(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
[エアゾールスプレー整髪剤組成物]
本発明に係るエアゾールスプレー整髪剤組成物(以下、本発明に係る整髪剤組成物と記載することがある)は、疎水性シリカと、親水性シリカと、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリルから選択される油分(少なくとも1の油分)と、エタノールとを少なくとも含む。
【0019】
本明細書においては、上記「疎水性シリカ」を「成分(A)」と称する場合がある。
【0020】
本明細書においては、上記「親水性シリカ」を「成分(B)」と称する場合がある。
【0021】
本明細書においては、上記「シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリルから選択される油分」を「成分(C)」と称する場合がある。
【0022】
本発明に係る整髪剤組成物は、皮膜形成ポリマーを含んでいてもよい。
【0023】
本明細書においては、上記「皮膜形成ポリマー」を「成分(D)」と称する場合がある。
【0024】
本発明に係る整髪剤組成物は、多価アルコールを含んでいてもよい。
【0025】
本明細書においては、上記「多価アルコール」を「成分(E)」と称する場合がある。
【0026】
上記のように、本発明に係る整髪剤組成物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)とエタノールとを少なくとも含む。本発明に係る整髪剤組成物は、成分(A)〜(C)及びエタノール以外の他の成分を含んでいてもよい。
【0027】
上記の成分、例えば、成分(A)、成分(B)、成分(C)や他の成分は、それぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0028】
以下、本発明に係る整髪剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0029】
(成分(A))
成分(A)は、疎水性シリカである。成分(A)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0030】
成分(A)は、主たる整髪成分として機能する。成分(A)は、整髪力を向上させる。また、成分(A)は、耐湿性を向上させ、高湿下での整髪保持力(整髪した髪型を保持する特性)の低下を抑える。なお、成分(B)を用いずに成分(A)のみを用いた場合には、洗い落ちが悪くなる傾向がある。本発明では、成分(A)とともに成分(B)を用いているので、洗い落ちを良好にすることができる。
【0031】
成分(A)としては、疎水化無水ケイ酸等が挙げられる。
【0032】
上記疎水化無水ケイ酸は、無水ケイ酸(例えば、未処理の無水ケイ酸)が疎水化処理された物質である。疎水化処理に用いられる処理剤としては、有機シリル化合物及びシリコーン化合物等が挙げられる。上記有機シリル化合物としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、エチルトリクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、長鎖アルキルトリクロロシラン、エチルトリアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ヘキシルトリアルコキシシラン、長鎖アルキルトリアルコキシシラン、メタクリルシラン、フルオロアルキルシラン及びペルフルオロアルキルシラン等が挙げられる。上記シリコーン化合物としては、ジメチルポリシロキサン(シリコーンオイル)、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン及びアミノ変性シリコーン等が挙げられる。上記疎水化処理の方法として、公知の方法を採用可能である。上記疎水化処理の方法としては、液相法、気相法及びオートクレーブ法等が挙げられる。
【0033】
上記疎水化無水ケイ酸の好ましい例としては、ジメチルシロキシル化無水ケイ酸、トリメチルシロキシル化無水ケイ酸、オクチルシロキシル化無水ケイ酸、シリコーンオイル処理無水ケイ酸及びメタクリルシロキシル化無水ケイ酸等が挙げられる。
【0034】
成分(A)は、易崩壊性シリカ粒子であってもよい。
【0035】
上記易崩壊性シリカ粒子は、複数のシリカ一次粒子が集合して形成された粒子である。上記シリカ一次粒子としては、特に限定されないが、例えば、球状シリカ粒子、鱗片状シリカ粒子及び不定形シリカ粒子等が挙げられる。上記シリカ一次粒子の平均粒径は、特に限定されない。
【0036】
また、上記易崩壊性シリカ粒子は、シリカ以外の成分を内包していてもよい。上記シリカ以外の成分(以下、「内包成分」と称する場合がある)としては、特に限定されないが、例えば、界面活性剤、多価アルコール、高級アルコール、糖アルコール、シリコーン油、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、植物抽出エキス、染料、顔料、香料、保湿剤、ビタミン類、アミノ酸類及び清涼剤等が挙げられる。これらの成分の中でも、アミノ酸類、シリコーン油、ビタミン類が好ましい。上記アミノ酸類としては、特に限定されないが、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa(例えば、旭化成ケミカルズ社製、商品名「ペリセア」)、トリメチルグリシン及びグルタミン酸等が挙げられる。上記易崩壊性シリカ粒子が上記内包成分を内包することにより、整髪時に上記易崩壊性シリカ粒子が崩壊すると内包成分が放出され、内包成分の種類に応じた効果が発揮される。例えば、上記易崩壊性シリカ粒子がアミノ酸類を内包することにより、毛髪のダメージケア機能が発揮される。
