特許第6775493号(P6775493)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775493プラスチック材料中でのラジカル生成剤としての有機オキシイミドの使用、プラスチック材料中でのラジカル生成方法、及び前記方法の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775493
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】プラスチック材料中でのラジカル生成剤としての有機オキシイミドの使用、プラスチック材料中でのラジカル生成方法、及び前記方法の使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 8/50 20060101AFI20201019BHJP
   C08F 8/00 20060101ALI20201019BHJP
   C08F 4/32 20060101ALI20201019BHJP
   C08F 2/38 20060101ALI20201019BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20201019BHJP
   C08K 5/32 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   C08F8/50
   C08F8/00
   C08F4/32
   C08F2/38
   C08L101/00
   C08K5/32
【請求項の数】13
【全頁数】41
(21)【出願番号】特願2017-515052(P2017-515052)
(86)(22)【出願日】2015年9月16日
(65)【公表番号】特表2017-527679(P2017-527679A)
(43)【公表日】2017年9月21日
(86)【国際出願番号】EP2015071249
(87)【国際公開番号】WO2016042038
(87)【国際公開日】20160324
【審査請求日】2018年7月20日
(31)【優先権主張番号】102014218811.3
(32)【優先日】2014年9月18日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503306168
【氏名又は名称】フラウンホーファー・ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デア・アンゲヴァンテン・フォルシュング・エー・ファウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プフェンドナー,ルドルフ
(72)【発明者】
【氏名】マズロースキー,マルクス
【審査官】 松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−507116(JP,A)
【文献】 特開2002−131908(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/095568(WO,A1)
【文献】 特開昭57−139130(JP,A)
【文献】 特表2013−512977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 8/00 − 8/50
C08L 1/00 − 101/16
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下に示す式Iの構成要素を少なくとも1つ含む有機オキシイミドの、プラスチック材料におけるラジカル生成剤としての使用であって、
ここで、前記有機オキシイミドは、プラスチック材料と、あるいは少なくとも1種のプラスチック材料を含む成形材料と混合され、活性化され、前記活性化は熱的に又は照射によって行われるものであり、
前記活性化が、前記プラスチック材料を、あるいは前記少なくとも1種のプラスチック材料を含む成形材料を成形する方法の間に行われ、当該成形方法が射出成形又は押出であり、
ここで、前記有機オキシイミドが、
・少なくとも1種の連鎖移動剤、
・以下のa)〜f)より選択される少なくとも1種の多官能性化合物、
a)反復不飽和オリゴマー及びポリマー(ポリブタジエン又はポリイソプレンをベースとするもの)、
b)ジ-及びポリ-ビニル化合物、
c)ジ-及びポリ-アリル化合物、
d)ジ-及びポリ-マレイミド、
e)ジ-及びポリアルコールのジ-及びポリ(メタ)アクリルエステル、及び/又は
f)有機官能シラン
・少なくとも1種のニトロキシルラジカル、
・少なくとも1種の触媒性化合物、及び/又は
・少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤
のうちの少なくとも1つと併用されることを特徴とする、使用。
【請求項2】
前記オキシイミドが、以下からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1に記載の使用:
a)以下の式IIの構成要素を少なくとも1つ含むオキシイミド
(上式にて、R1は、水素、又は置換されていてもよい、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、又はアシル基を示す)、及び
b)以下の式IIIの構成要素を少なくとも1つ含む架橋オキシイミド
(上式にて、R2は、置換されていてもよい、アルキレン-、シクロアルキレン-、アリーレン-、ヘテロアリーレン-、又は架橋アシル基を示す)。
【請求項3】
2が、nが1〜18である−(CH2)n−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−NHCO−、−CO−、及び以下に示す基からなる群より選択されることを特徴とする、請求項2に記載の使用:

(上に示した基に含まれる脂環式又は芳香族環系は、非置換でも、又は一以上のアルキル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよく、
Qは、同じであるか異なるものであり、化学結合、及び、nが1〜18である−(CH2)n−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−NHCO−、−CO−、−O−C(O)−O−の基からなる群より選択され、且つ、
mは、0又は1〜18である)。
【請求項4】
前記有機オキシイミドが、以下の式の1つを有することを特徴とする、請求項2又は3に記載の使用。
(上式にて、R1とR2はそれぞれ、上記の意味を有する)
【請求項5】
1=水素、R1=アルキル基、又はR1=アシル基であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
前記少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤が、N-アルコキシアミン、−C−C−ラジカル形成剤、アゾ基(−N=N−)を有するラジカル形成剤、ヒドラジン基(−NH−HN−)を有するラジカル形成剤、ヒドラゾン基(>C=N−NH−)を有するラジカル形成剤、アジン基(>C=N−N=C<)を有するラジカル形成剤、トリアゼン基(−N=N−N<)を有するラジカル形成剤、ジスルフィド-又はポリスルフィド基(−S−S−)を有するラジカル形成剤、チオール基(−S−H)を有するラジカル形成剤、チウラムスルフィド、ジチオカルバメ−ト、メルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミドからなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
前記少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤が、
a)以下に示す構造式のN-アルコキシアミン
(上式にて、
3は、水素又は、置換されていてもよい、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、ヘテロアリール-又はアシル基を示し、
4は、アルコキシ-、アリールオキシ-、シクロアルコキシ-、アルアルコキシ-又はアシルオキシ基を示し、
Zは、水素又は、置換されていてもよい、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、ヘテロアリール-又はアシル基を示し、ここで、2つの基Zは閉じた環を形成することができ、この環はエステル-、エーテル-、アミン-、アミド-、カルボキシ-又はウレタン基によって置換されていてもよい)
b)以下に示す構造式のアゾ化合物
(上式にて、
5は、アルキル-、シクロアルキル-又はアリール基を意味し、
6は、同じであるか異なるものであり、線状又は分枝したアルキル基を意味し、
7は、同じであるか異なるものであり、水素又は、線状又は分枝したアルキル基を意味し、及び、
8は、同じであるか異なるものであり、アルキル-、アルコキシ-、アリールオキシ-、シクロアルキルオキシ-、アルアルコキシ-又はアシルオキシ基を意味する)
c)以下に示す構造式のジクミル
(上式にて、R7は、上記の意味を有する)
d)及び/又は、以下に示す構造式のポリクミル
(上式にて、R7は、上記の意味を有し、且つ、2<n<100である)
からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
前記プラスチック材料が、熱可塑性、エラストマー性又は熱硬化性のポリマーであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の使用。
【請求項9】
前記有機オキシイミドが、前記プラスチック材料に対して、0.01〜30重量%で使用されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の使用。
【請求項10】
前記ラジカルの生成が、プラスチック材料の改質のため、プラスチック材料の分子量増加のため、プラスチック材料の分岐又は架橋のため、プラスチック材料の分子量低下のため、プラスチック材料の分子量分布に影響を与えるため、プラスチック材料への不飽和モノマーのグラフティングのために使用される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
