特許第6775666号(P6775666)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775666ワイヤ張力調整機構を有する操縦可能なカテーテル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775666
(24)【登録日】2020年10月8日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ワイヤ張力調整機構を有する操縦可能なカテーテル
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/008 20060101AFI20201019BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20201019BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20201019BHJP
   A61M 25/092 20060101ALI20201019BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20201019BHJP
   A61L 29/02 20060101ALI20201019BHJP
   A61L 29/04 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   A61B1/008 512
   A61B1/00 711
   G02B23/24 A
   A61M25/092 500
   A61M25/14 512
   A61M25/092 510
   A61L29/02
   A61L29/04 100
【請求項の数】20
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-502726(P2019-502726)
(86)(22)【出願日】2017年7月20日
(65)【公表番号】特表2019-532680(P2019-532680A)
(43)【公表日】2019年11月14日
(86)【国際出願番号】US2017042983
(87)【国際公開番号】WO2018022402
(87)【国際公開日】20180201
【審査請求日】2019年2月4日
(31)【優先権主張番号】62/367,910
(32)【優先日】2016年7月28日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511193846
【氏名又は名称】クック・メディカル・テクノロジーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】COOK MEDICAL TECHNOLOGIES LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ, ヴィクター
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ, ケネス, シー.
(72)【発明者】
【氏名】ジャングルス, ルーク, ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアムズ, マイケル, リー
【審査官】 清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/189964(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0366435(US,A1)
【文献】 特表2016−521181(JP,A)
【文献】 特表2019−525806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
A61M 25/00−25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操縦可能なカテーテルのワイヤ張力調整機構であって、
少なくとも第1のワイヤおよび少なくとも第2のワイヤであって、
前記第1のワイヤは、第1のワイヤ近位端と第1のワイヤ遠位端とを含み前記第2のワイヤは、第2のワイヤ近位端と第2のワイヤ遠位端とを含む、少なくとも第1のワイヤおよび少なくとも第2のワイヤと、
第1のスプール本体を囲みかつそれを画定する少なくとも1つの外周表面と、それぞれ該少なくとも1つの外周表面を通って前記第1のスプール本体の内側に延びる少なくとも第1の開口部および第2の開口部とを含む少なくとも第1のスプールと、
前記第1のスプール本体内に回転可能に配置された第1の歯車および第2の歯車であって、前記第1の歯車および前記第2の歯車のそれぞれは、前記第1のスプール本体によって画定される平面に略直交している歯車回転軸の周りで回転可能とされた第1の歯車および第2の歯車と、
前記第1の歯車に解放可能に係合する第1の移動止めおよび前記第2の歯車に解放可能に係合する第2の移動止めと
を含み、
前記第1のワイヤは、前記第1のワイヤ近位端において前記第1の歯車に取り付けられ、かつ前記第1の歯車に巻き付け可能とされ、前記第1のワイヤ近位端から前記第1の開口部を通されて前記第1のスプール本体の外側に延び、更に部分的に前記少なくとも1つの外周表面に沿って延び、それから前記第1のワイヤ遠位端へ向かって延びるようにされており、
前記第2のワイヤは、前記第2のワイヤ近位端において前記第2の歯車に取り付けられ、かつ前記第2の歯車に巻き付け可能とされ、前記第2のワイヤ近位端から前記第2の開口部を通されて前記第1のスプール本体の外側に延び、更に部分的に前記少なくとも1の外周表面に沿って延び、それから前記第2のワイヤ遠位端へ向かって延びるようにされている、ワイヤ張力調整機構。
【請求項2】
前記ワイヤは、金属材料、ポリエチレン材料、超高分子量ポリエチレン材料、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の機構。
【請求項3】
