(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
施設の解錠に必要な秘密情報を移動端末に配信する地上設置物に前記秘密情報を送信するサーバシステムであって、少なくとも1つのプロセッサと、前記地上設置物との間で通信を行う通信部とを備え、
前記プロセッサは、
利用者が利用する前記施設に関する特定情報を取得し、
前記施設に関する特定情報に基づいて、前記秘密情報を近距離通信で前記移動端末に配信可能な複数の前記地上設置物を前記秘密情報の受渡場所として特定する前記地上設置物に関する特定情報を生成し、
前記地上設置物に関する特定情報に基づいて、特定された複数の前記地上設置物から前記秘密情報を近距離通信で前記移動端末に配信させるために、複数の前記地上設置物に前記秘密情報を送信し、
前記秘密情報を送信した複数の前記地上設置物のいずれかから前記秘密情報を既に前記移動端末に配信した旨の情報を取得した場合、前記情報の取得元である地上設置物以外の地上設置物に、当該秘密情報を前記移動端末に配信することを禁止する指示を送信する、
サーバシステム。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の第1の態様に係るサーバシステムは、施設の解錠に必要な秘密情報を移動端末に配信する地上設置物に前記秘密情報を送信するサーバシステムであって、少なくとも1つのプロセッサと、前記地上設置物との間で通信を行う通信部とを備え、前記プロセッサは、利用者が利用する前記施設に関する特定情報を取得し、前記施設に関する特定情報に基づいて、前記秘密情報を近距離通信で前記移動端末に配信可能な1または複数の前記地上設置物を前記秘密情報の受渡場所として特定する前記地上設置物に関する特定情報を生成し、前記地上設置物に関する特定情報に基づいて、特定された前記地上設置物から前記秘密情報を近距離通信で前記移動端末に配信させるために、当該地上設置物に前記秘密情報を送信する構成とする。
【0013】
これによると、地上設置物から近距離通信で秘密情報を移動端末に配信するため、利用者が地上設置物の近傍に行かなければ、秘密情報を取得することができない。これにより、地理的および心理的な障壁が生まれ、地上設置物から移動端末に秘密情報を配信する過程でのセキュリティを向上させることができる。また、サーバシステムと地上設置物とを、閉域ネットワークのようなセキュアな通信路を介して接続することで、サーバシステムから地上設置物に秘密情報を送信する過程でのセキュリティを向上させることができる。これにより、悪意のある者に秘密情報を容易に盗取されることを避けることができ、秘密情報の配信で強固なセキュリティを確保することができる。
【0014】
本開示の第2の態様に係るサーバシステムは、前記プロセッサは、前記施設に関する特定情報に基づいて、特定された前記施設の地図上の座標を取得し、その地図上の座標に基づいて、特定された前記施設の周囲に存在する前記地上設置物を前記秘密情報の受渡場所として特定する前記地上設置物に関する特定情報を生成する構成とする。
【0015】
これによると、利用する施設の近くで秘密情報を受け取ることができるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0016】
本開示の第3の態様に係るサーバシステムは、前記プロセッサは、前記秘密情報を既に前記移動端末に配信した旨の情報を取得した場合、当該秘密情報を前記移動端末に配信することを禁止する指示を前記地上設置物に送信する構成とする。
【0017】
これによると、なりすましによる秘密情報の盗取を阻止して、地上設置物から移動端末に秘密情報を配信する過程でのセキュリティをより一層向上させることができる。
【0018】
本開示の第4の態様に係るサーバシステムは、前記プロセッサは、前記施設に関する特定情報に基づいて、複数の前記地上設置物を前記秘密情報の受渡場所として特定する前記地上設置物に関する特定情報を生成し、前記地上設置物に関する特定情報に基づいて、特定された複数の前記地上設置物に前記秘密情報を分散して送信する構成とする。
【0019】
これによると、複数の地上設置物から秘密情報を受け取ることができるため、秘密情報の受渡場所として指定された地上設置物を探し出す労力が軽減され、利用者の利便性を高めることができる。
【0020】
本開示の第5の態様に係るサーバシステムは、前記プロセッサは、前記秘密情報を複数の分散情報に分割し、前記施設に関する特定情報に基づいて、複数の前記地上設置物を前記秘密情報の受渡場所として特定する前記地上設置物に関する特定情報を生成し、前記地上設置物に関する特定情報に基づいて、特定された複数の前記地上設置物に前記複数の分散情報を分散して送信する構成とする。
【0021】
