(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6775907
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】塗布装置及び塗布方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/02 20060101AFI20201019BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20201019BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20201019BHJP
B05C 9/06 20060101ALI20201019BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20201019BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
B05C5/02
B05C5/00 101
B05C11/10
B05C9/06
B05D1/26 Z
B05D7/00 N
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-145905(P2019-145905)
(22)【出願日】2019年8月8日
【審査請求日】2019年8月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【弁理士】
【氏名又は名称】松川 克明
(72)【発明者】
【氏名】福井 慎也
(72)【発明者】
【氏名】神戸 寿夫
(72)【発明者】
【氏名】横山 雅樹
【審査官】
清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−007639(JP,A)
【文献】
特開2019−000801(JP,A)
【文献】
特開2002−200450(JP,A)
【文献】
特開2000−237668(JP,A)
【文献】
特開2020−011186(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00−21/00
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布体の上を所定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設け、前記の走行部材により塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口を被塗布体と対向する位置に導き、塗布用ノズルを前記の走行部材により被塗布体の上を移動させ、前記のスリット状吐出口から被塗布体に塗液を吐出させて、被塗布体に塗液を塗布させる塗布装置において、前記の走行部材に対して、先端部にストロー状吐出口を有するストロー状ノズルを、走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設けると共に、前記の塗布用ノズルとストロー状ノズルとを上下方向に移動可能に設け、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布するにあたり、前記の走行部材を前記被塗布体の上で走行させる動作と前記のストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動させる動作とを組み合わせて、前記のストロー状ノズルを前記の被塗布体における上段部と下段部との段差部に沿って移動させ、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から前記の塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を、前記の段差部における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように供給させると共に、前記の走行部材を走行させて、前記の塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から塗液を、被塗布体における上段部の上面と合わせて、前記の段差部に供給された塗液及び/又は塗液に用いる溶剤の上に塗布させることを特徴とする塗布装置。
【請求項2】
被塗布体の上を所定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設けると共に、前記の走行部材に、先端部にストロー状吐出口を有するストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設けた塗布装置を用い、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における前記の上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布する塗布方法において、前記の走行部材を前記被塗布体の上で走行させる動作と前記のストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動させる動作とを組み合わせて、前記のストロー状ノズルを前記の被塗布体における上段部と下段部との段差部に沿って移動させ、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から前記の塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を、前記の段差部における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように供給した後、前記の走行部材を走行させて、前記の塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から塗液を、被塗布体における上段部の上面と合わせて、前記の段差部に供給された塗液及び/又は塗液に用いる溶剤の上に塗布することを特徴とする塗布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被塗布体の上を一定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設け、この塗布用ノズルにおける前記のスリット状吐出口を、被塗布体と対向させるようにして走行部材により被塗布体の上を走行させ、前記のスリット状吐出口から被塗布体に塗液を吐出させて、被塗布体に塗液を塗布させる塗布装置に関するものである。特に、前記のような塗布装置を用いて塗液を、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における上段部の上面に塗布すると共に、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を適切に塗布させることが簡単かつ短時間で行えるようにした点に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、テーブルコータ(登録商標)等の塗布装置によって、ガラス板等からなる被塗布体の上に塗液を塗布することが行われていた。
