特許第6776098号(P6776098)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6776098
(24)【登録日】2020年10月9日
(45)【発行日】2020年10月28日
(54)【発明の名称】コネクタ端子および電気コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20201019BHJP
   H01R 13/40 20060101ALI20201019BHJP
   H01R 13/41 20060101ALI20201019BHJP
【FI】
   H01R13/11 C
   H01R13/11 A
   H01R13/40 B
   H01R13/41
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-221641(P2016-221641)
(22)【出願日】2016年11月14日
(65)【公開番号】特開2018-81764(P2018-81764A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100090217
【弁理士】
【氏名又は名称】三和 晴子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 知樹
【審査官】 杉山 健一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2008/0254687(US,A1)
【文献】 特表2001−525109(JP,A)
【文献】 特開2003−282200(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/096885(WO,A1)
【文献】 仏国特許出願公開第02758213(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/11
H01R 13/40−13/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタ端子に接触する接触部と、
コネクタハウジングに保持される保持部と、
前記接触部と前記保持部との間に配置されて前記接触部および前記保持部を互いに弾性変位可能に連結する連結部と
を備え、
前記接触部、前記連結部および前記保持部は、1枚の金属板から形成され、
前記連結部は、互いに平行な4つの折り曲げ部を有する第1の四角い筒として構成されると共に、前記接触部前記保持部の間に配列された複数の切れ込みを有することにより前記接触部から前記保持部まで屈曲しながら連続する1本の帯状部を有し、
前記複数の切れ込みは、それぞれ、前記4つの折り曲げ部のうち互いに隣接する2つの折り曲げ部にまたがり
それぞれの前記切れ込みは、前記連結部の外部に連通する開口端部と、前記開口端部に接続され且つ前記4つの折り曲げ部に対して傾斜する方向に延びる傾斜部分と、前記傾斜部分に接続され且つ前記4つの折り曲げ部に対して直交する方向に延びる直交部分と、前記直交部分に接続され且つ前記連結部を形成する前記金属板の内部で閉塞される閉塞端部を含み、
前記複数の切れ込みのうち、前記接触部から数えて奇数番目の切れ込みの前記傾斜部分は、前記奇数番目の切れ込みの前記開口端部から前記直交部分に進むにつれて前記接触部から前記保持部に向かう方向に傾斜し、
前記複数の切れ込みのうち、前記接触部から数えて偶数番目の切れ込みの前記傾斜部分は、前記奇数番目の切れ込みの前記開口端部から前記直交部分に進むにつれて前記保持部から前記接触部に向かう方向に傾斜していることを特徴とするコネクタ端子。
【請求項2】
前記複数の切れ込みの前記傾斜部分は、互いに平行に延びる請求項1に記載のコネクタ端子。
【請求項3】
前記接触部は、前記連結部を構成する前記第1の四角い筒の前記4つの折り曲げ部をそれぞれ延長した4つの折り曲げ部を有する第2の四角い筒として構成される請求項1または2に記載のコネクタ端子。
【請求項4】
表面と裏面を有する平板形状の前記相手側コネクタ端子を前記コネクタ端子に嵌合することで前記接触部が前記相手側コネクタ端子に接触し、
前記接触部は、
それぞれ前記相手側コネクタ端子の前記表面に点接触する1つ以上の表面側接点と、
それぞれ前記相手側コネクタ端子の前記裏面に点接触し且つ一直線上に配置されていない3つ以上の裏面側接点と
を有し、前記1つ以上の表面側接点は、嵌合時における前記相手側コネクタ端子の前記表面に垂直な方向から見て、前記3つ以上の裏面側接点に重なることがなく、
前記1つ以上の表面側接点の配置位置により決定される重心の位置は、嵌合時における前記相手側コネクタ端子の前記表面に垂直な方向から見て、前記3つ以上の裏面側接点の配置位置により決定される重心の位置に重なっている請求項1〜3のいずれか一項に記載のコネクタ端子。
【請求項5】
前記保持部は、前記コネクタハウジングに圧入するための圧入突起を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のコネクタ端子。
【請求項6】
前記保持部は、前記コネクタハウジングにネジ止めするためのネジ止め部を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のコネクタ端子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の前記コネクタ端子と、
