(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776075
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20201019BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20201019BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20201019BHJP
G08G 1/137 20060101ALI20201019BHJP
G06T 11/60 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G01C21/26 B
G08G1/137
G06T11/60 300
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-183710(P2016-183710)
(22)【出願日】2016年9月21日
(65)【公開番号】特開2018-49094(P2018-49094A)
(43)【公開日】2018年3月29日
【審査請求日】2019年3月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】助川 諒
【審査官】
西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−108047(JP,A)
【文献】
特開2008−286755(JP,A)
【文献】
特開2005−292621(JP,A)
【文献】
特開2003−35546(JP,A)
【文献】
特開平11−325947(JP,A)
【文献】
特開平7−270172(JP,A)
【文献】
村田 康之,路面凍結情報システムの機能拡張と2006年度実証実験,第69回(平成19年)全国大会講演論文集(3),社団法人情報処理学会,2007年 3月 6日,3-197〜3-198
【文献】
阿部 聖純,路面凍結情報システムの機能拡張と2004年度実証実験,第67回(平成17年)全国大会講演論文集(3),社団法人情報処理学会 ,2005年 3月 2日,3-733〜3-734
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B29/00−29/14,
G01C21/00−21/36,
23/00−25/00,
G08G 1/00−99/00,
G06T11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機の現在位置を検出する自機位置検出手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
所定の属性を有するエリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段と、
検出された前記自機の現在位置と前記地図情報に基づく前記自機の現在位置を示す地図画像に、取得した前記エリア情報に基づく前記エリアを前記地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像を表示部に表示する表示制御手段と、
を有する情報処理装置であって、
更に、前記第1の重畳地図画像に重畳表示された前記エリアが所定の表示態様であるか否かを判定する表示態様判定手段を有し、
該表示態様判定手段が所定の表示態様でないと判定したときに、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる第2の重畳地図画像に変更表示するものであり、
更に、前記表示態様判定手段は、前記第1の重畳地図画像に重畳表示される前記エリアが前記自機から離れた、前記自機の進行方向の前方に位置し、前記エリアの境界の全体が表示されていないときに、前記表示態様が所定の表示態様でないと判定し、前記所定の表示態様でないとの判定に基づいて、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像の縮尺を小さくして前記エリアの境界全体を重畳表示する第2の重畳地図画像に変更表示する情報処理装置。
【請求項2】
自機の現在位置を検出する自機位置検出手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
所定の属性を有するエリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段と、
検出された前記自機の現在位置と前記地図情報に基づく前記自機の現在位置を示す地図画像に、取得した前記エリア情報に基づく前記エリアを前記地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像を表示部に表示する表示制御手段と、