プラスチック材料中でラジカルを生成するための方法であって、以下に示す式Iの構成要素を少なくとも1つ含む少なくとも1種の有機オキシイミドが、
プラスチック材料又は少なくとも1種のプラスチック材料を含む成形材料と混合され、活性化され、前記活性化は熱的に又は照射によって行われるものであり、
前記活性化が、前記プラスチック材料を、あるいは前記少なくとも1種のプラスチック材料を含む成形材料を成形する方法の間に行われ、当該成形方法が射出成形又は押出であり、
ここで、前記有機オキシイミドが、
・少なくとも1種の連鎖移動剤、
・以下のa)〜f)より選択される少なくとも1種の多官能性化合物、
a)反復不飽和オリゴマー及びポリマー(ポリブタジエン又はポリイソプレンをベースとするもの)、
b)ジ-及びポリ-ビニル化合物、
c)ジ-及びポリ-アリル化合物、
d)ジ-及びポリ-マレイミド、
e)ジ-及びポリアルコールのジ-及びポリ(メタ)アクリルエステル、及び/又は
f)有機官能シラン
・少なくとも1種のニトロキシルラジカル、
・少なくとも1種の触媒性化合物、及び/又は
・少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤
のうちの少なくとも1つと併用されることを特徴とする、方法。
【請求項12】
プラスチック材料の改質のため、プラスチック材料の分子量増加のため、プラスチック材料の分岐又は架橋のため、プラスチック材料の分子量低下のため、プラスチック材料の分子量分布に影響を与えるため、又は、プラスチック材料への不飽和モノマーのグラフティングのための、請求項11に記載の方法の使用。
【請求項13】
ポリプロピレンの分子量低下のため、又はポリエチレンの架橋のための、請求項12に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック材料中でのラジカル生成剤としての有機オキシイミドの使用に関する。さらに、本発明は、プラスチック材料中でのラジカルの生成方法、特に、プラスチック材料あるいはポリマーの分解-、架橋-及びグラフト反応のための方法、及びこの方法の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
様々なポリマー種の、特にポリオレフィン種(種々の分子量、溶融粘度、分子量分布、密度を有するもの)の制御製造は、一方では合成の間に、しかしその後のステップにおいても、例えば押出あるいは射出成形による加工の間にも行われることができる。確立した方法は、ラジカル形成剤の添加であり、これはそれに応じて、加工温度でラジカル反応を開始し、その後、ポリマー構造に応じてポリマーの分解、すなわち、分子量の減少を、又はポリマーの増加を、すなわち、分子量の増加から、分岐及び架橋(クロスリンク)までを、もたらす。
【0003】
商業上重要な方法は、より小さい分子量及びより狭い分子量分布を有する生成物を形成する、ポリプロピレンの分解(いわゆる、ビスブレーキング)である(いわゆる、「制御レオロジーPP」又は「CR(controlled rheology)-PP」)。その結果生じる生成物は、例えば、ポリプロピレン繊維の製造(「メルトブロー」又は「スパンボンド」法)に使用され、又は、易流動性の薄肉射出成形品(薄肉射出成形)のために使用される。この方法のために使用される標準的なラジカル生成剤は、有機過酸化物である(例えば、D. Munteanu in H. Zweifel, Plastics Additives Handbook, Munich 2001, p. 725 - 811参照)。有機過酸化物は、しかしながら、ハンドリングの際に、大規模な安全装置を必要とし、望ましくない二次反応及び過酸化物の分解生成物をもたらし、これらはポリマーの特性、例えば長期間安定性に悪い影響を与えうる。水性の過酸化水素の使用により改良が見られるが(WO 2012/000022)、技術的安全性に関してそのハンドリングは同様に挑戦的であり、且つ、一般に入手可能な加工装置では実施できない。ポリプロピレン分解方法における、ラジカル生成剤の他の既知の代替案は、ヒドロキシピペリジンエステル(WO 0190113)、非対称型アゾ化合物(WO 2006/106059)、又はイミノキシトリアジン(WO 2014/064064)である。これらの化合物は、しかしながら、合成で入手困難な場合が多いため、それらは商業的に重要ではない。
【0004】
さらなる工業的に主要なプロセスは、ラジカル形成剤を用いたポリエチレン(例えば、LDPE、LLDPE,MDPE)の架橋である。過酸化物の添加を用いるこれらの方法は、パイプ及びケーブルの製造の際によく使用される。さらに、前述した安全面が考慮されるべきことは、再び同じであり、制御できない二次反応が望ましくないゲル形成及び加工上の問題を引き起こす。
【0005】
さらなる工業的に重要なプロセスは、有機過酸化物の存在下での、既存のポリマー鎖上へのモノマー又は不飽和オリゴマーのグラフティング(grafting)である。これらのプロセスは、とりわけ、無水マレイン酸でグラフトされた又はアクリル酸でグラフトされたポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリオレフィン-コ-及びターポリマー、及び、無水マレイン酸でグラフトされたスチレン-ブタジエン又はスチレン-ブタジエン-スチレン-ブロックコポリマー、及びその水素化二次生成物の製造のために重要である。ここで、過酸化物の比較的低い分解温度の結果として、分解、ゲル形成及び/又は変色などの望ましくない二次反応が生じうる。
【0006】
それゆえ、今なお、それによって開始されるラジカルプロセスに関する向上した制御性、調節可能な開始温度、高いプロセス安全性、及びシンプルな合成による入手可能性を有し、さらに押出し機のような一般的な加工機への添加剤として使用できるラジカル生成剤に対する需要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、それゆえ、前述した問題を回避できる、プラスチック材料のためのさらなるラジカル生成剤を示すことである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1の特徴を有する、プラスチック材料中でのラジカル生成剤としての有機オキシイミドの使用によって、請求項14の特徴を有するプラスチック材料中でのラジカルの生成方法によって、及び、請求項17の特徴を有するこの方法の使用目的によって、達成される。残りの独立請求項は、有利な発展形態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、プラスチック材料における、ラジカル生成剤としての有機オキシイミドの使用に関する。本発明によれば、以下に示す式Iの構成要素を少なくとも1つ含む有機オキシイミドの使用が、プラスチック材料中でラジカル生成剤として適切であることが分かる。
【化1】
【0010】
式Iによって、前記有機オキシイミドに、上に示す構成要素が含まれることが理解されるべきである。本発明によって使用されるオキシイミドは、イソシアヌレート又はそれから派生した化合物あるいは化合物種と同義と見なされるべきではない。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、特に、以下の式IIの構成要素を少なくとも1つ含むオキシイミドが、プラスチック材料のためのラジカル生成剤として使用される。
【化2】
(上式にて、R1は、水素、又は置換されていてもよい、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、ヘテロアリール-、又はアシル基を示す)
【0012】
前述の好ましい変異体に代えて、又はそれと組み合わせて、同様に、以下の式IIIの構成要素を少なくとも1つ含む架橋オキシイミドも使用される。
【化3】
(上式にて、R2は、置換されていてもよい、アルキレン-、シクロアルキレン-、アリーレン-、ヘテロアリーレン-、又は架橋アシル基を示す)
【0013】
本発明によって使用されるオキシイミドは、ハロゲンフリーであること、すなわち、対応する化合物がハロゲン原子を含んでいないことが、同様に好ましい。
【0014】
好ましい変異体によれば、R2が、nが1〜18である−(CH2)n−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−NHCO−、−CO−、−O−C(O)−O−、及び以下に示す基からなる群より選択され、
【化4】
ここで、
上に示した基に含まれる脂環式又は芳香族環系は、非置換でも、又は一以上のアルキル基及び/又はアルコキシ基で置換されていてもよく、
Qは、同じであるか異なるものであり、化学結合、及び、nが1〜18である−(CH2)n−、−CH(CH3)−、−C(CH3)2−、−O−、−S−、−SO2−、−NHCO−、−O−C(O)−O−、−CO−の基、からなる群より選択され、
mは、0又は1〜18である。
【0015】
特に好ましくは、基R2は、以下に示す構成要素によって表され、ここで、Qは上記の意味を有する:
【化5】
【0016】
特に、基R2は、以下の構成要素によって表される:
【化6】
【0017】
特に好ましい実施形態によれば、本発明のこのような変異体において、有機オキシイミドは以下の構造式の1つを有する:
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
(上式にて、R1とR2はそれぞれ、上記の意味を有し、R1とR1あるいはR2とR2は同じ意味を有する)
【0018】
特に好ましい基R1は、水素、アルキル-又はアシル基である。
【0019】
プラスチック材料中でのラジカル生成剤として、特に、以下に示す化合物が適切である。
【化11】
(上式にて、R2は上記の意味を有する)
【0020】