少なくとも、前記第1のワイヤが略摺動可能に配置される第1の内腔と、前記第2のワイヤが略摺動可能に配置される第2の内腔とを含むカテーテルをさらに含み、
前記第1のワイヤ遠位端および前記第2のワイヤ遠位端は、前記第1のワイヤ近位端および前記第2のワイヤ近位端の遠位側のカテーテル部分に確実に固定的にそれぞれ取り付けられ、
前記第1のスプール本体によって画定される平面に略直交している前記歯車回転軸は、前記少なくとも第1のスプールに隣接する前記カテーテルの部分の長手方向軸にも略直交している、請求項1または2に記載の機構。
【請求項4】
前記第1の歯車に対する前記第1のワイヤの前記確実な取付は、結節、接着剤、またはその両方を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の機構。
【請求項5】
前記第1の歯車は、第1の歯車開口部を含み、前記第1の歯車に対する前記第1のワイヤの前記確実な取付は、前記第1のワイヤが前記第1の歯車開口部を通して配置されることを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の機構。
【請求項6】
前記第1の歯車は、前記第1の歯車の外周表面に沿って第1の歯車切欠部をさらに含み、および前記第1の歯車に対する前記第1のワイヤの前記確実な取付は、前記第1のワイヤが前記第1の歯車切欠部を通して配置されることも含む、請求項1〜3または5のいずれか一項に記載の機構。
【請求項7】
前記第1の歯車に対する前記第1のワイヤの前記確実な取付は、前記第1のワイヤが単独で結ばれることをさらに含む、請求項6に記載の機構。
【請求項8】
第2のスプールと、1つ以上の付加的なワイヤとをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の機構。
【請求項9】
前記第1のスプールおよび前記第2のスプールは、前記第1のスプールが前記第2の歯車に回転可能に取り付けられ、かつ前記第2の歯車に対して所定の向きに方向付けられると、少なくとも前記第1の歯車を回転させるための機械的アクセスを可能にするようにそれぞれ構成される、請求項8に記載の機構。
【請求項10】
少なくとも、第3のワイヤおよび第4のワイヤであって、
前記第3のワイヤは、第3のワイヤ近位端と第3のワイヤ遠位端とを含み、および前記第4のワイヤは、第4のワイヤ近位端と第4のワイヤ遠位端とを含み、
前記第2のスプールは、第2のスプール本体を囲みかつそれを画定する少なくとも1つの外周表面を含む、第3のワイヤ及び第4のワイヤと、
前記第2のスプール本体内に回転可能に配置された第3の歯車および第4の歯車であって、前記第3の歯車および前記第4の歯車のそれぞれは、前記第2のスプール本体によって画定される平面に略直交している歯車回転軸の周りで回転可能であり、
少なくとも第3の開口部および第4の開口部が、前記少なくとも1つの周囲表面を通してそれぞれ前記第3の歯車および前記第4の歯車への機械的連通路をそれぞれ提供する、第3の歯車および第4の歯車と、
前記第3の歯車に解放可能に係合する第3の移動止めおよび前記第4の歯車に解放可能に係合する第4の移動止めと
をさらに含み、
前記第3のワイヤは、前記第3の開口部を通して配置され、前記第3の歯車に確実に取り付けられ、かつ前記第3の歯車に巻き付け可能であり、
前記第のワイヤは、前記第4の開口部を通して配置され、前記第4の歯車に確実に取り付けられ、かつ前記第4の歯車に巻き付け可能である、請求項8または9に記載の機構。
【請求項11】
前記第2のスプールの中心旋回軸部分は、前記第1のスプールを通して回転可能に延びる、請求項8〜10のいずれか一項に記載の機構。
【請求項12】
前記第1の歯車に解放可能に係合する前記第1の移動止めは、前記第1の歯車の歯付表面に係合する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の機構。
【請求項13】
前記第1のワイヤ遠位端は、カテーテル部分に確実に固定され、および第1の方向における前記第1の歯車の回転は、前記第1のワイヤ近位端と前記第1のワイヤ遠位端との間の前記ワイヤの張力を増加させる、請求項12に記載の機構。
【請求項14】
隣接する歯の面は、互いに対して90°かつ半径方向中心直径に対して45°に方向付けられ、前記第1の移動止めは、前記第1のスプールの一部として一体形成された可撓性梁を含み、前記第1の移動止めは、前記隣接する歯の前記面に接触しかつそれに係合するように構成され、前記可撓性梁の長手方向軸は、前記半径方向中心直径に対して45°に方向付けられる、請求項12または13に記載の機構。
【請求項15】
前記第1の移動止めは、前記第1のスプールの一部として一体形成された可撓性梁を含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の機構。
【請求項16】
前記第1のワイヤは、前記少なくとも第1のスプールの周りに少なくとも部分的に周方向に第1の方向に巻かれ、および前記第2のワイヤは、前記少なくとも第1のスプールの周りに少なくとも部分的に周方向に、前記第1の方向と異なる第2の方向に巻かれる、請求項1〜15のいずれか一項に記載の機構。
【請求項17】
前記第1の歯車および前記第2の歯車は、前記第1のスプール内に摩擦嵌合によってそれぞれ取り付けられ、それぞれ前記第1の歯車および前記第2の歯車の半径方向中心軸の周りでの回転を可能にする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の機構。
【請求項18】
第1のスプール本体を囲みかつそれを画定する前記少なくとも1つの外周表面は、挿入溝を含み、管は、前記溝内に配置され、および前記第1のワイヤの少なくとも一部および前記第2のワイヤの少なくとも一部は、少なくとも前記管の長手方向内腔長さを通してそれぞれ延びる、請求項1〜17のいずれか一項に記載の機構。
【請求項19】
少なくとも1つの可視化要素を含み、かつ請求項1〜18のいずれか一項に記載のワイヤ張力調整機構を含む操縦可能なカテーテルデバイス。
【請求項20】
ワイヤ張力調整機構を含む操縦可能なカテーテルデバイスであって、前記機構は、
