(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、第1実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムについて、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムの構成例を概略的に示すブロック図である。
【0010】
本実施形態の電動機駆動システムは、電動機2と、インバータ制御装置と、を備えている。インバータ制御装置は、インバータ1と、電流検出器3と、回転位相角検出器4と、PWM変調部22と、座標変換部23、24と、電流制御器25と、回転速度算出部26と、速度制御器27と、電流指令生成部29と、を備えている。
【0011】
インバータ1は、図示しないインバータ主回路と、直流電源とを備えている。インバータ1は、インバータ制御装置から出力されたゲート指令を入力とし、ゲート指令によりインバータ主回路に内蔵される複数のスイッチング素子を切替えて、直流電流と交流電流とを相互に変換可能な三相交流インバータである。インバータ1から出力された交流電流は、電動機2に供給される。
また、インバータ1は、インバータ主回路と直流電源とを接続する直流リンクの電圧Vを検出する電圧検出器(図示せず)を備えている。電圧検出器で検出された電圧Vの値は、PWM変調部22へ供給される。
【0012】
電動機2は、インバータ1から供給される交流電流により駆動される、磁石磁束が小さい同期電動機であって、例えばシンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)である。電動機2は、各励磁相に流れる三相交流電流によって発生する磁界により、回転子との磁気的相互作用によりトルクを発生する。
【0013】
電流検出器3は、インバータ1と電動機2との間に流れる三相交流電流iu、iv、iwのうち少なくとも二相の電流値を検出する。
回転位相角検出器4は、例えばレゾルバであって、電動機2の回転位相角θを検出する。なお、回転位相角検出器4は、例えば、センサを用いずに、電流検出器3で検出された電流検出値や、インバータ1の出力電圧を検出した電圧検出値から回転位相角推定値を演算する構成であってもよい。その場合には、回転位相角の推定値を回転位相角θとして出力してもよい。
【0014】
座標変換部23は、回転位相角検出器4から供給された回転位相角θを用いて、三相固定座標系の電流応答iu、iwをdq軸回転座標系の電流応答id、iqに変換するベクトル変換器である。なお、d軸とは回転子の磁気抵抗が最大(インダクタンスが最小)となる方向とし、q軸とはd軸から電気角で90度進んだ回転子の磁気抵抗が最小(インダクタンスが最大)となる方向とする。
【0015】
回転速度算出部26は、回転位相角検出器4から回転位相角θを受信し、例えば、回転位相角θを時間微分して回転速度ωを算出して出力する。
速度制御器27は、例えばPI制御器であって、外部から供給される回転速度指令ω
*と、回転速度算出部26から供給される回転速度ωとが等しくなるように、トルク指令T
*を算出して出力する。
電流指令生成部29は、回転速度算出部26から供給された回転速度ωと、座標変換部23から供給されたq軸電流iqと、速度制御器27から供給されたトルク指令T
*とからd軸電流指令id
*とq軸電流指令iq
*とを算出して出力する。電流指令生成部29の構成については、後に詳細に説明する。
【0016】
電流制御器25は、例えばPI制御器であって、電流応答id、iqと電流指令id
*、iq
*とを比較し、電流応答id、iqと電流指令id
*、iq
*とが等しくなるように、d軸電圧指令vd
*と、q軸電圧指令vq
*とを演算して出力する。
座標変換部24は、回転位相角θを用いて、dq回転座標系の電圧指令vd
*、vq
*を、三相固定座標系の電圧指令vu
*、vv
*、vw
*に変換するベクトル変換器である。
【0017】
PWM変調部22は、電動機2を駆動するための電圧指令(変調率指令)vu
*、vv
*、vw
*を、インバータ1から供給された電圧Vに応じて、三角波PWMによって変調し、インバータ1のインバータ主回路に含まれる各相スイッチング素子を切替えるゲート信号を、インバータ1へ出力する。
【0018】
図2は、
図1に示すインバータ制御装置および電動機駆動システムの電流指令生成部の構成例を概略的に示すブロック図である。
電流指令生成部29は、電流振幅指令算出部32と、電流位相角算出部(第1電流位相角指令算出部)33と、符号換算部34と、dq軸変換部35と、を備えている。
【0019】
電流振幅指令算出部32は、インダクタンスLd、Lqと、トルク制限後のトルク指令T2
*と、電流位相角指令β
*とから電流振幅指令I
*を算出する。インダクタンスLd、Lqは、例えば、図示しないメモリに記録された定数である。なおq軸インダクタンスLqについて、電流振幅指令算出部32は、q軸電流iqに対応するq軸インダクタンスLqの値を格納したテーブルを用いて、q軸インダクタンスLqの値を算出してもよい。電動機2がシンクロナスリラクタンスモータであるとき、電流位相角β