前記コネクタ端子の前記保持部を保持する前記コネクタハウジングと
を備えた電気コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタ端子に係り、特に、相手側コネクタ端子に接触する接触部とコネクタハウジングに保持される保持部とを有するコネクタ端子に関する。
また、この発明は、コネクタ端子を用いた電気コネクタにも関している。
【背景技術】
【0002】
従来から、電源用のコネクタ等、大電流が流れるコネクタにおいては、平板形状のプラグ端子を箱形状のソケット端子に挿入し、ソケット端子の複数の接点でプラグ端子を表裏から挟み込むことにより電気導通させる構造が多く採用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、図19に示されるように、二次電池1の平板形状のプラグ端子2に接続されるバスバー3のソケット端子4が開示されている。二次電池1のプラグ端子2は、二次電池1に取り付けられた二次電池側ハウジング5に保持されると共に二次電池側ハウジング5の凹部5A内に突出しており、バスバー3のソケット端子4は、バスバー側ハウジング6に保持されると共にバスバー側ハウジング6の凹部6A内に突出し且つ互いに対向する2つの接点7および8を有している。また、ソケット端子4の2つの接点7および8のうち、一方の接点7は、バスバー側ハウジング6の凹部6A内において、他方の接点8に向かう方向に弾性変位可能なばね接点を形成している。
【0004】
図20に示されるように、バスバー3のバスバー側ハウジング6を二次電池側ハウジング5の凹部5A内に挿入すると、二次電池1のプラグ端子2が、バスバー側ハウジング6の凹部6A内に挿入され、ソケット端子4の2つの接点7および8で表裏から挟み込まれる。このとき、ばね接点を形成しているソケット端子4の接点7により、二次電池1のプラグ端子2とバスバー3のソケット端子4との間に接触圧が発生し、二次電池1のプラグ端子2とバスバー3のソケット端子4が互いに嵌合して電気導通状態となる。
このようなバスバー3を用いることにより、複数の二次電池1を互いに電気的に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−61962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、図20に示されるように、二次電池1のプラグ端子2とバスバー3のソケット端子4が互いに嵌合し、ソケット端子4の接点7および8がプラグ端子2に接触している状態で、二次電池1およびバスバー3に振動等が加わると、ソケット端子4とプラグ端子2の接触部分が相対的に動き、これにより、接触不良が発生するおそれがある。これは、ソケット端子4とプラグ端子2の接触部分が動いて擦れあうことで、接触部分のメッキが剥がれ、接触部分が腐食して接触抵抗が増大することに起因している。
【0007】
そこで、例えば、図19に示したバスバー3のソケット端子4において、二次電池1のプラグ端子2に接触する接点7および8を有する接触部と、バスバー側ハウジング6に保持される保持部との間にバネ部を配置し、バネ部により接触部と保持部を弾性変位可能に連結することが考えられる。このようにすれば、振動等が加わっても、バネ部が変形することで、接触部分の相対的な動きが防止され、接触不良が発生するおそれを低減することができる。
しかしながら、接触不良の発生を防止するためには、接触部と保持部の間に配置するバネ部のバネ長は長い方が好ましいが、バネ部のバネ長を長くすると、接触部から保持部までの長さが長くなり、コネクタが大型化するという問題を生じてしまう。
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、小型でありながら接触不良の発生を防止することができるコネクタ端子を提供することを目的とする。
また、この発明は、コネクタ端子を用いた電気コネクタを提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係るコネクタ端子は、相手側コネクタ端子に接触する接触部と、コネクタハウジングに保持される保持部と、接触部と保持部との間に配置されて接触部および保持部を互いに弾性変位可能に連結する連結部とを備え、接触部、連結部および保持部は、1枚の金属板から形成され、連結部は、互いに平行な4つの折り曲げ部を有する第1の四角い筒として構成されると共に、接触部保持部の間に配列された複数の切れ込みを有することにより接触部から保持部まで屈曲しながら連続する1本の帯状部を有し、複数の切れ込みは、それぞれ、4つの折り曲げ部のうち互いに隣接する2つの折り曲げ部にまたがり、それぞれの切れ込みは、連結部の外部に連通する開口端部と、開口端部に接続され且つ4つの折り曲げ部に対して傾斜する方向に延びる傾斜部分と、傾斜部分に接続され且つ4つの折り曲げ部に対して直交する方向に延びる直交部分と、直交部分に接続され且つ連結部を形成する金属板の内部で閉塞される閉塞端部を含み、複数の切れ込みのうち、接触部から数えて奇数番目の切れ込みの傾斜部分は、奇数番目の切れ込みの開口端部から直交部分に進むにつれて接触部から保持部に向かう方向に傾斜し、複数の切れ込みのうち、接触部から数えて偶数番目の切れ込みの傾斜部分は、奇数番目の切れ込みの開口端部から直交部分に進むにつれて保持部から接触部に向かう方向に傾斜しているものである。