それぞれ制御ワイヤが該制御ワイヤの近位端で取り付けられている4つの制御ワイヤ巻取歯車と、
2つのスプールであって、各スプールは、各スプールの外周表面より内側に前記4つの制御ワイヤ巻取歯車の2つと、当該各スプールの一部として一体的に形成されて該2つの制御ワイヤ巻取歯車にそれぞれ係合可能とされた2つの可撓性梁移動止めとを含み、各スプールの2つの制御ワイヤ巻取歯車に取り付けられた制御ワイヤはそれぞれ各スプールの内側から外側に延びる開口部を通して各スプールの外側に延び各スプールの外周表面上に沿って部分的に周方向に延びるようにされている、2つのワイヤ案内スプールと
を含み、
前記4つの制御ワイヤ巻取歯車のそれぞれは、前記スプールに対して独立して回転可能であり、各歯車の回転可能性は、前記可撓性梁移動止めが前記歯車の歯間に係合されているときに一方向である、操縦可能なカテーテルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
特許協力条約の下で出願された本出願は、すべて2016年7月28日に出願され、各々が全体として参照により本明細書に援用される、米国仮特許出願第62/367,910号明細書、同第62/367,918号明細書、同第62/367,938号明細書、同第62/367,951号明細書および同第62/367,959号明細書に対する優先権を主張する通常の特許出願である。
【0002】
本明細書に開示する実施形態は、概して、内視鏡を含む操縦可能なカテーテルに関する。より具体的には、本明細書に開示する実施形態は、操縦可能なカテーテルの制御ワイヤ張力調整機構に関する。
【背景技術】
【0003】
操縦可能カテーテルとも呼ばれる偏向カテーテルは、種々の医療処置および非医療処置で使用されている。診断のための医療処置および治療のための医療処置では、操縦可能カテーテルは、操作者(例えば、医師)が、制約されかつ/または曲がりくねった解剖学的構造を通って移動するため、および/または遠位カテーテルチップを特定の方向に向けるために、カテーテルの遠位チップを関節状に動かす(articulate)ことができるようにする。同様の機構は、医療用内視鏡および非医療用内視鏡において、内視鏡を標的部位(場所)まで操縦し、(例えば、カメラまたは他の可視化手段を含む)デバイス部分を所望の方向に向けるために使用される。
【0004】
典型的な設計では、制御ワイヤが、操作可能にデバイスの近位端に取り付けられ、デバイスの遠位端にまたはその近くにも取り付けられる。こうした構成は、デバイス遠位端に対してそれを所望の方向に偏向させる概して長手方向の力を増大させかつ/または低減させるように、制御ワイヤの1本または複数本を操作することにより、動作する。デバイスの時期尚早のまたは不要な偏向を妨げるために、制御ワイヤの近位側と遠位端との間にバランスのとれた開始張力(starting tension)を与える必要がある。これを行うために、当該技術分野では様々な機構が開発されてきた。これには、ねじ山が設けられたテンションボルトまたはピンが含まれ、このテンションボルトまたはピンは、頭部および/またはシャフトを通して横断方向に、1つ以上の制御ワイヤの近位端部分を受け入れるための開口部を含み、後に締め付けてまたは緩めて制御ワイヤの所望の張力調整レベルを与えることができる。これら機構は、操縦可能なデバイスのシャフトまたはハウジングに取り付けられることが多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非常に小さい直径の繊維に対する微調整可能な張力調整を行う張力調整手段を提供することが望ましく、この張力調整手段では、調整される/張力がかけられる繊維が固定されて、操縦可能なカテーテル、特に操縦可能な胆道鏡または他の小直径内視鏡の予測可能かつ望ましい操縦挙動を提供する。これは、制御ハンドルに対する/制御ハンドル内における繊維の非常に確実な近位端固定の提供を含む。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本明細書に開示される実施形態は、操縦可能なカテーテルデバイスの操縦/偏向制御ワイヤを張力調整しかつ操作するための機構、およびこれらのワイヤにかかる張力が小さすぎるかまたは大きすぎることなく、デバイスの動作を可能にする所望のレベルの張力を提供するための方法を含み得る。
【0007】
本明細書に開示されるいくつかの実施形態は、操縦可能なカテーテルのワイヤ張力調整機構であって、少なくとも第1および第2の操縦/偏向制御ワイヤを含む操縦可能なカテーテルのワイヤ張力調整機構を含み得る。第1のワイヤは、第1のワイヤ近位端と第1のワイヤ遠位端とを含み、および第2のワイヤは、第2のワイヤ近位端と第2のワイヤ遠位端とを含む。第1のスプールは、第1のスプール本体を囲みかつそれを画定する少なくとも1つの外周表面を含む。第1の歯車および第2の歯車は、第1のスプール本体内に回転可能に配置され、第1の歯車および第2の歯車は、第1のスプール本体によって画定される平面に略直交しているそれ自体の歯車回転軸の周りでそれぞれ回転可能である。少なくとも第1の開口部および第2の開口部は、少なくとも1つの周囲表面を通してそれぞれ第1の歯車および第2の歯車への機械的連通路をそれぞれ提供する。第1の移動止めは、第1の歯車に解放可能に係合し、および第2の移動止めは、第2の歯車に解放可能に係合し、第1のワイヤは、第1の開口部を通して配置され、第1の歯車に確実に取り付けられ、かつ第1の歯車に巻き付け可能であり、第2のワイヤは、第2の開口部を通して配置され、第2の歯車に確実に取り付けられ、かつ第2の歯車に巻き付け可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】操縦可能なカテーテルデバイスの実施形態を示す。
図2図1の実施形態の部分分解斜視図である。
図3】内側スプールおよび外側スプールを(合計4つのうちの)2つの例示的な制御ワイヤ巻取歯車とともに示す。
図4A-4B】制御ワイヤおよび制御ワイヤ管と組み合わせたスプールの上部斜視図および側立面図をそれぞれ示す。
図5A-5B】係合した制御ワイヤ巻取歯車の対がない内側スプールの面および係合した制御ワイヤ巻取歯車の対がある内側スプールの面をそれぞれ示す。
