(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
飲食店において客に提供される飲食物が盛られた器に接触して、前記器の重量を検出可能な重量センサと共に設けられたタグを識別するタグ識別情報を、当該飲食物が提供された客のエリア、テーブル、または席を識別する客識別情報と対応付けて記憶する記憶手段と、
前記重量センサの出力値を前記タグ識別情報と共に受信する通信手段と、
前記受信された出力値の変化に基づいて、当該出力値と共に受信されたタグ識別情報によって識別されるタグが設けられた器に盛られた飲食物の摂取が終了する時期を推定し、当該推定された時期に関する推定情報を生成する制御手段と、
前記生成された推定情報を、前記タグ識別情報に対応する客識別情報と共に出力する出力手段と
を具備し、
前記制御手段は、前記推定された時期から所定時間前に前記推定情報を出力するように前記出力手段を制御する
情報処理装置。
飲食店において客に提供される飲食物が盛られた器に接触して、前記器の重量を検出可能な重量センサと共に設けられたタグを識別するタグ識別情報を、当該飲食物が提供された客のエリア、テーブル、または席を識別する客識別情報と対応付けて記憶し、
前記重量センサの出力値を前記タグ識別情報と共に受信し、
前記受信された出力値の変化に基づいて、当該出力値と共に受信されたタグ識別情報によって識別されるタグが設けられた器に盛られた飲食物の摂取が終了する時期を推定し、
前記推定された時期に関する推定情報を生成し、
前記生成された推定情報を、前記タグ識別情報に対応する客識別情報と共に出力し、
前記推定された時期から所定時間前に前記推定情報を出力する
情報処理方法。
飲食店において客に提供される飲食物が盛られた器に接触して、前記器の重量を検出可能な重量センサと共に設けられたタグを識別するタグ識別情報を、当該飲食物が提供された客のエリア、テーブル、または席を識別する客識別情報と対応付けて記憶し、
前記重量センサの出力値を前記タグ識別情報と共に受信し、
前記受信された出力値の変化に基づいて、当該出力値と共に受信されたタグ識別情報によって識別されるタグが設けられた器に盛られた飲食物の摂取が終了する時期を推定し、
前記推定された時期に関する推定情報を生成し、
前記生成された推定情報を、前記タグ識別情報に対応する客識別情報と共に出力し、
前記飲食物の摂取が終了する時期を随時推定し、前記推定された時期に関する推定情報を随時更新し、
前記更新された推定情報に含まれる推定された時期より、前記更新前の推定情報に含まれる推定された時期の方が遅い場合、前記飲食物の摂取が終了する時期を前記更新された推定情報に含まれる推定された時期よりも早い時間として推定情報を生成する
情報処理方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、どの客がどの飲食物をどれだけ摂取したかを把握することはできるが、客が個々の飲食物を摂取し終わる時期を推定することはできない。
【0005】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、飲食店において客が個々の飲食物を摂取し終わる時期を推定することで、飲食物の調理、配膳または注文の効率化を図ることが可能な情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る情報処理装置は、記憶手段、通信手段、制御手段、及び出力手段を有する。上記記憶手段は、飲食店において客に提供される飲食物が盛られた器に接触して、上記器の重量を検出可能な重量センサと共に設けられたタグを識別するタグ識別情報を、当該飲食物が提供された客のエリア、テーブル、または席を識別する客識別情報と対応付けて記憶する。上記通信手段は、上記重量センサの出力値を上記タグ識別情報と共に受信する。上記制御手段は、上記受信された出力値の変化に基づいて、当該出力値と共に受信されたタグ識別情報によって識別されるタグが設けられた器に盛られた飲食物の摂取が終了する時期を推定し、当該推定された時期に関する推定情報を生成する。上記出力手段は、上記生成された推定情報を、上記タグ識別情報に対応する客識別情報と共に出力する。
【0007】
これにより情報処理装置は、器の重量変化に基づいて当該器に盛られた飲食物の摂取終了を推定してその時期に関する情報を出力することで、調理場のスタッフに、次に提供すべき料理の調理を開始させ、またはホールのスタッフに次の注文を取らせることができ、配膳または注文の効率化を図ることができる。またこれにより、程よいタイミングで最適な状態の料理が客に提供され、客はストレスなく食事を楽しむことができる。
