特許第6775748号(P6775748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775748コンピュータシステム、位置推測方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775748
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】コンピュータシステム、位置推測方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01B 21/00 20060101AFI20201019BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01B21/00 E
   G01B11/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-545514(P2019-545514)
(86)(22)【出願日】2017年9月28日
(86)【国際出願番号】JP2017035308
(87)【国際公開番号】WO2019064457
(87)【国際公開日】20190404
【審査請求日】2020年3月18日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500521522
【氏名又は名称】株式会社オプティム
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】菅谷 俊二
【審査官】 梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2017/0067734(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/163107(WO,A1)
【文献】 特開2000−013782(JP,A)
【文献】 特開2016−105081(JP,A)
【文献】 特開2008−090808(JP,A)
【文献】 特開平11−166827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00 − 11/30
G01B 21/00 − 21/32
G01C 1/00 − 1/14
G01C 5/00 − 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部と記憶部とカメラとを有するドローンを備え、
前記記憶部は、対象物を撮影した画像から前記対象物の有無を特定可能な対象物データが記憶された対象物データ記憶手段を有し、
前記制御部は、
前記カメラの撮影方向を重力方向に向け、前記ドローンの直下にある直下画像を撮影する直下画像撮影手段と、
前記対象物を撮影したカメラの3次元の位置データ及び前記ドローンに設定された飛行経路に基づいた飛行高度データを取得する位置データ取得手段と、
前記対象物データから、前記直下画像に前記対象物が映っているか否かを判断し、前記対象物が映っている場合に、前記直下画像における対象物の位置と前記カメラの3次元の位置データとから、前記対象物の撮影画像内における位置を特定する仮位置特定手段と、
前記カメラの撮影方向を、前記カメラの3次元の位置データに相当する位置から、前記対象物の撮影画像内における位置に基づいて、当該対象物の位置に向けた方向に傾かせるカメラ傾動手段と、
前記カメラの3次元の位置データ及び前記カメラ傾動手段によって傾いている前記カメラの傾きの角度における正接と取得した前記飛行高度データとに基づいて、当該ドローンと前記対象物との間の距離を算出し、算出した当該距離と、取得した前記位置データとに基づいて、前記対象物の絶対的な位置を推測する、絶対的位置推測手段と、
を有することを特徴とするコンピュータシステム。
【請求項2】
前記記憶部は、前記位置と当該位置における高度とを対応付けて記憶する高度記憶手段をさらに有し、
前記絶対的位置推測手段は、推測した前記絶対的な位置に対応付けられた高度を推測する、ことを特徴とする請求項1に記載のコンピュータシステム。
【請求項3】
制御部と記憶部とカメラとを有するドローンが実行する位置推測方法であって、
前記記憶部は、対象物を撮影した画像から前記対象物の有無を特定可能な対象物データが記憶された対象物データ記憶手段を有し、
前記制御部は、
前記カメラの撮影方向を重力方向に向け、前記ドローンの直下にある直下画像を撮影するステップと、
前記対象物を撮影したカメラの3次元の位置データ及び前記ドローンに設定された飛行経路に基づいた飛行高度データを取得するステップと、
前記対象物データから、前記直下画像に前記対象物が映っているか否かを判断し、前記対象物が映っている場合に、前記直下画像における対象物の位置と前記カメラの3次元の位置データとから、前記対象物の撮影画像内における位置を特定するステップと、