適切なラジカル生成剤の選択は、反応及びそれぞれの加工方法のために十分な範囲において、それぞれのポリマーの加工温度で、ラジカル形成が生じるように、行われる。ラジカル形成が生じる温度は、例えばDSC(示差走査熱量測定)によって測定できる。選択のためのさらなる判断基準は、反応生成物の形成であり、それが例えば揮発性であれば、容易に生成物から除去することができ、又は高分子であれば、生成物中に不利益なく残存することができる。プラスチック材料加工方法のための、それぞれの加工工程及び温度は、当業者には公知である。しかしながら、プラスチック材料加工工程及び、それに関する温度は、技術文献、例えば、H.Domininghaus, P.Elsner, P. Eyerer, T.Hirth, kunststoffe(Plastic Materials), 8th edition, Springer 2012等から推定することもできる。特に分解方法のために、連鎖移動剤(電荷移動剤)のさらなる添加が有利となりうる。考えられる連鎖移動剤は、チオール、ジスルフィド、リン酸エステル、ホスフィン、有機ハロゲン化物(例えば、ヨウ化物、臭化物、塩化物)、酸エステル、アルデヒド又は三級アミンのクラスから選択することができる。好ましくは、前記連鎖移動剤は、それぞれのポリマーの加工温度より高い沸点を有する。特に好ましいのは、チオールやジスルフィドのような硫黄誘導体である。適切な連鎖移動剤は、例えば次のものである:
【化12】
【化13】
【0021】
特に、分子量増加反応のため、及び架橋反応のために、ラジカル生成剤に及び前記ポリマーに加えて、さらなる多官能性化合物を添加することが有利となり得る。適切な化合物には、以下の種類が含まれる
a)反復不飽和オリゴマー及びポリマー(ポリブタジエン又はポリイソプレンをベースとするもの)、
b)ジ-及びポリ-ビニル化合物、例えば、ジビニル-ベンゼン、
c)ジ-及びポリ-アリル化合物、例えば、ポリアリルエーテル、又はポリアリルエステル、トリスアリルイソシアヌレート、トリスアリルシアヌレート、ジアリル-ビスフェノールA、
d)ジ-及びポリ-マレイミド、
e)ジ-及びポリアルコールのジ-及びポリ(メタ)アクリルエステル、及び/又は
f)有機官能シラン。
【0022】
有機官能シランの代表的な例は、次のものである:
【化14】
【0023】
ジ-及びポリマレイミドの代表的な例は、次のものである:
【化15】
【0024】
ジ-及びポリオールのジ-及びポリ(メタ)アクリルエステルの代表的な例は、次のものである:
【化16】
【化17】
【0025】
アリル化合物の代表的な例は、次のものである:
【化18】
【0026】
本発明に係るラジカル形成剤で開始されるグラフト反応は、不飽和モノマーの存在下で実施され、当該不飽和モノマーは、反応によって、化学結合にてポリマー骨格に結合される。適切な不飽和モノマーは、特に無水マレイン酸、無水イタコン酸、N-アルキルマレイミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、例えば、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
【0027】
さらに、さらなるニトロキシルラジカルの存在下で架橋反応又はグラフト反応を行うことが、有利となりうる。ニトロキシルラジカルの添加によって、架橋反応又はグラフト反応を改変することができ、すなわち、反応過程を良好にコントロールでき、当該過程の二次反応をより少なくすることができる。適切なニトロキシルラジカルは、例えば次のものである:
【化19】
上式にて、R1〜R10は、置換されていてもよい、アルキル基、フェニル、ヒドロキシル、アルコキシ又はエステル基を示し、例えば、TEMPO、ヒドロキシ-TEMPO、又はオキソ-TEMPOの名称で市場で入手可能である。
【0028】
特に好ましいのは、以下のニトロキシルラジカルである:
【化20】
【0029】
さらに、本発明に係るオキシイミドの分解-、架橋-又はグラフト-反応は、触媒作用を有する化合物のさらなる添加とともに行われることで有利となり得る。このような化合物は、例えば、遷移金属(例えば、銅、マンガン又は鉄)の金属塩、例えば、酢酸塩の形態(例えば、酢酸Cu(I))であってもよい。
【0030】
さらに、本発明に係るラジカル形成剤と、少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤(例えば、異なる種類のラジカル形成剤及び/又は分解温度の異なるラジカル形成剤)を併用することが有利になり得る。ラジカルが形成される温度は、それぞれのポリマーの加工温度でその形成が生じるように選択される。異なる分解温度を有するラジカル形成剤の組み合わせは、例えば、低い温度ではプレ架橋(pre-crosslinking)を、及び高い温度ではポリエチレンのさらなる架橋を生じさせることができるため、多段階プロセスの際に有利である。
【0031】
本発明の意味においてラジカル形成剤は、熱-及び光-誘導された開裂によりラジカルを生じさせることができる化合物である。ここに示されている用途に適したラジカル形成剤は、分解、架橋又はグラフトが行われるプラスチック材料-又はコーティング加工工程のために、反応に十分な量のラジカルを産出するものである。
【0032】
前記のさらなるラジカル形成剤は、好ましくは、過酸化物、N-アルコキシアミン、−C−C−ラジカル形成剤、アゾ基(−N=N−)を有するラジカル形成剤、ヒドラジン基(−NH−HN−)を有するラジカル形成剤、ヒドラゾン基(>C=N−NH−)を有するラジカル形成剤、アジン基(>C=N−N=C<)を有するラジカル形成剤、トリアゼン基(−N=N−N<)を有するラジカル形成剤、及びイミノキシトリアジンからなる群より選ばれる。
【0033】
適切なアゾ化合物の製造は、例えば、M.Aubert等, Macromol.Sci.Eng. 2007, 292, 707-714又はWO 2008101845に記載されており、ヒドラゾン及びアジンの製造は、M.Aubert等, Pol.Adv.Technol. 2011, 22, 1529-1538に記載されており、トリアゼンの製造は、W.Pawelec等, Pol.Degr.Stab. 2012, 97, 948-954に記載されている。イミノキシトリアジンの合成は、WO 2014/064064に記載されている。
【0034】
過酸化物は、市場で入手可能な化合物であり、例えば、United Initiatorsから入手できる。適切な過酸化物は、例えば次のものである:
2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルぺルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルぺルオキシ)ヘキシン-3,3,6,6,9,9-ペンタメチル-3-(エチルアセテート)-1,2,4,5-テトラオキシシクロノナン、t-ブチルヒドロペルオキシド、過酸化水素、ジクミルペルオキシド、t-ブチルぺルオキシイソプロピルカーボネート、ジ-t-ブチルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、ジベンゾイルジペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、t-ブチルヒドロキシエチルペルオキシド、ジ-t-アミルペルオキシド、2,5-ジメチルヘキセン-2,5-ジペルイソノナノエート、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルぺルオキシジカーボネート、tert-アミルペルネオデカノエート、tert-ブチル-ペルネオデカノエート、tert-ブチルペルピバレート、tert-アミルペルピバレート、ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2-メチルベンゾイル)ペルオキシド,ジスクシノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert-ブチルペル-2-エチルヘキサノエート、ビス(4-クロロベンゾイル)ペルオキシド、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチルペルマレエート、1,1-ビス(tert-ブチルぺルオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルペルヒドロペルオキシド。
【0035】
前記少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤は、特に好ましくは、以下のa)〜d)からなる群より選択される:
【0036】
a)以下に示す構造式のN-アルコキシアミン
【化21】
上式にて、
3は、水素又は、置換されていてもよい、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、ヘテロアリール-又はアシル基を示し、特に、C1〜C4アルキル基であり、
4は、アルコキシ-、アリールオキシ-、シクロアルコキシ-、アルアルコキシ(aralkoxy)-又はアシルオキシ基を示し、
Zは、水素又は、置換されていてもよい、アルキル-、シクロアルキル-、アリール-、ヘテロアリール-又はアシル基を示し、ここで、2つの基Zは閉じた環を形成することができ、この環はエステル-、エーテル-、アミン-、アミド-、カルボキシ-又はウレタン基によって置換されていてもよい、
【0037】
b)以下に示す構造式のアゾ化合物
【化22】
上式にて、
5は、アルキル-、シクロアルキル-又はアリール基を意味し、
6は、同じであるか異なるものであり、線状又は分枝したアルキル基を意味し、
7は、同じであるか異なるものであり、水素又は、線状又は分枝したアルキル基を意味し、及び、
8は、同じであるか異なるものであり、アルキル-、アルコキシ-、アリールオキシ-、シクロアルキルオキシ-、アルアルコキシ-又はアシルオキシ基を意味する、
【0038】
c)以下に示す構造式のジクミル
【化23】
上式にて、R7は、上記の意味を有し、好ましくはメチルである、
【0039】
d)及び/又は、以下に示す構造式のポリクミル
【化24】
上式にて、R7は、上記の意味を有し、好ましくはメチルであり、且つ、2<n<100である。
【0040】
前記構造の前述のN-アルコキシアミンの典型的な例は、以下のものである。
【0041】
