(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記仕切り壁は、湾曲部と直線部を含み、前記直線部は、前記長手方向軸に合わせて位置決めされ、前記湾曲部は、前記長手方向軸に対して湾曲している請求項2に記載の旅客設備システム。
前記乗客用座席セットは、第1乗客用座席セットであり、前記複数の乗客用座席のうちの第2乗客用座席セットが前記第2領域内に設置される請求項2に記載の旅客設備システム。
前記乗客休息デッキは、第1乗客休息デッキであり、前記旅客設備システムは、更に、前記航空機の前記胴体内の、前記乗客用座席デッキの下方の位置に設置された第2乗客休息デッキを含む請求項5に記載の旅客設備システム。
前記複数の固定されたサービス柱状物のうちの少なくとも1つの固定されたサービス柱状物は、乗客が使用できる又は乗客が購入できる物品を受け入れる寸法をした1つ以上の区画を備える請求項14に記載の旅客設備システム。
前記展開可能な調理室システムは、1つ以上の調理室キャビネットを含み、各調理室キャビネットは、格納位置と展開位置との間を前記長手方向軸に直交する方向に移動するように構成される請求項18に記載の旅客設備システム。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示が取り扱う本発明の実施形態は、この概要ではなく、以下の請求項により定義される。この概要は、本開示の多様な態様の高度な概略であり、以下の詳細な説明の章で、更に記載される概念のいくつかを紹介する。この概要は、請求される主題の鍵となる又は本質的な特徴を特定することを意図しておらず、また、請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることを意図していない。主題は、本特許の明細書全体の適切な部分、いずれか又は全ての図面、及び各請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0005】
特定の例に従って、旅客設備システムが提供される。この旅客設備システムは、乗客用座席デッキと乗客休息デッキを含むことができる。乗客用座席デッキは、航空機の胴体内に設置することができる。乗客用座席デッキは、乗客用座席領域と1つ以上の共用領域を含むことができ、胴体は、航空機の進行方向に延伸する長手方向軸を有する。乗客用座席デッキは、また、乗客用座席デッキ内の乗客用座席領域内に設置された複数の乗客用座席を含むことができる。複数の乗客用座席は、横列セットと縦列セットに配置することができ、縦列セットのうちの少なくともいくつかの縦列は、長手方向軸に合わせて位置決めすることができる。乗客用座席デッキは、また、乗客用座席デッキ内に設置され、かつ複数の乗客用座席の間に延在して第1乗客用座席サブ領域と第2乗客用座席サブ領域を画定する仕切り壁を含むことができる。乗客用座席デッキは、また、1つ以上の共用領域内に設置された1つ以上のサービスアンカーを含むことができ、各サービスアンカーは、移動可能なサービスカートを解除可能に固定するように構成されている。移動可能なサービスカートは、移動可能なサービスカート内の格納位置から移動可能なサービスカートの外側の展開位置へ移動するように構成された展開可能な構造体を含むことができる。乗客用座席デッキは、また、1つ以上の共用領域の1つ内に設置された展開可能な調理室(galley)システムを含むことができ、展開可能な調理室システムは、1つ以上の調理室キャビネットを含み、各調理室キャビネットは、格納位置と展開位置との間において長手方向に直交する方向に移動するように構成される。乗客休息デッキは、胴体内の、乗客用座席デッキの上方の位置に設置することができる。乗客休息デッキは、長手方向軸に合わせて位置決めされたアクセス通路と、複数の休息用小部屋とを含むことができる。複数の休息用小部屋の個々の休息用小部屋は、長手方向軸に対して傾斜した角度で位置決めすることができる。各休息用小部屋は、休息面と、休息面と胴体の上部との間に延在する中仕切セットとを含むことができる。
【0006】
特定の例に従って、旅客設備システムが提供される。このシステムは、乗客用座席デッキ、複数の乗客用座席、及び仕切り壁を含むことができる。乗客用座席デッキは、航空機の胴体内に設置することができる。乗客用座席デッキは、床と天井によって画定することができる。胴体は、航空機の進行方向に延伸する長手方向軸を有する。複数の乗客用座席は、乗客用座席デッキ内に設置することができる。複数の乗客用座席は、横列セットと縦列セットに配置することができ、縦列セットのうちの少なくともいくつかの縦列は、長手方向軸に合わせて位置決めすることができる。仕切り壁は、乗客用座席デッキ内に設置して、第1領域と第2領域を画定することができる。複数の乗客用座席のうちの乗客用座席セットは、少なくとも第1領域内に設置することができる。本システムは、また、第1領域内に設置された第1乗客用通路と、第2領域内に設置された第2乗客用通路とを含むことができる。航空機の乗客は、第1乗客用通路又は第2乗客用通路の少なくとも1つを使って、第1領域と第2領域との間を移動することができる。
【0007】
いくつかの例では、仕切り壁は、湾曲部と直線部を含むことができ、直線部は、長手方向軸に合わせて位置決めすることができ、湾曲部は、長手方向軸に対して曲線を描くことができる。
【0008】
いくつかの例では、乗客用座席セットは、第1乗客用座席セットとなることができる。複数の乗客用座席のうちの第2乗客用座席セットは、第2領域内に設置することができる。
【0009】
いくつかの例では、第2乗客用通路は、第1の側を仕切り壁に、また第2の側を胴体によって画定することができる。
【0010】
いくつかの例では、本システムは、更に、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの上方の位置に設置された乗客休息デッキを含むことができる。
【0011】
いくつかの例では、乗客休息デッキは、長手方向軸に沿って延在するアクセス通路と、複数の休息用小部屋とを含むことができる。複数の休息用小部屋の個々の休息用小部屋は、長手方向軸に対して傾斜した角度で位置決めすることができる。各休息用小部屋は、また、休息面と、休息面と胴体の上部との間に延在する中仕切セットとを含むことができる。
【0012】
いくつかの例では、乗客休息デッキは、第1乗客休息デッキとなることができる。本旅客設備システムは、また、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの下方の位置に設けられた第2乗客休息デッキを含むことができる。
【0013】