前記カメラの撮影方向を、前記カメラの3次元の位置データに相当する位置から、前記対象物の撮影画像内における位置に基づいて、当該対象物の位置に向けた方向に傾かせるステップと、
前記カメラの3次元の位置データ及び前記カメラの傾きの角度における正接と取得した前記飛行高度データとに基づいて、当該ドローンと前記対象物との間の距離を算出し、算出した当該距離と、取得した前記位置データとに基づいて、前記対象物の絶対的な位置を推測するステップと、
を備えることを特徴とする位置推測方法。
【請求項4】
制御部と記憶部とカメラとを有するドローンを備え、
前記記憶部は、対象物を撮影した画像から前記対象物の有無を特定可能な対象物データが記憶された対象物データ記憶手段を有する、コンピュータシステムに、
前記カメラの撮影方向を重力方向に向け、前記ドローンの直下にある直下画像を撮影するステップ、
前記対象物を撮影したカメラの3次元の位置データ及び前記ドローンに設定された飛行経路に基づいた飛行高度データを取得するステップ、
前記対象物データから、前記直下画像に前記対象物が映っているか否かを判断し、前記対象物が映っている場合に、前記直下画像における対象物の位置と前記カメラの3次元の位置データとから、前記対象物の撮影画像内における位置を特定するステップ、
前記カメラの撮影方向を、前記カメラの3次元の位置データに相当する位置から、前記対象物の撮影画像内における位置に基づいて、当該対象物の位置に向けた方向に傾かせるステップ、
前記カメラの3次元の位置データ及び前記カメラの傾きの角度における正接と取得した前記飛行高度データとに基づいて、当該ドローンと前記対象物との間の距離を算出し、算出した当該距離と、取得した前記位置データとに基づいて、前記対象物の絶対的な位置を推測するステップ、
を実行させるためのコンピュータ読み取り可能なプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物を撮影することにより、この対象物の位置を推測するコンピュータシステム、位置推測方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ドローン等により、上空から様々な画像を撮影することが行われている。このような撮影において、この画像に写っている対象物の位置データ(緯度及び経度)を推測するために、ドローンを対象物の上空まで移動させることが行われている。このような位置の推測において、ドローン自体の位置データは、把握しているため、このドローンの位置データを、対象物の位置データとして推測することにより行われる。
【0003】
しかしながら、ドローンを対象物まで移動させる手間がかかることから、このような方法とは異なる方法により、対象物の位置データを推測することが求められている。対象物の位置データの推測方法として、例えば、ステレオカメラを用いて対象物を撮影し、撮影画像と、ジャイロセンサにより検出したステレオカメラの傾きとにより、対象物の位置データを推測する構成が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017−32276
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の構成では、対象物をステレオカメラで撮影する必要があることから、ドローン等に取り付ける場合、コストの増大や装置の大型化及び消費電力の増加に伴う飛行時間の減少等の問題があることから利便性が低くなってしまうおそれがあった。
【0006】
本発明は、カメラで撮影するだけで、撮影された対象物の絶対的な位置を推測することにより、利便性を向上させたコンピュータシステム、位置推測方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0008】
本発明は、制御部と記憶部とカメラとを有するドローンを備え、
前記記憶部は、対象物を撮影した画像から前記対象物の有無を特定可能な対象物データが記憶された対象物データ記憶手段を有し、
前記制御部は、
前記カメラの撮影方向を重力方向に向け、前記ドローンの直下にある直下画像を撮影する直下画像撮影手段と、
前記対象物を撮影したカメラの3次元の位置データ及び前記ドローンに設定された飛行経路に基づいた飛行高度データを取得する位置データ取得手段と、
前記対象物データから、前記直下画像に前記対象物が映っているか否かを判断し、前記対象物が映っている場合に、前記直下画像における対象物の位置と前記カメラの3次元の位置データとから、前記対象物の撮影画像内における位置を特定する仮位置特定手段と、
前記カメラの撮影方向を、前記カメラの3次元の位置データに相当する位置から、前記対象物の撮影画像内における位置に基づいて、当該対象物の位置に向けた方向に傾かせるカメラ傾動手段と、
前記カメラの3次元の位置データ及び前記カメラ傾動手段によって傾いている前記カメラの傾きの角度における正接と取得した前記飛行高度データとに基づいて、当該ドローンと前記対象物との間の距離を算出し、算出した当該距離と、取得した前記位置データとに基づいて、前記対象物の絶対的な位置を推測する、絶対的位置推測手段と、
