特許第6775443号(P6775443)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775443
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】媒体切断装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/38 20060101AFI20201019BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   B26D1/38 B
   B41J11/70
   B26D1/38 C
   B26D1/38 T
【請求項の数】18
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-36875(P2017-36875)
(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公開番号】特開2018-140472(P2018-140472A)
(43)【公開日】2018年9月13日
【審査請求日】2019年6月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】591044164
【氏名又は名称】株式会社沖データ
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石倉 裕貴
【審査官】 藤田 和英
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−018107(JP,A)
【文献】 特開平02−256497(JP,A)
【文献】 特開平06−008191(JP,A)
【文献】 特開平06−238592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/38
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部が設けられたフランジと、第1の方向において前記フランジと隣り合う第1の刃とを有し、前記第1の方向に延びる回転軸を中心に第1の回転方向へ回転する第1の刃ユニットと、
前記第1の刃と対向し前記第1の刃ユニットの回転に伴い前記第1の刃と接触し媒体を切断する対向刃と、前記第1の回転方向へ回転する前記フランジに設けられた前記凸部に当接する当接部とを有する第2の刃ユニットと
を備え、
前記第1の刃ユニットの前記第1の回転方向への回転動作による前記媒体に対する切断動作の過程において、前記第1の刃と前記対向刃とが接触する状態と、前記凸部と前記当接部との当接により前記第1の刃と前記対向刃とが離間する状態となる
媒体切断装置。
【請求項2】
前記対向刃を、前記第1の回転方向と逆の第2の回転方向へ付勢する付勢部材をさらに備えた
請求項1に記載の媒体切断装置。
【請求項3】
前記第1の刃は、前記対向刃との間に前記媒体を挟持しつつ前記第1の回転方向へ回転することにより、前記媒体を切断する
請求項1または請求項2に記載の媒体切断装置。
【請求項4】
前記媒体を搬送する搬送部をさらに備え、
前記第1の刃は、前記搬送部による前記媒体の搬送動作と連動して前記第1の回転方向へ回転する
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の媒体切断装置。
【請求項5】
前記第2の刃ユニットは、前記第1の刃および前記フランジの双方と対向するように前記第1の方向に延在する平坦な第2の刃先を有する
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の媒体切断装置。
【請求項6】
前記フランジには、複数の前記凸部が設けられている
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の媒体切断装置。
【請求項7】
前記第1の刃は、前記第1の方向に沿って前記回転軸を中心に旋回するらせん部分を有する
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の媒体切断装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記フランジのうち、前記第1の回転方向における前記らせん部分が存在する角度範囲と対応する位置に設けられている
請求項7記載の媒体切断装置。
【請求項9】
前記第1の刃における前記らせん部分は、前記回転軸からの距離が実質的に一定である第1の刃先を含む
請求項7または請求項8に記載の媒体切断装置。
【請求項10】
前記フランジは、前記凸部が設けられた外周縁を含み、
前記第1の刃に対し脱着可能であって、
前記外周縁のうち、前記第1の回転方向における前記らせん部分が存在する角度範囲と対応する位置において前記凸部が存在する第1の取り付け状態と、
前記外周縁のうち、前記第1の回転方向における前記らせん部分が存在する角度範囲と対応する位置以外の位置において前記凸部が存在する第2の取り付け状態と
が選択可能に構成されている
請求項5から請求項9のいずれか1項に記載の媒体切断装置。
【請求項11】
前記第1の取り付け状態は、前記フランジが前記第2の取り付け状態から前記第1の回転方向において反転した状態である
請求項10に記載の媒体切断装置。
【請求項12】
前記フランジは、
前記第1の刃に対し前記第1の方向に移動可能であり、
記凸部が前記当接部と対向する第1の位置と、
記凸部以外の部分が前記当接部と対向する前記第1の位置以外の第2の位置とが選択可能に設けられている
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の媒体切断装置。
【請求項13】
第1の方向に延びる回転軸を中心に第1の回転方向へ回転する第1の刃と、
前記第1の刃と連動して前記回転軸を中心に前記第1の回転方向へ回転すると共に、前記回転軸から第1の距離にある第1の周縁部分と前記回転軸から第2の距離にあって前記第1の回転方向において前記第1の周縁部分と異なる位置にある第2の周縁部分とを含む外周縁を有するフランジと、
前記第1の刃と接触して媒体を切断可能に設けられた対向刃と、前記フランジの前記外周縁と当接する当接部とを有する第2の刃と
を備え、
