特許第6775809号(P6775809)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6775809エルデカルシトールの製造方法及びそのための中間体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775809
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】エルデカルシトールの製造方法及びそのための中間体
(51)【国際特許分類】
   C07C 401/00 20060101AFI20201019BHJP
   C07F 9/32 20060101ALI20201019BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20201019BHJP
   C07D 303/26 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   C07C401/00CSP
   C07F9/32
   C07F7/18 A
   C07D303/26
   C07F7/18 S
【請求項の数】19
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2019-542342(P2019-542342)
(86)(22)【出願日】2017年11月20日
(65)【公表番号】特表2019-536814(P2019-536814A)
(43)【公表日】2019年12月19日
(86)【国際出願番号】KR2017013209
(87)【国際公開番号】WO2018093223
(87)【国際公開日】20180524
【審査請求日】2019年4月17日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0155127
(32)【優先日】2016年11月21日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518254931
【氏名又は名称】ヨンスン ファイン ケミカル カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ヒョン ウック
(72)【発明者】
【氏名】コ,ウン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】シン,ヒョン イク
(72)【発明者】
【氏名】イ,キ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】オ,チャンヨン
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05334740(US,A)
【文献】 HATAKEYAMA, Susumi,BIOORGANIC AND MEDICINAL CHEMISTRY LETTERS,1997年,7(22),2871-2874
【文献】 IP.com journal,2014年 4月17日,14(5A),1-6,(No.IPCOM000236283D), CODEN: IJPOBX; ISSN: 1533-0001
【文献】 高山浩明,有機合成化学協会誌,2002年,60(4),370-382
【文献】 久保寺 登,有機合成化学協会誌,2005年,63(7),728-738
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)下記の化学式2で表される化合物を酸触媒の存在下でp−アニスアルデヒドと反応させて、下記の化学式3で表される化合物を収得する段階;
(ii)下記の化学式3で表される化合物のアセタール基を還元反応させて、下記の化学式4で表される化合物を収得する段階;
(iii)下記の化学式4で表される化合物のアリルアルコール基を不斉エポキシ化反応させて、下記の化学式5で表される化合物を収得する段階;
(iv)下記の化学式5で表される化合物を下記の化学式6で表される化合物と塩基の存在下で反応させて、下記の化学式7で表される化合物を収得する段階;
(v)下記の化学式7で表される化合物を下記の化学式8で表される化合物と反応させて、下記の化学式9で表される化合物を収得する段階;
(vi)下記の化学式9で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して、下記の化学式10で表される化合物を収得する段階;
(vii)下記の化学式10で表される化合物のPMB基を選択的に脱保護反応させて、下記の化学式11で表される化合物を収得する段階;
(viii)下記の化学式11で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して、下記の化学式12で表される化合物を収得する段階;
(ix)下記の化学式12で表される化合物のTHP基を選択的に脱保護反応させて、下記の化学式13で表される化合物を収得する段階;
(x)下記の化学式13で表される化合物のアセチレン基を還元反応させ、ヨウ素と反応させて、下記の化学式14で表される化合物を収得する段階;
(xi)下記の化学式14で表される化合物を環化反応させて、下記の化学式15で表される化合物を収得する段階;
(xii)下記の化学式15で表される化合物をハロゲン化反応させて、下記の化学式16で表される化合物を収得する段階;
(xiii)下記の化学式16で表される化合物をジフェニルホスフィンと反応させ、酸化反応させて、下記の化学式17で表される化合物を収得する段階;
(xiv)下記の化学式17で表される化合物を下記の化学式18で表される化合物とウィッティヒ・ホーナー反応させて、下記の化学式19で表される化合物を収得する段階;及び
(xv)下記の化学式19で表される化合物を脱保護反応させる段階;を含む、下記の化学式1で表されるエルデカルシトールの製造方法。
【化1】



前記式中、
PMPは、p−メトキシフェニルであり、
PMBは、p−メトキシベンジルであり、
TBDPSは、tert−ブチルジフェニルシリルであり、
TfOは、トリフルオロメタンスルホネートであり、
THPは、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルであり、
TBSは、t−ブチルジメチルシリルであり、
TMSは、トリメチルシリルである。
【請求項2】
段階(i)における酸触媒はp−トルエンスルホン酸である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
段階(ii)における還元反応は、水素化ジイソブチルアルミニウムの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
段階(iii)における不斉エポキシ化反応は、チタンイソプロポキシド、(+)−ジイソプロピルタルトレート、及びt−ブチルヒドロペルオキシドの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
段階(iii)における不斉エポキシ化反応の温度は0〜30℃の範囲である、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
段階(iv)における塩基は水素化ナトリウムである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
段階(v)における反応は、n−ブチルリチウムとボロントリフルオリドジエチルエーテルの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
段階(vi)における保護反応は、化学式9で表される化合物を塩基の存在下でt−ブチルジメチルシリルクロライドと反応させて行なわれる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
段階(vii)における脱保護反応は、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノンを用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
段階(viii)における保護反応は、化学式11で表される化合物を塩基の存在下でt−ブチルジメチルシリルクロライドと反応させて行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
段階(ix)における脱保護反応は、ジメチルアルミニウムクロライドの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
段階(x)における還元反応は、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライドの存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
段階(xi)における環化反応は、塩基及びパラジウム触媒の存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項14】
段階(xii)におけるハロゲン化反応は、N−クロロコハク酸イミド及びジメチルスルフィドを用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項15】