有することを特徴とするコンピュータシステムを提供する。
【0009】
本発明によれば、コンピュータシステムは、制御部と記憶部とカメラとを有するドローンを備え、前記記憶部が、対象物を撮影した画像から前記対象物の有無を特定可能な対象物データが記憶された対象物データ記憶手段を有し、前記制御部が、前記カメラの撮影方向を重力方向に向け、前記ドローンの直下にある直下画像を撮影し、前記対象物を撮影したカメラの3次元の位置データ及び前記ドローンに設定された飛行経路に基づいた飛行高度データを取得し、前記対象物データから、前記直下画像に前記対象物が映っているか否かを判断し、前記対象物が映っている場合に、前記直下画像における対象物の位置と前記カメラの3次元の位置データとから、前記対象物の撮影画像内における位置を特定し、前記カメラの撮影方向を、前記カメラの3次元の位置データに相当する位置から、前記対象物の撮影画像内における位置に基づいて、当該対象物の位置に向けた方向に傾かせ、前記カメラの3次元の位置データ及び前記カメラの傾きの角度における正接と取得した前記飛行高度データとに基づいて、当該ドローンと前記対象物との間の距離を算出し、算出した当該距離と、取得した前記位置データとに基づいて、前記対象物の絶対的な位置を推測する。
【0010】
本発明は、コンピュータシステムのカテゴリであるが、位置推測法及びプログラム等の他のカテゴリにおいても、そのカテゴリに応じた同様の作用・効果を発揮する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、カメラで撮影するだけで、撮影された対象物の絶対的な位置を推測することにより、利便性を向上させたコンピュータシステム、位置推測方法及びプログラムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、位置推測システム1の概要を示す図である。
図2図2は、位置推測システム1の全体構成図である。
図3図3は、ドローン10の機能ブロック図である。
図4図4は、ドローン10が実行する位置推測処理を示すフローチャートである。
図5図5は、ドローン10が実行する対象物の位置推測を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【0014】
[位置推測システム1の概要]
本発明の好適な実施形態の概要について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の好適な実施形態である位置推測システム1の概要を説明するための図である。位置推測システム1は、ドローン10から構成され、所定の飛行高度で飛行し、様々な動画や静止画等の画像を撮影するコンピュータシステムである。
【0015】
ドローン10は、動画や静止画等の画像を撮影するカメラ等の撮影装置、撮影装置の傾きを検出するジャイロセンサ、加速度センサ、高度計、風向センサ等の各種センサ、飛行に必要なプロペラや動力等を備える。ドローン10は、予め設定された飛行経路や図示していない情報端末が指定する飛行経路に基づいて飛行する。
【0016】
ドローン10は、位置を推測したい対象物に関するデータ(特徴点や特徴量等)を取得し、記憶する。これは、図示していない情報端末から取得してもよいし、ドローン10に、この対象物に関するデータを入力していてもよい。
【0017】
なお、ドローン10は、無線接続又は有線接続により、図示していない情報端末と接続されていてもよい。このとき、ドローン10は、情報端末に撮影した画像や、各種センサが検出したデータを送信してもよい。
【0018】
はじめに、ドローン10は、予め設定された飛行経路に基づいて飛行するとともに、撮影装置により、自身の直下を撮影する(ステップS01)。この飛行経路には、自身が飛行する飛行高度、経由地及び緯度・経度等が含まれる。
【0019】
ドローン10は、撮影装置が撮影した画像を、撮影画像として取得し、取得した撮影画像を画像解析する(ステップS02)。ドローン10は、撮影画像の特徴点又は特徴量の何れか又は双方を解析することにより、撮影画像に含まれる物体等を特定する。特徴点とは、撮影画像に写っている何かであり、具体的には、形状、色、輝度、輪郭等である。また、特徴量とは、撮影画像データから算出した各種数値(画素値の平均、分散、ヒストグラム等)等の統計的な数値である。
【0020】
ドローン10は、予め取得した対象物のデータと、画像解析の結果得られた撮影画像における特徴点や特徴量とを比較し、撮影画像における対象物の有無を画像解析により解析する。
【0021】