を有する情報処理装置であって、
更に、前記第1の重畳地図画像に重畳表示された前記エリアが所定の表示態様であるか否かを判定する表示態様判定手段を有し、
該表示態様判定手段が所定の表示態様でないと判定したときに、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる第2の重畳地図画像に変更表示するものであり、
更に、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像に重畳表示される前記エリアの境界が該エリアの境界全体の所定割合以下の表示態様であるときに、前記第1の重畳地図画像を所定距離移動させることで前記エリアの境界が該エリアの境界全体の所定割合を超えるときは、前記所定距離移動した前記第1の重畳地図画像を前記第2の重畳地図画像として変更表示する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自機の現在位置を示す地図画像に、所定の属性を有するエリアの情報に基づいて当該エリアを重畳表示する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路交通情報通信システムセンターのVICS Wide(登録商標)システムにより大雨(ゲリラ豪雨)、津波、噴火等の気象・災害情報が配信されている。例えば、50mm/h(時間)を超える大雨が降った場合、走行する自車の位置を含む表示部の地図画像を表す
図15に示すように、地図画像102上にかかる大雨の降雨エリア101aの一部をメッシュ(網掛け)で表示して、運転者等に注意を喚起させることができる。降雨エリア101aの一部を視認した運転者は、表示部の地図画像102上で自車103の位置及び走行方向と、地図画像102上にかかる降雨エリア101aの一部とを同時に把握することができ、大雨に対する避難等の対応が可能となる。
【0003】
一般に、表示部に表示される地図画像では、車両の走行案内ルートを明示するために、道路の車線や交差点の形状等を明確に示す必要から地図画像の縮尺が比較的大きく設定されている。そのため、
図16に示すように、通常は広範囲となる降雨エリア101bが地図画像102の全体を覆うことになり、降雨エリア101bの境界が不明となる。そのため、降雨エリア101bから脱出する方向を判断することができないことになる。ところで、地震発生等の所定の条件の場合に、地図画像の範囲外まで拡張して表示を行う車両用ナビゲーション装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013−72745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示される車両用ナビゲーション装置は、津波情報を受信したときに、車両の現在位置と、最も近い海域とを表示部に表示可能となるように、地図画像の縮尺を変更して表示するものである。このような表示により、運転者は現在位置と海域との位置関係を把握でき、海域と離れる方向に向けて避難することができる。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の車両用ナビゲーション装置は、津波情報の受信により現在位置に最も近い海域を縮尺変更して表示するものであり、上述した大雨の降雨エリア等のエリア全体を表示するものではなく、エリア内からの脱出方向の特定、エリア進入の回避等ための走行方向の特定に供することができない。
【0007】
本発明は、地図画像にエリア情報を重畳表示する際に、エリア全体の把握が可能な地図画像の表示を行う情報処理装置、情報処理方法及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る情報処理装置は、自機の現在位置を検出する自機位置検出手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶部と、所定の属性を有するエリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段と、検出された前記自機の現在位置と前記地図情報に基づく前記自機
の現在位置を示す地図画像に、取得した前記エリア情報に基づく前記エリアを前記地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像を表示部に表示する表示制御手段と、を有する情報処理装置であって、更に、前記第1の重畳地図画像に重畳表示された前記エリアが所定の表示態様であるか否かを判定する表示態様判定手段を有し、該表示態様判定手段が所定の表示態様でないと判定したときに、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる第2の重畳地図画像に変更表示する