段階(xiii)におけるジフェニルホスフィンとの反応は塩基の存在下で行われ、且つ酸化反応は過酸化水素を用いて行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項16】
段階(xiv)におけるウィッティヒ・ホーナー反応は塩基の存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項17】
段階(xv)における脱保護反応は、p−トルエンスルホン酸の存在下で行われる、請求項1に記載の製造方法。
【請求項18】
下記の化学式5で表される化合物。
【化2】

前記式中、
PMBは、p−メトキシベンジルである。
【請求項19】
(i)下記の化学式2で表される化合物を酸触媒の存在下でp−アニスアルデヒドと反応させて、下記の化学式3で表される化合物を収得する段階;
(ii)下記の化学式3で表される化合物のアセタール基を還元反応させて、下記の化学式4で表される化合物を収得する段階;及び
(iii)下記の化学式4で表される化合物のアリルアルコール基を不斉エポキシ化反応させる段階;を含む、下記の化学式5で表される化合物の製造方法。
【化3】

前記式中、
PMPは、p−メトキシフェニルであり、
PMBは、p−メトキシベンジルである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エルデカルシトール(Eldecalcitol)の製造方法及びそのための中間体に係り、より詳しくは、エルデカルシトールを効率よく且つ経済的に製造する方法及びそれに用いられる中間体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種のビタミンD誘導体が有用な生理活性を有し、特に、下記の化学式Iで表された1α−ヒドロキシビタミンD3誘導体がカルシウム代謝異常による疾病に対する治療剤として又は抗腫瘍剤として有用なものであるということが米国特許第4,555,634号に開示されている。
【0003】
【化1】
【0004】
前記化学式Iで表される化合物の一つである下記の化学式1で表されるエルデカルシトール((1R,2R,3R,5Z,7E)−2−(3−Hydroxypropyloxy)−9,10−secocholesta−5,7,10(19)−triene−1,3,25−triol)は、骨粗鬆症治療剤であるエディロール(Edirol(登録商標))の活性薬学的成分(API)である。
【0005】
【化2】
【0006】
エルデカルシトールは、ビタミンD誘導体のようにコレステロール誘導体から光反応を用いて製造する方法と、主要中間体であるA−ring moietyとCD−ring moietyを製造してカップリングする方法が知られている。
【0007】
米国特許第5,334,740号には、下記の反応式1のように、3,4:5,6−O−ジイソプロピリデン−D−マンニトール(3,4:5,6−O−diisopropylidene−D−mannitol)を出発物質とし、26段階以上の複雑な工程を経て、主要中間体であるシクロヘキサントリオール誘導体のA−ring moietyを製造し、CD−ring moietyと反応させた後、脱保護反応を進めて、エルデカルシトールを製造する方法が開示されている。しかしながら、当該製造方法では、中間体であるA−ring moietyの製造のためには長い製造過程を経る必要があるという不具合がある。
【0008】
【化3】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、エルデカルシトールの製造に際しての前記した問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(3R,4R)−ヘキサ−1,5−ジエン−3,4−ジオールを出発物質として用いてエルデカルシトールの主要中間体であるA−ring moietyを製造し、これを用いてウィッティヒ・ホーナー(Wittig−Horner)反応を進めて、効率よく且つ経済的にエルデカルシトールを製造することができることが分かり、本発明を完成するに至った。
【0010】
したがって、本発明の目的は、エルデカルシトールを効率よく且つ経済的に製造する、改善された方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、前記製造方法に用いられる中間体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態は、下記の化学式1で表されるエルデカルシトールの製造方法に関するものであって、本発明の製造方法は、
(i)下記の化学式2で表される化合物を酸触媒の存在下でp−アニスアルデヒドと反応させて、下記の化学式3で表される化合物を収得する段階;
(ii)下記の化学式3で表される化合物のアセタール基を還元反応させて、下記の化学式4で表される化合物を収得する段階;
(iii)下記の化学式4で表される化合物のアリルアルコール基を不斉エポキシ化反応させて、下記の化学式5で表される化合物を収得する段階;
(iv)下記の化学式5で表される化合物を下記の化学式6で表される化合物と塩基の存在下で反応させて、下記の化学式7で表される化合物を収得する段階;
(v)下記の化学式7で表される化合物を下記の化学式8で表される化合物と反応させて、下記の化学式9で表される化合物を収得する段階;
(vi)下記の化学式9で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して、下記の化学式10で表される化合物を収得する段階;
(vii)下記の化学式10で表される化合物のPMB基を選択的に脱保護反応させて、下記の化学式11で表される化合物を収得する段階;
(viii)下記の化学式11で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して、下記の化学式12で表される化合物を収得する段階;
(ix)下記の化学式12で表される化合物のTHP基を選択的に脱保護反応させて、下記の化学式13で表される化合物を収得する段階;
(x)下記の化学式13で表される化合物のアセチレン基を還元反応させ、ヨウ素と反応させて、下記の化学式14で表される化合物を収得する段階;
(xi)下記の化学式14で表される化合物を環化反応させて、下記の化学式15で表される化合物を収得する段階;
(xii)下記の化学式15で表される化合物をハロゲン化反応させて、下記の化学式16で表される化合物を収得する段階;
(xiii)下記の化学式16で表される化合物をジフェニルホスフィンと反応させ、酸化反応させて、下記の化学式17で表される化合物を収得する段階;
(xiv)下記の化学式17で表される化合物を下記の化学式18で表される化合物とウィッティヒ・ホーナー反応させて、下記の化学式19で表される化合物を収得する段階;及び
(xv)下記の化学式19で表される化合物を脱保護反応させる段階;を含む。
【0013】
【化4】
【0014】
前記式中、
PMPは、p−メトキシフェニルであり、
PMBは、p−メトキシベンジルであり、
TBDPSは、tert−ブチルジフェニルシリルであり、
TfOは、トリフルオロメタンスルホネートであり、
THPは、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルであり、
TBSは、t−ブチルジメチルシリルであり、
TMSは、トリメチルシリルである。
【0015】
以下、本発明の製造方法を下記の反応式2と反応式3を参照してより詳しく説明する。下記の反応式2と反応式3に示された方法は、代表的に用いられた方法の例示に過ぎず、反応試薬、反応条件などは場合に応じて適宜変更され得る。
【0016】
【化5】
【0017】
[第1段階:化学式3で表される化合物の合成]
化学式3で表される化合物は、化学式2で表される化合物を酸触媒の存在下でp−アニスアルデヒドと反応させて製造することができる。
【0018】
前記酸触媒としては、硫酸、カンファースルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが用いられていてよく、特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0019】
反応溶媒としては、ベンゼン、トルエン、シクロヘキサンなどが用いられていてよく、特にシクロヘキサンが好ましい。
【0020】
反応温度は約40〜50℃の範囲が好ましく、反応時間は約4〜6時間の範囲が好ましい。
【0021】
[第2段階:化学式4で表される化合物の合成]
化学式4で表される化合物は、化学式3で表される化合物のアセタール基を還元反応させて製造することができる。
【0022】
前記還元反応は、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)のような還元剤の存在下で行われていてよい。
【0023】
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエンなどが用いられていてよく、特にトルエンが好ましい。
【0024】
反応温度は約−10〜10℃の範囲が好ましく、反応時間は約1〜5時間の範囲が好ましい。
【0025】
[第3段階:化学式5で表される化合物の合成]
化学式5で表される化合物は、化学式4で表される化合物のアリルアルコール基を不斉エポキシ化反応(Sharpless asymmetric epoxidation)させて製造することができる。