【0037】
上記易崩壊性シリカ粒子の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0038】
成分(A)の好ましい市販品としては、例えば、サイロホービック4004(商品名、富士シリシア化学社製);サイロホービック603(商品名、富士シリシア化学社製);サイロホービック704(商品名、富士シリシア化学社製);AEROSIL RX300−5(商品名、日本アエロジル社製)等が挙げられる。これら以外の市販品を用いてもよい。
【0039】
成分(A)の吸油量は、好ましくは100mL/100g以上、より好ましくは150mL/100g以上、更に好ましくは200mL/100g以上、好ましくは1000mL/100g以下、より好ましくは800mL/100g以下、更に好ましくは700mL/100g以下である。成分(A)の吸油量が上記下限以上及び上記上限以下であると、頭皮脂などの毛髪上の脂分による髪のボリュームダウン、整髪性の低下を抑制することができるため、整髪性(初期整髪性)及び再整髪性がより一層良好になる。
【0040】
上記吸油量は、JIS K5101に記載の方法に準拠して測定される。
【0041】
成分(A)の平均粒径(平均1次粒径)は、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは5nm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。成分(A)の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪時に複数の成分(A)間に働く分子間力又は静電気付着力によって成分(A)同士が互いに引き寄せられやすくなり、整髪後に髪の表面が多数の成分(A)により一層良好に覆われた状態になり、かつ再整髪性がより一層高くなる。
【0042】
成分(A)の平均粒径(平均1次粒径)は、体積平均粒径である。上記平均粒径は、レーザー光回折による粒度分布測定装置を用いて測定可能である。上記粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−920」等が挙げられる。
【0043】
(成分(B))
成分(B)は、親水性シリカである。成分(B)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0044】
成分(B)は、主たる整髪成分として機能する。成分(B)は、洗い落ちを悪化させずに、整髪力を向上させる。また、成分(A)を用いずに成分(B)のみを用いた場合には、耐湿性が低くなる傾向がある。本発明では、成分(B)とともに成分(A)を用いているので、耐湿性を高めることができる。
【0045】
なお、一般的なシリカ、例えば、疎水化処理が施されていないシリカ(さらに、表面処理が施されていないシリカ)は、親水性シリカであり、成分(B)に相当する。
【0046】
成分(B)は、易崩壊性シリカ粒子であってもよい。
【0047】
成分(B)における易崩壊性シリカ粒子は、親水性と疎水性との差異を除いて、成分(A)欄で述べた易崩壊性シリカ粒子と同様の粒子である。
【0048】
成分(B)の好ましい市販品としては、例えば、AEROSIL 50、90、130、150、200、300、380(商品名、いずれも日本アエロジル社製);サンスフェアH−31、H−51、H−121、H−201、H−32、H−52、H−122、H−33、H−53(商品名、いずれもAGCエスアイテック社製);SYLYSIA300、300P、310、310P、320、330、340、350、370、380、470、780(商品名、いずれも富士シリシア化学社製)等が挙げられる。これら以外の市販品を用いてもよい。
【0049】
成分(B)の吸油量は、好ましくは100mL/100g以上、より好ましくは150mL/100g以上、更に好ましくは200mL/100g以上、好ましくは1000mL/100g以下、より好ましくは800mL/100g以下、更に好ましくは700mL/100g以下である。成分(B)の吸油量が上記下限以上及び上記上限以下であると、頭皮脂などの毛髪上の脂分による髪のボリュームダウン、整髪性の低下を抑制することができるため、整髪性(初期整髪性)及び再整髪性がより一層良好になる。
【0050】
上記吸油量は、JIS K5101に記載の方法に準拠して測定される。
【0051】
成分(B)の平均粒径(平均1次粒径)は、好ましくは0.1nm以上、より好ましくは5nm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下である。成分(B)の平均粒径が上記下限以上及び上記上限以下であると、整髪時に複数の成分(B)間に働く分子間力又は静電気付着力によって成分(B)同士が互いに引き寄せられやすくなり、整髪後に髪の表面が多数の成分(B)により一層良好に覆われた状態になり、かつ再整髪性がより一層高くなる。
【0052】
成分(B)の平均粒径(平均1次粒径)は、体積平均粒径である。上記平均粒径は、レーザー光回折による粒度分布測定装置を用いて測定可能である。上記粒度分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA−920」等が挙げられる。
【0053】