図6A】内側スプールに組み付けられた外側スプールの外側面を示す(その内側スプール歯車を含むこの一部が外側スプールから部分的に見える)。
図6B】外側スプールの内側面を示す。
図7A-7D】制御ワイヤ巻取歯車の4つの異なる図を示す。
図7E-7F】制御ワイヤと係合させる1つの方法を示すために制御ワイヤ巻取歯車の対向する側を示す。
図8】8つの内腔を持つカテーテル本体を示す図1の線8−8に沿って取られた横断面図である(少なくとも略均一な縮尺で描かれており、いくつかの実施形態では厳密に均一な縮尺で描かれ得る)。
図9-9D】図8の線9−9に沿って取られた遠位側カテーテル本体の長手方向断面図であり、図9A図9Dは、制御ワイヤをカテーテルの遠位端内に確実にかつ永久的に固定する1つの(非限定的な)方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
さまざまな実施形態について、同様の要素が概して同様の数字で参照されている図面を参照して、以下に説明する。実施形態のさまざまな要素の関係および機能は、以下の詳細な説明を参照することにより、よりよく理解することができる。しかしながら、実施形態は、図面に示すものに限定されない。図面は、必ずしも均一な縮尺ではなく(しかし、いくつかの図面は、特に均一な縮尺であると判明した場合に均一な縮尺であり得る)、特定の例では、例えば、従来の製造および組立など、本明細書に開示される実施形態の理解に必要のない細部は、省略されている場合があることが理解されるべきである。
【0010】
全般的に、本明細書に開示される実施形態は、制御ワイヤ(構造材料を問わずあらゆる種類の制御ファイバを含む)の近位端を操縦可能なカテーテルの制御スプールに確実に取り付けるための構造およびシステムに関する。最も好適な実施形態では、構造およびシステムは、近位端と、操縦可能なデバイス内のより遠位側に取り付けられた、永久的に/確実に取り付けられた遠位側制御ワイヤ端部との間における各制御ワイヤの相対張力を調整する、すなわち微調節するための手段を含む。各制御ワイヤ(それ自体のおよび特に他の制御ワイヤに対する)の大きすぎるまたは小さすぎる張力は、操縦可能なデバイスの時期尚早のまたは他に不要な偏向の原因となるおそれがあり、および/または操縦可能なデバイスが望ましくないまたは予測不能な状態で動作する原因となる場合がある。操縦可能なカテーテルデバイスの組立時、システムは、1つまたはすべての制御ワイヤのたるみを取るために使用することができる。
【0011】
本発明は、特許請求の範囲により定義され、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に示す実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、この開示が徹底的かつ完全となり当業者に対して実施可能な程度の開示を完全に伝えるように、提供される。本明細書および特許請求の範囲で使用する単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈において明確な別段の指示がない限り、複数の指示物を含む。
【0012】
「近位」および「遠位」という用語は、本明細書では、一般的な使用の意味で使用し、これらの用語は、それぞれ、デバイスまたは関連する物体のハンドル/医師側端部とデバイスまたは関連する物体の器具/患者側端部とを指す。「約」、「実質的に」、「概して」という用語および他の程度の用語は、任意の量、寸法、比例または他の量的もしくは質的値に関して使用する場合、当業者(本技術分野における経験がある医療デバイス技術者と同義)により理解される標準パラメータ内の明確なかつ識別可能な値を伝えるように意図され、少なくとも任意の法的均等物、軽微なただし機能的に有意でない変形、標準的な製造公差、および少なくとも数学的に有意な数字(ただし、その最大範囲程度に広い必要はない)を含むことを含むように解釈されるべきである。
【0013】
「制御ワイヤ」(単なる「ワイヤ」を含む)という用語は、本明細書では、操縦可能カテーテルの制御表面をカテーテルの偏向可能遠位部分に接続する長尺状の部材を示すために使用され、長尺状の部材は、金属材料、ポリマー材料、および/もしくは(非限定的な例として)超高分子量ポリエチレン糸(例えば、DyneemaTM)、アラミド繊維、モノフィラメント線、マルチフィラメント/マルチフィラーケーブルを含む他の材料、ならびに/または予測可能な動作挙動を提供するために、このような材料の任意の組み合わせを含む、好ましくは長手方向伸縮性が低く高い引張強さを有する他の材料を含むことができる。制御ワイヤの遠位取付に関して、マルチフィラー、編組または他の構造が好ましく、これは、(例えば、さらに後述するように、単体の一体になったワイヤ構造より広い表面積を提供するために)少なくとも部分的にほつれているかまたは他の方法で部分的にばらばらになっている可能性がある。制御ワイヤの一例は、(ASTM D−1907に従って測定された)約0.18mmの非常に小さい外径と、高い強度(ASTM D−6775に従って測定された、約5.6kgおよび少なくとも4.75kg以上)と、低い長手方向伸縮性/伸び(ASTM D−6775に従って測定された、約5%±2%)とを有する、4×〜50デニールの超高靭性ポリエチレン組紐(例えば、Brookfield,ConnのTextile Development Associates Inc.から入手可能)を含むことができる。いくつかの好ましい制御ワイヤ実施形態は、非導電性かつ/または実質的に非伸縮性である高弾性繊維材料を含むか、またはさらにはそうした材料から構成することができる。一実施形態では、高弾性繊維制御ワイヤ材料を編み組むことができる。1つのこうした高弾性繊維材料は、高分子密度ポリエチレン(HMDP)(High Molecular Density Polyethylene)、メルトスパン液晶ポリマー繊維ロープ、もしくは紡糸したパラ系アラミド繊維ポリマー、または高強度セラミックファイバであり得る。いくつかの実施形態では、高弾性繊維制御ワイヤ材料は、約300ksi(2,000MPa)から1,500ksi(10,400MPa)の範囲の引張強さ、および/または約5,000ksi(35,000MPa)から約20,000ksi(140,000MPa)の範囲の引張係数を有することができる。