【0008】
上記制御手段は、上記推定された時期から所定時間前に上記推定情報を出力するように上記出力手段を制御してもよい。
【0009】
これにより情報処理装置は、飲食物の摂取終了の推定時期よりも所定時間前に推定情報を飲食店のスタッフに把握させることで、客が飲食物を食べ終わる前に、次の料理の調理を料理場のスタッフに開始させることができ、次の料理の提供までの客の待ち時間を少なくすることができる。
【0010】
上記記憶手段は、上記飲食物毎の調理時間に関する調理時間情報を記憶すると共に、上記客から注文を受け付けた飲食物の識別情報及び当該飲食物が提供済か否かを示す情報を含む注文情報を注文受付順に上記客識別情報と対応付けて記憶してもよい。この場合上記制御手段は、上記注文情報に基づいて次に提供すべき飲食物を特定し、当該特定された飲食物の調理時間と、上記推定された時期とに基づいて、上記推定情報の出力タイミングを決定してもよい。
【0011】
これにより情報処理装置は、次に調理・配膳すべき料理に必要な調理時間によって推定情報の出力タイミングを決定することで、調理場のスタッフに調理開始のタイミングを調整させ、最適なタイミングで次の料理を配膳させることができる。
【0012】
上記制御手段は、上記出力値に基づいて、当該出力値の経時変化を示すグラフを生成し、当該グラフを上記推定情報として出力するように上記出力手段を制御してもよい。
【0013】
これにより情報処理装置は、提供された飲食物を客が食べるペースを可視化して示すことで、調理場のスタッフに次の飲食物の調理開始のタイミングを直感的に把握させることができる。
【0014】
上記記憶手段は、上記客が就いているテーブルの面積に応じた配膳可能な器の数に関する配膳可能数情報を上記客識別情報と対応付けて記憶してもよい。この場合上記制御手段は、上記客識別情報に対応付けられた上記タグ識別情報の数が上記配膳可能数を上回っている場合には上記推定情報の出力を規制するように上記出力手段を制御してもよい。
【0015】
これにより情報処理装置は、調理して配膳しても器が客のテーブルに載りきらないと判断される場合には推定情報の出力を規制して調理開始を抑制することで、飲食物の配膳のペースが客の食べるペースを超えてしまったり客の食事を急かしたりしてしまうのを防ぐことができる。
【0016】
上記記憶手段は、1つの客識別情報に対して複数の同一のタグ識別情報が対応付けられている場合、当該複数のタグ識別情報によって識別される器に盛られた飲食物に関する複数の推定情報のうち、最も遅い時期を示す推定情報のみを出力するように上記出力手段を制御してもよい。
【0017】
これにより情報処理装置は、例えばコース料理のように、複数の客に同一の料理が個別に提供される場合には、食べるペースが一番遅い客のペースを推定情報として出力することで、同じテーブルの複数の客の間で各料理の提供のタイミングを合わせることができる。
【0018】
上記制御手段は、上記受信した出力値のうち、所定時間以上安定して受信された値を上記推定に用いてもよい。
【0019】
これにより情報処理装置は、所定時間安定して受信された出力値のみを時期の推定に用いることで、例えば客がナイフ、フォーク、箸等によって器に圧力をかけたり、客が器をテーブルから持ち上げて再び置いたりする動作を行った場合に瞬間的に重量センサの出力値が変化するような事象が発生しても、それらの事象の重量変化への影響を極力排除し、摂取終了時期を高精度に推定することができる。
【0020】
上記制御手段は、上記飲食物の摂取が終了する時期を随時推定し、上記推定された時期に関する推定情報を随時更新してもよい。
【0021】
これにより、提供された飲食物を客が食べるペースが当初のペースを下回っても、飲食店のスタッフは、新たに推定された飲食物の摂取が終了する時期に基づいて最適な状態の料理を客に提供することができる。
【0022】
上記制御手段は、上記更新された推定情報に含まれる推定された時期より、上記更新前の推定情報に含まれる推定された時期の方が遅い場合、上記飲食物の摂取が終了する時期を上記更新された推定情報に含まれる推定された時期よりも早い時間として推定情報を生成してもよい。
【0023】
これにより、客が提供された飲食物に手を付けなくなった場合であっても長時間に渡って次の飲食物が客に提供されない状態を防ぐことができる。
【0024】
本発明の他の形態の係る情報処理方法は、
