特許第6776058号(P6776058)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6776058自律走行車両制御装置、自律走行車両制御システム及び自律走行車両制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776058
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】自律走行車両制御装置、自律走行車両制御システム及び自律走行車両制御方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20201019BHJP
【FI】
   G05D1/02 H
【請求項の数】15
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-165283(P2016-165283)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-32282(P2018-32282A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介
(74)【代理人】
【識別番号】100101144
【弁理士】
【氏名又は名称】神田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100101694
【弁理士】
【氏名又は名称】宮尾 明茂
(74)【代理人】
【識別番号】100124774
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 信幸
(72)【発明者】
【氏名】黒田 達朗
【審査官】 中田 善邦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−143399(JP,A)
【文献】 特開2012−118694(JP,A)
【文献】 特開2013−020288(JP,A)
【文献】 特開2010−198533(JP,A)
【文献】 特開2012−145998(JP,A)
【文献】 特開2011−150516(JP,A)
【文献】 特開2010−061346(JP,A)
【文献】 特開2014−240260(JP,A)
【文献】 特開2011−001049(JP,A)
【文献】 特開2008−009913(JP,A)
【文献】 特開2005−045602(JP,A)
【文献】 特開2016−133945(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00− 1/12,
G08G 1/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を予測する自律走行車両制御装置であって、
前記自律走行車両の走行経路を表示する表示画面を有する表示部と、
前記自律走行車両の走行状態に影響を与える路面状態を含む走行影響情報を取得する走行影響情報取得手段と、
前記走行影響情報を含む周辺情報に基づいて第1走行経路を予測する走行経路予測手段と、
前記走行影響情報を含まない周辺情報に基づいて第2走行経路を設定する設定走行経路手段と、
前記走行経路予測手段により予測された前記第1走行経路を前記表示部の表示画面に表示する表示制御部と、
前記走行影響情報に基づき、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示する路面状態表示手段と、
を備え
前記表示制御部は、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを比較可能なように、前記第1走行経路および前記第2走行経路を前記表示部の表示画面に表示し、
前記路面状態表示手段は、前記表示制御部により前記第1走行経路および前記第2走行経路が前記表示部の表示画面に表示された状態で、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示することを特徴とする自律走行車両制御装置。
【請求項2】
前記走行経路予測手段は、以前に走行した経路の走行情報に基づき前記第1走行経路を予測することを特徴とする請求項1に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項3】
前記走行影響情報は、路面の傾斜状態を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項4】
前記走行影響情報は、障害物の位置情報を含むことを特徴とする請求項1からのうちの何れか一項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項5】
前記走行影響情報は、天候情報を含むことを特徴とする請求項1からのうちの何れか一項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項6】
前記路面状態表示手段は、路面の摩擦係数に応じて前記表示部に表示される路面の色を設定して、前記表示部に前記路面状態を設定された色情報に基づいて表示することを特徴とする請求項1から5のうちの何れか一項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項7】
前記路面状態表示手段は、路面の摩擦係数に応じて前記表示部に表示される路面のパターンを設定して、前記表示部に前記路面状態を設定されたパターン情報に基づいて表示することを特徴とする請求項1から5のうちの何れか一項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項8】