【0003】
ここで、このような塗布装置においては、特許文献1等に示されるように、ガラス板等からなる被塗布体をテーブルの上に載置させ、このように載置された被塗布体の上を一定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設け、この塗布用ノズルを昇降させて、その先端部に設けたスリット状吐出口が前記の被塗布体と適切な距離になるようにし、この状態で、前記の走行部材により塗布用ノズルを被塗布体の上を走行させて、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口から塗液をテーブルの上に載置させた被塗布体の上に塗布させるようにしている。
【0004】
また、特許文献2においては、基板吸着テーブルに保持されたガラス基板等の被塗布体の外周部近傍で生じる塗布液の盛り上がりを小さくし、塗布液の膜厚の均一性を向上させるため、基板吸着テーブルに保持された被塗布体の外周部上を移動できるシンナー供給ノズルを設け、このシンナー供給ノズルにより被塗布体の外周部に沿って、レジスト液よりも低い粘度のシンナーを塗布した後、レジスト液供給ノズルを、被塗布体上に縦横にあるいは円周方向等に移動させてレジスト液を供給し、被塗布体の外周部におけるレジスト液の盛り上がりを小さくするようにしたものが示されている。
【0005】
一方、近年においては、被塗布体として、例えば、大きさの異なるガラス基板や樹脂基板等を用い、板状になった下段部の上に、下段部より小さい板状になった上段部を積層させて一体化させて、下段部の上に設けた上段部の周囲に段差部を形成したものを用い、塗液をこのような被塗布体における上段部の上面だけではなく、上段部の周囲における上段部と下段部との間の段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗布し、上段部の上面と一緒に前記の段差部の周囲における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗膜を形成して保護することが行われるようになった。
【0006】
ここで、前記の特許文献1に示される塗布装置を用いて、前記のように塗液を上段部の上面だけではなく、上段部の周囲における上段部と下段部との間の段差部における上段部の端面(側面)から下段部の上面に至るように塗布させる場合、前記の塗布用ノズルの先端部に設ける幅方向に長くなったスリット状吐出口の長さを前記の上段部の上面の幅よりも大きくすると共に、前記の塗布用ノズルを前記の上段部の上を走行させるにあたり、塗布用ノズルを走行させる長さを、上段部の走行方向の長さよりも長くして、塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から塗液を塗布させる面積を、上段部の上面よりも大きくなるようにして、塗液を上段部の上面の周囲における段差部にも供給させることが考えられた。
【0007】
しかし、このようにして塗布用ノズルの先端部におけるスリット状吐出口から塗液を塗布させる面積を、上段部の上面よりも大きくなるようにして、塗液を上段部の上面の周囲における段差部にも供給させる場合、一般に、上段部の上面に塗布させる厚みが薄く、塗布する塗液の量が少ない一方、上段部と下段部との間の段差部の距離が塗布する厚みよりも大きいため、上段部の周囲における段差部に十分な量の塗液を供給させることができず、上段部と下段部との間の段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を適切に塗布させようとしても、上段部の端面で塗液の付着が途切れてしまい上段部の上面及び端面の全体を塗液で覆うことがことは非常に困難であった。特に、一般に使用されている粘度の高い塗液を使用した場合においては、段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布することはできなかった。
【0008】
また、特許文献2に示されるものは、前記のように基板吸着テーブルに保持された被塗布体の外周部上を移動できるシンナー供給ノズルを設け、このシンナー供給ノズルにより被塗布体の外周部に沿って、レジスト液よりも低い粘度のシンナーを塗布した後、レジスト液供給ノズルを、被塗布体上に縦横にあるいは円周方向等に移動させてレジスト液を供給し、被塗布体の外周部におけるレジスト液の盛り上がりを小さくものであり、前記のように塗液を上段部の上面だけではなく、上段部の周囲における上段部と下段部との間の段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗布させるという目的は存在しておらず、またレジスト液供給ノズルを、被塗布体上に縦横にあるいは円周方向等に移動させてレジスト液を供給するため、塗液を上段部の上面だけではなく、上段部の周囲における上段部と下段部との間の段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗布させるためには、非常に長い時間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002−200450号公報
【特許文献2】特開2000−237668号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、被塗布体の上を一定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設け、この塗布用ノズルにおける前記のスリット状吐出口を、被塗布体と対向させるようにして走行部材により被塗布体の上を走行させ、前記のスリット状吐出口から被塗布体に塗液を吐出させて、被塗布体に塗液を塗布させる塗布装置を用い、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体において、前記の上段部の上面の他に、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布する場合における前記のような問題を解決することを課題とするものである。
【0011】
すなわち、本発明においては、前記のような塗布装置を改良し、前記のように板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように、塗液を適切に塗布させることが簡単かつ短時間で行えるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る塗布装置においては、前記のような課題を解決するため、被塗布体の上を所定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設け、前記の走行部材により塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口を被塗布体と対向する位置に導き、塗布用ノズルを前記の走行部材により被塗布体の上を移動させ、前記のスリット状吐出口から被塗布体に塗液を吐出させて、被塗布体に塗液を塗布させる塗布装置において、前記の走行部材に
対して、先端部にストロー状吐出口を有するストロー状ノズルを、走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設け