いくつかの例では、本システムは、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの下方の位置に設置された乗客休息デッキを含むことができる。この乗客休息デッキは、長手方向軸に沿って延在するアクセス通路と、各々が長手方向軸に直交する方向に延在する複数の休息用小部屋とを含むことができる。
【0014】
特定の例に従って、航空機が提供される。この航空機は、乗客用座席デッキ、複数の乗客用座席、及び仕切り壁を含むことができる。乗客用座席デッキは、航空機の胴体内に設置することができる。胴体は、航空機の進行方向に延伸する長手方向軸を有することができる。複数の乗客用座席は、乗客用座席デッキ内に配置することができる。複数の乗客用座席は、横列セットと縦列セットに配置することができ、縦列セットのうちの少なくともいくつかの縦列は、長手方向軸に合わせて位置決めすることができる。仕切り壁を乗客用座席デッキ内に設置して、複数の乗客用座席のうちの第1乗客用座席セットと複数の乗客用座席のうちの第2乗客用座席セットを分離することができる。いくつかの例では、仕切り壁の少なくとも一部が長手方向軸に合わせて位置決めされる。航空機の乗客は、第1乗客用座席セットと第2乗客用座席セットとの間を移動することができる。
【0015】
いくつかの例では、前記仕切り壁の前記一部は、第1部分である。仕切り壁は、更に、長手方向軸に直交する方向に延在する第2部分と、第1部分及び第2部分を曲面を描いて取り付ける第3部分とを含むことができる。
【0016】
いくつかの例では、航空機は、更に、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの下方の位置に設置された乗客休息デッキを含むことができる。乗客休息デッキは、長手方向軸に沿って延在するアクセス通路と、各々が長手方向軸に直交する方向に延在する複数の休息用小部屋とを含むことができる。
【0017】
いくつかの例では、乗客用座席デッキは、床と天井によって画定されることができる。仕切り壁は、床と天井の間に延在することができる。
【0018】
いくつかの例では、前記仕切り壁は、第1仕切り壁となることができる。航空機は、また、乗客用アクセス廊下(通廊)と第2乗客用座席セットを分離するために、乗客用座席デッキ内に設置された第2仕切り壁を含むことができる。
【0019】
いくつかの例では、仕切り壁は、1つ以上の開口部を含むことができる。
【0020】
特定の例に従って、旅客設備組立体(アセンブリ)が提供される。この旅客設備組立体は、乗客用座席デッキ、複数の乗客用座席、及び1つ以上のサービスアンカーを含むことができる。乗客用座席デッキは、航空機の胴体内に設置することができる。乗客用座席デッキは、座席領域と1つ以上の共用領域を含むことができる。複数の乗客用座席は、乗客用座席デッキの座席領域内に設置することができる。1つ以上のサービスアンカーは、1つ以上の共用領域内に設置することができる。各サービスアンカーは、移動可能なサービスカートを解除可能に固定するように構成することができる。移動可能なサービスカートは、移動可能なサービスカート内の格納位置から移動可能なサービスカートの外側の展開位置へ移動するように構成された展開可能な構造体を含むことができる。
【0021】
いくつかの例では、本システムは、更に、座席領域内の、複数の乗客用座席の間に設けられた複数の固定されたサービス柱状物を含むことができる。
【0022】
いくつかの例では、複数の固定されたサービス柱状物は、乗客用座席デッキの床と乗客用座席デッキの天井との間に延在することができる。
【0023】
いくつかの例では、複数の固定されたサービス柱状物のうちの少なくとも1つの固定されたサービス柱状物は、乗客が利用可能な、または乗客が購入可能な物品を受け入れる寸法をした1つ以上の区画を含むことができる。
【0024】
いくつかの例では、移動可能なサービスカードの展開可能な構造体は、展開位置ではアクセスでき、格納位置ではアクセスできない1つ以上の区画を含むことができる。
【0025】
いくつかの例では、本システムは、更に、1つ以上の共用領域の少なくとも1つに設置された展開可能な調理室システムを含むことができる。
【0026】
いくつかの例では、展開可能な調理室システムは、1つ以上の調理室キャビネットを含むことができ、各調理室キャビネットは、格納位置と展開位置との間で長手方向に直交する方向に移動するように構成される。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本特許において使用される「開示」、「本開示(the disclosure)」、「この開示」及び「本開示(the present disclosure)」という用語は、本特許の主題及び以下の特許請求項の全てを広く指すことを意図している。これらの用語を含む文章は、本書に記載される主題を限定しない、又は以下の特許請求項の意味若しくは範囲を限定しないと理解されるべきである。本記載の実施形態の主題は、法令要件を満たすために特定してここに記載されているが、この記載は請求項の範囲を限定することを必ずしも意図していない。請求されている主題は、他の方法で実施されてもよく、異なる要素又はステップを含んでもよく、他の既存又は将来の技術と併せて使用されてもよい。この記載は、個々のステップの順序又は要素の配置が明示的に記載されている場合を除き、各種ステップ又は要素間の特定の順序又は配置を暗示すると解釈されるべきでない。
【0046】
本開示に記載される実施形態は、旅客機の胴体内の様々な旅客設備システムを提供する。旅客設備システムは、旅客機用として論じられるが、決してそのように限定されない。むしろ、旅客設備システムの実施形態は、乗用車両又は任意のタイプの若しくは所望される他の車両で使用し得る。
【0047】
本書に記載される実施形態は、乗客が旅客機内で過ごす時間の局面に対応するための旅客設備システムを提供する。例えば、旅客設備システムは、本書に記載されるシステムに従って配置された個別デッキを有する複数のデッキを含むことができる。例えば、乗客休息デッキは、乗客デッキの上方及び/又は下方に設置された休息用小部屋セットを含むことができる。乗客デッキは、乗客用座席領域と共用領域を含むことができる。乗客用座席領域は、仕切り壁を用いて分割して乗客用座席サブ領域を創り出すことができる。仕切り壁は、旅客機の進行方向の長手方向軸に沿って延伸する軸に合わせて位置決めすることができる。乗客は、仕切り壁にもかかわらず、サブ領域の間を自由に移動し得る。サービス柱状物(サービストーテムと称されることもある)は、(例えば、1つ以上の座席の代わりに)乗客用座席領域全体にわたって設置することができる。これらのサービス柱状物は、乗客が利用可能なセルフサービスの物品を収納することができる。共用領域は、移動可能なサービスカートを受けるためのサービスアンカー地点を含むことができる。移動可能なサービスカートは、飛行中、サービスアンカー地点に泊め置くことができる。サービス柱状物同様、移動可能なサービスカートは、乗客が利用可能なセルフサービスの物品を含むことができる。移動可能なサービスカートは、離陸時や着陸時に、簡単に格納するために展開可能にすることができる。共用領域は、また、展開可能な調理室システムを含むことができる。例示的な展開可能な調理室システムは、格納位置と展開位置との間を鉛直方向に移動する調理室キャビネットを含むことができる。調理室キャビネットが格納位置にあると、展開可能な調理室システムは、乗客や航空機乗務員による平面へアクセスの向上をもたらすことができる。
