(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態について
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1は、造花の中に生花を混在させた花束を示す斜視図であり、
図2は、造花の中にプリザーブドフラワーを混在させた花束を示す斜視図である。
図3は、保持具に切り花が保持されている状態を示す斜視図であり、
図4は、保持具を分解して示す斜視図であり、
図5は、保持具の断面図を示している。また、
図6は、保持具の使用方法を示す説明図である。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1において、花束としてブライダルブーケ1を示している。このブライダルブーケ1は、造花2の中に生花3を混在させた婚礼披露宴の本番用のものである。生花3は、造花2の略中央部に配置され、生花3の周囲に造花2が配置されている。なお、生花3は、詳細を後述する保持具10に保持されており、説明上、生花3を太線で示している。
【0015】
これら造花2及び生花3は、生花3よりも相対的に造花2の本数が多くなっている。つまり、造花2の中の一部に生花3が配置されている。具体的には、本実施形態においては、造花2が15本、生花3が3本となっている。
【0016】
また、これら造花2及び生花3の茎部がフローラルテープ等の結束部材4によって結束されてブーケ1が構成されている。さらに、茎部には装飾リボン5が結び付けられて取付けられている。
【0017】
図2においては、リハーサル用のブライダルブーケ1aを示している。このリハーサル用のブライダルブーケ1aは、前記本番用のブライダルブーケ1には生花3が配置されているのに対し、プリザーブドフラワー3aが配置されている点が異なっている。
【0018】
リハーサル用のブライダルブーケ1aは、基本的には、本番用のブライダルブーケ1の生花3がプリザーブドフラワー3aに変更されたのみである。したがって、プリザーブドフラワー3aが造花2の略中央部に配置され、プリザーブドフラワー3aの周囲に造花2が配置され、造花2の中にプリザーブドフラワー3aが混在して配置されている。なお、前述と同様に、プリザーブドフラワー3aは、保持具10に保持されており、説明上、プリザーブドフラワー3aを太線で示している。
【0019】
次に、
図3乃至
図5を参照して草花の保持具10について説明する。保持具10は、貯水部11と、蓋部12と、茎状部13とを備えている。保持具10は、生花3やプリザーブドフラワー3aを保持する機能を有するものである。
【0020】
貯水部11は、透明又は半透明の樹脂材料から略円筒状に形成されており、一端側に開口部11aを有し、他端側に接続部14を有している。具体的には、貯水部11は、容器状であって、一端側(上部)の開口部11aに向かって拡開するように径が大きくなるように形成されている。また、接続部14は、貯水部11の他端側(底部)に形成されており、底部から上部に向かって凹んだテーパ状の凹部14aを有している。
【0021】
蓋部12は、貯水部11の開口部11aに着脱可能となっていて、弾性を有するゴム材料等でキャップ状に形成されており、略中央部に草花の茎が挿入される挿入口12aが形成されている。挿入口12aは、蓋部12を貫通する円形状の貫通孔である。この蓋部12は、貯水部11の開口部11aを閉塞するように側壁が弾性変形して、貯水部11の開口部11aに密着して装着される。
なお、蓋部12は、例えば、樹脂材料で形成してもよい。この場合は、蓋部12が貯水部11の開口部11aにねじ嵌合するように構成するのが好ましい。
【0022】
また、貯水部11の中には、保水材15が配設されている。具体的には、保水材15は略円柱状に形成された吸水性スポンジである。なお、保水材15は、貯水部11の中に収容して適宜手段で固定されるようにしてもよい。また、保水材15は、水分が貯水部11から漏出することなく、保水機能を有する材料で形成されていればよく、例えば、綿、不織布や繊維状の高分子ポリマー等を用いることができる。
【0023】
茎状部13は、樹脂材料で形成されており、草花の茎に相当する部分である。細長状であって、柔軟性を有し、一端側に被接続部16が設けられている。被接続部16は、前記貯水部11の接続部14と対向して設けられ、接続部14が接離可能となっている。したがって、貯水部11は、茎状部13に着脱可能となっている。
【0024】
詳しくは、被接続部16は、凹状のカップ形状の受部16aをなしていて、この受部16aは、貯水部11の他端側(底部)の外形と略同形状の凹状に形成されている。また、受部16aの底部には、テーパ状の凸部16bが形成されている。なお、茎状部13は、金属製のワイヤで構成してもよい。また、前記樹脂材料で形成された茎状部13にワイヤを沿わせて構成し、これらを折曲して、折曲状態を保持できるようにしてもよい。この場合、茎状部13を折曲して花部を所望の方向に向けやすくなる。
続いて、保持具10に生花3又はプリザーブドフラワー3a等の草花を保持する場合について説明する。
【0025】