*とトルク指令T
*とから電流振幅指令I
*は下記数式(1)を用いて求めることができる。
【0020】
トルク指令T
*は、次式で求めることができる。
【数1】
この式を電流位相角β
*を用いて変形すると次式となる。
【数2】
この式はさらに次式のように変形することができる。
【数3】
この式を電流振幅指令I
*について解くと下記数式(1)が得られる。
【数4】
【0021】
電流位相角算出部33は、電流振幅から銅損最小となる電流位相角β0を算出して出力する。電流位相角算出部33は、電流振幅指令I
*と電流位相角β0との関係を表す近似式により、電流位相角β0を演算してもよく、電流振幅指令I
*に対する電流位相角β0の値を格納したマップを有していてもよい。ここでは、銅損最小としたが、損失最小あるいは力率最大としても良い。
【0022】
符号換算部34は、トルク指令T
*がゼロ以上であるか負であるかを判断する。トルク指令T
*がゼロ以上のときには、符号換算部34は、電流位相角β0の符号を正として電流位相角指令β
*として出力する。トルク指令T
*が負であるときには、符号換算部34は、電流位相角β0の符号を負として電流位相角指令(第1電流位相角指令)β
*として出力する。
なお、本実施形態において、電流位相角算出部33および符号換算部34は、電流振幅指令I
*に基づいて、インバータ主回路から出力される電流応答の電流位相角指令β
*を算出する電流位相角指令算出部である。
【0023】
dq軸変換部35は、電流振幅指令I
*と電流位相角指令β
*とから、下記数式(3)、数式(4)に従って、電流指令id
*、iq
*を算出する。電流指令id
*、iq
*は、上述した電流制御器25へ供給される。
【数5】
【0024】
なお、上記数式(2)では、電流振幅指令I
*は現在値(N)であり、電流位相角β
*は前回値(N−1)であるが、これに限定されるものではなく、電流振幅指令算出部32は、電流振幅指令I
*と電流位相角β
*との一方を現在値(N)とし、他方を前回値(N−1)として演算可能である。 例えば、電流振幅指令I
*の前回値(N−1)を用いて電流位相角β*の現在値(N)を算出し、電流振幅指令I
*の前回値(N―1)と電流位相角β
*の現在値(N)とを用いて上記数式(3)、(4)により電流指令id
*、iq
*を算出してもよい。
【0025】
ここで、電流振幅指令I
*と電流位相角β
*との所定期間での変化量を比較し、変化量が大きい方について現在値(N)を用い、変化量が小さい方について前回値(N−1)を用いることとすると、より正確な電流指令id
*、iq
*を算出することができる。
本実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムでは、上記数式(1)および数式(2)を用いて電流振幅指令I
*を演算することにより、トルク指令通りの電流指令値を生成できる。
【0026】
ここで、電流振幅指令から電流位相角指令を算出するなど、運転状態によって電流位相角指令が変化するときには、電流位相角が変化することによってトルクが変わるため、トルク指令通りの出力トルクが実現されないことがあった。例えば、速度制御を行っている場合には、電流位相角を変化させる制御と速度制御が干渉するため、トルク指令と実際に出力されるトルクとを等しくすることが困難であった。
【0027】
本実施形態では、上記のように電流振幅指令I*を算出することにより、銅損最小制御によって電流位相角βが変化しても電流指令id
*、iq
*を一意に算出することができた。すなわち、モータパラメータを正しく調整できていれば、電流振幅指令算出部32は電流位相角βによらず、トルク指令T2
*に対応した電流振幅I
*を出力することができる。したがって、電流指令生成部29は、電流位相角算出部33によって銅損最小となる電流位相角β0としても、トルク指令T2
*に対応した電流指令id
*、iq
*を算出することができ、トルク指令T2
*通りの出力トルクを実現することができる。
【0028】
さらに、速度制御を用いた場合、電流振幅指令算出部32で電流位相角指令β
*によってトルク指令T2
*通りのトルクを出すことができるため、電流位相角算出部33によって電流位相角β
*を電流位相角β0へ変更する制御と速度制御とが干渉し、制御系が振動・発散するのを防ぐことができる。
すなわち、本実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムによれば、電動機の出力トルクがトルク指令通りとなるように電流振幅指令を生成することができる。
【0029】
次に、第2実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0030】
図3は、第2実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムの構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態のインバータ制御装置は、弱め磁束制御器(第2電流位相角指令算出部)28をさらに備えている。
