特許第6775664号(P6775664)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775664
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】レギュレータキー
(51)【国際特許分類】
   G04B 18/02 20060101AFI20201019BHJP
   G04B 17/32 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G04B18/02 Z
   G04B17/32
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2019-500817(P2019-500817)
(86)(22)【出願日】2017年7月13日
(65)【公表番号】特表2019-525165(P2019-525165A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】EP2017067772
(87)【国際公開番号】WO2018015277
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年1月10日
(31)【優先権主張番号】16180431.5
(32)【優先日】2016年7月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ケラン,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】シュルップ,ファビアン
【審査官】 榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−114158(JP,A)
【文献】 特開昭52−58565(JP,A)
【文献】 特開2012−145578(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 18/02
G04B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計時器ムーブメント(1)用のレギュレータキー(11)であって、レギュレータ(9)に取り付けられるように構成される底面(15)を備え、ヒゲゼンマイ(4)の間隔を制限するように構成される2つのアーム(17a、17b)を有し、前記2つのアーム(17a、17b)は前記底面(15)から互いに平行に突出し、前記ヒゲゼンマイを受容するように構成される隙間(16)を残し、前記2つのアーム(17a、17b)はそれぞれ突出面を含み、前記突出面は、前記レギュレータキー(11)の端部の寸法を制限するために前記底面(15)から離れるにつれて減少することにより前記2つのアーム(17a、17b)は円錐台に類似する外面を有することを特徴とし、前記2つのアーム(17a、17b)はそれぞれ部分的に中空の中心部分(18a、18b)を含み、それによって各アームの前記自由端部はフック(19a、19b)を形成し、前記フック(19a、19b)は前記隙間に突出することなく、また該隙間の長手方向に主に平行に延在し、前記ヒゲゼンマイを受容するように構成される前記隙間に沿って延在することを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項2】
請求項1に記載のレギュレータキー(11)であって、前記2つのフックは反対方向に延在することを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のレギュレータキー(11)であって、前記レギュレータキー(11)は、前記底面(15)の中心を通る対称軸(S)を有することを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のレギュレータキー(11)であって、前記隙間に沿って延在する前記2つのアーム(17a、17b)の側面(Fa、Fb)は実質的にC字型であることを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれかに記載のレギュレータキー(11)であって、前記隙間に沿って延在する前記2つのアーム(17a、17b)の側面(Fa、Fb)は平面であることを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載のレギュレータキー(11)であって、前記隙間に沿って延在する前記2つのアーム(17a、17b)の側面(Fa、Fb)は平行であることを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかに記載のレギュレータキー(11)であって、前記隙間に沿って延在する前記2つのアーム(17a、17b)の側面(Fa、Fb)の表面は、互いに対向し、実質的にI字型であることを特徴とする、レギュレータキー(11)。
【請求項8】
テンプ(6)とヒゲゼンマイ(4)とを有する共振器(5)と、前記ヒゲゼンマイ(4)の有効長を調整するためのレギュレータシステム(3)とを備える計時器ムーブメント(1)であって、前記レギュレータシステム(3)は請求項1〜請求項7のいずれかに記載のレギュレータキー(11)を含むことを特徴とする、計時器ムーブメント(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝撃時であっても、ヒゲゼンマイの間隔を確保するためのレギュレータキーに関する。
【背景技術】
【0002】
レギュレータシステムにおいて、2つのピンまたは1つのレギュレータキーを備えるレギュレータを用いて、ヒゲゼンマイの有効長を調整することは既知である。さらに、これらのシステムは耐衝撃装置を備えることもある。耐衝撃装置は、ムーブメントが衝撃を受けるとき、ヒゲゼンマイがピンの間の隙間から、またはレギュレータキーから逸脱することを防ぐ。
【0003】
ただし、耐衝撃装置を備える現在のレギュレータシステムは扱いにくく、および/または販売後の調整、たとえば、ヒゲゼンマイの交換ができない。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、新規のレギュレータキーを提示することによって、前述の欠点のすべてまたは一部を克服することである。新規のレギュレータキーのアームは、衝撃時においてもヒゲゼンマイの間隔を確保しながら、小型なサイズを維持する。
【0005】
そのために、本発明は計時器ムーブメントのためのレギュレータキーに関する。レギュレータキーは、レギュレータに取り付けられるように構成される底面を含み、ヒゲゼンマイの間隔を制限するように構成される2つのアームを有する。2つのアームは底面から互いに平行に突出し、ヒゲゼンマイを受容するように構成される隙間を残すことを特徴とする。また、2つのアームはそれぞれ突出面を含み、突出面はレギュレータキーの端部の寸法を制限するために、底面から離れるにつれて減少することを特徴とする。アームはそれぞれ部分的に中空の中心部分を含み、それによって、各アームの自由端部は、ヒゲゼンマイを受容するように構成される前記隙間に沿って延在するフックを形成することを特徴とする。
【0006】
本発明の別の有利な変形によれば、
−レギュレータキーは底面の中心を通る対称軸を有し、
−隙間に沿って延在するアームの側面は実質的にC字型であり、