ドローン10は、画像解析の結果、撮影画像に対象物が含まれているか否かを判断する。ドローン10は、対象物が含まれていないと判断した場合、設定された飛行を継続する。一方、ドローン10は、対象物が含まれていると判断した場合、撮影画像における対象物の位置を特定する(ステップS03)。ドローン10は、これらの処理により、対象物を撮影した撮影画像を取得するとともに、その位置を特定する。このとき、ドローン10は、撮影装置の位置データを、自身の位置データ(緯度、経度、飛行高度等)と同一のものとして取得する。上述した処理により、ドローン10は、対象物を撮影した撮影装置の3次元の位置データを取得する。
【0022】
ドローン10は、特定した撮影画像内の対象物の位置に基づいて、撮影装置を回転させ、自身の緯度を示す直線に対して、平行に位置させる。ドローン10は、この位置における対象物に対する角度Aを取得する(ステップS04)。角度Aは、撮影装置が直下を撮影する際の角度を基準とし、対象物に対して撮影装置を傾けた角度である。
【0023】
ドローン10は、自身の飛行高度と角度Aの正接とに基づいて、対象物の位置を推測する(ステップS05)。ドローン10は、自身と対象物との間の距離を自身の飛行高度と角度Aの正接とに基づいて算出する。加えて、ドローン10は、算出した距離と、自身の位置とに基づいて、対象物の位置を推測する。この処理により、撮影装置の3次元の位置データに基づいて、対象物の絶対的な位置を推測する。
【0024】
以上が、位置推測システム1の概要である。
【0025】
[位置推測システム1のシステム構成]
図2に基づいて、本発明の好適な実施形態である位置推測システム1のシステム構成について説明する。図2は、本発明の好適な実施形態である位置推測システム1のシステム構成を示す図である。位置推測システム1は、ドローン10から構成されるコンピュータシステムである。
【0026】
ドローン10は、後述の機能を備えた上述した無人飛行機である。
【0027】
[各機能の説明]
図3に基づいて、本発明の好適な実施形態である位置推測システム1の機能について説明する。図3は、ドローン10の機能ブロック図を示す図である。
【0028】
ドローン10は、制御部11として、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を備え、通信部12として、他の機器と通信可能にするためのデバイス、例えば、IEEE802.11に準拠したWiFi(Wireless Fidelity)対応デバイスを備える。また、ドローン10は、記憶部13として、ハードディスクや半導体メモリ、記録媒体、メモリカード等によるデータのストレージ部を備える。また、ドローン10は、処理部14として、画像処理、各種計算、自身の位置データの処理、自身が有する撮影装置の制御処理等の各種処理を実行するためのデバイス等を備える。
【0029】
ドローン10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、通信部12と協働して、対象物データ取得モジュール20、位置データ取得モジュール21、出力モジュール22を実現する。また、ドローン10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、記憶部13と協働して、記憶モジュール30を実現する。また、ドローン10において、制御部11が所定のプログラムを読み込むことにより、処理部14と協働して飛行モジュール40、撮影モジュール41、解析モジュール42、算出モジュール43、推測モジュール44を実現する。
【0030】
[位置推測処理]
図4に基づいて、位置推測システム1が実行する学習処理について説明する。図4は、ドローン10が実行する位置推測処理のフローチャートを示す図である。上述した各モジュールが実行する処理について、本処理に併せて説明する。
【0031】
はじめに、対象物データ取得モジュール20は、対象物に関するデータである対象物データを取得する(ステップS10)。ステップS10において、対象物データ取得モジュール20は、後述するその位置を推測する対象物の対象物データを取得する。対象物データとは、例えば、対象物を一意に特定可能なデータであり、対象物の名称、種類等に加え、対象物の特徴点や特徴量である。特徴点は、例えば、対象物の形状、色、輝度、輪郭等である。また、特徴量は、例えば、画素値の平均、分散、ヒストグラム等の統計的な数値である。このような特徴点や特徴量は、図示してない情報端末と無線通信又は有線通信等によりデータ通信を行うことにより取得する。
【0032】
記憶モジュール30は、対象物データを記憶する(ステップS11)。
【0033】
飛行モジュール40は、予め設定された飛行経路に基づいて飛行を開始する(ステップS12)。ステップS12において、飛行モジュール40は、記憶モジュール30が記憶する飛行経路や図示していない情報端末からの指示等に基づいて飛行する。このとき、飛行経路には、自身が飛行する際の飛行高度、緯度及び経度に関するデータが含まれる。
【0034】