【0014】
操縦可能なカテーテルデバイス100の一実施形態を、図1を参照して記載する。操縦可能なカテーテルデバイス100は、近位側制御ハンドル本体102を含み、近位側制御ハンドル本体102は、それから遠位に延びる操縦可能なカテーテル本体104を有する。さまざまな実施形態は、本技術分野において既知である1つまたは複数の異なる操縦制御手段を含むことができる。この図示する実施形態は、外側制御ホイール110および内側制御ホイール130を含む制御ホイールの対を含む。後により詳細に示すように、外側制御ホイール110は、制御ワイヤの対と機械的に連絡するように配置され、制御ワイヤの対は、ホイールの回転時、カテーテル本体104を第1の平面に沿って偏向させるように動作可能であり、内側制御ホイール130は、別の制御ワイヤの対と機械的に連絡するように配置され、その制御ワイヤの対は、ホイールの回転時、第1の平面に対して略直交している可能性がある第2の平面に沿って、カテーテル本体104を偏向させるように動作可能である。外側ホイール110および内側ホイール130の同時のまたは逐次の動作により、好ましくは、カテーテル本体104の遠位端部分160が、概してカテーテルの周縁によって画定される360度の円の周囲を任意の方向に偏向することができる。この実施形態はまた、搭載構造体106を示し、搭載構造体106は、操縦可能なカテーテル100を別のデバイス(例えば、内視鏡または他の機器)に搭載するために使用され得る。操縦機構は、全体として参照により本明細書に援用される、Williamsによる米国特許出願公開第2015/0366435号明細書における等、本技術分野において周知である。記載されている全体的な制御構造も、特に内視鏡の技術分野を含む操縦可能デバイスの技術分野において周知であるが、それらのデバイスには、制御ワイヤに効率的にかつ有効に張力をかける、本明細書に開示する精密制御機構がない。本開示と一致するいくつかの実施形態は、例えば、より大型の内視鏡とかつそれを通して使用されるように構成された胆道鏡として等、内視鏡デバイスとしてこうした実施形態を使用するために、少なくとも1つの可視化素子(サポートするハードウェアおよび/またはソフトウェア(図示しないが、本技術分野において周知であり、CCD、光ファイバ、CMOS等の電気および/または光学デバイスを使用するものとして容易に理解可能である)とともに)含むことができる。
【0015】
操縦可能なカテーテルデバイス100の制御ハンドル部分の部分分解図を図2に示し、その中のスプールアセンブリを図3により詳細に示す。外側制御ホイール110は、外側スプール112のシャフト114に係合し、外側スプール112の回転を制御する。外側スプール112は、その外周表面に円周方向溝115を含み、その溝115はチューブ117を受け入れ、チューブ117を通って、対向する第1の制御ファイバ116および第2の制御ファイバ118の近位端領域が延在する。外側スプール112は、2つの歯車取付開口部121a、121bを含み、それらの各々が、歯車150の分割取付端部152を受け入れ、かつそれと回転可能な係合を形成する。内側制御ホイール130は、内側スプール132のシャフト134と係合し、内側スプール132の回転を制御する。内側スプール132は、その外周表面に円周方向溝135を含み、この溝135はチューブ137を受け入れ、チューブ137を通って、対向する第3の制御ファイバ136および第4の制御ファイバ138の近位端領域が延在する。各制御ワイヤの近位端先端(図7Eの例以外に図示せず)は、歯車に固定されている。当業者であれば、外側制御ホイール110の回転作動が、外側スプール112の対応する回転作動をもたらし、内側制御ホイール130の回転作動が、外側スプール132の対応する回転作動をもたらすことを理解するであろう。
【0016】
図3および図4Aに示すように、外側スプールシャフト114は、内側スプール132およびそのシャフト134の中心通路を通りかつそれを越えて延びる。図3では、4つの実際の歯車150の2つのみを特に示すが、4ワイヤ制御システムは、4つの歯車150を含み、そのそれぞれは、これら4つのワイヤ(例えば、参照番号116、118、136、138)の1つの近位端部分を固定していることが理解されるべきである。歯車150のより詳細な図を図7A図7Dに示す。各スプール112、132は、ここで、可撓性梁122a、122b、142a、142bとして示す歯車係合移動止めも含む。外側スプール112は、歯車調節アクセス開口部124a、124bの対も含み、歯車調節アクセス開口部124a、124bは、2つのスプール112、132が例えば図3および図4Aに示すような所定の位置において回転可能に方向付けられかつ位置合わせされたときに、内側スプール132に係合した歯車150へのアクセスを可能にする。この構造形態により、ユーザは、歯車150のそれぞれにアクセスし、それを回転させることで、歯車に取り付けられた制御ワイヤのたるみおよび/または張力を調節することができる。この機能は、スプールが組み合わされたときおよびスプールがそれらの対応する制御ホイール110、130に係合しているときにも残るが、スプールが(内側スプール132の組立後調節に必要な)所定の状態で位置合わせされていることを前提とする。
【0017】
図4A図4Bは、内側スプール132と/内側スプール132内に回転可能に係合した外側スプール112を示し、外側スプールの開口部121a、121bに回転可能に係合した歯車150の分割取付端部152が見える。歯車150の六角受入頭部154(内側スプール132に回転可能に係合する)が歯車調節アクセス開口部124a、124b内に見える。外側スプール管117および内側スプール管137は、それらの対応する溝115、135に係合した状態で示される。制御ワイヤ116、118は、外側スプール管117の端部から延び、制御ワイヤ136、138は、内側スプール管137の端部から延びる。
【0018】