これによると、分散情報を送信する全ての地上設置物から全ての分散情報を受け取らなければ、秘密情報を復元することができないため、セキュリティをより一層向上させることができる。
【0022】
本開示の第6の態様に係るサーバシステムは、前記プロセッサは、利用者が前記施設に向かう経路に関する情報を取得し、前記施設に関する特定情報および前記経路に関する情報に基づいて、複数の前記地上設置物を前記秘密情報の受渡場所として特定する前記地上設置物に関する特定情報を生成する構成とする。
【0023】
これによると、利用者が施設に向かう途中で地上設置物から秘密情報を受け取ることができるため、秘密情報の受渡場所として指定された地上設置物を探し出す労力が軽減され、利用者の利便性を高めることができる。
【0024】
本開示の第7の態様に係るサーバシステムは、前記プロセッサは、前記秘密情報の受渡場所となる前記地上設置物の位置に関する情報を、前記移動端末に送信する構成とする。
【0025】
これによると、秘密情報の受渡場所となる地上設置物の位置を移動端末で利用者に提示することができ、利用者の利便性を高めることができる。
【0026】
本開示の第8の態様に係る地上設置物は、少なくとも1つのプロセッサと、外部サーバとの間で通信を行う第1の通信部と、移動端末との間で近距離通信を行う第2の通信部とを備え、前記プロセッサは、前記外部サーバから送信される施設の解錠に必要な秘密情報を受信し、前記秘密情報を前記近距離通信で前記移動端末に配信する構成とする。
【0027】
これによると、地上設置物から近距離通信で秘密情報を移動端末に配信するため、利用者が地上設置物の近傍に行かなければ、秘密情報を取得することができない。これにより、地理的および心理的な障壁が生まれ、悪意のある者に秘密情報を容易に盗取されることを避けることができ、秘密情報の配信で強固なセキュリティを確保することができる。
【0028】
本開示の第9の態様に係る地上設置物は、前記地上設置物は電力用地上機器である構成とする。
【0029】
これによると、電力用地上機器が、道路に沿って点在するように設置されることから、この電力用地上機器を秘密情報の受渡場所として利用することで、秘密情報を容易に受け取ることができるため、利用者の利便性を高めることができる。
【0030】
本開示の第10の態様に係る地上設置物は、前記プロセッサは、前記秘密情報を前記移動端末に配信すると、当該秘密情報を既に前記移動端末に配信した旨の情報を前記外部サーバに送信する構成とする。
【0031】
これによると、移動端末に対する秘密情報の配信状況を外部サーバで管理することができる。また、移動端末に対する秘密情報の配信状況を別の地上設置物に通知することで、地上設置物の間で秘密情報の配信状況を実質的に共有することができ、既に秘密情報を配信した地上設置物とは異なる別の地上設置物から配信済みの秘密情報が配信されることを避けることができる。
【0032】
本開示の第11の態様に係る地上設置物は、前記プロセッサは、前記秘密情報を前記移動端末に配信するに際して、前記近距離通信の通信相手である前記移動端末から受信した端末識別情報と、前記外部サーバから受信した登録情報とを照合して、前記移動端末の真正を判断する認証を行う構成とする。
【0033】
これによると、地上設置物から移動端末に秘密情報を配信する過程でのセキュリティをより一層向上させることができる。
【0034】
本開示の第12の態様に係る地上設置物は、前記プロセッサは、前記秘密情報を前記移動端末に配信するに際して、前記近距離通信の通信相手である前記移動端末および自装置のいずれかが備えるセンシングデバイスにより利用者から検出したセンサ情報と、前記外部サーバから受信した登録情報とを照合して、前記利用者の真正を判断する認証を行う構成とする。
【0035】
これによると、地上設置物から移動端末に秘密情報を配信する過程でのセキュリティをより一層向上させることができる。
【0036】
本開示の第13の態様に係る地上設置物は、前記プロセッサは、前記近距離通信の通信相手である前記移動端末が既に前記秘密情報を受信していることが確認されると、当該秘密情報を前記移動端末に配信しない構成とする。
【0037】
これによると、なりすましによる秘密情報の盗取を阻止して、地上設置物から移動端末に秘密情報を配信する過程でのセキュリティをより一層向上させることができる。
【0038】
本開示の第14の態様に係る移動端末制御方法は、移動端末のプロセッサを用いて、地上設置物から配信される施設の解錠に必要な秘密情報を前記移動端末に受信させる移動端末制御方法であって、前記プロセッサは、利用者が利用する前記施設に関する特定情報を外部サーバに送信し、前記外部サーバから送信される前記秘密情報の受渡場所となる前記地上設置物の位置に関する情報を受信し、前記秘密情報の受渡場所となる前記地上設置物から近距離通信で送信される前記秘密情報を受信する構成とする。