【0010】
好ましくは、複数の切れ込みの傾斜部分は、互いに平行に延びている。
接触部は、連結部を構成する第1の四角い筒の4つの折り曲げ部をそれぞれ延長した4つの折り曲げ部を有する第2の四角い筒として構成されることが好ましい。
【0011】
また、好ましくは、表面と裏面を有する平板形状の相手側コネクタ端子をコネクタ端子に嵌合することで接触部が相手側コネクタ端子に接触し、接触部は、それぞれ相手側コネクタ端子の表面に点接触する1つ以上の表面側接点と、それぞれ相手側コネクタ端子の裏面に点接触し且つ一直線上に配置されていない3つ以上の裏面側接点とを有し、1つ以上の表面側接点は、嵌合時における相手側コネクタ端子の表面に垂直な方向から見て、3つ以上の裏面側接点に重なることがなく、1つ以上の表面側接点の配置位置により決定される重心の位置は、嵌合時における相手側コネクタ端子の表面に垂直な方向から見て、3つ以上の裏面側接点の配置位置により決定される重心の位置に重なっている。
【0012】
保持部は、コネクタハウジングに圧入するための圧入突起を有することが好ましい。あるいは、保持部は、コネクタハウジングにネジ止めするためのネジ止め部を有することが好ましい。
この発明に係る電気コネクタは、上記のコネクタ端子と、コネクタ端子の保持部を保持するコネクタハウジングとを備えたものである。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、接触部と保持部との間に配置されて接触部および保持部を互いに弾性変位可能に連結する連結部が、互いに平行な4つの折り曲げ部を有する第1の四角い筒として構成されると共に、接触部から保持部に向かって互い違いに配列された複数の切れ込みを有することにより接触部から保持部まで屈曲しながら連続する1本の帯状部を有し、複数の切れ込みは、それぞれ、4つの折り曲げ部のうち互いに隣接する2つの折り曲げ部にまたがり且つ4つの折り曲げ部に対して傾斜する方向に延びる傾斜部分と、傾斜部分に接続され且つ4つの折り曲げ部に対して直交する方向に延びる直交部分を含み、接触部から数えて奇数番目の切れ込みの傾斜部分は、切れ込みの入口から先端に進むにつれて接触部から保持部に向かう方向に傾斜し、接触部から数えて偶数番目の切れ込みの傾斜部分は、切れ込みの入口から先端に進むにつれて保持部から接触部に向かう方向に傾斜しているので、小型でありながら接触不良の発生を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】嵌合前における実施の形態1に係るコネクタ端子と相手側コネクタ端子を示す斜視図である。
図2】実施の形態1に係るコネクタ端子を斜め上方から見た斜視図である。
図3】実施の形態1に係るコネクタ端子を斜め下方から見た斜視図である。
図4】実施の形態1に係るコネクタ端子を示す側面図である。
図5】実施の形態1に係るコネクタ端子を示す正面図である。
図6図5のA−A線断面図である。
図7図4のB−B線断面図である。
図8】実施の形態1に係るコネクタ端子の展開図である。
図9】実施の形態1に係るコネクタ端子を用いた電気コネクタを示す背面図である。
図10図9のC−C線断面図である。
図11】嵌合時における実施の形態1に係るコネクタ端子と相手側コネクタ端子を示す斜視図である。
図12】嵌合時における実施の形態1に係るコネクタ端子の正面図である。
図13図12のD−D線断面図である。
図14】実施の形態2に係るコネクタ端子を斜め上方から見た斜視図である。
図15】実施の形態2に係るコネクタ端子を斜め下方から見た斜視図である。
図16】実施の形態2に係るコネクタ端子の展開図である。
図17】実施の形態3に係るコネクタ端子を示す斜視図である。
図18】実施の形態3の変形例に係るコネクタ端子を示す斜視図である。
図19】嵌合前における従来のコネクタ端子と相手側コネクタ端子を示す断面図である。
図20】嵌合時における従来のコネクタ端子と相手側コネクタ端子を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1に示されるように、この発明の実施の形態1に係るコネクタ端子11は、内部に相手側コネクタ端子収容部Sが形成された筒形状の接触部12を有しており、相手側コネクタ端子21は、平板形状を有するプラグ端子である。相手側コネクタ端子21が嵌合軸C1に沿ってコネクタ端子11の接触部12の相手側コネクタ端子収容部Sに挿入されることで、接触部12が相手側コネクタ端子21に接触し、コネクタ端子11と相手側コネクタ端子21は、互いに嵌合され、電気導通する。
【0016】
コネクタ端子11は、嵌合軸C1に沿って接触部12の後端側に配置され且つ接触部12と同様の筒形状を有する連結部13と、連結部13のさらに後端側に配置された保持部14を有している。保持部14は、後述するコネクタハウジングに保持されることでコネクタ端子11をコネクタハウジングに保持するもので、接触部12と保持部14との間に配置された連結部13は、バネ性を備えており、接触部12と保持部14を互いに弾性変位可能に連結している。コネクタ端子11は、さらに、保持部14から嵌合軸C1に対して直交する方向に延びる引き出し部15と、引き出し部15の先端に配置された電線接続部16を有している。
【0017】