ると共に、前記の塗布用ノズルとストロー状ノズルとを上下方向に移動可能に設け、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布するにあたり、前記の走行部材を前記被塗布体の上で走行させる動作と前記のストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動させる動作とを組み合わせて、前記のストロー状ノズルを前記の被塗布体における上段部と下段部との段差部に沿って移動させ、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から前記の塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を、前記の段差部における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように供給させると共に、前記の走行部材を走行させて、前記の塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から塗液を、被塗布体における上段部の上面と合わせて、前記の段差部に供給された塗液及び/又は塗液に用いる溶剤の上に塗布させるようにした。
【0013】
ここで、本発明に係る塗布装置においては、前記の走行部材に対して、前記の塗布用ノズルとストロー状ノズルとを上下方向に移動可能に設けるように
している。
【0014】
また、前記のストロー状ノズルにおけるストロー状吐出口から、前記の塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を吐出させるように
している。
【0015】
また、本発明に係る塗布方法においては、前記のような課題を解決するため、被塗布体の上を所定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設けると共に、前記の走行部材に、先端部にストロー状吐出口を有するストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設けた塗布装置を用い、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における前記の上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布する塗布方法において、前記の走行部材を前記被塗布体の上で走行させる動作と前記のストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動させる動作とを組み合わせて、前記のストロー状ノズルを前記の被塗布体における上段部と下段部との段差部に沿って移動させ、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から前記の塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を、前記の段差部における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように供給した後、前記の走行部材を走行させて、前記の塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から塗液を、被塗布体における上段部の上面と合わせて、前記の段差部に供給された塗液及び/又は塗液に用いる溶剤の上に塗布するようにした。
【0016】
このようにすると、塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から塗液が、被塗布体における上段部の上面に塗布されると共に、塗液及び/又は塗液に用いる溶剤が供給された段差部に塗布された塗液が、段差部における塗液及び/又は塗液に用いる溶剤と混ざり合った状態で、上段部の端面から下段部の上面に至るように塗布される。
【0017】
ここで、前記のようにストロー状ノズルのストロー状吐出口から段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るようにして、前記の塗液に用いる溶剤を供給した部分に対して、前記のように塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から塗液を塗布すると、このように塗布された塗液が、上段部の端面から下段部の上面に供給された溶剤中に溶け込んで、上段部の端面から下段部の上面において塗液が薄められた状態で塗布されるようになる。
【発明の効果】
【0018】
本発明における塗布装置においては、前記のように被塗布体の上を所定方向に往復走行する走行部材に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設けると共に、前記の走行部材に
対して、先端部にストロー状吐出口を有するストロー状ノズルを、走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設け
ると共に、前記の塗布用ノズルとストロー状ノズルとを上下方向に移動可能に設けている。
【0019】
そして、本発明の塗布方法においては、板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布するにあたり、前記のような塗布装置を用い、前記のように走行部材を被塗布体の上で走行させる動作とストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動させる動作とを組み合わせて、ストロー状ノズルを被塗布体における上段部と下段部との段差部に沿って移動させ、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から塗布用ノズルに用いる塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を、段差部における上段部の端面に沿って下段部に至るように供給した後、前記の走行部材を走行させて、前記の塗布用ノズルにおけるスリット状吐出口から被塗布体における上段部の上面及び前記の塗液及び/又は塗液に用いる溶剤を供給が供給された段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布させるようにする。
【0020】
このようにすると、本発明の塗布方法においては、前記のように板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体における上段部の上面と共に、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るようにして塗液を適切に塗布させることが簡単かつ短時間で行えるようになり、被塗布体における上段部の上面だけではなく、上段部の周囲における上段部と下段部との間の段差部における上段部の端面から下段部の上面に至る部分に塗液の付着を途切らせることなく塗膜を形成して保護することが簡単に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る塗布装置によって塗液を塗布する板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体を示し、(A)は概略平面図、(B)は概略側面図である。