整髪力を高くする観点から、本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(A)と成分(B)との合計の含有量は1.0質量%以上である。また、きしみ感を低減し、感触を良好にする観点から、本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(A)と成分(B)との合計の含有量は5.0質量%以下であり、好ましくは4.0質量%以下である。
【0054】
耐湿性を良好にする観点から、成分(B)の含有量の成分(A)の含有量に対する質量比(成分(B)の含有量/成分(A)の含有量)は、0.8以上であり、好ましくは0.9以上である。洗い落ちを良好にする観点から、成分(B)の含有量の成分(A)の含有量に対する質量比(成分(B)の含有量/成分(A)の含有量)は、2.5以下であり、好ましくは2.0以下である。
【0055】
(成分(C))
成分(C)は、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリルから選択される油分(少なくとも1の油分)である。成分(C)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0056】
成分(C)は、洗い落ち、耐湿性や整髪力を低下させることなく、成分(A)及び成分(B)によるきしみ感を低減して、整髪後の手触りを良好にする。また、成分(C)を配合することにより、成分(A)及び成分(B)による粗大な粒状物が生成して、毛髪上に粒状物が付着して見える現象(所謂「粉浮き」)が生じることを抑制できる。
【0057】
本明細書においては、上記「シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール」を「成分(C1)」と称する場合がある。
【0058】
本明細書においては、上記「(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル」を「成分(C2)」と称する場合がある。
【0059】
従って、成分(C)は、成分(C1)及び成分(C2)からなる群より選ばれる油分(少なくとも1の油分)である。成分(C1)及び成分(C2)はそれぞれ、1種のみが用いられてもよく、2種以上が用いられてもよい。
【0060】
本発明に係る整髪剤組成物は、成分(C1)を含んでいてもよく、成分(C2)を含んでいてもよい。
【0061】
成分(C1)として、市販品を用いてもよい。成分(C1)の市販品としては、Neosolue−Aqua(商品名、日本精化社製);Neosolue−Aqulio(商品名、日本精化社製)等が挙げられる。
【0062】
成分(C2)におけるグリセリル基の数は2以上であれば特に限定されない。上記グリセリル基の数は2以上、好ましくは3以上、より好ましくは5以上、好ましくは12以下、より好ましくは10以下である。
【0063】
成分(C2)としては、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ジグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)トリグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)テトラグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ペンタグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ヘキサグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ヘプタグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)オクタグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ノナグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ウンデカグリセリル及び(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ドデカグリセリル等が挙げられる。これら以外の(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリルを用いてもよい。これらの成分の中でも、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)デカグリセリル[(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10]が好ましい。
【0064】
成分(C2)として、市販品を用いてもよい。成分(C2)の市販品としては、Neosolue−Aqua(商品名、(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10、日本精化社製)等が挙げられる。
【0065】
整髪力、耐湿性を良好に維持しながら手触りを良好にする観点から、本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は6.0質量%以上、25.0質量%以下である。手触りをより一層良好にする観点からは、本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は好ましくは8.0質量%以上である。また、べたつきを抑制し、手触りを良好にする観点から、本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(C)の含有量は好ましくは20.0質量%以下である。
【0066】