弱め磁束制御器28は、電圧指令が出力電圧最大値(=電圧制限値Vlim)を超えないように弱め磁束電流位相角βFWを算出して出力する。弱め磁束制御器28は、電流制御器25から出力された電圧指令vd
*、vq
*から弱め電流位相角指令(第2電流位相角指令)βFWを算出して出力する。
なお、本実施形態において、電流位相角算出部33は、電流振幅指令I
*に基づいて、第1電流位相角指令β0を算出する第1電流位相角指令算出部である。
【0031】
図4は、
図3に示す弱め磁束制御器の一構成例を概略的に示すブロック図である。
弱め磁束制御器28は、電圧振幅指令算出部41と、減算器42と、除算器43と、PI制御器44と、リミット制御器45と、を備えている。
【0032】
電圧振幅指令算出部41は、下記数式(5)を用いて、電圧指令vd
*、vq
*と、電圧振幅指令V
*とを算出して出力する。
【数6】
【0033】
減算器42は、電圧振幅指令算出部41から出力された電圧振幅指令V*から、電圧制限値Vlimを減算し電圧偏差ΔV(=V
*−Vlim)を算出する。
除算器43は、電圧偏差ΔVを電圧制限値Vlimで除算して、PI制御器44の入力U(=ΔV/Vlim=(V
*−Vlim)/Vlim)を算出して出力する。
【0034】
なお、電圧制限値Vlimは、電圧制限値演算部46にて、インバータ1から供給された直流電圧Vを用いて、例えば、下記数式(6)で計算され、減算器42および除算器43にて演算に用いられる。
【数7】
ここで、Vはインバータ主回路と直流電源との間の直流リンク電圧(直流電圧)V、aは変調率係数である。aは予め設定した値で、例えば、メモリ(図示せず)に記録され、一般的には1〜1.05程度に設定される。
ここでは、インバータ直流電圧Vを用いて演算したが、直流電圧Vを用いずに予め設定した値を用いても良い。
【0035】
PI制御器44は、除算器43から供給された入力Uがゼロとなるように、比例項Pと積分項Iにより出力Yを算出して出力する。
リミット制御器45は、PI制御器44から供給される入力Yがゼロ以上か、ゼロ未満かを判断する。リミット制御器45は、入力Yがゼロ未満のときには、弱め磁束電流位相角βFWをゼロとして出力する。入力Yがゼロ以上のときには、弱め磁束電流位相角βFWを入力Yと等しい値として出力する。
【0036】
リミット制御器45は、弱め磁束電流位相角βFWをゼロにリミットしたときには、PI制御器44の積分項Iと比例項Pとが等しくなるように積分項(I=Lim−P)をセットする(アンチワインドアップ)。
【0037】
図5は、
図3に示す電流指令生成部の一構成例を概略的に示すブロック図である。
本実施形態のインバータ制御装置の電流指令生成部29は、トルクリミット算出部30と、トルク制限部31と、加算器36をさらに備えている。また、インバータ1から供給された電圧Vが入力として追加されている。
トルクリミット算出部30は、電動機2の回転速度ωと、インバータ主回路と直流電源との間の直流リンク電圧(直流電圧)Vと、q軸電圧iqとから、トルクリミット(トルク指令最大値)Tlimを演算して出力する。
【0038】
図6は、電動機の出力電圧が制限されているときの、等電圧曲線と等トルク曲線との例を示す図である。
電動機2の出力電圧が制限されるときには、例えば、
図3に示した等電圧曲線62と等トルク曲線63との交点ABのうち、A点にてインバータ1が動作する。この状態から、回転速度が上昇したときの等電圧曲線62´は、d軸電流とq軸電流とが等電圧曲線62よりも小さくなる。このときに、等電圧曲線62´と等トルク曲線63とは交点A´B´にて交差し、等電圧曲線62´と等トルク曲線63とに囲まれる領域は狭くなる。さらに回転速度が上昇すると、等電圧曲線62´と等トルク曲線63とは交差しなくなる。すなわち、電動機2の出力電圧が制限されているときに、ある回転速度を実現する電流指令id
*、iq
*が存在しないこととなる。
【0039】
また、等トルク曲線63よりもトルク指令T
*が大きくなったときの等トルク曲線63´では、等トルク曲線63よりもd軸電流とq軸電流とが大きくなる。このときに、等トルク曲線63´と等電圧曲線62とは交点A´´B´´で交差し、等電圧曲線62と等トルク曲線63´とに囲まれる領域は狭くなる。さらにトルク指令T
*が大きくなると、等トルク曲線63´と等電圧曲線62とは交差しなくなる。すなわち、電動機2の出力電圧が制限されているときに、要求されるトルク指令T
*を満たす電流指令id
*、iq
*が存在しないこととなる。
【0040】
そこで、本実施形態では、トルクリミット算出部30は、電流位相角βが電流位相角リミット(電流位相角最大値)βlim以上にならないようにトルクリミットTlimを算出し、電流指令id
*、iq
*が存在しない状況を回避している。具体的には、トルクリミット算出部30は、下記数式(1)を用いてトルク制限を行う。
【0041】
高速域において、抵抗分を無視すると、出力電圧は次式で示される。
【数8】
一方、トルクは次式で示される。
【数9】
これらよりトルクについて解くと次式となる。
【数10】
【0042】
この式の電流位相角βを電流位相角リミットβlimとし、出力電圧Vを電圧制限値Vlimとすると、下記数式(7)が得られる。