前記第1の刃の前記第1の回転方向への回転動作による前記媒体に対する切断動作の過程において、前記第1の刃と前記対向刃とが接触する状態と、前記第2の周縁部分と前記当接部との当接により前記第1の刃と前記対向刃とが離間する状態となる
媒体切断装置。
【請求項14】
前記第1の刃は、前記第1の方向に沿って前記回転軸を中心に旋回するらせん部分を有し、
前記第1の周縁部分および前記第2の周縁部分は、前記第1の回転方向における前記らせん部分が存在する角度範囲と対応する位置に設けられている
請求項13記載の媒体切断装置。
【請求項15】
前記フランジは、
前記第1の刃に対し脱着可能であって、
前記角度範囲において前記第1の周縁部分および前記第2の周縁部分の双方が存在する第1の取り付け状態と、
前記角度範囲において前記第1の周縁部分または前記第2の周縁部分のいずれか一方のみが存在する第2の取り付け状態と
が選択可能に構成されている
請求項14記載の媒体切断装置。
【請求項16】
前記第1の取り付け状態は、前記フランジが前記第2の取り付け状態から前記第1の回転方向において反転した状態である
請求項15に記載の媒体切断装置。
【請求項17】
前記フランジは、
前記第1の刃に対し前記第1の方向に移動可能であって、
前記第2の周縁部分が前記第2の刃の前記当接部と対向する第1の位置と、
前記第2の周縁部分が前記第2の刃の前記当接部と対向する前記第1の位置以外の第2の位置とが選択可能に構成されている
請求項14または請求項15に記載の媒体切断装置。
【請求項18】
請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の媒体切断装置を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体切断装置およびそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙を、その幅方向の一部を残して部分的に切断するいわゆるパーシャルカット(部分切断)と、幅方向全体を切断するいわゆるフルカット(全体切断)との双方を行うことのできるカッター装置(媒体切断装置)が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−330356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような媒体切断装置では、より速やかに媒体の部分切断が行われることが望まれる。
【0005】
したがって、媒体の部分切断動作をより速やかに行うことのできる媒体切断装置、およびそれを備えた画像形成装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態としての媒体切断装置は、第1の刃ユニットと、第2の刃ユニットとを備える。第1の刃ユニットは、凸部が設けられたフランジと、第1の方向において前記フランジと隣り合う第1の刃とを有し、第1の方向に延びる回転軸を中心に第1の回転方向へ回転する。第2の刃ユニットは、第1の刃と対向し第1の刃ユニットの回転に伴い第1の刃と接触し媒体を切断する対向刃と、第1の回転方向へ回転するフランジに設けられた凸部に当接する当接部とを有する。第1の刃ユニットの第1の回転方向への回転動作による媒体に対する切断動作の過程において、第1の刃と対向刃とが接触する状態と、凸部と当接部との当接により第1の刃と対向刃とが離間する状態となる。
【0007】
本発明の一実施形態としての画像形成装置は、上記の媒体切断装置を備えたものである。
【0008】
本発明の一実施形態としての媒体切断装置および画像形成装置では、第2の刃ユニットの摺動部がフランジの外周縁のうち凸部上を摺動するときと、第2の刃ユニットの摺動部がフランジの外周縁のうち凸部以外の部分を摺動するときとで、第1の刃と第2の刃ユニットの対向刃との距離が異なる。このため、例えば摺動部が凸部以外の部分を摺動するときに第1の刃と対向刃との間の媒体が切断され、摺動部が凸部上を摺動するときには第1の刃と対向刃との間の媒体は切断されないこととなる。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態としての媒体切断装置および画像形成装置によれば、媒体の部分切断動作をより速やかに行うことができる。なお、本発明の効果はこれに限定されるものではなく、以下に記載のいずれの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の一実施の形態に係る画像形成装置の全体構成例を表す斜視図である。
図1B図1Aに示した画像形成装置の全体構成例を表す他の斜視図である。
図2図1に示した画像形成装置の内部構造を表す模式図である。
図3A図1に示した媒体切断装置の構成例を分解して表す斜視図である。
図3B図1に示した媒体切断装置の構成例を分解して表す他の斜視図である。
図3C図3Aに示した媒体切断装置の一部を拡大して表す斜視図である。
図4A図3に示した回転刃ユニットにおけるブレードとフランジにおける第2の周縁部分との位置関係を表す第1の説明図である。
図4B図3に示した回転刃ユニットにおけるブレードとフランジにおける第2の周縁部分との位置関係を表す第2の説明図である。
図4C図3に示した回転刃ユニットにおけるブレードとフランジにおける第2の周縁部分との位置関係を表す第3の説明図である。
図5図3に示した回転刃ユニット、揺動刃ユニットおよびフランジの相互の位置関係を表す模式図である。
図6図1Aに示した画像形成装置の内部構成例を模式的に表すブロック図である。
図7図1Aに示した媒体切断装置の動作を説明するための第1の説明図である。
図8図1Aに示した媒体切断装置の動作を説明するための第2の説明図である。
図9図1Aに示した媒体切断装置において切断された媒体の形状を表す模式図である。
図10】本発明の第1の変形例としての媒体切断装置を表す模式図である。
図11図10に示した媒体切断装置において切断された媒体の形状を表す模式図である。
図12】本発明の第2の変形例としての媒体切断装置を表す模式図である。
図13A】本発明の第3の変形例としての媒体切断装置を表す斜視図である。
図13B図13Aに示した媒体切断装置の要部を拡大した第1の斜視図である。
図13C図13Aに示した媒体切断装置の要部を拡大した第2の斜視図である。
図14A】本発明の第4の変形例としての媒体切断装置を表す斜視図である。
図14B図14Aに示した媒体切断装置を反対側から眺めた状態を表す斜視図である。
図15A図14Aに示した媒体切断装置の第1の位置を説明する正面図である。