1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-オクタデシルアミノピペリジン;ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ-S-トリアジン;ビス(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート;2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-クロロ-S-トリアジン;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-4-オクタデカノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン;ビス(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート;ビス(1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)アジペート;2,4-ビス{N-[1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロポキシ)-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル]-N-ブチルアミノ}-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-S-トリアジン);4-ピペリジノール、2,2,6,6-テトラメチル-1-(ウンデシルオキシ)-4,4'-カーボネート;2,4-ビス[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ブチルアミノ]-6-クロロ-S-トリアジンとN,N'-ビス(3-アミノプロピルエチレンジアミン)との反応生成物;4,4'-ヘキサメチレン-ビス(アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン)と2,4-ジクロロ-6-[(1-シクロヘキシルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-イル)ブチルアミノ]-S-トリアジンの縮合生成物であるオリゴマー化合物で、2-クロロ-4,6-ビス(ジブチルアミノ)-S-トリアジンにより末端位置が閉じられているもの;脂肪族ヒドロキシルアミン、例えば、ジステアリルヒドロキシルアミン;及び、下記式の化合物(当該式において、n=1−15)。
【化25】
【0042】
上記の化合物は、一部は市販の製品であり、以下の商品名で市販されている。BASF SEからのFLAMESTAB NOR 116(登録商標), TINUVIN NOR 371(登録商標), IRGATEC CR 76(登録商標)、ClariantからのHostavin NOW(登録商標)、又はAdekaからのADK Stab LA 81(登録商標)。ジクミル及びポリクミルは、例えばUnited Initiatorsから入手可能な市販製品である。
【0043】
好ましくは、前記プラスチック材料は、一般的な添加剤を含むことができ、例えば、UV吸収剤、光安定剤、安定剤、ヒドロキシルアミン、ベンゾフラノン、難燃剤、核生成剤、衝撃強度増加剤、可塑剤、潤滑剤、レオロジー改変剤、加工助剤、顔料、着色剤、蛍光増白剤、抗菌活性物質、帯電防止剤、スリップ剤、ブロッキング防止剤、カップリング剤、鎖延長剤、分散剤、相溶剤、酸素捕集剤、酸捕集剤、マーキング剤又は防曇剤からなる群より選択される添加剤が使用される。好ましい実施形態では、前記組成物は特に、酸捕集剤、例えば長鎖の酸の塩(例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、乳酸カルシウム、カルシウムステアロイル-2-ラクチレート)をベースとするもの又はヒドロタルサイトをベースとするもの、及び/又は、フェノール性酸化防止剤及びホスファイトのグループからの安定剤、及び/又は、ヒンダードアミン(HALS)及び/又は分散剤のグループからの光安定剤を含む。
【0044】
適切な光安定剤は、例えば、次のものをベースとする化合物である:2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-ヒドロキシベンゾフェノン、安息香酸のエステル、アクリレート、オキサミド、及び2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0045】
適切な2-(2’-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾールは、例えば、次のものである: 2-(2‘-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘,5‘-ジ-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(5‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2‘-ヒドロキシ-5‘-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘,5‘-ジ-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシ-5‘-メチルフェニル-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3‘-sec-ブチル-5‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2‘-ヒドロキシ-4‘-オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘,5‘-ジ-tert-アミル-2‘-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘,5‘-ビス(α,α-ジメチルベンジル)-2‘-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシ-5‘-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-5‘-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2‘-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシ-5‘-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシ-5‘-(2-メトキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシ-5‘-(2-オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-5‘-[2-(2-エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル]-2‘-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘-ドデシル-2‘-ヒドロキシ-5‘-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3‘-tert-ブチル-2‘-ヒドロキシ-5‘-(2-イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2‘-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-ベンゾトリアゾール-2-イルフェノール];2-[3’-tert-ブチル-5’-(2-メトキシカルボニルエチル)-2’-ヒドロキシフェニル]-2H-ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;[R-CH2CH2-COO-CH2CH2-]2、式中、R=3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシ-5’-2H-ベンゾトリアゾール-2-イルフェニル、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(α,α-ジメチルベンジル)-5’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール、2-[2’-ヒドロキシ-3’-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-5’-(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]ベンゾトリアゾール。
【0046】
適切な2-ヒドロキシベンゾフェノンは、例えば、2-ヒドロキシベンゾフェノンの4-ヒドロキシ-、4-メトキシ-、4-オクチルオキシ-、4-デシルオキシ-、4-ドデシルオキシ-、4-ベンジルオキシ-、4,2’,4’-トリヒドロキシ-、及び2’-ヒドロキシ-4,4’-ジメチオキシ-誘導体である。
【0047】
適切なアクリレートは、例えば、エチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、イソオクチル-α-シアノ-β,β-ジフェニルアクリレート、メチル-α-カルボメトキシシンナメート、メチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、ブチル-α-シアノ-β-メチル-p-メトキシシンナメート、メチル-α-カルボメトキシ-p-メトキシシンナメート、及びN-(β-カルボメトキシ-β-シアノビニル)-2-メチルインドリンである。
【0048】
適切な安息香酸のエステルは、例えば、4-tert-ブチルフェニルサリチレート、フェニルサリチレート、オクチルフェニルサリチレート、ジベンゾイルレゾルシノール、ビス(4-tert-ブチルベンゾイル)レゾルシノール、ベンゾイルレゾルシノール、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、オクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-メチル-4,6-ジ-tert-ブチルフェニル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートである。
【0049】