前記走行経路予測手段は、前記走行経路上に障害物が存在する場合は、前記予測された走行経路は前記障害物の手前までとすることを特徴とする請求項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項9】
前記走行影響情報取得手段は、前記自律走行車両の前方を検出する検出手段であって、
前記表示制御部は、前記走行影響情報取得手段の検出領域を前記表示部に表示する機能を備えることを特徴とする請求項1に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項10】
前記検出領域は、前記表示部に表示される他の領域とは異なる色で表示されることを特徴とする請求項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項11】
前記検出領域は、点滅して表示されることを特徴とする請求項または10に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項12】
前記検出領域は、前記走行影響情報取得手段として使用される検出手段の種類に応じて色を変えて表示されることを特徴とする請求項から11のうちの何れか一項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項13】
前記検出領域は、前記走行影響情報取得手段が障害物を検出した場合に、通常時の検出領域の色から異なる色に変化させて表示することを特徴とする請求項から12のうちの何れか一項に記載の自律走行車両制御装置。
【請求項14】
周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両と、前記自律走行車両と無線で通信可能な外部サーバと、を備えて、前記自律走行車両の走行経路を予測する自律走行車両制御システムであって、
前記自律走行車両は、
前記自律走行車両の走行を制御する制御部と、
前記自律走行車両の走行状態に影響を与える走行影響情報を取得する走行影響情報取得手段と、
を備え、
前記外部サーバは、
前記自律走行車両の走行経路を表示する表示画面を有する表示部と、
前記走行影響情報取得手段より取得された路面状態を含む走行影響情報を含む周辺情報に基づいて第1走行経路を予測する走行経路予測手段と、
前記走行影響情報を含まない周辺情報に基づいて第2走行経路を設定する設定走行経路手段と、
前記走行経路予測手段により予測された前記第1走行経路を前記表示部の表示画面に表示する表示制御部と、
前記走行影響情報に基づき、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示する路面状態表示手段と、
を備え
前記表示制御部は、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを比較可能なように、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを前記表示部の表示画面に表示し、
前記路面状態表示手段は、前記表示制御部により前記第1走行経路および前記第2走行経路が前記表示部の表示画面に表示された状態で、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示することを特徴とする自律走行車両制御システム。
【請求項15】
周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を予測する自律走行車両制御方法であって
記自律走行車両の走行状態に影響を与える路面状態を含む走行影響情報を取得する工程と、
前記走行影響情報を含む周辺情報に基づいて第1走行経路を予測する工程と、
前記走行影響情報を含まない周辺情報に基づいて第2走行経路を設定する工程と、
前記第1走行経路と前記第2走行経路とを比較可能なように、前記第1走行経路および前記第2走行経路を表示する工程と、
前記第1走行経路および前記第2走行経路が表示された状態で、前記路面状態を表示する工程と、
を備えたことを特徴とする自律走行車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律走行車両制御装置、自律走行車両制御システム及び自律走行車両制御方法に係り、特に、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を設定する自律走行車両制御装置、自律走行車両制御システム及び自律走行車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行車両等の移動体の進行方向の周辺情報(測距情報など)を取得し、この周辺情報に基づいて移動体の周囲に存在する障害物を障害物センサ等によって検出して自律走行を可能にする自律走行車両の技術が知られている。
【0003】
そして、自律走行車両に対して走行経路を指示する際には、マニュアル運転により指示を行なうようにしたり、運転制御装置により表示部の画面上に表示されたマップ上で指示を行なうようにしたりしている。
【0004】
しかしながら、自律走行車両に対して走行経路を指示する時点では、障害物センサがどこまで有効に検出でき、どのような情報を得られるかを知ることはできない。そのため、走行経路上に障害物検知で停止するようなものがあっても、実際に自律走行を試してみるまでわからないという問題があった。
【0005】
従来技術として、例えば、車両の走行制御装置において、所定の走行経路に沿って無人走行される搬送車の走行制御を、パソコン上で搬送車をシミュレーション走行させて、制御パラメ−タを用いたフィードバック制御を微修正するようにしたものが提案されている(特許文献1を参照)。
