特許第6776027号(P6776027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6776027心臓手術のためのX線不可視性位置特定パッドの構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776027
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】心臓手術のためのX線不可視性位置特定パッドの構造
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/00 20060101AFI20201019BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20201019BHJP
   A61B 6/12 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   G01B7/00 103M
   A61B6/00 390C
   A61B6/00 370
   A61B6/12
【請求項の数】10
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-133060(P2016-133060)
(22)【出願日】2016年7月5日
(65)【公開番号】特開2017-15708(P2017-15708A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2019年6月13日
(31)【優先権主張番号】14/791,667
(32)【優先日】2015年7月6日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/059,628
(32)【優先日】2016年3月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】バディム・グリナー
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2004/0199072(US,A1)
【文献】 特開2008−062040(JP,A)
【文献】 特開2004−275776(JP,A)
【文献】 特開2007−301375(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0186018(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0174303(US,A1)
【文献】 特開2007−236937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/34
A61B 6/00
A61B 6/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置特定パッドであって、
患者の身体の対象領域における医療器具の位置を測定するために、前記対象領域に個々の磁場を発生させるよう構成されている複数の磁場発生器と、
前記対象領域を取り囲む個々の位置に前記複数の磁場発生器を固定するよう構成されており、かつ前記対象領域の少なくとも1つの側で開いている、フレームと
を備え、前記フレームが、前記対象領域を取り囲む矩形の個々の隅に、前記磁場発生器を固定するよう構成されている、位置特定パッド。
【請求項2】
前記患者が、テーブルの上に位置しており、前記位置特定パッドが、前記患者と前記テーブルとの間に位置するよう構成されている、請求項1に記載の位置特定パッド。
【請求項3】
前記磁場発生器の少なくとも1つが、複数の非同心コイルを備えた、請求項1に記載の位置特定パッド。
【請求項4】
位置特定パッドを製造する方法であって、
患者の身体の対象領域における医療器具の位置を測定するために、前記対象領域に個々の磁場を発生させるよう構成されている複数の磁場発生器を用意することと、
フレーム上の、前記対象領域を取り囲む個々の位置に前記複数の磁場発生器を固定することであって、前記フレームが前記対象領域の少なくとも1つの側で開いており、前記フレームが、前記対象領域を取り囲む矩形の個々の隅に、前記磁場発生器を固定するよう構成されている、ことと
を含む、方法。
【請求項5】
