【実施例】
【0060】
この例では、レーザー追尾装置を用いて、らせんジグの校正及び位置合わせについての上記のアルゴリズムの正確性及び再現性を検証した。透視システムに対して異なるらせんジグ位置についての校正及び位置合わせの結果を比較した。透視システム座標系とレーザー追尾装置座標系との間の計算された変換が一定のままであることを検証した。
【0061】
様々な校正シーケンス及び位置合わせ画像が、異なるらせんジグ位置及び向きにおけるらせんジグについてとられた。また、それぞれのらせんジグ位置をレーザー追尾装置を用いて測定した。
【0062】
レーザー追尾装置を用いて得られたらせんジグ位置測定値、及びらせんジグ座標系でのこの測定のために用いられる再帰反射器の既知の機械位置から、レーザー追尾装置座標系かららせんジグ座標系への変換を計算することができる。Laser2Helix変換をらせんジグ位置ごとに計算した。
【0063】
校正及び位置合わせアルゴリズムごとの結果は、らせん座標系から透視装置座標系への計算された変換を含む。Helix2Fluoro変換を校正結果ごとに及び位置合わせ画像ごとに計算した。
【0064】
上記の変換から、透視装置座標系からレーザー追尾装置座標系への変換は、以下のように計算され得る。
式1:Fluoro2Laser=(Laser2Helix)
−1*(Helix2Fluoro)
−1
このように、Fluoro2Laser変換を校正結果ごとに及び位置合わせ画像ごとに計算した。この変換は、透視装置座標系及びレーザー追尾装置座標系がこの試験を通して一定であったので、らせんジグ位置又は校正/位置合わせ画像から独立して、同一のものでなければならない。
【0065】
らせんジグ位置ごとの基準Helix2Fluoro変換から、基準Fluoro2Laserを上記の式1を用いて計算した。
【0066】
上記の計算された変換を以降の比較のために利用して、校正及び位置合わせアルゴリズムを実行する透視校正ツールの正確性及び再現性を検証した。
【0067】
校正アルゴリズム
異なる校正結果について計算したすべてのFluoro2Laser変換間の比較。
【0068】
異なる校正結果を使用して様々なCアーム位置においてとられた、透視装置座標系における同一点の同一画像への射影間の比較。
【0069】
位置合わせアルゴリズム
同一のらせんジグ位置に対して撮られた異なる位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較。
【0070】
すべてのらせんジグ位置にわたって異なる位置でCアームを用いて撮られたすべての位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較。
【0071】
注記:理想的には、上記の比較は、ゼロ近傍の値を与えなければならず、実効値は、アルゴリズム再現性の測度である。
【0072】
試験ツール及び補助装置
透視システム
UNIVUモジュールを有するCARTOシステム
レーザー追尾装置(Faro Technologies社(250 Technology Park Lake Mary,FL 32746,米国)から入手可能)及び再帰反射器
らせんジグ
Matlab(登録商標)ソフトウェア
Microsoft Visual Studio(登録商標)Source Controlからとられた解析コード
Microsoft Visual Studio Source ControlからとられたFCT Fluoro Integrationアルゴリズム
【0073】
試験手順
校正アルゴリズム試験計画
らせんジグを透視装置CORの患者テーブル上に設置し、校正画像シーケンスを収集した、すなわち、画像を次の透視装置Cアーム位置、LAO90、LAO60、LAO30、AP、RAO30、RAO60、RAO90、CRA20、CRA40、CAU20、及びCAU40において取得した。
【0074】
データ収集を、下記の結果の章にある表2で詳述するように、患者テーブル上のいくつかのわずかに異なるらせんジグ位置について繰り返した。
【0075】
試験の概念及び方法の章で説明した方法によって、データ解析を、ツール及び設備の章で特定した解析コードを用いて実行した。
【0076】
位置合わせアルゴリズム試験計画
らせんジグをFluoroscope CORの患者テーブル上に設置し、位置合わせ画像を様々なCアーム角度でとった。
【0077】
下記の結果の章にある表6で詳述するように、データ収集を患者テーブル上のいくつかの異なる患者テーブル/らせんジグ位置について繰り返した。
【0078】
上記の試験の概念及び方法の章で述べた方法によって、データ解析を、上記のツール及び設備の章で特定した解析コードを用いて実行した。
【0079】
合格判定条件
校正アルゴリズム:
異なる校正結果について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較は、1mmを超えない平均値を与えるものとする。
【0080】
透視装置座標系での同一点の異なる校正結果を用いて様々なCアーム位置でとられた同一画像への射影間の比較は、1mmを超えない平均値を与えるものとする。