ここで、便宜上、接触部12から連結部13に向けて嵌合軸C1が延びる方向を+Y方向、保持部14から引き出し部15が延びる方向を+X方向、XY面に対して垂直な方向をZ方向と呼ぶものとする。
一方、相手側コネクタ端子21は、XY面に沿って延びる均一な厚さの平板形状を有し、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた表面21Aと、この表面21Aに平行にXY面に沿って延び且つ−Z方向を向いた裏面21Bを有している。
【0018】
図2図5にコネクタ端子11を示す。
接触部12は、それぞれ嵌合軸C1と平行な4つの折り曲げ部Fを有して相手側コネクタ端子収容部Sを囲む四角い筒(第2の四角い筒)として構成され、それぞれXY面に沿って延び且つ互いに対向する底板部31および天井部32と、それぞれYZ面に沿って延びる一対の側壁部33を有している。天井部32は、嵌合軸C1に沿った中央部で2つの上板部34に分割され、それぞれの上板部34が対応する側壁部33に連結されている。
また、接触部12の前端部には、それぞれ一対の側壁部33の前端から屈曲してXZ面に沿って延びる一対の囲い部35が形成されている。それぞれの囲い部35は、Z方向において、側壁部33の高さよりも低い高さを有し、一対の囲い部35と底板部31の前端との間に、相手側コネクタ端子21を受け入れる挿入口36が形成されている。
【0019】
連結部13は、接触部12の4つの折り曲げ部Fをそれぞれ+Y方向に延長した4つの折り曲げ部Fを有する四角い筒(第1の四角い筒)として構成され、それぞれXY面に沿って延び且つ互いに対向する底板部41および天井部42と、それぞれYZ面に沿って延びる+X方向側の側壁部43Aおよび−X方向側の側壁部43Bを有している。天井部42は、嵌合軸C1に沿った中央部で2つの上板部44に分割されている。
【0020】
また、連結部13には、接触部12から保持部14に向かって互い違いに配列された2本の切れ込み、すなわち、接触部12に近接する箇所に形成された第1の切れ込みK1と、保持部14に近接する箇所に形成された第2の切れ込みK2が形成されている。
第1の切れ込みK1は、+X方向側の側壁部43Aの接触部12に隣接する箇所に位置する入口K1Aから底板部41を斜めに横切って−X方向側の側壁部43Bに位置する先端K1Bまで至っており、底板部41において4つの折り曲げ部Fに対し傾斜する方向に延びる傾斜部分K11と、−X方向側の側壁部43Bにおいて4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K12を有している。一方、第2の切れ込みK2は、−X方向側の側壁部43Bの保持部14に隣接する箇所に位置する入口K2Aから底板部41を斜めに横切って+X方向側の側壁部43Aに位置する先端K2Bまで至っており、底板部41において4つの折り曲げ部Fに対し傾斜する方向に延びる1つの傾斜部分K21と、+X方向側の側壁部43Aにおいて4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる1つの直交部分K22を有している。
【0021】
接触部12から数えて奇数番目の切れ込みである第1の切れ込みK1の傾斜部分K11は、入口K1Aから先端K1Bに進むにつれて接触部12から保持部14に向かう方向に傾斜し、接触部12から数えて偶数番目の切れ込みである第2の切れ込みK2の傾斜部分K21は、入口K2Aから先端K2Bに進むにつれて保持部14から接触部12に向かう方向に傾斜している。また、第1の切れ込みK1の傾斜部分K11と第2の切れ込みK2の傾斜部分K21は、互いに平行に延びており、このような第1の切れ込みK1および第2の切れ込みK2の存在により、連結部13は、接触部12から保持部14までほぼ均一の幅を有してX方向、Y方向およびZ方向に屈曲しながら連続する1本の帯状部45を有している。このため、接触部12と保持部14は、連結部13の帯状部45が弾性変形することにより、互いに3次元方向に弾性変位可能に連結されている。
【0022】
連結部13の+Y方向側に配置されている保持部14は、XY面に沿って延びる平板形状を有し、それぞれ+X方向および−X方向に突出する一対の突起51を有している。
保持部14から+X方向に延びる引き出し部15は、保持部14と一体に形成され且つXY面に沿って延びる平板形状を有し、引き出し部15の先端に電線接続部16が連結されている。
【0023】
また、図5および図6に示されるように、接触部12の底板部31には、+Z方向を向いた3つの裏面側接点31A〜31Cが形成され、接触部12の天井部32には、−Z方向を向いた2つの表面側接点32Aおよび32Bが形成されている。
3つの裏面側接点31A〜31Cは、それぞれ、ドーム形状を有しており、+Z方向に向かって相手側コネクタ端子収容部S内に突出し、コネクタ端子11に相手側コネクタ端子21が嵌合したときに、相手側コネクタ端子21の裏面21Bに点接触する非バネ接点であり、図7に示されるように、裏面側接点31Aを頂点Aとし且つ残りの裏面側接点31Bおよび31Cを結ぶ線分を底辺BCとする二等辺三角形TをXY面上に描くように配置されている。
【0024】
二等辺三角形Tの底辺BCは、X方向に延び、この底辺BCの中点Mと二等辺三角形Tの頂点Aを結ぶ中線AMは、Y方向に延びており、二等辺三角形Tは、中線AMを通るYZ面に対して対称な形状を有している。また、二等辺三角形Tの中線AMは、嵌合軸C1と共通のYZ面上に位置しており、3つの裏面側接点31A〜31Cは、嵌合軸C1を通るYZ面に対して対称な位置に配置されている。