整髪力、耐湿性、手触り、及び洗い落ちをバランスよく高める観点からは、成分(C)の含有量の成分(A)と成分(B)との合計の含有量に対する質量比(成分(C)の含有量/成分(A)と成分(B)との合計の含有量)は、好ましくは1.2以上、より好ましくは2.0以上、好ましくは25.0以下、より好ましくは15.0以下である。
【0067】
(エタノール)
上記エアゾールスプレー整髪剤組成物は、エタノールを含む。エタノールは噴射剤(液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル(DME)等)との相溶性が高く、エアゾール剤型を形成する点で好適である。また、エタノールの使用により非水系の整髪剤組成物とできるため、整髪力が向上する。また、エタノールの使用により、特に成分(A)の分散性が高くなり、エアゾールスプレー整髪剤の吐出安定性が高くなる。
【0068】
本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、エタノールの含有量は、60.0質量%以上、93.0質量%以下である。エタノールの含有量が60.0質量%以上であることで、成分(A)及び成分(B)の分散性を高めることができ、エアゾールスプレー時の吐出性を高めることができる。本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、エタノールの含有量は、好ましくは70.0質量%以上、より好ましくは76.0質量%以上、好ましくは93.0質量%以下、より好ましくは90.0質量%以下である。エタノールの含有量が上記下限以上であると、成分(A)及び成分(B)の分散性がより一層良好になり、整髪後の手触りがより一層良好になる。エタノールの含有量が上記上限以下であると、整髪性がより一層良好になる。
【0069】
(水)
本発明に係る整髪剤組成物は、実質的に水を含まないことが好ましい。ただし、本発明に係る整髪剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、水を含んでいてもよい。また、本発明に係る整髪剤組成物では、水を積極的に配合しない場合であっても、配合原料に由来して少量の水が含まれることがある。
【0070】
本発明に係る整髪剤組成物では、該整髪剤組成物がスプレー塗布に用いられるために、揮発性が低い水の含有量は少ないほどよい。また、本発明に係る整髪剤組成物中の水の含有量が少ないほど、再整髪性がより一層良好になる。
【0071】
本発明に係る整髪剤組成物中の水の含有量は少ないほどよい。本発明に係る整髪剤組成物は、水を含まないか、又は水を10.0質量%以下で含むことが好ましい。本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、水の含有量はより好ましくは5.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。
【0072】
本発明に係る整髪剤組成物は、実質的に水を含まないことが好ましく、非水系エアゾールスプレー整髪剤組成物であることが好ましい。実質的に水を含まないエアゾールスプレー整髪剤組成物は、非水系エアゾールスプレー整髪剤組成物である。なお、「実質的に水を含まない」とは、成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、エタノールと、必要に応じて配合される他の成分(水を除く)とは別に、水を含ませない(添加しない)ことを意味し、配合原料に含有される水に由来して本発明に係る整髪剤組成物に水が含まれることは除外されないことを意味する。
【0073】
(成分(D))
成分(D)は、皮膜形成ポリマーである。成分(D)を配合することにより、特に毛髪を立ち上げる整髪力が向上する。成分(D)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。成分(D)は、用いられなくてもよい。
【0074】
成分(D)としては、アニオン性皮膜形成ポリマー、カチオン性皮膜形成ポリマー、両性皮膜形成ポリマー及びノニオン性皮膜形成ポリマー等が挙げられる。
【0075】
上記アニオン性皮膜形成ポリマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロリルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(スチレン/アクリル酸アルキル)共重合体、(スチレン/アクリル酸アミド)共重合体、ウレタン−アクリル系共重合体及びポリスチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」と「メタクリル」との双方を意味する。
【0076】
上記カチオン性皮膜形成ポリマーとしては、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、塩化O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、塩化メチルビニルイミダゾリウム・ビニルピロリドン共重合体、及び(ビニルピロリドン/ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド/ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド)共重合体等が挙げられる。
【0077】
上記両性皮膜形成ポリマーとしては、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、N,Nジメチル−N−(2−メタクリロイルオキシエチル)アミン=N−オキシド・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、及び(イソブチレン/ジエチルアミノプロピルマレイミド/マレイン酸)共重合体等が挙げられる。
