(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6775896
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】駐車支援装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/14 20060101AFI20201019BHJP
B60R 21/00 20060101ALI20201019BHJP
B60R 99/00 20090101ALI20201019BHJP
【FI】
G08G1/14 A
B60R21/00 991
B60R99/00
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-6392(P2017-6392)
(22)【出願日】2017年1月18日
(65)【公開番号】特開2018-116450(P2018-116450A)
(43)【公開日】2018年7月26日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】廣島 靖久
【審査官】
増子 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−320433(JP,A)
【文献】
特開2002−183897(JP,A)
【文献】
特開2009−132259(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0112101(US,A1)
【文献】
中国実用新案第205881196(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 − 99/00
G01C 21/00 − 21/36
G01C 23/00 − 25/00
G09B 23/00 − 29/14
B60R 21/00 − 21/13
B60R 21/34 − 21/38
B60W 10/00 − 10/30
B60W 30/00 − 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の進行方向の視野を含む複数の視野をそれぞれ捉える複数のカメラとともに自車両に搭載される駐車支援装置であって、
前記自車両の進行方向の視野を捉えるカメラを前記複数のカメラの中から選択する選択手段、
前記選択手段によって選択されたカメラの出力画像に基づいて空き状態の駐車スペースを示す指標を繰り返し探索する探索手段、および
前記探索手段の探索結果が非探知から探知に更新されたとき報知を出力する報知手段を備える、駐車支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駐車支援装置に関し、特に、屋内駐車場において空き状態の駐車スペースへの駐車を支援する、駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が特許文献1に開示されている。この文献によれば、カメラは、駐車場に設置されて、駐車場全体を上方から撮像する。自車両に搭載された車載装置は、カメラから送信された画像信号に基づいて駐車場平面図を作成し、作成された駐車場平面図と自車両の諸元とに基づいて自車両が駐車可能な空き区画を検出する。モニタ画面には、自車両の現在位置から空き区画までの誘導経路と、空き区画内へ自車両を導くための予想軌跡とが表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−182504号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、駐車場に設置されたカメラとの連携を想定しているため、カメラとの通信を確立するための複雑な処理が必要になる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、外部装置との間で通信を確立することなく、自車両を空き状態の駐車スペースに誘導することができる、駐車支援装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の駐車支援装置は、自車両の進行方向の視野を含む複数の視野をそれぞれ捉える複数のカメラとともに自車両に搭載される駐車支援装置であって、自車両の進行方向の視野を捉えるカメラを複数のカメラの中から選択する選択手段、選択手段によって選択されたカメラの出力画像に基づいて空き状態の駐車スペースを示す指標を繰り返し探索する探索手段、および探索手段の探索結果が非探知から探知に更新されたとき報知を出力する報知手段を備える。
【発明の効果】
【0007】
複数のカメラは、自車両に搭載され、かつ自車両の進行方向の視野を含む複数の視野をそれぞれ捉える。これを踏まえて、空き状態の駐車スペースを示す指標は、自車両の進行方向の視野を捉えるカメラの出力画像に基づいて探索される。指標が探知されると、報知が出力される。これによって、外部装置との間で通信を確立することなく、自車両を空き状態の駐車スペースに誘導することができる。
