特許第6775767号(P6775767)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6775767-太陽電池パネル用端子ボックス 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775767
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】太陽電池パネル用端子ボックス
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/34 20140101AFI20201019BHJP
【FI】
   H02S40/34
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-57193(P2017-57193)
(22)【出願日】2017年3月23日
(65)【公開番号】特開2018-160988(P2018-160988A)
(43)【公開日】2018年10月11日
【審査請求日】2019年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114074
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 嘉一
(72)【発明者】
【氏名】荒井 厚
(72)【発明者】
【氏名】高木 哲也
(72)【発明者】
【氏名】今村 朋洋
【審査官】 吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−073978(JP,A)
【文献】 特開2006−049621(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3124624(JP,U)
【文献】 特開2015−026699(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0272573(US,A1)
【文献】 特開2013−062465(JP,A)
【文献】 特開2002−217343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 40/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材を有する筐体と、前記筐体の内部に組み込まれた複数の端子と、前記複数の端子間に接続されたバイパスダイオードとを備え、
前記筺体は、底部と前記底部の周囲から立設した側壁からなる上部が開口した箱型であって、当該上部の開口部を前記カバー部材で塞ぐものであり、
前記バイパスダイオードは、前記バイパスダイオードの下方に配設されている取付板に取り付けてあり、
前記取付板は、左右の両側の端部を上方に向けて折り返した接触部を有し、
前記接触部に接触した上部放熱板を前記バイパスダイオードの上方に配設してあり、
前記上部放熱板の上面に前記カバー部材が接触していて、
前記取付板は前記筐体の側壁から外側に突設延在した下部放熱板を有し、
前記下部放熱板は樹脂材で覆われていることを特徴とする太陽電池パネル用端子ボックス。
【請求項2】
前記バイパスダイオード及び取付板は封止材で封止されており、
前記封止材の上部から突設するように前記接触部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の太陽電池パネル用端子ボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池パネルを電気的に接続するのに用いられる端子ボックスに関する。
特に端子ボックス内に組み込まれているバイパスダイオードの放熱構造に係る。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネルは、発電量の増大を目的に複数のパネルが電気的に接続されて用いられている。
しかし、太陽光が充分に当たらないパネルや故障したパネルが一部に存在すると、そのパネルの起電力が低下する。
起電力が低下したパネルは、他のパネルの電流に対する抵抗成分となり、電圧降下の原因となる。
そこで、他の良好な起電力を有するパネルから不良パネルを分離するのにバイパスダイオードが配設されている。
従って、バイパスダイオードには順方向への大電流が流れるため、発熱が大きく、適正な使用温度を確保するための放熱手段が必要となる。
このようなバイパスダイオードが組み込まれた太陽電池パネル用端子ボックスは、感電防止及び風雨による腐食の防止を図るために、樹脂製の筐体に組み込まれているのが一般的である。
そこで、樹脂製の筐体を用いながら、放熱効果の高い端子ボックス構造が要求される。
【0003】
特許文献1には、蓋板をプラスチック樹脂部材及び金属部材で形成し、筐体内部に面する面に金属部材が取り付けられているか、あるいは金属部材の周囲がプラスチック樹脂部材で包囲されている構造を開示する。
また、前記金属部材がバイパスダイオードに接触している形態についても言及されている。
しかし、バイパスダイオードの発熱が前記金属部材に直接伝導されるものではなく、放熱性が不充分である。
特許文献2には、バイパスダイオードを放熱板に取り付けた構造を開示するが、この放熱板だけでバイパスダイオードからの発熱を放熱させるのには、大きな面積の放熱板が必要となり、端子ボックスが大きくなる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−027162号公報