【0006】
このように構成することで、シミュレーションの結果に基づいて、フィ−ドバック制御用の制御パラメ−タをより適切なものに修正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−194821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献1の走行制御装置では、車両のシミュレーション走行によりフィ−ドバック制御の制御パラメ−タを適切に設定することで、車両の良好な走行を確保すことができるが、走行経路の状態による影響を考慮した車両の走行を予測できないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、自律走行車両の走行状態を予測して正確な走行経路を設定できる自律走行車両制御装置、自律走行車両制御システム及び自律走行車両制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明に係る自律走行車両制御装置、自律走行車両制御システム及び自律走行車両制御方法は、次の通りである。
【0011】
本発明は、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を予測する自律走行車両制御装置であって、前記自律走行車両の走行経路を表示する表示画面を有する表示部と、前記自律走行車両の走行状態に影響を与える路面状態を含む走行影響情報を取得する走行影響情報取得手段と、前記走行影響情報を含む周辺情報に基づいて第1走行経路を予測する走行経路予測手段と、前記走行影響情報を含まない周辺情報に基づいて第2走行経路を設定する設定走行経路手段と、前記走行経路予測手段により予測された前記第1走行経路を前記表示部の表示画面に表示する表示制御部と、前記走行影響情報に基づき、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示する路面状態表示手段と、を備え、前記表示制御部は、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを比較可能なように、前記第1走行経路および前記第2走行経路を前記表示部の表示画面に表示し、前記路面状態表示手段は、前記表示制御部により前記第1走行経路および前記第2走行経路が前記表示部の表示画面に表示された状態で、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示することを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明は、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両と、前記自律走行車両と無線で通信可能な外部サーバと、を備えて、前記自律走行車両の走行経路を予測する自律走行車両制御システムであって、前記自律走行車両の構成として、前記自律走行車両の走行を制御する制御部と、前記自律走行車両の走行状態に影響を与える走行影響情報を取得する走行影響情報取得手段と、を備え、前記外部サーバの構成として、前記自律走行車両の走行経路を表示する表示画面を有する表示部と、前記走行影響情報取得手段より取得された路面状態を含む走行影響情報を含む周辺情報に基づいて第1走行経路を予測する走行経路予測手段と、前記走行影響情報を含まない周辺情報に基づいて第2走行経路を設定する設定走行経路手段と、前記走行経路予測手段により予測された前記第1走行経路を前記表示部の表示画面に表示する表示制御部と、前記走行影響情報に基づき、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示する路面状態表示手段と、を備え、前記表示制御部は、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを比較可能なように、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを前記表示部の表示画面に表示し、前記路面状態表示手段は、前記表示制御部により前記第1走行経路および前記第2走行経路が前記表示部の表示画面に表示された状態で、前記表示部の表示画面に前記路面状態を表示することを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明は、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を予測する自律走行車両制御方法であって、前記自律走行車両の走行状態に影響を与える路面状態を含む走行影響情報を取得する工程と、前記走行影響情報を含む周辺情報に基づいて第1走行経路を予測する工程と、前記走行影響情報を含まない周辺情報に基づいて第2走行経路を設定する工程と、前記第1走行経路と前記第2走行経路とを比較可能なように、前記第1走行経路および前記第2走行経路を表示する工程と、前記第1走行経路および前記第2走行経路が表示された状態で、前記路面状態を表示する工程と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の自律走行車両制御装置によれば、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を設定する自律走行車両制御装置であって、前記自律走行車両の走行経路を表示する表示部と、前記走行経路を設定する経路設定手段と、前記自律走行車両の走行状態に影響を与える走行影響情報(例えば、路面状態(乾燥路、ぬかるみ路等)、路面の傾斜状態、天候情報(風雨、晴天、風向)等)を取得する走行影響情報取得手段と、前記走行影響情報に基づいて前記走行経路を予測する走行経路予測手段と、前記走行経路予測手段により予測された走行経路を前記表示部に表示する走行経路表示手段と、を備えたことで、走行影響情報に基づいて自律走行車両の走行状態を予測してより正確な走行経路を設定できる。