【0048】
さて、図面に目を向けると、
図1は、旅客機11の胴体12の乗客用座席デッキ10の少なくとも一例の平面図を示す。旅客設備システムは、乗客用座席デッキ10の要素を含んで実施し得る。乗客用座席デッキ10は、一般に、少なくとも1つの乗客用座席領域14と少なくとも1つの共用領域16を含む。共用領域16は、後部共用領域16a及び/又は前部共用領域16bであり得る。乗客用座席領域14には、一連の横列20と一連の縦列22に配置された乗客用座席18が設置されている。2つ以上の長手方向乗客用通路24が乗客用座席領域14に示されている。乗客用通路24は、旅客機11の進行方向に平行に伸びる長手方向軸47に合わせて位置決めすることができる。乗客用通路24によって、乗客は、航空機内で前後に(例えば、共有領域16を横断する長手方向に)移動し、乗客用座席サブ領域26の間を(例えば、長手方向に及び/又は幅方向に)移動することができる。
【0049】
図1に示されるように、乗客用座席領域14は、長手方向仕切り壁28を用いて、1つ以上の乗客用座席サブ領域26に仕切られる。仕切り壁28の少なくとも一部は、乗客用通路24に略平行に伸びることが示されている。仕切り壁28は、また、下記にさらに詳細に記載される前部湾曲32を有することが示されている。このように創り出される乗客用座席サブ領域26は、異なるサービスクラス(例えば、ビジネスクラス、エコノミーなど)又はサービスサブクラス(例えば、向上したエコノミー、強化されたビジネスなど)に対応することができる。仕切り壁28は、乗客が乗客用座席サブ領域26aと乗客用座席サブ領域26bとの間を依然として自由に移動できるように、旅客機11内に設置することができる。言い換えるならば、仕切り壁28は、複数の乗客用座席サブ領域26を互いからも、また乗客用座席領域14を他の乗客用座席領域及び/又は共用領域からも完全に遮断しない。
【0050】
ある特定の例示的例において、胴体12は、広胴型航空機の胴体(例えば、直径約508−約610cm(200−240インチ))であり得る。乗客用座席領域14は、広胴型航空機のエコノミークラスの座席用として配置することができる。いくつかの例では、胴体12は、広胴型航空機より狭い。本例示的例では、乗客用座席領域14は、横列20が3x4x3の座席配置(例えば、左側に第1の3座席セット、第1通路、中央に4座席セット、第2通路、及び右側に第2の3座席セット)に整列された横10席レイアウトを含む。
【0051】
図1に示される例では、仕切り壁28は、胴体12の中央を外れて設置され、典型的に3x4x3座席配置に整列される横列20と交差して、横列20が3x1x3x3座席配置(例えば、第1の3座席セット30a、第1乗客用通路24a、単一の座席30b、仕切り壁28、第2の3座席セット30c、第2乗客用通路24b、及び第3の3座席セット30d)に整列された横10席レイアウトを創り出している。座席30は、乗客用座席18の例である。本書に記載されるように、仕切り壁28は、胴体12の任意の適切な場所に設置することができる。仕切り壁28は、上記に論じた例に加えて、任意の適切な座席配置を区分することができる。
【0052】
いくつかの例では、
図1に示される方法又は本書に記載される他の方法で乗客用座席領域14を仕切ると、向上した乗客体験を提供し得る。乗客に囲まれているとの感覚が全ての乗客にとって低減される。例えば、仕切り壁28を設けるので、乗客用座席サブ領域26の乗客は、仕切り壁28を含まない一般的な配置より少ない乗客に囲まれる。これは、特に、乗客用座席サブ領域26aの、仕切り壁28に隣接する縦列22dに座っている乗客に当てはまる。縦列22dと縦列22eの座席は、仕切り壁28に隣接しているので、これらの座席の乗客は、仕切り壁28をもたれるために使用することができ、乗客の心地良さを向上させることができる。いくつかの例では、航空機の所有者は、仕切り壁28の隣りの座席に割増料金を課すことができるであろう。同様に、乗客用座席サブ領域26aの座席料金は、乗客用座席サブ領域26aにいる乗客の方が少ないので、乗客用座席サブ領域26bの座席料金より高くなり得る。
【0053】
ここに記載されるように、仕切り壁28は、乗客用座席領域14から1つ以上の共用領域16に延在することができ、任意の適切な数の湾曲部、屈曲部、直線部などを含むことができる。例えば、仕切り壁28は、前部共用領域16bに湾曲して延在することができる。したがって、
図1に示される例では、仕切り壁28は、前部湾曲32を含む。仕切り壁28は、階段33又はその他荷重を伴う物を支持することができるように構築することができる。例えば、仕切り壁28は、乗客用座席デッキ10の床及び/又は乗客用座席デッキ10の天井に構造的に結合することができる。階段33は、主として1つ以上の共用領域16に設置することができ、他のデッキ(例えば、乗客休息デッキ)へアクセスするために乗客が使用可能である。
【0054】
示されるように、乗客用座席領域14内には、1つ以上のサービス柱状物34(円として表示)が設置される。いくつかの例では、サービス柱状物34は、乗客用座席18の代わりに、乗客用座席領域14に設置される。示されるように、共用領域16内には、1つ以上のサービスアンカー36が設置される。サービスアンカー36は、セルフサービス専用である共用領域16の特定領域に位置付けられる。サービスアンカー36は、飛行中、1つ以上の移動可能なサービスカート38を解除可能に固定するように構成された任意の適切な構造体又は機構であってよい。サービスアンカー36の例は、胴体12の壁に取り付けられ、移動可能なサービスカート38と解除可能に連結するように構成されたベルト、乗客用座席デッキ10の床に設置されるか、又は胴体12の壁に取り付けられ、移動可能なサービスカート38と解除可能に連結するように構成されたラッチ機構、乗客用座席デッキ10の床に設置されるか、又は胴体12の壁に取り付けられ、移動可能なサービスカート38の1つ以上の他の磁石と解除可能に連結するように構成された1つ以上の磁石、前記の任意組み合わせ、及び他の適切な構造体又は機構を含むが、それらに限定されない。
【0055】