適切なオキサミドは、例えば、4,4’-ジオクチルオキシオキサニリド、2,2’-ジエトキシオキサニリド、2,2’-ジオクチルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2,2’-ジドデシルオキシ-5,5’-ジ-tert-ブトキサニリド、2-エトキシ-2’-エチルオキサニリド、N,N’-ビス(3-ジメチルアミノプロピル)オキサミド、2-エトキシ-5-tert-ブチル-2’-エトキサニリド、及びこれらの2-エトキシ-2’-エチル-5,4’-ジ-tert-ブトキサニリドとの混合物、o-及びp-メトキシ-二置換オキサニリドの混合物、及びo-及びp-エトキシ-二置換オキサニリドの混合物である。
【0050】
適切な2-(2-ヒドロキシフェニル)-1,3,5-トリアジンは、例えば、次のものである:2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-4-ビス(2-ヒドロキシ-4-プロピルオキシフェニル)-6-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-4,6-ビス(4-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-トリデシルオキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ブチルオキシプロポキシ)フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-オクチルオキシプロピルオキシ)-フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-ヒドロキシ-4-(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロポキシ)-フェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ)フェニル-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-ヒドロキシ-4-(3-ブトキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]-1,3,5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシフェニル)-4-(4-メトキシフェニル)-6-フェニル-1,3,5-トリアジン、2-{2-ヒドロキシ-4-[3-(2-エチルヘキシル-1-オキシ)-2-ヒドロキシプロピルオキシ]フェニル}-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0051】
適切な金属不活性化剤は、例えば、次のものである:N,N’-ジフェニルオキサミド、N-サリチラル-N’-サリチロイルヒドラジン、N,N’-ビス(サリチロイル)ヒドラジン、N,N’-ビス(3,5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、3-サリチロイルアミノ-1,2,4-トリアゾール、ビス(ベンジリデン)オキサリルジヒドラジド、オキサニリド、イソフタロイルジヒドラジド、セバコイルビスフェニルヒドラジド、N,N’-ジアセチルアジポイルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチロイル)オキシリルジヒドラジド、N,N’-ビス(サリチロイル)チオプロピオニルジヒドラジド。
【0052】
特に、次の構造のものが、金属不活性化剤として適切である:
【化26】
【0053】
適切なフェノール系酸化防止剤は、例えば、次のものである:
アルキル化モノフェノール、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール、2,6-ジシクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチルシクロヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジオクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、線状又は分岐したノニルフェノール、例えば、2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルウンデカ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルヘプタデカ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデカ-1’-イル)フェノール、及びこれらの混合物;
アルキルチオメチルフェノール、例えば、2,4-ジオクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジオクチルチオメチル-6-エチルフェノール、2,6-ジドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール;
ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシフェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシルフェニル)アジペート;
トコフェロール、例えば、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール、及びこれらの混合物(ビタミンE);
ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば、2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)、4,4’-ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド;
アルキリデンビスフェノール、例えば、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(α-メチルシクロヘキシル)フェノール]、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、2,2’-メチレンビス[6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール]、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレンビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコール-ビス[3,3-ビス(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチレート]、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス[2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルベンジル)6-tert-ブチル-4-メチルフェニル]テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン、1,1,5,5-テトラ(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ペンタン;
O-、N-及びS-ベンジル化合物、例えば、3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシジベンジルエーテル、オクタデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル-4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)スルフィド、イソオクチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルメルカプトアセテート;
ヒドロキシベンジル化マロネート、例えば、ジオクタデシル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル-2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)マロネート、ジドデシルメルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、ビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート;
芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール;
トリアジン化合物、例えば、2,4-ビス(オクチルメルカプト)-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ) -1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート;
ベンジルホスホネート、例えば、ジメチル-2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジエチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル-5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジルホスホネート、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩;
アシルアミノフェノール、例えば、4-ヒドロキシラウラニリド、4-ヒドロキシステアラニリド、オクチル-N-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバメート;
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価のアルコールとのエステル、アルコールは例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである;