【0015】
また、本発明の自律走行車両制御システムによれば、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両と、前記自律走行車両と無線で通信可能な外部サーバと、を備えて、前記自律走行車両の走行経路を設定する自律走行車両制御システムであって、前記自律走行車両の構成として、前記自律走行車両の走行を制御する制御部と、前記自律走行車両の走行状態に影響を与える走行影響情報を取得する走行影響情報取得手段と、を備え、前記外部サーバの構成として、前記自律走行車両の走行経路を表示する表示部と、前記走行経路を設定する経路設定手段と、前記走行影響情報取得手段より取得された走行影響情報に基づいて前記走行経路を予測する走行経路予測手段と、前記走行経路予測手段により予測された走行経路を前記表示部に表示する走行経路表示手段と、を備えたことで、走行影響情報に基づいて自律走行車両の走行状態を予測してより正確な走行経路を設定できる。
【0016】
また、本発明の自律走行車両制御方法によれば、周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を設定する自律走行車両制御方法であって、前記自律走行車両の走行経路を表示する工程と、前記走行経路を設定する工程と、前記自律走行車両の走行状態に影響を与える走行影響情報を取得する工程と、前記走行影響情報に基づいて前記走行経路を予測する工程と、前記走行経路予測手段により予測された走行経路を前記表示部に表示する工程と、を備えたことで、走行影響情報に基づいて自律走行車両の走行状態を予測してより正確な走行経路を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係る自律走行車両制御装置により走行制御される自律走行車両の全体の構成を示す説明図である。
図2】前記自律走行車両制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】前記自律走行車両制御部装置を構成する情報処理部の構成を示すブロック図である。
図4】前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる設定通りの走行経路の一例を示す説明図である。
図5】前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる走行に影響が及ぶ状態の場合の走行経路の一例を示す説明図である。
図6】前記自律走行車両の走行のシミュレーションを行う処理工程を示すフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る自律走行車両制御装置を構成する情報処理部の構成を示すブロック図である。
図8】前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる走行路面が傾斜した状態の走行経路の一例を示す説明図である。
図9】前記自律走行車両の走行のシミュレーションを行う処理工程を示すフローチャートである。
図10】本発明の第3実施形態に係る自律走行車両制御装置を構成する情報処理部の構成を示すブロック図である。
図11】前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる走行路面上に障害物を検出したときの走行経路の一例を示す説明図である。
図12】前記自律走行車両の走行のシミュレーションを行う処理工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
以下、本発明の自律走行車両制御装置を実施するための形態について図面を参照して説明する。
図1は発明を実施する形態の一例であって、本発明の第1実施形態に係る自律走行車両制御装置により走行制御される自律走行車両の全体の構成を示す説明図、図2は前記自律走行車両制御装置の構成を示すブロック図、図3は前記自律走行車両制御部装置を構成する情報処理部の構成を示すブロック図、図4は前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる設定通りの走行経路の一例を示す説明図、図5は前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる走行に影響が及ぶ状態の場合の走行経路の一例を示す説明図である。
【0019】
第1実施形態に係る自律走行車両制御装置10は、図1図2に示すように、検出手段として進行方向の周辺情報を取得する周辺情報取得センサ2を備え、前記周辺情報に基づき自律走行を行う自律走行車両の走行経路を設定するものであって、本発明に係る特徴的な構成を備える自律走行車両制御装置が採用されたものである。
【0020】
ここで、自律走行車両とは、人間の判断を介することなく、機械またはプログラムにより自律的に走行する装置であり、例えば、工場内で対象物を運ぶ自律型産業用運搬車両や野外の特定されたエリア内の監視を行なう自律型監視車両などが知られている。
【0021】
第1実施形態に係る自律走行車両1は、図1に示すように、周辺情報取得センサ2と、車体(装置本体)3と、走行するためのタイヤ5と、緩衝部材として機能するバンパー7と、を備えて構成されている。
【0022】