【0026】
前記不斉エポキシ化反応は、チタンイソプロポキシド(Ti(O−iPr))、(+)−ジイソプロピルタルトレート((+)−DIPT)、及びt−ブチルヒドロペルオキシド(tBuOOH)の存在下で行われていてよい。
【0027】
反応溶媒としては、トルエン、ベンゼン、ジクロロメタンなどが用いられていてよく、特にジクロロメタンが好ましい。
【0028】
反応温度は約0〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約5〜10時間の範囲が好ましい。
【0029】
[第4段階:化学式7で表される化合物の合成]
化学式7で表される化合物は、化学式5で表される化合物を化学式6の化合物と塩基の存在下で反応させて製造することができる。
【0030】
前記塩基としては、ナトリウムt−ブトキシド、ナトリウムt−ヘントキシド、水素化ナトリウムなどが用いられていてよく、特に水素化ナトリウムが好ましい。
【0031】
反応溶媒としては、ジメチルホルムイミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが用いられていてよく、特にアセトニトリルが好ましい。
【0032】
反応温度は約−10〜20℃の範囲が好ましく、反応時間は約30分〜2時間の範囲が好ましい。
【0033】
前記化学式6で表される化合物は、下記の化学式20で表される化合物の二つのヒドロキシル基を一部分だけシリル保護させて下記の化学式21で表される化合物を収得した後、これを無水トリ葉酸と反応させて製造することができる。
【0034】
【化6】
【0035】
[第5段階:化学式9で表される化合物の合成]
化学式9で表される化合物は、化学式7で表される化合物を化学式8で表される化合物と反応させて製造することができる。
【0036】
前記反応は、n−ブチルリチウムとボロントリフルオリドジエチルエーテルの存在下で行われていてよいが、これに制限されることではない。
【0037】
反応溶媒としては、アセトニトリル、メチレンクロライド、テトラヒドロフランなどが用いられていてよく、特にテトラヒドロフランが好ましい。
【0038】
反応温度は約−78〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約2〜4時間の範囲が好ましい。
【0039】
[第6段階:化学式10で表される化合物の合成]
化学式10で表される化合物は、化学式9で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して製造することができる。
【0040】
前記保護反応は、化学式9で表される化合物を塩基の存在下でt−ブチルジメチルシリルクロライドと反応させて行なわれていてよい。
【0041】
前記塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、イミダゾールなどが用いられていてよく、特にイミダゾールが好ましい。
【0042】
反応溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムイミドなどが用いられていてよく、特にジメチルホルムイミドが好ましい。
【0043】
反応温度は約20〜80℃の範囲が好ましく、反応時間は約12〜24時間の範囲が好ましい。
【0044】
[第7段階:化学式11で表される化合物の合成]
化学式11で表される化合物は、化学式10で表される化合物のPMB基を選択的に脱保護反応させて製造することができる。
【0045】
前記脱保護反応は、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)を用いて行われていてよいが、これに制限されることではない。
【0046】
反応溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、水、又はこれらの混合溶媒などが用いられていてよく、特にジクロロメタンと水との混合溶媒が好ましい。
【0047】
反応温度は約0〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約30分〜2時間の範囲が好ましい。
【0048】
[第8段階:化学式12で表される化合物の合成]
化学式12で表される化合物は、化学式11で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して製造することができる。
【0049】
前記保護反応は、化学式11で表される化合物を塩基の存在下でt−ブチルジメチルシリルクロライドと反応させて行なわれていてよい。
【0050】
前記塩基としては、ピリジン、トリエチルアミン、イミダゾールなどが用いられていてよく、特にイミダゾールが好ましい。
【0051】
反応溶媒としては、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムイミドなどが用いられていてよく、特にジメチルホルムイミドが好ましい。
【0052】
反応温度は約20〜80℃の範囲が好ましく、反応時間は約5〜12時間の範囲が好ましい。
【0053】
[第9段階:化学式13で表される化合物の合成]
化学式13で表される化合物は、化学式12で表される化合物のTHP基を選択的に脱保護反応させて製造することができる。
【0054】
前記脱保護反応は、酸の存在下で行われていてよく、前記酸としては、マグネシウムブロマイド、ジメチルアルミニウムクロライドなどが用いられていてよく、特にジメチルアルミニウムクロライドが好ましい。
【0055】
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンなどが用いられていてよく、特にジクロロメタンが好ましい。
【0056】
反応温度は約0〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約3〜10時間の範囲が好ましい。
【0057】
[第10段階:化学式14で表される化合物の合成]
化学式14で表される化合物は、化学式13で表される化合物のアセチレン基を還元反応させ、ヨウ素と反応させて製造することができる。
【0058】
前記還元反応は、ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)のような還元剤の存在下で行われていてよく、次いで、エチルアセテートを用いて還元剤の役割を抑制させ、ヨウ素と反応させることができる。
【0059】
反応溶媒としては、トルエン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどが用いられていてよく、特にジエチルエーテル、テトラヒドロフランが好ましい。
【0060】
反応温度は約−78〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約5〜10時間の範囲が好ましい。
【0061】
[第11段階:化学式15で表される化合物の合成]
化学式15で表される化合物は、化学式14で表される化合物を環化反応させて製造することができる。
【0062】
前記環化反応は、塩基及びパラジウム触媒(Pd(PPh)の存在下で行われていてよい。
【0063】
前記塩基としては、炭酸カルシウム、炭酸銀、トリエチルアミンなどが用いられていてよく、特にトリエチルアミンが好ましい。
【0064】
反応溶媒としては、ジメチルホルムイミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなどが用いられていてよく、特にアセトニトリルが好ましい。
【0065】
反応温度は約20〜90℃の範囲が好ましく、反応時間は約1〜10時間の範囲が好ましい。
【0066】
[第12段階:化学式16で表される化合物の合成]
化学式16で表される化合物は、化学式15で表される化合物をハロゲン化反応させ、アリルアルコールをアリルクロライドに切り換えて製造することができる。
【0067】
前記ハロゲン化反応は、N−クロロコハク酸イミド及びジメチルスルフィドなどを用いて行われていてよいが、これに制限されることではない。
【0068】
反応溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタンなどが用いられていてよく、特にジクロロメタンが好ましい。
【0069】
反応温度は約−30〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約1〜5時間の範囲が好ましい。
【0070】
[第13段階:化学式17で表される化合物の合成]
化学式17で表される化合物は、化学式16で表される化合物をジフェニルホスフィンと反応させ、酸化反応させて製造することができる。
【0071】
前記ジフェニルホスフィンとの反応は塩基の存在下で行われていてよく、前記塩基としては、n−ブチルリチウムなどを用いていてよいが、これに制限されることではない。
【0072】
反応溶媒としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが用いられていてよく、特にテトラヒドロフランが好ましい。
【0073】
反応温度は約−78〜0℃の範囲が好ましく、反応時間は約1〜5時間の範囲が好ましい。
【0074】
前記酸化反応は、過酸化水素のような酸化剤を用いて行われていてよい。