図15B図14Aに示した媒体切断装置の第2の位置を説明する正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明は本発明の一具体例であって、本発明は以下の態様に限定されるものではない。また、本発明は、各図に示す各構成要素の配置や寸法、寸法比などについても、それらに限定されるものではない。説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態
媒体切断装置を備えた画像形成装置。
2.変形例
【0012】
<1.実施の形態>
[1.1 画像形成装置1の概略構成]
図1Aは、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置1の外観を表す斜視図である。図1Bは、図1Aに示した画像形成装置1の内部構成の一部が見えるように表した斜視図である。図2は、図1A,1Bに示した画像形成装置1の全体の内部構成例を表す模式図である。
【0013】
画像形成装置1は、例えば筐体2の内部に、例えば媒体供給部101と、媒体搬送部102と、画像形成部103と、転写装置104と、現像剤回収装置105と、定着装置106と、排出部107とを備えている。画像形成装置1には、さらに、搬送路PPが形成されている。搬送路PPは、媒体供給部101から、媒体搬送部102と、画像形成部103および転写装置104と、現像剤回収装置105と、定着装置106と、排出部107とを順次経由して最終的に筐体2の外部へ至る、媒体が通過する経路である。本明細書では、搬送路PP上の任意の位置から媒体供給部101へ近づく方向、もしくはその任意の位置よりも媒体供給部101に近い位置(その任意の位置と媒体供給部101との間の位置)を上流という。一方、搬送路PP上の任意の位置から媒体供給部101から遠ざかる方向、もしくはその任意の位置よりも排出部107に近い位置(その任意の位置と排出部107との間の位置)を上流という。
【0014】
(媒体供給部101)
媒体供給部101は、保持部11と、カバー12と、1対のサイドガイド13L,13Rと、カバー12の内面に立設するガイド14と、搬送ローラ15とを有している。保持部11は、画像が形成される媒体の供給源としてのロールRpを保持する部分であり、ロールRpを収容する空間101Sを、カバー12と共に形成している。カバー12は、空間101Sに収容されたロールRpを覆うように設けられた保護部材である。ロールRpは、媒体としての連続紙が巻回されたものである。なお、媒体として、連続紙上に複数のステッカーが断続的に設けられたものを用いることもできる。また、ここでいう連続紙の材質は紙に限定されず、例えば透明樹脂などであってもよい。1対のサイドガイド13L,13Rは、空間101Sに収容されたロールRpの側面をガイドする部材である。ガイド14は、ロールRpから繰り出される媒体が搬送路PPへ向けて安定して走行するように、その媒体の経路を案内する部材である。搬送ローラ15は、ロールRpから媒体を繰り出し、その媒体を媒体搬送部102へ向けて順次搬送するように機能する。媒体供給部101は、さらに給紙モータ811(後出の図6に記載)を有している。搬送ローラ15は、給紙モータ811により回転駆動するようになっている。
【0015】
(媒体搬送部102)
媒体搬送部102は、搬送路PPに沿って上流から下流へ順に配置された搬送ローラ対21〜24と、カッター25とを有している。搬送ローラ対21〜24は、媒体供給部101から繰り出された媒体を下流の画像形成部103および転写装置104へ向けて搬送するものである。カッター25は、搬送ローラ対23と搬送ローラ対24との間に配置されており、搬送路PPを搬送される媒体を所定の長さで切断するものである。媒体搬送部102は、さらに搬送モータ812(後出の図6に記載)を有している。搬送ローラ対21〜24およびカッター25は、搬送モータ812により駆動するようになっている。 ここで、カッター25は本発明の「媒体切断装置」の一具体例に対応する。カッター25については後に詳述する。
【0016】
(画像形成部103)
画像形成部103は、媒体搬送部102の下流に位置し、搬送路PPに沿って上流から順に配置された画像形成ユニット30Y,30M,30Cを有している。画像形成ユニット30A〜30Cは、それぞれ、感光ドラム31と、帯電ローラ32と、現像ローラ33と、供給ローラ34と、現像ブレード35と、現像剤収容部36と、LED(Light Emitting Diode)ヘッド37とを有している。画像形成ユニット30Y,30M,30Cは、互いに異なる色の現像剤(トナー)を用いて各々の色の現像剤像(トナー像)を各々の感光ドラム31の表面に形成する。具体的には、例えば画像形成ユニット30Cはシアンの現像剤を用いてシアンの現像剤像を形成し、画像形成ユニット30Mはマゼンタの現像剤を用いてマゼンタの現像剤像を形成し、画像形成ユニット30Yはイエローの現像剤を用いてイエローの現像剤像を形成する。画像形成部103は、駆動モータDM(後出の図5に記載)をさらに有している。感光ドラム31などは、駆動モータDMにより回転駆動するようになっている。
【0017】
感光ドラム31は、静電潜像を表面(表層部分)に担持する円柱状の部材であり、感光体(例えば有機系感光体)を用いて構成されている。感光ドラム31は、所定の周速度で所定の方向に回転(この例では図2中に矢印で示したように右回りで回転)するようになっている。
【0018】
帯電ローラ32は、感光ドラム31の表面(表層部分)を帯電させる部材(帯電部材)であり、感光ドラム31の表面(周面)に接するように配置されている。なお、帯電ローラ32は、この例では左回りで回転するようになっている。
【0019】
現像ローラ33は、静電潜像を現像する現像剤を表面に担持する部材であり、感光ドラム31の表面(周面)に接するように配置されている。なお、現像ローラ33は、この例では左回りで回転するようになっている。
【0020】
供給ローラ34は、現像ローラ33に対して現像剤を供給するための部材(供給部材)であり、現像ローラ33の表面(周面)に接するように配置されている。なお、供給ローラ34は、この例では左回り(現像ローラ33と同方向)に回転するようになっている。
【0021】
現像ブレード35は、回転する現像ローラ33の表面に現像剤からなる層(現像剤層)を形成すると共に、その現像剤層の厚さを規制(制御,調整)する現像剤規制部材である。現像ブレード35は、例えばステンレス等からなる板状弾性部材(板ばね)であり、この板状弾性部材の先端部が現像ローラ33の表面の近傍に配置されている。