第1実施形態に係る自律走行車両制御装置10は、図2に示すように、周辺情報取得センサ2により取得された周辺情報を処理する情報処理部11と、前記周辺情報に基づき自律走行車両1の走行を制御する制御部12と、周辺情報取得センサ2により取得された周辺情報を記憶する記憶部13と、表示部15を備えている。
【0023】
自律走行車両制御装置10を構成する情報処理部11と、制御部12と、記憶部13と、表示部15は、自律走行車両1の運転を制御する外部サーバ(図示省略)に設けられている。外部サーバは、自律走行車両1と無線で通信可能に接続されている。
【0024】
すなわち、自律走行を行う自律走行車両1と、外部サーバとを備えて自律走行車両制御システムが構成されている。
【0025】
周辺情報取得センサ2には、レーザ式センサが用いられている。
レーザ式センサは、発光部よりレーザを照射し、対象物の表面において反射された反射光を受光部にて検知することで、発光から受光までの時間に基づき対象物までの距離を測距する。
【0026】
周辺情報取得センサ2は、図1に示すように、自律走行車両1の車体3の前方に配置されている。すなわち、周辺情報取得センサ2により自律走行車両1の進行方向の周辺情報を取得することができる。符号2aは検出領域を示す。
【0027】
さらに、第1実施形態では、自律走行車両1の走行状態に影響を与える走行影響情報を取得する走行影響情報取得手段16を自律走行車両1に備えている。
走行影響情報取得手段16は、CCDカメラ等を用いて画像情報を取得するものであってもよい。
【0028】
第1実施形態では、走行影響情報取得手段16により走行路面の状態を画像情報(カメラ画像)として取得して、取得した画像情報から走行路面の色情報を取得して、その色情報によって走行路面の状態(摩擦係数の大小、スリップし易い路面か否か、路面が凸凹で振動が大きい路面か否か)を判断するようにされている。また、その走行路面の色情報を表示部に表示するようにしてもよい。
【0029】
また、一度通った経路の走行路面の状態において、走行影響情報として、摩擦係数が小さくてスリップし易い路面や、凸凹状態で振動が大きい路面がある場合には、表示部に表示されるマップ上にその位置を表示して、危険性の高い経路であることを知らせるようにしてもよい。
【0030】
周辺情報取得センサ2および走行影響情報取得手段16により取得した情報は、情報処理部11において処理される。
【0031】
情報処理部11は、図3に示すように、認識処理部111と、障害物判定部112と、移動経路決定部113と、走行経路予測手段115と、走行経路表示手段117とを備えている。
【0032】
認識処理部111は、周辺情報の位置を認識する。
障害物判定部112は、周辺情報を認識して自律走行車両1の前方に障害物があるか否かを判定する。
移動経路決定部113は、認識処理部111による周辺情報の認識と障害物判定部112による障害物の有無を判定により自律走行車両1の移動する経路を決定する。
【0033】
走行経路予測手段115は、走行影響情報に基づき走行経路のずれ等を予測する。
ここでは、走行経路予測手段115は、走行影響情報として取得した画像情報から走行路面の色情報を取得して、その色情報に基づき走行路面の状態(摩擦係数の大小、スリップし易いか否か)を判断して、走行路面の状態に応じて変化する走行経路を予測する。
【0034】
走行路面の状態の判断は、予め設定した色情報に対応した摩擦係数によってスリップ量やずれ量を設定した予測テーブル等を用いてもよい。
【0035】
走行経路表示手段117は、走行経路予測手段115により予測された走行経路を表示部15に表示するように指示するものである。第1実施形態では、ユーザの指示により設定された走行経路(設定走行経路)も合わせて表示するようにされている。
【0036】
具体的には、第1実施形態では、走行経路表示手段117は、自律走行車両1が設定通り走行が行なわれる場合は、図4に示すように、表示部15の表示画面上に、走行開始位置p1に自律走行車両1の縮小画像1aを表示し、ユーザ移動指示位置p2に縮小画像1b1を表示するとともに、走行開始位置p1からユーザ移動指示位置p2に至る設定走行経路1c1を表示する。
【0037】
また、自律走行車両1の走行状態に影響が及ぶ状態の場合は、図5に示すように、走行開始位置p1に自律走行車両1の縮小画像1aを表示し、ユーザ移動指示位置p2に縮小画像1b1を表示するとともに、走行状態に影響が及ぶとされる予測移動位置p3に縮小画像1b2を表示し、走行開始位置p1からユーザ移動指示位置p2に至る設定走行経路1c1と、予測移動位置p3に至る予測走行経路1c2を表示する。
【0038】
図5においては、自律走行車両1が走行する走行経路の路面状態がスリップし易い状態と判断されて、図中右回りの旋回動作が、タイヤ5がスリップすることにより移動量が少なくなるため、設定予定よりも左寄りにずれることが予測されて、走行経路および移動位置が左寄りとなる。
【0039】
なお、ユーザが走行経路を確認し易くするために、図5において、路面状態を表示するようにしてもよい。例えば、走行路面が乾燥した状態とぬかるんだ状態では、摩擦係数に応じてスリップ状態が異なるため、路面状態に応じて色を変えたり、表示パターンを変えたりして表示するようにしてもよい。
【0040】
次に、第1実施形態の自律走行車両制御装置10による自律走行車両1の走行のシミュレーションを行なう処理工程の概略をフローチャートに沿って説明する。
図6は第1実施形態の自律走行車両の走行のシミュレーションを行う処理工程を示すフローチャートである。
【0041】