実際には、移動可能なサービスカート38は、地上走行、離陸、及び着陸の間は専用格納場所に格納することができる。例えば、そのような専用格納場所は、調理室40内であり得る。飛行中は、航空機乗務員が移動可能なサービスカート38を専用格納場所からサービスアンカー36のある共用領域16内の専用領域へ移動することができる。航空機乗務員は、また、サービスアンカー36を用いて、移動可能なサービスカート38を胴体12に連結することができる。例えば、移動可能なサービスカート38aは、サービスアンカー36aに連結されていることが示されている。サービスアンカー36bは、連結されたそれ自身の移動可能なサービスカート38を、今は有していない。
【0056】
前に紹介したように、共用領域16は、調理室40を含むことができる。いくつかの例では、調理室40は、本書に記載される展開可能な調理室システムを含むことができる。
【0057】
図2は、旅客機11の胴体12の乗客休息デッキ44の少なくとも一例の平面図を示す。乗客休息デッキ44は、乗客用座席デッキ10の上方に設置され、その一部が
図2に例示され、
図3及び
図4の断面図に示されている。乗客休息デッキ44は、アクセス通路43と、複数の乗客休息用小部屋46とを含む。乗客休息デッキ44は、階段33を介してアクセスすることができる。(乗客休息用小部屋46aを参照しながら論じられる)各乗客休息用小部屋46は、休息面48と、2つ以上の中仕切又は壁50の間に設置された拡張領域52とを含む。休息面48は、快適な休息体験を乗客に提供するために、クッション、マットレス、枕などの任意の適切な組合せを含むことができる。
【0058】
いくつかの例では、休息面48は、直立位置から倒した位置へ動かすことができる。拡張領域52も、クッション、枕などを含むことができ、乗客に腕を伸ばす追加スペースを提供し得る。いくつかの例では、拡張領域52は、更に、食物又は娯楽用品用の食事面及び/又は構造体を含む。例えば、拡張領域52は、休息面48の少なくとも一部の上方の位置に展開可能なトレイテーブルを含むことは可能である。いくつかの例では、拡張領域52は、1つ以上の個人娯楽システム(例えば、オーディオ及び/又は映像)及び/又は個人の電子機器を充電するためのポート、プラグなどを含むことができる。拡張領域52は、また、小さな乗客私物(例えば、洋服、小型キャリーバッグなど)を受容及び/又は収納するスペースを含むことができる。いくつかの例では、拡張領域52は、ドアによって休息面48から分離することができる。このようにして、拡張領域52は、クローゼットとして機能することができる。他の例では、拡張領域52は、スムーズに休息面48に移行する。
【0059】
中仕切50は、1つの乗客休息用小部屋46を他から分ける働きをすることができる。いくつかの例では、中仕切50は、休息面48から胴体12の上部又は乗客休息デッキ44の他の天井まで延在する。このようにして、中仕切50は、乗客休息用小部屋46の少なくとも両側面を包囲する働きをすることができる。乗客休息用小部屋46は、また、アクセス領域54を含む。アクセス領域54を通って、乗客は乗客休息用小部屋46にアクセスする。いくつかの例では、アクセス領域54は、開閉できるドアを含む。いくつかの例では、アクセス領域54は、アコーデオンドア、折り畳みドア、カーテン、又は、さえぎるもののない開口部の上方のプライバシーを増す、任意の他の適切な構造体を含むことができる。このようにして、乗客休息用小部屋46は、乗客にプライバシーを提供し得る。
【0060】
乗客休息用小部屋46は、胴体12内のスペースを最大限に活用しようとして、乗客休息デッキ44に設置することができる。例えば、乗客休息用小部屋46は、胴体12の長手方向軸47に対して傾斜した角度45で位置決めすることができる。いくつかの例では、傾斜した角度45の寸法は、30度から80度の間である。いくつかの例では、寸法は約60度である。角度45の寸法は、乗客休息デッキ44の幅に左右され得るし、胴体12内の乗客休息デッキ44の要素の高さに左右される。いくつかの例では、角度45は、乗客休息用小部屋46のサイズと長手方向軸47に沿ったそれらの位置とに大きく左右され得る。例えば、胴体12は、後部付近で先細になり、角度45が鋭くなり得るが、胴体の幅広部分では、角度45は鋭くないであろう。乗客休息用小部屋46の配置は、へリングボーン形状に相当する。
【0061】
図1に戻ると、共用領域16内には、共用又は共有座席42も設置されている。いくつかの例では、共有座席42は、他の乗客用座席18のようにシートベルトを含むことができ、飛行中の異なる時間に特定のクラスの乗客が使用することができる。例えば、乗客休息デッキ44が設けられている場合、共有座席42は、地上走行、離陸、及び着陸の間は、乗客休息デッキ44の休息用小部屋46を使用するチケットを購入した乗客で満たされ得る。ひとたび飛行に入ると、このような乗客は、共有座席42を立ち退いて乗客休息デッキ44に移動することができる。共有座席42が空席となると、乗客用座席領域14からの乗客(例えば、エコノミークラスの乗客)が共有座席42を占めることができる。共有座席42は、乗客用座席デッキ10内の共用領域16内に配置されるので、共有座席42は、乗客が集まるのを後押しする場となることができる。これは、乗客の移動が飛行体験の向上となり得る長距離飛行には、特に望ましいであろう。いくつかの例では、共用領域16は、共有座席42に座っている乗客が、共有座席42に座っている間に飲食しゲームなどをすることができるように、共有座席42を囲むテーブルなどを含むことができる。例えば、乗客が共用領域16aにいる(例えば、おそらく共有座席42aに座っている)ときに、共用領域16aに座っていながら楽しむことのできる食品、新聞などを入手するために移動可能なサービスカート38を訪ねることができる。地上走行、離陸、及び着陸の間は、乗客休息デッキ44のチケットを持つ乗客は、共有座席42に戻って、このような飛行のより重要な部分の間、これらの座席を占めることができる。
【0062】
図3は、旅客機11の胴体12の少なくとも一例の横断面(profile)図を示す。この横断面図は、乗客休息デッキ44の簡略図と下部乗客休息デッキ56の簡略図との間に設置された乗客用座席デッキ10を含む。乗客用座席デッキ10は、乗客用座席18と頭上収納荷物入れ(bin)58とを含む。いくつかの例では、本書に記載されるように旅客機11を配置すると、頭上収納荷物入れ58の一般的な高さに影響を及ぼさない。しかし、アクセス通路43のスペースを用意するために、乗客用座席デッキ10の天井の中央部分60を、中央の並びの乗客用座席62の上で低くすることができる。したがって、示されるように、アクセス通路43は、乗客休息デッキ44の休息面48の下方になる高さに設けることができる。このようにして、休息面48を利用したい乗客は、乗客休息用小部屋46に「上がる」必要があるであろう。いくつかの例では、休息面48の高さは、アクセス通路43と略同じである。いくつかの例では、アクセス通路43の幅63は、約38.1〜76.2cm(15−30インチ)の間となることができ、アクセス通路43の端から胴体12の端までの直交距離65は、約165.1〜215.9cm(約65−85インチ)となることができる。いくつかの例では、アクセス通路43の幅63は、約50.8cm(約20インチ)であり、直交距離65は、約185.4cm(約73インチ)である。