【0078】
本発明に係る整髪剤組成物は、成分(D)を含まないか、又は成分(D)を5.0質量%以下で含むことが好ましい。成分(D)の含有量が5.0質量%を超えると、再整髪性が低下する傾向がある。また、整髪後に手触りが悪くなる傾向があったり、整髪後の洗い落ちが悪くなる傾向があったりする。本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(D)の含有量は、より好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0079】
(成分(E))
成分(E)は、多価アルコールである。成分(E)は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。成分(E)は、用いられなくてもよい。
【0080】
成分(D)としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等が挙げられる。
【0081】
整髪力及び耐湿性を効果的に高める観点からは、本発明に係る整髪剤組成物は、成分(E)を含まないか、又は成分(E)を5.0質量%以下で含むことが好ましい。成分(E)の含有量が5質量%を超えると、整髪力及び耐湿性が低下する傾向がある。本発明に係る整髪剤組成物100質量%中、成分(E)の含有量はより好ましくは3.0質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下である。
【0082】
(他の成分)
本発明に係る整髪剤組成物は、成分(C)以外の油分を含んでいてもよい。成分(C)以外の油分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0083】
成分(C)以外の油分としては、水添ポリイソブテン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル及びミリスチン酸イソプロピル等が挙げられる。
【0084】
本発明に係る整髪剤組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、例えば、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル以外の界面活性剤;カルボキシビニルポリマー、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体等、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の増粘剤;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの炭素数12〜18の高級アルコール;ソルビトール、マルチトール、トレハロースなどの糖アルコール;シリコーン油;脂肪酸エステル油;金属イオン封鎖剤;酸化防止剤;植物抽出エキス;染料;顔料;pH調整剤;香料;防腐剤等を含んでいてもよい。
【0085】
(その他)
本発明に係るエアゾールスプレー整髪剤組成物は、公知慣用のエアゾールスプレー整髪剤組成物の製造方法により、製造することができる。本発明に係るエアゾールスプレー整髪剤組成物は、特に限定されないが、例えば、成分(A)と成分(B)と成分(C)とエタノールと、他の成分とを混合することにより製造することができる。特に好ましい製造方法の一例としては、例えば、成分(C)に成分(A)と成分(B)とを入れて均一に分散させた後、エタノールをさらに混合する製造方法が挙げられる。この製造方法において、他の成分の添加時期は、他の成分の種類に応じて適宜選ばれる。
【0086】
本発明に係るエアゾールスプレー整髪剤組成物は、エアゾールスプレー整髪剤に用いられる組成物である。エアゾールスプレー整髪剤であることにより、1)毛髪に整髪剤組成物を薄く均一に塗布することができる、2)手を汚さずに簡便に毛髪に整髪剤組成物を塗布することができる、3)非水系の整髪剤組成物を使用しやすいなどの利点がある。
【0087】
[エアゾールスプレー整髪剤]
本発明に係るエアゾールスプレー整髪剤は、スプレー塗布されるエアゾールスプレー整髪剤である。上記エアゾールスプレー整髪剤は、エアゾールスプレー整髪剤組成物が霧状に噴霧されるエアゾールスプレー整髪剤であることが好ましい。
【0088】
上記エアゾールスプレー整髪剤は、エアゾールスプレー容器と、上述したエアゾールスプレー整髪剤組成物と、噴射剤とを備える。上記エアゾールスプレー容器は、スプレーノズルを有する。上記エアゾールスプレー整髪剤では、上記エアゾールスプレー容器内に、上記エアゾールスプレー整髪剤組成物と上記噴射剤とが充填されている。上記エアゾールスプレー整髪剤組成物は、上記エアゾールスプレー整髪剤において、上記エアゾールスプレー容器内に充填されている充填物のうち、上記噴射剤を除く配合物である。
【0089】
上記噴射剤としては、ジメチルエーテル、イソブタン、液化石油ガス及び窒素ガス等が挙げられる。上記噴射剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0090】
目詰まりをより一層防止する観点から、上記噴射剤は、液化石油ガス及びジメチルエーテルの内の少なくとも1種を含むことが好ましく、液化石油ガスを含むことがより好ましい。
【0091】