図6に示すように、自律走行車両制御装置10により自律走行車両1の走行のシミュレーションが開始されると、まず、走行影響情報取得手段16により走行影響情報が取得される(ステップS101)。
【0042】
走行影響情報取得手段16により取得された走行影響情報、自律走行車両1の位置情報は情報処理部11に送られて自律走行に必要な情報処理が行われ(ステップS102)、記憶部13に記憶される(ステップS103)。
【0043】
そして、ユーザの指示に基づき走行経路が設定され(ステップS104)、走行影響情報に基づき走行経路が予測されて、予測走行経路が設定される(ステップS105)。
【0044】
そして、表示部15の表示画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路が表示され(ステップS106)、走行影響情報に基づき予測された予測走行経路が表示されて(ステップS107)、自律走行車両1の走行のシミュレーションが終了する。
【0045】
このようにして、自律走行車両制御装置10により、表示部15の表示画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路と、走行影響情報に基づき予測される予測走行経路が表示されるので、実際に自律走行車両1が走行する前に、走行する経路(走行状態)を確認することができる。
【0046】
以上のように構成したので、第1実施形態によれば、自律走行車両制御装置10において、自律走行車両1の走行経路を設定する移動経路決定部113と、自律走行車両1の走行状態に影響を与える走行影響情報(例えば、路面状態)を取得する走行影響情報取得手段16と、走行影響情報に基づいて走行経路を予測する走行経路予測手段115と、走行経路予測手段115により予測された走行経路を表示する走行経路表示手段117と、を備えたことで、走行影響情報に基づいて予測された予測走行経路を表示部15の表示画面上に表示することで、実際に自律走行車両1を走行させることなく、走行のシミュレーションにより、走行影響情報に基づいて自律走行車両1の走行経路を予測して安全で正確な走行経路を設定できる。
【0047】
また、第1実施形態では、走行影響情報取得手段16により走行路面の状態を画像情報として取得して、取得した画像情報から走行路面の色情報を取得して、その色情報に基づいて画素の色や階調の勾配を見分けることでユーザには判断し難いような走行路面の状態(摩擦係数の大小、スリップし易い路面か否か、路面が凸凹で振動が大きい路面か否か)を判断して走行経路を予測することができる。
【0048】
例えば、同じように見えるアスファルトの路面でも、雨水等が浸透し易い穴がある粗い路面ならばスリップし難いが、雨水等が浸透し難い目が詰まっている路面ではスリップし易くなる。このように、ユーザ(監視者)が一見して判断し難い場合でも、表示部のマップ上に走行影響情報に基づいて走行経路を予測して表示することができる。
【0049】
また、第1実施形態では、表示部15の表示画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路1c1と、走行影響情報に基づき予測された予測走行経路1c2とを表示するようにしたので、ユーザは設定走行経路1c1と、予測走行経路1c2とを比較して、より安全で正確な走行経路を設定できる。
【0050】
なお、第1実施形態では、走行影響情報として路面状態(乾燥路、ぬかるみ路等)を用いているが、例えば、天候情報(風雨、晴天、風向)を用いて走行経路を予測するようにしてもよい。
【0051】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図面を参照して説明する。
図7は本発明の第2実施形態に係る自律走行車両制御装置を構成する情報処理部の構成を示すブロック図、図8は前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる走行路面が傾斜した状態の走行経路の一例を示す説明図である。
【0052】
なお、第2実施形態における自律走行車両制御装置について、第1実施形態の自律走行車両制御装置の構成と同様な構成のものは同一の符号を付することで説明を省略する。
【0053】
第2実施形態の自律走行車両制御装置210は、図7に示すように、情報処理部211と、制御部12と、記憶部13と、表示部15を備えるとともに、第1実施形態における走行影響情報取得手段16に換えて、自律走行車両1の姿勢を検出する傾斜センサ216を備えたことを特徴とするものである。
【0054】
自律走行車両制御装置210を構成する情報処理部211と、制御部12と、記憶部13と、表示部15は、第1実施形態と同様に自律走行車両1の運転を制御する外部サーバ(図示省略)に設けられている。
【0055】
傾斜センサ216は、車体3に搭載され、自律走行車両1の姿勢の状態、例えば、上向き、下向き、右側へ傾斜、左側へ傾斜などの傾斜情報を検出する。自律走行車両1の走行姿勢の変化は走行に影響するため、傾斜センサ216により、走行影響情報として傾斜情報を取得している。
【0056】
情報処理部211は、認識処理部111と、障害物判定部112と、移動経路決定部113と、走行経路予測手段215と、走行経路表示手段217とを備えている。
【0057】
第2実施形態では、自律走行車両1が走行する路面に傾斜面を有する場合は、走行路面の傾斜状態に応じて走行状態が変動するため、傾斜センサ216により予め検出された走行路面の傾斜角度を走行影響情報として用いる。
【0058】
第2実施形態では、走行経路予測手段215は、走行影響情報として傾斜センサ216により取得した傾斜情報(傾斜角度)に基づき走行路面の状態を判断して、走行路面の状態に応じて変化する走行経路を予測する。