【0022】
現像剤収容部36は、その内部に所定の色の現像剤を収容する容器であり、例えばその下部に現像剤排出口を有する。
【0023】
LEDヘッド37は、対向する感光ドラム31の表面を露光し、各々の感光ドラム31の表面に静電潜像を形成するものである。
【0024】
(転写装置104)
転写装置104は、搬送路PPを挟んで画像形成部103と対向するように、画像形成部103の下方に配置されている。図3に示したように、転写装置104は、搬送ベルト41と、この搬送ベルト41を駆動する駆動ローラ42と、従動ローラ43と、転写ローラ44と、当接ローラ45とを有する。転写ローラ44は、駆動モータDMにより回転駆動するようになっている。
【0025】
搬送ベルト41は、媒体を搬送路PPに沿って下流へ搬送するためのベルトである。具体的には、搬送ベルト41は例えばポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる無端の弾性ベルトであり、駆動ローラ42,従動ローラ43、転写ローラ44および当接ローラ45などによって張設(張架)され、図2において左回りに循環回転するようになっている。従動ローラ43は、駆動ローラ42および搬送ベルト41の回転に従動して回転するようになっている。転写ローラ44は、画像形成部103において形成された現像剤像を媒体上に静電的に転写するための部材であり、搬送ベルト41を挟んで感光ドラム31と対向して配置されている。当接ローラ45は、現像剤回収装置105におけるクリーニングブレード(図示せず)と搬送ベルト41を挟んで対向するように配置されており、搬送ベルト41をクリーニングブレードへ押し付けるようになっている。
【0026】
(現像剤回収装置105)
現像剤回収装置105は、転写装置104の下方に配置されており、搬送ベルト41に付着した不要な現像剤を回収するものである。
【0027】
(定着装置106)
定着装置106は、画像形成部103および転写装置104の下流に位置し、転写装置104から搬送された媒体上に転写された現像剤像に対し熱および圧力を付与することで、その現像剤像を記録媒体上に定着させるように機能する。定着装置106は、ヒータ791(後出の図5に記載)を内蔵する定着ローラ61と、その定着ローラ61との間に、搬送路PPを走行する媒体を挟むように配置された加圧ローラ62とを有する。定着装置106は、自らの温度検出を行うサーミスタ792(後出の図6に記載)をさらに有している。定着ローラ61は、例えば駆動モータDMにより回転駆動するようになっている。
【0028】
(排出部107)
排出部107は、例えば対向配置された排出ローラ71,72を有している。排出ローラ71,72は、例えば駆動モータDMにより回転駆動し、定着装置106から排出された媒体を外部へ排出するものである。
【0029】
[1.2 カッター25の構成]
次に、図3A図3Cを参照して、カッター25の詳細な構成について説明する。図3Aおよび図3Bは、いずれも、カッター25の一構成例を分解して表す斜視図である。但し、図3Bは、図3Aと逆の方向から眺めた状態を表している。また、図3Cは、カッター25を構成する一部の構成要素である、後述する回転刃ユニット51および揺動刃ユニット52を抽出して表した斜視図である。
【0030】
図3Aおよび図3Bに示したように、カッター25は、回転刃ユニット51と、揺動刃ユニット52と、保持部材54と、保持部材55とを有している。回転刃ユニット51は、保持部材54により、回転軸51Jを中心に回転可能に保持されている。揺動刃ユニット52は、保持部材55により、回転軸52Jを中心に揺動可能に保持されている。保持部材54,55は、いずれも、例えば筐体2に固定されている。カッター25は、回転刃ユニット51が揺動刃ユニット52に対して回転することにより、それら回転刃ユニット51と揺動刃ユニット52との間を通過する媒体を切断する、いわゆるロータリーカッターである。
【0031】
回転刃ユニット51は、「第1の方向」としてのX軸方向に伸びる回転軸51Jを中心に「第1の回転方向」としての回転方向R51へ回転する。図3Cに示したように、回転刃ユニット51は、X軸方向に沿って回転軸51Jを中心に旋回するらせん部分を含むブレード511と、そのブレード511を支持するシャフト512と、X軸方向においてブレード511と隣り合うフランジ513とを有する。シャフト512は、例えば回転軸51Jを中心軸とする円柱状もしくは円筒状の物体であり、その外周面の一部にブレード511が立設している。ブレード511は、その先端にエッジ51Sを有している。エッジ51Sは、後述する揺動刃ユニット52のブレード521におけるエッジ52Sと当接するように徐々にエッジ52Sに接近することで、ロールRpから繰り出される媒体を剪断するように機能する。すなわち、ブレード511は、ブレード521との間に媒体を挟持しつつ回転方向R51へ回転することにより、媒体を切断するようになっている。ブレード511は、搬送ローラ対21〜24による媒体の搬送動作と連動して、回転方向R51へ回転するとよい。なお、ブレード511は本発明の「第1の刃」に対応する一具体例であり、エッジ51Sは本発明の「第1の刃先」に対応する一具体例であり、回転軸51Jは本発明の「回転軸」に対応する一具体例である。また、本実施の形態では、ブレード511の全てがらせん部分である場合を例示している。
【0032】
エッジ51Sは、X軸方向の一方の端部51SLから他方の端部51SRに至るまで、回転軸51Jを中心にらせんを描くように旋回する形状を有している。したがって、回転刃ユニット51が回転方向R51へ回転する際、エッジ51Sがエッジ52Sと当接する位置に到達するタイミングはX軸方向の位置によって徐々にずれる、すなわち位相差が生じるようになっている。図3A図3Cでは、端部51SLが最初にエッジ52Sと当接し、端部51SRが最後にエッジ52Sと当接する場合を描いている。このように、X軸方向の位置によってエッジ51Sがエッジ52Sと当接するタイミングに位相差が生じるようになっているので、例えば−Y方向に搬送されるロールRpがカッター25において切断されると、その切断面はY軸と直交する方向(X軸方向)に伸びることとなる。なお、エッジ51Sは平坦であるとよい。すなわち、エッジ51Sは、回転軸51Jからの距離を実質的に一定に維持するように旋回しているとよい。より安定した切断動作が得られるからである。また、本実施の形態では、エッジ51Sは、回転軸51Jからの距離が、フランジ513における周縁部分53Sと一致していることが望ましい。