【0063】
アクセス通路43の床の鉛直方向高さは、大部分の乗客が前かがみになる必要なくアクセス通路43を歩くことができ、中央の並びの乗客用座席62の乗客が天井の中央部60によって過度に束縛されないように選択し得る。
【0064】
さらに、あるいはその代わりに、下部乗客休息デッキ56を設けることができる。いくつかの例では、下部乗客休息デッキ56は、乗客休息デッキ44と同様の物を備えている。このようにして、下部乗客休息デッキ56は、一般に、乗客休息用小部屋64、休息面66、及び下部通路68を含む。いくつかの例では、下部乗客休息デッキ56の乗客休息用小部屋64は、胴体12の長手方向軸に直交して位置決めされる。これは、下部乗客休息デッキ56に関連するスペースが、乗客休息デッキ44に関連するスペースより大きくなり得るためである。例えば、下部通路68の幅71は、約63.5cmから約88.9cm(25インチから35インチ)の間になり、(休息面66の長さに直接対応する)直交距離73は、約177.8cmから約203.2cm(70インチから80インチ)の間になり得る。いくつかの例では、幅71は、約78.7cm(約31インチ)であり、直交距離73は、約193.0cm(約76インチ)である。
【0065】
図4は、旅客機11の乗客用座席デッキ10及び乗客休息デッキ44の少なくとも一例の側面斜視図を示す。示されるように、乗客休息デッキ44は、乗客用座席デッキ10の上方に設置されている。仕切り壁28は、乗客用座席デッキ10を分けるように示されている。休息面48、中仕切50、及び拡張領域52を含む乗客休息用小部屋46も、この図には示されている。
【0066】
乗客用座席デッキ10は、乗客用座席18の間に設置されたサービス柱状物34を含む。いくつかの例では、サービス柱状物34は、1つ以上の乗客用座席18の代わりに設置することができる。サービス柱状物34は、乗客用座席デッキ10の床から乗客用座席デッキ10の天井まで延在することができる。いくつかの例では、サービス柱状物34は、乗客用座席デッキ10のあらゆる場所に(例えば、共用領域16に)設けられる。
【0067】
各サービス柱状物34は、乗客用座席デッキ10の乗客が便利にアクセスできる1つ以上の区画70を含むことができる。いくつかの例では、区画70は、物品を区画70内に閉じ込めるために扉を含むことができる。いくつかの例では、サービス柱状物34は、セルフサービス自動販売機として機能することができる。いくつかの例では、サービス柱状物34は、料金を受け取ると購入された商品へのアクセスを許可するために、適切な電子機械機構を含むことができる。例えば、制御モジュールと相互作用するユーザーインターフェースを設けることができる。ユーザーインターフェースを使って、乗客は、どの物品及び/又は区画70にアクセスして、その物品及び/又は区画70の代金を支払いたいかを選択することができる。支払いがなされると、制御モジュールは、(例えば、区画70をロック解除して、又は選択された物品をサービス柱状物の共用アクセス可能領域に移動させて)当該物品を乗客にアクセス可能にすることができる。いくつかの例では、サービス柱状物で入手可能な物品は、機内で一般に入手可能な任意の適切なサービス又は物品(例えば、食物、飲み物、雑誌、電子機器、電子装備品、前記を含み得る免税品など)を含むことができる。いくつかの例では、物品のうちの少なくともいくつかは、乗客が無償で入手することができる。例えば、新聞は全ての乗客が入手可能であってもよい。いくつかの例では、少なくともいくつかの区画70は、支払いを要する物品を含むことができ、一方、他の区画70は、支払いを要しない物品を含むことが可能である。
【0068】
図5は、旅客機11の乗客用座席デッキ10の少なくとも一例の前面斜視図を示す。
図5に示される例では、仕切り壁28は、外周通路72又は乗客用アクセス廊下(通廊)を画定する胴体12内の位置に設置されている。したがって、外周通路72は、仕切り壁28と胴体12の側面との間に位置している。乗客用通路24と異なり、外周通路72は、胴体12に隣接しており、乗客用座席領域14から分離している。したがって、外周通路72は、乗客が他の乗客に影響を与えることなく、旅客機11のあらゆる場所に移動するのに都合よいであろう。例えば、乗客は、乗客用座席によって制限される乗客用通路24を使って移動する必要なく、共用領域の間を移動して洗面所などへ行くことができる。
【0069】
いくつかの例では、外周通路72は、1つ以上の共有座席42と移動可能なサービスカート38とを含むことができる。
図5に示されるように、仕切り壁28は、乗客用座席デッキ10の床から乗客用座席デッキ10の天井まで延在することができる。仕切り壁28は、中断部又は開口部を含まない連続した壁となることができる。いくつかの例では、仕切り壁28は、光と空気を旅客機11全体に移動させるために、スリット又は開口部74を含む。いくつかの例では、開口部74は、乗客用座席18に座っているときに乗客の足を動かす追加スペースを提供するために、例示されているより大きくして、乗客の足の近くに設けることは可能である。他の例では、開口部74は、乗客が通り抜けられるだけの大きさであり得る。このようにして、開口部74は、旅客機11を横切って幅方向に移動するためのアクセスポイントとして機能することができる。仕切り壁28は、複数の個別部分で構成することができる。この例では、異なる部分は、乗客がその異なる部分の間を通ることができるように離間させることができる。仕切り壁28は、また、乗客が複数の部分の間を通れないように離間された複数の部分で構成することも可能である。いくつかの例では、仕切り壁28は、座っている乗客が仕切り壁28に寄りかかるのを一層快適にするために、詰め物又は他のクッション(upholstery)を含むことができる。
【0070】
いくつかの例では、仕切り壁28は、音響特性を有する。例えば、仕切り壁28は、旅客機11のエンジンから来る騒音を妨げる働きをすることができる。他の例では、仕切り壁28は、乗客及び/又は乗務員が集まり得る共有領域又は調理室領域から来る騒音を妨げる働きをすることができる。ある特定の例では、2つの仕切り壁28が旅客機11に含まれ、他の乗客用座席より静かな乗客用座席のクラスを創り出すように配置され得る。これは、これらの乗客用座席が2つの仕切り壁28の間に設けられるからである。仕切り壁28は、また、航空会社及び/又は他の適切な広告主(例えば、旅客機で販売する食品用)の広告を表示するために使用することができる。