【0008】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】自車両の周辺に配された駐車スペースと自車両に搭載されたフロントカメラの視野の一例を模式的に示す図解図である。
【
図3】自車両の周辺に配された駐車スペースと自車両に搭載されたバックカメラの視野の一例を模式的に示す図解図である。
【
図4】(A)は中速度(4km/h以上)での走行中にディスプレイモニタに表示される画像およびボタンの配置の一例を示す図解図であり、(B)は低速度(4km/h未満)での走行中にディスプレイモニタに表示される画像およびボタンの配置の一例を示す図解図である。
【
図5】低速度走行中にディスプレイモニタの右側に表示される実際の画像の一例を示す図解図である。
【
図6】駐車支援ECUの動作の一部を示すフロー図である。
【
図7】駐車支援ECUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1を参照して、この実施例の車載装置10は、自車両の前部に搭載されたフロントカメラ12Fと自車両の後部に搭載されたバックカメラ12Bとを含む。フロントカメラ12Fは、自車両の前方の視野VWf(
図2参照)を捉え、当該視野VWfを表す画像データを繰り返し出力する。同様に、バックカメラ12Bは自車両の後方の視野VWb(
図3参照)を捉え、当該視野VWbを表す画像データを繰り返し出力する。出力された画像データはいずれも、駐車支援ECU(駐車支援装置)14に与えられる。
【0011】
図2および
図3から分かるように、視野VWfの内側には、中央視野VWcnt1,左側視野VWlft1および右側視野VWrght1が割り当てられる。また、視野VWbの内側には、中央視野VWcnt2,左側視野VWlft2および右側視野VWrght2が割り当てられる。
【0012】
自車両を上方から眺めて、中央視野VWcnt1は自車両の前方中央の視野に相当し、左側視野VWlft1は自車両の前方左側の視野に相当し、右側視野VWrght1は自車両の前方右側の視野に相当する。同様に、中央視野VWcnt2は自車両の後方中央の視野に相当し、左側視野VWlft2は自車両の後方左側の視野に相当し、右側視野VWrght1は自車両の後方右側の視野に相当する。
【0013】
駐車支援ECU14には、エンジンECU20,CVT_ECU22,舵角センサ24,ブレーキECU26およびEPS_ECU28などが追加的に接続される。自車両の動作状態は、これらのデバイスの出力に基づいて判別される。
【0014】
駐車支援ECU14は、フロントカメラ12Fおよびバックカメラ12Bの各々から与えられた画像データのうち、自車両の動作状態に応じて異なる一部の画像データをディスプレイモニタ16に与える。ディスプレイモニタ16は、駐車支援ECU14から与えられた画像データをモニタ画面のほぼ全域に表示するとともに、“空き場所探索”ボタンおよび“探索終了”ボタンをモニタ画面の下側に並列表示する(
図4(A),
図4(B)参照)。
【0015】
モニタ画面の裏側には、図示しないタッチセンサが配される。タッチセンサは、“空き場所探索”ボタンまたは“探索終了”ボタンへのタッチ操作を検知し、検知結果を駐車支援ECU14に与える。
【0016】
駐車支援ECU14は、車両の有無を識別するランプが複数の駐車スペースの各々に割り当てられた屋内駐車場(
図5参照)での駐車支援を想定し、“空き場所探索”ボタンがタッチされてから“探索終了”ボタンがタッチされるまでの期間に、
図6および
図7に示すフロー図に従う処理を繰り返し実行する。
【0017】
なお、ランプは、車両が配されている駐車スペースに対応して赤色に点灯し、空き状態の駐車スペースに対応して緑色に点灯する。したがって、緑色に点灯するランプが、空き状態の駐車スペースを示す指標となる。また、
図6および
図7に示すフロー図に対応する制御プログラムは、メモリ14mに保存される。
【0018】
図6を参照して、ステップS1では、CVT_ECU22の出力に基づいてギア設定を検出する。ステップS3では検出されたギア設定が“リバース”であるか否かを判別し、ステップS5では検出されたギア設定が“ニュートラル”または“パーキング”であるか否かを判別する。ステップS3の判別結果がYESであればステップS7に進み、ステップS3の判別結果がNOでかつステップS5の判別結果がNOであればステップS9に進み、ステップS3の判別結果がNOでかつステップS5の判別結果がYESであれば、今回の駐車支援処理を終了する。
【0019】