まず、貯水部11の蓋部12を取り外し、必要に応じ貯水部11に水を入れ(生花3の場合には水が必要であり、プリザーブドフラワー3aの場合には水は不要となる)、保水材15に水を含水させる。次いで、貯水部11に蓋部12を装着し、生花3又はプリザーブドフラワー3a等の茎部Sを挿入口12aから挿入し、その茎部Sを保水材15に差し込む。これにより、生花3又はプリザーブドフラワー3aは、貯水部11に保持されるようになる。
【0026】
この状態で、貯水部11の接続部14を茎状部13の被接続部16に接続する。具体的には、貯水部11側のテーパ状の凹部14aに茎状部13側のテーパ状の凸部16bを嵌合して接続する。この場合、被接続部16の受部16aに貯水部11の底部がガイドされるように凹部14aが凸部16bに嵌合するので、接続操作を容易とすることができる。
【0027】
また、貯水部11の接続部14と茎状部13の被接続部16との接続を解除する場合には、貯水部11を茎状部13から引き離すように所定の力を加えて引っ張ればよい。
このように貯水部11の接続部14を茎状部13の被接続部16に接離することにより、貯水部11を茎状部13に着脱可能とすることができる。
【0028】
なお、例えば、テーパ状の凸部16bの外周に小突起を設けて、凹部14aと凸部16bとがスナップフィット式に接続されるようにしてもよく、貯水部11の接続部14と茎状部13の被接続部16との接続構造は格別特定の方式に限定されるものではない。
【0029】
ここで、ブーケは、人が把持して用いられるため垂直の静止状態のみならず、斜めに傾けられたり、振られたりする動作が加えられる場合がある。したがって、このような動作が加えられた場合にも、貯水部11から花が抜け落ちず、また、貯水部11から水が外部へ漏出しない手段が必要となる。
【0030】
つまり、貯水部11から草花が抜け落ちないようにする係止手段、貯水部11から水が外部へ漏出しないようにする保水手段が必要となる。この係止手段及び保水手段は、後述するように様々な形態があるが、本実施形態においては、係止手段は、茎部Sが差し込まれる保水材15が該当し、保水手段は、保水機能を有する保水材15が該当する。すなわち、保水材15が係止手段及び保水手段の双方を兼ねている場合を示している。
【0031】
次に、リハーサルに用いるリハーサル用のブライダルブーケ1aから婚礼披露宴の当日の本番用のブライダルブーケ1の作製及び使用方法について
図6を併せて参照して説明する。
図6において、左側の図は貯水部11にプリザーブドフラワー3aが保持されている状態を示し、右側の図は貯水部11に生花3が保持されている状態を示している。
【0032】
リハーサルにおいては、
図2に示すようなリハーサル用のブライダルブーケ1aを用いる。このブライダルブーケ1aは、既述のように造花2の中にプリザーブドフラワー3aが保持具10に保持されて配置されている。なお、リハーサルにあたっては、プリザーブドフラワー3aに替えて造花を用いるようにしてもよい。
【0033】
婚礼披露宴の当日の本番用のブライダルブーケ1の作製にあたっては、まず、ブライダルブーケ1a中の保持具10における貯水部11をプリザーブドフラワー3aとともに茎状部13から取り外す。この状態から
図6に示すように、貯水部11に差し込まれて保持されたプリザーブドフラワー3aを貯水部11から抜き取る。
【0034】
そして、貯水部11の蓋部12を取り外し、貯水部11に水Wを注入し、保水材15に水を含水させる。再び、貯水部11に蓋部12を装着し、生花3の茎部Sを挿入口12aから挿入し、保水材15に差し込んで生花3を貯水部11に保持する。次いで、生花3が保持された貯水部11を茎状部13に装着する。このように
図1に示すブライダルブーケ1が作製され、婚礼披露宴の当日に用いられる。
【0035】
以上のように本実施形態によれば、婚礼披露宴の当日の本番用のブライダルブーケ1は、生花3を用いることができ、リハーサル用のブライダルブーケ1aにおけるプリザーブドフラワー3aが生花3に入れ替わるだけである。
【0036】
したがって、予め選んだブライダルブーケ1aと本番で用いるブライダルブーケ1との形態をほとんど同じものとすることができ、形態の違いを軽減できるとともに、生花3の利点を生かすことが可能となる。このため、本番で用いるブライダルブーケ1を、リハーサルの段階でドレス等の衣装との関係でアレンジすることができる。
【0037】
具体的には、保持具10に保持される生花3、プリザーブドフラワー3aよりも相対的に造花2の本数が多くなり、また、生花3、プリザーブドフラワー3aは、造花2の略中央部に配置され、その周囲に造花2が配置されるので、本番用のブライダルブーケ1とリハーサル用のブライダルブーケ1aとの造花2は同じものであり、双方の形態をほとんど同じものとすることができる。
【0038】
また、本番用のブライダルブーケ1においては、生花3を水分を供給しながら用いることができるので、自然な鮮やかな色彩や香り、みずみずしい美しさを長時間にわたってもたらすことができる。
【0039】
さらに、係止手段により、貯水部11から生花3等が抜け落ちないようにすることができ、保水手段により、貯水部11から水が外部へ漏出しないようにすることができる。
婚礼披露宴が終了後には、保持具10に保持される生花3をプリザーブドフラワー3aに替えることにより、数年は元のブーケの形態を維持することができる。
【0040】
