコポリオール、グリコール、クエン酸エステル、グリセリンおよびジメチコンを含む。当業者は、所望の性質および目論まれる用途に基づいて所望される可塑剤の量を型通りに変えてもよい。
【0056】
本発明の組成物は、適用後に迅速に揮発する揮発性担体などの担体に組み込むことができる。揮発性担体は、揮発性炭化水素、揮発性シリコーンおよびその混合物から選択することができる。
【0057】
パーソナルケア製品に有用な炭化水素油は、約C
8から約C
20の鎖長を有する炭化水素油、さらにC
8〜C
20イソパラフィンを含む、60−260℃の範囲に沸点を有するものを含む。例としては、イソドデカン、イソヘキサデカン、イソドコサン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,3−ジメチルヘキサン、およびその2種以上の混合物が含まれる。
【0058】
適切な揮発性シリコーン流体は、三、四および五員環構造を有し、式(R
2SiO)
x[式中、xは約3から約6である。]に対応するシクロメチコンを含む。
【0059】
本発明のこれらおよび他の態様ならびに実施形態は、以下の実施例を参照してさらに説明される。実施例は本発明の態様を単に説明するためにあり、本明細書において説明される特定の態様に本発明を限定されるようには意図されない。
実施例
実施例1 − 環式シロキサン2bの合成
【0060】
式2bのノルボルニル環式シロキサンを合成スキーム5の態様に従って合成する。
【化15】
添加漏斗、還流凝縮器、磁気撹拌機、J−KEM、窒素導入口/出口およびTCUを装備した125mLの3首丸底フラスコに、トルエン(15mL、1容量)中のD
H4(15g、62.4mmol、1当量)を装填する。バッチは30±5℃に維持する。トルエン(15mL、1容量)中のノルボルネン(11.9g、126mmol、2.02当量)およびカールシュテット触媒(2.38mg、PDMS中の0.1M溶液62.4mg)の溶液を浴温が30±5℃のままであるような速度で滴下する。添加が完了すれば、浴は30±5℃で1時間、続いて45±5℃で2時間保持する。バッチをこの時点で20±5℃に冷やす。シリカゲル(3.0g、20重量%)をバッチに加え、溶液は1時間撹拌し、次いで濾過する。シリカゲルをヘキサン(1×7.5mL、1×0.5容量)で洗浄する。合わせた濾液を、チャーコール(1.5g、10重量%)とともに2時間撹拌する。バッチを濾過し、チャーコール層はヘキサン(1×7.5mL、1×0.5容量)で洗浄する。合わせた濾液を濃縮し、高真空(<2ミリバール@70℃)で2時間乾燥する。流体を0.45ミクロンの注射器フィルターによって濾過して無色流体を得る。(2b、22.1g、83%、n
D1.46、ロット# 4161−75−02)。分析データ(
1H NMR、
13C NMR、
29Si NMR、MS)は組成物2bに対応する。
実施例2 − 硬化物品の合成
【0061】
バイアルに、実施例2bの環式シロキサン(1g、2.33mmol、1当量)、D
vi4(0.402g、1.17mmol、0.5当量)、イルガノックス3114(3.92mg、0.005mmol、0.002当量))およびカールシュテット触媒(0.09mg、PDMS中の0.1Mカールシュテットの5重量%トルエン溶液47mg)を装填する。流体を混合し、次いで超音波処理によって脱気した。次いで、流体を1’’x1’’x0.2mmテフロン型へ注ぐ。型をオーブンへ移し、流体を150℃で1.5時間硬化する。次いで、型を周囲温度に冷却してから、硬化物品を型から取り出す。
【0062】
硬化物品の気体透過率は、示差加圧法JIS K7126−1を使用して評価する。この方法は、東洋精機製作所からのMT−C3試験機を使用して行う。温度は23℃であり、湿度は0%であり、試験ガスは100%の酸素である。表1は、実施例2の硬化物品の気体透過率を市販のメチルおよびフェニルシリコーンと比較する。
【表1】
【0063】
表1に説明するように、ノルボルナン修飾シロキサンに由来する硬化物品は、従来のメチルおよびフェニルシロキサンと比較して、低い気体透過率の点で特記されるような優れたバリア性能を示す。
実施例3および4− ノルボルナンメチルシロキサンコポリマーの合成
【0064】