【0059】
走行路面の状態の判断は、予め設定した自律走行車両1の傾斜角度に応じてスリップ量やずれ量を設定した予測テーブル等を用いてもよい。また、傾斜角度に加えて路面の摩擦係数を考慮してスリップ量やずれ量を設定してもよい。
【0060】
第2実施形態では、表示部15には、図8に示すように、地形を示す等高線L1,L2,L3,L4や障害物B1,B2等を含むマップ画面が表示されている。等高線L1,L2,L3,L4の間隔が狭いと路面の傾斜角度が急であり、間隔が広いと路面の傾斜角度が緩くなっている。
【0061】
第2実施形態では、走行経路表示手段217は、図8に示すように、表示部15のマップ画面上に、走行開始位置に自律走行車両1の縮小画像1aを表示し、走行開始位置p1からユーザにより設定された設定走行経路1c3を表示するとともに、傾斜面により走行状態に影響が及ぶとされる予測走行経路1c4を表示する。ここでは、予測走行経路1c4上に障害物B1が存在するため、予測走行経路1c4は障害物B1の位置までとなる。
【0062】
次に、第2実施形態の自律走行車両制御装置210による自律走行車両1の走行のシミュレーションを行なう処理工程の概略をフローチャートに沿って説明する。
図9は第2実施形態の自律走行車両の走行のシミュレーションを行う処理工程を示すフローチャートである。
【0063】
図9に示すように、自律走行車両制御装置210により自律走行車両1の走行のシミュレーションが開始されると、まず、傾斜センサ216により予め検出された走行路面の傾斜角度を取得する(ステップS201)。
【0064】
傾斜センサ216により予め検出された傾斜角度の情報、自律走行車両1の位置情報は情報処理部211に送られて自律走行に必要な情報処理が行われ(ステップS202)、記憶部13に記憶される(ステップS203)。
【0065】
そして、ユーザの指示に基づき走行経路が設定され(ステップS204)、走行路面の傾斜角度に基づき走行経路が予測されて、予測走行経路が設定される(ステップS205)。
【0066】
そして、表示部15のマップ画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路1c3が表示され(ステップS206)、傾斜角度に基づき予測された予測走行経路1c4が表示されて(ステップS207)、自律走行車両1の走行のシミュレーションが終了する。
【0067】
このようにして、自律走行車両制御装置210により、表示部15のマップ画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路1c3と、走行路面の傾斜角度に基づき予測される予測走行経路1c4が表示されるので、実際に自律走行車両1が走行する前に、走行する経路(走行状態)を確認することができる。
【0068】
以上のように構成したので、第2実施形態によれば、走行路面の傾斜角度に応じて自律走行車両1の走行経路を予測して、マップ画面上に表示された予測走行経路1c4を確認できるので、安全で正確な走行経路を設定できる。
【0069】
また、第2実施形態では、表示部15のマップ画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路1c3と、傾斜角度に基づき予測された予測走行経路1c4とを表示するようにしたので、ユーザは設定走行経路1c3と、予測走行経路1c4とを比較して、より安全で正確な走行経路を設定できる。
【0070】
なお、第2実施形態では、傾斜センサ216により予め検出した傾斜角度に基づいて走行経路を予測しているが、マップ画面における等高線の間隔に応じて算出される傾斜角度に基づいて走行経路を予測するようにしてもよい。
【0071】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図面を参照して説明する。
図10は本発明の第3実施形態に係る自律走行車両制御装置を構成する情報処理部の構成を示すブロック図、図11は前記自律走行車両制御装置による表示部における自律走行車両のシミュレーションによる走行路面上に障害物を検出したときの走行経路の一例を示す説明図である。
【0072】
なお、第3実施形態における自律走行車両制御装置について、第1実施形態の自律走行車両制御装置の構成と同様な構成のものは同一の符号を付することで説明を省略する。
【0073】
第3実施形態の自律走行車両制御装置310は、図10に示すように、情報処理部311と、制御部12と、記憶部13と、表示部15を備え、自律走行車両1の周辺情報取得センサ2が走行影響情報取得手段として機能するように構成することを特徴とするものである。
【0074】
自律走行車両制御装置310を構成する情報処理部311と、制御部12と、記憶部13と、表示部15は、第1実施形態と同様に自律走行車両1の運転を制御する外部サーバ(図示省略)に設けられている。
【0075】
情報処理部311は、認識処理部111と、障害物判定部112と、移動経路決定部113と、走行経路予測手段315と、走行経路表示手段317とを備えている。
【0076】
第3実施形態では、自律走行車両1が走行する路面に障害物が存在する場合は、走行経路予測手段315は、障害物を走行に影響を及ぼすものとして判断して、走行経路を障害物までとする。
【0077】
第3実施形態では、走行経路表示手段317は、図11に示すように、表示部15の表示画面上に、走行開始位置に自律走行車両1の縮小画像1a1に加えて周辺情報取得センサ2の検出領域2aを表示し、走行開始位置p1からユーザにより設定された設定走行経路1c5を表示する。そして、設定走行経路1c5付近に障害物B3,B4が存在する場合は、自律走行車両1の走行が不可能と判断された場合に、自律走行車両1は障害物B3,B4の手間の位置で停止して、予測走行経路1c6は障害物B3,B4の手前の位置までとなる。図中の縮小画像1a2が障害物B3,B4の手間の位置で停止した状態である。