【0033】
回転刃ユニット51のシャフト512には、例えばブレード511とX軸方向において隣り合うように、フランジ513が設けられている。本実施の形態では、例えばエッジ51Sの端部51SLと近接するようにフランジ513がシャフト512に取り付けられている。したがって、フランジ513は、シャフト512の回転に伴い、ブレード511と連動して回転軸51Jを中心に回転方向R51へ回転するようになっている。
【0034】
図4A図4Cに、−X方向に眺めた状態の回転刃ユニット51を模式的に表す。図4A図4Cでは、視認性を確保するため、フランジ513を破線で表している。図4A図4Cに示したように、フランジ513は、回転軸51Jから第1の距離R1にある周縁部分53Sと、回転軸51Jから第2の距離R2にあって回転方向R51において周縁部分53Sと異なる位置にある周縁部分53Tとを含む外周縁53を有する。本実施の形態では、第1の距離R1よりも第2の距離R2が大きく、周縁部分53Tが周縁部分53Sから突出した突起部を形成している。フランジ513は、回転方向R51においてらせん状をなすエッジ51Sが存在する角度範囲θにおいて、周縁部分53Sから突出した周縁部分53Tを有している。図4Aは、外周縁53の周縁部分53S上の位置A1に、エッジ51Sの端部51SLがX軸方向において投影される様子を表している。図4Bは、外周縁53の周縁部分53Tに、エッジ51SがX軸方向において投影される様子を表している。図4Cは、外周縁53の周縁部分53S上の位置A2に、エッジ51Sの端部51SRがX軸方向において投影される様子を表している。このように、エッジ51Sは、端部51SLから端部51SRに向かうに従い、位置A1から位置A2に至るまで徐々に変化するように旋回しており、その位置A1から位置A2に至る角度範囲θに、突起部を形成する周縁部分53Tが存在している。
なお、本実施の形態において、フランジ513が本発明の「フランジ」に対応する一具体例であり、周縁部分53Sが本発明の「第1の周縁部分」に対応する一具体例であり、周縁部分53Tが本発明の「第2の周縁部分」および「凸部」に対応する一具体例であり、外周縁53が本発明の「外周縁」に対応する一具体例である。
【0035】
揺動刃ユニット52は、第2の刃としてのブレード521と、支持部522と、シャフト523とを有している。ブレード521は、ブレード511と対向する対向刃521Aと、フランジ513の外周縁53上を摺動する摺動部521Bとを有する。支持部522は、ブレード521を支持する部材であり、その一部にシャフト523が取り付けられている。シャフト523は、回転軸52Jを中心に可逆的に回転可能に保持部材55に保持されている。
なお、本実施の形態において、対向刃521Aが本発明の「対向刃」に対応する一具体例であり、摺動部521Bが本発明の「摺動部」に対応する一具体例である。ここで、ブレード521は、対向刃521Aと摺動部521Bとが一体に形成された一体物からなるものであってもよいし、互いに別部材からなる対向刃521Aと摺動部521Bとが組み合わされてなるものであってもよい。
【0036】
揺動刃ユニット52には、例えば図5に示したように、回転方向R51と逆の回転方向R52へ支持部522を付勢する「付勢部材」としてのトーションばね56がさらに設けられている。なお、図5は、回転刃ユニット51、揺動刃ユニット52およびフランジ513の相互の位置関係を模式的に表す説明図である。トーションばね56は、支持部522の一部と当接する端部561と、保持部材55の一部と当接する端部562と、端部561と端部562とを繋ぎ、シャフト523を取り巻くように巻回された巻回部563とを有している。トーションばね56は、図5において端部561と端部562とが互いに遠ざかる方向の付勢力を発生させるものである。
【0037】
ブレード521は、例えばYZ平面においてL状をなすように屈曲した部分を有し、その屈曲部分の先端に、ブレード511のエッジ51Sおよびフランジ513の外周縁53の双方と対向するようにX軸方向に伸びる平坦なエッジ52Sを有している。トーションばね56の付勢力により、エッジ52Sの一部(摺動部521B)はフランジ513の外周縁53と当接するように矢印Y52(図5)の方向へ付勢されることとなる。ここで図5は、エッジ52S(摺動部521B)が外周縁53のうちの周縁部分53Sと当接した状態を表している。その状態で回転刃ユニット51が回転方向R51へ回転することにより、エッジ52Sはフランジ513の外周縁53上を摺動するようになっている。エッジ52Sは、外周縁53の周縁部分53Sと実質的に同じ面位置にあるエッジ51Sとやがて当接することとなる。エッジ52Sは、回転刃ユニット51のブレード511におけるエッジ51Sと当接することで、ロールRpから繰り出される媒体を切断(剪断)するように機能する。このエッジ52Sは、本発明の「第2の刃先」に対応する一具体例である。
【0038】
[1.3 画像形成装置1の回路構成]
図6に、画像形成装置1の内部の構成を模式的に表すブロック図である。図6に示したように、画像形成装置1は、印刷制御部700,I/F制御部710,受信メモリ720,画像データ編集メモリ730,操作部701およびセンサ群702を備えている。画像形成装置1は、さらに、印刷制御部700からの指令をそれぞれ受ける帯電電圧制御部740,ヘッド駆動制御部750,現像電圧制御部760,転写電圧制御部770,画像形成駆動制御部780,定着制御部790,搬送ベルト駆動制御部800および給紙・搬送駆動制御部810を備えている。
【0039】
印刷制御部700は、マイクロプロセッサ、ROM,RAMおよび入出力ポート等により構成され、例えば予め定められたプログラムを実行することにより画像形成装置1における処理動作の全体を制御するものである。具体的には、印刷制御部700は、I/F制御部710からの印刷データや制御コマンドを受信し、帯電電圧制御部740,ヘッド駆動制御部750,現像電圧制御部760,転写電圧制御部770,画像形成駆動制御部780,定着制御部790,搬送ベルト駆動制御部800および給紙・搬送駆動制御部810の制御を統括して印刷動作を行う。
【0040】
I/F制御部710は、パーソナルコンピュータ(PC)などの外部装置からの印刷データや制御コマンドを受信し、あるいは画像形成装置1の状態に関する信号を送信するものである。