【0081】
位置合わせアルゴリズム
同一らせんジグ位置に対して撮られた異なる位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較は、1mmを越えない平均値を与えるものとする。
【0082】
すべてのらせんジグ位置にわたって、AP位置においてCアームを用いて撮られた異なる位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較は、1mmを超えない平均値を与えるものとする。
【0083】
すべてのらせんジグ位置にわたって、LAO90位置においてCアームを用いて撮られた異なる位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較は、1mmを超えない平均値を与えるものとする。
【0084】
異なるらせんジグ位置に対する位置合わせ画像について計算された基準Fluoro2Laser変換間の比較は、1mmを超えない平均値を与えるものとする。
【0085】
校正アルゴリズム試験結果
以下の表2は、収集された異なる校正シーケンス画像に対するらせんジグ位置の差について詳述する。
【0086】
【表2】
【0087】
すべての校正についての患者テーブル位置は、それが[−59,−864,930]であった場合の第1の校正(T124248)を除いて、[−54,−865,930]であった。すべての校正に対する透視装置ズーム設定は42cmであった。
【0088】
下記の表3は、異なる校正についての校正パラメータ値を示す。
【0089】
【表3】
【0090】
表4は、異なる校正結果について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較を示す。
【0091】
値は、比較されたFluoro2Laser変換間の変換における差のノルムを表し、すなわち、計算を以下のように実行した。
式2:Fluoro2LaserComparison
12=(Fluoro2Laser
1)
−1*Fluoro2Laser
2
式3:デルタ=ノルム(Fluoro2LaserComparison(1:3,4))
【0092】
デルタの値を表4に示す。
【0093】
【表4】
【0094】
上記の比較についての平均値は、0.28mmであり、これは、1mmの合格判定条件閾値以下であり、したがって、この試験は合格している。
【0095】
表5は、透視装置座標系における同一点の異なる校正結果を用いて様々なCアーム位置でとられた同一画像への射影を示す。表5に示す値は、ピクセルからミリメートルに変換された、射影間の平均差及び最大差を表す。
【0096】
【表5】
【0097】
上記比較の平均値は、0.18mmであり、これは、1mmの合格判定条件閾値以下である。したがって、この試験は合格している。
【0098】
位置合わせアルゴリズム試験結果
表6は、収集された異なる位置合わせ画像についてのらせんジグ位置の差を詳述する。
【0099】
【表6】
【0100】
それぞれの位置合わせに対する画像Helix2Fluoro位置合わせ結果と、そのらせんジグ位置に対する基準Helix2Fluoro全体との間の差を計算して付録グラフ中に表示しており、それは、らせんジグ位置ごとに変換マトリックスT要素[Tx、Ty、Tz]対Cアーム角度を示す。
【0101】
表7は、同一のらせんジグ位置に対して撮られた異なる位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換についての比較を示す。
【0102】
表7に示す値は、上記の式2及び式3を用いて計算され、同一のらせんジグ位置に対して撮られた位置合わせ画像について計算されたFluoro2Laser変換間の平均及び最大差、並びにCDF95の値、すなわち、95%に対する推定上側閾値を表す。
【0103】
画像位置合わせ間の比較ごとに、デルタを両方の画像角度に垂直な方向についてだけ計算した。
【0104】
【表7】
【0105】
上記の比較についての平均値は、0.15mmであり、これは、1mmの合格判定条件閾値以下であり、したがって、この試験は合格している。
【0106】
表8は、すべてのらせんジグ位置にわたって、AP位置及びLAO90位置においてCアームを用いて撮られた異なる位置合わせ画像について計算されたすべてのFluoro2Laser変換間の比較を示す。
【0107】
表8に示す値は、上記の式2及び式3を用いて計算され、同一のCアーム位置に対して撮られた位置合わせ画像について計算されたFluoro2Laser変換間の平均及び最大差、並びにCDF95値、すなわち95%に対する推定上側閾値を表す。
【0108】
画像位置合わせ間の比較ごとに、デルタを画像Cアーム角度に垂直な方向についてだけ計算した(すなわち、z軸デルタをAP画像比較のためには考慮せず、x軸デルタをLAO90画像比較のためには考慮しなかった)。
【0109】
【表8】
【0110】