上記エアゾールスプレー整髪剤は、既知の方法により作製することができる。上記エアゾールスプレー整髪剤の作製方法としては、エアゾールスプレー整髪剤組成物又はエアゾールスプレー整髪剤組成物に含有される各配合成分をエアゾールスプレー容器内に充填して、エアゾール用バルブによりエアゾールスプレー容器をクリンチした後、噴射剤をステムより充填し、ステムに適した噴射ボタンを装着する方法等が挙げられる。
【0092】
本発明に係る整髪剤組成物と噴射剤との合計100質量%中、上記エアゾールスプレー整髪剤組成物の含有量は好ましくは10.0質量%以上、より好ましくは20.0質量%以上、好ましくは70.0質量%以下、より好ましくは60.0質量%以下、更に好ましくは50.0質量%以下である。本発明に係る整髪剤組成物の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、吐出性がより一層良好になる。
【0093】
本発明に係る整髪剤組成物と噴射剤との合計100質量%中、上記噴射剤の含有量は好ましくは30.0質量%以上、より好ましくは40.0質量%以上、更に好ましくは50.0質量%以上、好ましくは90.0質量%以下、より好ましくは80.0質量%以下である。上記噴射剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、吐出性がより一層良好になる。
【実施例】
【0094】
以下、本発明について、実施例及び比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
【0095】
実施例及び比較例では、下記の成分を用いた。
【0096】
(成分(A))
シリル化シリカ(日本アエロジル社製、商品名「AEROSIL RX300−5」、ジメチルシロキシル化無水ケイ酸)
【0097】
(成分(B))
シリカ(日本アエロジル社製、商品名「AEROSIL 200」)
【0098】
(成分(C))
シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール(日本精化社製、商品名「Neosolue−Aqulio」)
(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10(日本精化社製、商品名「Neosolue−Aqua」)
【0099】
(その他)
ジプロピレングリコール(旭硝子社製、商品名「ジプロピレングリコール DPG−FC」)
エチルヘキサン酸セチル(日本サーファクタント社製、商品名「CIO−N」):成分(C)に相当しない油分
水添ポリイソブテン(丸善石油化学社製、商品名「マルカゾール R」):成分(C)に相当しない油分
香料
エタノール
【0100】
(実施例1〜8及び比較例1〜6)
下記の表1,2に示す配合成分を配合(配合単位は質量%)し、下記の表1,2に示す組成を有するエアゾールスプレー整髪剤組成物(原液)を調製した。得られたエアゾールスプレー整髪剤組成物(原液)をエアゾール容器(容量95ml)に充填した。次いで、エアゾールバルブを容器にクリンチした後、噴射剤(液化石油ガス)をステムより充填し、ステムに適したボタンを装着してエアゾールスプレー整髪剤を作製した。なお、原液と噴射剤との合計量は30g、原液と噴射剤との質量比は40:60とした。
【0101】
(評価)
専門パネル4名が、以下の評価を行った。
【0102】
(試験例1:整髪力の評価)
各エアゾールスプレー整髪剤を、ショートヘアのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪上に均一に噴霧し、頭頂部付近の毛髪を、毛髪の根元から上向きに髪を立ち上げるように整髪を施した。その際、毛髪を根元から上向きに60°以上の角度を付けてしっかりと立ち上げられる場合を整髪力が良好(〇)、60°以上の角度を付けて立ち上げられない場合を整髪力が不良(×)と判定した。なお、上記角度は、垂直に立ち上げた場合が90°である。
【0103】
(試験例2:手触りの良さの評価)
上記試験例1(整髪力の評価)の後、立ち上げた毛髪を手で触って手触りの良さを評価した。毛髪にべたつき及びごわつきが感じられない場合を手触りが良好(〇)、毛髪にべたつき又はごわつきが感じられる場合を手触りが不良(×)と評価した。
【0104】
(試験例3:耐湿性の評価)
各エアゾールスプレー整髪剤を、ショートヘアのウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)の毛髪上に均一に噴霧し、頭頂部付近の毛髪を、毛髪の根元から上向きに髪を立ち上げるように整髪を施した。整髪後のウィッグを高温高湿度条件(35℃、80%RH)に設定した恒温恒湿器に1時間静置した。静置後(耐湿試験後)の毛髪の立ち上がりの度合いを、試験例1(整髪直後)の毛髪の立ち上がりの度合いと比較した。耐湿試験後の毛髪の立ち上がりの角度が、整髪直後の毛髪の立ち上がりの角度とほとんど変わらない場合を耐湿性が良好(〇)、耐湿試験後の毛髪の立ち上がりの角度が、整髪直後の毛髪の立ち上がりの角度の半分以上である場合を耐湿性がやや良好(△)、耐湿試験後の毛髪の立ち上がりの角度が、整髪直後の毛髪の立ち上がりの角度の半分未満である場合を耐湿性が不良(×)と判定した。
【0105】
(試験例4:洗い落ちの評価)
上記試験例1の後、ウィッグの毛束をシャンプー(商品名「ルシードシャンプー」、マンダム社製)を用いて、ぬるま湯にて洗髪した後に、乾燥し、乾燥後の毛髪を手で触って洗い落ちを評価した。洗髪後の毛髪にきしみ感やべたつき感がない場合に、洗い落ちが良好(〇)、洗髪後の毛髪にきしみ感又はべたつき感がある場合に、洗い落ちが不良(×)と判定した。
【0106】
結果を下記の表1,2に示す。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】