飲食店において客に提供される飲食物が盛られた器に接触して、上記器の重量を検出可能な重量センサと共に設けられたタグを識別するタグ識別情報を、当該飲食物が提供された客のエリア、テーブル、または席を識別する客識別情報と対応付けて記憶し、
上記重量センサの出力値を上記タグ識別情報と共に受信し、
上記受信された出力値の変化に基づいて、当該出力値と共に受信されたタグ識別情報によって識別されるタグが設けられた器に盛られた飲食物の摂取が終了する時期を推定し、
上記推定された時期に関する推定情報を生成し、
上記生成された推定情報を、上記タグ識別情報に対応する客識別情報と共に出力することを含む。
【0025】
本発明のまた別の形態に係るプログラムは、情報処理装置に、
飲食店において客に提供される飲食物が盛られた器に接触して、上記器の重量を検出可能な重量センサと共に設けられたタグを識別するタグ識別情報を、当該飲食物が提供された客のエリア、テーブル、または席を識別する客識別情報と対応付けて記憶するステップと、
上記重量センサの出力値を上記タグ識別情報と共に受信するステップと、
上記受信された出力値の変化に基づいて、当該出力値と共に受信されたタグ識別情報によって識別されるタグが設けられた器に盛られた飲食物の摂取が終了する時期を推定するステップと、
上記推定された時期に関する推定情報を生成するステップと、
上記生成された推定情報を、上記タグ識別情報に対応する客識別情報と共に出力するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように、本発明によれば、飲食店において客が個々の飲食物を摂取し終わる時期を推定することで、飲食物の調理、配膳または注文の効率化を図ることができる。しかし、当該効果は本発明を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0029】
[システムの構成]
図1は、本実施形態に係る飲食店調理配膳支援システムの構成を示した図である。
【0030】
同図に示すように、このシステムは、飲食店内に設置された飲食店調理配膳支援サーバ100と、注文端末200と、ディスプレイ300等を有し、これらは飲食店内のLAN(Local Area Network)等のネットワークNによって接続されている。
【0031】
注文端末200は、客から飲食物の注文を受け付けるコンピュータであり、例えば飲食店のホールスタッフによって操作され、注文されたメニュー名、メニューID、値段、注文時刻等の注文情報が注文端末200に記憶される。注文情報は、例えばキッチンのディスプレイ300に表示されることでキッチンスタッフによって把握され、キッチンスタッフによって調理された飲食物がホールスタッフによってホール内の客のテーブルTに配膳される。
【0032】
ホールスタッフは、器Dの配膳に際し、センサ付タグ10を例えば器Dの底面に貼付等によって設置する。センサ付タグ10は、客のテーブルTに配膳された器D(及びそれに盛られた飲食物)の重量を測定可能な重量センサ付のRFID(Radio Frequency IDentifier)タグであり、センサからの出力値を近距離無線通信により送信する。このセンサ付タグ10は、センサ及びタグが共に設けられている。本実施形態では、センサ及びタグが一体的に設けられている場合を想定しているが、センサまたはタグが器Dに固定されており、一方が配膳時等に設置される構成でもよい。また、器Dに常に固定されている構成も含まれる。
【0033】
センサ付タグ10が設置された器DがテーブルTに配膳された場合、センサ付タグ10は器Dの底面とテーブルTの上面とに挟まれる形で両者に接触し、これにより重量センサが器Dの重量を測定可能な状態となる。センサ付タグ10からの出力値は例えばホール内の複数個所に設置された無線中継端末50を介して飲食店調理配膳支援サーバ100によって受信される。
【0034】
センサ付タグ10は例えば、器Dの底面に設置されても目立たない程度の小型のシート状とされる。センサ付タグ10に設けられる重量センサとしては、例えば歪みゲージや静電容量センサ等を利用した小型の感圧センサ等が用いられる。
【0035】
センサ付タグ10としては、食物が盛られる器Dと飲物が注がれる器(グラス)Dとで別個のものが用いられてもよい。
【0036】
