(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6775772
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】ヒートシンク製造方法とヒートシンク
(51)【国際特許分類】
H01L 23/36 20060101AFI20201019BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
H01L23/36 Z
H05K7/20 D
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2019-218371(P2019-218371)
(22)【出願日】2019年11月14日
【審査請求日】2020年1月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】595013298
【氏名又は名称】寺田 厚
(72)【発明者】
【氏名】寺田 厚
【審査官】
河合 俊英
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−103734(JP,A)
【文献】
特開2001−308231(JP,A)
【文献】
特開2002−043477(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体を取り付ける熱伝導性の良いベースと前記ベースからの熱を放熱する平板状のフィンを接続して製造されるヒートシンクにおいて、対応する、前記ベースに形成された、部分的に溝壁が切断されたフィン接続用溝に挿入された一対のフィン連結部を圧力にて膨張させることにより前記部分的に溝壁が切断されたフィン接続用溝に、前記一対のフィン連結部を前記フィン接続溝形状より大きく変形させることにより、変形時の加工硬化により、前記フィンと前記ベースを接続させることを特徴とするヒートシンク製造方法。
【請求項2】
半導体を取り付ける熱伝導性の良いベースと前記ベースからの熱を放熱する平板状のフィンから形成されるヒートシンクにおいて、対応する、前記ベースに形成された、部分的に溝壁が切断されたフィン接続用溝に挿入された一対のフィン連結部が前記部分的に溝壁が切断されたフィン接続用溝の切断された溝壁において、前記フィン接続用溝の形状より大きく変形し、前記フィン接続用溝の形状に密着して前記部分的に溝壁が切断されたフィン接続用溝に接続されていることを特徴とするヒートシンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体冷却に使用される
ヒートシンク製造方法とヒートシンク。
【背景技術】
【0002】
従来のヒートシンクは、
熱伝導性の良い押し出し材により、半導体を取り付けるベースと
前記ベースからの熱を放熱する複数のフィンを一体物として製作されているが、押し出し
材の製造制約より、フィンの太さ、フィンとフィンとの距離(フィン間ピッチ)が制約さ
れフィンが1mm以下で、フィン高さが40mm以上、フィン間ピッチが4mm以下の物の
ヒートシンクを製造するのは困難であった。そのため、フィンを接続する溝を構成した
ベースを押し出し材で製造し、この溝にアルミ平板を
挿入し前記溝の両サイドに
構成した突上部を圧力にて、かしめて接続などを行い製造している、しかしながら、フィ
ンがアルミや銅などの比較的柔らかい金属であるため、圧力によるフィンのへこみなどに
よりその接続強度は十分なものではなく、その不十分な接続に起因する熱抵抗値のため、
半導体から発生する熱を効率よく冷却できなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、フィンが高くかつ細くフィン間ピッチの狭いフィンが抜けにくいヒートシンクを製造するため、
アルミ等からなる、熱伝導性の良いベースと平板材状のフィンとの接続を強固なものにし、効率よくベース上の半導体を冷却することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ベースに
形成されたフィン接続溝に、連結された一対のフィンの連結部を
挿入し、前記連結部分に
弾性体であるゴムなどの変形の
容易な治具を挿入しこの部分に圧力を加えることにより、前記連結部を膨張させ、ベースに設けた前記溝の形状に密着
接続させる。
【発明の効果】