ノルボルナンメチルシロキサンコポリマーを合成スキーム6の態様に従って合成する。
【化16】
実施例3(11a)のノルボルニルメチルシロキサンコポリマーがb=20およびc=10に、実施例4(11b)のノルボルナンメチルシロキサンコポリマーがb=25およびc=5になるように反応を制御する。
【0065】
実施例3(11a)を以下のように調製する:添加漏斗、還流凝縮器、磁気撹拌機、J−KEM、窒素導入口/出口およびTCUを装備した250mLの3首丸底フラスコに、トルエン(20mL、1容量)中の10a(20g、6.50mmol、1当量)を装填する。バッチは30±5℃に維持する。トルエン(20mL、1容量)中のノルボルネン(12.2g、130mmol、20.0当量)およびカールシュテット触媒(4.95mg、PDMS中の0.1M溶液130mg)の溶液を浴温が30±5℃のままであるような速度で滴下する。添加が完了すれば、浴は30±5℃で1時間に保持し、続いて55±5℃で4時間加熱する。バッチは、回転式蒸発器(@70±5℃および〜10トール)で濃縮する。トルエン(2×20mL、2×2容量)を共蒸留する。次いで、最終浴は高真空(70±5℃@1−2ミリバール)で2時間乾燥して透明な液体(11a、32.2g、〜99%、n
D1.465)を得る。所望の生成物は、分析データ(
1H NMR、
13C NMRおよび
29Si NMR)によって確証される。トルエン(20mL、1容量)中の10a(20g、6.50mmol、1当量)の溶液をトルエン(20mL、1容量)中のノルボルネン(15.3g、162mmol、25.0当量)およびカールシュテット触媒(4.95mg、PDMS中の0.1M溶液130mg)の溶液と反応させるという点を除いて、実施例4(11b)を実施例3のそれと同様の方式で調製して透明無色の油(11b、36g、〜99%、n
D1.477)として調製する。所望の生成物は、分析データ(
1H NMR、
13C NMRおよび
29Si NMR)によって確証される。
実施例5− ノルボルナン環式シロキサン2aの合成
【0066】
式2aのノルボルナン環式シロキサンをスキーム7に従って調製する。
【化17】
【0067】
添加漏斗、還流凝縮器、磁気撹拌機、J−KEM、窒素導入口/出口およびTCUを装備した125mL、3首丸底フラスコに、トルエン(10mL、1容量)中のD
H4(10g、41.6mmol、1当量)を装填する。バッチは45±5℃に維持する。トルエン(10mL、1容量)中のノルボルネン(15.9g、168mmol、4.05当量)およびカールシュテット触媒(3.17mg、PDMS中の0.1M溶液83.2mg)の溶液を浴温が45±5℃のままであるような速度で滴下する。添加が完了すれば、浴を45±5℃で1時間保持し、続いて55±5℃に2時間加熱する。バッチは、回転式蒸発器(@70±5℃および〜10トール)で濃縮する。トルエン(2×20mL、2×2容量)を共蒸留する。次いで、最終浴は高真空(70±5℃@1−2ミリバール)で2時間乾燥して透明で高粘度の油(2a、26.0g、〜99%、n
D1.499)を得る。所望の生成物は、分析データ(
1H NMR、
13C NMR、
29Si NMRおよびMS)によって確証される。
実施例6−ビニル末端ノルボルナン−メチルシロキサンコポリマー6a(D
vij=0)の合成
【0068】
ビニル末端ノルボルニル−メチルシロキサンコポリマーをスキーム8による反応によって調製してM
viD
350D†
90M
vi[式中、D†はノルボルニル−メチルシロキサンである。]を作る。
【化18】
【0069】
蒸留器一式、機械式撹拌機、J−KEMおよび窒素導入口/出口を装備した250mLの3首丸底フラスコに連鎖停止剤M
viD
20M
vi(4.26g、2.55mmol、1当量)、D
4(60g、250mmol、98当量)、実施例5からのノルボルナン環式シロキサンD†
4(2a、29.6g、68.9mmol、27当量)、および種ポリマー、M
viD
1100M
vi(3.13g、0.04mmol)を装填する。バッチは140℃に加熱する。約6mLの留分を窒素の緩やかな流れの下に収集する。次いで、バッチを50±5℃に冷やす。触媒量のCsOH・H