【
図2】前記の実施形態に係る塗布装置において、前記の被塗布体をテーブルの上に載置させ、このテーブルにおける被塗布体の幅方向両側に、被塗布体の上を走行する走行部材を案内する案内レールを設け、この走行部材に対して、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口を先端部に有する塗布用ノズルを設けると共に、先端部にストロー状吐出口を有するストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設けた状態を示した概略平面図である。
【
図3】前記の実施形態に係る塗布装置において、前記の被塗布体をテーブルの上に載置させた状態を、前記のストロー状ノズルが設けられた側から見た概略説明図である。
【
図4】前記の実施形態に係る塗布装置において、前記の被塗布体をテーブルの上に載置させた状態を、走行部材が走行する方向と交差する側面側から見た概略説明図である。
【
図5】前記の実施形態に係る塗布装置において、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から塗液を、段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように供給した状態を示した部分拡大説明図である。
【
図6】前記の実施形態に係る塗布装置において、前記の走行部材を被塗布体の上で走行させる動作と前記のストロー状ノズルを走行部材の走行方向と交差する方向に移動させる動作とを組み合わせて、ストロー状ノズルを被塗布体における上段部と下段部との段差部に沿って移動させ、ストロー状ノズルのストロー状吐出口から塗液を、前記の段差部の全周における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように供給した状態を示した概略平面図である。
【
図7】前記の実施形態に係る塗布装置において、ストロー状ノズルにより段差部における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように塗液を供給した後、塗布用ノズルに設けたスリット状吐出口から塗液を供給して、被塗布体における上段部の上面及び前記のように塗液が供給された段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液を塗布した状態を示した部分拡大説明図である。
【
図8】前記の実施形態に係る塗布装置において、前記の実施形態に係る塗布装置において、
図6に示すように、ストロー状ノズルにより段差部の全周における上段部の端面に沿って下段部の上面に至るように塗液を供給した後、走行部材に設けられた前記の塗布用ノズルを、走行方向一端側から他端側に向けて、被塗布体の上を走行させながら、塗布用ノズルに設けたスリット状吐出口から塗液を供給して、被塗布体における上段部の上面及び塗液が供給された段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗布した状態で、全体に塗布した塗液の一部を外した状態を示した概略平面図である。
【
図9】前記の実施形態に係る塗布装置の使用する場合の変更例を示し、(A)は、ストロー状ノズルにより塗液に用いる溶剤を、前記の段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように供給した状態を示した部分拡大説明図、(B)は、塗布用ノズルに設けたスリット状吐出口から塗液を供給して、被塗布体における上段部の上面及び段差部における上段部の端面から下段部の上面に至るように塗液に用いる溶剤を供給させた部分に塗液を塗布した状態を示した部分拡大説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る塗布装置及び塗布方法を添付図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明に係る塗布装置及び塗布方法は、下記の実施形態に示したものに限定されず、発明の要旨を変更しない範囲において、適宜変更して実施できるものである。
【0023】
ここで、この実施形態においては、塗液xを塗布させる被塗布体10として、
図1(A),(B)に示すように、ガラス板等で構成された板状の下段部11の上に、この下段部11より面積が小さい合成樹脂板等で構成された板状の上段部12を取り付けたものを用いるようにしており、この被塗布体10においては、被塗布体10における上段部12の上面12aの縁部と下段部11の上面11aとの間の段差部に、上段部12の上面12aの縁部に沿った上段部12の端面12bが下段部11の全周に渡って現れた状態になっている。なお、図においては便宜上、厚みを大きくして示すが、実際の上段部12の厚みは0.5mm程度である。
【0024】
また、この実施形態における塗布装置20においては、
図2〜
図4に示すように、前記の被塗布体10における下段部11を下にして、この被塗布体10をテーブル21の中央部にセットさせるようにしている。
【0025】
そして、この実施形態の塗布装置20においては、前記のように被塗布体10をセットさせたテーブル21の両側に設けられた走行用レール22に架け渡すようにして走行部材23を設け、この走行部材23を走行用レール22に沿って被塗布体10の上を走行させるようにしている。
【0026】
また、この塗布装置20においては、前記の走行部材23の走行方向の片面側に、その走行方向と交差する方向に伸びたスリット状吐出口24aが被塗布体10と対向する先端部に設けられた塗布用ノズル24を設ける一方、この塗布用ノズル24と反対側における走行部材23の片面側に、被塗布体10と対向する先端部にストロー状吐出口25aが設けられたストロー状ノズル25を、ストロー状ノズル走行レール26に沿って走行部材23の走行方向と交差する方向に移動可能に設けており、前記の塗布用ノズル24とストロー状ノズル25とを、それぞれテーブル21にセットされた被塗布体10に対して近接・離間できるように、前記の走行部材23に対して上下方向に移動できるようにノズル昇降機構(図示せず)を設けている。
【0027】
次に、この実施形態における塗布装置20を使用して、前記のようにテーブル21にセットされた被塗布体10における上段部12の上面12aと、この上段部12の上面12aと下段部11の上面11aとの段差部における、上段部12の縁部に沿った上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに塗液xを塗布させる場合について説明する。
【0028】
ここで、この実施形態における塗布装置20においては、先ず、
図5に示すように、走行部材23を移動させて、前記のストロー状ノズル25を、被塗布体10における上段部12と下段部11との段差部の位置に上方に導くと共に、前記のストロー状ノズル25を下方に移動させて、このストロー状ノズル25におけるストロー状吐出口25aを上段部12と下段部11との段差部に近づけ、この状態で、前記のストロー状吐出口25aから塗液xを吐出させて、塗液xを上段部12の上面12aの縁部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに供給させるようにする。
