(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態の雷サージ検出回路周りの概念図である。
【
図2】商用電源側から電流が流れた際の電圧値の挙動を示した図である。
【
図3】アース側から電流が流れた際の電圧値の挙動を示した図である。
【
図4】極性判断の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】第一の例で、閾値V3を超えた電圧が検出された場合における、判定値と比較される値の概念を示す図である。ただし、斜線部が積を表している。
【
図6】第一の例で、検出された最大電圧値がV2以上V3未満である場合における、判定値と比較される値の概念を示す図である。ただし、斜線部が積を表している。
【
図7】第一の例で、検出された最大電圧値がV1以上V2未満である場合における、判定値と比較される値の概念を示す図である。ただし、斜線部が積を表している。
【
図8】雷サージの判定手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】第二の例で、判定値と比較される値の概念を示す図である。ただし、斜線部が積を表している。
【
図10】第三の例で、判定値と比較される値の概念を示す図である。ただし、斜線部が積を表している。
【
図11】雷雲から地上に向かって雷が発生した状態を表すイメージ図である。
【
図12】雷雲から地上に向かって雷が発生した場合のマッピング例である。
【
図13】地上から雲に向かって雷が発生した状態を表すイメージ図である。
【
図14】地上から雲に向かって雷が発生した場合のマッピング例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に発明を実施するための形態を示す。本実施形態の雷サージ検出回路1は、アース線の電流を計測可能な計測部21を備えた雷サージ検出回路1である。計測部21から出力された値を検知可能な検知部22には、基準値よりも正側に特定閾値が設定された第一検知部13と、基準値よりも負側に第一検知部13の特定閾値と値幅が同じとなる特定閾値が設定された第二検知部14と、を備えている。また、検知部22に接続された判定部15により、第一検知部13と第二検知部14のいずれが先に特定閾値に達したのかを判定し、雷サージの侵入経路を判定する。したがって、雷サージの侵入経路を把握可能な雷サージ検出回路1とすることができる。
【0013】
図1に示すように、商用電源91に接続された分電盤92から延びるアース線94には、SPD(Surge Protective Device)と呼ばれる避雷器93が備えられており、電流計測部11は、この避雷器93よりも接地面側で電流を計測するように設置されている。また、本実施形態の雷サージ検出回路1は、電流計測部11から電流情報を得る波形処理部12を備えている。第一検知部13と、第二検知部14は、この波形処理部12から電圧情報を得ている。この波形処理部12には、波形処理部12の情報から演算を行う演算部16が接続されている。本実施形態の雷サージ検出回路1は、演算部16の情報と判定部15の情報を表示する表示部17を備えており、各々の情報を外部機器などに通信する通信部18も備えている。なお、雷サージの判定を行う判定部15は、第一検知部13と第二検知部14に接続されている。
【0014】
本実施形態の演算部16は、マイコンであり、波形処理部12からの電圧情報から、AD変換して時間単位の電圧値や積算電圧値を演算する。このような演算部16であると、避雷器93の劣化状態の判断材料とすることができる。なお、この演算情報は表示部17や通信部18に出力する。また、判定部15での判定の為の電圧情報の演算を演算部16で行うものであってもよい。
【0015】
本実施形態の表示部17は、雷サージの検出表示をすることができる。また、この表示部17は、極性表示や、演算情報表示などをすることも可能である。
【0016】
本実施形態の通信部18は、外部のサーバや通信端末に通信することができる。また、この通信部18は、表示部17の表示内容の通信や位置情報を通信することも可能である。
【0017】
本実施形態の波形処理部12は、電流情報を電圧情報に変換する。この実施形態の波形処理部12は、計測情報の入力がないときの電圧値である基準電圧V0が設定されている。
【0018】
本実施形態の第一検知部13は、波形処理部12で設定された基準電圧V0から正側に閾値を設けている。また、本実施形態の第二検知部14は、波形処理部12で設定された基準電圧V0から負側に閾値を設けている。