【0005】
フィンとベースの接続が強固でかつ、ベースからフィンへの熱伝導の良い放熱性の良いヒートシンクが作成された。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】ベースとフィンが接続されたヒートシンク(H)の斜視図。
【
図3】ヒートシンク(H)における、複数のフィン(4)がベース(3)に圧力によりかしめられて接続される図。
【
図6】本発明のヒートシンク(HN)のフィン群(7)がベース(8)に挿入される図
【
図7】本発明のヒートシンク(HN)のベース(80)接続強固用溝(10)なし
【
図8】本発明のヒートシンク(NH)のベース(8)接続強固用溝(10)あり
【
図9】
フィン連結部(J)に圧力で変形する治具(11)を挿入後のフィン挿入図
【
図10】本発明のヒートシンク(HN)の
圧力で変形する治具(11)の圧縮によるフィン群(7)とベース(8)の接続図
【
図12】本発明の接続強固用溝(10)ありのヒートシンク(HN)のフィン群(7)から、
圧力による接続後、
圧力で変形する治具(11)を取り去った図
【
図15】本発明によるヒートシンクのフィン群(7)の製造前の透視図。
【
図16】本発明によるヒートシンクのフィン群(7)の製造後の透視図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
個別に製造されベースとフィンを、接着剤やロー付け技法などを使用せず常温にて強固
に接続した。
【実施例1】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図を使用して説明する。
図1は従来の押し出し材によるヒートシンク斜視図である。ベース(1)に設置された半導体からの熱は、ベース(1)に構成された複数のフィン(2)に熱伝導され外気に放熱される。
図2は、前記
図1のヒートシンクの製造と異なり、フィンとベースが個別に製造され、
後工程でフィンとベースが接続されるヒートシンク(H)の斜視図である、通常ベース(3)は押し出し材にて、複数のフィン(4)は、アルミの平板等から製造され、ベース(3)に接続される。
図3は、
図2で示されたヒートシンク(H)の接続される複数フィン(4)とフィン(4)に対応する溝(6)を構成したベース(3)の接続方法を示した図である。溝(6)の両側に構成された、かしめ用突起(5)をかしめ用治具にて矢印方向圧力を加え、変形させ、フィン(4)にかしめることにより、ベース(3)に複数のフィン(4)を接続させる。
円Rは、
図4における拡大図箇所を示している。
【0009】
図4は、
図3で示された、円(R)の部分の拡大図である。溝(6)の深さ(a)は押し出し技術の溝幅(b)が1mm程度の場合、制約上1mm〜2mm程度である。
この工法による、接続は、フィンとベースの接触面は,かしめ用突起(5)の一部と、それに接触するフィン(4)の一部である為、フィン(4)とベース(3)の接続力は
図1で示した、従来の押し出し材によるヒートシンクに比べて弱く、かつベースからの熱をフィンに
伝導する際の熱抵抗も大きくなる、欠点がある。
図5は、本発明によるヒートシンク(HN)の斜視図である、コルゲート状のフィン群(7)の一対のフィン連結部(J)
(以降一対のフィン連結部と呼ぶ)が対応する
アルミ等の押し出し材からなるベース(8)のフィン接続用溝(9)に
接続されている。
【0010】
図6は、本発明品であるヒートシンク(HN)の製造のため、一枚のアルミ平板から製造した、コルゲート状のフィン群(7)であり、前記フィン群(7)の各一対フィンの幅
(c)は、接続するべ-ス(8)に構成された矢印で示された対応するフィン接続用溝(9)に挿入される、一対のフィンからなるU字型の
一対のフィン連結部(J)はフィン幅(c)は対応するフィン接続用溝(9)の入り口になるフ
ィン接続用溝幅(b1)にほぼ同じ寸法であり、
フィン群(7)とベース(8)の接続強固のため、その(b1)より大きい
(b2)がフィン接続用溝(9)の入り口より奥に
形成されている。
説明において、1つのコルゲート状フィン群(7)を用いているが、四角形(K)内で示されたU型の1対のフィンから
なるフィンを複数使用してもよい。
【0011】
図7は、本発明によるヒートシンク(HN)のベース
(80)の斜視図である。
図8は、本発明によるヒートシンク(HN)のベース(8)の斜視図である、