【0075】
このとき、反応溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルムなどが用いられていてよく、特にクロロホルムが好ましい。
【0076】
反応温度は約0〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約1〜5時間の範囲が好ましい。
【0077】
[第14段階:化学式19で表される化合物の合成]
化学式19で表される化合物は、化学式17で表される化合物を化学式18で表される化合物とウィッティヒ・ホーナー(Wittig−Horner)反応させて製造することができる。
【0078】
前記ウィッティヒ・ホーナー(Wittig−Horner)反応は、塩基の存在下で行われていてよく、前記塩基としては、n−ブチルリチウムなどを用いていてよいが、これに制限されることではない。
【0079】
反応溶媒としては、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが用いられていてよく、特にテトラヒドロフランが好ましい。
【0080】
反応温度は約−78〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約1〜5時間の範囲が好ましい。
【0081】
[第15段階:化学式1で表される化合物の製造]
化学式1で表される化合物は、化学式19で表される化合物を脱保護反応させて製造することができる。
【0082】
前記脱保護反応は、酸触媒の存在下で行われていてよく、前記酸触媒としては、カンファースルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが用いられていてよく、特にp−トルエンスルホン酸が好ましい。
【0083】
反応溶媒としては、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、これらの混合溶媒などが用いられていてよく、特にメタノールとジクロロメタンとの混合溶媒が好ましい。
【0084】
反応温度は約0〜30℃の範囲が好ましく、反応時間は約2〜10時間の範囲が好ましい。
【0085】
本発明の一実施形態は、エルデカルシトールの製造中間体である下記の化学式5で表される化合物に関するものである。
【0086】
【化7】
【0087】
前記式中、
PMBは、p−メトキシベンジルである。
【0088】
本発明の他の実施形態は、エルデカルシトールの製造中間体である下記の化学式7で表される化合物に関するものである。
【0089】
【化8】
【0090】
前記式中、
PMBは、p−メトキシベンジルであり、
TBDPSは、tert−ブチルジフェニルシリルである。
【0091】
本発明のまた他の実施形態は、エルデカルシトールの製造中間体である下記の化学式9で表される化合物に関するものである。
【0092】
【化9】
【0093】
前記式中、
PMBは、p−メトキシベンジルであり、
TBDPSは、tert−ブチルジフェニルシリルであり、
THPは、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルである。
【0094】
本発明の一実施形態は、エルデカルシトールの製造中間体である前記化学式17で表される化合物の製造方法に関するものであって、本発明の一実施形態に係る製造方法は、
(vi)下記の化学式9で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して、下記の化学式10で表される化合物を収得する段階;
(vii)下記の化学式10で表される化合物のPMB基を選択的に脱保護反応させて、下記の化学式11で表される化合物を収得する段階;
(viii)下記の化学式11で表される化合物の2級ヒドロキシル基を保護して、下記の化学式12で表される化合物を収得する段階;
(ix)下記の化学式12で表される化合物のTHP基を選択的に脱保護反応させて、下記の化学式13で表される化合物を収得する段階;
(x)下記の化学式13で表される化合物のアセチレン基を還元反応させ、ヨウ素と反応させて、下記の化学式14で表される化合物を収得する段階;
(xi)下記の化学式14で表される化合物を環化反応させて、下記の化学式15で表される化合物を収得する段階;
(xii)下記の化学式15で表される化合物をハロゲン化反応させて、下記の化学式16で表される化合物を収得する段階;及び
(xiii)下記の化学式16で表される化合物をジフェニルホスフィンと反応させ、酸化反応させる段階;を含む。
【0095】
【化10】
【0096】
前記式中、
PMBは、p−メトキシベンジルであり、
TBDPSは、tert−ブチルジフェニルシリルであり、
THPは、テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルであり、
TBSは、t−ブチルジメチルシリルである。
【0097】
前記化学式17で表される化合物の製造方法に関する詳細な説明はエルデカルシトールの製造方法に関して上述した第6段階〜第13段階と同様であるため、重複を避けるために具体的な説明を省略する。
【発明の効果】
【0098】
本発明の製造方法によれば、エルデカルシトールを、複雑且つ長い製造過程を経ることなく、効率よく且つ経済的に製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0099】
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明することにする。なお、これらの実施例は単に本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明の範囲がこれらの実施例に局限されるないことは当業者にとって自明である。
【0100】
[実施例1:化学式3で表される化合物の製造]
(3R,4R)−ヘキサ−1,5−ジエン−3,4−ジオール(2)(503g)をシクロヘキサン(5,000ml)に希釈した。p−アニスアルデヒド(2,027ml)、p−トルエンスルホン酸(1,170g)を加え、反応液の温度を約45〜50℃に昇温して4時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=2:1)によって観測した。反応完了の後、反応液を室温に冷却し、5%重曹水(3,000ml)を入れて撹拌した。有機層を分離し、10%亜硫酸水素ナトリウム(6,940ml)を加えて撹拌した。有機層を分離し、5%重曹水(1,780ml)を加えて撹拌した。有機層を分離し、無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して、不純物が含有されている(4R,5R)−2−(4−メトキシフェニル)−4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン(3)を収得した。さらなる精製過程を施すことなく次の段階の反応を進行した。
【0101】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.45-7.43 (2H, dd, J = 1.8, 6.6 Hz), 6.92-6.89 (2H, dd, J = 1.9, 6.7 Hz), 6.00-5.85 (2H, m), 5.45-5.35 (2H, m), 4.37-4.19 (2H, m), 3.81 (3H, s)。
【0102】
[実施例2:化学式4で表される化合物の製造]
不純物が含有されている(4R,5R)−2−(4−メトキシフェニル)−4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン(3)(200g)をトルエン(1,800ml)に希釈した。反応液の温度を約−5〜0℃に冷却し、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL、1.2M in toluene)(1,552ml)を0℃に維持しながら滴下した。反応液を等温度で約1〜2時間撹拌し、反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=2:1)によって観測した。反応完了の後、反応液にメタノール(50.3ml)を滴下して反応を終了させ、5% NaOH水溶液(50.3ml)を10℃以下に維持しながら滴下した。反応液を約10〜20分間撹拌し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、外部温度120℃、真空中で蒸留して、純粋な(3R,4R)−4−(4−メトキシベンジルオキシ)ヘキサ−1,5−ジエン−3−オール(4)(127g、35%)を収得した。
【0103】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.27-7.24 (2H, d, J = 8.7 Hz), 6.90-6.87 (2H, dd, J = 1.9, 6.7 Hz), 5.86-5.67 (2H, m), 5.99-5.35 (2H, m), 5.32-5.28 (1H, m), 5.22-5.17 (1H, dt, J = 1.5, 10.5 Hz), 4.61-4.29 (2H, dd, J = 11.1, 86.1 Hz), 4.07-4.01 (1H, m), 3.80 (3H, s), 3.67-3.62 (1H, t, J = 7.5 Hz), 2.77-2.76 (1H, d, J = 3.0 Hz)。