センサ付タグ10には、当該センサ付タグ10を識別するタグIDが記憶されている。当該センサ付タグ10がホールスタッフによって器Dに設置される際には、上記タグIDが、注文端末200が有するリーダによって読み取られ、当該タグIDは、当該センサ付タグ10が設置された器Dが配膳されるテーブルT(の客)を識別する客IDと対応付けられて注文端末200に記憶される。当該記憶されたタグID及び客IDは、配膳情報として、ネットワークNを介して飲食店調理配膳支援サーバ100に送信され記憶される。本実施形態では、テーブルTごとに客IDを対応付けているが、客1人ずつに客IDを対応付ける構成としてもよい。または、いくつかのテーブルTがまとめて配置されたエリアに対して客IDを対応付けてもよい。テーブルTまたはエリアに対して客IDが対応付けられている場合、同一テーブルTまたはエリアにおいては、同一の客IDが対応付けられる。そのため、それぞれの客IDを更に詳細に識別する器IDを客IDに対応付けてもよい。もちろん、同一のテーブルTまたはエリアに対して異なる客IDを対応付けてもよい。
【0037】
飲食店調理配膳支援サーバ100は、上記センサ付タグ10からのセンサ出力値を受信し、その変化に基づいて、当該センサ付タグ10が設けられた器Dに盛られた飲食物の客による摂取が終了する時期を推定し、当該推定された時期に関する推定情報(終了時期推定情報)を生成する。
【0038】
そして当該終了時期推定情報はネットワークNを介してキッチンのディスプレイ300へ送信され、ディスプレイ300上で表示される。これによりキッチンスタッフは、テーブルTの器Dに盛られた飲食物を客が食べ終わる時期を把握し、それに基づいて次にその客に提供すべき飲食物の調理を開始することができる。
【0039】
[飲食店調理配膳支援サーバのハードウェア構成]
図2は、上記飲食店調理配膳支援サーバ100のハードウェア構成を示した図である。同図に示すように、飲食店調理配膳支援サーバ100は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、入出力インタフェース15、及び、これらを互いに接続するバス14を備える。
【0040】
CPU11は、必要に応じてRAM13等に適宜アクセスし、各種演算処理を行いながら飲食店調理配膳支援サーバ100の各ブロック全体を統括的に制御する。ROM12は、CPU11に実行させるOS、プログラムや各種パラメータなどのファームウェアが固定的に記憶されている不揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の作業用領域等として用いられ、OS、実行中の各種アプリケーション、処理中の各種データを一時的に保持する。
【0041】
入出力インタフェース15には、表示部16、操作受付部17、記憶部18、通信部19等が接続される。
【0042】
表示部16は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic ElectroLuminescence Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等を用いた表示デバイスである。本実施形態では、表示部16は、飲食店調理配膳サーバ100の外部のディスプレイ300として存在する。
【0043】
操作受付部17は、例えばマウス等のポインティングデバイス、キーボード、タッチパネル、その他の入力装置である。操作受付部17がタッチパネルである場合、そのタッチパネルは表示部16と一体となり得る。
【0044】
記憶部18は、例えばHDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。当該記憶部18には、上記OSや各種アプリケーション、各種データに加えて、本実施形態における調理配膳支援処理に必要なソフトウェアプログラム及びデータが記憶される。
【0045】
後述するが、特に本実施形態において、記憶部18は、タグID・客ID情報データベース、注文情報データベース、調理時間・重量情報データベース、及び終了時期推定情報データベースを有している。
【0046】
通信部19は、例えばEthernet(登録商標)用のNIC(Network Interface Card)や無線LAN等の無線通信用の各種モジュールであり、上記注文端末200やディスプレイ300との間の通信処理を担う。
【0047】
[飲食店調理配膳支援サーバのデータベース構成]
図3は、上記飲食店調理配膳支援サーバ100が有するデータベースの構成を示した図である。
【0048】
同図に示すように、飲食店調理配膳支援サーバ100は、記憶部18に、タグID・客ID情報データベース31、注文情報データベース32、調理時間・重量情報データベース33、及び終了時期推定情報データベース34を有している。
【0049】