【0025】
ここで、3つの裏面側接点31A〜31Cの重心を考える。一般に、複数の点群の重心は、複数の点にそれぞれ同一の荷重が作用するときに、これらの荷重による力の釣り合いおよびモーメントの釣り合いが成立する点であり、複数の点における荷重の合力の作用点として定義することができる。例えば、3つの裏面側接点31A〜31Cにそれぞれ−Z方向を向いた荷重W1が作用したときには、3つの裏面側接点31A〜31Cにより描かれる二等辺三角形Tの幾何学的な重心、すなわち、中線AMを2:1に内分する点において、それぞれの荷重W1によるモーメントが釣り合い、この点に−Z方向を向いた合力F1=3×W1が作用すると考えられる。そこで、この点を、3つの裏面側接点31A〜31Cの配置位置により決定される重心G1と呼ぶこととする。
【0026】
図6に示されるように、接触部12の天井部32における2つの上板部34の−Y方向端部からそれぞれ接触部12の内部に折り曲げられて+Y方向に延びる一対の片持ち梁形状のバネ部37が相手側コネクタ端子収容部S内に形成され、2つの表面側接点32Aおよび32Bは、これらバネ部37の先端に配置されている。なお、一対のバネ部37は、互いに同じ大きさおよび同じバネ定数を有している。
表面側接点32Aおよび32Bは、それぞれ、バネ部37の先端を加工することにより形成され、表面側接点32Aおよび32Bを通るYZ面に対して対称なドーム形状を有しており、−Z方向に向かって相手側コネクタ端子収容部S内に突出し、コネクタ端子11に相手側コネクタ端子21が嵌合したときに、相手側コネクタ端子21の表面21Aに点接触するバネ接点を構成している。
【0027】
表面側接点32Aおよび32Bは、X方向に延びる直線上に位置し、表面側接点32Aと表面側接点32Bを結ぶ線分の中点は、嵌合軸C1と同一のYZ面上に位置している。
ここで、2つの表面側接点32Aおよび32Bにそれぞれ+Z方向を向いた荷重W2が作用したときには、表面側接点32Aと表面側接点32Bを結ぶ線分の中点において、それぞれの荷重W2によるモーメントが釣り合い、この点に+Z方向を向いた合力F2=2×W2が作用すると考えられる。そこで、表面側接点32Aと表面側接点32Bを結ぶ線分の中点を、2つの表面側接点32Aおよび32Bの配置位置により決定される重心G2と呼ぶこととする。
【0028】
そして、図7に示されるように、2つの表面側接点32Aおよび32Bは、いずれも、Z方向から見て、3つの裏面側接点31A〜31Cに重なることがないように配置されている。また、表面側接点32Aおよび32Bの配置位置により決定される重心G2の位置が、Z方向から見て、3つの裏面側接点31A〜31Cの配置位置により決定される重心G1の位置に重なるように、裏面側接点31A〜31Cおよび表面側接点32Aおよび32Bが配置されている。
【0029】
このような構成のコネクタ端子11は、図8に示されるような形状に切り抜かれた1枚の金属板に曲げ加工を施すことにより形成することができる。金属板は、接触部12を形成するための領域R1と、連結部13を形成するための領域R2と、保持部14を形成するための領域R3と、引き出し部15を形成するための領域R4と、電線接続部16を形成するための領域R5を有している。
領域R1は、接触部12における一対のバネ部37とそれぞれのバネ部37の先端に配置される表面側接点32Aおよび32Bを形成するための2つの腕部12Aと、一対の囲い部35を形成するための2つの突出部12Bを有している。
【0030】
領域R2には、第1の切れ込みK1および第2の切れ込みK2が、領域R1から領域R3に向かって互い違いに配列されている。すなわち、第1の切れ込みK1は、4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向における領域R2の一端13A側の入口K1Aから他端13B側の先端K1Bに向かって延びており、入口K1Aから先端K1Bに向かって領域R3の方向に傾斜する傾斜部分K11と、傾斜部分K11に接続され且つ4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K12を有している。一方、第2の切れ込みK2は、第1の切れ込みK1とは逆に、領域R2の領域R2の他端13B側の入口K2Aから一端13A側の先端K2Bに向かって延びており、入口K2Aから先端K2Bに向かって領域R1の方向に傾斜する傾斜部分K21と、傾斜部分K21に接続され且つ4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K22を有している。第1の切れ込みK1および第2の切れ込みK2の存在により、領域R1から領域R3まで屈曲しながら連続する1本の帯状部45が形成されている。
【0031】
領域R1を4つの折り曲げ部Fでそれぞれ直角に折り曲げることで、四角い筒形状の接触部12が形成され、領域R2を4つの折り曲げ部Fでそれぞれ直角に折り曲げることで、四角い筒形状の連結部13が形成される。
さらに、領域R5に曲げ加工を施すことで、電線接続部16が形成され、領域R3および領域R4をそのまま利用することで、平板状の保持部14および引き出し部15が形成される。
【0032】