【0039】
これによると、地上設置物から近距離通信で秘密情報を移動端末に配信するため、利用者が地上設置物の近傍に行かなければ、秘密情報を取得することができない。これにより、地理的および心理的な障壁が生まれ、悪意のある者に秘密情報を容易に盗取されることを避けることができ、秘密情報の配信で強固なセキュリティを確保することができる。また、秘密情報の受渡場所となる地上設置物の位置を移動端末で利用者に提示することができ、利用者の利便性を高めることができる。
【0040】
本開示の第15の態様に係る移動端末制御方法は、前記プロセッサは、前記秘密情報の受渡場所となる前記地上設置物の位置に関する情報に基づいて、前記秘密情報の受渡場所となる前記地上設置物の位置を地図上に表した画面を、前記移動端末のディスプレイに表示する構成とする。
【0041】
これによると、秘密情報の受渡場所となる地上設置物の位置を利用者が容易に把握することができる。
【0042】
本開示の第16の態様に係る移動端末制御方法は、前記プロセッサは、前記地上設置物から前記秘密情報を送信させる際に、前記移動端末を識別する情報を前記地上設置物に送信する構成とする。
【0043】
これによると、地上設置物において、秘密情報の送信先の移動端末が真正である、すなわち、予約時などに予め登録された移動端末であるか否かの認証を行うことができる。
【0044】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0045】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0046】
<1.構成>
<1.1システムの構成>
図1は、本実施の形態に係る秘密情報配信システムの全体構成図である。
【0047】
この秘密情報配信システムは、サーバシステム1と、電力用地上機器2と、移動端末3と、を備えている。本実施の形態では、宿泊施設を利用する利用者(宿泊客)が所持する移動端末3から、宿泊施設の出入口のドアに設けられた施錠装置4に秘密情報を送信することで、施錠装置4の解錠および施錠を行うことができる、いわゆるスマートロックシステムが採用されており、解錠および施錠を行うための秘密情報が、サーバシステム1から電力用地上機器2を介して移動端末3に配信される。
【0048】
サーバシステム1は、各施設の秘密情報を記憶し、秘密情報の移動端末3に対する配信を管理する。また、サーバシステム1は、利用者が移動端末3を利用して行う施設の予約を管理する。
【0049】
電力用地上機器2は、電力線の地中化(無電柱化)にともない、従来、電柱に取り付けられていた機器(変圧器や開閉器など)を道路上に設置したものであり、道路に沿って点在するように配置されている。本実施の形態では、この電力用地上機器2が、秘密情報を移動端末3に配信する端末として機能する。
【0050】
移動端末3は、スマートフォンやタブレット端末などである。この移動端末3には、秘密情報配信用のアプリケーションプログラムがインストールされており、このアプリケーションプログラムにより、秘密情報の配信に係る電力用地上機器2との間での通信や制御が行われる。
【0051】
サーバシステム1と移動端末3とはインターネットを介して接続されている。一方、サーバシステム1と電力用地上機器2とはVPN(Virtual Private Network)などの閉域ネットワークを介して接続されている。これにより、サーバシステム1と電力用地上機器2との間の通信において強固なセキュリティを容易に確保することができる。
【0052】
<1.2サーバシステムの構成>
図2は、サーバシステム1の概略構成を示すブロック図である。
【0053】
サーバシステム1は、プロセッサ11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、第1の通信部15と、第2の通信部16と、を備えている。なお、サーバシステム1は、単一または複数の情報処理装置で構成される。
【0054】
プロセッサ11は、記憶部12に記憶されたプログラムにより各種の処理を実行する。記憶部12は、プロセッサ11で実行するプログラムや、各施設の解錠に必要な秘密情報や、利用者が予約した内容に関する予約情報などを記憶する。入力部13は、管理者が操作するキーボードやマウスなどの入力デバイスなどで構成される。出力部14は、管理者が見る液晶表示パネルなどのディスプレイなどで構成される。第1の通信部15は、インターネットを介して移動端末3との間で通信を行う。第2の通信部16は、閉域ネットワークを介して電力用地上機器2との間で通信を行う。
【0055】
<1.3電力用地上機器の構成>
図3は、電力用地上機器2を示す斜視図である。