タグID・客ID情報データベース31は、上記注文端末200から受信したタグID及び客IDを対応付けて記憶する。客IDはテーブル番号等のテーブルTのIDであっても構わない。客のテーブルTに複数の器Dが配膳されている場合、1つの客IDに対して複数のタグIDが対応付けられて記憶される。これらに加えて、タグIDに対応する器Dに盛られた飲食物のメニューIDが対応付けられていてもよい。
【0050】
注文情報データベース32は、客から注文を受け付けた飲食物を識別するメニューID、メニュー名、値段、注文時刻、提供済みか否かを示すフラグ等を含む注文情報を、客ID及びタグIDと対応付けて記憶している。
【0051】
調理時間・重量情報データベース33は、飲食店が提供可能な飲食物毎に、その調理に要する時間を、例えば上記注文情報DB32のメニューIDと対応付けて記憶している。また調理時間・重量情報データベース33は、各飲食物が調理され、器Dに盛られた場合の、器Dの重量を除く当該飲食物の平均的な重量を示すデータ及びそれが盛られる器Dの重量を示すデータを、上記メニューIDと対応付けて記憶している。
【0052】
終了時期推定情報データベース34は、上記センサ付タグ10からのセンサ出力値の変化に基づいて飲食店調理配膳支援サーバ100によって生成された、センサ付タグ10が設けられた器D上の飲食物の摂取終了時期推定情報を、上記タグID及び客IDと対応付けて記憶している。
【0053】
これら各データベースは、後述する飲食店調理配膳支援サーバ100による調理配膳支援処理において、必要に応じて相互に参照されて用いられる。
【0054】
[飲食店調理配膳支援サーバの動作]
次に、以上のように構成された飲食店調理配膳支援サーバ100の動作について説明する。当該動作は、飲食店調理配膳支援サーバ100のCPU11及び通信部19等のハードウェアと、記憶部18に記憶されたソフトウェアとの協働により実行される。以下の説明では、便宜上、CPU11を動作主体とする。
【0055】
図4は、飲食店調理配膳支援サーバ100による、調理配膳支援処理の流れを示したフローチャートである。
【0056】
同図に示すように、飲食店調理配膳支援サーバ100のCPU11は、まず、タグIDと客IDを含む配膳情報を注文端末200から受信したか否かを判断する(ステップ41)。
【0057】
注文端末200から配膳情報を受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該配膳情報に含まれるタグIDと客IDとを対応付けてタグID・客ID情報DB31に記憶する(ステップ42)。
【0058】
続いてCPU11は、センサ付タグ10から、センサ出力値及びタグIDを受信したか否かを判断する(ステップ43)。
【0059】
センサ出力値及びタグIDを受信したと判断した場合(Yes)、CPU11は、当該センサ出力値をタグIDと対応付けて上記終了時期推定情報DB34に記録する(ステップ44)。
【0060】
続いてCPU11は、センサ出力値を所定時間分記録したか否かを判断する(ステップ45)。ここで所定時間とは、例えば3分、5分等であるが、これらに限られない。
【0061】
センサ出力値を所定時間分記録したと判断した場合(Yes)、CPU11は、センサ出力値の変化を基に、上記タグIDによって識別される器Dに盛られた飲食物が客によって摂取し終わる時期を推定し、摂取終了時期推定情報を生成する(ステップ46)。
【0062】
具体的には、CPU11は、センサ出力値の上記所定時間分毎の変化量(摂取速度)を基に、上記タグIDに対応するメニューIDによって識別される飲食物の重量(センサ出力値から対応する器Dの重量を引いた値)が0となる時期(時刻)を推定する。
【0063】
この際、CPU11は、上記受信したセンサ出力値のうち、所定時間以上安定して受信された値のみを推定に用いてもよい。
図5は、この処理を説明したグラフである。同図の縦軸はセンサ出力値を示し、横軸は配膳からの経過時間を示す。
【0064】
同図に示すように、例えば客がナイフ、フォーク、箸等によって器Dに圧力をかけたり、客が器DをテーブルTから持ち上げて再び置いたりする動作を行った場合や、何らかの原因でテーブルTや器Dが揺れた場合等には、瞬間的に重量センサの出力値が変化するような事象が発生する可能性がある。
【0065】