図5A図5Bおよび図6A図6Bにそれぞれ示すように、内側スプール132および外側スプール112は、それぞれ制御ワイヤ通路を含む。図5Aは、内側スプール132の外側スプールに面する表面を示し、図5Bは、歯車150を搭載した状態の同じ表面を示す。内側スプール132では、制御ワイヤ通路146a、146bの対は、溝135からそれぞれ歯車受入部145a、145bに延びる。図6Aは、外側スプール112の外側に面する表面を示し(外側スプール112に係合した歯車を、その移動止め142a、142bの開口内、および内側スプール132に係合した歯車の図とともに含む)、図6Bは、歯車のない対向する表面を示す。外側スプール112では、制御ワイヤ通路126a、126bの対は、溝115からそれぞれ歯車受入部125a、125bに延びる。各通路の向きは、溝と歯車受入部との両方に対して最小角度を設けるように構成されているため、制御ワイヤが通路を通して案内され、歯車に係合されたとき、接結点として機能し得、および/またはデバイスの操作中に制御ワイヤに対して望ましくない点応力を導入し得る応力集中部が最小限となる。スプールに組み付けられ、制御ワイヤと係合すると、各歯車は、中心半径方向/回転軸に沿って移動することなくまたはこの軸から外れることなく所定の位置で回転する。
【0019】
図7A図7Dは、制御ワイヤ張力調整歯車150の4つの図を示す。各歯車は、広がった/分割取付端部152を含み、広がった/分割取付端部152は、歯車搭載開口部(121a、121b、141a、141b)に「クリップイン」係合させ、歯車搭載開口部(121a、121b、141a、141b)内で回転させるのに使用される。分割取付端部152は、これらの歯車搭載開口部内に確実であるものの回転可能に係合するのに十分に可撓性かつ弾性である。各歯車は、歯付円板158に接続されかつコア部材によって歯付円板158から離された六角受入頭部154(ここでは平坦かつ円形として示される)も含み、六角受入頭部154の表面は、歯車150の制御ワイヤ受入周囲溝156を形成する。
【0020】
隣接する歯158の面は、図面に示すように、互いに対して約90°かつ半径方向中心直径に対して約45°に方向付けられていることが好ましい。この構造により、隣接する歯間における移動止めの四角形の端部の強固かつ確実な係合がもたらされる。例えば、図6Aに示すように、可撓性梁122aとして具現化された移動止めの四角形の端部は、隣接する歯間に強固かつ確実に係合している。当業者であれば、歯車を回転させるために六角頭のツール(例えば、Allenレンチ)を分割取付端部152の六角形の開口部内に係合させ得ることを理解するであろう。図6Aにおいて、表面に表示された矢印122xによって示される、右下の歯車の時計回り方向における回転は、梁122aを偏向させ、歯車を制御された状態で回転させる。図6Bを参照すると、溝115から通路126aを通って歯車受入部125aに送られる制御ワイヤを歯車受入部125a内の歯車に固定することができ、(前記回転によって)歯車の周りに巻き付けてたるみを回収し、張力を調節することが理解されよう。歯車を所望よりもさらに巻いた場合、歯車を反対方向に回転させる/解放するように移動止め122aを偏向させることができる(それにより、制御ワイヤにかかる張力を低減する)。
【0021】
図6Aおよび図5Bを参照すると、内側スプールと外側スプールとが組み合わされたとき、内側スプール132の移動止め142a、142bおよび歯車を調節し得ることも理解すべきである。歯車頭部154の六角形の開口部は、(図6Aの上部の)各表面表示矢印によって示される方向のワイヤ締付/張力調整用の回転のために係合させることができる。また、ユーザがいずれかの内側スプール歯車を反対方向に回転させることを望む場合、歯車に係合した内側スプール移動止め142a、142bを、それらの対応する分割取付端部152間の外部表面歯車の中心開口を通してそれらにアクセスすることによって偏向させることができる。好ましくは、各制御ワイヤ116、118、136、138は、それが係合しているスプールの周りに最大距離で案内され、当業者であれば、カテーテル遠位端の制御された偏向に関して、制御ワイヤのより望ましい機械的可動域が提供されることを理解するであろう。
【0022】
図4A図5A、および図6Bを参照して各制御ワイヤの好適な移動路について記載する。外側スプールにおいて、制御ワイヤ116は、管117の長手方向の中心内腔を通して配置され、制御ワイヤ通路126aと位置合わせされた管の開口(図示せず)から出て、この通路126aを通り、ワイヤ116は、歯車受入部125a内に回転可能に搭載された歯車の周りに係合するように配置される。制御ワイヤ118(制御ワイヤ118の遠位端は、制御ワイヤ116に略またはちょうど180°対向して、遠位側カテーテル部分に確実に固定的に取り付けられていることが好ましい)は、管117の長手方向の中心内腔を通して配置され、制御ワイヤ通路126bと位置合わせされた管の開口(図示せず)を出て、この通路126bを通り、ワイヤ118は、歯車受入部125b内に回転可能に搭載された歯車の周りに係合するように配置される。
【0023】
内側スプールにおいて、制御ワイヤ136は、管137の長手方向の中心内腔を通して配置され、制御ワイヤ通路146aと位置合わせされた管の開口(図示せず)を出て、この通路146aを通り、ワイヤ136は、歯車受入部145a内に回転可能に搭載された歯車の周りに係合するように配置される。制御ワイヤ138(制御ワイヤ138の遠位端は、制御ワイヤ136に略またはちょうど180°対向して、遠位側カテーテル部分(図示せず)に確実に固定的に取り付けられていることが好ましい)は、管137の長手方向の中心内腔を通して配置され、制御ワイヤ通路146bと位置合わせされた管の開口(図示せず)を出て、この通路146bを通り、ワイヤ138は、歯車受入部145b内に回転可能に搭載された歯車の周りに係合するように配置される。
【0024】