前記磁場発生器の少なくとも1つが、複数の非同心コイルを備えた、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1つの平面に前記非同心コイルの少なくとも2つを並べて配置することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
方法であって、
患者の対象領域に対して位置特定パッドを位置決めすることであって、前記位置特定パッドが、前記対象領域を取り囲む個々の位置に複数の磁場発生器を固定するフレームを備え、前記フレームが、前記対象領域の少なくとも1つの側で開いており、前記フレームが、前記対象領域を取り囲む矩形の個々の隅に、前記磁場発生器を固定するよう構成されている、ことと、
前記対象領域に医療器具を挿入することと、
前記磁場発生器を使用して、前記医療器具の位置を追跡することと、
前記位置を追跡するのと同時に、X線透視画像化システムを用いて前記対象領域に照射し、前記対象領域の画像を作成することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記位置特定パッドを位置決めすることが、前記位置特定パッドの開いた側を、前記X線透視画像化システムに直面するよう位置決めすることを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記位置特定パッドを位置決めすることが、前記患者と前記患者が横たわるテーブルとの間に前記位置特定パッドを置くことを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記位置を追することが、前記磁場発生器を使用して磁場を生成すること、及び生成した前記磁場に磁気位置追跡を適用することにより前記位置を追跡することを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、位置追跡システム、及び詳細には磁気位置追跡において使用される位置特定パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
磁気位置追跡システムは、最小限の非侵襲的手順におけるものなどの、幅広い医療用途において使用される。先行技術の例を、以下に提示する。
【0003】
その開示が参照により本明細書に組み込まれている、Govariらへの米国特許出願公開第2007/0265526号は、位置特定パッドを含むテーブルの上部表面に位置している患者に医療的手順を行うための磁気位置追跡システムを記載しており、この位置特定パッドは、患者の下のテーブルの上部表面に位置している。位置特定パッドは、個々の磁場を発生させるように動作可能であって、位置特定パッドの厚さ寸法が3センチメートル以下であるように配置されている、1つ又は複数の磁場発生器を含む。位置センサは、患者の身体内に挿入するための侵襲性医療用デバイスに固定され、身体内の医療用デバイスの位置を測定するために、磁場を感知するように配置されている。
【0004】
その開示が参照により本明細書に組み込まれている、Govariらへの米国特許第8,180,430号は、第1及び第2の対象物の近傍において、第1及び第2の個々の磁場を発生させるための異なる個々の第1及び第2の位置にある、第1及び第2の磁場発生器を使用することを含む、位置追跡の方法を記載している。
【0005】
本特許出願において参照により組み込まれている文献は、組み込まれたこれらの文献中において、いずれの用語も本明細書において明示又は暗示的になされている定義と矛盾している程度に定義されている場合を除き、本出願の一体部分と見なされるべきであり、本明細書における定義だけが考慮されるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書において記載されている本発明の一実施形態は、複数の磁場発生器及びフレームを含む、位置特定パッドを提供する。本磁場発生器は、対象領域における医療器具の位置を測定するため、患者の身体の対象領域に個々の磁場を発生するよう構成されている。上記のフレームは、対象領域を取り囲む個々の位置において、複数の磁場発生器を固定するよう構成されている。このフレームは、対象領域の少なくとも1つの側で開いている。
【0007】
一部の実施形態では、このフレームは、対象領域を取り囲む矩形の個々の隅に、磁場発生器を固定するよう構成されている。他の実施形態では、患者は、テーブルの上に位置し、位置特定パッドは、この患者と該テーブルとの間に位置するよう構成されている。さらに他の実施形態では、磁場発生器の少なくとも1つは、複数の非同心コイルを含む。
【0008】