そこで、CPU11は、センサ出力値のうち、同図の所定時間d以上、実質的に同一の値が検出された場合に、その値を推定処理に採用する。これによりCPU11は、時刻t1と時刻t2の間にセンサ出力値の細かな上下が発生していても、そのようなノイズの影響を極力排除し、例えば、時刻t1において安定して検出された出力値と時刻t2において安定して検出された出力値との差分Δgを、時刻t1から時刻t2までの間の出力値の変化量として検出することができる。これにより、摂取終了時期の推定精度が向上する。
【0066】
続いてCPU11は、上記メニューIDに対応する調理時間情報を基に、上記生成した摂取終了時期推定情報を出力する時期(出力時刻または出力までの待ち時間)を決定する(ステップ47)。すなわち、CPU11は、上記推定された終了時期(終了時刻)から、上記調理時間情報が示す調理時間だけ前の時刻、または、それよりさらに数分(調理開始までの準備時間に相当)前の時刻を、摂取終了時期推定情報の出力時刻として決定する。
【0067】
続いてCPU11は、上記決定した出力時刻が到来したか否かを判断する(ステップ48)。
【0068】
そしてCPU11は、上記出力時刻が到来したと判断した場合には(Yes)、上記摂取終了時期推定情報をキッチンの上記ディスプレイ300へ送信して表示させる(ステップ49)。また、当該摂取終了時期推定情報は、注文端末200のディスプレイや、ホールスタッフが携帯するハンディ端末(図示せず)にも同様に表示されてもよい。
【0069】
これにより、上記タイミングで摂取終了時期推定情報がディスプレイ300を介してキッチンのスタッフに確認され、その表示から直ちに次に提供すべき飲食物の調理が開始されると、その飲食物の調理が、現在摂取中の飲食物がちょうど摂取し終わるくらいのタイミングで完了し、摂取を終了した飲食物と入れ替わるように配膳可能となる。
【0070】
また、ホールスタッフが上記摂取終了時期推定情報を確認することで、例えばドリンクのように調理が不要な飲食物については、客から次の注文を取るタイミングを把握することができる。
【0071】
図6は当該摂取終了時期推定情報がディスプレイ300に表示された画面の例を示した図である。
【0072】
同図に示すように、摂取終了時期推定情報の出力画面は、例えばテーブルNo.(客IDに対応)、タグID、食べ終わり予測情報及び次のオーダー情報を有する。
【0073】
食べ終わり予測情報は、例えば各タグIDの器Dに盛られた飲食物が食べ終わるまでの残り時間を示す。当該食べ終わり予測情報の出力タイミングは、上述のように、調理時間情報を基に決定される。したがって、食べ終わり予測情報が表示される欄もあれば、表示されない欄もある。例えば残り時間が1分を切った場合には、時間ではなく「もうすぐ終了」といった強調表示がなされる。もちろん、残り時間ではなく、摂取終了予測時刻が表示されてもよい。
【0074】
キッチンスタッフは、当該画面を確認することで、例えば食べ終わりまでの残り時間が少ない飲食物が提供されているテーブルTから優先的に、次に提供すべき飲食物の調理を開始することができる。
【0075】
図7は、当該摂取終了時期推定情報の他の画面例を示した図である。
【0076】
同図に示すように、摂取終了時期推定情報は、
図6に示したような摂取終了までの残り時間として出力される以外に、上記センサ出力値の経時変化(食べるペース)を示すグラフとして出力されてもよい。当該グラフにおいて、縦軸は重量であり、横軸は時刻である。このグラフのうち、現在時刻よりも先のデータ(同図破線で示すデータ)が、出力値を基に推定された値を示す。
【0077】
キッチンスタッフは、当該画面を確認することで、各テーブルの客の食べるペース及び次の飲食物の調理開始のタイミングを直感的に把握することができる。
【0078】
[まとめ]
以上説明したように、本実施形態によれば、飲食店調理配膳支援サーバ100は、器Dの重量変化に基づいて当該器Dに盛られた飲食物の摂取終了を推定してその時期に関する情報を出力することで、キッチンスタッフに、次に提供すべき料理の調理を、客が現在の飲食物が食べ終わる前に開始させ、またはホールスタッフに次の注文を取らせることができ、配膳または注文の効率化を図ることができる。またこれにより、程よいタイミングで最適な状態の料理が客に提供され、客はストレスなく食事を楽しむことができる。
【0079】
[変形例]
本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更され得る。
【0080】
上述の実施形態において、センサ付タグ10は、器DとテーブルTの両方に接触して、両者の間に設置された。しかし、センサ付タグ10は、器(及び飲食物)の重量を計測できるものであればどのような物でもよく、例えば器の歪みを直接検出しそれを基に器の重量を測定できるものであれば、例えば器Dの底のテーブルTに接触しない面に設置されても構わない。