2O(10mg、0.0001当量)を加え、バッチは150±5℃で7時間熟成する。触媒量の酢酸(2滴、14mg)を反応混合物に加え、次いで150±5℃で1時間熟成する。バッチはストリッピング(160±5℃@1mmの真空)にかける。ストリッピングが完了したら(留分が観察されなくなる)、バッチは室温に冷やし、0.45ミクロンのフィルターに通して濾過して透明無色の油(6a、82g、85%、n
D1.439)を得る。生成物は分析データ(
1H NMRおよび
29Si NMR)によって確証される。
実施例7 − 平衡化による直鎖状ノルボルニル−フェニル−メチルシロキサンの合成
【0070】
直鎖状ノルボルニル−フェニル−メチルシロキサンをスキーム9および表2に従って調製した。
【化19】
【表2】
【0071】
蒸留器一式、機械式頂部撹拌機および窒素導入口/出口を装備した250mLの3首丸底フラスコにD4、D4
*NB、D4
PhおよびM
viD
15M
vi(連鎖停止剤)および触媒量のCsOH・H
2Oを装填した。バッチは160℃にし、プロセスが完了するまで維持した。3時間で反応混合物は見掛け粘度の増加とともに霞みがかかった。反応後、
1H NMR、湿気分析計およびGPCを続けた。3時間後の湿気(固形分)分析計は82%(150℃、20分)である。
実施例8 − 直鎖状ノルボルニル−エポキシシロキサン
【0072】
直鎖状ノルボルニルエポキシシロキサンをスキーム10および表3の調合に従って調製した。
【化20】
【表3】
【0073】
添加漏斗、還流凝縮器、窒素導入口/出口を装備した100mLの3首丸底フラスコにトルエン(10mL)中の化合物11bを装填した。トルエン(10mL)中の2,4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシドおよびカールシュテット触媒の溶液を温度は70℃のままで滴下した。添加が完了したら、浴は80℃に5時間保持した。反応後、
1H NMRを続けた。
【0074】
4−ビニル−1−シクロヘキセン1,2−エポキシドのさらなる8当量(7.377mmol、0.91g)を反応に加えて最大限に反応を完了させた。バッチを室温にし、次いで、シリカゲルおよびチャーコールとともに1時間撹拌した。バッチを濾過し;シリカおよびチャーコールをトルエン(20mL)で洗浄した。合わせた濾液を濃縮し、高真空下に乾燥して5.7gの生成物を与えた。RI=1.483(25℃)。エポキシ修飾化合物は、熱硬化性、光硬化性またはアミン硬化性である材料を与えることができる。
実施例9 − 直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサン
【0075】
直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンをスキーム11および表4に従って調製した
【化21】
【表4】
【0076】
添加漏斗、還流凝縮器、窒素導入口/出口を装備した100mLの3首丸底フラスコにトルエン(10mL)中の化合物11bを装填した。2.トルエン(10mL)中のビニルトリメトキシシラン(VTMS)およびカールシュテット触媒の溶液を温度50℃のままで滴下した。添加が完了したら、浴は80℃に2時間保持した。反応後、1H NMRを続けた。VTMSのさらなる8当量(7.377mmol、1.09g)を反応に加えて最大限に反応を完了させた。RI nD=1.465(23℃)。シリルオキシ材料は縮合硬化反応に有用になり得る。
実施例10 −直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの縮合硬化
【0077】
直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンをスキーム12に従って調製した。
【化22】
【0078】
直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの縮合硬化は触媒としてTi(i−OPr)
4を使用して検討した。直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサン(1g)、OH−PDMS−OH(1g)をTi(i−OPr)
4触媒(0.04g)と混合し、空気に曝露した。硬化の後指触乾燥時間(TFT)観察を行った。TFTは20−25分であった。硬化物品の硬度はショアA22であった。