撮影モジュール41は、撮影画像を撮影する(ステップS13)。ステップS13において、撮影モジュール41は、ドローン10に対して、垂直な方向に向いた撮影装置により、撮影画像を撮影する。すなわち、撮影モジュール41は、ドローン10の直下を撮影する。
【0035】
解析モジュール42は、撮影画像を画像解析する(ステップS14)。ステップS14において、撮影画像の特徴点又は特徴量の何れか又は双方を解析することにより、撮影画像に写っている物体等を解析する。
【0036】
解析モジュール42は、ステップS11において記憶した対象物データと、画像解析の結果として得られた撮影画像の特徴点や特徴量とを比較し、撮影画像内に対象物が存在するか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15において、解析モジュール42は、撮影画像の特徴点や特徴量と一致する対象物データが存在するか否かを判断する。
【0037】
ステップS15において、解析モジュール42は、画像解析の結果、撮影画像の特徴点や特徴量と、対象物の特徴点や特徴量とが一致していないと判断した場合(ステップS15 NO)、対象物は存在していないと判断し、飛行モジュール40は、上述したステップS12の処理を再度実行し、飛行を継続する。
【0038】
一方、ステップS15において、解析モジュール42は、画像解析の結果、撮影画像の特徴点や特徴量と、対象物の特徴点や特徴量とが一致していると判断した場合(ステップS15 YES)、対象物が存在すると判断し、位置データ取得モジュール21は、自身の現在における3次元の位置データを取得する(ステップS16)。ステップS16において、位置データ取得モジュール21は、自身の位置データを、GPS等から取得する。また、位置データ取得モジュール21は、自身の飛行高度データを、上述したステップS12において設定された飛行経路から取得する。位置データ取得モジュール21が、ドローン10の位置データ及び飛行高度データを取得することにより、ドローン10の3次元の位置データを取得することになる。これにより、対象物を撮影した撮影装置の3次元の位置データを取得することが可能となる。これは、ドローン10の位置データと撮影装置の位置データとが略同一であるからである。すなわち、位置データ取得モジュール21は、ドローン10の3次元の位置データを取得することにより、撮影装置の3次元の位置データを取得する。
【0039】
なお、位置データ取得モジュール21は、自身の位置データを、自身に現在設定された飛行経路から取得してもよい。なお、ステップS16の処理は、後述する対象物の絶対的な位置を推測するまでの間の任意のタイミングで行われてもよい。
【0040】
解析モジュール42は、撮影画像内における対象物の位置を特定する(ステップS17)。ステップS17において、解析モジュール42は、撮影画像の中心を基準として、撮影画像における対象物の座標を把握することにより特定する。なお、解析モジュール42が実行する撮影画像内における対象物の位置の特定は、他の方法により行われてもよい。
【0041】
撮影モジュール41は、特定した撮影画像内における対象物の位置に基づいて、この対象物の位置に向けて、撮影装置を回転させ、撮影装置を対象物の方向に所定角度傾ける(ステップS18)。ステップS18において、撮影モジュール41は、撮影装置を、自身の緯度を示す直線に対して、平行な位置に回転させることにより、撮影装置を所定角度傾ける。
【0042】
撮影モジュール41は、この位置における撮影装置と対象物との間の角度Aを取得する(ステップS19)。ステップS19において、撮影モジュール41は、撮影装置が直下を撮影する際の状態を基準とし、この基準と、今回撮影装置が対象物に向いた状態との間の角度とを角度Aとして取得する。この角度Aが、撮影装置を傾けた角度に該当する。
【0043】
算出モジュール43は、この角度Aにおける正接と、位置データ取得モジュール21が取得した飛行高度データとに基づいて、ドローンと対象物との間の距離を算出する(ステップS20)。
【0044】
推測モジュール44は、算出したドローンと対象物との間の距離と、自身の位置データとに基づいて、対象物の絶対的な位置を推測する(ステップS21)。ステップS21において、推測モジュール44は、位置データ取得モジュール21が取得した自身の位置データの緯度と、算出した距離とに基づいてこの位置を推測する。すなわち、推測モジュール44は、ドローンと対象物とが同一経度上に存在することから、自身の位置データにおける緯度から算出した距離を加算又は減算(対象物の撮影画像における座標に基づいて、加算するか減算するのかは判断する)することにより、対象物の緯度を算出する。推測モジュール44は、算出した対象物の緯度と、ドローンの経度とに基づいて、対象物の絶対的な位置を推測する。
【0045】
図5に基づいて、推測モジュール44が実行する対象物の絶対的な位置の推測方法について説明する。図5は、推測モジュール44が対象物100の絶対的な位置を推測する方法を模式的に示した図である。図5において、ドローン10は、地面200に存在する対象物100の絶対的な位置を推測するものとして説明する。