【0104】
[実施例3:化学式5で表される化合物の製造]
ジクロロメタン(960ml)に分子篩(molecular sieve)3Å(80g)、チタンイソプロポキシド(245ml)、(+)−ジイソプロピルタルトレート(203ml)を加え、室温で約20分間撹拌した。(3R,4R)−4−(4−メトキシベンジルオキシ)ヘキサ−1,5−ジエン−3−オール(4)(162g)をジクロロメタン(640ml)に希釈して滴下し、室温で約20分間撹拌した。t−ブチルヒドロペルオキシド(248ml)を20℃以下に維持しながら滴下し、室温で約5時間撹拌し、反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=2:1)によって観測した。反応完了の後、セライト(celite)を用いて溶けていない固体をろ過して除去し、ろ液に硫酸第一鉄七水和物(230g)、クエン酸(79.5g)を水(2,400ml)に溶かして加えた。反応混合液を室温で1時間撹拌し、セライトを用いて溶けていない固体をろ過して除去し、ろ液の有機層を分離させた。水酸化ナトリウム(115g)を20%塩水(1,615ml)に溶かし、分離された有機層に加えて室温で約30分間撹拌した。反応に用いられた(+)−ジイソプロピルタルトレートが除去される反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=2:1)によって観測した。有機層を分離し、1N塩酸水溶液(500ml)を加えて、約10分間撹拌した。有機層を分離し、5%重曹水(1,600ml)を加えて約10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、外部温度140℃、真空中で蒸留して、純粋な(1S,2R)−2−(4−メトキシベンジルオキシ)−1−((R)−オキシラン−2−イル)ブト−3−エン−1−オール(5)(160g、93%)を収得した。
【0105】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.27-7.24 (2H, d, J = 8.4 Hz), 6.90-6.87 (2H, d, J = 8.7 Hz), 5.92-5.80 (1H, m), 5.42 (1H, s), 5.39-5.37 (1H, d,J = 8.4 Hz), 4.64-4.33 (1H, dd, J = 11.4, 81.9 Hz), 3.93-3.89 (1H, m), 3.81 (3H, s), 3.50-3.46 (1H, t, J = Hz ), 3.66-3.61 (1H, t, J = 5.1 Hz), 3.05-3.01 (1H, m), 2.75-2.77 (2H, d, J = 3.3 Hz)。
【0106】
[実施例4:化学式6で表される化合物の製造]
1,3−プロパンジオール(75.6g)をジクロロメタン(1,130ml)に希釈させ、トリエチルアミン(139ml)を加えて撹拌した。反応物の温度を0℃に冷却させ、t−ブチルジフェニルシリルクロライド(258ml)を滴下した。反応物の温度を室温に昇温させ、24時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=4:1)によって観測した。反応完了の後、水(1,130ml)を加えて約10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、外部温度150℃、真空中で蒸留して、純粋な3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロパン−1−オール(284g、91%)を収得した。得られた3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロパン−1−オール(284g)をヘプタン(2,840ml)に溶かし、ジイソプロピルエチルアミン(165ml)を加えた。反応物の温度を約10℃に冷却させ、無水トリ葉酸(152ml)を滴下した。反応物の温度を約10℃に維持しながら30分間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=4:1)によって観測した。反応完了の後、水(1,420ml)を加えて約10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して、3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロピルトリフルオロメタンスルホネート(6)(395g、98%)を収得した。
【0107】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.66-7.63 (4H, m), 7.47-7.35 (6H, m), 4.76-4.72 (2H, t, J = 6.2 Hz), 3.79-3.75 (2H, t, J = 5.7 Hz), 2.05-1.97 (1H, m), 1.07-1.04 (9H, m)。
【0108】
[実施例5:化学式7で表される化合物の製造]
60%水酸化ナトリウム(35.4g)をアセトニトリル(990ml)にゆっくり加えて懸濁させ、反応物の温度を−5℃に冷却させた。(1S,2R)−2−(4−メトキシベンジルオキシ)−1−((R)−オキシラン−2−イル)ブト−3−エン−1−オール(5)(142.9g)をアセトニトリル(425ml)に希釈して0℃以下を維持しながらゆっくり滴下した。3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロピルトリフルオロメタンスルホネート(6)(420g)をアセトニトリル(285ml)に希釈して0℃以下を維持しながらゆっくり滴下し、室温に徐々に昇温して約1時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=4:1)によって観測した。反応完了の後、メタノール(46ml)を加えて反応を終了させ、水(1,400ml)、エチルアセテート(1,400ml)を加えて約10分間撹拌した。有機層を分離し水(1,400ml)を加えて約10分間撹拌した後、有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=10:1)で精製して、純粋な(3R,4S)−1−(4−メトキシフェニル)−11,11−ジメチル−4−((R)−オキシラン−2−イル)−10,10−ジフェニル−3−ビニル−2,5,9−トリオキサ−10−シラドデカン(7)(262g、84%)を収得した。
【0109】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.67-7.61 (4H, m), 7.44-7.33 (6H, m), 7.25-7.22 (2H, m), 6.86-6.83 (2H, m), 5.91-5.81 (1H, m), 5.31-5.24 (2H, m), 4.62-4.58 (1H, d, J = 12.0 Hz), 4.36-4.32 (1H, d, J = 11.7 Hz), 3.93-3.90 (1H, q, J = 3.9 Hz), 3.78 (3H, s), 3.76-3.68 (3H, m), 3.64-3.56 (1H, m), 3.23-3.20 (1H, t, J = 4.5 Hz), 3.10-3.06 (1H, m), 2.76-2.72 (2H, m), 1.83-1.74 (2H, m), 1.03 (9H, s)。
【0110】
[実施例6:化学式9で表される化合物の製造]
2−(プロピ−2−イニルオキシ)テトラヒドロ−2H−ピラン(8)(75g)をテトラヒドロフラン(750ml)に希釈し、反応物の温度を−65℃以下に冷却させた。n−ブチルリチウム(2.5M in hexane、200ml)を−60℃以下に維持しながら滴下した。反応物を等温度で30分間撹拌し、(3R,4S)−1−(4−メトキシフェニル)−11,11−ジメチル−4−((R)−オキシラン−2−イル)−10,10−ジフェニル−3−ビニル−2,5,9−トリオキサ−10−シラドデカン(7)(98g)をテトラヒドロフラン(250ml)に希釈して−60℃以下に維持しながら滴下した。ボロントリフルオリドジエチルエーテル(BF・OEt)(24.3ml)を−60℃以下に維持しながら滴下し、反応物の温度を徐々に室温に昇温して約1時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1)によって観測した。反応完了の後、10%塩化アンモニウム(980ml)を加えて反応を終了させ、エチルアセテート(1,500ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して、不純物が含有されている(3R,4R,5R)−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−3−(4−メトキシベンジルオキシ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ノン−1−エン−7−イン−5−オール(9)を収得した。さらなる精製過程を施すことなく、次の段階の反応を進行した。