【0019】
電源側から電流が流れると、
図2に示すように、最初は基準電圧V0より正側の電圧値となる。また、アース側から電流が流れると、
図3に示すように、最初は基準電圧V0より負側の電圧値となる。したがって、電圧値が最初に第一検知部13の閾値に達すれば、電源側から電流が流れていることが分かり、電圧値が最初に第二検知部14の閾値に達すれば、アース側から電流が流れていることが分かる。
【0020】
本実施形態の判定部15は、検出された電圧が先に閾値に達した側の検出部を雷サージの判定対象とする。このような構成とすると、雷サージの極性が分かるので、雷サージの侵入経路が分かる。
【0021】
ここで、極性判定の手順を
図4に示すフローチャートを用いて説明する。まず、電流計測部11として用いる電流センサにより電流を検知する(ST101)。次に、波形処理部12により電流情報から電圧情報に変換する(ST102)。波形処理部12から得られた電圧情報が、第一検知部13と第二検知部14の何れかの閾値に到達するか否かを確認する(ST103)。第二検知部14側の閾値に電圧情報が到達した場合、負側からの侵入と判定する(ST104)。この極性情報は通信手段を用いて送信する(ST105)。送信が行われると、極性判定に関する手順が終了する。
【0022】
ステップ103で、第一検知部13側の閾値に電圧情報が到達した場合、正側からの侵入と判定する(ST106)。この極性情報は通信手段を用いて送信する(ST105)。送信が行われると、極性判定に関する手順が終了する。
【0023】
ステップ103で、所定の条件下、第一検知部13側の閾値及び第二検知部14側の閾値のいずれにも電圧情報が到達しなかった場合、雷でないと判定する(ST107)。この判定がなされた後、極性判定に関する手順が終了する。
【0024】
次に、判定部15が雷サージの判定を行う条件の例について説明する。演算部16は、計測部21から出力された値が閾値を超えた際に、出力された値を時間で積分して積分値を算出し、判定部15は、演算部16で求められた積分値が判定値を越えた際に雷サージであるとの判定をしている。これにより、瞬時に発生するノイズを雷サージの判定から除外でき、雷サージを高精度で検出することが可能となる。以下に、その第一の例、第二の例、第三の例を説明する。第一の例では、基準電圧V0より正側又は負側に複数の閾値を設けている。つまり、第一検知部13と第二検知部14の各々が、複数の閾値を備えている。この閾値のうち、「電圧が到達した基準電圧V0との差が最も大きな閾値(最大閾値)と基準電圧V0との差の絶対値」に対して、「当該閾値(最大閾値)以上に電圧が検知された時間」をかけることによって積を求め、この積が定められた判定値を越えた場合に雷サージが生じたとの判定を行う。これを
図5乃至
図7を用いて説明する。この例では、V1、V2、V3と三つの閾値を設定している。
図5に示すように、波形処理部12から得られた電圧情報が、電圧がV3を超えた場合、V3の値と基準電圧V0との差の絶対値と、V3以上に電圧が検知された時間を掛け合わせると、
図5において斜線を付した部分の面積と同様の値が求められることになる。この値が定められた判定値を越えた場合に雷サージが生じたとの判定を行う。
【0025】
図6に示すように、波形処理部12から得られた電圧情報の最大電圧値がV2以上V3未満である場合、V2の値と基準電圧V0との差の絶対値と、V2以上に電圧が検知された時間を掛け合わせることで求められた値が、定められた判定値を越えた場合に雷サージが生じたとの判定を行う。
図7に示すように、波形処理部12から得られた電圧情報の最大電圧値がV1以上V2未満である場合、V1の値と基準電圧V0との差の絶対値と、V1以上に電圧が検知された時間を掛け合わせることで求められた値が、定められた判定値を越えた場合に雷サージが生じたとの判定を行う。
【0026】
本例においては、電圧値の大きさに関わらず、判定値は1つとして設定されている。つまり、
図5乃至
図7で示した状態のいずれにおいても、判定値は同じ値としている。このようにすると、波形の違いにより最大閾値が異なっても、積(面積)が統一された判定値を超えるか超えないかで、雷サージの判定をおこなえる。したがって、瞬時的に高電圧になるパターンや一定時間低電圧が続くパターンなど波形が異なる雷サージが入力されても、同等の条件で判定することが可能となる。また、計測部21と接続された演算部16が、計測部21から出力された値が特定閾値を超えた時間を計測し、演算部16と接続された判定部15は、演算部16で計測した時間が定めた時間を超える場合に、雷サージであると判定をするため、瞬時に発生するノイズを雷サージの判定から除外でき、雷サージを高精度で検出することが可能となる。