図7におけるベース(80)との違いは、フィン
群(7)を挿入、接続するフィン接続用溝(9)に交差する、複数の接続強化のための接続強固用溝(10)が
形成されていることである。(hf)は、フィン接続用溝(9)
深さであり、(hs)は接続強固用溝(10)の深さであり、ここでは、
変形時の加工硬化により接続をさらに強固にするため(hs)深さが若干(hf)よりも大きい。
図9は、フィン群(7)の連結された一対のフィン連結部(J)の間に、
ゴム等の圧力により変形する治具(11)を
挿入し、矢印の方向に、フィン群(7)を対応するベース(8)に構成されたフィン接続用溝(9)にまさに挿入する図である。
図10は、フィン群(7)を、ベース(8)の対応するフィン接続用溝(9)に挿入しこれに矢印の方向から金属製治具にて、圧力を加え
ゴム等の圧力により変形する治具(11)を圧縮することにより、前記一対のフィンの連結部(J)を膨張させ、フィン接続用溝(9)及び接続強固用溝(10)の形状に従って変形させようとする図である。
円R1は、
図11における拡大箇所を示している。
【0012】
図11は、
図10の円R1を部分拡大した図である、圧縮された
ゴム等の圧力により変形する治具(11)は、
一対のフィン連結部(J)を矢印のように膨張(拡張)させをフィン接続用溝(9)の形状に従い変形させられるため、この時起きるフィン群(7)のフィン接続用溝(9)への密着、変形と自身の加工硬化と、溝の内部の幅b2は入り口の幅b1より大きいため、フィン群(7)とベース(8)の接続を強固なものにする、
図12は、
一対のフィン連結部(J)のを金属治具にて
ゴム等の圧力により変形する治具(11)を圧縮した後、弾性体治具(11)を抜き去った図である。A-Aはその切断線である。
図13は、本発明によるヒートシンクのベース(8)詳細図である、
図12におけるA-A断面図である、
一対のフィン連結部(J)は、接続強固用溝(10)とフィン
接続用溝(9)と交差する部分はフィン
接続用溝(9)
が接続強固用溝(10)により切断される為、
一対のフィン連結部(J)は矢印の方向に膨張しフィン
接続用溝(9)より大きくなると同時に加工硬化を起こし、フィン群(7)とベース(8)の
接続をさらに強固にする。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、半導体を冷却するヒートシンクに利用できる。
【符号の説明】
【0014】
1. 従来の押し出し材によるヒートシンク
2. 従来の押し出し材ヒートシンクのベース
3. かしめ工法によるヒートシンクのベース
4. かしめ工法によるヒートシンクのフィン
5. ベース(3)にフィン(4)を接続するためのかしめ用突起
6. かしめ工法によるヒートシンクのベース(3)に構成された、フィン接続用溝
7. 本発明によるヒートシンクのコルゲート状フィン群(7)
8. 本発明によるヒートシンクのコルゲート状フィン群(7)を接続するベース
9. 本発明によるヒートシンクのコルゲート状フィン群(7)を接続する複数のフィン接続用溝
10.本発明によるヒートシンクのコルゲート状フィン群(7)を接続する複数のベース(8)と、フィン群(7)とベース(8)の接続強化のための接続強固用溝。
11.
ゴム等の圧力により変形する治具(11)
12.
一対のフィン連結部(J)が膨張により
形成された突起
80. 接続強固用溝(10)を形成した本発明によるヒートシンクのコルゲート状フィン群(7)を接続するベース
H.押し出し材からなる従来のヒートシンク
R.部分拡大用円
a.かしめ用溝深さ
b.かしめ用溝幅
HN.本発明によるヒートシンク
J.一対のフィン連結部
b1. 本発明によるヒートシンクの接続用溝(9)の入り口
幅寸法
b2. 本発明によるヒートシンクの接続用溝(9)の内部
幅寸法
K. 1対のU字型フィン
hf. フィン接続用溝(9)深さ
hs. 接続強固用溝(10)深さ
df. Hfとhsの差異
【要約】
【課題】フィンとベースからなるヒートシンクにおいてベースとフィンとの接続を強固なものにする。
【解決手段】 ベースに構成されたフィン接続溝に、連結された一対のフィン連結部を
挿入し、前記連結部分にゴムなどの変形の容易な弾性体治具を挿入しこの部分に圧力を加えることにより、
前記一対のフィン連結部を膨張させ、ベースに形成した前記溝の形状に密着させフィンとベースを
接続する。
【選択図】
図10