【0111】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.66-7.63 (4H, m), 7.45-7.34 (6H, m), 7.25-7.21 (2H, m), 6.88-6.83 (1H, dt, J = 2.5, 9.2 Hz), 5.98-5.86 (1H, m), 5.35-5.29 (2H, m), 4.80-4.78 (1H, t, J = 3.3 Hz ), 4.61-4.57 (1H, d, J = 11.7 Hz), 4.32-4.28 (1H, d, J = 11.7 Hz), 4.27-4.23 (2H, m), 4.11-4.07 (1H, m), 3.87-3.82 (2H, m), 3.79 (3H, s), 3.75-3.65 (4H, m), 3.55-3.46 (1H, m), 3.37-3.34 (1H, m), 3.00-2.98 (1H, d, J = 4.8 Hz), 2.56-2.40 (2H, m), 1.82-1.49 (8H, m), 1.04 (9H, s)。
【0112】
[実施例7:化学式10で表される化合物の製造]
不純物が含有されている(3R,4R,5R)−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−3−(4−メトキシベンジルオキシ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ノン−1−エン−7−イン−5−オール(9)(123g、理論収率)をジメチルホルムイミド(1,230ml)に希釈し、イミダゾール(3.1g)、t−ブチルジメチルシリルクロライド(60.7g)を加えた。反応物の温度を約60〜70℃に昇温して12時間以上撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1)によって観測した。反応完了の後、5%塩化アンモニウム(1,000ml)を加えて反応を終了させ、エチルアセテート(1,000ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離し水(1,000ml)を加えて10分間撹拌し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して、不純物が含有されている(5R,6S)−6−((R)−1−(4−メトキシベンジルオキシ)アリル)−2,2,3,3,13,13−ヘキサメチル−12,12−ジフェニル−5−(4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブト−2−イニル)−4,7,11−トリオキサ−3,12−ジシラテトラデカン(10)を収得した。さらなる精製過程を施すことなく、次の段階の反応を進行した。
【0113】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.68-7.64 (4H, m), 7.43-7.33 (6H, m), 7.23-7.20 (2H, m), 6.84-6.79 (1H, dt, J = 2.5, 9.2 Hz), 5.93-5.81 (1H, m), 5.31-5.28 (1H, m), 5.25 (1H, s), 4.30-4.21 (3H, m), 3.97-3.74 (10H, m), 3.53-3.47 (1H, m), 3.38-3.34 (1H, m), 2.51-2.49 (1H, m), 1.89-1.48 (8H, m), 1.04 (9H, s), 0.86 (9H, s), 0.07 (3H, s), 0.01 (3H, s)。
【0114】
[実施例8:化学式11で表される化合物の製造]
不純物が含有されている(5R,6S)−6−((R)−1−(4−メトキシベンジルオキシ)アリル)−2,2,3,3,13,13−ヘキサメチル−12,12−ジフェニル−5−(4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ブト−2−イニル)−4,7,11−トリオキサ−3,12−ジシラテトラデカン(10)(143.6g、理論収率)をメチレンクロライド(1,430ml)に希釈し、水(70.2ml)を加えた。反応液に2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)(40.7g)を加え、室温で約1〜1.5時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1)によって観測した。反応完了の後、水酸化ナトリウム(10.8g)を水(1,500ml)に溶かして加え、10分間撹拌した。有機層を分離して亜硫酸水素ナトリウム(280g)、水(1,000ml)を加えて10分間撹拌し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して、不純物が含有されている(3R,4S,5R)−5−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ノン−1−エン−7−イン−3−オール(11)を収得した。さらなる精製過程を施すことなく、次の段階の反応を進行した。
【0115】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.67-7.64 (4H, m), 7.45-7.35 (6H, m), 5.99-5.88 (1H, m), 5.38-5.31 (1H, dt, J = 1.7, 17.2 Hz), 5.20-5.16 (1H, dt, J = 1.5, 10.5 Hz), 4.81-4.79 (1H, t, J = 3.1 Hz), 4.31-4.22 (3H, m), 3.93-3.79 (3H, m), 3.75-3.64 (3H, m), 3.54-3.47 (1H, m), 3.35-3.31 (1H, dd,J = 3.9, 5.7 Hz), 2.67-2.65 (1H, d, J = 6.3 Hz), 2.58-2.43 (2H, m), 1.87-1.65 (4H, m), 1.61-1.50 (4H, m), 1.04 (9H, s), 0.90 (9H, s), 0.11 (3H, s), 0.09 (3H, s)。
【0116】
[実施例9:化学式12で表される化合物の製造]
不純物が含有されている(3R,4S,5R)−5−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−9−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ノン−1−エン−7−イン−3−オール(11)(122.1g、理論収率)をジメチルホルムイミド(1,220ml)に希釈し、イミダゾール(19.5g)、t−ブチルジメチルシリルクロライド(40.5g)を加えた。反応物の温度を約50〜60℃に昇温して約4〜5時間以上撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1、10:1)によって観測した。反応完了の後、5%塩化アンモニウム(1,000ml)を加えて反応を終了させ、エチルアセテート(1,000ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離して水(1,000ml)を加えて10分間撹拌し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=30:1)で精製して、純粋な(5R,6R)−6−((1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペント−3−イニル)−2,2,3,3,13,13−ヘキサメチル−12,12−ジフェニル−5−ビニル−4,7,11−トリオキサ−3,12−ジシラテトラデカン(12)(89g、62%)を収得した。
【0117】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.68-7.64 (4H, m), 7.44-7.34 (6H, m), 5.93-5.81 (1H, m), 5.27-5.20 (1H, dt, J = 1.5, 17.4 Hz), 5.14-5.10 (1H, m), 4.79-4.78 (1H, m), 4.30-4.25 (1H, m), 4.20-4.13 (2H, m), 3.98-3.94 (1H, m), 3.86-3.67 (5H, m), 3.54-3.47 (1H, m), 3.27-3.25 (1H, dd, J = 1.5, 6.6 Hz), 2.51-2.33 (2H, m), 1.86-1.47 (8H, m), 1.04 (9H, s), 0.89 (9H, s), 0.87 (9H, s), 0.08 (3H, s), 0.06 (3H, s), 0.04 (3H, s), 0.02 (3H, s)。
【0118】
[実施例10:化学式13で表される化合物の製造]