実施の形態1に係るコネクタ端子11は、図9に示されるように、絶縁性樹脂等の絶縁性材料からなるコネクタハウジングHに保持されることで、電気コネクタとして使用される。このとき、図10に示されるように、保持部14の一対の突起51をXY面内でコネクタハウジングHに圧入することにより、コネクタ端子11をコネクタハウジングHに保持させることができる。
【0033】
次に、嵌合時におけるコネクタ端子11の作用について説明する。
図11および図12に示されるように、相手側コネクタ端子21がコネクタ端子11の接触部12の挿入口36から相手側コネクタ端子収容部Sに挿入されると、図13に示されるように、接触部12の2つのバネ部37がそれぞれ弾性変形し、接触部12の天井部32に配置されている2つの表面側接点32Aおよび32Bがそれぞれ相手側コネクタ端子21の表面21Aに所定の接触圧で接触すると共に、接触部12の底板部31に配置されている3つの裏面側接点31A〜31Cがそれぞれ相手側コネクタ端子21の裏面21Bに所定の接触圧で接触する。これにより、コネクタ端子11と相手側コネクタ端子21が互いに電気導通する。なお、図11図13では、簡略化のため、コネクタハウジングHの図示が省略されている。
【0034】
上述したように、コネクタ端子11の連結部13は、接触部12から保持部14までX方向、Y方向およびZ方向に屈曲しながら連続する1本の帯状部45を有しており、接触部12と保持部14を3次元方向に弾性変位可能に連結している。このため、電気導通状態にあるコネクタ端子11および相手側コネクタ端子21に振動等が加わって、コネクタ端子11を保持しているコネクタハウジングHと相手側コネクタ端子21とを相対的に変位させようとする外力が作用したときに、コネクタハウジングHに保持されているコネクタ端子11の保持部14と相手側コネクタ端子21に所定の接触圧で接触しているコネクタ端子11の接触部12との間に配置されている連結部13の帯状部45が弾性変形することで、その外力を吸収することができる。
【0035】
連結部13の帯状部45は、接触部12と保持部14の間における、X方向、Y方向およびZ方向のそれぞれの相対的な変位に対しても、X軸、Y軸およびZ軸回りのそれぞれの相対的な捩れに対しても、弾性変形して外力を吸収する。したがって、コネクタ端子11の接触部12の表面側接点32A、32Bと相手側コネクタ端子21の表面21Aとの間およびコネクタ端子11の接触部12の裏面側接点31A〜31Cと相手側コネクタ端子21の裏面21Bとの間の擦れあいが防止される。その結果、コネクタ端子11と相手側コネクタ端子21の間の接触抵抗が増大して接触不良が発生するおそれを未然に回避することができる。
【0036】
また、図8に示されるように、金属板のほぼ矩形状の領域R2に、第1の切れ込みK1および第2の切れ込みK2からなる2本の細い切れ込みを形成し、この領域R2を4つの折り曲げ部Fでそれぞれ直角に折り曲げるだけで、接触部12から保持部14までX方向、Y方向およびZ方向に屈曲しながら連続する1本の帯状部45を有する四角い筒形状の連結部13を形成している。このため、原材料となる金属板を有効に活用しながら、接触部12と保持部14が互いに3次元方向に弾性変位可能に連結された小型のコネクタ端子11を実現することができる。
さらに、ほぼ矩形状の領域R2に2本の細い切れ込みを形成することにより、帯状部45は、接触部12から保持部14に至るまでほぼ均一の幅を有しているので、大電流を流すのに適した幅広のコネクタ端子11を容易に形成することができる。
【0037】
ここで、相手側コネクタ端子21は、XY面に沿って延びる均一な厚さの平板形状を有しており、表面側接点32Aおよび32Bが配置されている2つのバネ部37は互いに同じ大きさおよび同じバネ定数を有しているので、相手側コネクタ端子21の挿入に起因して2つのバネ部37がそれぞれ弾性変形することにより、接触部12の2つの表面側接点32Aおよび32Bから相手側コネクタ端子21の表面21Aにそれぞれ−Z方向を向いた同一の大きさの接触力N0が作用する。従って、これら2つの接触力N0の合力(2×N0)の作用点は、2つの表面側接点32Aおよび32Bの配置位置により決定される重心G2に位置することとなる。なお、作用反作用の関係から、2つの表面側接点32Aおよび32Bには、それぞれ、相手側コネクタ端子21の表面21Aから+Z方向を向き且つ接触力N0と同じ大きさの荷重N1が作用する。
【0038】
相手側コネクタ端子21が表面側接点32Aおよび32Bからこのような接触力N0の合力(2×N0)を受けるため、相手側コネクタ端子21の裏面21Bを介して接触部12の3つの裏面側接点31A〜31Cにそれぞれ−Z方向を向いた荷重が作用する。このとき、上述したように、3つの裏面側接点31A〜31Cの配置位置により決定される重心G1の位置は、Z方向から見て、2つの表面側接点32Aおよび32Bの配置位置により決定される重心G2の位置と重なっているため、重心G2に作用している合力(2×N0)が、そのまま重心G1に作用する。その結果、力の釣り合いおよびモーメントの釣り合いがなされるように、3つの裏面側接点31A〜31Cに、それぞれ−Z方向を向いた同一の大きさの分力が荷重として加えられる。具体的には、(2×N0)/3の大きさの荷重N2がそれぞれの裏面側接点31A〜31Cに作用することとなる。
【0039】