図4は、電力用地上機器2の概略構成を示すブロック図である。
【0056】
図3に示すように、電力用地上機器2は、電力線の地中化(無電柱化)にともない、従来、電柱に取り付けられていた機器(変圧器や開閉器など)を道路上に設置したものであり、比較的短い間隔(例えば40m〜50m)をおいて配置される。
【0057】
道路の地下には、電力用地上機器2に接続された電力線41が埋設されており、この電力線41から、電力使用者の電気設備と接続される引込線42が分岐している。また、道路の地下には、電力線41に併走するように通信線(光ファイバー)43が埋設されており、この通信線43を経由して、電力用地上機器2をサーバシステム1に接続することができ、また、電力用地上機器2を相互に接続することもできる。ここで、もし通信線43と接続されていない地上機器2があっても、通信線43が接続されている地上機器2と無線でつなぐことで相互接続することができる。
【0058】
図4に示すように、電力用地上機器2は、プロセッサ21と、記憶部22と、入力部23と、出力部24と、第1の通信部25と、第2の通信部26と、を備えている。
【0059】
プロセッサ21は、記憶部22に記憶されたプログラムにより各種の処理を実行する。記憶部22は、プロセッサ21で実行するプログラムや、サーバシステム1から取得した秘密情報などを記憶する。入力部23は、作業者が操作する操作パネルなどで構成される。出力部24は、作業者が見る表示パネルなどで構成される。第1の通信部25は、閉域ネットワークを介してサーバシステム1との間で通信を行う。第2の通信部26は、近距離通信により移動端末3との間で通信を行う。
【0060】
<1.4移動端末の構成>
図5は、移動端末3の概略構成を示すブロック図である。
【0061】
移動端末3は、プロセッサ31と、記憶部32と、入力部33と、出力部34と、第1の通信部35と、第2の通信部36と、を備えている。
【0062】
プロセッサ31は、記憶部32に記憶されたプログラムにより各種の処理を実行する。記憶部32は、プロセッサ31で実行するプログラムや、電力用地上機器2から取得した秘密情報などを記憶する。入力部33は、タッチパネルや操作キーなどの入力デバイスなどで構成される。出力部34は、液晶表示パネルなどのディスプレイなどで構成される。第1の通信部35は、インターネットを介してサーバシステム1との間で通信を行う。第2の通信部36は、近距離通信により電力用地上機器2との間で通信を行う。
【0063】
<2.動作>
図6は、サーバシステム1、電力用地上機器2および移動端末3の動作手順を示すシーケンス図である。以下に、このシーケンス図に基づいて、サーバシステム1、電力用地上機器2および移動端末3の動作手順について説明する。
【0064】
<2.1予約>
図6に示すように、本実施の形態では、まず、施設の利用(宿泊)に関する予約が行われる。この予約では、移動端末3において、サーバシステム1に対して予約要求を行うと、サーバシステム1から移動端末3に予約画面が送信されて、その予約画面が移動端末3に表示される。この予約画面で、利用する施設や利用日などの予約情報を利用者が入力すると、その予約情報が移動端末3からサーバシステム1に送信され、サーバシステム1において、予約の受付が行われ、利用者の予約情報が予約管理データベースに登録される。
【0065】
<2.2サーバシステムから移動端末への情報配信>
図6に示すように、サーバシステム1では、予約の受付が行われると、次に、予約情報に基づいて、利用者が利用(宿泊)する施設の位置情報(地図上の座標)など施設を特定する情報(施設に関する特定情報)を取得し、この情報に基づいて、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を選択して、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を特定する電力用地上機器2に関する特定情報を生成する。
【0066】
ここで、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を1つだけ選択するようにしてもよく、また、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を複数選択するようにしてもよい。
【0067】
秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を選択する場合には、利用者が利用する施設の周囲にある電力用地上機器2の位置情報を取得して、施設の最も近くにある電力用地上機器2を選択してもよい。これにより、利用者は、利用する施設の近くで、秘密情報の受渡場所として指定された電力用地上機器2を探せばよいため、利用者の利便性を高めることができる。