(5R,6R)−6−((1R)−1−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−5−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルオキシ)ペント−3−イニル)−2,2,3,3,13,13−ヘキサメチル−12,12−ジフェニル−5−ビニル−4,7,11−トリオキサ−3,12−ジシラテトラデカン(12)(80g)をジクロロメタン(800ml)に希釈し、反応物の温度を0℃に冷却させた。ジメチルアルミニウムクロライド(201.2ml、0.9M in heptane)を滴下し、室温に昇温して約5〜6時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1、10:1)によって観測した。反応完了の後、反応物の温度を0℃に冷却させ、メタノール(12.3ml)を滴下して10分間撹拌して反応を終了させた。水酸化ナトリウム(28.2g)を水(800ml)に溶かして反応物に滴下し、10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=10:1)で精製して、純粋な(5R,6R,7R)−5,7−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)ノン−8−エン−2−イン−1−オール(13)(72g、74%)を収得した。
【0119】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.68-7.64 (4H, m), 7.44-7.34 (6H, m), 5.93-5.81 (1H, m), 5.27-5.20 (1H, dt, J = 1.6, 17.3 Hz), 5.15-5.10 (1H, dt, J = 1.5, 10.5 Hz), 4.29-4.21 (2H, m), 4.18-4.13 (1H, m), 3.98-3.93 (1H, m), 3.87-3.67 (4H, m), 3.28-3.25 (1H, dd, J = 1.8, 6.6 Hz), 2.49-2.34 (2H, m), 1.87-1.78 (2H, m), 1.39-1.35 (1H, t, J = 6.0 Hz), 1.04 (9H, s), 0.89 (9H, s), 0.88 (9H, s), 0.09 (3H, s), 0.06 (3H, s), 0.05 (3H, s), 0.02 (3H, s)。
【0120】
[実施例11:化学式14で表される化合物の製造]
(5R,6R,7R)−5,7−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)ノン−8−エン−2−イン−1−オール(13)(75g)をジエチルエーテル(1,120ml)に希釈し、反応物の温度を0℃に冷却させた。ナトリウムビス(2−メトキシエトキシ)アルミニウムハイドライド(Red−Al)(82.3ml、60% in toluene)を滴下し、室温に昇温して約4〜5時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1)によって観測した。反応完了の後、エチルアセテート(10.3ml)を加え、室温で約30分間撹拌した。反応物の温度を約−65〜−60℃に冷却させ、ヨウ素(53.5g)をテトラヒドロフラン(150ml)に溶かして−60℃以下に維持しながら滴下した。反応物を約−65〜−60℃で30分間撹拌した後、室温に徐々に昇温して反応を完了させた。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1)によって観測した。反応完了の後、10%塩化アンモニウム水溶液(750ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離して10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(750ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過後、ろ過液を真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=7:1)で精製して、純粋な(5R,6R,7R,Z)−5,7−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−3−ヨードノナ−2,8−ジエン−1−オール(14)(62g、70%)を収得した。
【0121】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.69-7.62 (4H, m), 7.45-7.34 (6H, m), 5.93-5.76 21H, m), 5.34-5.27 (1H, dt, J = 1.5, 17.3 Hz), 5.20-5.16 (1H, dt, J = 1.4, 10.5 Hz), 4.20-4.01 (4H, m), 3.89-3.69 (4H, m), 3.29-3.26 (1H, dd, J = 0.9, 7.5 Hz), 2.74-2.67 (1H, m), 2.61-2.56 (1H, m), 1.89-1.80 (2H, m), 1.41-1.37 (1H, t, J = 6.0 Hz), 1.05 (9H, s), 0.90 (9H, s), 0.84 (9H, s), 0.06 (3H, s), 0.05 (3H, s), 0.02 (3H, s)。
【0122】
[実施例12:化学式15で表される化合物の製造]
(5R,6R,7R,Z)−5,7−ビス(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−6−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−3−ヨードノナ−2,8−ジエン−1−オール(14)(62g)をアセトニトリル(1,860ml)に希釈した。テトラキス(トリフェニルフォスフィン)パラジウム(0)(4.3g)、トリエチルアミン(11.1ml)を加えて約1時間還流撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=5:1)によって観測した。反応完了の後、反応物を室温に冷却し、真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=7:1)で精製して、純粋な(Z)−2−((3R,4R,5R)−3,5−ビス−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−2−メチレンシクロヘキシリデン)エタノール(15)(49g、93%)を収得した。
【0123】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.67-7.64 (4H, m), 7.44-7.33 (6H, m), 5.54-5.50 (1H, t, J = 6.7 Hz), 5.23 (1H, s), 4.84-4.82 (1H, m), 4.25-4.09 (4H, m), 3.80-3.62 (4H, m), 3.19-3.16 (1H, dd, J = 2.1, 6.9 Hz), 2.43-2.36 (1H, m), 2.26-2.17 (1H, m), 1.88-1.79 (2H, m), 1.04 (9H, s), 0.89 (9H, s), 0.86 (9H, s), 0.06 (3H, s), 0.04-0.03 (9H, m)。
【0124】
[実施例13:化学式16で表される化合物の製造]
N−クロロコハク酸イミド(15.5g)をジクロロメタン(375ml)に希釈し、反応液の温度を0℃に冷却した。ジメチルスルフィド(9.14ml)を滴下し、約0℃で30分間撹拌した。反応液の温度を−20℃に冷却し、(Z)−2−((3R,4R,5R)−3,5−ビス−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−3−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)プロポキシ)−2−メチレンシクロヘキシリデン)エタノール(15)(40g)をジクロロメタン(229ml)に希釈して滴下した。滴下の完了後、約10〜20分間等温度で撹拌し、ゆっくり室温に昇温した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=10:1)によって観測した。反応完了の後、反応物に水(375ml)を加えて10分間撹拌し、有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート:トリエチルアミン=10:1)で精製して、純粋な((1R,2R,3R,Z)−2−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−5−(2−クロロエチリデン)−4−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)(16)(40g、98%)を収得した。