本発明の実施形態によれば、患者の身体の対象領域における医療器具の位置を測定するたに、対象領域において個々の磁場を発生させるよう構成されている複数の磁場発生器を設けて含む、位置特定パッドを作製するための方法がさらに提供される。複数の磁場発生器は、対象領域を取り囲む個々の位置にあるフレーム上に固定されている。このフレームは、対象領域の少なくとも1つの側で開いている。
【0009】
本発明の実施形態によれば、患者の対象領域に対して位置特定パッドの位置決めを含む、方法がさらに提供される。この位置特定パッドは、対象領域を取り囲む個々の位置に複数の磁場発生器を固定するフレームを含み、このフレームは、対象領域の少なくとも1つの側で開いている。医療器具は、対象領域に挿入される。この医療器具の位置は、磁場発生器を使用して追跡される。この位置を追跡するのと同時に、X線透視画像化システムにより対象領域が照射されて、対象領域の画像が作成される。
【0010】
本開示は、図面と併せて、以下の本開示の実施形態の詳細説明からより完全に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態による、X線透視画像化システム及び磁気位置追跡システムの概略描写図である。
図2A】本発明の実施形態による、開放フレーム薄型(low-profile)位置特定パッドの概略上面図である。
図2B】本発明の実施形態による、開放フレーム薄型位置特定パッドの概略側面図である。
図3】本発明の実施形態による、同時に行われる画像化及び位置追跡を行う方法を概略して例示しているフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
概説
カテーテルなどの体内プローブは、様々な治療的及び診断的医療的手順において使用される。このプローブは、患者の生体に挿入され、体腔内の標的領域へと進められて医療的手順が行われる。一部の磁場に基づく位置追跡システムでは、外部磁場が患者の身体に適用される。カテーテルの遠位端付近に設置された位置センサは、電気信号を生成することによって磁場に応答する。この追跡システムは、信号を使用して患者の身体に対するカテーテルの位置及び向きを特定する。この磁場は、通常、位置特定パッドを形成するよう、複数の磁場発生器、たとえば、表面に固定されている磁場発生コイルによって生成される。
【0013】
一部のシナリオでは、問題となる臓器の対象領域(ROI)の画像を得るために、磁気位置追跡システムとを同時にX線透視システムを操作することが望ましい。心臓内手術の場合、たとえば、両方のシステムのROIは、患者の胸部の左手側面を含む。こうしたシナリオでは、磁気置追跡システムの位置特定パッドの一部が、X線透視システムの視野(FOV)の範囲内に収まることができ、X線透視画像化の一部分が遮断又は覆い隠されてもよい。
【0014】
本明細書に記載されている本発明の実施形態は、開放フレーム及び薄型(たとえば、薄い)位置特定パッド構成を提供する。開示されている位置特定パッドは、ROIを取り囲む個々の位置にあるフレーム(たとえば、三角形又は矩形フレーム)上に固定されている、複数の磁場発生器(たとえば、平面コイル)を備える。このフレームは、ROIの少なくとも1つの側面、通常、X線透視システムに直面している側面が開放している。結果として、この位置特定パッドは、少なくとも、心臓手術において一般に使用されるX線透視投影において、X線透視画像化にほとんど又はまったく邪魔にならない。
【0015】
開示されている位置特定パッドは、たとえば、厚さが1.2cm程度の薄さを有する。こうした位置特定パッドは、一層厚くかつテーブルの下に設置しなければならない従来的な位置特定パッドとは反対に、移動式テーブル(その上に、患者が位置する)と患者の身体との間に容易に配置することができる。
【0016】
一実施形態では、磁場発生器はそれぞれ、互いに直行して構成されている3つの同心コイルを備え、3つのそれぞれの垂直方向に磁場構成要素を生じさせる。代替的な実施形態では、これらの3つのコイルは、磁場発生器の厚さを低減するよう、非同心的構成、たとえば、並列して配置されている。
【0017】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による、医療的手順に適用される、X線透視画像化システム22及び磁気位置追跡システム20の概略描写図である。
【0018】