β-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価のアルコールとのエステル、アルコールは例えば、メタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン、3,9-ビス[2-{3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンである;
β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価のアルコールとのエステル、アルコールは例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである;
(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)酢酸と一価又は多価のアルコールとのエステル、アルコールは例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンである;
β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えば、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミド、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジド、N,N’-ビス[2-(3-[3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル]プロピオニルオキシ)エチル]オキサミド(Uniroyal社によって上市されているNaugard(登録商標)XL-1);
アスコルビン酸(ビタミンC)。
【0054】
特に好ましいフェノール系酸化防止剤は次のものである:
オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、N,N’-ヘキサン-1,6-ジイル-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アミド。
【0055】
適切なホスファイト(ホスフィットとも称される:phosphite)/ホスホナイト(ホスホニットとも称される:phosphonite)は、例えば、次のものである:
トリフェニルホスファイト、ジフェニルアルキルホスファイト、フェニルジアルキルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-クミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジイソデシルオキシペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4,6-トリス(tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、トリステアリルソルビトールトリホスファイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、6-イソオクチルオキシ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12H-ジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)メチルホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)エチルホスファイト、6-フルオロ-2,4,8,10-テトラ-tert-ブチル-12-メチルジベンゾ[d,g]-1,3,2-ジオキサホスホシン、2,2’,2’’-ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト]、2-エチルヘキシル(3,3’,5,5’-テトラ-tert-ブチル-1,1’-ビフェニル-2,2’-ジイル)ホスファイト、5-ブチル-5-エチル-2-(2,4,6-トリ-tert-ブチルフェノキシ)-1,3,2-ジオキサホスフィラン。
【0056】
特に好ましいホスファイト/ホスホナイトは次のものである:
【化27】
【化28】
【化29】
【0057】
さらに適切な安定剤は、アミン系酸化防止剤である。適切なアミン系酸化防止剤は、例えば、次のものである:
N,N’-ジ-イソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチルヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(2-ナフチル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル) -N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルファモイル)ジフェニルアミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン(例えば、p,p’-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン)、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ビス(4-メトキシフェニル)アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノメチルフェノール、2,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,2-ビス[(2-メチルフェニル)アミノ]エタン、1,2-ビス(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ビス[4-(1’,3’-ジメチルブチル)フェニル]アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノ-及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノ-及びジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノ-及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノ-及びジアルキル化tert-オクチルフェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N’,N’-テトラフェニル-1,4-ジアミノブト-2-エン、及びこれらの混合物又は組み合わせ。
【0058】
さらなる適切なアミン系酸化防止剤は、ヒドロキシルアミン、又はN-オキシド(ニトロン)であり、例えば、N,N-ジアルキルヒドロキシルアミン、N,N-ジベンジルヒドロキシルアミン、N,N-ジラウリルヒドロキシルアミン、N,N-ジステアリルヒドロキシルアミン、N-ベンジル-α-フェニルニトロン、N-オクタデシル-α-ヘキサデシルニトロン、
及び次の式のGenox EP(Addivant)である:
【化30】
【0059】
さらなる適切な安定剤は、チオ相乗剤である。適切なチオ相乗剤は、例えば、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルジプロピオネート、又は次の式に示す化合物である:
【化31】
【0060】
特にポリアミド用のさらなる適切な安定剤は、銅塩であり、例えば、ヨウ化銅(I)、臭化銅(I)、又は銅錯体、例えば、トリフェニルホスフィン-銅(I)錯体である。
【0061】
適切なヒンダードアミンは、例えば、次のものである:
1,1-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)サクシネート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1-オクチルオキシ-2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)-n-ブチル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルマロネート、1-(2-ヒドロキシエチル)-2,2,6,6-テトラメチル-4-ヒドロキシピペリジンとコハク酸の縮合生成物、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-tert-オクチルアミノ-2,6-ジ-クロロ-1,3,5-トリアジンの線状又は環状縮合生成物、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ニトリロトリアセテート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,1’-(1,2-エタンジイル)-ビス(3,3,5,5-テトラメチルピペラジノン)、4-ベンゾイル-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ステアリルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ヘキサメチレンジアミンと4-モルホリノ-2,6-ジクロロ-1,3,5-トリアジンの線状又は環状縮合生成物、7,7,9,9-テトラメチル-2-シクロウンデシル-1-オキサ-3,8-ジアザ-4-オキソスピロ-[4,5]デカンとエピクロロヒドリンの反応生成物。
【0062】
適切な難燃剤は、例えば、次のものである:
a)無機の難燃剤、例えば、Al(OH)3,Mg(OH)2,AlO(OH),MgCO3,層状シリケート、例えば、モンモリロナイト又はセピオライト、非改質の又は有機的に改質した複塩、例えば、Mg-Alシリケート、POSS(ポリヘドラルオリゴマー性シルセスキオキサン)化合物、ハンタイト、ヒドロマグネサイト又はハロイサイト及び、Sb23,Sb25,MoO3,スズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、