【0125】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.67-7.63 (4H, m), 7.44-7.34 (6H, m), 5.54-5.49 (1H, t, J = 7.8 Hz), 5.29 (1H, s), 5.04-5.03 (1H, m), 4.26-4.23 (1H, d, J = 7.2 Hz), 4.19-4.09 (3H, m), 3.79-3.62 (4H, m), 3.17-3.15 (1H, m), 2.42-2.36 (1H, dd, J = 6.9, 13.5 Hz), 2.23-2.17 (1H, m), 1.88-1.79 (2H, m), 1.04 (9H, s), 0.89 (9H, s), 0.85 (9H, s), 0.06 (3H, s), 0.04 (3H, s), 0.03 (3H, s), 0.02 (3H, s)。
【0126】
[実施例14:化学式17で表される化合物の製造]
ジフェニルホスフィン(14.52ml)をテトラヒドロフラン(500ml)に希釈し、反応物の温度を0℃に冷却した。n−ブチルリチウム(33.4ml、2.0M inヘキサン)を滴下し、約30分間0℃で撹拌した。他の反応器で((1R,2R,3R,Z)−2−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−5−(2−クロロエチリデン)−4−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)(16)(40.6g)をテトラヒドロフラン(500ml)に希釈した。反応物の温度を−65℃以下に冷却し、製造されたリチウムジフェニルホスフィン溶液を滴下した。反応物を−65℃以下に維持しながら約1時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=10:1)によって観測した。反応完了の後、水(5.5ml)を滴下して10分間撹拌して反応を終了させた。室温に昇温して真空中で濃縮して混合物を収得し、濃縮残渣物をクロロホルム(715ml)に溶かし5%過酸化水素(340ml)を加えて約1時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=1:1)によって観測した。反応完了の後、有機層を分離して10%チオ硫酸ナトリウム水溶液(400ml)を加えて約1時間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥した。真空中で濃縮して混合物を収得し、シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート:トリエチルアミン=1:1:0.1)で精製して、純粋な(Z)−[2−{(3R,4R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−メチレン−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシラニルオキシ)プロポキシ)シクロヘキシリデン}ジフェニルホスフィンオキサイド(17)(41.3g、83%)を収得した。
【0127】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.78-7.71 (4H, m), 7.70-7.66 (4H, m), 7.59-7.37 (12H, m), 5.39-5.32 (1H, dd, J = 7.2, 14.4 Hz), 5.26 (1H, s), 4.84-4.83 (1H, t, J = 1.8 Hz), 4.28-4.25 (1H, d, J = 7.5 Hz), 4.15-4.11 (1H, m), 3.79-3.64 (4H, m), 3.43-3.31 (1H, m), 3.28-3.15 (1H, m), 3.13-3.10 (1H, dd, J = 2.0, 7.7 Hz), 2.38-2.33 (1H, m), 2.23-215 (1H, m), 1.91-1.82 (2H, m), 1.07 (9H, s), 0.93 (9H, s), 0.83 (3H, s), 0.10 (3H, s), 0.05-0.03 (9H, m)。
【0128】
[実施例15:化学式19で表される化合物の製造]
(Z)−[2−{(3R,4R,5R)−3,5−ビス(tert−ブチルジメチルシラニルオキシ)−2−メチレン−4−(3−(tert−ブチルジフェニルシラニルオキシ)プロポキシ)シクロヘキシリデン}ジフェニルホスフィンオキサイド(17)(5.1g)をテトラヒドロフラン(50ml)に希釈し、反応物の温度を−65℃以下に冷却した。n−ブチルリチウム(2.3ml、2.5M inヘキサン)を−65℃以下で滴下し、等温度で約1時間撹拌した。(1R,3aR,7aR)−7a−メチル−1−((R)−6−メチル−6−(トリメチルシリルオキシ)ヘプタン−2−イル)ヘキサヒドロ−1H−インデン−4(2H)−オン(18)(1.0g)をテトラヒドロフラン(10ml)に希釈して滴下し、室温に徐々に昇温した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=10:1)によって観測した。反応完了の後、5%塩化アンモニウム水溶液(50ml)、エチルアセテート(50ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥し、真空中で濃縮して混合物を収得した。シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ヘキサン:エチルアセテート=30:1〜20:1)で精製して、純粋な((1R,2R,3R,Z)−2−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−5−((E)−2−((1R,3aS,7aR)−7a−メチル−1−((R)−6−メチル−6−(トリメチルシリルオキシ)ヘプタン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7aH)−イリデン)エチリデン)−4−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)(19)(2.3g、86%)を収得した。
【0129】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 7.666-7.637 (4H, m), 7.437-7.329 (6H, m), 6.223 (1H, d, J = 11.4 Hz), 5.994 (1H, d, J = 11.1 Hz), 5.240-5.236 (1H, m), 4.958 (1H, d, J = 2.1 Hz), 4.183-4.085 (2H, m), 3.800-3.644 (4H, m), 3.230-3.202 (1H, m), 2.831-2.795 (1H, m), 2.480-2.410 (1H, m), 2.235-2.133 (1H, m), 2.043-1.214 (14H, m), 1.185 (6H, s), 1.039 (12H, s), 0.971-0.848 (27H, m ), 0.600-0.523 (9H, m), 0.062-0.036 (12H, m)。
【0130】
[実施例16:エルデカルシトールの製造]
((1R,2R,3R,Z)−2−(3−(tert−ブチルジフェニルシリルオキシ)プロポキシ)−5−((E)−2−((1R,3aS,7aR)−7a−メチル−1−((R)−6−メチル−6−(トリメチルシリルオキシ)ヘプタン−2−イル)ジヒドロ−1H−インデン−4(2H,5H,6H,7H,7aH)−イリデン)エチリデン)−4−メチレンシクロヘキサン−1,3−ジイル)ビス(オキシ)ビス(tert−ブチルジメチルシラン)(19)(2.3g)をジクロロメタン:メタノールの混合溶液(1:1、34.5ml)に希釈し、p−トルエンスルホン酸(0.4g)を加えて約5〜6時間撹拌した。反応の進行を薄層クロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)によって観測した。反応完了の後、飽和重曹水(30ml)を加えて反応を終了させ、メチレンクロライド(40ml)を加えて10分間撹拌した。有機層を分離して無水硫酸ナトリウム中で乾燥し、真空中で濃縮して混合物を収得した。シリカゲルを用いたコラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=10:1)で精製して、純度98%以上のエルデカルシトール(1)(1.0g、88%)を収得した。
【0131】
1H NMR (300 MHz, CDCl3) : δ 6.353 (1H, d, J = 11.07 Hz), 6.043 (1H, d, J = 11.07 Hz), 5.496 (1H, t, 1.98 Hz), 5.076 (1H, t, J =1.98 Hz), 4.313 (1H, d, J = 8.16 Hz), 4.254 (1H, s), 3.949-3.880 (1H, m), 3.8314 (2H, s), 3.752-3.682 (1H, m), 3.273-3.234 (1H, dd, J = 9.06 Hz, J= 2.8 Hz), 2.828-2.2782 (1H, m), 2.538 (1H, dd, J = 14.49 Hz, J = 3.96 Hz), 2.435-2.387 (1H, m), 2.007-1.259 (16H, m), 1.212 (6H, s), 1.130-1.002 (1H, m), 0.935 (3H, d, J = 6.27 Hz), 0.547 (3H, s)。