【数11】
ここで、pは電動機2の極対数、Ldはd軸インダクタンス、Lqはq軸インダクタンス、Vlimはインバータ1の出力電圧の制限値、ωは電動機2の回転速度をそれぞれ表す。
【0043】
なお、トルクリミット算出部30は、例えば、q軸電流iqに対応するq軸インダクタンスLqの値を格納したテーブルを用いて、下記数式(1)の演算に用いるq軸インダクタンスLqの値を算出してもよい。またVlimは数式(A)で演算しても良いし、弱め磁束制御器28で演算した値を利用してもよい。
また、電流位相角リミットβlimの値は、予めメモリ(図示せず)に記録され、トルクリミット算出部30にて演算に用いられる。
【0044】
トルク制限部31は、トルクリミット算出部30からトルクリミットTlimを受信し、トルク指令T
*がトルクリミットTlim以上にならないように抑制する。すなわち、トルク制限部31は、入力されたトルクT*とトルクリミットTlimとを比較し、トルク指令T
*がトルクリミットTlimよりも大きいときに、トルク指令T2
*をトルクリミットTlimと等しい値として出力する。トルク制限部31は、トルク指令T
*がトルクリミットTlim以下のときには、トルク指令T2
*をトルク指令T
*と等しい値として出力する。
【0045】
加算器36は、電流位相角算出部33の後段であって符号換算部34の前段に配置され、銅損最小となる電流位相角β0と、弱め磁束制御器28から出力された弱め磁束電流位相角βFWとを加算して出力する。
【0046】
本実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムは、上記の構成以外は上述の第1実施形態と同様であって、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、電流振幅指令算出部32は電流位相角β
*によらず、トルク指令T2
*に対応した電流振幅I
*を出力することができる。したがって、弱め磁束制御器28から出力される弱め磁束電流位相角βFWによって電流位相角βを変更したとしても、トルク指令T2
*通りのトルクを出すことが可能となる。
【0047】
さらに、速度制御を用いた場合、電流振幅指令算出部32で電流位相角β
*によってトルク指令T2
*通りのトルクを出すことができるため、弱め磁束制御器28によって電流位相角β
*を変更する制御と速度制御が干渉し、制御系が振動・発散するのを防ぐことができる。
【0048】
上記のように、本実施形態によれば、銅損最小制御・最大効率制御・弱め磁束制御等の電流位相角を変更する制御と速度制御とが干渉することを回避したインバータ制御装置および電動機駆動システムを提供することができる。
なお、第2実施形態では、電流位相角算出部33は電流に応じてβ0を変更する代わりに、β0を一定値としても弱め磁束制御の電流位相角を変更する制御と速度制御とが干渉することを回避することができる。
【0049】
また、前述の通り、トルク制限部31により電流位相角がβlim以上にならないようにトルク制限を掛けることで、ある速度・直流電圧制限において、要求されるトルク指令を満たす電流指令が存在しないことで制御が発散するのを抑制することが出来る。電流位相角に制限を加えると、弱め磁束制御系が正しく動作せず、過電圧になってしまうのに対して、トルク制限する際に合わせて電流位相角による制限を加えることで、一般的なストール防止動作と同様に速度を下げてストールを防止することが出来る。
【0050】
すなわち、本実施形態のインバータ制御装置および電動機駆動システムによれば、電動機の出力トルクがトルク指令通りとなるように電流振幅指令を生成することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0052】
例えば、上述の第1実施形態および第2実施形態では、電流位相角算出部33は、電流振幅から銅損最小となる電流位相角β0を算出したが、これに限定されるものではない。電流位相角算出部33は、銅損最小となる電流位相角β0に代えて、銅損に鉄損を加算した全損失最小となる電流位相角β0を算出して出力してもよい。この場合であっても、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
また、上述の第1実施形態および第2実施形態では、電動機2としてシンクロナスリラクタンスモータを採用する例について説明したが、シンクロナスリラクタンスモータに限らず、磁石磁束が小さい永久磁石同期電動機を電動機2として採用した場合でも、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が得られる。
【0054】
上述の第1実施形態および第2実施形態において、インバータ制御装置は、ハードウエアにより構成されてもよく、ソフトウエアにより構成されてもよく、ハードウエアとソフトウエアとを組み合わせて構成されてもよい。例えば、インバータ制御装置は1又は複数のプロセッサと、メモリと、を含み、各構成にて実行される演算をソフトウエアにて実現してもよい。いずれの場合であっても、上述の第1実施形態および第2実施形態と同様の効果を得ることができる。