【0029】
そして、このようにストロー状ノズル25のストロー状吐出口25aから塗液xを吐出させて、上段部12の上面12aの縁部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに塗液xを供給させながら、
図6に示すように、前記の走行用レール22に沿って走行部材23を走行させて、ストロー状ノズル25を走行部材23によりその走行方向における上段部12の一方の端部から他方の端部に導くようにして、被塗布体10における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに、塗液xを上段部12の一方の端部から他方の端部に塗布し、また、前記のようにストロー状ノズル25のストロー状吐出口25aから塗液xを吐出させて、塗液xを上段部12の上面12aの縁部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに供給させながら、前記のストロー状ノズル25を走行部材23の走行方向と直交する方向に一端側から他端側に移動させ、走行部材23の走行方向と直交する方向において、被塗布体10における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに塗液xを塗布するようにし、このような操作を組み合わせて行い、上段部12の上面12aの縁部における段差部全体において、上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに塗液xを塗布させるようにしている。
【0030】
また、前記のように上段部12の上面12aの縁部における段差部全体において、上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに塗液xを塗布させた後は、前記のストロー状ノズル25におけるストロー状吐出口25aから塗液xを吐出させるのを停止させると共に、このストロー状ノズル25を上方に移動させて被塗布体10の上方に移動させる一方、ストロー状ノズル25と走行部材23の走行方向反対側の面に設けられた、前記の塗布用ノズル24を下向に移動させて、走行部材23の走行方向と交差する方向に伸びた塗布用ノズル24の先端部における前記のスリット状吐出口24aが、被塗布体10における上段部12の上面12aと所定の塗布間隔を介して対向する位置にセットする。
【0031】
次いで、このように塗布用ノズル24におけるスリット状吐出口24aを、被塗布体10における上段部12の上面12aと所定間隔を介して対向するように塗布用ノズル24をセットした状態で、
図7に示すように、塗布用ノズル24におけるスリット状吐出口24aから塗液xを、被塗布体10における上段部12の上面12a及びストロー状ノズル25によって塗液xが供給された下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分に供給させるようにする。
【0032】
そして、このように塗布用ノズル24におけるスリット状吐出口24aから塗液xを、被塗布体10における上段部12の上面12a及びストロー状ノズル25によって塗液xが供給された下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分に供給させるようにして、前記の走行部材23を走行方向の一端側から他端側に走行させて、
図8に示すように、被塗布体10における上段部12の上面12a及びストロー状ノズル25によって塗液xが供給された下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分全体に塗液xを塗布させるようにする。
【0033】
このようにすると、前記のように板状になった下段部11の上に下段部11より小さい板状になった上段部12が設けられた被塗布体10における上段部12の上面12aと共に、上段部12と下段部11との段差部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに至るようにして塗液xを適切に塗布させる操作が簡単かつ短時間で行え、被塗布体10における上段部12の上面12aだけではなく、上段部12の縁部の段差部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに至る部分に塗膜を形成して保護することが簡単かつ適切に行えるようになる。
【0034】
なお、この実施形態における塗布装置20においては、前記のストロー状ノズル25におけるストロー状吐出口25aから塗液xを吐出させて、上段部12の縁部の段差部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに塗液xを塗布させるようにしたが、
図9(A)に示すように、前記のストロー状吐出口25aから前記の塗液xに代えて、塗液xに用いる溶剤xaを吐出させるようにして、上段部12の縁部の段差部における上段部12の端面12bから下段部11の上面11aに前記の溶剤xaを供給させ、その後、
図9(B)に示すように、塗布用ノズル24におけるスリット状吐出口24aから塗液xを、被塗布体10における上段部12の上面12a及びストロー状ノズル25によって溶剤xaが供給された下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分に供給させるようにすることもできる。なお、このようにした場合には、下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分に対して、塗布用ノズル24におけるスリット状吐出口24aから供給された塗液xが、下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分に供給されている溶剤xa中に溶け込んで、下段部11の上面11aから上段部12の端面12bの部分に塗液xを含む塗膜が簡単に形成されて保護されるようになる。
【符号の説明】
【0035】
10 :被塗布体
11 :下段部
11a :上面
12 :上段部
12a :上面
12b :端面
20 :塗布装置
21 :テーブル
22 :走行用レール
23 :走行部材
24 :塗布用ノズル
24a :スリット状吐出口
25 :ストロー状ノズル
25a :ストロー状吐出口
26 :ストロー状ノズル走行レール
x :塗液
xa :溶剤
【要約】
【課題】 板状になった下段部の上に下段部より小さい板状になった上段部が設けられた被塗布体の上段部の上面と、上段部と下段部との段差部における上段部の端面から下段部の上面に塗液を適切に塗布できるようにする。
【解決手段】 板状になった下段部11の上に下段部より小さい板状になった上段部12が設けられた被塗布体10の上を走行する走行部材23に、走行方向と交差する方向にスリット状吐出口24aを先端部に有する塗布用ノズル24を設けると共に、先端部にストロー状吐出口25aを有するストロー状ノズル25を、走行部材の走行方向と交差する方向に移動可能に設けた。
【選択図】
図4