ステップS7ではバックカメラ12Bを参照カメラとして設定し、ステップS9ではフロントカメラ12Fを参照カメラとして設定する。つまり、自車両の進行方向の視野を捉えるカメラが、参照カメラとして選択される。ステップS7またはS9の処理が完了するとステップS11に進み、自車両の速度が4km/h以上であるか否かをエンジンECU20の出力に基づいて判別する。
【0020】
判別結果がYESであればステップS13に進み、中央視野VWcnt1またはVWcnt2を探索視野として設定する。一方、判別結果がNOであればステップS15に進み、左側視野VWlft1および右側視野VWrght1或いは左側視野VWlft2および右側視野VWrght2を探索視野として設定する。
【0021】
具体的には、フロントカメラ12Fが参照カメラとして設定された場合、ステップS13では中央視野VWcnt1が探索視野として設定され、ステップS15では左側視野VWlft1および右側視野VWrght1が探索視野として設定される。また、バックカメラ12Bが参照カメラとして設定された場合、ステップS13では中央視野VWcnt2が探索視野として設定され、ステップS15では左側視野VWlft2および右側視野VWrght2が探索視野として設定される。
【0022】
中央視野VWcnt1またはVWcnt2の画像は、
図4(A)に示す要領でモニタ画面に表示される。また、左側視野VWlft1および右側視野VWrght1或いは左側視野VWlft2および右側視野VWrght2は、
図4(B)に示す要領でモニタ画面に表示される。
【0023】
ステップS17では、参照カメラから出力された画像データに基づいて、ステップS13またはS15で設定された探索視野から、緑色に点灯するランプを探索する。ステップS19では探索結果が“探知”を示すか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS21に進む一方、判別結果がNOであればステップS25に進む。
【0024】
ステップS21では、緑色に点灯するランプを表す画像を囲む円を表すガイド画像GD1(
図5参照)をモニタ画面に多重表示する。ステップS23では、“駐車スペースを発見しました”とのガイド音声をスピーカ18から出力する。今回の駐車支援処理は、ガイド音声の出力後に終了する。
【0025】
ステップS25では、ガイド画像およびガイド音声が出力中であるか否かを判別する。判別結果がNOであれば、そのまま今回の駐車支援処理を終了する。一方、判別結果がYESであれば、ステップS27でガイド画像およびガイド音声の出力を停止し、その後に今回の駐車支援処理を終了する。
【0026】
以上の説明から分かるように、駐車支援ECU14は、自車両の進行方向の視野を含む複数の視野VWfおよびVWbをそれぞれ捉えるフロントカメラ12Fおよびバックカメラ12Bとともに、自車両に搭載される。搭載された駐車支援ECU14は、自車両の進行方向の視野を捉えるカメラを参照カメラとして設定し(S7, S9)、参照カメラから出力された画像データに基づいて緑色に点灯するランプ(=空き状態の駐車スペースを示す指標)を繰り返し探索する(S17)。探索結果が“非探知”から“探知”に更新されると、駐車支援ECU14は、ガイド画像GD1およびガイド音声を報知として報知を出力する(S21, S23)。
【0027】
このように、フロントカメラ12Fおよびバックカメラ12Bは、自車両に搭載され、かつ自車両の進行方向の視野を含む複数の視野VWfおよびVWbをそれぞれ捉える。これを踏まえて、緑色に点灯するランプは、自車両の進行方向の視野を表す画像データに基づいて探索される。緑色に点灯するランプが探知されると、報知が出力される。これによって、外部装置との間で通信を確立せずとも、空き状態の駐車スペースに的確に(見落としなく)自車両を誘導することができる。
【0028】
なお、この実施例では、“空き場所探索”ボタンのタッチに応答して駐車支援処理を開始するようにしているが、ナビゲーション装置を追加し、自車両が屋内駐車場に進入したことを検知したときに駐車支援処理を開始するようにしてもよい。この場合、自車両が屋内駐車場に進入したこと示す通知が、駐車支援処理の開始命令となる。
【0029】
また、この実施例では、ガイド画像GD1は、緑色に点灯するランプを表す画像を囲む円によって表現される。しかし、ガイド画像GD1は、緑色に点灯するランプを表す画像を指示する矢印によって表現するようにしてもよい。
【0030】
さらに、この実施例では、タッチセンサによって操作を検知する電子式の“空き場所探索”ボタン,“探索終了”ボタンをモニタ画面に表示するようにしている。しかし、機械式の“空き場所探索”ボタン,“探索終了”ボタンを設けるようにしてもよく、さらには他の機械式のボタンに“空き場所探索”ボタン,“探索終了”ボタンを兼ねさせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
10 …車載装置
12F …フロントカメラ
12B …バックカメラ
14 …駐車支援ECU
16 …ディスプレイモニタ