ものであり、更に、前記表示態様判定手段は、前記第1の重畳地図画像に重畳表示される前記エリアが前記自機から離れた、前記自機の進行方向の前方に位置し、前記エリアの境界の全体が表示されていないときに、前記表示態様が所定の表示態様でないと判定し、前記所定の表示態様でないとの判定に基づいて、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像の縮尺を小さくして前記エリアの境界全体を重畳表示する第2の重畳地図画像に変更表示する構成である。
【0009】
このような構成によれば、所定の属性を有するエリアが重畳表示された第1の重畳地図画像におけるエリアの表示態様が所定の表示態様でないと判定したときに、第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる第2の重畳地図画像に変更表示することができるので、所定の属性を有するエリアの表示を十分なものとすることができる。例えば、第1の重畳地図画像において、エリアの領域が第1の重畳地図画像の領域よりも広大であり、エリア全体を表示することができない表示態様のときに、第1の重畳地図画像の縮尺を小さくしてエリア全体を含むようにした第2の重畳地図画像に変更表示することで、エリア全体を把握することができる。例えば、エリアがゲリラ豪雨等の降雨エリアを示すときは、上記した第2の重畳地図画像を表示することで、車両の運転者はゲリラ豪雨から避難する対応等をとることが可能となる。なお、所定の属性を有するエリアは、天候、交通渋滞、路面状況、工事状況等の度合いを示すエリアを含む。また、第2の重畳地図画像は、第1の重畳地図画像の縮尺を拡大、縮小する他に、色彩変更等の表示変更も含むものである。
そして、自機の進行方向の前方に位置するエリアの一部が第1の重畳地図画像に表示されているときに、当該エリアの境界の全体を重畳表示する第2の重畳地図画像に変更表示するので、進行方向に存在するエリアの全体を把握することができ、迂回ルートの選択等が可能となる。
【0010】
本発明に係る情報処理装置
は、自機の現在位置を検出する自機位置検出手段と、地図情報を記憶する地図情報記憶部と、所定の属性を有するエリアに関するエリア情報を取得するエリア情報取得手段と、検出された前記自機の現在位置と前記地図情報に基づく前記自機の現在位置を示す地図画像に、取得した前記エリア情報に基づく前記エリアを前記地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像を表示部に表示する表示制御手段と、を有する情報処理装置であって、更に、前記第1の重畳地図画像に重畳表示された前記エリアが所定の表示態様であるか否かを判定する表示態様判定手段を有し、該表示態様判定手段が所定の表示態様でないと判定したときに、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる第2の重畳地図画像に変更表示するものであり、更に、前記表示制御手段は、前記第1の重畳地図画像に重畳表示される前記エリアの境界が該エリアの境界全体の所定割合以下の表示態様であるときに、前記第1の重畳地図画像を所定距離移動させることで前記エリアの境界が該エリアの境界全体の所定割合を超えるときは、前記所定距離移動した前記第1の重畳地図画像を前記第2の重畳地図画像として変更表示する構成である。
【0011】
このような構成によれば、
第1の重畳地図画像をスライド移動させることで、第2の重畳地図画像とすることができるので、縮尺変更等の画像処理を要せずに表示することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、所定の属性を有するエリアが重畳表示された第1の重畳地図画像におけるエリアの表示態様が所定の表示態様でないと判定したときに、第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる2の重畳地図画像に変更表示することができるので、第2の重畳地図画像でエリアの表示を十分なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係る情報処理装置としての車載機器の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置としての車載機器の処理ユニットによる処理手順を示すフローチャートである(その1)。
【
図3】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置としての車載機器の処理ユニットによる処理手順を示すフローチャートである(その2)。
【
図4】属性を有するエリアを地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像である(重畳地図画像その1)。
【
図5】第1の重畳地図画像を変更表示した第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その2)。