【0078】
なお、表示部15に表示される周辺情報取得センサ2の検出領域2aは、表示される他の領域とは異なる色で表示したり、検出領域2aを点滅するようにしたりするものであってもよい。
【0079】
また、検出領域2aを表示する例として、使用される周辺情報取得センサ2の種類に応じて色を変えて表示するようにしてもよい。例えば、走行影響情報取得手段として車体の4方向(前方向、後方向、左右方向)に取付けた4サイドカメラによって検出される4方向の検出領域を、色を変えて表示するようにしてもよい。
【0080】
また、検出領域2aを表示する例として、周辺情報取得センサ2が障害物を検出した場合に、通常時の検出領域2aの色から別の色に変えて表示するようにしてもよい。
【0081】
また、さらに、周辺情報取得センサ2が障害物を検出した場合には、表示部15に警告(ワーニング)を表示するようにしてもよい。
【0082】
次に、第3実施形態の自律走行車両制御装置310による自律走行車両1の走行のシミュレーションを行なう処理工程の概略をフローチャートに沿って説明する。
図12は第3実施形態の自律走行車両の走行のシミュレーションを行う処理工程を示すフローチャートである。
【0083】
図12に示すように、自律走行車両制御装置310により自律走行車両1の走行のシミュレーションが開始されると、まず、ユーザの指示に基づき走行経路が設定される(ステップS301)。そして、周辺情報取得センサ2に検知されたものが障害物判定部112により障害物と判定された場合に、障害物を検知した時点までの走行経路が予測されて設定される(ステップS302)。
【0084】
そして、表示部15のマップ画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路1c5が表示され(ステップS303)、障害物の手前までの予測走行経路1c6が表示されて(ステップS304)、自律走行車両1の走行のシミュレーションが終了する。
【0085】
このようにして、自律走行車両制御装置310により、表示部15のマップ画面上に、ユーザの指示に基づき設定された設定走行経路1c5と、障害物を検知するまでの予測走行経路1c6が表示されるので、実際に自律走行車両1が走行する前に、障害物を検知した場合に、自律走行車両1が障害物の手前で停止することを確認することができる。
【0086】
以上のように構成したので、第3実施形態によれば、周辺情報取得センサ2により障害物を検出して自律走行車両1の走行が不可能と判断された場合には、自律走行車両1の走行を停止して障害物の手前までを予測走行経路1c6とすることを表示画面上で確認できるので、ユーザは安全で正確な走行経路を設定できる。
【0087】
なお、上述した実施形態においては、自律走行車両の周辺情報を検出する検出手段として、位置情報を取得するレーザを用いたセンサや、画像情報を取得するCCDを用いたセンサを採用しているが、本発明は、検出手段をこれらに限定するものではなく、他の例として、超音波を発信し、対象物の表面において反射された音波を受信部にて検知することで対象物までの距離を測距する超音波センサ等を用いるものであってもよい。
【0088】
なお、上述した実施形態では、自律走行車両制御装置を構成する情報処理部、制御部、記憶部、表示部を、自律走行車両1の運転を制御する外部サーバに設け、周辺情報取得センサ2を自律走行車両1に設けるようにしているが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0089】
例えば、自律走行車両制御装置の構成として、装置の一部(情報処理部や表示部等)を外部サーバに設け、自律走行車両1の走行制御に関する装置(走行を制御する制御部)を自律走行車両1に搭載するようにしたものや、センサ関係を自律走行車両1に設けて、センサ以外の制御に関する装置を自律走行車両1の運転を制御する外部サーバに設けるようにしたもの、また、自律走行車両制御装置を構成する装置を全て自律走行車両1に搭載して、自律走行車両1を単独で走行制御するようにしたものであってもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、自律走行装置を警備用巡回ロボットとして機能する自律走行車両に適用した場合を例にとって説明したが、他の自律走行装置に適用可能なことは勿論である。例えば、自動搬送装置や、無人巡回車両、無人宅配ロボット、無人運転農機といった装置に適用しても良い。
【0091】
以上のように、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0092】
また、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0093】
1 自律走行車両
1c1,1c3,1c5 設定走行経路
1c2,1c4,1c6 予測走行経路
2 周辺情報取得センサ
10,210,310 自律走行車両制御装置
11,211,311 情報処理部
12 制御部
13 記憶部
15 表示部
16 走行影響情報取得手段
111 認識処理部
112 障害物判定部
113 移動経路決定部
115,215,315 走行経路予測手段
117,217,317 走行経路表示手段
216 傾斜センサ(走行影響情報取得手段)
B1,B2,B3,B4 障害物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12