【0041】
受信メモリ720は、PCなどの外部装置からI/F制御部710を経由した印刷データを一時的に格納するものである。
【0042】
画像データ編集メモリ730は、受信メモリ720に格納された印刷データを受け取り、その印刷データを編集した画像データを格納するものである。
【0043】
操作部701は、例えば画像形成装置1の状態などの情報を表示するためのLEDランプや、使用者が指示を画像形成装置へ与えるための入力部(ボタンやタッチパネル)を有するものである。
【0044】
センサ群702は、画像形成装置1の動作状態を監視する各種センサ、例えば媒体の位置を検出する位置センサ、画像形成装置1内の温度を検出する温度センサ、印刷濃度センサなどを含んでいる。
【0045】
帯電電圧制御部740は、印刷制御部700の指示により、帯電ローラ32に対し帯電電圧を印加し、感光ドラム31の表面を帯電させるように制御を行うものである。
【0046】
ヘッド駆動制御部750は、画像データ編集メモリ730に格納された画像データにしたがってLEDヘッド37による露光動作の制御を行うものである。
【0047】
現像電圧制御部760は、印刷制御部700の指示により、現像ローラ33に対し現像電圧を印加し、感光ドラム31の表面に形成された静電潜像にトナーを現像するように制御を行うものである。
【0048】
転写電圧制御部770は、印刷制御部700の指示により、転写ローラ44に対し転写電圧を印加し、媒体にトナー像を転写させるように制御を行うものである。
【0049】
画像形成駆動制御部780は、印刷制御部700の指示により、駆動モータDMの駆動制御を行うものである。駆動モータDMは、感光ドラム31などの回転駆動を行う。
【0050】
定着制御部790は、印刷制御部700の指示により、定着装置106の定着動作を制御するものである。具体的には、定着ローラ61に内蔵されたヒータ791(図5)への印加電圧の制御を行う。定着制御部790は、サーミスタ792により測定された定着装置106の温度に基づき、ヒータ791への印加電圧のオン・オフ制御を行う。
【0051】
搬送ベルト駆動制御部800は、印刷制御部700の指示により、画像形成装置1に設けられた搬送ベルトモータ801の動作制御を行うものである。搬送ベルトモータ801は、搬送ベルト41の駆動を行うものである。
【0052】
給紙・搬送駆動制御部810は、印刷制御部700の指示により、画像形成装置1に設けられた給紙モータ811および搬送モータ812の動作制御を行うものである。
【0053】
[1.4 作用・効果]
(A.基本動作)
この画像形成装置1では、以下のようにして、媒体に対して現像剤像が転写される。
【0054】
具体的には、まず、給紙・搬送駆動制御部810の制御に基づき給紙モータ811が駆動し、搬送ローラ15が回転する。これにより媒体供給部101における空間101Sに収容されたロールRpから媒体がピックアップされ、下流の媒体搬送部102の方向へ繰り出される。次いで、ロールRpから繰り出された媒体は、媒体搬送部102により斜行が矯正されつつ下流の画像形成部103および転写装置104へ向けて搬送される。媒体搬送部102では、カッター25により、所定の長さで媒体を切断する。その際、給紙・搬送駆動制御部810の制御に基づき、給紙モータ811の駆動力がカッター25に伝達される。その際、この画像形成装置1では、幅方向(X軸方向)において媒体の一部が繋がった状態となるように部分的に媒体を切断する、いわゆるパーシャルカットが行われるようになっている。カッター25の動作については後に詳細に説明する。
【0055】
画像形成部103および転写装置104では、以下のようにして、トナー像が記録媒体上に転写される。まず、起動状態の画像形成装置1に対してPCなどの外部機器からI/F制御部710を介して印刷画像データおよび印刷命令が印刷制御部700に入力される。印刷制御部700は、印刷命令に応じて、画像形成駆動制御部780などと連携して印刷画像データの印刷動作を開始させる。
【0056】
画像形成駆動制御部780は、駆動モータDMを駆動し、感光ドラム31を所定の方向に一定速度で回転させる。感光ドラム31が回転すると、その動力がギヤ列などの駆動伝達部を介して、供給ローラ34、現像ローラ33および帯電ローラ32へそれぞれ伝達される。その結果、供給ローラ34、現像ローラ33および帯電ローラ32は、それぞれ所定の方向に回転する。
【0057】
一方、印刷制御部700からの指令により、帯電電圧制御部740が帯電ローラ32に対し所定の電圧を印加し、感光ドラム31の表面を一様に帯電させる。
【0058】
次いで、ヘッド駆動制御部750がLEDヘッド37を起動し、画像信号に基づく印刷画像に対応する光を感光ドラム31に照射して感光ドラム31の表面に静電潜像を形成する。さらに、現像剤収容部36から供給ローラ34へ現像剤を供給する。現像剤は、供給ローラ34に担持され、供給ローラ34の回転と共に現像ローラ33の近傍に移動する。そこで、現像剤は現像ローラ33の電位と供給ローラ34の電位との電位差により例えば負に帯電し、現像ローラ33へ供給される。現像ローラ33へ供給された現像剤は現像ブレード35により所定の厚さに規制された現像剤層を形成する。
【0059】
さらに、感光ドラム31の表面に形成された静電潜像に応じて、現像ローラ33上の現像剤層が現像されて感光ドラム31上に現像剤像が形成される。その現像剤像は、感光ドラム31と対向配置されると共に転写電圧制御部770により所定の電圧が印加された転写ローラ44との間の電界によって搬送路PP上の媒体に転写される。
【0060】
その後、定着装置106において、媒体上に転写された現像剤像に対し熱および圧力を付与し、その現像剤像を媒体上に定着させる。そののち、現像剤像が定着された媒体は排出部107により外部へ排出される。
【0061】
なお、感光ドラム31には、媒体へ転写されなかった現像剤が僅かに残留する場合がある。その場合、その残留した現像剤は搬送ベルト41に付着することがある。そこで、画像形成装置1では現像剤回収装置105により、搬送ベルト41に付着した現像剤を廃トナーとして回収する。
【0062】
(B.カッター25の動作)
画像形成装置1の運転動作中において、カッター25では、例えば図5に示したように、トーションばね56の付勢力により、ブレード521における摺動部521Bのエッジ52Sはフランジ513の外周縁53に押し付けられて当接した状態となっている。その際、エッジ51Sとエッジ52Sとの間を、ロールRpから繰り出された媒体PMが−Y方向へ通過する。