【0068】
なお、利用者の利便性が損なわれることがなければ、利用者が利用する施設から離れた電力用地上機器2を選択してもよい。例えば、利用者が通過する経路の近傍に位置する電力用地上機器2、具体的には、利用者が利用する空港内の電力用地上機器2や、利用者が利用する交通機関の駅の近傍の電力用地上機器2を秘密情報の受渡場所として選択するようにしてもよい。また、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を利用者が指定するようにしてもよい。
【0069】
また、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を選択する場合に、最寄りの駅から、電力用地上機器2の近傍を通過して、利用する施設に至る最適な経路を選択し、この経路上にある電力用地上機器2のうちから、秘密情報の受渡場所となる1または複数の電力用地上機器2を選択してもよい。
【0070】
これにより、利用者は、最寄りの駅から施設に向かう間に、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を探せばよいため、利用者の利便性を高めることができる。また、複数の電力用地上機器2を選択した場合は、秘密情報の受渡場所として指定された複数の電力用地上機器2のいずれかで秘密情報を受け取ることができるため、指定された電力用地上機器2を見逃しても、いずれかの電力用地上機器2を容易に探し出すことができる。
【0071】
なお、利用する施設に至る最適な経路を1つだけ選択して、その経路上にある電力用地上機器2を秘密情報の受渡場所として選択すればよいが、想定される経路を複数選択して、最適な経路と異なる経路を利用者が通行しても、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を探し出すことができるようにしてもよい。
【0072】
なお、予約時に、施設までの経路を特定するための情報、例えば交通機関や利用する最寄りの駅に関する情報を利用者に入力させて、その入力情報に基づいて経路を選択するようにしてもよい。
【0073】
また、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を複数選択する場合には、適宜な方法で秘密情報を複数の分散情報に分割して、その分散情報を複数の電力用地上機器2の各々で移動端末3に配信するようにしてもよい。この場合、分散情報を全て集める、すなわち、秘密情報の受渡場所として指定された複数の電力用地上機器2の全てで分散情報を受信しなければ、秘密情報を復元することができないため、セキュリティを向上させることができる。
【0074】
このように複数の電力用地上機器2で分散情報を配信する場合には、分散情報を配信する電力用地上機器2を、最寄りの駅から目的地となる施設に向かう経路上にある電力用地上機器2の中から選択するようにするとよい。このようにすると、利用者は、最寄りの駅から施設に向かう間に、秘密情報の受渡場所として指定された複数の電力用地上機器2の全てを探し出して、全ての分散情報を移動端末3に受信させるようにする。
【0075】
また、複数の電力用地上機器2で分散情報を配信する場合には、移動端末3で分散情報を受信する順番を設定して、順番にしたがって分散情報を受信しなければ、秘密情報を復元できないようにしてもよい。
【0076】
また、複数の電力用地上機器2で分散情報を配信する場合には、秘密情報の受渡場所として指定された複数の電力用地上機器2を探し出すために所要のエリアを利用者が巡回することになるため、スタンプラリーのような娯楽の要素を取り入るようにしてもよい。
【0077】
以上のようにして、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2が選択されると、利用者が利用する施設、および秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2の位置情報を移動端末3に送信する。また、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を複数選択した場合には、最寄りの駅から施設までの経路の位置情報も移動端末3に送信する。
【0078】
<2.3移動端末での電力用地上機器の表示>
図7は、移動端末3に表示される案内画面を示す説明図である。
【0079】
移動端末3では、サーバシステム1から送信される位置情報を受信すると、その位置情報に基づいて案内画面を生成し、
図7に示す案内画面がディスプレイに表示される。このとき、移動端末3では、地図配信サービスなどから取得した地図上に、施設、経路および電力用地上機器2の位置を表す画像を重畳した案内画面を生成する。