【0071】
仕切り壁28は、アルミニウム、ステンレス鋼、アラミド繊維、ポリカーボネート、ポリプロピレン、他の金属材料、複合材料、ガラス、又は他の類似材料を含むが、それらに限定されない適切な材料で形成することができる。仕切り壁28は、透明、半透明、及び/又は不透明な区域を含むことができる。例えば、仕切り壁28は、活性なガラス小区域を含むことができるガラスで形成された1つ以上の区域を含むことができる。これらの活性なガラス小区域は、ガラスの透明度を変更できる場所となることができる。例えば、このような区域は、電流制御することができる。
【0072】
図6Aから
図6Iは、1つ以上の仕切り壁28に関する例示的な乗客用座席横列レイアウト76から92を示す。
図6Aは、乗客用座席CとDとの間に設置された仕切り壁28を含んで、2x1x4x3レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト76を示す。
図6Bは、乗客用座席DとEとの間に設置された仕切り壁28を含んで、2x2x4x2レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト78を示す。
図6Cは、乗客用座席BとCとの間に設置された仕切り壁28を含んで、1x1x4x4レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト80を示す。
図6Dは、乗客用座席EとFとの間に設置された仕切り壁28を含んで、3x2x2x3レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト82を示す。
図6Eは、胴体12の壁と座席Aとの間に設置された仕切り壁28a、及び座席EとFとの間に設置された仕切り壁28bを含み、2x3x1x3レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト84を示す。乗客用座席横列レイアウト84は、外周通路72も含む。
図6Fは、乗客用座席CとDとの間に設置された仕切り壁28を含んで、2x1x3x3レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト86を示す。
図6Gは、乗客用座席CとDとの間に設置された仕切り壁28を含んで、2x1x4x2レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト88を示す。
図6Hは、乗客用座席BとCとの間に設置された仕切り壁28を含んで、1x1x4x3レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト90を示す。
図6Iは、胴体12の第1壁と乗客用座席Aとの間に設置された仕切り壁28a、乗客用座席CとDとの間に設置された仕切り壁28b、及び乗客用通路24bと24cとの間に設置された仕切り壁28cを含んで、2x1x2x2レイアウトを創り出す乗客用座席横列レイアウト92を示す。数例の座席横列レイアウトを
図6Aから
図6Iを参照しつつ論じたが、本開示は、より多い又はより少ない乗客用座席と、より多い又はより少ない仕切り壁とを含む他の構成例を含むと理解されるべきである。
【0073】
図7は、旅客機11の乗客用座席デッキ10に設けることのできる展開可能な調理室システム94の少なくとも一例の前面図を示す。
図8は、
図7の展開可能な調理室システム94の側面斜視図を示す。展開可能な調理室システム94は、調理室40で実施することができる。展開可能な調理室システム94は、水平面96を含むことができ、その水平面96の下方に1つ以上の調理室カート98を留め置くことができる。各調理室カート98は、水平面96の下方に格納して、ラッチ機構100又は他の適切な構造体を用いて適切な位置に保つことができる。調理室カート98は、乗務員がそれぞれの格納場所から外して、旅客機11の客室のあらゆる場所に移動させることができる。いくつかの例では、移動可能なサービスカート38は、調理室カート98に隣接して水平面96の下方に格納される。
【0074】
展開可能な調理室システム94は、また、1つ以上の展開可能な調理室キャビネット102を含むことができる。示されるように、展開可能な調理室キャビネット102は、胴体12の上部104の下方の展開位置(例えば、展開可能な調理室キャビネット102c)から上部104の上方及び/又は上部104内の格納位置(例えば、展開可能な調理室キャビネット102a、102b、及び102d)へ移動するように構成されている。展開可能な調理室システム94は、展開可能な調理室キャビネット102の展開をし易くするように構成された任意の適切な機構を含むことができる。例えば、展開可能な調理室キャビネット102は、それぞれ、展開可能な調理室キャビネット102の移動をし易くするためのリニアアクチュエータ、釣合い重り、バネシステム、ガス充填ピストン組立体、及び/又は任意の他の適切な機構に取り付けることができる。いくつかの例では、展開可能な調理室キャビネット102は、調理室40の後壁に取り付けられた一式のレールに沿って上下に移動する。示されるように、展開可能な調理室キャビネット102は、様々な大きさであってよく、互いに独立して上下に移動することができる。この移動は、胴体12の長手方向軸に対する直交移動と考えることができる。いくつかの例では、展開可能な調理室システム94は、乗客休息デッキ44の下方にならないように乗客用座席デッキ10の場所に位置付けられる。このようにして、展開可能な調理室キャビネット102は、乗客休息デッキ44によって概して占められるスペースまで上に移動することができる。
【0075】
従来の調理室と異なり、展開可能な調理室システム94は、展開可能な調理室キャビネット102内での収納と、水平な平面スペース(例えば、水平面96)との両方を提供する。例えば、展開可能な調理室キャビネット102が格納位置にある場合、水平な平面スペースを任意の適切な目的(例えば、乗務員による食物の準備、飲料などを給仕するバーとしての娯楽目的)のために使用することができる。
【0076】
展開可能な特徴を有する移動可能なサービスカート38も提供され得る。
図9Aは、格納位置にある展開可能な構造体106を備える移動可能なサービスカート38の少なくとも一例の前面斜視図を示す。