【0063】
その状態から、給紙・搬送駆動制御部810の制御に基づき給紙モータ811の駆動力がカッター25に伝達されると、例えば媒体搬送部102における搬送ローラ対21〜24による媒体の搬送動作と連動して回転刃ユニット51が回転方向R51へ回転する。その際、摺動部521Bのエッジ52Sはフランジ513の外周縁53に押し付けられて当接した状態が維持されるので、摺動部521Bのエッジ52Sはフランジ513の外周縁53上を摺動することとなる。回転刃ユニット51が回転方向R51への回転を続けると、やがて図7に示したように、対向刃521Aのエッジ52Sが、外周縁53の周縁部分53Sと実質的に同じ面位置にあるエッジ51Sと接近する。そのため、エッジ51Sとエッジ52Sとの間に挟まれた媒体PMが剪断応力を受け、切断(剪断)される。ここで、エッジ51Sは、X軸方向の一方の端部51SLから他方の端部51SRに至るまで、回転軸51Jを中心にらせんを描くように旋回する形状を有している。したがって、回転刃ユニット51が回転方向R51へ回転する際、エッジ51Sがエッジ52Sと当接する位置に到達するタイミングはX軸方向の位置によって徐々にずれるようになっている。よって、本実施の形態では、媒体PMにおいては、端部51SLとエッジ52Sとが当接する一端から端部51SRとエッジ52Sとが当接する他端へと向かうように徐々に亀裂が進展することとなる。
【0064】
但し、フランジ513の外周縁53には、周縁部分53Sから突出した周縁部分53Tが設けられている。このため、摺動部521Bのエッジ52Sはフランジ513の周縁部分53Tと当接した場合、図8に示したように、対向刃521Aのエッジ52Sは、周縁部分53Sと実質的に同じ面位置にあるエッジ51Sから僅かに(正確には、最大で第1の距離R1と第2の距離R2との差分だけ)離間することとなる。すなわち、エッジ52Sが回転方向R51において周縁部分53Tを通過する期間のみ、エッジ52Sはエッジ51Sから離間する。その結果、媒体PMはX軸方向においてエッジ52Sが周縁部分53Tを通過する期間に相当する長さ分だけ切断されず、図9に示したように、部分的に長手方向(媒体進行方向)において繋がった状態となる。なお、図9は、カッター25を通過後の、パーシャルカットされた媒体PMを模式的に表したものである。より詳細には、図9に示したように、媒体PMは、例えば幅方向(X軸方向)の中央付近における連結部分JSのみが切断されず、その両側の切断部CT1,CT2はそれぞれ端部に至るまで切断されることとなる。
【0065】
(C.効果)
このように、本実施の形態の画像形成装置1では、カッター25において、ブレード521の摺動部521Bにおけるエッジ52Sが、ブレード511と一体に回転するフランジ513の外周縁53上を摺動するようにした。そこで外周縁53には周縁部分53Sよりも径方向に突出した周縁部分53Tが設けられているので、摺動部521Bが周縁部分53S上を摺動するときに媒体PMが切断される一方、摺動部521Bが周縁部分53T上を摺動するときには媒体PMが切断されないこととなる。その結果、カッター25では、媒体PMの部分切断動作をより速やかに、かつ高い精度で行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態では、カッター25における機械的構造に起因して、回転刃ユニット51の回転動作に伴って部分切断動作が実行されるので、追加のアクチュエータや追加の制御信号を必要とするものではない。よって、機構上の複雑化は招来しないものである。
【0067】
<2.変形例>
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態では、フランジ513の外周縁53において、周縁部分53Sよりも径方向に突出した周縁部分53Tを1箇所設ける場合を例示して説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば図10に示した本発明の第1の変形例としてのカッター25Aのように、フランジ513の外周縁53に、周縁部分53Sよりも径方向に突出した複数の周縁部分53T(図10の例では周縁部分53T1,53T2の2つ)を設けるようにしてもよい。その場合、カッター25Aを通過した媒体PM1は、例えば図11に示したように、幅方向の中央付近における2箇所の連結部分JS1,JS2において部分的に長手方向(媒体進行方向)に繋がった状態となる。なお、図11は、カッター25Aを通過後の、パーシャルカットされた媒体PM1を模式的に表したものである。
【0068】
また、上記実施の形態では、フランジ513の外周縁53における周縁部分53Tが半円状の断面形状を有する場合を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の形状を有する周縁部分を採用してもよい。例えば図12に示した本発明の第2の変形例としてのカッター25Bのように、半円状の周縁部分よりも緩やかな傾斜面53TSを有する周縁部分53TTを採用するようにしてもよい。傾斜面53TSは、周縁部分53Sとの境界である始点53SPを通る接線よりも突出しないように緩やかに伸びていることが望ましい。フランジ513がより円滑に回転し、回転時におけるフランジ513のガタつきが十分に低減されるからである。
【0069】
また、本発明は、フランジ513をシャフト512に固定する場合に限定されるものではない。本発明では、例えば図13A〜13Cに示した本発明の第3の変形例としてのカッター25Cのように、シャフト512Aに対し脱着可能なフランジ513Aを採用してもよい。図13A〜13Cに示したように、カッター25Cは、外周面の一部が平面であるシャフト512Aを含む回転刃ユニット51Aと、シャフト512Aが挿通される貫通孔53AKを含むフランジ513Aと、留め具57とを有する。フランジ513Aは、シャフト512Aの延伸方向(X軸方向)においてシャフト512Aに対し着脱可能に構成され、貫通孔53AKにシャフト512Aが挿通された状態で留め具57によりシャフト512Aに保持される。留め具57は内側に爪571が設けられたU形状の薄板部材であり、貫通孔53AKを貫いて突出したシャフト512Aの先端に設けられた溝Uに爪571が係合することでフランジ513Aがシャフト512Aから脱落するのを防止する。