各制御ワイヤは、操縦可能なカテーテルデバイスの組立時のたるみの除去および張力調整のみならず、遠位側カテーテル部分の操縦/偏向を含むデバイスの動作中についても、デバイスの予測可能かつ望ましい性能を提供するような状態で歯車150に確実にかつ永久的に取り付けられていることが好ましい。上記に鑑み、組立中、制御ワイヤの近位端は、制御ワイヤ通路を通って歯車受入部に案内されることを理解すべきである。例示的な説明のために、ここで、図6Bおよび図7A図7Fを参照する。制御ワイヤ通路126bを通して案内されると、制御ワイヤ118(図6B図7Dには図示せず)の遠位端は、歯車150の溝156と整列する位置において歯車受入部125bを横断する。
【0025】
好適な一実施形態では、制御ワイヤは、溝156から、歯車頭部154を通して開けられたワイヤ固定窓部155を通して案内される。その窓部155から、ワイヤ118の遠位端は、歯車頭部154の外面に半径方向に配置されたスロット155aに沿ってかつスロット155a内を通り、その後、切欠部155b(この切欠部は、歯車頭部154の外周内にある)を通って歯車頭部154の厚みを横断する。そこで、ワイヤ118の遠位端は、溝156内を戻り、ワイヤ118のより遠位側でない部分の周りで結ぶことができ、結節は、接着剤で固定されることが好ましい(結節は、不図示であるが、様々な結節および接着剤が当該技術分野において周知である)。溝内のコアにワイヤを数回巻くことでワイヤを溝の周りでさらに摩擦的に固定し、その上、上述のようにワイヤのたるみを取り、ワイヤに張力をかけるために、調節のため歯車の分割取付端部152を歯車搭載開口部121bに取り付け得る/「クリック止め」し得ることが理解されよう。当業者であれば、4つのワイヤおよび歯車が、遠位側カテーテル端部の全4つの横断軸に沿ったかつ4つの横断軸間における制御された偏向/移動を提供する、図面および本明細書の各4つの歯車に対する制御ワイヤの確実な巻取性を提供することに関するこの工程を理解するであろう。制御ワイヤは、歯車頭部の周りに/歯車頭部を通して固定され、コア/シャフト(例えば、コア/シャフト内の穴/窓)を通して固定されないことが好ましく、これは、組立を容易にするため、およびまた操縦可能なカテーテルの張力調整および動作中、ワイヤのその荷重支持領域に沿って存在する応力集中部を最小にするためである。
【0026】
前述の実施形態は、制御ワイヤを固定するための当該技術分野で周知の他の方法を上回りかつそれと異なる利点を提供する。これには、制御ワイヤ/ファイバの張力を歯車および移動止め構造によって調節する動的機能、ならびに外部表面に沿って引き回すよりもむしろスプール/プーリの内部トラックを通して配置される制御ワイヤ/ファイバの最近位長さを有することを含む(参照により全体が本明細書に援用される、例えばWilliamsらに付与された共有の米国特許出願公開第2015/0366435号明細書を参照されたい)。
【0027】
操縦可能なカテーテルデバイス(胆道鏡として使用するために構成されるデバイスなどの特に非常に小さい直径のデバイスを含む)の作製における課題の1つは、遠位端内の制御ワイヤを確実にかつ固定的に/永久的に取り付けることであり、これは、予測可能かつ一貫した操縦性能のために必須である。図1を参照すると、このようなデバイスでは、遠位端部分160(ここでは最遠位端部先端までの遠位長さを含む)を、カテーテル本体の横断方向周囲によって略画定される360度の円のあらゆる方向に方向付けることができるように、操縦機構によって精密かつ正確に制御されることが好ましい。図8は、遠位端カテーテル本体部分160の横断面図(図1の線8−8に沿って取られた)を示す。
【0028】
図示されるカテーテル本体遠位部分160は、カテーテル本体104内に長手方向に延びる8つの内腔を含み、これらの内腔のすべては、少なくとも概ね、好ましくは実質的に、またはさらには厳密に互いに平行である。第1の制御ワイヤ内腔166および第2の制御ワイヤ内腔168は、対になった対向する制御ワイヤ116、118を受け入れることができ、第1の内腔および第2の内腔は、カテーテル本体の半径方向に中心からずれた長手方向軸にわたって互いに半径方向に180°反対側に配置されている。第3の制御ワイヤ内腔176および第4の制御ワイヤ内腔178は、対になった対向する制御ワイヤ136、138を受け入れることができ、第3の内腔および第4の内腔も、カテーテル本体の半径方向に中心からずれた長手方向軸にわたって互いに半径方向180°反対側に配置されている。図示するように、カテーテル本体の半径方向に中心からずれた長手方向軸に対して、第1の内腔および第4の内腔、ならびに第2の内腔および第3の内腔は各々、それぞれ互いから半径方向に90°未満に配置されている。図示する他の大きい方の内腔は、制御ワイヤの通過を可能にする以外の目的で(例えば、ワイヤガイドまたは他の付属品、照明構造、可視化素子/構造の通過、流体の導入/抽出および/または他の目的で)構成することができる。一実施形態では、遠位端部分160の外径は、約4mmであり得、制御ワイヤ内腔166、168、176、178の内径は、それぞれ約0.3mmであり、その他の内腔の内径は、約0.75mm〜約1.5mmの範囲である。
【0029】
制御ワイヤ内腔の各々の中では、それぞれの制御ワイヤは、最も好ましくは、対応する制御ワイヤ内腔の最遠位末端長さ部分内に確実にかつ固定して取り付けられる最遠位長さ部分を除き、長手方向に自由に移動することができる。好ましい実施形態では、制御ワイヤ内腔の少なくともその最遠位末端長さ部分は、カテーテル本体の最遠位先端においてまたはその近くで明確には大きくならない、一貫した/一定のかつ一様の内径を有する。他の実施形態では、制御ワイヤ内腔の最遠位末端長さ部分は、より大きい内径までわずかにただし平滑に広がることができ、直径にいかなる段状または急な遷移はない。これは、図9により明確に示され、図9は、半径方向に中心からずれた長手方向軸を通って横断する、図8の線9−9に沿った遠位カテーテル本体部分160の縦断面図である。
【0030】