−隙間に沿って延在するアームの側面は平面であり、
−隙間に沿って延在するアームの側面は平行であり、
−隙間に沿って延在するアームの側面の表面は互いに対向し、実質的にI字型である。
【0007】
さらに、本発明は、バネ式テンプ共振器と、ヒゲゼンマイの有効長を調整するためのレギュレータシステムとを備える計時器ムーブメントに関する。レギュレータシステムは、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のレギュレータキーを含むことを特徴とする。
【0008】
別の特徴および有利点は、非限定例として提示される以下の説明から、添付図を参照して明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるムーブメントの部分斜視図である。
図2図1の断面図である。
図3】本発明のレギュレータキーの斜視図である。
図4図3の上面図である。
図5図4のA−Aに沿った断面図である。
図6図4のB−Bに沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1および2に例示するように、本発明は、計時器ムーブメント1のためのレギュレータシステム3に関する。図1および2では、計時器ムーブメント1はさらに、コック8とプレート(不図示)との間を枢動するテン真7に取り付けられる種類のテンプ8/ヒゲゼンマイ4の共振器5を含む。
【0011】
レギュレータシステム3は、ヒゲゼンマイ4の有効長を調整することを目的とする。レギュレータシステム3は主に、レギュレータ9と、レギュレータキー11とを備える。レギュレータ9は、中心部分でコック8に取り付けられ、レギュレータキー11を2つのストリップ10a、10bを介して支持する。図2からより詳しく分かるように、2つのストリップ10a、10bは、レギュレータキー9を頭部13と底面15との間で固定するために用いられる。
【0012】
したがって、コック8上でレギュレータ9を回転させることによって、レギュレータ9に取り付けられた底面15は、ヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の長さに対するレギュレータキー11の相対位置を調整することが可能となり、また、レギュレータキー11をストリップ10aと10bの間で回転させることによって、レギュレータキー11のアーム17aと17bとの間のヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の間隔を調整することが可能となることは明らかである。
【0013】
図3から6に例示するように、2つのアーム17a、17bは、図2に示すように、互いに平行に底面15から突出し、ヒゲゼンマイ4を受容するような隙間16を有する。さらに、2つのアーム17a、17bはそれぞれ突出面を含む。突出面は、レギュレータキー11の端部の寸法を制限するために、底面15から離れるにつれて減少する。図3からはっきり分かるように、2つのアーム17a、17bが接合すると、円錐台に類似する外面を形成しえる。図2を検証すると、アーム17a、17bはこの形状によってコンパクトな大きさとなり、たとえば、慣性ブロック12においてテンプ6の空間的な自由度が高くなることが分かる。
【0014】
さらに、アーム17a、17bはそれぞれ部分的に中空の中心部分18a、18bを含み、それによって、各アームの自由端部は、隙間16に沿って延在し、つまり隙間16内に突出しないフック19a、19bを形成する。
【0015】
図3から6を検証すると、レギュレータキー11は、底面15の中心を通る対称軸Sを有することが分かる。この特徴は、レギュレータキー11の組み立て方向が2つのアーム10a、10bの間となることを避けるために特に望ましい。
【0016】
さらに、この対称性によって、隙間16に沿って延在するアーム17a、17bの側面Fa、Fbに特有の特徴が得られる。このように、図6から分かるように、アーム17aの側面Faは実質的にC字型または逆C字型である。その結果として、本発明によって有利には、ヒゲゼンマイ4の外側のコイル2は、隙間16に受容可能なだけではなく、アーム17a、17bの部分的に中空の中心部分18a、18bに受容可能である。したがって、レギュレータキー11のアーム17a、17bの間のヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の間隔は、隙間16に沿って延在するアーム17a、17bの側面Fa、FbのC字型または逆C字型の垂直部分の傾斜部分によって得られることは明らかである。
【0017】
さらに、隙間16に沿って延在するアーム17a、17bの側面Fa、Fbは、好ましくは平面かつ平行である。最終的に、図6の灰色部分によって、隙間16に沿って延在するアーム17a、17bの側面Fa、Fbの対面する表面Vが実質的にI字型であることに留意されたい。
【0018】
本発明によって有利には、コック8上でレギュレータ9を回転させることで、これらの特徴によって、レギュレータキー11の相対位置をヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の長さに対して調整することが可能になり、また、レギュレータキー11をストリップ10aと10bとの間で回転させることによって、レギュレータキー11のアーム17aと17bとの間のヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の間隔を調整することが可能となる。
【0019】
図1から分かるように、レギュレータキー11がストリップ10a、10bに対して回転しているときは、ヒゲゼンマイ4の外側のコイル2は、隙間16とアーム17a、17bの部分的に中空の中心部分18a、18b内部に閉じ込められている。実際に、ヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の屈曲部が、アーム17a、17bの部分的に中空の中心部分18a、18b内に延在すると、フック19a、19bは、ムーブメントが衝撃を受けるときであっても、ヒゲゼンマイ4がレギュレータキー11の隙間16から逸脱することを防止する。
【0020】
ただし、たとえば販売後の調整のためにヒゲゼンマイ4をレギュレータキー11から再度解除することも可能である。アーム17a、17bの側面Fa、Fbがヒゲゼンマイ4の外側のコイル2の高さに対して平行になるようにレギュレータキー11を回転させ、次にヒゲゼンマイ4を隙間16に沿って取り除けば十分である、
【0021】
もちろん、本発明は例示した例に限定されず、当業者には明らかであろう様々な変形および修正が可能である。具体的には、別の種類のヒゲゼンマイおよび/または別の種類のテンプおよび/または別の種類のレギュレータおよび/または別の種類のコックに適応するために、レギュレータキー11は異なる形状であってもよい。
【0022】
たとえば、異なるヒゲゼンマイの厚さに応じて、アーム17a、17bの側面Fa、Fb間の距離が、より長いこと、またはより短いことが望ましくてもよく、もしくは、異なるレギュレータと異なるヒゲゼンマイとの間の距離に応じて、アーム17a、17bの長さが、より長いこと、またはより短いことが望ましくてもよいことは明らかである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6