【0080】
この案内画面では、道路や建物などが描画された地図上に、利用する施設(目的地)の位置、利用する施設の最寄りの駅から施設までの経路、および秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2の位置が表示される。
【0081】
図7に示す例は、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2を複数選択した場合であり、最寄りの駅から施設までの経路上にある複数の電力用地上機器2で秘密情報の受渡が可能になっている。
【0082】
なお、
図7に示す例では、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2と、秘密情報の受渡ができない電力用地上機器2との両方の位置を表示しているが、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2の位置のみを表示するようにしてもよい。
【0083】
また、現在地から目的地までの経路を逐次案内するナビゲーションを行うようにしてもよい。
【0084】
また、本実施の形態では、移動端末3において案内画面を生成して表示するようにしたが、サーバシステム1において案内画面を生成してその案内画面を移動端末3に送信するようにしてもよい。
【0085】
<2.4サーバシステムから電力用地上機器への情報配信>
図6に示すように、サーバシステム1では、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2が選択されると、その秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2に秘密情報を配信する。この電力用地上機器2への秘密情報の配信は、適宜なタイミングで行えばよく、秘密情報の受渡場所となる電力用地上機器2が選択されたところで、電力用地上機器2に秘密情報を配信するようにしてもよく、また、電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報を配信する際に、電力用地上機器2からサーバシステム1に送信される配信要求に応じて、サーバシステム1から電力用地上機器2に秘密情報を配信するようにしてもよい。
【0086】
<2.5移動端末と電力用地上機器との近距離通信>
【0087】
本実施の形態では、電力用地上機器2から移動端末3に近距離通信で秘密情報を配信する。これにより、移動端末3が電力用地上機器2の近傍に存在する場合にのみ、移動端末3が秘密情報を受信することができる。近距離通信には、例えばWiFi(登録商標)や、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、FeliCa(登録商標)、RFID(radio frequency identifier)、ZigBee(登録商標)、WiGig(登録商標)、Wi−SUN(登録商標)、特定小電力無線、可視光通信、赤外線通信などを使用すればよい。
【0088】
図6に示す例では、利用者が電力用地上機器2の近傍に来て、利用者が移動端末3を操作すると、所要の認証情報を含む配信要求が近距離通信で移動端末3から電力用地上機器2に送信され、電力用地上機器2において、移動端末3から受け取った認証情報に基づいて認証を行って、この認証が成功すると、近距離通信で電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報が配信される。
【0089】
<2.5.1認証>
本実施の形態では、電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報を配信する際には、認証が行われ、この認証が成功した場合に限り、電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報が配信される。これにより、電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報を配信する際のセキュリティを向上させることができる。この認証には、種々の認証方法を採用することができるが、以下に示すような認証方法を採用するとよい。
【0090】
<2.5.1.1端末を用いた認証>
移動端末3の端末ID(端末識別情報)を認証情報として、移動端末3から送信される端末IDで、移動端末3の真正、すなわち、予約を行った利用者の移動端末であることを判断する端末認証を行う。具体的には、移動端末3から電力用地上機器2に端末IDを送信し、電力用地上機器2において、受信した端末IDを予め登録された端末IDと照合して、両者が一致すると、真正な移動端末3と判断する。
【0091】