【0070】
本変形例のカッター25Cでは、フランジ513Aは、例えば図13Bに示した取り付け状態(本発明の「第1の取り付け状態」に対応する一具体例)と、例えば図13Cに示した取り付け状態(本発明の「第2の取り付け状態」に対応する一具体例)とが選択可能に構成されている。具体的には、図13Bでは、ブレード511のらせん部分の存在する角度範囲に周縁部分53Tおよび周縁部分53Tの双方が存在するようにフランジ513Aが取り付けられている。このため、図13Bの状態でカッター25Cを動作させると、媒体に対しいわゆるパーシャルカットが実行されることとなる。一方、図13Cでは、フランジ513Aが図13Bでのフランジ513Aの状態に対し回転方向R51において反転した状態にある。すなわち、ブレード511のらせん部分の存在する角度範囲に周縁部分53Tが存在せず、周縁部分53Sのみが存在するようにフランジ513Aが取り付けられている。このため、図13Cの状態でカッター25Cを動作させると、媒体に対しいわゆるフルカットが実行されることとなる。
【0071】
本変形例では、このようにフランジ513Aの姿勢(取り付け状態)を選択することで、パーシャルカットを行う動作モードと、フルカットを行う動作モードとの切り替えが可能となる。
【0072】
さらに本発明では、例えば図14A,14B,15A,15Bに示した本発明の第4の変形例としてのカッター25Dのように、フランジ513Aを、シャフト512Bに対し、シャフト512Bの延伸方向(X軸方向)において異なる2以上の位置で保持可能な構造を採用してもよい。カッター25Dでは、フランジ513Aが、ブレード511が立設するシャフト512Bに対しX軸方向に移動可能に構成されている。フランジ513Aは、外周縁53のうちの周縁部分531Tがブレード521の摺動部521Bと対向する第1の位置(図15Aに示した位置)と、外周縁53のうちの周縁部分531Tがブレード521の摺動部521Bと対向する第1の位置以外の第2の位置(図15Bに示した位置)とが選択可能に構成されている。
【0073】
具体的には、カッター25Dでは、回転刃ユニット51が、X軸方向に並ぶ孔H1および孔H2を含むシャフト512Bと、それら孔H1または孔H2のいずれかに選択的に挿入可能なピン58を有している。シャフト512Bには、留め具57の爪571と係合可能な溝U1および溝U2がX軸方向に並ぶように設けられている。
【0074】
図15Aに示したように、孔H1にピン58が挿入されると共に留め具57の爪571が溝U1に係合されると、ブレード511に近接した状態でフランジ513Aが取り付けられることとなる。その場合、ブレード521のエッジ52Sと周縁部分53Tとが当接可能となる。したがって、図15Aの状態でカッター25Dを動作させると、媒体に対しいわゆるパーシャルカットが実行されることとなる。一方、図15Bに示したように、孔H2にピン58が挿入されると共に留め具57の爪571が溝U2に係合されると、ブレード511から離間した状態でフランジ513Aが取り付けられることとなる。その場合、ブレード521のエッジ52Sと周縁部分53Tとが当接することはない。このため、図15Bの状態でカッター25Dを動作させると、媒体に対しいわゆるフルカットが実行されることとなる。
【0075】
本変形例では、このようにフランジ513Aの取り付け位置を選択することで、パーシャルカットを行う動作モードと、フルカットを行う動作モードとの切り替えが可能となる。
【0076】
また、上記実施の形態では、カラー画像を形成する画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば黒色のトナー像のみを転写し、モノクロ画像を形成する画像形成装置であってもよい。また、上記実施の形態では、1次転写方式(直接転写方式)の画像形成装置について説明したが、本発明は2次転写方式にも適用されうる。
【0077】
また、上記実施の形態で記載した各構成要素の形状や数量、寸法および位置関係は一例を示すものであり、本発明はそれに限定されるものではない。
【0078】
また、上記実施の形態では、露光装置として発光ダイオードを光源とするLEDヘッドを用いるようにしたが、例えばレーザ素子等を光源とした露光装置を用いてもよい。
【0079】
さらに、上記実施の形態では、本発明における「画像形成装置」の一具体例として、印刷機能を有する画像形成装置について説明したが、本発明はこれには限られない。すなわち、そのような印刷機能に加え、例えば、スキャン機能やファックス機能を有する複合機として機能する画像形成装置においても、本発明を適用することが可能である。
【0080】
さらに、上記実施の形態では、回転部としてのフランジ513が第1の刃としてのブレード511と一体に回転する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、本発明では、例えばシャフト512とフランジ513とを固定せずに、1以上のギヤを介してシャフト512の回転をフランジ513に伝達する機構を有するようにしてもよい。このようなギヤ伝達機構を採用することで、より高精度の部分切断パターンをより容易に実現することができる。
【符号の説明】
【0081】
1…画像形成装置、2…筐体、101…媒体供給部、11…保持部、12…カバー、13L,13R…サイドガイド、14…ガイド、15…搬送ローラ、102…媒体搬送部、21〜24…搬送ローラ対、25…カッター、51…回転刃ユニット、51J…回転軸、511…ブレード、51S…エッジ、512…シャフト、513…フランジ、52…揺動刃ユニット、52J…回転軸、521…ブレード、52S…エッジ、522…支持部、523…シャフト、53…外周縁、54,55…保持部材、56…トーションばね、57…留め具、58…ピン、103…画像形成部、30A〜30C…画像形成ユニット、31…感光ドラム、32…帯電ローラ、33…現像ローラ、34…供給ローラ、35…現像ブレード、36…現像剤収容部、37…LEDヘッド、104…転写装置、41…搬送ベルト、42…駆動ローラ、43…従動ローラ、44…転写ローラ、45…当接ローラ、105…現像剤回収装置、106…定着装置、61…定着ローラ、62…加圧ローラ、71,72…排出ローラ、107…排出部、PP…搬送路、H1,H2…孔、U,U1,U2…溝。
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図15A
図15B