【0027】
ここで、雷サージの判定手順の例について、
図8に示したフローチャートを用いて説明する。まず、電圧がV1に到達したことを確認する(ST201)。その後、上記した積を求める面積演算をおこなう(ST202)。面積演算の結果が判定値に未到達の時点で、電圧がV2に到達したことが確認された場合(ST203)、再び、積を求める面積演算をする(ST204)。面積演算の結果が判定値に未到達の時点で、電圧がV3に到達したことが確認された場合(ST205)、再び、積を求める面積演算をする(ST206)。その後、所定の条件下で、判定値に未到達の状態であれば、雷サージの判定をしないものとする(ST207)。
【0028】
ステップ202において、面積演算の結果が判定値に到達すれば、雷サージの判定を行う(ST208)。また、ステップ204において、面積演算の結果が判定値に到達すれば、雷サージの判定を行う(ST209)。同様に、ステップ206において、面積演算の結果が判定値に到達すれば、雷サージの判定を行う(ST210)。
【0029】
ステップ202において、面積演算の結果、所定の条件下で、判定値に未到達であれば、雷サージの判定をしないものとする(ST211)。また、ステップ204において、面積演算の結果、所定の条件下で、判定値に未到達であれば、雷サージの判定をしないものとする(ST212)。なお前記の雷サージの判定をしない所定の条件とは、第1の例においては、電圧が到達した最大の閾値を下回ったときである。具体的には、ST207ではV3を下回ったとき、ST211ではV1を下回ったとき、ST212ではV2を下回ったときである。
【0030】
次に、判定部15が雷サージの判定を行う条件の例について第二の例を説明する。第二の例でも、第一検知部13と第二検知部14の各々に複数の閾値を設定する。ただし、第二の例では、
図9に示すように、「ある閾値を超えた時点から、この閾値を下回るまでの時間」、若しくは、「ある閾値を超えた時点から、より基準電圧V0との差が大きくなるように設定された閾値に到達するまでの時間」、をある閾値とかけあわせた積について、全ての閾値で求め、再び基準電圧V0となるまでの、その積の和が判定値を越えたときに雷サージの判定をする。このようにすると、面積演算を複数の閾値の各々において行う為、雷サージの判定をより高精度で行うことができる。
【0031】
また、判定部15が雷サージの判定を行う条件の例について第三の例を説明する。第三の例でも、第一検知部13と第二検知部14の各々に複数の閾値を設定する。ただし、第三の例では、
図10に示すように、「電圧が到達した基準電圧V0との差が最も大きな閾値から、この閾値を下回るまでの時間」、をこの閾値とかけあわせた積を求め、これから順に再び基準電圧V0となるまで、「その時点の電圧が越えている最も基準電圧V0との差が大きな閾値」と、「この閾値を下回るまでの時間」とをかけあわせた積を求め、各々の積の和が判定値を越えたときに雷サージの判定をする。雷サージの場合、電圧値の最初の上昇が急峻となる場合が想定されるため、このように基準電圧V0との差が最も大きな閾値に電圧が到達した時以降で、面積演算を複数の閾値の各々において行うと、高精度な面積演算能力を必要とすること無く、雷サージの判定を高精度で行うことができる。
【0032】
なお、第一乃至第三の例とは異なり、電圧が閾値に達した時点で、雷サージの判定を行うものとしても良い。
【0033】
このような雷サージ検出回路1を複数用いると、雷サージの極性のビッグデータを収集することが可能となる。例えば、特定区域に備えられた各々の雷サージ検出回路1についての判定情報と位置情報を収集する収集手段と、収集した判定情報と位置情報をマッピングするマッピング手段と、を備えた雷サージ検出システムとすれば、特定区域の雷サージの極性のビッグデータを収集することが可能となる。
【0034】
本実施形態の収集手段は、特定区域の各々の雷サージ検出回路1の判定情報と位置情報を収集する。また、演算部16での雷の演算情報を収集することができる。このため、避雷器93の劣化の推定をすることができる。また、本実施形態のマッピング手段は、収集手段からの情報を視認できるようにマッピングする。
【0035】
ところで一般的に、雷雲は、雲の下層にマイナス電荷が、上層にプラス電荷が溜まる。この場合、