この場合、予約時などに、端末IDを移動端末3からサーバシステム1に送信し、サーバシステム1で端末IDを予め登録しておき、その登録された端末IDを適宜なタイミングで電力用地上機器2に送信する。
【0092】
<2.5.1.2センシングデバイスを用いた認証>
各種のセンシングデバイスを電力用地上機器2や移動端末3に設けて、そのセンシングデバイスで利用者から検出したセンサ情報を認証情報として、利用者の真正、すなわち、予約を行った利用者本人であることを判断する利用者認証を行う。
【0093】
例えば、センシングデバイスとしてのカメラで利用者の顔を撮像して、その顔画像に基づいて顔認証を行う。また、カメラでパスポートを撮像して、その撮像画像から抽出した利用者の氏名などに基づいて利用者の人物認証を行う。また、指紋、声紋および虹彩などの生体情報を用いた生体認証を行う。この場合、指紋センサ、マイク、赤外線カメラなどのセンシングデバイスで、利用者の生体情報を取得する。
【0094】
なお、予約時などに、利用者の顔画像などの認証情報を移動端末3からサーバシステム1に送信し、サーバシステム1で認証情報を予め登録しておき、その登録された認証情報を適宜なタイミングで電力用地上機器2に送信する。
【0095】
この他、利用者が外国人であれば、空港や港湾や国境検問所で入国することから、移動端末3が備えるGPS(Global Positioning System)などの測位装置で検出された位置情報に基づく入国後の行動軌跡を認証情報として用いるようにしてもよい。
【0096】
<2.5.1.3インタラクティブ通信を用いた認証>
電力用地上機器2と移動端末3との間でのインタラクティブ通信により対話型認証により、利用者の真正を判断する利用者認証を行う。具体的には、合言葉や生年月日や現住所などの、利用者しか知り得ない情報を問う質問を利用者に対して行い、利用者の回答が正しい場合に、真正な利用者と判断する。
【0097】
この場合、電力用地上機器2から質問事項を移動端末3に送信して、移動端末3において、利用者が発話で、あるいは、入力操作で入力された回答を、移動端末3から電力用地上機器2に送信して、電力用地上機器2において、回答が正しいか否かを判定すればよい。
【0098】
なお、予約時などに、移動端末3で合言葉などの認証情報を利用者に入力させて、その認証情報をサーバシステム1で予め登録しておき、その登録された認証情報を適宜なタイミングで電力用地上機器2に送信する。
【0099】
また、電力用地上機器2に、利用者が操作可能なタッチパネルディスプレイなどで構成される入力部および出力部を設けて、その入力部および出力部を用いて、対話型認証を行うようにしてもよい。
【0100】
また、前記の認証方法のうちの1つののみを用いて認証を行えばよいが、前記の認証方法の2つ以上を併用して認証を行うようにしてもよい。
【0101】
また、本実施の形態では、電力用地上機器2で認証を行うようにしたが、電力用地上機器2で移動端末3から取得した認証情報をサーバシステム1に送信して、サーバシステム1で認証を行うようにしてもよい。
【0102】
<2.5.2秘密情報配信>
<2.5.2.1自動配信>
図8は、秘密情報の自動配信に係る動作手順を示すシーケンス図である。
【0103】
図6に示した例では、利用者が移動端末3を操作することで移動端末3から送信される配信要求に応じて、電力用地上機器2が秘密情報を配信するようにしたが、利用者が移動端末3を操作する手順を省略して、自動で電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報が配信されるようにしてもよい。
【0104】
ここで、電力用地上機器2と移動端末3との間では近距離通信で通信が行われる。そこで、電力用地上機器2の近くに利用者が来て、利用者が所持する移動端末3が近距離通信の通信エリア内まで電力用地上機器2に近づいたことをトリガとして、認証を行った上で電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報を配信すればよい。具体的には、電力用地上機器2および移動端末3のいずれか一方が信号を定期的に送信し、いずれか他方が一方から送信される信号を監視して、その一方から送信される信号を他方が受信したことをトリガとすればよい。
【0105】
図8(A)に示す例では、移動端末3から定期的に端末IDを近距離通信で送信し、電力用地上機器2が、移動端末3から送信される端末IDを監視する。そして、電力用地上機器2が近距離通信の通信エリア内に入って、移動端末3から送信される端末IDを電力用地上機器2が受信すると、受信した端末IDに基づいて認証を行い、認証が成功すると、電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報を配信する。