【
図6】第1の重畳地図画像を変更表示した第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その3)。
【
図7】属性を有するエリアを地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像である(重畳地図画像その4)
【
図8】第1の重畳地図画像を変更表示した第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その5)。
【
図9】第1の重畳地図画像を変更表示した第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その6)。
【
図10】第1の重畳地図画像を変更表示した第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その7)。
【
図11】第1、第2の重畳地図画像を並列表示した重畳地図画像である(重畳地図画像その8)。
【
図12】第1の重畳地図画像に第2の重畳地図画像を挿入した重畳地図画像である(重畳地図画像その9)。
【
図13】第1、第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その10)。
【
図14】第1、第2の重畳地図画像である(重畳地図画像その11)。
【
図15】地図画像にエリアを重畳した重畳表示画像である(重畳表示画像その12)。
【
図16】地図画像にエリアを重畳した重畳表示画像である(重畳表示画像その13)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0029】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置としての車載機器は、
図1に示すように構成される。
【0030】
図1において、車載機器10は、コンピュータユニット(例えば、CPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース及びバス等)によって構成される処理ユニット12を有する。処理ユニット12には、各種音源及び映像源(例えば、CD及びDVD)の再生処理が可能なAVユニット15及び自車のナビゲーションが可能なナビゲーションユニット17(GPS受信機器、ジャイロセンサ、加速度センサ等)が接続されている。また、処理ユニット12にはスピーカ18と接続される出力回路19が接続されている。これによって、AVユニット15及びナビゲーションユニット17による処理に係る音声信号を出力回路19を介し、スピーカ18から出力可能となっている。加えて、処理ユニット12には、AVユニット15及びナビゲーションユニット17において利用する楽曲情報及び地図情報等の各種情報、後述するエリア情報を地図画像に重畳表示するプログラム等を記憶可能な記憶部20(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ等)と、LCD等によって構成される各種処理に伴う映像等を表示する表示部21と、表示部21上にタッチパネル形式にて形成される各種処理に必要な指示が入力可能な操作部23とが接続されている。なお、操作部23は、上記タッチパネル形式のソフトキーに替えて、押し釦形式のハードキーとすることができる。また、タッチパネル形式及び押し釦形式等の双方を操作部23として使用することもできる。更に、処理ユニット12には、道路交通情報通信システムセンターのVICS Wide(登録商標)システムによる大雨(ゲリラ豪雨)、津波、噴火等の気象・災害情報(所定時間毎に更新されて送信される)をFM多重放送等により受信する受信部25が接続されている。
【0031】
上記した車載機器10では、例えば、フローチャートである
図2に示すような手順(その1)で処理がなされる。なお、
図2の手順の説明では、
図1のブロック図を適宜参照する。
【0032】
図2において、車両の発進時に操作されるスイッチ、例えば、ACCスイッチがオンに設定され、車載装置10を作動させてエリア情報の受信を可能とする設定がなされることにより、エリア情報の受信が可能となる。車載装置10の処理ユニット12は、ナビゲーションユニット17による自車位置情報の取得と、記憶部20に記憶された地図情報とに基づいて、自車(不図示)の位置を示す地図画像を表示部21に表示する(S11:表示制御手段)。地図画像は、車両の運転者が自車と周囲の道路、交差点の状況を把握することができるように、例えば100m縮尺(実際の100mを地図上の1cmで示す、1/10000縮尺)等で表示している。なお、自機としての情報処理装置である車載機器10の位置を、車載機器10を搭載した自車位置として取得する。
【0033】