【0046】
撮影装置から地面200に向けた垂線210、撮影装置から対象物100に向けて伸ばした直線(斜線220)及び垂線210と地面200とが直行する地点240と対象物100とを結ぶ直線(隣辺230)からなる直角三角形を仮想的に形成する。撮影モジュール41が撮影装置を傾けた角度Aとは、垂線210と斜辺220との間の角度を意味する。今回推測モジュール44が推測する対象物の絶対的な位置に必要な値は、隣辺230の長さである距離D、ドローン10の位置及び垂線210の長さである高度Hである。
【0047】
まず、ドローン10の位置は、飛行経路における現在地やGPS等から取得した位置データから取得可能である。次に、高度Hも、ドローン10の位置と同様に取得可能である。距離Dは、地点240における座標(例えば、XY座標系)から、角度Aの正接(tanAの値)と高度Hとから推測可能である。すなわち、推測した距離Dを、地点240における座標におけるX座標の値に加算又は減算することにより、対象物100の絶対的な位置を推測する。
【0048】
推測モジュール44は、対象物の標高を推測する(ステップS22)。ステップS22において、推測モジュール44は、記憶モジュール30が予め記憶した各位置とこの位置における標高とを対応付けたデータベースに基づいて、対象物の標高を推測する。このデータベースには、各位置における緯度・経度と、この緯度・経度における標高とが対応付けられている。推測モジュール44は、上述したステップS21の処理により推測した対象物の絶対的な位置(緯度・経度)に対応付けられた標高を、このデータベースを参照することにより推測する。
【0049】
出力モジュール22は、推測された対象物の位置(緯度・経度及び標高)及びこの対象物を一意に特定可能な識別子(名称、番号、種類等)を推測結果データとして出力する(ステップS23)。ステップS23において、出力モジュール22は、図示していない情報端末に対して、推測結果データを出力してもよいし、記憶モジュール30に対して出力し、記憶させてもよい。
【0050】
なお、上述した実施形態において、対象物は、静物である場合を前提として説明しているが、動物等の動きがあるものであってもよい。この場合、算出モジュール43は、対象物の位置に加え、この対象物の速度を算出する構成であってもよい。すなわち、対象物がドローン10に対して直角に動いているものとして、撮影モジュール41が移動前と移動後との其々の撮影画像を撮影し、推測モジュール44は、各時点における対象物の位置を推測し、算出モジュール43は、これらの2点間の距離と、移動前と移動後との間の時間とに基づいて、対象物の速度を算出すればよい。
【0051】
以上の処理において、画像解析処理、各種計算処理及び各種推測処理をドローン10が実行しているが、これらの処理の何れか又は双方は、必ずしもドローン10が実行する必要はない。例えば、ドローン10は、これらの処理に必要なデータを情報端末等に送信し、情報端末等がこれらの処理を実行する構成であってもよい。
【0052】
また、上述した実施形態において、一の対象物のみが存在する場合を前提として説明しているが、対象物が複数存在する場合であっても、本発明は、問題なく適用可能である。この場合、対象物毎に、上述した位置の推測を行えばよい。具体的には、撮影画像に複数の対象物を特定した場合、所定の条件(撮影画像の中心から近い座標順、撮影画像の中心から遠い座標順、予め対象物毎に設定された優先順位の高い順等)に沿って、撮影画像に存在する対象物の位置の推測を行っていけばよい。
【0053】
上述した手段、機能は、コンピュータ(CPU、情報処理装置、各種端末を含む)が、所定のプログラムを読み込んで、実行することによって実現される。プログラムは、例えば、コンピュータからネットワーク経由で提供される(SaaS:ソフトウェア・アズ・ア・サービス)形態で提供される。また、プログラムは、例えば、フレキシブルディスク、CD(CD−ROMなど)、DVD(DVD−ROM、DVD−RAMなど)等のコンピュータ読取可能な記録媒体に記録された形態で提供される。この場合、コンピュータはその記録媒体からプログラムを読み取って内部記憶装置又は外部記憶装置に転送し記憶して実行する。また、そのプログラムを、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等の記憶装置(記録媒体)に予め記録しておき、その記憶装置から通信回線を介してコンピュータに提供するようにしてもよい。
【0054】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述したこれらの実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0055】
1 位置推測システム、10 ドローン
図1
図2
図3
図4
図5