心臓専門医42(又は、他の資格のある使用者)は、カテーテルの遠位端近傍に取り付けられている位置センサ41を使用して、該遠位端34が所望の位置に到達するまで、患者30(差し込み口32に示されている)の心臓28においてカテーテル24を操作する。心臓専門医42は、次に、カテーテル24を使用して切除又はマッピングするなどの、所望の医療的手順を行う。位置センサ41は、磁場発生器36A〜36Dにより発生される磁場を感知するよう、及び遠位端、たとえば6つの寸法位置及び配向座標(X、Y、Z、勾配、ヨー軸、ロール軸)を決定するためのプロセッサ44に信号を伝播するよう構成されている。
【0019】
磁気位置追跡は、たとえば、Biosense Webster Inc.(Diamond Bar,Calif.)により製造されているCARTO(商標)システムにおいて実行されており、米国特許第5,391,199号、同第6,690,963号、同第6,484,118号、同第6,239,724号、同第6,618,612号及び同第6,332,089号において、PCT特許公開WO 96/05768において、並びに米国特許出願公開第2002/0065455 A1号、同第2003/0120150 A1号及び同第2004/0068178 A1号に詳細に記載されており、それらの開示は参照により本明細書に組み込まれている。
【0020】
コンソール26は、プロセッサ44、駆動回路50、X線透視画像化システム22に対するインターフェイス48、入力装置46及びディスプレイ40を備える。システム20は、薄型位置特定パッド38(通常、厚さ1.2cm)を備え、このパッドはフレーム37、及びフレーム37に固定されている磁場発生コイルなどの1つ又は複数の磁場発生器を備える。図1の差し込み口29に示されている例示的な構成では、パッド38は、4つの磁場発生器36A〜36Dを備える。
【0021】
位置特定パッドは、カテーテル処置用テーブル33の上部、及び患者の胴体下に位置しており、こうして発生器36A〜36Dは、患者の外側の固定された公知の位置に置かれている。代替実施形態では、パッド38は、3つ又は他の任意の適切な数の発生器を備えている。心臓28の周辺の予め規定されている作業空間(volume)中に磁場を発生するよう、駆動回路50により、適切な信号を伴って磁場発生器36A〜36Dが駆動する。
【0022】
一実施形態では、マット35は、患者30の下に置かれており、パッド38は、該マット及びテーブル33の上に位置している。別の実施形態では、この磁場発生器は、患者の胴体及びテーブル33上に直接横たわっている患者に取り付けられる。代替的な実施形態では、パッド38は、テーブル33の下に置かれている。X線透視画像が必要な場合、心臓専門医42は、入力装置46、及びディスプレイ40上の適切なグラフィカルユーザーインターフェィス(GUI)を使用して、患者の心臓28内のX線透視画像を要求する。プロセッサ44は、システム22により照射される対象領域(ROI)39を算出して表するよう構成されている。
【0023】
差し込み口27を参照すると、発生器36A〜36Dは、通常、ROI 39の周りに通常、配置される。一実施形態では、パッド38は、照射されたX線がシステム22からパッド38の開放側面まで通過するよう、ROI 39周辺の開放フレーム37を備える。図で分かる通り、フレーム38の開放側面は、X線透視システムに直面している。この配置では、位置特定パッド38は、少なくとも最も一般に使用されているX線透視投影(たとえば、AP、LAO及びRAO)では、X線透視画像化にほとんど若しくはまったく邪魔又は陰にならない。
【0024】
伝統的な閉鎖型フレームパッドは、X線の一部を遮蔽するおそれがあり、したがって、心臓専門医42が必要な心臓の画像化、及びROI 39の有効サイズの縮小を阻害する。開示されている技法は、使用者にROI 39の全領域の画像化を提供するよう、フレーム37の片側面又は任意の他の適切な部分をなくすことにより、上記の制限を克服する。パッドの追加的な実施形態は、図2A及び2Bにおいて、さらに詳細に記載されている。
【0025】
図1は、心臓のカテーテル処置向けのシステムを示しているが、パッド38などの開放フレーム位置特定パッドは、整形外科用インプラント及び様々な医療的道具を追跡するためなどの、いかなる他の位置追跡用途に使用することができる。図1の例では、位置特定パッドは水平に置かれ、高さ又は水平方向の寸法が縮小される。本明細書に記載されている方法及びデバイスを使用して、適宜、特定の用途向けに、位置特定パッドを任意の所望の寸法に縮小することができる。さらに、本明細書に記載されている方法及びシステムはまた、同時にマッピング及びX線透視画像化を行うことが必要な他の用途に使用することもできる。