上記の比較についての平均値は、0.4mm及び0.09mmであり、これは、1mmの合格判定条件閾値以下である。したがって、この試験は合格している。
【0111】
表9は、異なるらせんジグ位置に対する位置合わせ画像について計算された基準Fluoro2Laser変換間の比較を示す。
【0112】
表9に示す値を上記の式2及び式3を用いて計算した。
【0113】
【表9】
【0114】
上記の比較についての平均値は、0.63mmであり、これは、1mmの合格判定条件閾値以下である。したがって、この試験は合格している。
【0115】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述した様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせ、並びに上記の説明を読むことで当業者が想到するであろう、先行技術にはない特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0116】
〔実施の態様〕
(1) 座標系を位置合わせするための方法であって、
画像診断法に対して不透明である目印を有する校正ジグを画像化領域に配置する工程であって、前記目印は、それぞれの目印非調和比を有する少なくとも2つの共線の目印四つ組を備える、工程と、
前記目印の画像を前記画像診断法を用いて作成する工程と、
前記目印を前記画像において検出する工程と、
前記画像において、前記検出された目印の共線の画像四つ組を識別する工程と、
前記共線の画像四つ組のそれぞれの画像非調和比を計算する工程と、
既定義の判定条件に従って適合する目印非調和比及び画像非調和比を有する、少なくとも1つの共線の目印四つ組と少なくとも1つの共線の画像四つ組とを関連付けることによって、候補線を規定する工程と、
前記候補線の対を使用して、前記画像と前記校正ジグのそれぞれの位置合わせを実行する工程と、
前記位置合わせについての残差を決定する工程と、
前記位置合わせのうちの1つを選択する工程であって、その前記候補線の対は、所定の値よりも小さい限定的な残差と関連付けられている、工程と、を含む方法。
(2) 前記候補線のうちの少なくとも一部分は、複数の共線の画像四つ組を有する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記選択された位置合わせを使用して、前記目印を前記画像上に再射影する工程と、
その後に、前記画像上で前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止めることによって新しい位置合わせを確立する工程と、を更に含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止める工程は、前記再射影された目印と前記検出された目印との間の近接性を決定する工程を含む、実施態様3に記載の方法。
(5) 前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止める工程は、前記再射影された目印と前記検出された目印との二乗平均平方根誤差によって前記再射影された目印に点数を付ける工程を含む、実施態様3に記載の方法。
【0117】
(6) 新しい位置合わせを確立する工程は、前記目印を6自由度で再射影する工程の残留誤差を最小にする工程を含む、実施態様3に記載の方法。
(7) 前記目印は、大きさが同一である、実施態様1に記載の方法。
(8) 座標系を位置合わせするための方法であって、
放射線不透過性の目印を有する校正ジグを透視装置によって照射された領域に設置する工程であって、前記目印は、それぞれの目印非調和比を有する少なくとも2つの共線の目印四つ組を備える、工程と、
前記目印の透視画像を前記透視装置を用いて作成する工程と、
前記目印を前記画像において検出する工程と、
前記透視画像において、前記検出された目印の共線の画像四つ組を識別する工程と、
前記共線の画像四つ組のそれぞれの画像非調和比を計算する工程と、
既定義の判定条件に従って適合する目印非調和比及び画像非調和比を有する、少なくとも1つの共線の目印四つ組と少なくとも1つの共線の画像四つ組とを関連付けることによって、候補線を規定する工程と、
前記候補線の対を使用して、前記透視画像と前記校正ジグのそれぞれの位置合わせを実行する工程と、
前記位置合わせについての残差を決定する工程と、
前記位置合わせのうちの1つを選択する工程であって、その前記候補線の対は、所定の値よりも小さい限定的な残差と関連付けられている、工程と、を含む方法。
(9) 前記候補線のうちの少なくとも一部分は、複数の共線の画像四つ組を有する、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記選択された位置合わせを使用して、前記目印を前記画像上に再射影する工程と、
その後に、前記画像上で前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止めることによって新しい位置合わせを確立する工程と、を更に含む、実施態様8に記載の方法。
【0118】