図11に示すように、雷雲の下層に集まったマイナス電荷が地面のプラス電荷を引き付けて、鉄塔や避雷針などを介して、雷雲から地上に向かって雷が発生する。このように落雷が発生すると、
図11に示すように雷サージが流れ、落雷地点から近い建物Aはアース側から雷サージが流れる。また、建物Aに流れた雷サージは通信線や電線を通じて、建物Aより落雷地点から遠い建物Bに流れる。この建物Bに流れた雷サージはアースへ流れる。
【0036】
したがって、建物Aに設置された雷サージ検出回路1は、雷サージがアース側から侵入したと判定する。また、建物Bに設置された雷サージ検出回路1は、雷サージが電源側から侵入したと判定する。
【0037】
これらの複数の雷サージ検出回路1から情報を収集し、マッピングすると、
図12に示すように、落雷地点付近には負極性判定(アース側から侵入)が位置し、その外側には正極性判定(電源側から侵入)が位置する。さらにその外側には、雷サージ判定がされなかった地点が位置する。なお、
図12においては、黒丸は負極性判定がなされた地点を表し、白丸は正極性判定がなされた地点を表し、三角は雷サージの判定がされなかった地点を表し、星印は中心部として推定された地点を表している。
【0038】
また、上層と下層では風の強さが違うために,雲は斜めに上昇し、上層に溜まったプラス電荷が地上のマイナス電荷を引き付けて、地上から雷雲に向かって雷が発生することもある。この場合、
図13に示すように雷サージが流れ、建物Bはアース側から雷サージが流れる。また、建物Bに流れた雷サージは通信線や電線を通じて建物Aに流れる。この建物Aに流れた雷サージはアースへ流れる。
【0039】
したがって、建物Bに設置された雷サージ検出回路1は、雷サージがアース側から侵入したと判定する。また、建物Aに設置された雷サージ検出回路1は、雷サージが電源側から侵入したと判定する。
【0040】
これらの複数の雷サージ検出回路1から情報を収集し、マッピングすると、
図14に示すように、落雷地点付近には正極性判定(電源側から侵入)が位置し、その外側には負極性判定(アース側から侵入)が位置する。さらにその外側には、雷サージ判定がされなかった地点が位置する。なお、
図14においては、黒丸は負極性判定がなされた地点を表し、白丸は正極性判定がなされた地点を表し、三角は雷サージの判定がされなかった地点を表し、星印は中心部として推定された地点を表している。
【0041】
ところで、雷サージの侵入経路が分かることによって、特定区域の極性のマッピングをしたときに、中心部が落雷箇所であると推測できる。そこで、本実施形態の雷サージ検出システムは、マッピング情報から判定情報の中心部を特定することが可能な特定手段を備えた構成としている。この特定手段を用いて特定した中心部が落雷地点であると推測できるため、雷の移動予想が可能となる。また、特定手段で中心部を特定する際に、正極性判定地の情報を用いず、負極性判定地の情報を用いて中心部を特定すれば、簡易に落雷地点を特定することができる。なお、本実施形態では、マッピングや中心部の情報について、ネットワークを介してPCなどに伝えている。
【0042】
本実施形態では、整流回路を設けていない。整流回路を設けると、その抵抗により電圧降下が起こり、微弱な電流を検出できなくなるが、整流回路を設けなければ、そのような事態を回避できる。また、整流回路を設ける代わりに、第一検知部13と第二検知部14を設けている。このような構成とすることにより、正と負の極性を区別して検出できる。しかも、簡易な構造で正と負の極性を検出することができる。また、整流回路のダイオードのような大きな抵抗を設ける必要が無いので、電圧降下が少なく、微弱な電流の検出が可能となる。
【0043】
以上、いくつかの実施形態を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、各種の態様とすることが可能である。例えば、第一検知部内に第二検知部の機能を設けても良い。また、第一検知部や第二検知部をマイコン内に設けることも可能である。
【0044】
第一検知部や第二検知部で設定される閾値は、ノイズなど、雷サージの検出に関する環境にあわせて変更できる構成とすることも可能である。
【0045】
判定部は、どこに配置しても良く、例えば、検知部内やマイコン内とすることも可能である。
【0046】
雷サージ検出回路は、本実施形態のようにSPD、分電盤、系統電源を介するものに限定されない。例えば、鉄塔とアース間に設けてもよい。
【0047】
第一検知部と第二検知部は、正側の検知と負側の検知をいずれで行うものとしても良い。