また、ハーサル用のブライダルブーケ1aから本番用のブライダルブーケ1の作製にあたっては、作製作業が簡素化でき手間を軽減させてコストダウンを図ることができる。
【0041】
加えて、例えば、婚礼披露宴を会社関係の出席者のもとで行い、後日、再度遠方の実家で行う場合にも、ブーケの再利用が可能となり、また、海外で婚礼披露宴を行い、国内で再度披露宴を行う場合にも、ブーケの再利用が可能となり、効果的にブーケを利用することができる。
【0042】
なお、草花の販売面においては、店舗に飾る盛花にプリザーブドフラワーを入れ、このプリザーブドフラワーを生花に替える場合には特別料金とするような販売方法を採用できる。
【0043】
次に、第2の実施形態において、保持具の形態について
図7乃至
図9を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態は、貯水部11と茎状部13との着脱可能な接続構造を示している。
(実施例1)
【0044】
図7に示すように、茎状部13の被接続部16は、凹状のカップ形状の受部16aをなしている。この受部16aは、貯水部11がすっぽり入る形状に形成されている。また、受部16aの開口の一端側には、ばね16cによって付勢された係止爪16dが設けられている。
【0045】
このような構成において、貯水部11を受部16aに挿入すると、係止爪16dの先端部が貯水部11の蓋部12の上面に引っ掛かり係合し、貯水部11が茎状部13に装着される。一方、貯水部11を茎状部13から取り外す場合には、係止爪16dを操作して係合を解くことにより行うことができる。したがって、本実施例における接続部14は、貯水部11の蓋部12が相当することとなる。
(実施例2)
【0046】
図8に示すように、貯水部11の接続部14及び茎状部13の被接続部16に磁石17を配設したものである。この磁石方式の接続構造により貯水部11を茎状部13に容易に着脱可能とすることができる。
(実施例3)
【0047】
図9に示すように、本実施例の接続構造は、ねじ方式である。具体的には、貯水部11の接続部14における凹部14aには、雌ねじ部が形成されており、茎状部13の被接続部16には雄ねじ部が形成されている。
したがって、このねじ方式によって、接続部14と被接続部16とが接離可能であり、貯水部11を茎状部13に着脱可能とすることができる。
【0048】
次に、第3の実施形態において、保持具における前記係止手段及び保水手段の形態について
図10乃至
図12を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
(実施例1)
【0049】
図10に示すように、本実施例は、主として係止手段の例を示したものである。第1の例は、草花の茎部Sにワイヤ18を絡ませて草花を保持するものである。ワイヤ18は、貯水部11の係止手段取付部18aに取付けられ、茎部Sに絡ませることができるようになっている。
第2の例は、貯水部11の底部にピン状の突起物19を設けたものである。この突起物19に茎部Sを差し込み草花を保持する構成である。
また、保水手段としては、繊維状の高分子ポリマーの保水材15が設けられている。この保水材15に水分を含水させることができる。
(実施例2)
【0050】
図11に示すように、貯水部11における蓋部12の挿入口12aに茎部Sを含めて接着剤20を塗布したものである。したがって、この接着剤20によって、草花は保持され、また、挿入口12aは閉塞されるので、貯水部11内の水の外部への漏出を防止することができる。この場合、保水手段としての保水材15を設けることなく、貯水部11内に直接水を入れた場合にも漏出を防ぐことができる。
【0051】
また、本実施例では、茎部Sを接着剤20で固定するため、リハーサル用のブライダルブーケ1aの場合と本番用のブライダルブーケ1の場合とは、貯水部11を含めて取り替えることとなる。
本実施例においては、接着剤20は、係止手段及び保水手段の双方の機能を有する部材となっている。
(実施例3)
【0052】
図12に示すように、貯水部11における蓋部12の挿入口12aとして、十字状の切り込みによって係止手段を形成したものである。このような構成によれば、茎部Sを切り込みの各片によって弾性的に保持することが可能となる。なお、切り込みは、十字状に限らず直線状であってもよい。
以上の各実施例における係止手段及び保水手段は、1つ設けても、より効果を確実にするために複数設けてもよく、設計に応じて適宜選択することができる。
【0053】
本発明は、上記各実施形態の構成に限定されることなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。また、上記各実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0054】
例えば、花束は、ブライダルブーケに限らず、葬儀用の花束であっても適用できる。基本的な形態を造花で作っておき、希望に応じて生花を混在させる場合に好適となる。
【0055】
また、保持具は、花束ばかりではなく草花を用いるすべての装飾品等に適用が可能であり、格別適用商品や適用場所が限定されるものではない。例えば、ドレスにつける装飾や髪飾り等にも適用可能であり、さらに、壁面や床面の装飾等、屋内又は屋外における各種装飾に適用することができる。