このように、3つの裏面側接点31A〜31Cに作用する荷重N2が均一になるので、平板形状の相手側コネクタ端子21の裏面21Bに接触する裏面側接点31A〜31Cの接触抵抗のばらつきが防止される。同様に、2つの表面側接点32Aおよび32Bに作用する荷重N1も均一になり、平板形状の相手側コネクタ端子21の表面21Aに接触する表面側接点32Aおよび32Bの接触抵抗のばらつきが防止される。
したがって、接触部12の裏面側接点31A〜31Cにおける接触抵抗が均一化されると共に表面側接点32Aおよび32Bにおける接触抵抗が均一化され、接触不良が発生するおそれをさらに低減することができる。
【0040】
なお、接触部12は、2つの表面側接点32Aおよび32Bを有しているが、表面側接点を1つとすることもできる。この場合、表面側接点が1つのみであるので、表面側接点の配置位置により決定される重心の位置は、その表面側接点の位置となる。
ただし、上記の実施の形態1のように、2つの表面側接点32Aおよび32Bを有していれば、コネクタ端子11に嵌合している相手側コネクタ端子21にXY面内のモーメントが作用したときに、2つの表面側接点32Aおよび32Bからそれぞれ摩擦力が作用するため、XY面内における相手側コネクタ端子21の回転方向の変位を抑制することが可能となる。また、コネクタ端子11に嵌合している相手側コネクタ端子21に嵌合軸C1の回りのモーメントが作用したときにおいても、表面側接点32Aおよび32Bのうちの一方から相手側コネクタ端子21に垂直抗力が発生するため、XZ面内における相手側コネクタ端子21の回転方向の変位を抑制することが可能となる。
【0041】
また、接触部12は、3つの裏面側接点31A〜31Cを有しているが、それぞれ点接触する3つ以上の裏面側接点を具備していればよい。ただし、3つ以上の裏面側接点は、一直線上に配置されていないことが必要となる。3つ以上の裏面側接点が一直線上に配置されていると、これらの裏面側接点により相手側コネクタ端子21をXY面上に安定して保持することができないからである。
さらに、3つの裏面側接点31A〜31Cは、非バネ接点により構成されているが、裏面側接点31A〜31Cも、表面側接点32Aおよび32Bと同様に、バネ接点とすることもできる。
【0042】
また、コネクタ端子11においては、引き出し部15が、保持部14から嵌合軸C1に対して直交する+X方向に延び、引き出し部15の先端に電線接続部16が配置されているが、これに限るものではない。例えば、嵌合軸C1に沿って保持部14の+Y方向側に引き出し部15と電線接続部16が順次配置されていてもよい。この場合には、さらに、引き出し部15を省略して、保持部14の+Y方向側に電線接続部16を直接連結することもできる。
【0043】
実施の形態2
図14および図15に、実施の形態2に係るコネクタ端子61の構成を示す。このコネクタ端子61は、図2および図3に示される実施の形態1のコネクタ端子11において、連結部13の代わりに連結部63を接触部12と保持部14との間に配置し、連結部63により接触部12と保持部14を互いに弾性変位可能に連結するものである。
連結部63は、4つの折り曲げ部Fを有する四角い筒(第1の四角い筒)として構成されており、接触部12から保持部14に向かって互い違いに配列された4本の切れ込みK3〜K6が形成されている。
【0044】
接触部12に近接する箇所に形成された切れ込みK3は、入口K3Aから先端K3Bまで至っており、4つの折り曲げ部Fに対し傾斜する方向に延びる傾斜部分K31と、傾斜部分K31の一端に接続され且つ4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K32を有している。
切れ込みK3に隣接する切れ込みK4は、入口K4Aから先端K4Bまで至っており、4つの折り曲げ部Fに対し傾斜する方向に延びる傾斜部分K41と、傾斜部分K41の両端にそれぞれ接続され且つ4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K42およびK43を有している。
【0045】
切れ込みK4に隣接する切れ込みK5は、入口K5Aから先端K5Bまで至っており、4つの折り曲げ部Fに対し傾斜する方向に延びる傾斜部分K51と、傾斜部分K51の両端にそれぞれ接続され且つ4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K52およびK53を有している。
切れ込みK5に隣接し且つ保持部14に近接する箇所に形成された切れ込みK6は、入口K6Aから先端K6Bまで至っており、4つの折り曲げ部Fに対し傾斜する方向に延びる傾斜部分K61と、傾斜部分K61の一端に接続され且つ4つの折り曲げ部Fに対し直交する方向に延びる直交部分K62を有している。
【0046】
接触部12から数えて奇数番目の切れ込みである切れ込みK3の傾斜部分K31は、入口K3Aから先端K3Bに進むにつれて接触部12から保持部14に向かう方向に傾斜し、同じく、接触部12から数えて奇数番目の切れ込みである切れ込みK5の傾斜部分K51は、入口K5Aから先端K5Bに進むにつれて接触部12から保持部14に向かう方向に傾斜している。一方、接触部12から数えて偶数番目の切れ込みである切れ込みK4の傾斜部分K41は、入口K4Aから先端K4Bに進むにつれて保持部14から接触部12に向かう方向に傾斜し、同じく、接触部12から数えて偶数番目の切れ込みである切れ込みK6の傾斜部分K61は、入口K6Aから先端K6Bに進むにつれて保持部14から接触部12に向かう方向に傾斜している。