図9Bは、展開位置にある展開可能な構造体106を備える移動可能なサービスカート38の少なくとも一例の前面斜視図を示す。移動可能なサービスカート38は、旅客機11の乗客用座席デッキ10のサービスアンカー36の1つに解除可能に固定することができる。例えば、サービスアンカー36の1つは、共有座席42に隣接して設けることができ、移動可能なサービスカート38は、共有座席42に隣接して解除可能に固定することができる。いくつかの例では、調理室カート98が一般に使用されるが、移動可能なサービスカート38も航空機乗務員は使用することができる。例えば、乗務員は、移動可能なサービスカート38を押して通路を下ることができる。
【0077】
移動可能なサービスカート38の展開可能な構造体106は、
図9Aの格納位置から
図9Bの展開位置へと移動するように機能することができる。展開可能な構造体106は、展開可能な構造体106の上下移動を可能にする任意の適切な構造体及び/又は装置を含むことができる。例えば、展開可能な構造体は、プッシュークリック構造体、電気制御式モータ又はアクチュエータ、展開可能な構造体を手動で引き抜き押し込むためのハンドル、バネ搭載構造体、及び任意の他の適切な構造体又は装置を含むことができる。
【0078】
展開可能な構造体106が動くことは、旅客機11が地上走行、離陸、及び着陸している間、移動可能なサービスカート38を格納するために好ましいであろう。例えば、移動可能な構造体106は、移動可能なサービスカート38をサービスアンカー36と格納場所との間で(例えば、調理室カート98と共に、あるいは他の場所で)運ぶ又は移動させるときに、格納位置に動かすことができる。移動可能なサービスカート38をサービスアンカー36に固定してしまうと、展開可能な構造体106を展開して展開可能な構造体106の1つ以上の区画108を露出することができる。
【0079】
1つ以上の区画108は、旅客機11の乗客が購入又は使用できる様々な物品110を受け入れる寸法であり得る。格納位置では、1つ以上の区画108が移動可能なサービスカート38の内部にある、あるいは乗客にはアクセスできない。展開位置では、1つ以上の区画108が移動可能なサービスカート38の外部にある、あるいは乗客がアクセス可能である。
【0080】
サービス柱状物34の1つ以上の区画70と同様に、1つ以上の区画108には、類似する物品を格納することができる。いくつかの例では、区画108は、物品を区画108内に閉じ込めるために扉を含むことができる。サービス柱状物34のように、移動可能なサービスカート38は、セルフサービス自動販売機として機能することができる。いくつかの例では、移動可能なサービスカート38は、コーヒー、温水と冷水、ソーダ、ジュースなどを分配する1つ以上のディスペンサを含むことができる。いくつかの例では、展開可能な構造体106及び/又は移動可能なサービスカート38は、移動可能なサービスカート38で利用可能な物品又はサービスに関する広告を含むことができる。例えば、移動可能なサービスカート38は、特定の企業が販売するコーヒーを分配するために使用することができ、その企業のロゴを展開可能な構造体106の外面に取り付けることができる。
【0081】
以下には、本発明の理解を容易にするために、前記又は後続の例のいずれかに係る更なる例を記載する。
【0082】
例1。この例では、旅客設備システムが提供され、この旅客設備システムは、航空機の胴体内に設置された乗客用座席デッキを含み、乗客用座席デッキは、乗客用座席領域及び1つ以上の共用領域を含み、胴体は、航空機の進行方向に延伸する長手方向軸を有し、乗客用座席デッキは、また、乗客用座席デッキ内の乗客用座席領域内に設置され、横列セット及び縦列セットに配置された複数の乗客用座席を含み、縦列セットのうちの少なくともいくつかの縦列は、長手方向軸に合わせて位置決めされ、乗客用座席デッキは、更に、乗客用座席デッキ内に設置され、複数の乗客用座席の間に延在して第1乗客用座席サブ領域及び第2乗客用座席サブ領域を画定する仕切り壁と、1つ以上の共用領域内に設置された1つ以上のサービスアンカーとを含み、各サービスアンカーは、移動可能なサービスカートを解除可能に固定するように構成され、移動可能なサービスカートは、移動可能なサービスカート内の格納位置から移動可能なサービスカートの外側の展開位置へ移動するように構成された展開可能な構造体を含み、乗客用座席デッキは、更に、1つ以上の共用領域のうちの1つ内に設置され、1つ以上の調理室キャビネットを含む展開可能な調理室システムを含み、各調理室キャビネットは、格納位置と展開位置との間を長手方向に直交する方向に移動するように構成され、旅客設備システムは、また、胴体内の、乗客用座席デッキの上方の位置に設置された乗客休息デッキを含み、乗客休息デッキは、長手方向軸に合わせて位置決めされたアクセス通路と、複数の休息用小部屋とを含み、複数の休息用小部屋の個々の休息用小部屋は、長手方向軸に対して傾斜した角度で位置決めされ、各休息用小部屋は、休息面と、休息面と胴体の上部との間に延在する中仕切セットとを含む。
【0083】
例2。この例では、旅客設備システムが提供され、この旅客設備システムは、航空機の胴体内に設置され、床と天井によって画定される乗客用座席デッキを含み、胴体は、航空機の進行方向に延伸する長手方向軸を有し、旅客設備システムは、また、乗客用座席デッキ内に設置され、横列セットと縦列セットに配置された複数の乗客用座席を含み、縦列セットのうちの少なくともいくつかの縦列は、長手方向軸に合わせて位置決めされ、旅客設備システムは、更に、乗客用座席デッキ内に設置されて第1領域と第2領域を画定する仕切り壁を含み、複数の乗客用座席のうちの乗客用座席セットは、少なくとも第1領域内に設置され、旅客設備システムは、更に、第1領域内に設置された第1乗客用通路と、 第2領域内に設置された第2乗客用通路とを含み、航空機の乗客は、第1乗客用通路又は第2乗客用通路の少なくとも1つを使って、第1領域と第2領域との間を移動することができる。
【0084】
例3。この例では、仕切り壁は、湾曲部と直線部を含み、直線部は、長手方向軸に合わせて位置決めされ、湾曲部は、長手方向軸に対して湾曲している前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0085】
例4。この例では、乗客用座席セットは、第1乗客用座席セットであり、複数の乗客用座席のうちの第2乗客用座席セットが第2領域内に設置される前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0086】
例5。この例では、第2乗客用通路は、第1の側を仕切り壁に、また第2の側を胴体によって画定される前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0087】