【0106】
図8(B)に示す例では、電力用地上機器2がビーコンを定期的に近距離通信で送信し、移動端末3が、電力用地上機器2から送信されるビーコンを監視する。そして、移動端末3が近距離通信の通信エリア内に入って、電力用地上機器2から送信されるビーコンを移動端末3が受信すると、移動端末3から端末IDを送信し、その端末IDを移動端末3が受信すると、受信した端末IDに基づいて認証を行い、認証が成功すると、電力用地上機器2から移動端末3に秘密情報を配信する。
【0107】
なお、本実施の形態では、電力用地上機器2および移動端末3のいずれか一方から近距離通信で定期的に送信される信号を他方が受信したことをトリガとしたが、別のトリガで認証および秘密情報の配信を行うようにしてもよい。例えば、移動端末3の位置情報に基づいて、移動端末3が近距離通信で通信可能な距離まで電力用地上機器2に近づいたことが検知されると、これをトリガとして認証および秘密情報の配信を行うようにしてもよい。
【0108】
また、前記のように、秘密情報の分散情報を複数の電力用地上機器2から移動端末3に配信する場合には、指定された経路に沿って利用者が移動すると、利用者の移動端末3が、経路上にある複数の電力用地上機器2から分散情報を順次受信するようにすればよい。
【0109】
<2.5.2.2再配信の禁止>
図9は、秘密情報の再配信の禁止に係る動作手順を示すシーケンス図である。
【0110】
本実施の形態では、秘密情報の事後管理が行われる。この秘密情報の事後管理では、移動端末3に既に配信した秘密情報を再度配信することを禁止する。これにより、セキュリティを向上させることができる。この秘密情報の事後管理は、サーバシステム1で行うことができ、また、電力用地上機器2で行うこともできる。
【0111】
図9(A)に示す例は、秘密情報の事後管理をサーバシステム1で行う場合である。この場合、電力用地上機器2において、秘密情報を移動端末3に配信すると、秘密情報を移動端末3に配信したことを示す配信報告をサーバシステム1に送信する。サーバシステム1では、電力用地上機器2から送信される配信報告を受信すると、該当する秘密情報を配信禁止に設定する。
【0112】
その後、移動端末3からの秘密情報の配信要求を電力用地上機器2が受信すると、配信の可否に関する問い合わせをサーバシステム1に送信する。サーバシステム1では、該当する秘密情報が配信禁止に設定されていると、秘密情報の配信を禁止する配信禁止指示を電力用地上機器2に送信する。電力用地上機器2では、サーバシステム1から送信される配信禁止指示を受信すると、移動端末3からの秘密情報の配信要求を拒否する。
【0113】
このように秘密情報の事後管理をサーバシステム1で行うようにすると、各電力用地上機器2における移動端末3への秘密情報の配信状況に関する情報を、サーバシステム1を介して複数の電力用地上機器2の間で実質的に共有することができる。
【0114】
図9(B)に示す例は、秘密情報の事後管理を電力用地上機器2で行う場合である。この場合、電力用地上機器2において、秘密情報を移動端末3に配信すると、該当する秘密情報を配信済みに設定する。その後、移動端末3からの秘密情報の配信要求を電力用地上機器2が受信すると、該当する秘密情報が配信済みであるか否かを確認し、該当する秘密情報が配信済みであると、移動端末3からの秘密情報の配信要求を拒否する。
【0115】
このように、移動端末3に既に配信した秘密情報を再度配信することを禁止することにより、なりすましによる秘密情報の盗取を阻止して、セキュリティを向上させることができる。また、万が一第三者に秘密情報を盗取されるようなことがあった場合には、秘密情報が配信されないことで盗取があったことが発覚するため、宿泊施設に入る前に管理者へ連絡するなどによって空き巣や就寝時に侵入されるなどの危険を回避することができる。
【0116】
なお、移動端末3への秘密情報の配信を複数の電力用地上機器2で行う場合には、ある電力用地上機器2で配信された秘密情報が、別の電力用地上機器2で配信されないようにする必要がある。このため、秘密情報の事後管理を電力用地上機器2で行う場合には、電力用地上機器2相互の通信により、関係する複数の電力用地上機器2で、移動端末3への秘密情報の配信状況に関する情報を共有させるとよい。
【0117】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記の実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0118】
例えば、前記の実施の形態では、宿泊施設を解錠する秘密情報を、宿泊者が所持する移動端末に提供する例について説明したが、本開示は、宿泊施設に限定されるものではなく、種々の施設に適用することができる。