b)窒素含有難燃剤、例えば、メラミン、メレム(melem)、メラム(melam)、メロン(melon)、メラミン誘導体、メラミン縮合生成物又はメラミン塩、ベンゾグアナミン、ポリイソシアヌレート、アラントイン、(ポリ)ホスファセン、特にメラミンシアヌレート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、メラミンポリホスフェート、メラミンメタンホスホネート、メラミン-金属ホスフェート、例えば、メラミンアルミニウムホスフェート、メラミン亜鉛ホスフェート、メラミンマグネシウムホスフェート、及び対応するピロホスフェート及びポリホスフェート、エチレンジアミン-メタンホスホネート、ポリ-[2,4-(ピペラジン-1,4-イル)-6-(モルホリン-4-イル)-1,3,5-トリアジン]、アンモニウムポリホスフェート、メラミンボレート、メラミンヒドロブロミド、
c)リン含有難燃剤、例えば、無機又は有機ホスホネート、例えば、アルミニウムホスホネート、ホスホネートエステル、メタンホスホン酸のオリゴマー及びポリマー誘導体、赤リン、ホスフェート、例えば、レゾルシンジホスフェート、ビスフェノール-A-ジホスフェート及びそれらのオリゴマー、トリフェニルホスフェート、エチレンジアミンジホスフェート、ホスフィネート(ホスフィン酸塩)、例えば、次亜リン酸及びその誘導体の塩、例えばアルキルホスフィネート塩、例えばジエチルホスフィネートアルミニウム又はジエチルホスフィネート亜鉛又はアルミニウムホスフィネート、アルミニウムホスファイト、アルミニウムホスフェート、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスホリルフェナントレン-10-オキシド(DOPO)及びこれらの置換化合物、
d)塩素及び臭素をベースとするハロゲン含有難燃剤、例えば、ポリ臭素化ジフェニルオキシド、例えば、デカブロモジフェニルオキシド、トリス(3-ブロモ-2,2-ビス(ブロモメチル)プロピルホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、テトラブロモフタル酸、1,2-ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、ヘキサブロモシクロドデカン、臭素化ジフェニルエタン、トリス-(2,3-ジブロモプロピル)イソシアヌレート、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリブタジエン又はポリスチレン-臭素化ポリブタジエン-コポリマー、臭素化エポキシ樹脂、ポリペンタブロモベンジルアクリレート、臭素化ポリフェニレンエーテル、任意で、Sb23及び/又はSb25との組み合わせ、
e)ホウ酸塩、例えば、ホウ酸亜鉛又はホウ酸カルシウムで、これらは、シリカ等のキャリア材料上にあってもよい、
f)硫黄含有化合物、例えば、元素としての硫黄、ジスルフィド及びポリスルフィド、チウラムスルフィド、ジチオカルバメート、メルカプトベンゾチアゾール及びスルフェンアミド、
g)アンチドリップ(防滴)剤、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、
h)シリコン含有化合物、例えば、ポリフェニルシロキサン、
i)炭素改変物、例えば、カーボンナノチューブ(CNT)又はグラフェン
及び、それらの組み合わせ又は混合物。
【0063】
適切な分散剤は、例えば、次のものである:
ポリアクリレート、例えば、長鎖の側基を有するコポリマー、ポリアクリレートブロックコポリマー、アルキルアミド、例えば、N,N’-1,2-エタンジイルビスオクタデカンアミドソルビタンエステル、例えば、モノステアリルソルビタンエステル、チタネート及びジルコネート、官能基を有する反応性コポリマー、例えば、ポリプロピレン-コ-アクリル酸、ポリプロピレン-コ-無水マレイン酸、ポリエチレン-コ-グリシジルメタクリレート、ポリスチレン-alt-無水マレイン酸-ポリシロキサン、例えば、ジメチルシランジオール-エチレンオキシドコポリマー、ポリフェニルシロキサンコポリマー、両親媒性コポリマー、例えば、ポリエチレン-ブロック-ポリエチレンオキシド、デンドリマー、例えば、ヒドロキシル基含有デンドリマー。
【0064】
適切な核生成剤は、例えば、次のものである:
タルク、一官能性及び多官能性のカルボン酸(例えば、安息香酸、コハク酸、アジピン酸)のアルカリ塩又はアルカリ土類塩、例えば、安息香酸ナトリウム、亜鉛グリセロレート、アルミニウムヒドロキシ-ビス(4-tert-ブチル)ベンゾエート、ベンジリデンソルビトール、例えば、1,3:2,4-ビス(ベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4-ビス(4-メチルベンジリデン)ソルビトール、2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、及びトリスアミド、例えば、次の構造に従うもの。
【化32】
【0065】
適切なフィラー及び強化材は、例えば合成物質又は天然物質であり、例えば、炭酸カルシウム、シリケート、ガラス繊維、ガラス球(中実又は中空)、タルク、マイカ、カオリン、硫酸バリウム、金属酸化物及び金属水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、天然物のおがくず又は繊維、例えば、セルロース、合成繊維又は金属繊維である。さらなる適切なフィラーは、ヒドロタルサイト又はゼオライト又は層状シリケート、例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、マイカ、ヘクトライト、サポナイト、バーミキュライト、レディカイト(ledikite)、マガディアイト(magadiite)、イライト、カオリナイト、ウォラストナイト、アタパルガイトである。
【0066】
ポリエステルやポリアミド等の重縮合ポリマーの線状の分子量増加のために適切な鎖延長剤は、例えば、ジエポキシド、ビス-オキサゾリン、ビス-オキサゾロン、ビス-オキサジン、ジイソシアネート、ジアンヒドリド、ビス-アシルラクタム、ビス-マレイミド、ジシアネート、カルボジイミドである。さらなる適切な鎖延長剤は、ポリマー化合物、例えば、ポリスチレン-ポリアクリレート-ポリグリシジル(メタ)アクリレートコポリマー、ポリスチレン-無水マレイン酸コポリマー及びポリエチレン-無水マレイン酸コポリマーである。
【0067】
適切な顔料は、無機性であっても有機性であってもよい。適切な無機顔料は、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、酸化鉄、ウルトラマリン、カーボンブラックである。適切な有機顔料は、例えば、アントラキノン、アンサンスロン、ベンズイミダゾロン、キナクリドン、ジケトピローロピロール、ジオキサジン、インダンスロン、イソインドリノン、アゾ化合物、ペリレン、フタロシアニン又はピランスロンである。さらなる適切な顔料は、金属をベースとする有効顔料又は、金属酸化物をベースとする真珠光沢顔料である。
【0068】
蛍光増白剤(光学的光沢剤)は、例えば、ビスベンゾオキサゾール、フェニルクマリン、又はビス(スチリル)ビフェニルであり、特に、次の式の蛍光増白剤である。
【化33】
【0069】
適切なフィラー不活性化剤は、例えばグリシジルベースのエポキシドであり、例えば、ビスフェノール-A-ジグリシジルエーテル又はビスフェノール-F-ジグリシジルエーテル、及びそれらのオリゴマー又はポリマー樹脂、ポリシロキサン、ポリアクリレート、特に、ブロックコポリマー、例えば、ポリメタクリル酸-ポリアルキレンオキシド又はポリスチレン-ポリアクリレート-ポリグリシジル(メタ)アクリレート-コポリマーなどである。
【0070】
適切な帯電防止剤は、例えば、エトキシル化アルキルアミン、脂肪酸エステル、アルキルスルホネート及びポリマー、例えば、ポリエーテルアミド又は、アクリル酸の塩を含むコポリマー、例えば、ポリエチレン-ポリアクリレート-ポリアクリレート-Na-コポリマーである。
【0071】
本発明によれば、以下のプラスチック材料の改質(分解、架橋、グラフティング)のために、前述した有機オキシイミドを使用することができる:
a)オレフィン又はジオレフィンからなるポリマー、例えば、ポリエチレン(LDPE、LLDPE、VLDPE、ULDPE、MDPE、HDPE、UHMWPE)、メタロセン-PE(m-PE)、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ-4-メチルペンテン-1、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシクロオクテン、ポリアルキレン-一酸化炭素コポリマー、及び、統計的又はブロック構造の形状のコポリマー、例えば、ポリプロピレン-ポリエチレン(EP)、EPM又はEPDM、エチレン-ビニルアセテート(EVA)、エチレン-アクリル酸エステル、例えば、エチレン-ブチルアクリレート、エチレン-アクリル酸及びそれらの塩(イオノマー)、及び、ターポリマー、例えば、エチレン-アクリル酸-グリシジルアクリレート、グラフトポリマー、例えば、ポリプロピレン-グラフト-無水マレイン酸、ポリプロピレン-グラフト-アクリル酸、ポリエチレン-グラフト-アクリル酸、ポリエチレン-ポリブチルアクリレート-グラフト-無水マレイン酸、
b)ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリビニルナフタレン、スチレン-ブタジエン(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン、スチレン-イソプレン、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-ブタジエン-アクリロニトリル(ABS)、スチレン-アクリロニトリル-アクリレート(ASA)、スチレン-エチレン、スチレン-無水マレイン酸ポリマー、これらには、対応するグラフトコポリマーが含まれる、例えば、ブタジエン上のスチレン、SBS又はSEBS上の無水マレイン酸、及び、メチルメタクリレート、スチレン-ブタジエン及びABSからなるグラフトコポリマー(MABS)、
c)ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリビニルクロリド(PVC)、ポリクロロプレン及びポリビニリデンクロリド(PVDC)、ビニルクロリドとビニリデンクロリドからなる、又はビニルクロリドとビニルアセテートからなるコポリマー、塩素化ポリエチレン、ポリビニリデンフルオリド、