処理ユニット12は、受信部25を介して受信する、自車の周囲のエリア情報の有無を検出し(S12)、天候等の所定の属性を有するエリア情報が有るときは(S12のYES)、これを取得し(S13:エリア情報取得手段)、そして当該エリア情報に基づいて地図画像にエリアを重畳表示(第1の重畳地図画像)する(S13:表示制御手段)。処理ユニット12は、自車位置がエリア内に位置するか否かを判定し(S14)、エリア内に位置すると判定したときは(S14のYES)、表示部21に表示される第1の重畳地図画像(自車の位置を示す地図画像にエリアを重畳表示した重畳地図画像)において、所定の表示態様、すなわち表示部21の画面に表示される第1の重畳地図画像中のエリアの境界がエリア全体の境界の所定割合以下であるか否かを判定する(S15:表示態様判定手段)。所定割合については例えば80%、70%等の数値で初期設定されているが、これを変更することは可能である。第1の重畳地図画像である
図4に示すように、第1の重畳地図画像31における降雨エリア32の境界が全く表示されないときは当然に所定割合以下と判定される。通常、走行案内のルート表示では、道路、交差点等の状況を明示するために、比較的大きな縮尺(例えば、100m縮尺)で表示することから、自車が降雨エリアに含まれているときは、降雨エリアの境界が表示されない場合が多い。また、
図7に示すように、降雨エリア32が第1の重畳地図画像31の全体の80%以上を占有するときも、エリアの境界がエリア全体の境界の所定割合(80%、70%等)以下であると判定される。
【0034】
処理ユニット12は、第1の重畳地図画像中のエリアの境界がエリア全体の境界の所定割合以下であると判定したときは(S15のYES)、エリアの境界がエリア全体の境界の所定割合を超えるように、第1の重畳地図画像の縮尺を変更(縮小)した第2の重畳地図画像を表示部21に表示する(S16:表示制御手段)。
図4に示す第1の重畳地図画像31を縮小した第2の重畳地図画像35を示す
図5において、降雨エリア32の境界37の全体が表示されている。また、
図7に示す第1の重畳地図画像31を縮小した第2の重畳地図画像35を示す
図8においても降雨エリア32の境界37の全体が表示されている。
図5、
図8においてエリアの境界がエリア全体の境界の所定割合を超える(境界全体も含む)第2の重畳地図画像が表示されることから、自車30の運転者は降雨エリア32を的確に把握することができ、走行ルートの変更、降雨エリア32からの離脱等が容易となる。
【0035】
処理ユニット12は、自車位置がエリア内に位置しないと判定したときは(S14のNO)、自車からエリアまで所定距離以下であるか否かを判定し(S17)、所定距離以下と判定したときは(S17のYES)、更にエリアが自車の進行方向に位置するか否かを判定する(S18)。処理ユニット12は、エリアが自車の進行方向に位置すると判定したときは(S18のYES)、第1の重畳地図画像に表示されるエリアの境界がエリアの全境界の所定割合以下の表示であるときは(S15のYES)、第1の重畳地図画像の縮尺を縮小してエリアの境界の所定割合を超えた表示となる第2の重畳地図画像を表示する(S16:表示制御手段)。この場合、エリアの境界の全体を表示することが好ましい。所定時間の走行後に降雨エリア等に進入するおそれがあるときは、エリア全体を表示することが、早めの降雨エリアの回避等が可能となるからである。したがって、進行方向のエリアの境界の全体が表示されていないときは、たとえ初期設定が所定割合を超えた表示でも、境界の全体の表示をするように設定変更することが好ましい。第2の重畳地図画像を示す
図6において、第2の重畳地図画像35には、自車30の進行方向に存在する降雨エリア32の境界37の全体を表示しているので、自車30の進行方向の変更により降雨エリア32への進入を回避することができる。なお、自車からエリアまで所定距離以内であるか否かの判断(S17)においては、エリアが第1の重畳地図画像に表示されているか否かを問うものではない。
【0036】
処理ユニット12は、自車の位置がエリアまで所定距離以下でないと判定したとき(S17のNO)、又は自車の位置がエリアまで所定距離以下と判定したときであっても(S17のYES)、該エリアが自車の進行方向ではないと判定したときは、第1の重畳地図画像を継続して表示する(S19:表示制御手段)。更に、エリアの境界がエリアの境界全体の所定割合以下でないときにも(S15のNO)、第1の重畳地図画像を継続して表示する。エリアが進行方向にないとき等は、第1の重畳地図画像を第2の重畳地図画像に変更して表示する実益がないので、第1の重畳地図画像を継続表示することとしたものである。
【0037】
処理ユニット12は、上述したように、第1の重畳地図画像を第2の重畳地図画像に変更して表示(S16)、又は第1の重畳地図画像を継続表示(S19)の後、地図画像表示を終了するか否かの操作の有無を判定し(S20)、終了の操作が有るときは地図画像の表示を終了し(S20のYES)、終了の操作が無いときは(S20のNO)、新たなエリア情報を取得して繰り返し第1の重畳地図画像の表示から第2の重畳地図画像への変更表示等を行う。