例6。この例では、更に、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの上方の位置に設置された乗客休息デッキを含む前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0088】
例7。この例では、乗客休息デッキは、長手方向軸に沿って延在するアクセス通路と、複数の休息用小部屋とを含み、複数の休息用小部屋の個々の休息用小部屋は、長手方向軸に対して傾斜した角度で位置決めされ、各休息用小部屋は、休息面と、休息面と胴体の上部との間に延在する中仕切セットとを含む前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0089】
例8。この例では、乗客休息デッキは、第1乗客休息デッキであり、旅客設備システムは、更に、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの下方の位置に設置された第2乗客休息デッキを含む前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0090】
例9。この例では、更に、航空機の胴体内の、乗客用座席デッキの下方の位置に設置された乗客休息デッキを含み、乗客休息デッキは、長手方向軸に沿って延在するアクセス通路と、複数の休息用小部屋とを含み、各休息用小部屋は、長手方向軸に直交する方向に延在する前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0091】
例10。この例では、航空機が提供され、この航空機は、航空機の胴体内に設置された乗客用座席デッキを備え、胴体は、航空機の進行方向に延伸する長手方向軸を有し、航空機は、また、乗客用座席デッキ内に設置され、横列セットと縦列セットに配置された複数の乗客用座席を備え、縦列セットのうちの少なくともいくつかの縦列は、長手方向軸に合わせて位置決めされ、航空機は、更に、乗客用座席デッキ内に設置されて、複数の乗客用座席のうちの第1乗客用座席セットと複数の乗客用座席のうちの第2乗客用座席セットを分離する仕切り壁を備え、仕切り壁の少なくとも一部は、長手方向軸に合わせて位置決めされ、航空機の乗客は、第1乗客用座席セットと第2乗客用座席セットとの間を移動することができる。
【0092】
例11。この例では、前記仕切り壁の前記一部は、第1部分であり、仕切り壁は、更に、長手方向軸に直交する方向に延在する第2部分と、第1部分及び第2部分を湾曲状に取り付ける第3部分とを含む前記又は後続の例のいずれかの航空機が提供される。
【0093】
例12。この例では、乗客用座席デッキは、床と天井によって画定され、仕切り壁は、前記床と前記天井との間に延在する前記又は後続の例のいずれかの航空機が提供される。
【0094】
例13。この例では、前記仕切り壁は、第1仕切り壁であり、航空機は、更に、乗客用座席デッキ内に設置されて、乗客用アクセス廊下(通廊)と第2乗客用座席セットを分離する第2仕切り壁を備える前記又は後続の例のいずれかの航空機が提供される。
【0095】
例14。この例では、仕切り壁は、1つ以上の開口部を備える前記又は後続の例のいずれかの航空機が提供される。
【0096】
例15。この例では、旅客設備システムが提供され、この旅客設備システムは、航空機の胴体内に設置され、座席領域及び1つ以上の共用領域を含む乗客用座席デッキと、乗客用座席デッキの座席領域内に設置された複数の乗客用座席と、1つ以上の共用領域内に設置された1つ以上のサービスアンカーとを含み、各サービスアンカーは、移動可能なサービスカートを解除可能に固定するように構成され、移動可能なサービスカートは、移動可能なサービスカート内の格納位置から移動可能なサービスカートの外側の展開位置へ移動するように構成された展開可能な構造体を備える。
【0097】
例16。この例では、更に、座席領域内において複数の乗客用座席の間に設置された複数の固定されたサービス柱状物を含む前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0098】
例17。この例では、複数の固定されたサービス柱状物は、乗客用座席デッキの床と乗客用座席デッキの天井との間に延在する前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0099】
例18。この例では、複数の固定されたサービス柱状物のうちの少なくとも1つの固定されたサービス柱状物は、乗客が使用できる又は乗客が購入できる物品を受け入れる寸法をした1つ以上の区画を備える前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0100】
例19。この例では、移動可能なサービスカートの展開可能な構造体は、展開位置ではアクセスでき、格納位置ではアクセスできない1つ以上の区画を備える前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0101】
例20。この例では、更に、1つ以上の共用領域のうちの少なくとも1つに設置された展開可能な調理室システムを含む前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0102】
例21。この例では、展開可能な調理室システムは、1つ以上の調理室キャビネットを含み、各調理室キャビネットは、格納位置と展開位置との間を長手方向軸に直交する方向に移動するように構成される前記又は後続の例のいずれかの旅客設備システムが提供される。
【0103】
「下方」、「上方」、「下部」、「上部」などのような空間に関係する用語は、例えば、図面に示されるように、要素及び/又は特徴の他の要素及び/又は特徴に対する関係を記載するために上記で使用され得る。これらの空間に関係する用語は、図示された方向性に加えて、使用中及び/又は動作中のシステムの異なる方向性を含むことを意図していると理解されるであろう。例えば、図面のシステムを反転させると、他の要素又は特徴の「下方」及び/又は「下」と記載された要素は、他の要素又は特徴の「上方」に位置するであろう。システムは、別なふうに(例えば、90度回転して又は他の向きで)位置付けられることがあり、本書で使用される空間に関係する記載は、そのように解釈されるべきである。
【0104】
図示された又は上記に記載された構成部品、並びに図示も記載もされていない構成部品及びステップの異なる配置は可能である。同様に、いくつかの特徴及びサブコンビネーションは、有益であり、他の特徴及びサブコンビネーションを参照することなく使用し得る。本開示の実施形態は、限定目的ではなく、例示を目的として記載されており、代替実施形態が本特許の読者には明らかとなるであろう。したがって、本開示は、上記に記載された又は図示された実施形態に限定されず、多様な実施形態及び改変が、以下の請求項の範囲から逸脱しない範囲でなされ得る。