実施例12 − 直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの自己縮合硬化
【化23】
【0079】
直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの自己縮合硬化は触媒としてTi(i−OPr)4を使用して開始した。直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサン(1g)をTi(i−OPr)4触媒(0.03g)と混合し、空気に曝露した。硬化の後指触乾燥時間(TFT)の観察を行った。TFTは一晩であった。硬化物品の硬度はショアA20であった。
実施例13 − 直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの自己縮合硬化
【化24】
【0080】
直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの自己縮合硬化は触媒としてDBTLを使用して開始した。直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサン(1g)をDBTL触媒(0.03g)と混合し、空気に曝露した。硬化の後指触乾燥時間の観察を行った。TFTは10−15分であった。
【0081】
直鎖状ノルボルニル−シリルオキシシロキサンの自己縮合硬化は、触媒としてDBTLの場合には、Ti(i−OPr)4触媒と比較して、より速かった。
【0082】
硬化物品は、ショアA尺度を超え脆性破壊を示したので硬度を評価することができなかった。
実施例14 − ノルボルニルMQ樹脂1
【0083】
この実施例は、十分に定義されたM†
4Q構造の形成を記載する。M†
4Qは以下のように調製した。丸底フラスコにPt(COD)Cl2(1.5mg、11ppmのPt)およびノルボルネン(64.4g、0.68mol)を装填した。固体を50℃に加熱し、ノルボルネンは溶けて明黄色の油になった。M
H4Qシラン(テトラキス(ジメチルシロキシ)シラン)(55.0g、0.17mol)を添加漏斗を介して加えた。発熱を確認した後、シラン添加は、およそ70℃の反応温度を維持する速度で継続した。シランの添加完了後、反応混合物を60℃で90分間撹拌した。次いで、反応混合物を回転式蒸発器に50℃および50トールの圧力で60分間置いた。結果として得られた生成物は、予め風袋を計ったバイアルに移し、そのままの温度で透明な油として生成物を単離した。生成物は
1Hおよび
29SiNMRによって確証された。
実施例15 − ノルボルニルMQ樹脂2
【0084】
M†
6Q
2を以下のように調製した。丸底フラスコにPt(COD)Cl
2(1.2mg、10ppmのPt)およびノルボルネン(53.4g、0.56mol)を装填した。固体を50℃に加熱し、ノルボルネンは溶けて明黄色の油になった。M
H6Q
2シラン樹脂(60.0g、0.11mol)を添加漏斗によって加えた。発熱を確認した後、シラン添加は、およそ70℃の反応温度を維持する速度で継続した。シランの添加完了後、反応混合物を60℃で90分間撹拌した。次いで、反応混合物を回転式蒸発器に50℃および50トールの圧力で60分間置いた。結果として得られた生成物は予め風袋を計ったバイアルに移し、そのままの温度で霞んだ油として生成物を単離した。生成物は
1Hおよび
29SiNMRによって確証された。
【0085】
M
*Q樹脂を含む実施例調合物:着色化粧用の口紅、リップステインおよびリップグロスの市販調合物を購入し、M†
4Q樹脂(実施例5の)を用いて調合した。各調合物1gを80Cで30分間溶融し、M†
4Q樹脂0.02g(2重量%)を加えた。混合物をHauschield高速混合機中で60秒間混合した。調合物をHegman粒ゲージに塗り付け、光沢はマイクロ光沢計を使用して60度で測定した。これらの調合物の性能を下記の表5に示す。
【表5】
【0086】
本発明の態様は、以下の実施例を参照してさらに理解することができる。実施例は、本発明の様々な態様および実施形態を説明するためにあり、本発明の範囲を限定するようには意図されない。