【0038】
上述したように、本実施形態によれば、ゲリラ豪雨等の降雨エリアをエリア情報に基づいて自車位置を含む道路の地図画像に重畳表示した第1の重畳地図画像を表示するときに、エリアの全体又はエリア全体の境界の所定割合を超えた表示をすることができないとき、第1の重畳地図画像の縮尺を変更(縮小)してエリアの全体又はエリアの境界の所定割合を超えた表示をすることができるので、自車の運転者は降雨エリア等のエリアを回避等することが容易となる。エリアには、降雨等の天候のほか、渋滞エリア、工事エリア、路面状況エリア等の属性を示すものが含まれる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置としての車載機器について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る車載機器10は、第1の実施形態に係る車載機器10と同様の構成であり、相違点は
図3のフローチャートに示すように、処理ユニット12の画像処理の手順(その2)にある。したがって、本実施形態の車載機器では、第1の実施形態に係る車載機器10の構成要素と同一名称、同一符号を使用し、構成要素の説明を省略する。また、第1の実施形態と相違する点を中心に説明し、重複する点は適宜省略する。
【0040】
図3において、スイッチONにより作動状態となった車載装置10の処理ユニット12は、ナビゲーションユニット17による自車位置情報の取得と、記憶部20に記憶された地図情報とに基づいて、自車(不図示)の位置を示す地図画像を表示部21に表示する(S31:表示制御手段)。
【0041】
処理ユニット12は、受信部25を介して受信する、自車位置が含まれるエリアのエリア情報及び自車位置の周囲にあるエリアのエリア情報の有無を検出し(S32)、天候等のエリア情報が有るときは(S32のYES)、これを取得し(S33:エリア情報取得手段)、そして当該エリア情報に基づいて地図画像にエリアを重畳表示(第1の重畳地図画像)する(S33:表示制御手段)。処理ユニット12は、自車位置が含まれるエリアのエリア情報及び自車位置の周囲にあるエリアのエリア情報を検出できないときは(S32のNO)、更に所定時間毎に自車位置が含まれるエリアのエリア情報及び自車位置の周囲にあるエリアのエリア情報の検出を繰り返し行う。
【0042】
上記した第1の重畳地図画像を表示した後、処理ユニット12は、自車が含まれるエリアの属性レベルに対して、その周囲のエリアの属性レベルの方が高い又は同一であるか否かを判定する(S34:表示態様判定手段)。例えば、降雨エリアについて、注意報、警報、警戒情報、特別警報等のレベル段階が設定されているときに(注意報<警報<警戒情報<特別警報・・より右側に位置する方がレベルは高い。)、各エリアの降雨レベルの高低を判定する。処理ユニット12は、自車が含まれるエリアよりも、隣接等の周囲のエリアの属性レベルの方が高い又は同一と判定したときは(S34のYES)、第1重畳地図画像に表示される、自車が含まれるエリア及び周囲エリアの境界の少なくとも一方が境界全体の所定割合以下のときは(所定の表示態様でないとして)、自車が含まれるエリア及び周囲エリアの境界を境界全体の所定割合を超えるように第1の重畳地図画像の縮尺を変更(縮小)する(S35:表示制御手段)。そして、処理ユニット12は、上記したように第1の重畳地図画像の縮尺を変更した重畳画像を、第2の重畳地図画像として表示部21に表示する(S36:表示制御手段)。第2の重畳地図画像を表した
図9に示すように、自車30の位置を含む降雨エリア32の属性レベルが警報で、隣接する周囲の降雨エリア32aの属性レベルがより高い警報情報であるから、降雨エリア32及び隣接する周囲の降雨エリア32aの境界全体を表示している。なお、両エリアとも境界全体の所定割合を超えた境界の表示でも良いが、
図9に示すように、両エリアとも境界全体を表示した第2の重畳地図画像35とすることで、自車30の進路方向の判断等がより的確に行える。
【0043】
処理ユニット12は、周囲エリアの属性レベルが自車の位置が含まれるエリアの属性レベルよりも低いと判定したときは(S34のNO)、自車が含まれるエリアの境界が境界全体の所定割合を超えるように、第1の重畳地図画像の縮尺を変更(縮小)する(S37:表示制御手段)。そして、処理ユニット12は、上記したように第1の重畳地図画像の縮尺を変更した重畳画像を、第2の重畳地図画像として表示部21に表示する(S36:表示制御手段)。第2の重畳地図画像を表した
図10に示すように、自車30の位置を含む降雨エリア32の属性レベルが警報で、隣接する周囲の降雨エリア32bの属性レベルがより低い注意報であるから、隣接する周囲の降雨エリア32bの境界の表示は考慮することなく、降雨エリア32の境界の全体を表示した第2の重畳地図画像を表している。なお、