【0026】
図2Aは、本発明の実施形態による、開放フレーム薄型位置特定パッド38の概略上面図である。パッド38は、開放フレーム37を備えており、このフレーム上に発生器36A〜36Dが、平面の矩形構成で配置されている。任意の一対の磁場発生器間の距離は、通常、数センチメートルから数10センチメートルの範囲(たとえば、8〜55cm)にあるが、他の距離も使用することができる。
【0027】
図はまた、X線透視システム22のROI 39も例示している。カテーテル24の遠位端34は、ROI 39内に位置している。カテーテルの遠位端近くに装着されている位置センサ41は、遠位端の6つの寸法位置及び配向座標を形成するよう、磁場発生器36A〜36Dからの磁場を感知するよう構成されている。パッド38の磁場発生器36A〜36Dは、通常、三角形又は矩形上などの、任意の適切な配置で、ROI 39の周りに配置されている。図2Aの例では、パッド38は、矩形形状で配置されており、かつフレーム37上に固定されている4つの磁場発生器36A〜36Dを備える。
【0028】
差し込み口58は、磁場発生器36Cの分解立体図を含み、これは、磁場発生器36A、36B及び36Dと実質的に類似しており、フレーム37に固定されている。一部の実施形態では、磁場発生器36Cは、ベースフレーム59、該ベースフレーム内部に互いに隣接して配置されている3つの非同心性垂直コイル62、64及び66、並びに該ベースフレーム内部の上記コイルを包み込む蓋60を備える。
【0029】
この図において分かる通り、コイル62、64及び66は巻かれており、3つの相互に垂直な軸に配向している。こうして、コイルはそれぞれ、3つの相互に垂直な方向から1つの方向に磁場構成要素を発生するよう構成されている。コイル64及び66は、平行して位置されている一方、コイル60は、それらの周辺に位置されている。この配置により、薄型磁場発生器において、3つの非同心コイルをまとめることが可能になる。
【0030】
代替実施形態では、磁場発生器はそれぞれ、3つの同心コイルを備えてもよい。しかし、こうした構成は、通常、一層厚い磁場発生器となる。
【0031】
一部の実施形態では、フレーム37は、プラスチック又はガラス繊維などの適切な材料から作製されている、3つの中実アームを備える。矩形の第4の側面(たとえば、磁場発生器36Aと36Dとの間の側面)は、開放フレームを形成するよう、意図的に開放されている。図1に示されている通り、この開放側面は、患者の心臓28の下に置かれており、こうして、ROI 39全体にわたり、妨害のないX線透視画像化が可能になる。
【0032】
本発明の出願の文脈及び特許請求の範囲では、用語「開放」及び「開放側面」とは、X線照射に透過性のフレーム37の側面を指し、したがって、X線透視システム22に不可視性である。代替実施形態では、開放側面は、X線照射への透過性が維持されている限り、機械的にある程度閉鎖されていてもよい。こうした構成により、妨害のないX線透視画像化が可能になり、同時に、位置特定パッドに対する機械的に十分な剛直性をもたらす。たとえば、磁場発生器36A及び36Dは、十分な量のX線照射が通過するのを可能にする穴の空いているアームによって、又は任意の他の手段によって、X線照射に透過性の材料から作製されるアームによって連結され得る。
【0033】
図2Bは、本発明の実施形態による、パッド38の概略側面図である。パッド38は、通常の厚さが1.2cmを有するフレーム材料により形成されている薄型フレーム37を備える。発生器36B及び36Cは、フレーム37(この側面図では不可視な、発生器36A及び36Dと一緒)に固定されている。一部の実施形態では、パッド38は、テーブル33と患者30がその上に横たわっているマット35との間に置かれている。
【0034】
パッド38が薄型であるために、不便な点を引き起こすことなく、該パッドをテーブル33上に直接、及び患者の下に位置決めすることが可能になる。マット35の使用は任意選択であってもよく、代替実施形態では、パッド38は、患者30の胴体と個々の発生器36A〜36Dとの間で直接的な接触が可能となるようにするため、必要な平面性及び患者にとっての利便性がもたらされるよう形成され得る。
【0035】
パッド38と患者30(したがって、カテーテル24の遠位端の位置センサと)が近接することにより、該パッドがX線に及ぼす遮蔽作用が減じる。この作用は、位置特定パッドの平面に垂直でない角度にあるシステム22によって、患者30に照射している間が、とりわけ顕著である。さらに、位置特定パッドとカテーテルとの間が近接していることにより、遠位端の位置の測定正確性が改善され得る。