ここで、各制御ワイヤ内腔に有用な制御ワイヤを固定する非限定的な例示的方法を、図9A図9Dを参照して記載する。ワイヤおよび接着剤は、均一な縮尺で描かれていない。図9Aに示すように、制御ワイヤ116は、制御ワイヤ内腔166を通して案内され、制御ワイヤの最遠位端部末端長さをカテーテル遠位端部分160の遠位側先端の外に残す。露出したワイヤの長手方向部分116xは、ほぐれているかまたは他に少なくとも部分的にばらばらになっている。UHMWPE繊維、他のポリエチレン繊維、または編み込まれたもしくは撚られたポリマー繊維または糸では、これは、ピンセットで把持し、ワイヤの最遠位末端に沿ってかつそれを越えて引っ張ることによって行われ得る。別の糸またはケーブル材料を含む制御ワイヤは、最も好ましくは、これらの構成繊維の長手方向の構成を破壊、切断または弱化させることなく、複数のまたは他の多様な構成繊維へと巻きを解かれるかまたは他にばらばらにされ得る。
【0031】
側穴163、165の対も図9A図9Dに示す。これらの穴は、流動接着剤を内腔166に導入するために構成される。図9Bに示すように、ワイヤ116は、好ましくは、ほぐれた/ばらばらになった遠位端が遠位側末端カテーテル端部と少なくとも略整列するかまたは面一になるように内腔166に引き込まれる。その後、図9Cに示すように、より粘性のある接着剤172がより近位側の穴163を通して内腔166におよびワイヤ116の周りに吸い上げられるかまたは他に案内され、接着剤は、ワイヤを略取り囲み、ワイヤに少なくとも部分的に浸透し得る(特にほぐれた/ばらばらになった遠位長さ116xが、より近位側の穴163の近位側にまたはそれを越えて延びる実施形態において)。吸い上げ、注入、または他の手段によるものであるかを問わず、接着剤の導入は、いくらかの毛細管作用も含み得、それにより、ワイヤ116およびそのほぐれた部分内およびその周囲において内腔166の断面を満たすことが可能になる。最も好ましくは、より粘性のある接着剤172は、より遠位側の側穴165を塞がない。図9Dに示すように、より粘性のない接着剤174は、より遠位側の穴165を通して内腔166におよびワイヤの周りに吸い上げられるかまたは他に案内され、接着剤は、ワイヤを略取り囲み、ワイヤに少なくとも部分的に浸透し得、できる限り完全に最遠位末端ワイヤ端部116xのほぐれているかまたは他に少なくとも部分的にばらばらになっている要素間に浸透し、分散し、これら要素と係合する。その後、任意の余分な接着剤を除去し、ワイヤ116を内腔166の遠位長さ内に永久的に定着させ固定するように接着剤を硬化および固化させる。より近位側では、ワイヤは、好ましくは、内腔内を少なくとも略自由に移動可能であり、その反対側の(近位側)端部は、上述のようにまたは当該技術分野で周知のもしくは開発される他の手段によって制御ハンドル内に固定され得る。
【0032】
当業者であれば、本明細書に開示される新規な構造および方法に鑑み、様々な異なる特定の接着剤を用い得ることを理解するであろう。接着剤の特定の選択は、カテーテルおよびワイヤに使用される材料に合わせて、ならびに寸法および所与の操縦可能なカテーテルが構成される特定の用途/環境に関して異なり得る。本開示の一例示的実施形態は、PEBAX−7233とナイロン−12との50/50ブレンドとして押し出された最遠位端部末端カテーテル長さ160を含む。この材料および4x−50デニール超高強度ポリエチレンブレード(上述され、その最遠位末端長さ116xを引き出し、ほぐした)において、近位側に用いるより粘性のある接着剤の一例は、約100cPのシアノアクリレート(例えば、LoctiteTM401)であり得、遠位側に用いるより粘性のない接着剤の一例は、約3cPのシアノアクリレート(例えば、LoctiteTM4014)であり得る。
【0033】
他の効果的な接着剤としては、紫外線硬化性接着剤および/または他の光硬化性接着剤が挙げられ得る。接着剤の粘度は、ワイヤ内腔およびワイヤの絶対寸法および相対寸法を特に参照して選択され得る。特にワイヤの材料および寸法は、破壊または伸展することなく、内腔内で拘束されることなく、また全体的なデバイスを所望の寸法に維持するのに十分に小さいままで所望の/必要な力を伝達するように選択される。また、カテーテルは、(例えば、カテーテル壁内に、カテーテル壁の外部に)1つ以上の金属製および/またはポリマー製補強部材を含み得るが、制御ワイヤは、任意のこのような部材に接着剤によっても他の係合によっても直接取り付けられない。好適な実施形態では、制御ワイヤは、本明細書に記載されるデバイス実施形態で企図される非常に小さい直径において所望の強度および限定された弾性を提供する材料で作製されるいかなるシース部材も排除する。
【0034】
当業者であれば、特許請求の範囲の範囲内にありつつも、異なる実施形態において本明細書に記載した特徴を互いにおよび/または現在周知のもしくは将来開発される技術と組み合わせ得ることを含め、本明細書に明示的に示していない実施形態を特許請求の範囲の範囲内において実施し得ることを理解するであろう(非限定的な例として、制御ワイヤ/ファイバの近位側および遠位側の取付に関して図面に示す特徴の任意の組み合わせを含む)。本明細書では特定の用語を採用しているが、それらは、文脈、使用または他の明示的な指示による明確な定義のない限り、限定する目的ではなく、包括的なかつ説明的な意味でのみ使用される。したがって、上述した詳細な説明は、限定ではなく例示するものとしてみなされるべきであることが意図される。本明細書におけるあらゆる業界標準規格(例えば、ASTM規格および特定のポリマーなどの製品識別子および任意の商標)の参照は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、本開示の最初の出願日付時点で公開されている規格ならびに対応する定量的および定性的に定義されている仕様に適合するものとして定義される。また、すべての均等物を含む以下の特許請求の範囲は、本発明の趣旨および範囲を定義するように意図されていることが理解されるべきである。さらに、上述した利点のみが、必ずしも本発明の利点であるとは限らず、記載した利点のすべてがすべての実施形態で達成されるとは必ずしも期待されない。本出願からの任意の一貫しない開示または定義が参照により援用されるいずれかの文献と矛盾する場合、本明細書における開示または定義が優先されるようにみなされるべきである。

図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図8
図9
図9A
図9B
図9C
図9D