【0081】
上述の実施形態では、摂取終了時期推定情報の出力タイミングは、次に提供されるべき飲食物の調理時間を基に決定されたが、一律に摂取終了時期の所定時間前(例えば5分前、10分前等)に出力されてもよい。
【0082】
上記摂取終了時期推定情報の出力タイミングは、食物と飲物とで別個に制御されてもよい。すなわち、飲物は調理の必要が無く、提供の準備開始から提供までに要する時間が食物よりも短いため、飲物に関する摂取終了時期推定情報は、食物よりも遅いタイミングで出力されてもよい。
【0083】
上述の実施形態において、飲食物調理配膳支援サーバ100は、客が就いているテーブルTの面積に応じた配膳可能な器Dの数に関する配膳可能数情報を、上記客IDと対応付けて記憶してもよい。この場合、飲食物調理配膳支援サーバ100は、上記客IDに対応付けられた上記タグID数が、上記配膳可能数を上回っている場合には、摂取終了時期推定情報の出力を規制してもよい。これにより、調理して配膳しても器Dが客のテーブルTに載りきらないと判断される場合には摂取終了時期推定情報の出力が規制されることで、キッチンにおける次に提供すべき飲食物の調理開始が抑制され、飲食物の配膳のペースが客の食べるペースを超えてしまったり客が食事を急かされてしまったりするのが防止される。
【0084】
上述の実施形態において、飲食物調理配膳支援サーバ100は、1つの客IDに対して複数の同一のタグIDが対応付けられている場合、当該複数のタグIDによって識別される器Dに盛られた飲食物に関する複数の摂取終了時期推定情報のうち、最も遅い時期を示す推定情報のみを出力してもよい。これにより、例えばコース料理のように、同一のテーブルで複数の客に同一の料理が個別に提供される場合には、食べるペースが一番遅い客のペースが摂取終了時期推定情報として出力されることで、同じテーブルの複数の客の間で各料理の提供のタイミングが異なってしまうのが防止される。
【0085】
上述の実施形態では、摂取終了時期推定情報はディスプレイ300上に視覚的に出力されたが、例えば「テーブル〇番の料理が後〇分で食べ終わります。」といった音声情報として、例えば飲食店の厨房に設置されたスピーカから出力されてもよい。
【0086】
上述の実施形態においては、飲食店調理配膳支援サーバ100は、飲食店内に設けられたが、飲食店外に設けられ、例えばインターネット等を介して注文端末200やディスプレイ300と通信可能であってもよい。この場合、センサ付タグ10からのセンサ出力値は、例えば注文端末200によって受信され、インターネット等を介して飲食店調理配膳支援サーバ100へ送信されてもよい。
【0087】
また、上述の実施形態においては、飲食店調理配膳支援サーバ100は飲食店内の注文端末200とは別個に設けられたが、飲食店調理配膳支援サーバ100が別途設けられることなく、例えば注文端末200等の飲食店に存在するコンピュータが飲食店調理支援サーバ100としても機能してもよい。
【0088】
上述の実施形態では、摂取終了時期推定情報を、上記調理時間情報等に基づいて決定したタイミングで1回のみ出力する例を説明した。しかし、提供された飲食物を客が飲食するペースが当初のペースを下回る場合、実際の摂取終了時期より早く飲食店のスタッフは、次の飲食物を客に提供してしまう可能性が考えられる。よって、飲食物調理配膳支援サーバ100は、摂取終了時期推定情報を随時推定し、摂取終了時期推定情報を随時更新してもよい。
【0089】
また、飲食物調理配膳支援サーバ100は、更新された摂取終了時期推定情報に含まれる摂取終了時期より、更新前の摂取終了時期推定情報に含まれる摂取終了時期の方が遅い場合、飲食物の摂取終了時期を更新された摂取終了時期推定情報に含まれる摂取終了時期よりも早い時間として摂取終了時期推定情報を生成してもよい。
【0090】
この構成により、客が提供された飲食物に手を付けなくなった場合であっても長時間に渡って次の飲食物が客に提供されない状態を防ぐことができる。
【0091】
本願の特許請求の範囲に記載された発明のうち、「情報処理方法」と記載された発明は、その各ステップを、ソフトウェアによる情報処理によりコンピュータ等の装置が自動的に行うものであり、人間がコンピュータ等の装置を用いて行うものではない。すなわち、当該「情報処理方法」は、コンピュータ・ソフトウェアによる情報処理方法であって、コンピュータという計算道具を人間が操作する方法ではない。