【0036】
図3は、本発明の実施形態による、カテーテル処置手順の間の、同時に行われる画像化及び位置追跡を概略して例示しているフローチャートである。位置特定パッド38に対して、テーブル33上に患者を位置決めすることによりこの方法が開始され、ここで、該パッドは、患者の位置決め工程100において、テーブルと患者の胴体との間に位置される。心臓専門医は、カテーテル挿入工程102において、患者の身体にカテーテル24を挿入する。カテーテル処置手順の間に、心臓専門医は、追跡工程104において、磁気位置システム20を使用して、患者の心臓における遠位端34の位置を追跡する。並行して、心臓専門医は、照射工程106において、システム22を使用して患者のROI 39に照射するのを決定することができる。開示されている技法により、手順実行工程108において、心臓専門医に必要なX線透視画像を提供する、妨害のないROI 39の画像化が可能になり、個々の組織の切除が行われる。
【0037】
上述の実施形態は、例として引用されたものであること、及び本発明は、上に具体的に示されて記載されているものに限定されるものではないということが理解されるであろう。むしろ本発明の範囲には、上記の様々な特徴の組合せ及び部分組合せ、並びに上記の説明を一読すると当業者に着想されると思われる、従来技術において開示されていない変形及び修正も含まれる。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 位置特定パッドであって、
患者の身体の対象領域における医療器具の位置を測定するために、前記対象領域に個々の磁場を発生させるよう構成されている複数の磁場発生器と、
前記対象領域を取り囲む個々の位置に前記複数の磁場発生器を固定するよう構成されており、かつ前記対象領域の少なくとも1つの側で開いている、フレームと
を備えた、位置特定パッド。
(2) 前記フレームが、前記対象領域を取り囲む矩形の個々の隅に、前記磁場発生器を固定するよう構成されている、実施態様1に記載の位置特定パッド。
(3) 前記患者が、テーブルの上に位置しており、前記位置特定パッドが、前記患者と前記テーブルとの間に位置するよう構成されている、実施態様1に記載の位置特定パッド。
(4) 前記磁場発生器の少なくとも1つが、複数の非同心コイルを備えた、実施態様1に記載の位置特定パッド。
(5) 位置特定パッドを製造する方法であって、
患者の身体の対象領域における医療器具の位置を測定するために、前記対象領域に個々の磁場を発生させるよう構成されている複数の磁場発生器を用意することと、
フレーム上の、前記対象領域を取り囲む個々の位置に前記複数の磁場発生器を固定することであって、前記フレームが前記対象領域の少なくとも1つの側で開いている、ことと
を含む、方法。
【0039】
(6) 前記磁場発生器の少なくとも1つが、複数の非同心コイルを備えた、実施態様5に記載の方法。
(7) 1つの平面に前記非同心コイルの少なくとも2つを並べて配置することを含む、実施態様6に記載の方法。
(8) 方法であって、
患者の対象領域に対して位置特定パッドを位置決めすることであって、この位置特定パッドが、前記対象領域を取り囲む個々の位置に複数の磁場発生器を固定するフレームを備え、このフレームが、前記対象領域の少なくとも1つの側で開いている、ことと、
前記対象領域に医療器具を挿入することと、
前記磁場発生器を使用して、前記医療器具の位置を追跡することと、
前記位置を追跡するのと同時に、X線透視画像化システムを用いて前記対象領域に照射し、前記対象領域の画像を作成することと
を含む、方法。
(9) 前記位置特定パッドの位置決めが、前記位置特定パッドの開いた側を、前記X線透視画像化システムに直面するよう位置決めすることを含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記位置特定パッドの位置決めが、前記患者と前記患者が横たわるテーブルとの間に前記位置特定パッドを置くことを含む、実施態様8に記載の方法。
【0040】
(11) 前記位置の追跡が、前記磁場発生器を使用して磁場を生成すること、及び生成した前記磁場に磁気位置追跡を適用することにより前記位置を追跡することを含む、実施態様8に記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3