図10では、降雨エリア32の境界を境界全体の所定割合を超えた表示としても良いが、自車30の進路方向の判断等が的確に行えることから、降雨エリア32の境界全体を表示することが好ましい。更に、第1の実施形態でも同様に、第1の重畳地図画像において、既に表示されたエリアの境界が境界全体の所定割合を超えているときは、変更表示(縮小)した第2の重畳地図画像を表示することなく、継続して第1の重畳地図画像を継続表示することができる。
【0044】
処理ユニット12は、上述したように、第1の重畳地図画像を第2の重畳地図画像に変更して表示(S36)した後、地図画像表示を終了するか否かの操作の有無を判定し(S38)、終了の操作が有るときは地図画像の表示を終了し(S38のYES)、終了の操作が無いときは(S38のNO)、新たなエリア情報を取得して繰り返し第1の重畳地図画像の表示から第2の重畳地図画像への変更表示等を行う。
【0045】
上述したように、本実施形態によれば、第1の重畳地図画像を表示するときに、自車の位置を含むエリアに隣接する隣接エリアが存在し、前記隣接エリアの属性レベルが前記エリアの属性レベル以上であるときに、エリア及び隣接エリアの境界の少なくとも一方がそれぞれの境界全体の所定割合以下の表示であるときには(表示態様が所定の表示態様でないと判定)、第1の重畳地図画像の縮尺を小さくして自車の位置を含むエリア及び隣接エリアの境界を境界全体の所定割合を超えた境界(又は全部)の重畳表示とする第2の地図画像に変更表示するので、自車の進行方向、進行経路の選択に大きく寄与することができる。
【0046】
(他の実施形態)
上記した第1、第2の実施形態の他に、以下のような第2の重畳地図画像の表示をすることができる。
図11では、表示部21の左側半分の領域に第1の重畳地図画像31を表示し、表示部21の右側半分に第2の重畳地図画像35が表示されている。第1の重畳地図画像31では全体が降雨エリア32に覆われているため、降雨エリア32の境界が表示されておらず、降雨エリア32の全体を把握することができないが、降雨エリア32の境界全体を表示した縮小画像である第2の重畳地図画像35により、降雨エリア32全体を把握することができ、走行ルートの選択等に寄与することが可能となる。また、
図12では、表示部21に表示された第1の重畳地図画像31の一部領域に第2の重畳地図画像35が挿入されているので、降雨エリア32の全体を把握することができ、上記同様、走行ルートの選択等寄与することが可能となる。
【0047】
また、
図13に示すように、表示部21に表示された第1の重畳地図画像31をスライド移動させることで、降雨エリア32の境界全体を表示することが可能であるときは、第1の重畳地図画像をスライド移動させたものを第2の重畳地図画像35として表示する。この場合には、縮尺変更の操作を要することなく、スライド移動のみで第2の重畳地図画像35を表示することができ、上述同様、走行ルートの選択等に寄与することができる。更に、
図14に示すように、表示部21に表示された第1の重畳地図画像31の全体を降雨エリア32が占有したときに、境界に最も近い領域32cを降雨エリア32と異なる着色にすることで、最短の境界の方向を表示することができる。これにより、自車30を降雨エリア32から迅速に脱出させるように進路を変更すること等ができる。
【0048】
上述したように、自車の位置を含む地図画像に天候等の属性を示すエリアを重畳表示した第1の重畳地図画像を表示する際に、該第1の重畳地図画像の縮尺ではエリア全体を表示することが殆どできないが、エリアの境界を全境界の所定割合を超えた表示、又は全境界を表示する第2の重畳地図画像を表示することで、自車のエリアからの脱出、回避等が容易かつ的確に行うことができる。本実施形態に係る情報処理装置を車載機器10に適用しているが、これに限定するものでなく、スマートフォン等の携帯端末でも実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
以上、説明したように、本発明に係る情報処理装置は、当初表示された第1の重畳地図画像を所定の表示態様となる2の重畳地図画像に変更表示することができるので、第2の重畳地図画像でエリアの表示を十分なものとすることができるという効果を奏し、自機の現在位置を示す地図画像にエリア情報に基づくエリアを重畳表示する情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0050】
10 車載機器
12 処理ユニット
15 AVユニット
17 ナビゲーションユニット
18 スピーカ
19 出力回路
20 記憶部
21 表示部
23 操作部
25 受信部
30 自車(車両)
31 第1の重畳地図画像
32 エリア(降雨エリア)
35 第2の重畳地図画像
37 境界