(11) 前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止める工程は、前記再射影された目印と前記検出された目印との間の近接性を決定する工程を含む、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止める工程は、前記再射影された目印と前記検出された目印との二乗平均平方根誤差によって前記再射影された目印に点数を付ける工程を含む、実施態様10に記載の方法。
(13) 新しい位置合わせを確立する工程は、前記目印を6自由度で再射影する工程の残留誤差を最小にする工程を含む、実施態様10に記載の方法。
(14) 前記目印は、大きさが同一である、実施態様8に記載の方法。
(15) 座標系を位置合わせするための装置であって、
放射線不透過性の目印を有する校正ジグであって、前記目印は、それぞれの目印非調和比を有する少なくとも2つの共線の目印四つ組を備えている、校正ジグと、
プロセッサと、
プログラム及びデータオブジェクトを中に格納する、前記プロセッサにアクセス可能なメモリと、を備え、前記プログラムの実行は、前記プロセッサに、
前記目印を透視画像において検出する工程と、
前記画像において、前記検出された目印の共線の画像四つ組を識別する工程と、
前記共線の画像四つ組のそれぞれの画像非調和比を計算する工程と、
既定義の判定条件に従って適合する目印非調和比及び画像非調和比を有する、少なくとも1つの共線の目印四つ組と少なくとも1つの共線の画像四つ組とを関連付けることによって、候補線を規定する工程と、
前記候補線の対を使用して、前記画像と前記校正ジグのそれぞれの位置合わせを実行する工程と、
前記位置合わせについての残差を決定する工程と、
前記位置合わせのうちの1つを選択する工程であって、その前記候補線の対は、所定の値よりも小さい限定的な残差と関連付けられている、工程と、を行わせる、装置。
【0119】
(16) 前記候補線のうちの少なくとも一部分は、複数の共線の画像四つ組を有する、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記目印は、単一の軸線に沿って存在する、実施態様15に記載の装置。
(18) 前記プロセッサは、前記画像上で前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止めることにより、前記選択された位置合わせを使用した、前記目印の前記画像上への再射影に関して新しい位置合わせを確立する付加的な工程を実行するように動作する、実施態様15に記載の装置。
(19) 前記再射影された目印のうちの別のものの位置を突き止める工程は、前記再射影された目印と前記検出された目印との間の近接性を決定する工程を含む、実施態様18に記載の装置。
(20) 前記目印は、大きさが同一である、実施態様15に記載の装置。
【0120】
(21) 座標系を位置合わせするための方法であって、
対称軸及び画像診断法に対して不透明である目印を有する校正ジグを画像化領域に設置する工程であって、前記目印は、目印非調和比を有する共線の目印四つ組を備え、前記共線の目印四つ組は、前記対称軸上にある、工程と、
前記目印の画像を前記画像診断法を用いて作成する工程と、
前記目印を前記画像において検出する工程と、
前記画像において、前記検出された目印の共線の画像四つ組を識別する工程と、
前記共線の画像四つ組のそれぞれの画像非調和比を計算する工程と、
前記共線の目印四つ組と、少なくとも1つの共線の画像四つ組とを関連付けることによって候補線を規定する工程であって、前記目印非調和比と画像非調和比とは、既定義の判定条件に従って適合する、工程と、
それぞれの候補線を使用して、前記画像と前記校正ジグの位置合わせを実行する工程と、
前記位置合わせについての残差を決定する工程と、
前記位置合わせのうちの1つを選択する工程であって、その前記候補線は、所定の値よりも小さい限定的な残差と関連付けられている、工程と、を含む方法。
(22) 座標系を位置合わせするための装置であって、
放射線不透過性の目印を有する校正ジグであって、前記目印は、目印非調和比を有する共線の目印四つ組を備える、校正ジグと、
プロセッサと、
プログラム及びデータオブジェクトを中に格納する、前記プロセッサにアクセス可能なメモリと、を備え、前記プログラムの実行は、前記プロセッサに、
前記目印を透視画像において検出する工程と、
前記画像において、前記検出された目印の共線の画像四つ組を識別する工程と、
前記共線の画像四つ組のそれぞれの画像非調和比を計算する工程と、
前記共線の目印四つ組と、少なくとも1つの共線の画像四つ組とを関連付けることによって、候補線を規定する工程であって、前記目印非調和比と画像非調和比とは既定義の判定条件に従って適合する、工程と、
それぞれの候補線を使用して、前記画像と前記校正ジグの位置合わせを実行する工程と、
前記位置合わせについての残差を決定する工程と、
前記位置合わせのうちの1つを選択する工程であって、その前記候補線は、所定の値よりも小さい限定的な残差と関連付けられている、工程と、を行わせる、装置。