【0047】
4本の切れ込みK3〜K6の傾斜部分K31〜K61は、互いに平行に延びており、このように互い違いに配列された切れ込みK3〜K6の存在により、連結部63は、接触部12から保持部14までX方向、Y方向およびZ方向に屈曲しながら連続する1本の帯状部65を有している。このため、接触部12と保持部14は、連結部63の帯状部65が弾性変形することにより、互いに3次元方向に弾性変位可能に連結されている。このため、実施の形態1のコネクタ端子11と同様に、電気導通状態にあるコネクタ端子61および相手側コネクタ端子21に振動等が加わったときに、連結部63の帯状部65が弾性変形することにより、コネクタ端子61と相手側コネクタ端子21の間の接触抵抗が増大して接触不良が発生するおそれを未然に回避することができる。
【0048】
このような構成のコネクタ端子61は、図16に示されるような形状に切り抜かれた1枚の金属板に曲げ加工を施すことにより形成することができる。金属板は、接触部12を形成するための領域R1と、連結部63を形成するための領域R62と、保持部14を形成するための領域R3と、引き出し部15を形成するための領域R4と、電線接続部16を形成するための領域R5を有しており、領域R62に4本の切れ込みK3〜K6が形成されている。
領域R62を4つの折り曲げ部Fでそれぞれ直角に折り曲げることで、四角い筒形状の連結部63が形成される。
【0049】
また、実施の形態2に係るコネクタ端子61では、連結部63が、接触部12から保持部14に向かって互い違いに配列された4本の切れ込みK3〜K6を有しているので、帯状部65の長さを長くとることができ、バネ定数が小さくて弾性変形しやすい連結部63を形成することができる。
なお、連結部が有する切れ込みの本数は、実施の形態1における2本あるいは実施の形態2における4本に限るものではなく、3本の切れ込みあるいは5本以上の切れ込みを有していてもよい。
【0050】
実施の形態3
実施の形態1のコネクタ端子11では、保持部14が、それぞれ+X方向および−X方向に突出する保持部14の一対の突起51を有し、これらの突起51をXY面内でコネクタハウジングHに圧入することにより、コネクタハウジングHへの保持部14の保持を行っているが、これに限るものではない。
図17に、実施の形態3に係るコネクタ端子71の構成を示す。このコネクタ端子71は、図2および図3に示される実施の形態1のコネクタ端子11において、保持部14の代わりに保持部74を連結部13と引き出し部15の間に配置したものである。保持部74は、それぞれ+Z方向に突出する一対の突起75を有している。
【0051】
このような一対の突起75をYZ面内で図示しないコネクタハウジングに圧入することにより、コネクタハウジングに保持部74を保持させることができる。
さらに、保持部のコネクタハウジングへの圧入は、XY面内あるいはYZ面内で行うものに限られず、例えば、XZ面内で圧入を行うようにすることもできる。
【0052】
また、コネクタ端子の保持部をコネクタハウジングに保持する方法は、圧入に限るものではない。例えば、図18に示されるコネクタ端子81のように、連結部13と引き出し部15の間に配置された保持部84が、XZ面内で+Z方向に突出し且つ取り付け孔85が形成されたネジ止め部86を有し、取り付け孔85を利用してネジ止めにより、あるいは、リベット等により図示しないコネクタハウジングに保持部84を保持してもよい。
なお、実施の形態2に係るコネクタ端子61の保持部14の代わりに、図17に示される保持部74あるいは図18に示される保持部84を用いることもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 二次電池、2 プラグ端子、3 バスバー、4 ソケット端子、5 二次電池側ハウジング、5A,6A 凹部、6 バスバー側ハウジング、7,8 接点、11,61,71,81 コネクタ端子、12 接触部、12A 腕部、12B 突出部、13,63 連結部、13A 領域R2の一端、13B 領域R2の他端、14,74,84 保持部、15 引き出し部、16 電線接続部、21 相手側コネクタ端子、21A 表面、21B 裏面、31,41 底板部、31A〜31C 裏面側接点、32,42 天井部、32A,32B 表面側接点、33,43A,43B 側壁部、34,44 上板部、35 囲い部、36 挿入口、37 バネ部、45,65 帯状部、51,75 突起、85 取り付け孔、86 ネジ止め部、C1 嵌合軸、S 相手側コネクタ端子収容部、F 折り曲げ部、T 二等辺三角形、A 頂点、BC 底辺、M 中点、G1,G2重心、K1 第1の切れ込み、K2 第2の切れ込み、K3〜K6 切れ込み、K1A,K2A,K3A,K4A,K5A,K6A 入口、K1B,K2B,K3B,K4B,K5B,K6B 先端、K11,K21,K31,K41,K51,K61 傾斜部分、K12,K22,K32,K42,K43,K52,K53,K62 直交部分、R1〜R5,R62 領域、H コネクタハウジング。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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