d)不飽和エステルのポリマー、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリブチルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリグリシジルアクリレート、ポリグリシジルメタクリレートのようなポリアクリレート及びポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアクリルアミド、コポリマー、例えば、ポリアクリロニトリル-ポリアルキルアクリレート、ポリメタクリルイミド、
e)不飽和アルコール及び誘導体からなるポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、
f)ポリアセタール、例えば、ポリオキシメチレン(POM)又は例えばブタナールとのコポリマー、
g)ポリフェニレンオキシド、及び、ポリスチレン又はポリアミドとの混和物、
h)環状エーテルのポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、
i)ヒドロキシ末端ポリエーテル又はポリエステルと、芳香族又は脂肪族イソシアネートからなるポリウレタン、特に、線状ポリウレタン、ポリウレア、
j)ポリアミド、例えば、ポリアミド-6、6.6、6.10、4.6、4.10、6.12、12.12、ポリアミド11、ポリアミド12、及び、(部分)芳香族ポリアミド、例えば、ポリフタルアミド、例えば、テレフタル酸及び/又はイソフタル酸と、脂肪族ジアミンから製造されるもの、又は、例えばアジピン酸あるいはセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸と、例えば1,4-又は1,3-ジアミノベンゼンなどの芳香族ジアミンから製造されるもの、例えばPA-6とPA6.6のような異なるポリアミドの混和物、又は例えばPA/PPのようなポリアミドとポリオレフィンの混和物、
k)ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリ(エーテル)ケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリールスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンゾイミダゾール、ポリヒダントイン、
l)脂肪族又は芳香族ジカルボン酸とジオールからなる、又は、ヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフチレート、ポリ-1,4-ジメチロールシクロヘキサンテレフタレート、ポリヒドロキシベンゾエート、ポリヒドロキシナフタレート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリヒドロキシバレレート(PVH)、
m)ポリカーボネート、ポリエステルカーボネート、及び混和物、例えばPC/ABS、PC/PBT、PC/PET/PBT、PC/PA、
n)セルロース誘導体、例えば、セルロースナイトレート、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、
o)及び、前述のポリマー2種以上からなる、混合物、組み合わせ、又は混和物。
【0072】
a)〜n)に示すポリマーがコポリマーである場合、これらは、統計的(ランダム)、ブロック-又は「テーパード(tapered)」構造の形で存在することができる。
【0073】
a)〜n)に示すポリマーが、立体規則性ポリマーである場合、これらは、アイソタクチック、ステレオタクチックの形態で存在することができ、アタクチックの形態、又はステレオブロック構造であってもよい。
【0074】
さらに、a)〜n)に示すポリマーは、非晶質形態、及び(部分)結晶性形態のどちらも有することができる。
【0075】
前述のポリマーa)〜n)は、バージン材料だけでなく、例えば、製造廃棄物として又は、役に立つ材料集積物(「使用済みの」リサイクレート)からのリサイクレートの形態で存在してもよい。
【0076】
本発明によれば、初めに挙げられた式Iによるオキシイミドは、特に、以下の熱硬化性又はエラストマー性、非熱可塑性のプラスチック材料中で、ラジカル生成剤として使用できる:
a)エポキシ樹脂、例えば、アミン、無水物、ジシアノジアミド、メルカプタン、イソシアネート又は触媒的に活性な硬化剤を主剤とする硬化剤と組み合わせた二-又は多官能エポキシ化合物からなるエポキシ樹脂、
b)フェノール樹脂、例えば、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ユリア-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、
c)不飽和ジカルボン酸とジオールからなる不飽和ポリエステル樹脂、
d)シリコーン、
e)二-又は多官能性イソシアネートと、ポリオールからなる反応生成物としてのポリウレタン、ポリウレア
f)アルキド樹脂、アリル樹脂。
【0077】
非常に好ましくは、本発明に係るラジカル生成剤は、ポリオレフィン(好ましくはポリプロピレン及び/又はポリエチレン、及びそれらのコポリマー及び混和物)、及び不飽和ポリエステル樹脂の改質のために使用される。
【0078】
非常に好ましくは、本発明に係るラジカル生成剤は、好ましくは、ポリプロピレンの分子量低下のため及び/又はポリエチレンあるいは不飽和ポリエステル樹脂、及びそれらのコポリマー及び混和物の架橋のため、及び、ポリプロピレンあるいはポリエチレン上への不飽和モノマーのグラフティングのために使用される。架橋反応のためには、ヒドロキシイミド及びヒドロキシイミドエーテルが特に好ましい。
【0079】
特に、本発明により使用されるオキシイミドと、少なくとも1種の追加のラジカル形成剤との組み合わせにおいて、相乗効果が生じる。追加のラジカル形成剤は、好ましくは、上述した好ましく使用されるラジカル形成剤からなる群より選択される。繰り返しを避けるために、前述した実施形態が、追加のラジカル形成剤のために参照される。
【0080】
本発明で使用されるオキシイミドと、少なくとも1種のさらなるラジカル形成剤を併用する場合、本発明では、前述の化合物を99:1〜1:99、好ましくは5:95〜95:5、特に好ましくは10:90〜90:10の重量比(オキシイミド:さらなるラジカル形成剤)で使用することが好ましい。
【0081】
本発明において、さらに、有機オキシイミドが、プラスチック材料に対して、0.01〜30重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは0.5〜5重量%で使用されることが有利である。
【0082】
さらに、本発明は、プラスチック材料中でラジカルを生成するための方法に関し、当該方法では、前述の式Iの構成要素を少なくとも1つ含む少なくとも1種の有機オキシイミドが、プラスチック材料と又は少なくとも1種のプラスチック材料を含む少なくとも1種の成形材料と混合され、活性化される。前記活性化において、ラジカルが放出される。特に、前記活性化は、熱的に又は照射によって行われる。特に好ましくは、前記活性化は、プラスチック材料を、あるいはプラスチック材料を含む成形材料を成形する方法、特に射出成形や押出の間に、同時に行われる。これらの方法では、前記プラスチック材料は、それらの可塑化温度(その温度から、プラスチック材料又はプラスチック材料を含む成形材料が可塑化した状態で存在する)を超える温度で加熱される。
【0083】
さらに、本発明は、プラスチック材料を改質するための、前述した方法の使用に関する。
【0084】
特に好ましくは、本発明に係るオキシイミドは、ポリマー(特に、ポリオレフィン、特にポリプロピレン)の制御分解のため、あるいはポリマー(特に、ポリオレフィン又は不飽和ポリエステル)を架橋するためのラジカル生成剤として、ポリマー(特にポリオレフィン)上へ不飽和化合物をグラフトするためのラジカル形成剤として、使用される。
【0085】
本発明に係る方法で、あるいは当該方法の使用目的において使用できる前記有機オキシイミドの具体的詳細に関して、前記の実施形態が参照される。前述した好ましい実施形態の全てが、前述した本発明に係る方法又は本発明に係る方法の本発明に係る使用にも、制限なく、同様に適用される。
【0086】
以下の実施形態を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明は、当該実施例に限定されるものではない。
【0087】
実施例1:ポリプロピレンの分子量の低減
ラジカル生成剤の添加の下で、ポリプロピレンサンプル(Moplen HP 500N)の押出を、11mmの二軸押出し機(Thermo Scientific社のProcess 11)により、表記の温度、スクリュー回転速度400rpmにて行う。所望の比率のポリマーと添加剤が最初に混合によって均質化され、容積計測器を経て押出機に供給される。続いて、造粒された押出サンプルのMVR(メルトボリュームレート)を、ISO1133に従って230℃/2.16kgで測定し、分子量の平均重量を高温ゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した。
【0088】
【表1】
【0089】
オキシイミド1=N-ヒドロキシフタルイミド
【0090】
オキシイミド2(WO 2014/154636に従って製造)
【0091】
驚くべきことに、本発明のオキシイミドを含む組成物は、比較例と比べて、より高いMVR(=より低い分子量)、及び、同じくGPC-測定においてより低い分子量を有することが示される。オキシイミドの濃度の増加及び加工温度の増加につれて、分子量はさらに低下する。
【0092】
実施例2:ポリエチレンの分子量の増加
N-ヒドロキシフタルイミド(NHPI)を用いた反応性の押出によって、PE-タイプ(ExxonMobilから入手可能)の分子量増加を、11mmの二軸押出し機(Thermo Scientific社のProcess 11)により、200℃、スクリュー回転速度300rpmにて行った。メルトボリュームフローレート(MVR)の分析は、ISO1133に従って、温度190℃、重量5kg又は10kgで行った。
【0093】
【表2】
【0094】
比較例に対する本発明の実施例のMVR値の有意な低下によって、分子量の増加に起因する溶融粘度の増加が明らかになる。このように、本出願中に記載された方法によって、分子量の制御された増加が、確認できる。