【特許文献2】実用新案登録第3124624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、バイパスダイオードからの発熱を効率よく放熱することができる太陽電池パネル用端子ボックスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る太陽電池パネル端子用ボックスは、カバー部材を有する筐体と、前記筐体の内部に組み込まれた複数の端子と、前記複数の端子間に接続されたバイパスダイオードとを備え、前記筺体は、底部と前記底部の周囲から立設した側壁からなる上部が開口した箱型であって、当該上部の開口部を前記カバー部材で塞ぐものであり、前記バイパスダイオードは、前記バイパスダイオードの下方に配設されている取付板に取り付けてあり、前記取付板は、左右の両側の端部を上方に向けて折り返した接触部を有し、前記接触部に接触した上部放熱板を前記バイパスダイオードの上方に配設してあり、前記上部放熱板の上面に前記カバー部材が接触していて、前記取付板は前記筐体の側壁から外側に突設延在した下部放熱板を有し、前記下部放熱板は樹脂材で覆われていることを特徴とする。
本発明において、取付板は前記筐体の側壁から外側に突設した下部放熱板を有し、前記下部放熱板は樹脂材で覆われているものであってよい。
太陽電池パネルは、複数の電池セルを配列したモジュールである。
ここで、筐体及びカバー部材は樹脂部材で製作され、取付板及び放熱板は金属部材で製作されている。
取付板を上方に向けて折り返し形成した接触部は、金属部材である。
なお、この接触部は取付板と一体的であってもよく、別ピースを溶接等にて連結してもよい。
下部放熱板は取付板が延在するように、この取付板と一体的に形成してもよく、別の金属部材を取付板に溶接,ビス等にて連結してもよい。
【0007】
本発明において、バイパスダイオード及び取付板は封止材で封止されており、前記封止材の上部から突設するように前記接触部が形成されていてよい。
ここで、接触部が上部放熱板と接触していればよく、この上部放熱板は封止材と接触している形態と上部放熱板と封止材との間に空間層を有する形態の両方を含む。
封止材は、絶縁性の樹脂からなる充填材である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る太陽電池パネル用端子ボックスは、バイパスダイオードを取り付けた取付板にバイパスダイオードからの発熱を伝導及び放熱する効果を有しているが、さらにその熱を上方に向けて折り返し形成した接触部を経由して上部放熱板に伝導され、筐体の上方から放熱される。
【0010】
また、バイパスダイオードを取り付けた取付板に下部放熱板を設けると、上部放熱板と下部放熱板とで筐体の上下から放熱することができ、その結果として従来の端子ボックスに比較して、小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る太陽電池パネル用端子ボックスの封止前の構造例を示す。
図2】封止材を用いて、バイパスダイオード,端子を封止した状態を示す。
図3】上部放熱板を配設した状態を示す。
図4】(a)は部分拡大図を示し、(b)は図3におけるA−A線断面図を示し、(c)はB−B線断面図を示す。
図5】(a)は封止前、(b)は封止後、(c)は上部放熱板を取り付けた状態、(d)はカバー部材を筐体に取り付けた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る太陽電池パネル用端子ボックス(以下、単に端子ボックスという。)10の構造例を以下、図に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0013】
図1は、封止材による封止前の端子ボックス10の内部を示す。
樹脂製の筐体11の底面側の開口部11aから太陽電池の電極と接続できるように、複数の端子15a,15b,15c,15d,・・・・を組み込んである。
これらの端子の間を複数のバイパスダイオード12a,12b,12c,・・・・でリード線a,bを介して電気接続してある。
本実施例は、3つのバイパスダイオードを組み込んであるが、数に制限はない。
なお、図1では左右に示した端部の端子15a,15dは、複数の太陽電池パネルを相互に接続するケーブル16,17の芯線と端子部16a,17aを介して電気接続してある。
【0014】
バイパスダイオード12a,12b,12cは、金属製の取付板13に取付部材18a,18b,18cを用いて固定してある。
その部分断面図を図5(a)に示す。
取付板13は、図1で左右の両側の端部を図5に示すように上方に向けて断面略L字形状に折り返して、上部に接触部14a,14bを形成してある。
【0015】
端子及びバイパスダイオードを筐体の内部に組み込んだ後は、雨水等が浸入しないように樹脂材からなる封止材で、これらを封止する。
その状態を図2図5(b)に示す。
接触部14a,14bは、封止材20の上面から略水平方向に突設された状態になっている。
【0016】
次に左右の接触部14a,14b間に跨がるように、金属製の上部放熱板30を載置する。
その状態を図3図5(c)に示す。
次に、その上から樹脂製のカバー部材11dにて蓋をする。
カバー部材11dは、上部放熱板30に接触して重なるようになっている。
この状態を図5(d)に示す。
【0017】
筐体は底部11bと、その周囲から立設した側壁11cにて、上部が開口した箱型になっていて、上部の開口部をカバー部材で塞ぐ構造になっている。
【0018】
本発明に係る端子ボックス10においては、図3におけるB−B線断面図を図4(c)に示すように、筐体11の側壁から外側に向けて突設するように、取付板13を延在させて下部放熱板13aを形成してある。
この下部放熱板13aは、樹脂製の底板11eと上板11fとで固定部111fを介して挟み込むように固定し、筐体11の側部に連結することで金属板が外部に露出しないようにしてある。
これにより、バイパスダイオードから発熱された熱は、取付板13の上部に配置した上部放熱板30と、この取付板13を延在させて形成した下部放熱板13aの両方で放熱されるので、放熱効率が向上し、従来の端子ボックスよりも小型になる。
【符号の説明】
【0019】
10 端子ボックス
11 筐体
11a 開口部
12a バイパスダイオード
13a 下部放熱板
14a 接触部
15a 端子
20 封止材
30 上部放熱板
図1
図2
図3
図4
図5